JPH07310229A - ポリエステル繊維の直接紡糸延伸方法 - Google Patents
ポリエステル繊維の直接紡糸延伸方法Info
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- JPH07310229A JPH07310229A JP9874194A JP9874194A JPH07310229A JP H07310229 A JPH07310229 A JP H07310229A JP 9874194 A JP9874194 A JP 9874194A JP 9874194 A JP9874194 A JP 9874194A JP H07310229 A JPH07310229 A JP H07310229A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】(1)紡糸口金から吐出し冷却固化させた複数
のポリエステル糸条を、非加熱の第1ローラと第2ロー
ラとの間に設けた100℃を越える常圧スチーム処理室
を通過させて延伸し、4000m/分以上の速度で巻き
取るに際し、該複数糸条の全幅よりも長く、該糸条走行
方向に垂直に伸び、かつ該複数糸条を介して対向する一
対のスリットよりスチームを該常圧スチーム処理室に導
入するとともに、スチームの導入速度を第1ローラの周
速度の1/4以下とすることを特徴とするポリエステル
繊維の直接紡糸延伸方法。 【効果】本発明により、ポリエステル繊維を1工程法で
製造するに際し、延伸倍率を制御し、低コスト化を図
り、かつ均一延伸糸を得ることが可能となる。
のポリエステル糸条を、非加熱の第1ローラと第2ロー
ラとの間に設けた100℃を越える常圧スチーム処理室
を通過させて延伸し、4000m/分以上の速度で巻き
取るに際し、該複数糸条の全幅よりも長く、該糸条走行
方向に垂直に伸び、かつ該複数糸条を介して対向する一
対のスリットよりスチームを該常圧スチーム処理室に導
入するとともに、スチームの導入速度を第1ローラの周
速度の1/4以下とすることを特徴とするポリエステル
繊維の直接紡糸延伸方法。 【効果】本発明により、ポリエステル繊維を1工程法で
製造するに際し、延伸倍率を制御し、低コスト化を図
り、かつ均一延伸糸を得ることが可能となる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリエステル繊維の延伸
方法、ポリエステル繊維の直接紡糸延伸方法に関するも
のであり、さらに詳しくはポリエステルの直接紡糸延伸
工程で実用に供し得る良好な特性を有するポリエステル
繊維を低コストで製造する方法に関するものである。
方法、ポリエステル繊維の直接紡糸延伸方法に関するも
のであり、さらに詳しくはポリエステルの直接紡糸延伸
工程で実用に供し得る良好な特性を有するポリエステル
繊維を低コストで製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、引き取り速度を3000m/分以
上とすることにより引き伸ばしが不要で実用特性を満足
する繊維の得られる高速紡糸法が採用されてきており、
従来の2工程法に対して1工程法と呼ばれる。この1工
程法の中には、一旦冷却固化した後、直接巻き取る超高
速紡糸方法やホットチューブのような加熱帯域で繊維を
加熱することにより延伸熱処理し引き取るホットチュー
ブ紡糸法があるが、これらの紡糸法は、紡糸引取りの際
の延伸に際し延伸倍率を制御できないため、多品種少量
生産においてすべての品種の機械的性質などの糸特性を
満足なものとすることは困難である。また、紡糸工程と
延伸工程を連続化した直接紡糸延伸法では延伸倍率を制
御することはできるが複数のホットローラを使用するた
め装置コスト、エネルギー消費量の面から、製造コスト
の高い1工程法となっている。
上とすることにより引き伸ばしが不要で実用特性を満足
する繊維の得られる高速紡糸法が採用されてきており、
従来の2工程法に対して1工程法と呼ばれる。この1工
程法の中には、一旦冷却固化した後、直接巻き取る超高
速紡糸方法やホットチューブのような加熱帯域で繊維を
加熱することにより延伸熱処理し引き取るホットチュー
ブ紡糸法があるが、これらの紡糸法は、紡糸引取りの際
の延伸に際し延伸倍率を制御できないため、多品種少量
生産においてすべての品種の機械的性質などの糸特性を
満足なものとすることは困難である。また、紡糸工程と
延伸工程を連続化した直接紡糸延伸法では延伸倍率を制
御することはできるが複数のホットローラを使用するた
め装置コスト、エネルギー消費量の面から、製造コスト
の高い1工程法となっている。
【0003】延伸倍率が制御可能でコストが低い製造方
法として、スチームを用いる方法が挙げられる。スチー
ムを延伸工程に用いた例として、特開昭62−1411
18号公報が挙げられる。しかしながら、該公報では熱
処理室内を走行する繊維の一点に集中するようにスチー
ムを噴射するため、繊維が急速に加熱され、スチームと
の接触時期の早遅で、各単繊維間で昇温速度に差を生
じ、結果的に巻き取った糸にカールと呼ばれる、らせん
状のねじれが発生したり、延伸が不均一で、得られる繊
維に未延伸糸が存在し、染色布帛に濃染状のダイフレッ
クと呼ばれる欠陥を含むものになってしまう。
法として、スチームを用いる方法が挙げられる。スチー
ムを延伸工程に用いた例として、特開昭62−1411
18号公報が挙げられる。しかしながら、該公報では熱
処理室内を走行する繊維の一点に集中するようにスチー
ムを噴射するため、繊維が急速に加熱され、スチームと
の接触時期の早遅で、各単繊維間で昇温速度に差を生
じ、結果的に巻き取った糸にカールと呼ばれる、らせん
状のねじれが発生したり、延伸が不均一で、得られる繊
維に未延伸糸が存在し、染色布帛に濃染状のダイフレッ
クと呼ばれる欠陥を含むものになってしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来法
では延伸倍率の制御可能な1工程法で、低コスト化を図
り、かつ均一延伸糸を得ることは困難であり、本発明は
これらの問題点を解決するため検討を重ねた結果、得ら
れたものである。
では延伸倍率の制御可能な1工程法で、低コスト化を図
り、かつ均一延伸糸を得ることは困難であり、本発明は
これらの問題点を解決するため検討を重ねた結果、得ら
れたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、紡糸口金から吐出し冷却固化させた複数のポリエス
テル糸条を、非加熱の第1ローラと第2ローラとの間に
設けた100℃を越える常圧スチーム処理室を通過させ
て延伸し、4000m/分以上の速度で巻き取るに際
し、該複数糸条の全幅よりも長く、該糸条走行方向に垂
直に伸び、かつ該複数糸条を介して対向する一対のスリ
ットよりスチームを該常圧スチーム処理室に導入すると
ともに、スチームの導入速度を第1ローラの周速度の1
/4以下とすることを特徴とするポリエステル繊維の直
接紡糸延伸方法によって達成される。以下、本発明を詳
細に説明する。本発明におけるポリエステルはポリエス
テルを構成する主たるジカルボン酸成分がテレフタル酸
成分が好ましいが、それ以外のジカルボン酸成分を本発
明の目的を逸脱しない範囲で使用しても良い。本発明の
ポリエステルを構成する主たるジオール成分はエチレン
グリコールが好ましいが、それ以外の成分、たとえば、
1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオー
ル成分などを、本発明の目的を逸脱しない範囲で使用し
ても良い。また、本発明のポリエステルには、各種の添
加剤、たとえば、艶消剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線
吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、螢光増白剤などを必
要に応じて共重合または混合していても良い。
は、紡糸口金から吐出し冷却固化させた複数のポリエス
テル糸条を、非加熱の第1ローラと第2ローラとの間に
設けた100℃を越える常圧スチーム処理室を通過させ
て延伸し、4000m/分以上の速度で巻き取るに際
し、該複数糸条の全幅よりも長く、該糸条走行方向に垂
直に伸び、かつ該複数糸条を介して対向する一対のスリ
ットよりスチームを該常圧スチーム処理室に導入すると
ともに、スチームの導入速度を第1ローラの周速度の1
/4以下とすることを特徴とするポリエステル繊維の直
接紡糸延伸方法によって達成される。以下、本発明を詳
細に説明する。本発明におけるポリエステルはポリエス
テルを構成する主たるジカルボン酸成分がテレフタル酸
成分が好ましいが、それ以外のジカルボン酸成分を本発
明の目的を逸脱しない範囲で使用しても良い。本発明の
ポリエステルを構成する主たるジオール成分はエチレン
グリコールが好ましいが、それ以外の成分、たとえば、
1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオー
ル成分などを、本発明の目的を逸脱しない範囲で使用し
ても良い。また、本発明のポリエステルには、各種の添
加剤、たとえば、艶消剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線
吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、螢光増白剤などを必
要に応じて共重合または混合していても良い。
【0006】本発明は、直接紡糸延伸の工程に適用する
が、この場合、4000m/分以上の速度で巻取ること
が、1工程化による労務費、設備費や屑の減少などのコ
ストメリットが活かせ、さらには紡糸した直後の物性の
経時変化のない繊維を延伸できるため、均一延伸に対し
て有利となる。
が、この場合、4000m/分以上の速度で巻取ること
が、1工程化による労務費、設備費や屑の減少などのコ
ストメリットが活かせ、さらには紡糸した直後の物性の
経時変化のない繊維を延伸できるため、均一延伸に対し
て有利となる。
【0007】本発明の直接紡糸延伸方法においては、複
数のポリエステル糸条を第1ローラ、第2ローラ、常圧
スチーム雰囲気を用いて延伸する。複数とは、2糸条以
上をいい、これにより製造コストを低減させることが可
能となる。従来の直接紡糸延伸方法では延伸予熱のため
に糸条を6〜8回ホットローラに巻き回すために同時8
糸条処理がホットローラの長さの制約上、限界であっ
た。これに対して、同時に9糸条以上の処理、例えば、
同時12糸条処理、同時16糸条処理が可能であり、極
めてコスト的に有利な延伸方法となる。
数のポリエステル糸条を第1ローラ、第2ローラ、常圧
スチーム雰囲気を用いて延伸する。複数とは、2糸条以
上をいい、これにより製造コストを低減させることが可
能となる。従来の直接紡糸延伸方法では延伸予熱のため
に糸条を6〜8回ホットローラに巻き回すために同時8
糸条処理がホットローラの長さの制約上、限界であっ
た。これに対して、同時に9糸条以上の処理、例えば、
同時12糸条処理、同時16糸条処理が可能であり、極
めてコスト的に有利な延伸方法となる。
【0008】本発明では非加熱の第1ローラと非加熱の
第2ローラを用いることにより、加熱ローラを用いる従
来の方法に対してコストメリットを有する。ポリエステ
ル繊維は非加熱、すなわちガラス転移温度以下である室
温付近の温度で延伸すると糸の長手方向の太さ斑などの
変動を生じ、また強伸度の劣ったものとなる。この現象
はポリエステル繊維をガラス転移温度以上に加熱した後
に延伸することにより防止することができるが、本発明
ではこの加熱手段として電気設備、電力に対してコスト
的に有利な常圧スチームを用いる。第1、第2ローラ間
で加熱延伸を行うので、延伸倍率を制御することがで
き、多品種少量生産においても任意の品種の機械的性質
を満足なものとすることができる。したがって、本発明
の基本的な延伸装置の構成は非加熱の第1ローラ、常圧
スチーム処理装置、非加熱の第2ローラである。熱処理
が加圧または減圧処理の場合には圧力を遮断するために
糸条がシール部を通過することになり、シール部でのス
チームまたは処理室外部の気体の激しい抵抗力のため
に、延伸張力を変動させ、延伸糸の未延伸部分が残存す
る、ダイフレックという延伸欠陥の原因となる。常圧と
は、該スチーム処理装置の処理室の圧力が処理室の外部
の圧力にほぼ等しいことを意味する。これは、処理室内
の任意の位置で糸条を通さない状態での総圧、すなわち
静圧と動圧の和が外部圧力に対して10cmH2 O以内
であることをいう。処理室の圧力のうち静圧は、処理室
と外部の境界である糸条通過口のシール性、スチームの
導入量、処理室の寸法などにより決まる。また、処理室
の動圧はスチームの導入速度などにより決まる。静圧お
よび動圧はピトー静圧管より求める。
第2ローラを用いることにより、加熱ローラを用いる従
来の方法に対してコストメリットを有する。ポリエステ
ル繊維は非加熱、すなわちガラス転移温度以下である室
温付近の温度で延伸すると糸の長手方向の太さ斑などの
変動を生じ、また強伸度の劣ったものとなる。この現象
はポリエステル繊維をガラス転移温度以上に加熱した後
に延伸することにより防止することができるが、本発明
ではこの加熱手段として電気設備、電力に対してコスト
的に有利な常圧スチームを用いる。第1、第2ローラ間
で加熱延伸を行うので、延伸倍率を制御することがで
き、多品種少量生産においても任意の品種の機械的性質
を満足なものとすることができる。したがって、本発明
の基本的な延伸装置の構成は非加熱の第1ローラ、常圧
スチーム処理装置、非加熱の第2ローラである。熱処理
が加圧または減圧処理の場合には圧力を遮断するために
糸条がシール部を通過することになり、シール部でのス
チームまたは処理室外部の気体の激しい抵抗力のため
に、延伸張力を変動させ、延伸糸の未延伸部分が残存す
る、ダイフレックという延伸欠陥の原因となる。常圧と
は、該スチーム処理装置の処理室の圧力が処理室の外部
の圧力にほぼ等しいことを意味する。これは、処理室内
の任意の位置で糸条を通さない状態での総圧、すなわち
静圧と動圧の和が外部圧力に対して10cmH2 O以内
であることをいう。処理室の圧力のうち静圧は、処理室
と外部の境界である糸条通過口のシール性、スチームの
導入量、処理室の寸法などにより決まる。また、処理室
の動圧はスチームの導入速度などにより決まる。静圧お
よび動圧はピトー静圧管より求める。
【0009】糸条通過口の面積の上限は、処理室に糸条
やローラの随伴流などの外部気体が流入し、糸条加熱が
困難となることを防ぐように設定すればよい。たとえ
ば、幅が10mm以下のスリット状の通過口とする。
やローラの随伴流などの外部気体が流入し、糸条加熱が
困難となることを防ぐように設定すればよい。たとえ
ば、幅が10mm以下のスリット状の通過口とする。
【0010】本発明の常圧スチーム処理室は100℃を
越える温度にすることが必要である。100℃以下の場
合、ドレンの発生が多くなり、糸条への熱の供給に斑が
生じ、ダイフレックの発生や強伸度の劣ったものとな
る。100℃を越える温度とすることにより、ドレンの
発生の少なくかつ大気圧による変動を防止することがで
きる。100℃を越える常圧スチーム雰囲気は常圧スチ
ーム領域を外部から加圧スチームなどにより加熱するこ
とや供給するスチームをあらかじめ加熱するいわゆるス
ーパーヒートの状態とすることにより達成できる。異常
延伸を起こさないためには常圧スチーム雰囲気温度は1
30℃以下にすることが好ましい。
越える温度にすることが必要である。100℃以下の場
合、ドレンの発生が多くなり、糸条への熱の供給に斑が
生じ、ダイフレックの発生や強伸度の劣ったものとな
る。100℃を越える温度とすることにより、ドレンの
発生の少なくかつ大気圧による変動を防止することがで
きる。100℃を越える常圧スチーム雰囲気は常圧スチ
ーム領域を外部から加圧スチームなどにより加熱するこ
とや供給するスチームをあらかじめ加熱するいわゆるス
ーパーヒートの状態とすることにより達成できる。異常
延伸を起こさないためには常圧スチーム雰囲気温度は1
30℃以下にすることが好ましい。
【0011】該スチーム処理装置において、熱処理室へ
のスチーム導入部は対向するスリット形状であることが
必要である。対向するとは複数のスチーム導入部が繊維
の走行方向に対して垂直な同一断面上にあり、かつ繊維
をはさんで向かい合う状態にあることをいう。スリット
形状でない場合、例えば、噴射孔のような小孔の場合、
噴射孔近傍の繊維糸条が先にスチームにより昇温され、
繊維の昇温速度にばらつきが生じ、カール発生の原因と
なる。また、対向しない場合、熱処理室内にスチームを
導入する際に繊維の走行方向に対して垂直な断面での熱
処理室内の温度ばらつきを生じ、カールと呼ばれるらせ
ん状のねじれが発生する。
のスチーム導入部は対向するスリット形状であることが
必要である。対向するとは複数のスチーム導入部が繊維
の走行方向に対して垂直な同一断面上にあり、かつ繊維
をはさんで向かい合う状態にあることをいう。スリット
形状でない場合、例えば、噴射孔のような小孔の場合、
噴射孔近傍の繊維糸条が先にスチームにより昇温され、
繊維の昇温速度にばらつきが生じ、カール発生の原因と
なる。また、対向しない場合、熱処理室内にスチームを
導入する際に繊維の走行方向に対して垂直な断面での熱
処理室内の温度ばらつきを生じ、カールと呼ばれるらせ
ん状のねじれが発生する。
【0012】また、スリットは、該糸条の走行方向に対
して垂直に伸び、かつ該複数の糸条を常圧スチーム雰囲
気に導入する際の糸条の全幅より長くする必要がある。
これにより、複数の糸条間の熱処理差に起因する延伸斑
を防止し、糸条間の複屈折率ばらつきを抑制する。これ
により機械的性質、あるいは熱寸法安定性のばらつきを
抑制することが可能となる。また、スリットは熱処理室
の温度ばらつきをより少なくするために、熱処理室の中
央部より、糸条の入口側に設置することが好ましい。
して垂直に伸び、かつ該複数の糸条を常圧スチーム雰囲
気に導入する際の糸条の全幅より長くする必要がある。
これにより、複数の糸条間の熱処理差に起因する延伸斑
を防止し、糸条間の複屈折率ばらつきを抑制する。これ
により機械的性質、あるいは熱寸法安定性のばらつきを
抑制することが可能となる。また、スリットは熱処理室
の温度ばらつきをより少なくするために、熱処理室の中
央部より、糸条の入口側に設置することが好ましい。
【0013】導入部からのスチームの供給速度は第1ロ
ーラの周速度の1/4以下であることがカールの発生防
止のため必要である。1/4を越える供給速度とする
と、繊維の昇温速度にばらつきが生じ、カール発生の原
因となる。
ーラの周速度の1/4以下であることがカールの発生防
止のため必要である。1/4を越える供給速度とする
と、繊維の昇温速度にばらつきが生じ、カール発生の原
因となる。
【0014】また、スチーム導入部での熱処理室内への
スチーム速度の分布を小さくするため、該導入部には整
流装置を取り付けることが好ましい。整流装置とは該導
入部上流側でスチーム速度の分布を小さくするために、
障害物を取り付けた装置をいう。具体的には多数のフィ
ン、ポーラスメタルや金網や不織布のフィルター等があ
げられる。整流装置を取り付けることにより、カールの
発生を効果的に抑制することができる。
スチーム速度の分布を小さくするため、該導入部には整
流装置を取り付けることが好ましい。整流装置とは該導
入部上流側でスチーム速度の分布を小さくするために、
障害物を取り付けた装置をいう。具体的には多数のフィ
ン、ポーラスメタルや金網や不織布のフィルター等があ
げられる。整流装置を取り付けることにより、カールの
発生を効果的に抑制することができる。
【0015】本発明では延伸倍率は第1ローラと第2ロ
ーラの周速度の比により設定する。本発明では糸条の結
晶化を促進させるために、熱セット工程を連続して設け
ることが好ましい。
ーラの周速度の比により設定する。本発明では糸条の結
晶化を促進させるために、熱セット工程を連続して設け
ることが好ましい。
【0016】熱セットの方法としては、ホットローラ、
加熱板などが採用できるが、延伸工程と同様にスチーム
を用いることがコスト面で有利である。この場合には、
糸条を高温で処理する必要があるため、加圧スチーム内
を糸条が走行できる装置とすることが好ましく採用され
る。
加熱板などが採用できるが、延伸工程と同様にスチーム
を用いることがコスト面で有利である。この場合には、
糸条を高温で処理する必要があるため、加圧スチーム内
を糸条が走行できる装置とすることが好ましく採用され
る。
【0017】本発明では第1ローラでの繊維の引取り速
度は繊維の力学的特性を良好にするためには4500m
/分未満が好ましく、3500m/分未満がより好まし
い。本発明のポリエステル繊維の直接紡糸延伸方法の一
例を、図1にしたがって具体的に説明する。溶融された
ポリエステルを口金1から吐出し、口金下保温ゾーン2
を通過させた後、チムニー3により冷却風を吹き当てる
ことにより糸条をガラス転移温度以下まで冷却し、給油
装置4で給油し、非加熱の第1ローラ5で引き取る。図
には示さないが、第1ローラ5により複数のポリエステ
ル糸条を引取り、引き続いてスチーム処理装置6、非加
熱の第2ローラ7を通過し、この際第1ローラ5と第2
ローラの周速度の比に従って延伸する。さらに、第2ロ
ーラ7を通過した糸条を加圧スチーム処理装置8により
熱セットし、非加熱の第3ローラ9、交絡付与装置1
0、非加熱の第4ローラ11を経て、ワインダー12で
巻き取る。
度は繊維の力学的特性を良好にするためには4500m
/分未満が好ましく、3500m/分未満がより好まし
い。本発明のポリエステル繊維の直接紡糸延伸方法の一
例を、図1にしたがって具体的に説明する。溶融された
ポリエステルを口金1から吐出し、口金下保温ゾーン2
を通過させた後、チムニー3により冷却風を吹き当てる
ことにより糸条をガラス転移温度以下まで冷却し、給油
装置4で給油し、非加熱の第1ローラ5で引き取る。図
には示さないが、第1ローラ5により複数のポリエステ
ル糸条を引取り、引き続いてスチーム処理装置6、非加
熱の第2ローラ7を通過し、この際第1ローラ5と第2
ローラの周速度の比に従って延伸する。さらに、第2ロ
ーラ7を通過した糸条を加圧スチーム処理装置8により
熱セットし、非加熱の第3ローラ9、交絡付与装置1
0、非加熱の第4ローラ11を経て、ワインダー12で
巻き取る。
【0018】本発明におけるスチーム処理装置6の断面
図の1例を図2に示す。スチーム処理装置6は、糸条通
過口(入口)13、処理室14、スチーム導入部15、
糸条通過口(出口)16よりなる。また処理室14は周
囲の加圧スチーム室17により加熱する。
図の1例を図2に示す。スチーム処理装置6は、糸条通
過口(入口)13、処理室14、スチーム導入部15、
糸条通過口(出口)16よりなる。また処理室14は周
囲の加圧スチーム室17により加熱する。
【0019】
【実施例】実施例中の各特性値は次の方法にしたがって
求めた。 (A) 染色斑 試料をヨコ糸として製織し、染料としてダイヤセリトン
ファーストルビー3Bを95℃、10■の沸騰水中に2
g加え、試料織物を15分間浸漬し、撹拌しつつ染色し
た。水洗、乾燥後、染色斑を以下の基準により判定し
た。なお、濃染部は肉眼観察後、拡大鏡により濃染単糸
の存在を確認したものとした。
求めた。 (A) 染色斑 試料をヨコ糸として製織し、染料としてダイヤセリトン
ファーストルビー3Bを95℃、10■の沸騰水中に2
g加え、試料織物を15分間浸漬し、撹拌しつつ染色し
た。水洗、乾燥後、染色斑を以下の基準により判定し
た。なお、濃染部は肉眼観察後、拡大鏡により濃染単糸
の存在を確認したものとした。
【0020】(B) カール 巻き取った糸を解舒したときの糸の状態を目視観察し、
以下の基準により判定した。 らせん状のねじれがなかった場合 ○ らせん状のねじれがあった場合 ×
以下の基準により判定した。 らせん状のねじれがなかった場合 ○ らせん状のねじれがあった場合 ×
【0021】(C) 複屈折率ばらつき 複屈折率はコンペンセータ法により、ナトリウムD線を
用いて測定する。各糸条についてN=5の平均値を求
め、全糸条の平均値のばらつきを最大値と最小値の差で
評価した。
用いて測定する。各糸条についてN=5の平均値を求
め、全糸条の平均値のばらつきを最大値と最小値の差で
評価した。
【0022】(D) スチーム導入速度 スチーム処理室の温度および圧力から換算した流量(m3
/分)をスチーム導入部の面積(m2 )で除してスチーム
導入速度(m/分)を求めた。
/分)をスチーム導入部の面積(m2 )で除してスチーム
導入速度(m/分)を求めた。
【0023】実施例1〜2、比較例1〜5 オルソクロロフェノール25℃で測定した極限粘度
[η]=0.625で酸化チタンを0.35重量%添加
したポリエステルを290℃で溶融し、図1に示した直
接紡糸延伸装置を用いて、孔数96(24孔×4群)の
口金1から吐出した。吐出糸条を口金下の0.2mの保
温ゾーン2を通過させた後、0.7mにわたって糸条に
対して垂直に30m/分、20℃の空気をチムニー3に
より吹き当てて糸条を冷却し、4糸条に分割し、口金下
2.5mに設置した給油装置4により給油し、同様に紡
糸した他の8糸条とともに周速度3000m/分の非加
熱の第1ローラ5で引取り、周速度5000m/分の非
加熱の第2ローラ7との間でスチーム処理装置6を用い
て熱延伸した。さらに第2ローラ7を通過した糸条を加
圧スチーム処理装置8により2.0kg/cm2 のスチ
ーム圧で熱セットし、周速度5000m/分の非加熱の
第3ローラ9、交絡付与装置10、周速度5000m/
分の非加熱の第4ローラ11を経て、ワインダー12で
巻き取ることによって、12糸条の50デニール/24
フィラメントのポリエステル繊維を得た。スチーム処理
装置6は、幅6mmのスリット状の糸条通過口13、1
6、幅10mm、奥行き150mm、長さ150mmの
処理室14、スチーム導入部15よりなる図2で示した
ものを用いた。また、処理室14は周囲の約1.0kg
/cm2 に保たれた加圧スチーム室17により加熱し
た。表1に雰囲気温度、スチーム導入速度、スチーム導
入部の寸法、得られた糸条のカール発生状況、染色斑、
複屈折率ばらつきを示す。
[η]=0.625で酸化チタンを0.35重量%添加
したポリエステルを290℃で溶融し、図1に示した直
接紡糸延伸装置を用いて、孔数96(24孔×4群)の
口金1から吐出した。吐出糸条を口金下の0.2mの保
温ゾーン2を通過させた後、0.7mにわたって糸条に
対して垂直に30m/分、20℃の空気をチムニー3に
より吹き当てて糸条を冷却し、4糸条に分割し、口金下
2.5mに設置した給油装置4により給油し、同様に紡
糸した他の8糸条とともに周速度3000m/分の非加
熱の第1ローラ5で引取り、周速度5000m/分の非
加熱の第2ローラ7との間でスチーム処理装置6を用い
て熱延伸した。さらに第2ローラ7を通過した糸条を加
圧スチーム処理装置8により2.0kg/cm2 のスチ
ーム圧で熱セットし、周速度5000m/分の非加熱の
第3ローラ9、交絡付与装置10、周速度5000m/
分の非加熱の第4ローラ11を経て、ワインダー12で
巻き取ることによって、12糸条の50デニール/24
フィラメントのポリエステル繊維を得た。スチーム処理
装置6は、幅6mmのスリット状の糸条通過口13、1
6、幅10mm、奥行き150mm、長さ150mmの
処理室14、スチーム導入部15よりなる図2で示した
ものを用いた。また、処理室14は周囲の約1.0kg
/cm2 に保たれた加圧スチーム室17により加熱し
た。表1に雰囲気温度、スチーム導入速度、スチーム導
入部の寸法、得られた糸条のカール発生状況、染色斑、
複屈折率ばらつきを示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】本発明はポリエステル繊維を1工程で製
造するに際し、延伸倍率を制御し、低コスト化を図り、
かつ均一延伸糸を糸条間の糸質むらなく得ることを可能
としたものである。
造するに際し、延伸倍率を制御し、低コスト化を図り、
かつ均一延伸糸を糸条間の糸質むらなく得ることを可能
としたものである。
【図1】本発明のポリエステル繊維の延伸方法の概略図
【図2】本発明のスチーム処理装置の概略図
1 口金 2 口金下保温ゾーン 3 チムニー 4 給油装置 5 第1ローラ 6 スチーム処理装置 7 第2ローラ 8 加圧スチーム処理装置 9 第3ローラ 10 交絡付与装置 11 第4ローラ 12 ワインダー 13、16 糸条通過口 14 処理室 15 スチーム導入部 17 加圧スチーム室
Claims (1)
- 【請求項1】紡糸口金から吐出し冷却固化させた複数の
ポリエステル糸条を、非加熱の第1ローラと第2ローラ
との間に設けた100℃を越える常圧スチーム処理室を
通過させて延伸し、4000m/分以上の速度で巻き取
るに際し、該複数糸条の全幅よりも長く、該糸条走行方
向に垂直に伸び、かつ該複数糸条を介して対向する一対
のスリットよりスチームを該常圧スチーム処理室に導入
するとともに、スチームの導入速度を第1ローラの周速
度の1/4以下とすることを特徴とするポリエステル繊
維の直接紡糸延伸方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9874194A JPH07310229A (ja) | 1994-05-12 | 1994-05-12 | ポリエステル繊維の直接紡糸延伸方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9874194A JPH07310229A (ja) | 1994-05-12 | 1994-05-12 | ポリエステル繊維の直接紡糸延伸方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07310229A true JPH07310229A (ja) | 1995-11-28 |
Family
ID=14227916
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9874194A Pending JPH07310229A (ja) | 1994-05-12 | 1994-05-12 | ポリエステル繊維の直接紡糸延伸方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07310229A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109322030A (zh) * | 2018-10-18 | 2019-02-12 | 内蒙古鹿王羊绒有限公司 | Optim纤维拉伸机的拉伸室及其使用方法 |
-
1994
- 1994-05-12 JP JP9874194A patent/JPH07310229A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109322030A (zh) * | 2018-10-18 | 2019-02-12 | 内蒙古鹿王羊绒有限公司 | Optim纤维拉伸机的拉伸室及其使用方法 |
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