JPH07305224A - 極細ポリエステル繊維の紡糸延伸方法 - Google Patents

極細ポリエステル繊維の紡糸延伸方法

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JPH07305224A
JPH07305224A JP9491594A JP9491594A JPH07305224A JP H07305224 A JPH07305224 A JP H07305224A JP 9491594 A JP9491594 A JP 9491594A JP 9491594 A JP9491594 A JP 9491594A JP H07305224 A JPH07305224 A JP H07305224A
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Yuhei Maeda
裕平 前田
Shusei Nakamura
修正 中村
Kunihiko Ueda
邦彦 上田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】単糸デニールが1.4未満の極細ポリエステル
繊維を紡糸延伸するに際し、溶融したポリエステルを紡
糸口金から吐出し冷却固化させた後、口金下2.5×d
1/2 (m)(dは繊維中、最も細い単糸の繊度)以内の
位置で集束し、巻き取ることなく非加熱の第1ゴデーロ
ーラにより引取速度2000〜3500m/分で引取
り、該第1ゴデーローラと非加熱の第2ゴデーローラと
の間に設置した常圧スチーム雰囲気を有する第1熱処理
装置で加熱延伸し、引き続き第2熱処理装置で熱処理し
て巻き取る極細ポリエステル繊維の紡糸延伸方法。 【効果】十分な機械的性質、熱収縮率を有し、染色斑の
ないソフト性の良好な極細ポリエステル繊維が、低コス
トの1工程法で製糸性良く製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は極細ポリエステル繊維の
紡糸延伸方法に関するものである。さらに詳しくはポリ
エステルの延伸工程で実用に供し得る良好な特性を有す
る単糸デニールが1.4デニール未満の極細ポリエステ
ル繊維を低コストで糸切れを起こすことなく製造する方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】単糸デニールが1.4デニール未満、特
に0.9デニール未満の極細ポリエステル繊維は、その
衣料用分野で需要が拡大し、特にソフト風合いを付与す
るために、単糸太デニール品種との生糸混繊、仮撚混
繊、混繊乱流嵩高加工などにより高機能衣料用素材とし
て広く使用されるようになっている。
【0003】ところで、最近、ポリエステル繊維の紡糸
延伸工程において引取速度を3500m/分以上とする
ことにより引き伸ばしが不要で実用特性を満足する繊維
の得られる高速紡糸法が採用され、従来の紡糸および延
伸を個別に行う2工程法に対して1工程法と呼ばれてい
る。この1工程法の中には、紡糸口金から吐出された糸
条を一旦冷却固化した後、直接巻き取る超高速紡糸方法
や、吐出後の冷却固化糸条をホットチューブのような加
熱帯域で加熱することにより延伸熱処理し引き取るホッ
トチューブ紡糸法等があるが、これらの紡糸法は、紡糸
引取りの際の延伸時に延伸倍率が確実に制御できないた
め、多品種少量生産においてすべての品種の機械的性質
等の糸特性を満足なものとすることは困難である。特
に、単糸デニールが1.4未満の極細品種をホットチュ
ーブ紡糸法により製造しようとした場合、標準的な単糸
デニール2〜3デニール品種に最適な工程、条件を採用
すると、得られる繊維の破断伸度が低下し、1工程法で
通常採用されている自動切替え型の巻取機での切替え成
功率が低下したり、巻取パッケージの形状が巻取後の遅
延収縮により歪んでしまう等の問題が発生する。これら
の問題を解消するため、紡糸巻取速度を低くする方法
や、ホットチューブの位置を口金に近付けて、延伸応
力、延伸倍率を下げる方法などが採られるが、巻取速度
を低くすると、それだけ繊維の生産性が低下し、またホ
ットチューブ位置を変更すると、その後の糸道設定など
の作業性悪化や位置変更のための設備コスト負担が増大
する等の問題を招くようになる。
【0004】また、1工程法として紡糸工程と延伸工程
を連続化した連続紡糸延伸法があるが、この場合、延伸
倍率を制御することはできるが複数のホットローラを使
用するため、主として装置コストやエネルギー消費量の
面から、製造コストの増大が避けられなかった。
【0005】製造コストを低下させ、かつ延伸倍率を制
御する方法として、スチームを用いる方法が挙げられ
る。スチームを延伸工程に用いた例として実開昭59−
185298号公報、特開昭62−141118号公報
などが挙げられる。しかしながら、これら方法、装置で
は均一な延伸が困難であり、得られる繊維に未延伸糸が
混在し染色布帛に濃染状の欠陥を含むものとなる。また
紡糸速度を4000m/分以上とした場合、極細ポリエ
ステル繊維の紡糸においては糸切れが頻発するという問
題が生じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の問題点、すなわち極細ポリエステル繊維を標
準品種と同一の製糸方法により、実用に供し得る機械的
性質、均一性などを有する延伸糸を、低コストで製糸性
良く得ることが困難である等の諸問題を解消することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記した本発明の目的
は、単糸デニールが1.4デニール未満の極細ポリエス
テル繊維を紡糸延伸するに際し、溶融したポリエステル
を紡糸口金から吐出し冷却固化させた後、口金下2.5
×d1/2 (m)(dは繊維中、最も細い単糸の繊度;デ
ニール)以内の位置で集束し、巻き取ることなく非加熱
の第1ゴデーローラにより引取速度2000〜3500
m/分で引取り、該第1ゴデーローラと非加熱の第2ゴ
デーローラとの間に設置した常圧スチーム雰囲気を有す
る第1熱処理装置で加熱延伸し、引き続き第2熱処理装
置で熱処理して巻き取ることを特徴とする極細ポリエス
テル繊維の紡糸延伸方法によって達成される。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて、極細ポリエステル繊維は単糸デニールが1.4
デニール未満のものを対象とする。単糸デニールを1.
4デニール未満とすることにより、極細繊維のソフトな
風合い、マイルドな外観等の特徴が発揮できる。特に単
糸デニールが0.9デニール未満のものは極細繊維の特
徴がより顕著に発揮できる。
【0009】本発明におけるポリエステルは、そのポリ
エステルを構成する主たるジカルボン酸成分としてテレ
フタル酸成分が好ましいが、それ以外のジカルボン酸成
分、たとえば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン
酸、アジピン酸、セバシン酸や5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸などの置換体等を本発明の目的を逸脱しない
範囲で使用してもよい。また、ポリエステルを構成する
主たるジオール成分としてエチレングリコールが好まし
いが、それ以外の成分、たとえば、1,4−ブタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコ
ール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノールなどのジオール成分を、本発明の
目的を逸脱しない範囲で使用してもよい。さらに、本発
明におけるポリエステルには、必要に応じて各種の添加
剤、たとえば、艶消剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、螢光増白剤等を共重合
または混合することができる。
【0010】本発明の紡糸延伸方法は、まず溶融したポ
リエステルを紡糸口金から吐出し冷却固化させた後、巻
き取ることなく加熱延伸する、いわゆる1工程法を採用
している。この1工程化の採用によって、労務費、設備
費や屑等の減少によるコストメリットが生かせると共
に、紡糸した直後の物性の経時変化が実質的に生じてい
ない繊維を加熱延伸に供するため、均一延伸に対して有
利となる。また、従来のホットチューブ紡糸法に比較す
ると、延伸倍率が第1ゴデーローラと第2ゴデーローラ
の周速度の比により設定でき、任意の品種において機械
的性質を延伸倍率により制御することが可能となる。
【0011】本発明においては、紡糸口金から吐出し冷
却固化した糸条を、紡糸口金下2.5×d1/2 (m)以
内、好ましくは2.0×d1/2 (m)以内の位置で集束
させる必要がある。ここで、dは巻き取られた繊維を構
成する単糸の中で最も細い単糸の繊度をデニールの単位
で示した値である。この冷却固化糸条の集束によって、
後述する常圧スチームによる加熱延伸のもとで実質的に
染色斑のない極細繊維とすることができる。その理由
は、紡糸口金から吐出後の冷却固化糸条を長い距離,集
束させずに走行させた場合、その糸条には第1ゴデーロ
ーラまでの間で過度の張力が不均一に加わるため不均一
延伸を起こすが、この不均一延伸を糸条の集束位置を上
記範囲とすることで未然に防止できるためと考えられ
る。
【0012】その集束方法には、油剤付与による集束、
空気交絡による集束、撚りによる集束等が挙げられる
が、これらの中でも油剤付与による集束が糸条への擦過
損傷を最も軽減できる上から最も好ましい。
【0013】上記の集束糸条は、非加熱の第1ゴデーロ
ーラで引取速度2000〜3500m/分、好ましくは
2500〜3000m/分で引取る。この引取速度が2
000m/分に満たない場合は、繊維の生産性が低下
し、1工程法の長所を十分生かすことができなくなる。
一方、引取速度が3500m/分を越えると、第1ゴデ
ーローラ以前の段階で糸切れが頻発するようになり、紡
糸延伸工程での安定操業が困難になる。
【0014】次に、上記第1ゴデーローラで引取られた
糸条は加熱延伸を行う。本発明における加熱延伸工程の
基本的な構成は、非加熱の第1ゴデーローラ、スチーム
雰囲気を有する第1熱処理装置および非加熱の第2ゴデ
ーローラからなり、この第1ゴデーローラと第2ゴデー
ローラとの間に設けた第1熱処理装置によってスチーム
雰囲気での加熱延伸を行う。
【0015】このスチーム雰囲気での加熱延伸は常圧下
で行わねばならない。その加熱延伸が加圧下または減圧
処理によった場合、処理室の糸条通過口には圧力を十分
遮断するためのシール部が必要となるが、糸条がそのシ
ール部を通過するとき、糸条に対する延伸張力が変動
し、均一な加熱延伸ができない等の問題が生じるように
なるからである。ここでいうスチーム雰囲気の常圧と
は、第1熱処理装置処理室のスチーム圧力が外気圧とほ
ぼ等しいことを意味する。
【0016】スチーム雰囲気の圧力は、処理室に設ける
糸条通過口のシール性、スチームの流入量、処理室の形
状・寸法、糸条の随伴気流量等によって変化するが、糸
条通過口のシール性をある程度低い状態に保っておれ
ば、本発明でいうスチーム雰囲気の常圧の範囲が満たさ
れる。なお、糸条通過口の開口部面積の上限は、処理室
内に糸条や第1ゴデーローラの随伴外気が流入し、糸条
の加熱が困難にならない範囲に設定すればよく、たとえ
ば、糸条通過口は幅が10mm以下のスリット状の開口部
とする等が好適である。
【0017】また常圧スチーム雰囲気の温度は、通常の
ポリエステル繊維のガラス転移点温度より十分高温であ
る90℃以上が均一な加熱延伸を行う上で好ましく、よ
り好ましくは外部気流をほぼ完全に遮断できた状態に相
当する常圧飽和スチーム温度である100℃付近、さら
に好ましくはドレンの発生が少なくかつ大気圧による変
動要素のない105℃以上である。90℃以上の常圧ス
チーム雰囲気の温度は外部気流をほぼ遮断することによ
り達成でき、100℃付近は外部気流をほぼ完全に遮断
することにより達成でき、105℃以上は常圧スチーム
雰囲気を外部から加圧スチームなどにより加熱すること
や供給するスチームをあらかじめ加熱する、いわゆるス
ーパーヒートの状態とすることにより達成できる。
【0018】上記加熱延伸後のポリエステル繊維は、さ
らに糸の結晶化を促進させ、実用に供し得る極細繊維と
するために、引き続き第2熱処理装置での熱処理を行
う。その第2熱処理装置にはホットローラ、加熱板など
が採用できるが、第1熱処理装置と同様にスチームを用
いるとエネルギーコスト面で有利である。
【0019】この際のスチームには、糸条を高温処理す
る必要から、加圧スチームや過熱スチームを用いるが、
中でも付加的な過熱手段を要しない加圧スチームが好ま
しい。この場合のスチーム圧力は、得られる極細繊維の
収縮率を決定する要因となり、0.1〜5.0 Kg/cm2
G の範囲で選択、制御するのが好ましい。
【0020】次に、本発明の紡糸延伸方法においては、
複数本のポリエステル糸条、すなわちポリエステル糸条
の2本以上、好ましくは8〜16本の多糸条を、一つの
第1ゴデーローラ、第1熱処理装置、第2ゴデーローラ
および第2熱処理装置を用いて加熱延伸および熱処理す
ることができる。従来の連続紡糸延伸法は延伸予熱を必
要とするために、糸条を6〜8回ホットローラに巻き回
すのが通例であり、このため一系列の加熱延伸および熱
処理工程では高々8糸条の同時処理が限界であったが、
本発明方法は上記したような多糸条の同時処理が可能で
あるため、極細ポリエステル繊維の加熱延伸および熱処
理方法としてコスト的に極めて有利となる。
【0021】次に、本発明の紡糸延伸方法の一例を、図
面を参照しながら具体的に説明する。図1は本発明の紡
糸延伸方法を説明するための工程図であり、また図2は
図1における第1熱処理装置の概略図である。図1にお
いて、溶融されたポリエステルは紡糸口金1から吐出す
る。吐出糸条は紡糸口金下3〜20℃の保温ゾーン2を
通過させた後、チムニー3により冷却風を吹き当てガラ
ス転移温度以下まで冷却する。冷却糸条は給油装置4で
所望の油剤を、たとえば油剤ー水エマルジョンとして給
油する。その糸条は巻き取ることなく非加熱の第1ゴデ
ーローラ5、常圧スチーム雰囲気を有する第1熱処理装
置6および非加熱の第2ゴデーローラ7を通過させ、第
1ゴデーローラ5と第2ゴデーローラの周速度の比に従
って所定の延伸倍率下での加熱延伸を行う。さらに、第
2ゴデーローラ7を通過した糸条は、加圧スチーム雰囲
気を有する第2熱処理装置8で熱処理し、非加熱の第3
ゴデーローラ9、必要に応じて交絡付与装置10、非加
熱の第4ゴデーローラ11等を経て、ワインダー12で
巻き取られる。
【0022】ここにおける第1熱処理装置6は、図2に
示すような、主として糸条通過口(入口)13、処理室
14、スチーム導入部15、糸条通過口(出口)16か
ら構成されており、また処理室14はその周囲に設けた
加圧スチーム室17によって加熱するようになってい
る。
【0023】このようにして、本発明による単糸デニー
ルが1.4未満の極細ポリエステル繊維は、1工程法で
延伸倍率を制御し、低コスト化を図りつつ均一延伸糸と
することができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明
する。なお、本例中の各特性値は次の方法にしたがって
求めた。
【0025】(A)強度、伸度 オリエンテック社製テンシロンを用い、試長200mm、
引張り速度200mm/分、チャート速度300mm/分の
条件で、破断時の強力および伸度を求めた。別に、試料
の繊度を90m法で測定しておき、強度は(強力)÷
(繊度)により求めた。
【0026】(B)沸水収縮率 試料を約100cm/周の5回巻のカセとし、0.1g/
dの荷重下で原長aを測定する。次にこのカセを98℃
の沸騰水中で無荷重で15分間処理し、風乾する。処理
後長bを0.1g/dの荷重下で測定し、下式により沸
水収縮率(%)を求めた。 沸水収縮率=(a−b)/a×100 (C)染色斑 試料をヨコ糸として製織し、染料としてダイヤセリトン
ファーストルビー3Bを95℃、10リットルの沸騰水
中に2g加え、その中に試料織物を15分間浸漬し、撹
拌しつつ染色した。水洗、乾燥後、染色斑を以下の基準
により判定した。なお、濃染部は肉眼観察後、拡大鏡に
より濃染単糸の存在を確認したものとした。 濃染部の個数(コ/380cm2 ) 判 定 0 ◎ 1 ○ 2以上 × (D)製糸性 50 Kg の製糸を行った際、途中で糸切れを生じたもの
を×、糸切れしなかったものを○とした。
【0027】実施例1〜4、比較例1、2 オルソクロロフェノール25℃で測定した極限粘度
[η]=0.655で酸化チタンを0.35重量%添加
したポリエステルを295℃で溶融し、図1に示した紡
糸延伸工程図に従い、孔径0.16mmφ、孔数72の紡
糸口金1から吐出した。このとき、ポリマ吐出量は表1
に示す単糸デニール相当量に変更した。
【0028】吐出糸条は紡糸口金下の10cmの保温ゾー
ン2を通過させた後、0.7mにわたって糸条に対して
垂直に20m/分、20℃の空気をチムニー3により吹
き当てて糸条を冷却し、ガイド給油装置4により給油
し、その5cm下流に設置した糸道ガイドにより糸条を集
束した。
【0029】その後、集束糸条を周速度(紡糸速度)3
000m/分の非加熱の第1ゴデーローラ5で引取り、
周速度5100m/分の非加熱の第2ゴデーローラ7と
の間で第1熱処理装置6を用いて常圧スチーム雰囲気下
で加熱延伸した。さらに第2ゴデーローラ7を通過した
糸条を、第2熱処理装置8によって処理室内部が1.5
Kg/cm2 G に保たれた加圧スチーム雰囲気下で熱処理
し、周速度5100m/分の非加熱の第3ゴデーローラ
9、交絡付与装置10、周速度5100m/分の非加熱
の第4ゴデーローラ11を経て、ワインダーで巻き取っ
た。得られた極細ポリエステル繊維の評価結果を表1に
示した。
【0030】なお、上記第1熱処理装置6は図2に準じ
たものを用い、その糸条通過口13、16は、それぞれ
幅が2mm、5mmのスリット状であり、また処理室14は
幅10mm、長さ100mmであり、その処理室は周囲の約
1.0 Kg /cm2 G に保たれた加圧スチーム室17で加
熱するようにした。また、実施例1の集束位置は紡糸口
金下1.0m、実施例2〜4、比較例1は1.6m、比
較例2は2.5mとし、さらに比較例2についてのみ、
孔径0.28mmφ、孔数12の紡糸口金を用い、第
2、第3、第4ゴデーローラの周速度を5200m/分
とした。
【0031】表1から明らかなように、単糸デニール
1.4未満、特に0.9以下の場合、十分な機械的性
質、収縮率、染色の均一性を有し、かつソフト性の良好
な極細繊維を得ることができる。また、3 Kg のチーズ
形状のパッケージに巻き上げたとき、パッケージ形状は
良好であった。
【0032】
【表1】 実施例5、6、比較例3、4 第1ゴデーローラ速度を変更し、第2、第3、第4ゴデ
ーローラ速度を伸度が約35%となるように変更した以
外は、実施例2と同様にして、50デニール72フィラ
メントの極細ポリエステル繊維を得た。繊維特性の評価
結果を表2に示す。
【0033】表2から明らかなように、第1ゴデーロー
ラ速度を3500m/分以下とすることにより、製糸性
を損なうことなく、良好な糸質の極細繊維を得ることが
できる。
【0034】
【表2】 比較例5、6 第1熱処理装置6を、実施例2で用いた第2熱処理装置
8と同一の、糸条が加圧スチーム雰囲気を通過するタイ
プのものとし、その内部の圧力を変更した以外は、実施
例2と同一の条件で、50デニール72フィラメントの
極細ポリエステル繊維を得た。繊維特性の評価結果を表
3に示す。
【0035】表3から明らかなように、第1ゴデーロー
ラと第2ゴデーローラとの間に設置した第1熱処理装置
のスチーム雰囲気が加圧状態になると、極細繊維を製織
した織物の染色斑が著しく増大するようになる。
【0036】
【表3】 実施例7、比較例7 紡糸口金から給油後の集束位置までの距離を変更した以
外は、実施例2と同様にして、50デニール72フィラ
メントの極細ポリエステル繊維を得た。繊維特性の評価
結果を表4に示す。表4から明らかなように、集束位置
を2.5×d1/2 (m)以下、好ましくは2.0×d
1/2 以下とすることにより、染色斑に問題のない極細ポ
リエステル繊維が得られることがわかる。
【0037】
【表4】 実施例8、9、比較例8 加圧スチームによる第2熱処理装置8のスチーム圧力を
変更した以外は、実施例2と同一の条件で、50デニー
ル72フィラメントの極細ポリエステル繊維を得た。繊
維特性の評価結果を表5に示す。なお、装置圧力0.0
kg/cm2 G の場合(比較例8)は、スチームを停止し、
熱処理を行わなかったことを示す。表5から明らかなよ
うに、加熱延伸したのち、第2熱処理装置による熱処理
を行うと、極細繊維の収縮率が適正化するが、その熱処
理を行わなかった場合には、収縮率の極めて高いものし
か得られなかった。
【0038】
【表5】 実施例10、11、比較例9 加圧スチームによる第2熱処理装置8に代えて、第2ゴ
デーローラをホットローラ(HR)とした以外は、実施
例2と同一の条件で、50デニール72フィラメントの
極細ポリエステル繊維を得た。繊維特性の評価結果を表
6に示す。
【0039】表6から明らかなように、第2熱処理装置
としてホットローラを用いても、良好な糸質の極細繊維
を得ることができ、一方、熱処理をしない場合には収縮
率の極めて高いものしか得られなかった。
【0040】
【表6】
【0041】
【発明の効果】本発明の極細繊維の紡糸延伸方法によれ
ば、十分な機械的性質、熱収縮率を有し、染色斑のない
ソフト性の良好な単糸デニール1.4未満の極細ポリエ
ステル繊維を、低コストの1工程法で製糸性良く製造す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の紡糸延伸方法を説明するための工程図
である。
【図2】図1における第1熱処理装置の概略図である。
【符号の説明】
1:紡糸口金 4:給油装置 5:第1ゴデーローラ 6:第1熱処理装置 7:第2ゴデーローラ 8:第2熱処理装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01D 5/084 10/00 A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単糸デニールが1.4デニール未満の極細
    ポリエステル繊維を紡糸延伸するに際し、溶融したポリ
    エステルを紡糸口金から吐出し冷却固化させた後、口金
    下2.5×d1/2 (m)(dは繊維中、最も細い単糸の
    繊度;デニール)以内の位置で集束し、巻き取ることな
    く非加熱の第1ゴデーローラにより引取速度2000〜
    3500m/分で引取り、該第1ゴデーローラと非加熱
    の第2ゴデーローラとの間に設置した常圧スチーム雰囲
    気を有する第1熱処理装置で加熱延伸し、引き続き第2
    熱処理装置で熱処理して巻き取ることを特徴とする極細
    ポリエステル繊維の紡糸延伸方法。
  2. 【請求項2】第2熱処理装置の熱処理域が加圧スチーム
    雰囲気であることを特徴とする請求項1記載の極細ポリ
    エステル繊維の紡糸延伸方法。
  3. 【請求項3】複数本のポリエステル糸条を一つの第1ゴ
    デーローラ、第1熱処理装置、第2ゴデーローラおよび
    第2熱処理装置により加熱延伸および熱処理することを
    特徴とする請求項1または2記載の極細ポリエステル繊
    維の紡糸延伸方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003091485A1 (fr) * 2002-04-25 2003-11-06 Teijin Fibers Limited Procede pour produire un fil multifilament extra-fin en polyester et un fil texture par fausse torsion extra-fin en polyester, fil multifilament extra-fin en polyester et fil texture par fausse torsion extra-fin en polyester

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