JP2000144528A - ポリエステル繊維の直接紡糸延伸方法 - Google Patents

ポリエステル繊維の直接紡糸延伸方法

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JP2000144528A
JP2000144528A JP10318123A JP31812398A JP2000144528A JP 2000144528 A JP2000144528 A JP 2000144528A JP 10318123 A JP10318123 A JP 10318123A JP 31812398 A JP31812398 A JP 31812398A JP 2000144528 A JP2000144528 A JP 2000144528A
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roller
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基 水橋
Noboru Yamamoto
登 山本
Mototada Fukuhara
基忠 福原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明はポリエステル繊維を直接紡糸延伸方法
で製造するに際し、染めむらの発生のない、多糸条、糸
条片掛けの直接紡糸延伸方法を提供することにある。 【解決手段】紡糸口金から吐出し冷却固化した複数のポ
リエステル繊維糸条を1500m/分以上4000m/分未満の周
速度のローラーで引き取り、引き続きローラー間で延伸
した後、4000m/分以上の速度で巻き取る直接紡糸延伸
方法において、糸条を表面温度95℃以上の引き取りロー
ラーに1周回未満の片掛けとし、かつ引き取りローラー
の前に糸条加熱装置を備え、該装置内で糸条を延伸する
ことなく、引き取りローラー直前での糸条温度を下記の
ようにすることを特徴とするポリエステル繊維の直接紡
糸延伸方法。 Tg+10>引き取りローラー直前での糸条温度≧Tg-30 (Tg:糸条のガラス転移温度(℃))

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は合成繊維の直接紡糸
延伸方法に関するものであり、さらに詳しくは実用に供
し得る良好な特性を有するポリエステル繊維を低コスト
で製造する直接紡糸延伸方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ポリエステルの工業的な製造方法
にワインダーへの巻き取り速度を4000m/分以上とした
高速製糸方法が採用されてきている。
【0003】この高速製糸方法のなかで、従来の紡糸工
程と延伸工程の2工程を連続化した直接紡糸延伸方法
は、延伸倍率を制御することができるため、従来の2工
程法での糸質をほぼ再現できる有用な製造方法である。
【0004】一般的な直接紡糸延伸法はネルソンローラ
ーと呼ばれる1対の加熱ローラーに複数周回させて、糸
条を予熱し、さらに高い周速の加熱ローラー対に周回さ
せることによって延伸し、熱処理する方法により製造さ
れている。この方法では糸条の十分な加熱ができるた
め、染め斑の発生のない安定した延伸を行うことが可能
である。
【0005】しかし、この方法では複数糸条を同時に捲
回して延伸・熱処理を行うためには、長大なローラーを
必要とし、装置コスト、エネルギー消費量の面から、製
造コストが高くなる。また、捲回作業を必要とするた
め、作業性が悪く、その際に糸切れが生じやすく、操業
性も悪い。
【0006】さらに同時に走行させる糸条数を増やそう
とした場合には、周回時の糸条間隔を小さくするか、ロ
ーラー長をさらに延長する必要があり、前者は糸切れの
要因となり、後者はコスト、作業性の一層の悪化を招
き、欠点の多い製造方法である。
【0007】そこで、ネルソンローラーを用いず、ロー
ラーに糸条を捲回せず、いわば糸条を「片掛け」する方
法が提案されている。
【0008】特開平4−245909号公報では溶融紡出され
た糸条を300m/分以上で引き取り、鏡面ローラーと梨地
面ローラーからなるローラー群に片掛けし多段延伸およ
び熱処理を施し、2000m/分以上で巻き取ることを提案
しており、片掛け方式を採用することにより、同時4糸
条以上の多糸条製糸が可能であるとしている。
【0009】ここでは延伸ローラーおよび熱処理ローラ
ーを各々鏡面ローラーと梨地面ローラーからなる群で構
成しているが、糸条が延伸される前に接触する引き取り
ローラーについては、そのローラーへの糸条の捲回や表
面温度等何の記載もなく、具体例としては、ナイロン6
や同66というポリアミド系繊維の製造方法が記載され
ているのみである。
【0010】ローラーに糸条を「片掛け」する場合に
は、ネルソンローラーを用いる場合に比べ、糸条とロー
ラーとの接触時間が短いため、糸条が十分加熱・昇温さ
れず、そのまま置き換えたのでは糸条を均一に延伸する
ことができない。
【0011】さらに、ポリエステル系繊維はポリアミド
系繊維に比べガラス転移温度が高いため、均一で安定な
延伸を行うためにはその分より高い温度に糸条を加熱す
る必要がある。
【0012】ポリエステル系繊維の「片掛け」直接紡糸
延伸方法としては特開平9−268430号公報が提案されて
いる。該公報は、紡出糸条を加熱帯域を通過させた後に
冷却し、ローラーで引き取り、引き続き加熱されたロー
ラー間で複数段延伸した後弛緩処理することにより、高
強度のポリエステル延伸糸を製造する方法において、1
段目延伸時の供給ローラーに至るまでの各ローラーへの
糸条の巻掛けをそれぞれ1周回未満の片掛けとし、かつ
1段目延伸時の供給ローラーを60℃以上の加熱ローラー
として予熱し、80〜160℃のスチームの存在下で1段目
の延伸を行うことを特徴としている。
【0013】該公報では1段目延伸を加熱ローラーとス
チームの併用することにより、優れた機械的特性と良好
な品位とを併せ持つ高強度ポリエステル繊維を安定かつ
効率的に製造しようとするものである。
【0014】該公報は加熱ローラーで糸条を予備加熱
し、引き取り−延伸ローラー間に設置したスチームヒー
ターで、延伸の大部分を行っている。このスチームヒー
ターではヒーター内に延伸点が存在することになるが、
延伸点の制御が難しく、得られた糸条に染め斑が生じる
という問題がある。
【0015】また、特開平6−17312号公報では染めむら
が少ないポリエステル繊維を得るため、加熱引き取りロ
ーラーの上流で糸条を加熱加圧気体流で処理し、糸条水
分率と交絡度を規定範囲内とすることを特徴としてい
る。
【0016】該公報では加熱加圧気体流で糸条の油剤水
分を除去するとともに、糸条に集束性を付与し、糸条の
油剤水分率および交絡度を調整することにより、糸条の
油剤水分の付着むらを解消し、均一延伸を実現している
が、加熱加圧気体流によって除去された油剤分が製糸工
程の環境を悪化させ、また他の糸条に付着して再び付着
むらとなるため、効果が限定されるものである。また、
該公報はネルソンローラーを用いた、既存の直接紡糸延
伸法を対象としており、片掛けした場合の延伸むら解消
方法について、明らかにされていない。
【0017】また、特開平4-119117号公報は強撚織物用
途のシボ発現力を向上させるために一旦冷却した糸条を
100℃以上の非接触または接触式の加熱ゾーンを通過さ
せ、しかる後2個の加熱ローラーを捲回することによっ
て、延伸または弛緩熱処理を施し、3000m/分以上で巻き
取ることを特徴としている。
【0018】該公報では第1ローラー前の加熱ゾーンで
糸条を引伸ばして分子配向を付与することにより、第1
・第2引き取りローラーの温度を高くし、該ローラーで
の熱セットを強化して強撚用途にも展開可能な緻密な微
細構造をポリエステル繊維に与えようとしたものであ
る。
【0019】このため、加熱ゾーンでは実質的に延伸が
起こっていると考えられ、これは、紡糸口金より溶融吐
出されたポリエステル糸条を一旦ガラス転移温度以下に
冷却固化した後、引き続き加熱帯域中に導入し加熱延伸
する、いわゆるホットチューブ延伸方式を引き取りロー
ラー前に組み込んだものである。
【0020】ホットチューブ延伸方式は、ローラー間で
の延伸に比べ、延伸点の制御が難しく、糸に延伸むらが
発生する等問題が生じやすい。
【0021】また、該公報は熱セットを強化するため、
引き取りローラーのターン数は多い方が好ましく、ロー
ラーに巻回しない片掛けを意図したものではない。
【0022】そこで、片掛けで、染めむら等の延伸むら
を起こさずに、いかに糸条を延伸するかについて検討し
た結果、引き取りローラー前に糸条加熱装置を備え、該
装置内で糸条を延伸することなく、引き取りローラー直
前での糸条温度および引き取りローラーの表面温度を一
定範囲とすることにより、延伸むらのないポリエステル
繊維を得られることを見出し本発明に至った。
【0023】本発明はポリエステル繊維の直接紡糸延伸
方法において、上記のような従来技術の問題点を解消
し、多糸条同時延伸熱処理を可能とし、染め斑のない品
質面で優れたポリエステル繊維を高い生産性で製造する
ことを目的とする。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】本発明は高速走行糸条
の直接紡糸延伸において、糸条をローラーに捲回させる
ことなく染めむらの発生のない延伸方法を提供すること
にある。詳しくは、集束された高速走行糸条をローラー
に片掛けする延伸方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は紡糸口金
から吐出し冷却固化した複数のポリエステル繊維糸条を
1500m/分以上4000m/分未満の周速度のローラーで引き
取り、引き続きローラー間で延伸した後、4000m/分以
上の速度で巻き取る直接紡糸延伸方法において、糸条を
表面温度95℃以上の引き取りローラーに1周回未満の片
掛けとし、かつ引き取りローラーの前に糸条加熱装置を
備え、該装置内で糸条を延伸することなく、引き取りロ
ーラー直前での糸条温度を下記のようにすることを特徴
とするポリエステル繊維の直接紡糸延伸方法などにより
達成できる。
【0026】Tg+10>引き取りローラー直前での糸条温
度≧Tg-30 (Tg:糸条のガラス転移温度(℃))
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本願発明を詳細に説明す
る。本発明におけるポリエステルはポリエステルを構成
する主たるジカルボン酸成分がテレフタル酸成分が好ま
しいが、それ以外のジカルボン酸成分を本発明の目的を
逸脱しない範囲で使用しても良い。本発明のポリエステ
ルを構成する主たるジオール成分はエチレングリコール
が好ましいが、それ以外のジオール成分を、本発明の目
的を逸脱しない範囲で使用しても良い。また、本発明の
ポリエステルには、各種の添加剤、たとえば、艶消剤、
難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結
晶核剤、螢光増白剤などを必要に応じて共重合または混
合していても良い。
【0028】本発明は直接紡糸延伸の工程を適用する
が、この場合、糸条を1500m/分以上4000m/分未満の周
速度のローラーで引き取る。
【0029】1500m/分未満では、目標とする物性の繊
維を得るために必要な延伸倍率から計算される延伸ロー
ラーの周速度を高速とすることが出来ず、高速の直接紡
糸延伸法の1工程化のメリットが生かせない。
【0030】4000m/分以上の場合は、延伸ローラー到
達前に慣性力、空気抵抗により延伸され、結晶相の多い
構造が形成されてしまい、その後に所定の伸度になるよ
うに延伸・熱処理を行っても最終的に得られる繊維の複
屈折率が低く、用途が限定されてしまう。
【0031】4000m/分以上の速度で巻き取ることが1
工程化による労務費、設備費や屑の減少などのコストメ
リットが活かせ、さらには紡糸した直後の、物性の経時
変化のない繊維を延伸できるため均一延伸に対して有利
となる。高速化に伴う紡糸糸切れによる製糸性悪化のデ
メリットおよび生産性向上のメリットを考慮した場合、
引き取り速度は7000m/分程度までである。
【0032】本発明の連続紡糸延伸方法においては、複
数のポリエステル繊維を引き取りローラーと延伸ローラ
ーを用いて延伸する。
【0033】本発明ではコストメリットから複数糸条を
同時に紡糸する。複数とは、2糸条以上をいい、本発明
の特徴を生かすためには8糸条から10数糸条の多糸条に
適用できる。これにより、製造コストを低減させること
が可能となる。
【0034】本発明では糸条を引き取りローラーと延伸
ローラーの周速度の比により延伸する。引き取りローラ
ーとは糸条が口金から吐出され該ローラー上に接触し最
初に速度規制されるローラーであり、同期し同一速度で
回転する複数のローラー群とすることもできる。延伸ロ
ーラーとは糸条が延伸後に最初に接触するローラーであ
り、同期し同一速度で回転する複数のローラー群とする
こともできる。
【0035】延伸までのローラーには糸を捲回しない、
いわゆる片掛けとする必要がある。片掛けとすることに
より、長大なネルソンローラーを使用することなく、コ
スト・作業効率の向上および多糸条同時製糸が可能とな
る。
【0036】また、本発明では、引き取りローラーの前
に糸条加熱装置を備え、該装置内で糸条を延伸すること
なく、引き取りローラー直前での糸条温度を、その糸条
のガラス転移温度Tgのマイナス30℃以上プラス10℃未満
の温度に加熱する。
【0037】引き取りローラー直前の糸温度は糸条と引
き取りローラーとの接触点の100mm手前で測定した糸
温度である。
【0038】該装置内で糸条の延伸が起こると、低倍率
のホットチューブ延伸方式となり、繊維の配向結晶化が
進行し、その後に所定の伸度になるように延伸・熱処理
を行っても複屈折率が低く繊維しか得られない。また、
延伸点の制御が難しく、糸に延伸むらが発生する等問題
が生じやすい。
【0039】装置内での延伸の有無は装置入り口直前20
mmおよび出口直後20mmの位置で測定される糸速度か
ら判断でき、繊維の弾性変形(伸び)領域、糸張力および
糸温度から、速度増加が10%以下であれば延伸は起こ
っていないとする。
【0040】引き取りローラー直前での糸条温度がTg-3
0℃未満では糸条が引き取りローラー上では単糸間の昇
温むらなく、十分に加熱されず、引き取りローラー下流
での延伸むらとなる。好ましくはTg-20℃以上の温度に
加熱する。
【0041】また、Tg+10℃以上であると加熱装置内で
延伸が起こり、結晶相の多い構造となり、延伸しても所
望の物性が得られないとともに、染めむらの原因とな
る。
【0042】ここで、Tgは引き取りローラーに到達する
直前の糸条と同一速度で引き取り、そのまま巻き取った
サンプルを特開平7-42022号公報に記載の「モジュレー
テッドDSC法」を採用して、変調温度および変調熱流
束を測定し、それから求められるガラス転移温度であ
る。
【0043】引き取りローラー直前の糸速度は糸条と引
き取りローラーとの接触点の100mm手前で測定した糸
速度である。
【0044】糸条加熱装置は、引き取りローラー直前で
糸条を上述の温度範囲に昇温できれば、どのような装置
でもよいが、コスト、糸切れ等の操業性、糸かけ作業等
の操作性、ハンドリング等を考慮した場合、常圧スチー
ムや輻射熱利用の乾熱ヒーター等の非接触ヒーターがコ
スト面および操業性の面から好ましい。中でも常圧スチ
ームはスチームの大きな熱容量と高熱伝達係数により、
短時間に糸条を所望の温度まで加熱することができるた
め、より好ましく、スチームのドレンの発生が少ない過
熱スチームを使用するものがさらに好ましい。
【0045】本発明ではローラーとの接触、離反による
毛羽発生を防ぐため、糸条加熱装置の前で交絡を施すこ
とが好ましい。その際の交絡数としては0.5個/m以上、
糸条と引き取りローラーとの接触面積が減少しない程度
が好ましく、5個/m以下が好ましい。
【0046】本発明では片掛けの引き取りローラーの表
面温度は95℃以上にする必要がある。95℃未満では糸条
を十分に加熱することができず、片掛けでより効率的に
糸条を加熱するためには表面温度は105℃以上が好まし
い。また、表面温度が140℃以上となると得られる糸条
の強伸度が低下するとともに染めむらが生じて、品位が
低下するため、好ましくない。
【0047】加熱装置と引き取りローラー間の距離は加
熱装置内で昇温された糸条の温度低下抑制のために、で
きるだけ短い方が好ましい。
【0048】加熱装置と引き取りローラー間での温度低
下が大きい場合、ローラー直前の糸温度を本願発明の範
囲内に収めようとすると加熱装置内での糸条温度を高く
する必要が生じ、加熱装置内での糸条の糸温度がTg+10
℃以上となり、加熱装置内で延伸が起こり、糸質が低下
する結果となる。
【0049】加熱装置と引き取りローラー周辺の温度を
一定以上に保つことは、昇温された糸条の温度低下を抑
制し、均一延伸を安定して行うための単糸間の温度ばら
つきを小さくするために効果が大きい。
【0050】このため加熱装置および引き取りローラー
には一体となる保温カバーを設置するのが好ましく、よ
り好ましくはカバー内を加熱するか、熱損失を小さくし
て、カバー内の雰囲気温度が糸条のガラス転移温度より
20℃以上低温でないことがより好ましい。ただし、雰囲
気温度が糸条のガラス転移温度より10℃以上高温である
と、引き取りローラー到達前に延伸が起こり、延伸むら
の原因となる。
【0051】本発明では糸条の結晶化を促進させるため
に、熱セット工程を連続して設けることが好ましい。熱
セットの方法としては、本発明の片掛けローラー方式の
熱処理を長くすること、ネルソンホットローラー、加熱
板、スチームなどが採用できる。
【0052】スチームを用いる場合には、糸条を高温で
処理する必要があるため、加圧スチームを使用し、加圧
スチーム内を糸条が走行できる装置とすることが好まし
く採用される。
【0053】本発明のポリエステル繊維の延伸方法の一
例を、図1にしたがって具体的に説明する。
【0054】溶融されたポリエステルを口金1から吐出
し、チムニー2により冷却風を吹き当てることにより糸
条をガラス転移温度以下まで冷却し、給油装置3で給油
するとともに集束し、交絡装置4で交絡し、常圧スチー
ムヒーター5、加熱の引き取りローラー6、延伸ローラ
ー7を通過し、その際引き取りローラー6と延伸ローラ
ー7の周速度の比に従って延伸する。さらに、延伸ロー
ラー7を通過した糸条を加圧スチーム処理装置8により
熱セットし、非加熱の第4ゴデーローラー9、交絡付与
装置10、非加熱の第5ゴデーローラー11を経て、ワ
インダー12で巻き取る。
【0055】
【実施例】実施例中の各特性値は次の方法にしたがって
求めた。 A.交絡度 ROTHSCHILD社製Needle-Pull-Tester R-2060を使用し、T
rip張力を0.25×(糸条繊度)/(単糸数)(g)、糸速度5m/
分、N数30でTrip張力に達するまでの平均走行距離(m)
を求め、その逆数を測定値とした。 B.ローラー表面温度測定 アンリツ計器(株)製Digital Surface Thermometer HL-2
00を用いて、測定端を回転中のローラー表面に接触させ
て測定した。
【0056】C.糸条温度 帝人エンジニアリング(株)製ノンコンタクトII温度測定
装置H7506およびNCT-7000を使用して、測定した。
【0057】D.処理室温度 熱処理室の中央で糸条から20mm離れた位置での雰囲気温
度をK熱電対で測定した。
【0058】E.保温カバー内雰囲気温度測定 ローラー表面から30mm離れた位置のK熱電対により測定
した。
【0059】F.糸速度 TSI社製レーザースピード(TM)システム LS50Mを用いて
測定した。
【0060】G.ガラス転移温度(Tg) 特開平7-42022号公報記載のモジュレーテッドDSC法
により変調温度と変調 熱流束を測定し、それから平均
温度に対する全熱量を求める。次に全熱量を可 逆成分
と不可逆成分に分け、可逆成分曲線の変曲点をTgとし
た。
【0061】H.製糸安定性 1糸条1日当たりの糸切れ回数で示した。糸切れ回数が
0.05回未満が好ましく、0.025回未満がさらに好まし
い。
【0062】I.染色斑 試料をヨコ糸として75本/inchの織密度で製織し、染料
としてテラシールネイ ビーブルーを95℃、10リットル
の沸騰水中に2g加え、試料織物を15分間浸漬 し、撹
拌しつつ染色した。水洗、乾燥後、染色斑を以下の基準
により判定した。 なお、濃染部は肉眼観察後、拡大鏡
により濃染単糸の存在を確認したものとし た。濃染部
の個数(個/380cm2)が2個以下が好ましく、0個がさ
らに好まし い。
【0063】実施例1〜26、比較例1〜7 オルソクロロフェノール25℃で測定した極限粘度[η]
=0.625で酸化チタンを0.40重量%添加したポリエチレ
ンテレフタレートを290℃で溶融し、図1に示した直接
紡糸延伸装置を用いて、孔数24の口金1から吐出した。
吐出後、糸条を1.0mにわたって糸条に対して垂直に25
m/分、20℃の空気をチムニー2により吹き当てて冷却
した後、口金下2.0mに設置した給油装置3により給油
し、集束した後、交絡装置4で交絡し、内部の糸条処理
室が処理長0.3mで常圧に維持されている常圧スチーム
処理装置を有する糸条加熱装置5を通過させる。その
後、周速度2500m/分の加熱の引き取りローラー6で引
き取った。同様にして計8糸条のポリエステル繊維を引
き取りローラーで引き取り、周速度5000m/分の非加熱
の延伸ローラー7を通過させた。その際引き取りローラ
ー6と延伸ローラー7の周速度の比に従って延伸した。
さらに、延伸ローラー7を通過した糸条を内部の糸条処
理室が処理長0.5mで2.0kgf/cm2の圧力に維持されてい
る加圧スチーム処理装置を有する熱処理装置8により熱
セットし、非加熱の第4ゴデーローラー9、交絡付与装
置10、非加熱の第5ゴデーローラー11を経て、ワイ
ンダー12で巻き取ることによって、8本の50デニール
/24フィラメントのポリエステル繊維を得た。
【0064】なお、同一条件で吐出、冷却、給油、交絡
後、そのまま周速度2500m/分の非加熱の引き取りロー
ラーで引き取った糸条のガラス転移温度は75℃であっ
た。
【0065】表1〜表5に糸条処理装置の熱処理室内温
度、引き取りローラー表面温度、糸条周回数(接触
長)、引き取りローラーおよび延伸ローラー周速度、糸
条加熱装置−引き取りローラー間走行距離、交絡数、引
き取りローラー保温カバー内の雰囲気温度を変更した場
合の製糸安定性、得られた繊維の染めむらを示す。
【0066】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】 実施例27〜31、比較例8〜9 実施例1と同一の条件で、熱処理装置5を内部の糸条処
理室が処理長0.5mで糸と壁面との距離が約5mmに維持さ
れている輻射型乾熱ヒーターに変更して、12糸条の50デ
ニール/24フィラメントのポリエステル繊維を得た。
【0067】表6に輻射型乾熱ヒーター処理室温度を変
更した場合の加熱装置入口および出口での糸条速度、引
き取りローラー直前での糸温度、製糸安定性、得られた
繊維の染めむらを示す。
【0068】
【表6】
【0069】
【発明の効果】本発明の直接紡糸延伸方法を用いること
により、低コストでかつ多糸条製糸が可能で染めむらの
発生のない、ネルソンローラーを使用しない直接紡糸延
伸が可能となった。
【0070】そのため従来技術の欠点であった、長大な
ネルソンローラー使用による多糸条化限界や高コスト、
およびスチーム使用による染め欠点発生の問題を解決で
きた。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的に採用される本発明の直接紡糸延伸方式
での高速製糸の工程の例を示す概略図である。
【符号の説明】 1:口金 2:チムニー 3:給油装置 4:交絡装置 5:糸条加熱装置 6:引き取りローラー 7:延伸ローラー 8:加圧スチーム処理装置 9:第4ゴデーローラー 10:交絡付与装置 11:第5ゴデーローラー 12:ワインダー 13:保温カバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L035 BB33 BB36 BB68 BB79 BB80 CC01 CC02 CC05 CC11 EE20 4L036 MA05 MA24 MA33 PA01 PA03 PA12 PA18 PA19 PA42 UA30 4L045 AA05 BA03 BA60 CA25 CB13 DA08 DA09 DA10 DA14 DA15 DA23 DA41 DA46 DA60 DC03 DC30

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】紡糸口金から吐出し冷却固化した複数のポ
    リエステル繊維糸条を1500m/分以上4000m/分未満の周
    速度のローラーで引き取り、引き続きローラー間で延伸
    した後、4000m/分以上の速度で巻き取る直接紡糸延伸
    方法において、糸条を表面温度95℃以上の引き取りロー
    ラーに1周回未満の片掛けとし、かつ引き取りローラー
    の前に糸条加熱装置を備え、該装置内で糸条を延伸する
    ことなく、引き取りローラー直前での糸条温度を下記の
    ようにすることを特徴とするポリエステル繊維の直接紡
    糸延伸方法。 Tg+10>引き取りローラー直前での糸条温度≧Tg-30 (Tg:糸条のガラス転移温度(℃))
  2. 【請求項2】糸条加熱装置がスチームを糸条の加熱源と
    する装置であることを特徴とする請求項1記載のポリエ
    ステル繊維の直接紡糸延伸方法。
  3. 【請求項3】糸条加熱装置が輻射熱を糸条の加熱源とす
    る装置であることを特徴とする請求項1記載のポリエス
    テル繊維の直接紡糸延伸方法。
  4. 【請求項4】8糸条以上の糸条を同時に製糸することを
    特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリエス
    テル繊維の直接紡糸延伸方法。
  5. 【請求項5】糸条加熱装置の前で糸条に交絡度5個/m
    以下の交絡を施すことを特徴とする請求項1〜4のいず
    れか1項記載のポリエステル繊維の直接紡糸延伸方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008504462A (ja) * 2004-06-30 2008-02-14 エリコン・ヘバライン・テムコ・ワットウィル・インコーポレイテッド フィラメント糸及び星糸、マイグレーション加工糸、仮撚り糸を処理するための装置及び方法

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