JP2004124339A - 複数本細デニールポリエステル予備延伸ヤーンの製造方法及びその方法により製造された複数本細デニールポリエステル予備延伸ヤーン - Google Patents
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Abstract
【課題】編物染色性の優れた複数本細デニールポリエステル延伸ヤーンを取得する複数本細デニールポリエステルフィラメントの提供。
【解決手段】紡糸プロセスにおいて放射型外方向送風装置を用いて冷却し、紡糸条件、紡糸口金吐出孔の配列について、
紡糸口金吐出孔のリング状配列の最も外側と最も内側の直径、吐出後のトウが紡糸口金下方で通る無風ゾーン長さ、冷却筒の直径、長さ、の間に一定の関係を保つことにより、優れた物性と均一な延伸応力をもつ予備延伸ヤーンを取得する。
【解決手段】紡糸プロセスにおいて放射型外方向送風装置を用いて冷却し、紡糸条件、紡糸口金吐出孔の配列について、
紡糸口金吐出孔のリング状配列の最も外側と最も内側の直径、吐出後のトウが紡糸口金下方で通る無風ゾーン長さ、冷却筒の直径、長さ、の間に一定の関係を保つことにより、優れた物性と均一な延伸応力をもつ予備延伸ヤーンを取得する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は複数本細デニールポリエステルフィラメントの製造方法に係り、特に複数本細デニールポリエステル予備延伸ヤーンの製造方法及びその方法により製造された複数本細デニールポリエステル予備延伸ヤーンに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル繊維は優れた加工性と編物染色性を有し、また低コストであるため、3大合成繊維のなかでも最もよく利用されている。ここ数年、衣料用途の高級化に伴い、織物の手触りや機能性に対する要求が一層高まり、溶融紡糸製法で得られる単繊維のデニール(d.p.f)が細デニール化した合成繊維編み物およびその毛玉製品の衣料用途が普及しているが、その製造プロセスではポリエステルのトウに対する溶融吐出後の冷却作用がヤーンの物性や均一性に大きな影響を与える。
【0003】
現在よく用いられている冷却方法には、横送風冷却システム(cross flow quenching system)(図1参照)、放射型内方向送風冷却システム(radial out−to−in flow quenching system)(図2参照)、放射型外方向送風冷却システム(radial in−to−out flow quenching system)(図3参照)がある。横送風システムは、トウ4が紡糸口金3より吐出された後、冷却風で糸の片側からトウ4を冷却する。放射型内方向送風システムは、トウ4が紡糸口金3より吐出され冷却筒内部を通る際に、冷却風が円周沿いに外から内向きに吹いてトウを冷却する。放射型外方向送風システムは、トウ4が紡糸口金3から吐出され冷却筒外部を通る際に、冷却風が円周沿いに内から外向きに吹いてトウを冷却する。
【0004】
前記3つの方法のうち横送風冷却システムが最もよく用いられており、放射型内方向送風システムと放射型外方向送風システムはスフ(staple filament)によく使用され、また一部工業用糸の生産においても使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ポリエステルの複数本細デニールヤーンを用いて、柔軟で且つ透湿性、防水性、毛玉防止を備えた高密度の布帛および衣料を作製するには、単繊維のデニール(d.p.f)が0.3den以下でなければその効果がはっきりと現れない。市場でこれまで採用されてきた単繊維のデニール(d.p.f)を0.3den以下にする製造方法は、2つの成分を溶融複合した紡糸法であり、即ち予めに高繊度の繊維を作製してから、機械的または化学的にスプリット(split)して単繊維のデニール(d.p.f)が0.3den以下の極細繊維を製造していた。しかし、2つの成分を複合して紡糸するにはまず高繊度のトウを作製しさらに該トウを加工処理するため、高額な設備が必要となるほか、後処理においても化学減量または機械的に2つの成分をスプリットするのでプロセスが繁雑となり、品質が制御しづらく理想的ではなかった。
【0006】
また単一成分のポリマーを用いて単繊維のデニール(d.p.f)を低下させる現有の溶融紡糸方法には、ポリエステル溶融体の総吐出量を固定した上で紡糸口金の吐出孔数を増加させる方法と、紡糸口金の吐出孔数はそのままでポリエステル溶融体の総吐出量を減少させる方法とがある。しかし前者は紡糸段階で単繊維のデニール(d.p.f)が微細化するにつれ、紡糸口金の吐出孔数が増加し、横送風システムの冷却装置で冷却した場合、トウの片面で風を受けるため、風を受ける面に近いトウと該面から遠いトウとの冷却差が極めて大きくなり、トウを均一に冷却することができず、各単繊維間の物性の差異が大きくなり、均一性が劣り、さらには単繊維のデニール(d.p.f)が0.3denのときにはその差異が一層明確になって、製品としての評価に耐える予備延伸ヤーンを提供できない。また後者では、紡糸口金の吐出孔数はそのままでポリエステル溶融体の総吐出量を減少させるが、かかる方法ではポリエステル溶融体の溶融体管路内での停留時間が増加するため、ポリエステル溶融体の劣化が激しくなり、低ポリマーが大量に生成され、紡糸状況が極めて悪くなる。総繊度の高い規格を生産しようとすれば、2つのプライを合わせる方法で生産しなければならず、生産量が減少しがちであるほか、2つのプライのトウの物性差によって後加工の染色時に染めむら(不均一)が生じるなどの問題が発生しがちであった。
【0007】
放射型内方向送風システムは、冷却風が調整しづらく、風速が遅すぎるとトウを十分に冷却できず、ウスタ−の長周期変異率(uster half inert value)が増加し、さらには単本の糸と糸とが癒着して円滑な紡糸ができなくなり、また風速が速すぎると送風方向と反対方向にある冷却風が相互干渉してトウが不安定になり単本の糸と糸とが互いにぶつかって生産性が低下し、しかもトウが細い冷却筒に入りにくくなって、操作上困難が生じるので、ポリエステル複数本細デニールの予備延伸ヤーンの生産には不利である。
【0008】
従って、いかにして生産量に影響せず単繊維のデニール(d.p.f)を低下させると同時に安定生産ができる高品質のポリエステル複数本細デニール予備延伸ヤーンを製造するかが、ポリエステル合成繊維業界において解決が急がれる課題であった。米国特許第5,288,553号、5,145,623号、5,407,621号、5,250,245号などは特殊範囲の溶融粘度をもつポリエステルチップを使用し、および紡糸口金の口径と孔の長さを選定し、且つポリエステル溶融体の管路での停滯時間など紡糸条件に制限を加えて、単繊維の繊度が0.2〜0.8denのポリエステルの複数本細デニール予備延伸ヤーンを生産している。しかし、前記特許にはいかなる冷却方法を使用するかについての説明がなく、またその無風ゾ−ンの長さは2cmから(12×(単繊維デニール)1/2)cmと長いため、単位面積毎の紡糸口金吐出孔数を増加させたときにはウスタ−の長周期変異が0.3%以下で、熱応力変異が2%以下という所望の条件を達成することはできない。
【0009】
さらに、日本特許公開公報特開昭55−132708号では、ポリエステル、ポリアミド、ポリオルフィンの単繊維のデニール(d.p.f)が0.3den以下の延伸ヤーンの製造方法を開示しており、該方法では溶融体の吐出時における粘度が950poiseで、紡糸口金下方1〜3cmの周囲温度を200℃以下に保ち、冷却風が紡糸口金下方10cm以内において水平方向に、50から850に上向きにトウを冷却するが、該方法は口金表面が冷却風の影響を受けて温度が不均一になりやすく、安定した紡糸ができない。
【0010】
放射型外方向送風システムについては、米国特許第5,536,157号および米国特許第5,866,055号が、単繊維のデニールが1.1〜22.2denのポリエステル工業用糸の生産に用いる方法を開示しているが、ポリエステルの複数本細デニール予備延伸ヤーンを生産する製造方法については言及されない。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記横送風システムの冷却装置の使用においては、トウの片面で風を受け、風を受ける面に近いトウと風を受ける面に遠いトウの冷却差が大きいために、トウを均一に冷却できず、各単繊維間の物性差が大きく均一性が劣り、また放射型内方向送風システムでは操作性が悪く、風速調整が容易でないという課題に鑑み、本発明人らは、鋭意検討、開発をすすめた結果、冷却システムに放射型外方向送風システムを採用してポリエステルの複数本細デニール予備延伸ヤーンを製造すれば、単繊維のデニール(d.p.f)が0.3〜2.0denで、そのウスターの長周期変異(uster half inert value)が0.3%以下、スピンドルとスピンドルとの間の熱応力変異(CV%)が2%以下で、後加工後に編物編物染色性に優れた延伸ヤーンを取得できることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
【発明の概要】
本発明の目的は、ポリエステル複数本細デニール予備延伸ヤーンの製造方法を提供することであって、具体的には固有粘度(IV)が0.5〜0.7で、融点245〜265℃のポリエステルポリマーに対して、該ポリエステルポリマーを加熱し溶融濾過してから複数本細デニールポリエステル延伸ヤーンを一定量で押出する溶融紡糸方法である。該方法は、
(a)該押出したポリエステル溶融体1を多重リング状に配列した紡糸口金3の吐出孔を通してトウ4を均一に吐出させ、且つ多重リング状に配列した紡糸口金3の配列方法において最も外側の直径をD2mm、最も内側の直径をD1mmとする、
(b)該吐出後のトウ4は紡糸口金3下方で長さLsmmの無風ゾ−ンを通過するとともに直径D0mm、長さLqcmの円柱状の冷却筒5を通り、該冷却筒5は内から外への放射型に吹く冷却風を提供し、円形の冷却筒5の外側において前記トウに風速0.2〜0.6m/秒の冷却風を送り、該ポリエステルポリマーのガラス転移温度(Tg)以下になるまで均一に冷却するとともに集束する、
(c)前記D2、D1、D0、Ls、Lqに、
(i)D2−D1≦20(mm)
(ii)12≦D1−D0≦33(mm)
(iii)2≦Ls≦20(mm)
(iv)15≦Lq≦40(cm)の関係を満足させ、
(d)1800から3000m/分で複数本細デニールポリエステル予備延伸ヤーンに巻取り成形する、ステップを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明のもう一つの目的は、放射型外方向送風冷却システムを提供し、ポリエステル複数本細デニール予備延伸ヤーンの生産にあたって、トウに均一に風を受けさせ、均一なポリエステル複数本細デニール予備延伸ヤーンを取得することである。本発明の単繊維のデニール(d.p.f)が0.3〜2.0denの予備延伸ヤーンを製造するため、単繊維のデニール(d.p.f)は[溶融体吐出量(g/min)×巻取速度(m/min)÷(9000×紡糸口金吐出孔数)]とする。
【0014】
本発明では単位面積当たりの紡糸口金の吐出孔数(即ち孔の密度)を高めることにより、単繊維のデニール(d.p.f)の低下を達成させており、無風ゾ−ンの長さは2〜20mmが好ましい。孔の密度が増加すると、単繊維間の距離が短くなるため、無風ゾ−ンの長さは20mmを超えるが、単繊維のトウが共振作用のために不安定な状態になり、ウスタ−の長周期変異が増加し、甚だしくは相互にぶつかり合って糸切れすることもあり、風速を高くしても所望するウスターの長周期変異(uster half inert value)が0.3%以下の予備延伸ヤーンを取得できなくなる。無風ゾ−ンの長さが2mm以下のときには、冷却風が紡糸口金の表面温度に影響し、生産性が低下し、延伸加工後の製品の編物染色性が悪くなる。
【0015】
本発明の方法で採用した紡糸口金3の吐出孔の配列方法(図5参照)では、最も内側の直径(D1)と最も外側の直径(D2)との差をD2−D1≦20(mm)にする。D2−D1の値が20mmを超える場合、内側と外側のトウ4がそれぞれ受ける風の差異が大きくなりすぎて、単糸間の細化点と紡糸口金3との距離差が大きいため、トウ4に含まれる単糸間の物性差が大きくなりすぎて、本発明のウスター長周期変異(uster half inert value)が0.3%以下で熱応力変異が2%以下の予備延伸ヤーンが製造できなくなる。前記最も内側の直径D1と冷却筒5の直径D0の差が12〜20mmで、D1−D0が12mm以下の場合、トウが冷却筒5に接触しやすくなって糸切れしがちで、正常な紡糸ができなくなる。D1−D0が33mm以上の場合は、送風冷却効率が低下し、紡糸口金の最も外側の直径(D2)のトウが冷却が不十分なために糸切れしやすくなる。トウ4を適切に冷却するため、本発明が採用する冷却筒5の長さは15〜40cmが最適で、冷却筒5の長さが15cm以下のときには、トウ4は冷却が不十分なために癒着して糸切れが起こる。冷却筒5の長さが40cm以上のときには、冷却風が互いに干渉してウスターの長周期変異(uster half inert value)が劣るようになる。本発明で使用する冷却筒5は円筒状で、複数層の繊維素、複数層の金属網、金属焼結網、セラミック焼結濾網、または複数層複数孔の板から構成され、冷却風は細孔によって口径方向に放射型の内から外向きに均一に吹いてトウを冷却する。
【0016】
本発明では、冷却風速は0.2〜0.6m/秒が好ましい。風速が0.2m/秒以下のときには、冷却が不十分なために、糸が癒着して糸切れし且つウスタ−の長周期変異が大きくなる。風速が0.6m/秒以上のときには、ウスターの長周期変異を小さくすることができず、即ちウスタ−長周期変異に対してはっきりした効果がなく、トウ4を冷却しすぎて糸切れを招く。
【0017】
本発明で採用する吐出孔の紡糸口金配列区における密度(孔の密度)は1cm2あたり7〜21個とし、孔の密度は図5に示したように、D2とD1との間の吐出孔の孔数をD2とD1との間の面積で割った、即ち孔数(D2とD1との間)×4/π÷(D2 2−D1 2)で表される。
【0018】
1cm2あたり7つの孔があるときには、総吐出量を減少させなければ本発明の単繊維のデニール数(d.p.f)が0.3〜2.0denという条件を達成できず、また2つのプライを糸合せした生産が必要であるため、経済性が悪くなる。1cm2あたりの孔の密度が21であるときには、単繊維間の配列が緊密で単糸間の冷却差が大きくなりすぎて、ウスタ−の長周期変異が大きく安定的に紡糸できなくなる。
【0019】
本発明で使用するポリエステルチップの固有粘度(IV)は0.5〜0.7で、溶融後に紡糸口金から押出し、紡糸してポリエステル複数本細デニール予備延伸ヤーンに延伸し、破断点伸度を100〜160%、単繊維のデニール数を0.3〜2.0den、ウスターの長周期変異(uster half inert value)を0.3%以下、熱応力変異を2%以下にする。さらに延伸加工後に、伸撚り加工、仮撚り加工、空気加工(air texture)を施せば、単繊維のデニール数が0.2〜1.0denで編物編物染色性に優れたポリエステル複数本細デニール延伸ヤーンを取得できる。
【0020】
【分析方法の説明】
a.熱応力変異分析
分析計器:Textechno Dynafil M Type DPG/M
分析条件:延伸比1:6 加熱温度150℃
分析速度:50m
分析時間を1分とし、熱応力変異率(CV%)を求める。
b.ウスターの長周期変異(uster half inert value)分析
分析計器:USTER TESTER 3
分析速度:400m/min
分析時間:2.5分
分析長さ:1000m
c.単繊維のデニール分析
トウを90周巻き取り、目方を量り(目方はaグラムで表す)、aに100を乗じたものがトウの総デニールb(den)で、bを1プライのトウ本数cで割ったものが単繊維のデニールである。
d.破断点伸度の強度分析
分析計器:Textecho Type FPA/M
分析条件:分析長さ 10cm、引張り速度60cm/min、予荷重0.5CN /tex、強度は最大強度とし、その対応伸度が破断点伸度である。
e.編物編物染色性(woven fabrics dyability)の判定方法
織物組織:サテン
縦糸:75d/36fテクスチャードヤーン
縦糸密度:150本/1インチ、横糸には本発明の製品を使用し、横密度 はデニール数に応じて調整する。
染色、仕上げ条件:分散性染料130℃×130min、染色、仕上げした 布を乾燥後、自然光下で横糸方向に色むらがないかをチェックする。
○:編物染色性が正常で、濃淡の横筋色むらがない。
△:軽微な横筋色むらがある。
×:横筋色むらがかなりある。
【0021】
【実施例およびその比較例】
表1の条件にもとづき、円形断面の複数本ポリエステル細デニールヤーンを生産する。実施例1〜3および比較例1は本発明で使用する図3に示した放射型外方向送風冷却システムで、表1の紡糸条件で生産されている。実施例1〜3のウスタ−の長周期変異は0.3%以下で、熱応力変異(CV%)は2%以下、後段階で仮撚り加工後に取得した延伸ヤーンは、織物の編物染色性が正常(○)であった。比較例1では無風ゾ−ンを45mm、その他の条件は実施例1と同じであったが、そのウスタ−の長周期変異は大きく(0.55%)、後段階の仮撚り加工後に得られた延伸ヤーンの織物の編物染色性には軽微な色むら(△)があった。
表1の比較例2〜3では図1に示した横送風冷却システムを使用し、その他の条件は実施例3と同じにした。比較例2の無風ゾ−ン15mmは所望する2〜20mmの範囲ではあるが、横送風冷却システムを使用したため、風受け面から遠い単繊維の風受けが十分でなく、ウスタ−の長周期変異が0.85%と高く、織物の編物染色性にかなりの色むら(×)ができた。比較例3は無風ゾ−ンが45mmであるため、単糸と単糸が相互にぶつかり合って生産ができなかった。
【0022】
【表1】
表2は断面がY型の複数本ポリエステル細デニールヤーンの生産に係るもので、実施例4〜5では図3に示した本発明の放射型外方向送風システムを使用した。表2の紡糸条件で生産した場合、実施例4〜5のウスタ−の長周期変異は0.3%以下(それぞれ0.29%と0.25%)、熱応力変異は2%以下(それぞれ1.8%と1.7%)となり、後段階の仮撚り加工後に取得された延伸ヤーンの織物編物編物染色性は正常(○)であった。比較例4〜5では図1に示した横送風冷却システムを使用し、その他の条件は実施例4〜5と同じにしたが、比較例4〜5の無風ゾ−ン(それぞれ15mm)は所望の2〜20mmの範囲内であるが、横送風冷却システムを用いたため風受け面から遠い単糸は風が不十分で、ウスタ−の長周期変異が大きくなり(それぞれ0.55%と0.7%)、編物編物染色性はかなりの色むらがでた(それぞれ(×))。
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の横送風冷却システムで作製した複数本細デニールポリエステル予備延伸ヤーンを示した図である。
【図2】従来の放射型内方向送風システムで作製した複数本細デニールポリエステル予備延伸ヤーンを示した図である。
【図3】本発明に係わる放射型外方向送風システムで作製した複数本細デニールポリエステル予備延伸ヤーンを示した図である。
【図4】本発明に係わる放射型外方向送風システムにおける冷却筒を示した図である。
【図5】本発明に係わる放射型外方向送風システムで使用する紡糸口金の吐出孔の配列方法を示した図である。
【図6】本発明に係わる延伸加工用伸撚り機を示した図である。
【図7】本発明に係わる放射型外方向冷却システムで作製した複数本細デニールポリエステル延伸ヤーンの直接紡糸延伸を示した図である。
【符号の説明】
1 ポリエステル溶融体
2 紡糸ヘッド
3 紡糸口金
33 吐出口
4 トウ
5 送風装置(冷却筒)
6 オイルノズル
7 集束後のトウ
8 非加熱ローラ
8−1 加熱ローラ
8−2 加熱ローラ
8−3 分離ホイール
9 巻取機
10 予備延伸糸ケ−キ
11 加熱ローラ
12 ヒ−タ
13 加熱ローラ
14 フイラメント
【発明の属する技術分野】
本発明は複数本細デニールポリエステルフィラメントの製造方法に係り、特に複数本細デニールポリエステル予備延伸ヤーンの製造方法及びその方法により製造された複数本細デニールポリエステル予備延伸ヤーンに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル繊維は優れた加工性と編物染色性を有し、また低コストであるため、3大合成繊維のなかでも最もよく利用されている。ここ数年、衣料用途の高級化に伴い、織物の手触りや機能性に対する要求が一層高まり、溶融紡糸製法で得られる単繊維のデニール(d.p.f)が細デニール化した合成繊維編み物およびその毛玉製品の衣料用途が普及しているが、その製造プロセスではポリエステルのトウに対する溶融吐出後の冷却作用がヤーンの物性や均一性に大きな影響を与える。
【0003】
現在よく用いられている冷却方法には、横送風冷却システム(cross flow quenching system)(図1参照)、放射型内方向送風冷却システム(radial out−to−in flow quenching system)(図2参照)、放射型外方向送風冷却システム(radial in−to−out flow quenching system)(図3参照)がある。横送風システムは、トウ4が紡糸口金3より吐出された後、冷却風で糸の片側からトウ4を冷却する。放射型内方向送風システムは、トウ4が紡糸口金3より吐出され冷却筒内部を通る際に、冷却風が円周沿いに外から内向きに吹いてトウを冷却する。放射型外方向送風システムは、トウ4が紡糸口金3から吐出され冷却筒外部を通る際に、冷却風が円周沿いに内から外向きに吹いてトウを冷却する。
【0004】
前記3つの方法のうち横送風冷却システムが最もよく用いられており、放射型内方向送風システムと放射型外方向送風システムはスフ(staple filament)によく使用され、また一部工業用糸の生産においても使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ポリエステルの複数本細デニールヤーンを用いて、柔軟で且つ透湿性、防水性、毛玉防止を備えた高密度の布帛および衣料を作製するには、単繊維のデニール(d.p.f)が0.3den以下でなければその効果がはっきりと現れない。市場でこれまで採用されてきた単繊維のデニール(d.p.f)を0.3den以下にする製造方法は、2つの成分を溶融複合した紡糸法であり、即ち予めに高繊度の繊維を作製してから、機械的または化学的にスプリット(split)して単繊維のデニール(d.p.f)が0.3den以下の極細繊維を製造していた。しかし、2つの成分を複合して紡糸するにはまず高繊度のトウを作製しさらに該トウを加工処理するため、高額な設備が必要となるほか、後処理においても化学減量または機械的に2つの成分をスプリットするのでプロセスが繁雑となり、品質が制御しづらく理想的ではなかった。
【0006】
また単一成分のポリマーを用いて単繊維のデニール(d.p.f)を低下させる現有の溶融紡糸方法には、ポリエステル溶融体の総吐出量を固定した上で紡糸口金の吐出孔数を増加させる方法と、紡糸口金の吐出孔数はそのままでポリエステル溶融体の総吐出量を減少させる方法とがある。しかし前者は紡糸段階で単繊維のデニール(d.p.f)が微細化するにつれ、紡糸口金の吐出孔数が増加し、横送風システムの冷却装置で冷却した場合、トウの片面で風を受けるため、風を受ける面に近いトウと該面から遠いトウとの冷却差が極めて大きくなり、トウを均一に冷却することができず、各単繊維間の物性の差異が大きくなり、均一性が劣り、さらには単繊維のデニール(d.p.f)が0.3denのときにはその差異が一層明確になって、製品としての評価に耐える予備延伸ヤーンを提供できない。また後者では、紡糸口金の吐出孔数はそのままでポリエステル溶融体の総吐出量を減少させるが、かかる方法ではポリエステル溶融体の溶融体管路内での停留時間が増加するため、ポリエステル溶融体の劣化が激しくなり、低ポリマーが大量に生成され、紡糸状況が極めて悪くなる。総繊度の高い規格を生産しようとすれば、2つのプライを合わせる方法で生産しなければならず、生産量が減少しがちであるほか、2つのプライのトウの物性差によって後加工の染色時に染めむら(不均一)が生じるなどの問題が発生しがちであった。
【0007】
放射型内方向送風システムは、冷却風が調整しづらく、風速が遅すぎるとトウを十分に冷却できず、ウスタ−の長周期変異率(uster half inert value)が増加し、さらには単本の糸と糸とが癒着して円滑な紡糸ができなくなり、また風速が速すぎると送風方向と反対方向にある冷却風が相互干渉してトウが不安定になり単本の糸と糸とが互いにぶつかって生産性が低下し、しかもトウが細い冷却筒に入りにくくなって、操作上困難が生じるので、ポリエステル複数本細デニールの予備延伸ヤーンの生産には不利である。
【0008】
従って、いかにして生産量に影響せず単繊維のデニール(d.p.f)を低下させると同時に安定生産ができる高品質のポリエステル複数本細デニール予備延伸ヤーンを製造するかが、ポリエステル合成繊維業界において解決が急がれる課題であった。米国特許第5,288,553号、5,145,623号、5,407,621号、5,250,245号などは特殊範囲の溶融粘度をもつポリエステルチップを使用し、および紡糸口金の口径と孔の長さを選定し、且つポリエステル溶融体の管路での停滯時間など紡糸条件に制限を加えて、単繊維の繊度が0.2〜0.8denのポリエステルの複数本細デニール予備延伸ヤーンを生産している。しかし、前記特許にはいかなる冷却方法を使用するかについての説明がなく、またその無風ゾ−ンの長さは2cmから(12×(単繊維デニール)1/2)cmと長いため、単位面積毎の紡糸口金吐出孔数を増加させたときにはウスタ−の長周期変異が0.3%以下で、熱応力変異が2%以下という所望の条件を達成することはできない。
【0009】
さらに、日本特許公開公報特開昭55−132708号では、ポリエステル、ポリアミド、ポリオルフィンの単繊維のデニール(d.p.f)が0.3den以下の延伸ヤーンの製造方法を開示しており、該方法では溶融体の吐出時における粘度が950poiseで、紡糸口金下方1〜3cmの周囲温度を200℃以下に保ち、冷却風が紡糸口金下方10cm以内において水平方向に、50から850に上向きにトウを冷却するが、該方法は口金表面が冷却風の影響を受けて温度が不均一になりやすく、安定した紡糸ができない。
【0010】
放射型外方向送風システムについては、米国特許第5,536,157号および米国特許第5,866,055号が、単繊維のデニールが1.1〜22.2denのポリエステル工業用糸の生産に用いる方法を開示しているが、ポリエステルの複数本細デニール予備延伸ヤーンを生産する製造方法については言及されない。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記横送風システムの冷却装置の使用においては、トウの片面で風を受け、風を受ける面に近いトウと風を受ける面に遠いトウの冷却差が大きいために、トウを均一に冷却できず、各単繊維間の物性差が大きく均一性が劣り、また放射型内方向送風システムでは操作性が悪く、風速調整が容易でないという課題に鑑み、本発明人らは、鋭意検討、開発をすすめた結果、冷却システムに放射型外方向送風システムを採用してポリエステルの複数本細デニール予備延伸ヤーンを製造すれば、単繊維のデニール(d.p.f)が0.3〜2.0denで、そのウスターの長周期変異(uster half inert value)が0.3%以下、スピンドルとスピンドルとの間の熱応力変異(CV%)が2%以下で、後加工後に編物編物染色性に優れた延伸ヤーンを取得できることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
【発明の概要】
本発明の目的は、ポリエステル複数本細デニール予備延伸ヤーンの製造方法を提供することであって、具体的には固有粘度(IV)が0.5〜0.7で、融点245〜265℃のポリエステルポリマーに対して、該ポリエステルポリマーを加熱し溶融濾過してから複数本細デニールポリエステル延伸ヤーンを一定量で押出する溶融紡糸方法である。該方法は、
(a)該押出したポリエステル溶融体1を多重リング状に配列した紡糸口金3の吐出孔を通してトウ4を均一に吐出させ、且つ多重リング状に配列した紡糸口金3の配列方法において最も外側の直径をD2mm、最も内側の直径をD1mmとする、
(b)該吐出後のトウ4は紡糸口金3下方で長さLsmmの無風ゾ−ンを通過するとともに直径D0mm、長さLqcmの円柱状の冷却筒5を通り、該冷却筒5は内から外への放射型に吹く冷却風を提供し、円形の冷却筒5の外側において前記トウに風速0.2〜0.6m/秒の冷却風を送り、該ポリエステルポリマーのガラス転移温度(Tg)以下になるまで均一に冷却するとともに集束する、
(c)前記D2、D1、D0、Ls、Lqに、
(i)D2−D1≦20(mm)
(ii)12≦D1−D0≦33(mm)
(iii)2≦Ls≦20(mm)
(iv)15≦Lq≦40(cm)の関係を満足させ、
(d)1800から3000m/分で複数本細デニールポリエステル予備延伸ヤーンに巻取り成形する、ステップを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明のもう一つの目的は、放射型外方向送風冷却システムを提供し、ポリエステル複数本細デニール予備延伸ヤーンの生産にあたって、トウに均一に風を受けさせ、均一なポリエステル複数本細デニール予備延伸ヤーンを取得することである。本発明の単繊維のデニール(d.p.f)が0.3〜2.0denの予備延伸ヤーンを製造するため、単繊維のデニール(d.p.f)は[溶融体吐出量(g/min)×巻取速度(m/min)÷(9000×紡糸口金吐出孔数)]とする。
【0014】
本発明では単位面積当たりの紡糸口金の吐出孔数(即ち孔の密度)を高めることにより、単繊維のデニール(d.p.f)の低下を達成させており、無風ゾ−ンの長さは2〜20mmが好ましい。孔の密度が増加すると、単繊維間の距離が短くなるため、無風ゾ−ンの長さは20mmを超えるが、単繊維のトウが共振作用のために不安定な状態になり、ウスタ−の長周期変異が増加し、甚だしくは相互にぶつかり合って糸切れすることもあり、風速を高くしても所望するウスターの長周期変異(uster half inert value)が0.3%以下の予備延伸ヤーンを取得できなくなる。無風ゾ−ンの長さが2mm以下のときには、冷却風が紡糸口金の表面温度に影響し、生産性が低下し、延伸加工後の製品の編物染色性が悪くなる。
【0015】
本発明の方法で採用した紡糸口金3の吐出孔の配列方法(図5参照)では、最も内側の直径(D1)と最も外側の直径(D2)との差をD2−D1≦20(mm)にする。D2−D1の値が20mmを超える場合、内側と外側のトウ4がそれぞれ受ける風の差異が大きくなりすぎて、単糸間の細化点と紡糸口金3との距離差が大きいため、トウ4に含まれる単糸間の物性差が大きくなりすぎて、本発明のウスター長周期変異(uster half inert value)が0.3%以下で熱応力変異が2%以下の予備延伸ヤーンが製造できなくなる。前記最も内側の直径D1と冷却筒5の直径D0の差が12〜20mmで、D1−D0が12mm以下の場合、トウが冷却筒5に接触しやすくなって糸切れしがちで、正常な紡糸ができなくなる。D1−D0が33mm以上の場合は、送風冷却効率が低下し、紡糸口金の最も外側の直径(D2)のトウが冷却が不十分なために糸切れしやすくなる。トウ4を適切に冷却するため、本発明が採用する冷却筒5の長さは15〜40cmが最適で、冷却筒5の長さが15cm以下のときには、トウ4は冷却が不十分なために癒着して糸切れが起こる。冷却筒5の長さが40cm以上のときには、冷却風が互いに干渉してウスターの長周期変異(uster half inert value)が劣るようになる。本発明で使用する冷却筒5は円筒状で、複数層の繊維素、複数層の金属網、金属焼結網、セラミック焼結濾網、または複数層複数孔の板から構成され、冷却風は細孔によって口径方向に放射型の内から外向きに均一に吹いてトウを冷却する。
【0016】
本発明では、冷却風速は0.2〜0.6m/秒が好ましい。風速が0.2m/秒以下のときには、冷却が不十分なために、糸が癒着して糸切れし且つウスタ−の長周期変異が大きくなる。風速が0.6m/秒以上のときには、ウスターの長周期変異を小さくすることができず、即ちウスタ−長周期変異に対してはっきりした効果がなく、トウ4を冷却しすぎて糸切れを招く。
【0017】
本発明で採用する吐出孔の紡糸口金配列区における密度(孔の密度)は1cm2あたり7〜21個とし、孔の密度は図5に示したように、D2とD1との間の吐出孔の孔数をD2とD1との間の面積で割った、即ち孔数(D2とD1との間)×4/π÷(D2 2−D1 2)で表される。
【0018】
1cm2あたり7つの孔があるときには、総吐出量を減少させなければ本発明の単繊維のデニール数(d.p.f)が0.3〜2.0denという条件を達成できず、また2つのプライを糸合せした生産が必要であるため、経済性が悪くなる。1cm2あたりの孔の密度が21であるときには、単繊維間の配列が緊密で単糸間の冷却差が大きくなりすぎて、ウスタ−の長周期変異が大きく安定的に紡糸できなくなる。
【0019】
本発明で使用するポリエステルチップの固有粘度(IV)は0.5〜0.7で、溶融後に紡糸口金から押出し、紡糸してポリエステル複数本細デニール予備延伸ヤーンに延伸し、破断点伸度を100〜160%、単繊維のデニール数を0.3〜2.0den、ウスターの長周期変異(uster half inert value)を0.3%以下、熱応力変異を2%以下にする。さらに延伸加工後に、伸撚り加工、仮撚り加工、空気加工(air texture)を施せば、単繊維のデニール数が0.2〜1.0denで編物編物染色性に優れたポリエステル複数本細デニール延伸ヤーンを取得できる。
【0020】
【分析方法の説明】
a.熱応力変異分析
分析計器:Textechno Dynafil M Type DPG/M
分析条件:延伸比1:6 加熱温度150℃
分析速度:50m
分析時間を1分とし、熱応力変異率(CV%)を求める。
b.ウスターの長周期変異(uster half inert value)分析
分析計器:USTER TESTER 3
分析速度:400m/min
分析時間:2.5分
分析長さ:1000m
c.単繊維のデニール分析
トウを90周巻き取り、目方を量り(目方はaグラムで表す)、aに100を乗じたものがトウの総デニールb(den)で、bを1プライのトウ本数cで割ったものが単繊維のデニールである。
d.破断点伸度の強度分析
分析計器:Textecho Type FPA/M
分析条件:分析長さ 10cm、引張り速度60cm/min、予荷重0.5CN /tex、強度は最大強度とし、その対応伸度が破断点伸度である。
e.編物編物染色性(woven fabrics dyability)の判定方法
織物組織:サテン
縦糸:75d/36fテクスチャードヤーン
縦糸密度:150本/1インチ、横糸には本発明の製品を使用し、横密度 はデニール数に応じて調整する。
染色、仕上げ条件:分散性染料130℃×130min、染色、仕上げした 布を乾燥後、自然光下で横糸方向に色むらがないかをチェックする。
○:編物染色性が正常で、濃淡の横筋色むらがない。
△:軽微な横筋色むらがある。
×:横筋色むらがかなりある。
【0021】
【実施例およびその比較例】
表1の条件にもとづき、円形断面の複数本ポリエステル細デニールヤーンを生産する。実施例1〜3および比較例1は本発明で使用する図3に示した放射型外方向送風冷却システムで、表1の紡糸条件で生産されている。実施例1〜3のウスタ−の長周期変異は0.3%以下で、熱応力変異(CV%)は2%以下、後段階で仮撚り加工後に取得した延伸ヤーンは、織物の編物染色性が正常(○)であった。比較例1では無風ゾ−ンを45mm、その他の条件は実施例1と同じであったが、そのウスタ−の長周期変異は大きく(0.55%)、後段階の仮撚り加工後に得られた延伸ヤーンの織物の編物染色性には軽微な色むら(△)があった。
表1の比較例2〜3では図1に示した横送風冷却システムを使用し、その他の条件は実施例3と同じにした。比較例2の無風ゾ−ン15mmは所望する2〜20mmの範囲ではあるが、横送風冷却システムを使用したため、風受け面から遠い単繊維の風受けが十分でなく、ウスタ−の長周期変異が0.85%と高く、織物の編物染色性にかなりの色むら(×)ができた。比較例3は無風ゾ−ンが45mmであるため、単糸と単糸が相互にぶつかり合って生産ができなかった。
【0022】
【表1】
表2は断面がY型の複数本ポリエステル細デニールヤーンの生産に係るもので、実施例4〜5では図3に示した本発明の放射型外方向送風システムを使用した。表2の紡糸条件で生産した場合、実施例4〜5のウスタ−の長周期変異は0.3%以下(それぞれ0.29%と0.25%)、熱応力変異は2%以下(それぞれ1.8%と1.7%)となり、後段階の仮撚り加工後に取得された延伸ヤーンの織物編物編物染色性は正常(○)であった。比較例4〜5では図1に示した横送風冷却システムを使用し、その他の条件は実施例4〜5と同じにしたが、比較例4〜5の無風ゾ−ン(それぞれ15mm)は所望の2〜20mmの範囲内であるが、横送風冷却システムを用いたため風受け面から遠い単糸は風が不十分で、ウスタ−の長周期変異が大きくなり(それぞれ0.55%と0.7%)、編物編物染色性はかなりの色むらがでた(それぞれ(×))。
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の横送風冷却システムで作製した複数本細デニールポリエステル予備延伸ヤーンを示した図である。
【図2】従来の放射型内方向送風システムで作製した複数本細デニールポリエステル予備延伸ヤーンを示した図である。
【図3】本発明に係わる放射型外方向送風システムで作製した複数本細デニールポリエステル予備延伸ヤーンを示した図である。
【図4】本発明に係わる放射型外方向送風システムにおける冷却筒を示した図である。
【図5】本発明に係わる放射型外方向送風システムで使用する紡糸口金の吐出孔の配列方法を示した図である。
【図6】本発明に係わる延伸加工用伸撚り機を示した図である。
【図7】本発明に係わる放射型外方向冷却システムで作製した複数本細デニールポリエステル延伸ヤーンの直接紡糸延伸を示した図である。
【符号の説明】
1 ポリエステル溶融体
2 紡糸ヘッド
3 紡糸口金
33 吐出口
4 トウ
5 送風装置(冷却筒)
6 オイルノズル
7 集束後のトウ
8 非加熱ローラ
8−1 加熱ローラ
8−2 加熱ローラ
8−3 分離ホイール
9 巻取機
10 予備延伸糸ケ−キ
11 加熱ローラ
12 ヒ−タ
13 加熱ローラ
14 フイラメント
Claims (5)
- 固有粘度(IV)0.5〜0.7、融点245〜265℃のポリエステルポリマーに対して、該ポリエステルポリマーを加熱溶融して濾過してから複数本の細デニールポリエステル予備延伸ヤーンを一定量で押出する複数本細デニールポリエステル予備延伸ヤーンの製造方法において、
(a)該押出したポリエステル溶融体を多重リング状に配列した紡糸口金の吐出孔を通して均一にトウを吐出させるものであって、多重リング状に配列した紡糸口金の吐出孔の配列において最も外側の直径をD2mm、最も内側の直径をD1mmとし、
(b)該吐出後のトウが紡糸口金下方で長さLsmmの無風ゾ−ンを通るとともに直径D0mm、長さLqcmの円柱状の冷却筒を通り、該冷却筒は内から外への放射型に吹く冷却風を供給し、前記トウは円形の冷却筒の外側において風速0.2〜0.6m/秒の冷却風を送り、該ポリエステルポリマーのガラス転移温度(Tg)以下に均一に冷却するとともに集束し、
(c)前記D2、D1、D0、Ls、Lqについて、
(i) D2−D1≦20(mm)
(ii)12≦D1−D0≦33(mm)
(iii)2≦Ls≦20(mm)
(iv)15≦Lq≦40(cm)、の関係を満足させ、
(d)1800〜3000m/分で前記トウを巻き取って完成させる、ステップを含むことを特徴とする複数本細デニールポリエステル予備延伸ヤーンの製造方法。 - 紡糸口金の吐出孔の配列密度が1cm2あたり7〜21個である請求項1に記載の複数本細デニールポリエステル予備延伸ヤーンの製造方法。
- 紡糸口金の吐出孔の断面が円形、中空、Y型、一字型、四角形、三角形、六角形、十字型およびC型からなる群から選択される1種以上である請求項1に記載の複数本の細デニールポリエステル予備延伸ヤーンの製造方法。
- 前記予備延伸ヤーンの単繊維のデニール(d.p.f)が0.3〜2.0denで、破断点伸度が100〜160%、ウスタ−の長周期変異が0.3以下、熱応力変異が2%以下である請求項1に記載の複数本細デニールポリエステル予備延伸ヤーンの製造方法から取得される複数本細デニールポリエステル延伸ヤーン。
- 予備延伸ヤーンに仮撚り加工、伸撚り加工、空気加工(air texture)、または直接紡糸延伸を施して取得する単繊維のデニール(d.p.f)が0.2〜1.0で編物編物染色性に優れた複数本細デニールポリエステル延伸ヤーンである請求項1に記載の複数本細デニールポリエステル予備延伸ヤーンの製造方法から取得される複数本細デニールポリエステル延伸ヤーン。
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WO2010058480A1 (ja) * | 2008-11-21 | 2010-05-27 | 東洲貿易株式会社 | 多孔紡糸口金及び該多孔紡糸口金を用いた撚糸の製造方法 |
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CN113913950A (zh) * | 2021-10-26 | 2022-01-11 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种用于熔融纺丝机上的红外加热装置 |
-
2002
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