JPH07305223A - 太デニールポリエステルフィラメントの紡糸延伸方法 - Google Patents

太デニールポリエステルフィラメントの紡糸延伸方法

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JPH07305223A
JPH07305223A JP9491194A JP9491194A JPH07305223A JP H07305223 A JPH07305223 A JP H07305223A JP 9491194 A JP9491194 A JP 9491194A JP 9491194 A JP9491194 A JP 9491194A JP H07305223 A JPH07305223 A JP H07305223A
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yarn
denier
spinning
heat treatment
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JP9491194A
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Yuhei Maeda
裕平 前田
Shusei Nakamura
修正 中村
Kunihiko Ueda
邦彦 上田
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】単糸デニールが3.5デニール以上の太デニー
ルポリエステルフィラメントを紡糸延伸するに際し、溶
融したポリエステルを紡糸口金から吐出し冷却固化させ
た後、糸重量に対して3%以上の水分を付与し、巻き取
ることなく非加熱の第1ゴデーローラにより引取速度2
000〜4000m/分で引取り、該第1ゴデーローラ
と非加熱の第2ゴデーローラとの間に設置した常圧スチ
ーム雰囲気を有する第1熱処理装置で加熱延伸し、引き
続き第2熱処理装置で熱処理して巻き取る太デニールポ
リエステルフィラメントの紡糸延伸方法。 【効果】染色斑がなく、十分な機械的性質、熱収縮率を
有し、また張り、腰の良好な太デニールポリエステルフ
ィラメントがより低コストで製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は太デニールポリエステル
フィラメントの紡糸延伸方法に関するものである。さら
に詳しくはポリエステルの延伸工程で実用に供し得る良
好な特性を有する単糸デニールが3.5デニール以上の
太デニールポリエステルフィラメントを低コストで糸切
れを起こすことなく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】単糸デニールが3.5デニール以上、特
に5.0デニール以上の太デニールポリエステルフィラ
メントは、衣料用分野での需要が拡大し、特に織編物に
張りや腰を付与するために、極細品種との生糸混繊、仮
撚混繊、混繊乱流嵩高加工などにより高機能衣料用素材
として広く使用されるようになっている。
【0003】ところで、最近、ポリエステルフィラメン
トの引取速度を5000m/分以上とすることにより引
き伸ばしが不要で実用特性を満足するフィラメントの得
られる高速紡糸法が採用され、従来の紡糸および延伸を
個別に行う2工程法に対して1工程法と呼ばれている。
この1工程法の中には、紡糸口金から吐出された糸条を
一旦冷却固化した後、直接巻き取る超高速紡糸方法や、
吐出後の冷却固化糸条をホットチューブのような加熱帯
域で加熱することにより延伸熱処理し引き取るホットチ
ューブ紡糸法等があるが、これらの紡糸法は、紡糸引取
りの際の延伸時に延伸倍率が確実に制御できないため、
多品種少量生産においてすべての品種の機械的性質等の
糸特性を満足なものとすることは困難である。特に、単
糸デニールが3.5以上の太デニール品種をホットチュ
ーブ紡糸法により製造しようとした場合、標準的な単糸
デニール2〜3デニール品種に最適な工程および条件を
採用すると、得られるフィラメントの破断伸度が高くな
り、また熱収縮応力が低下するなどの問題が発生する。
これらの問題を解消するため、ホットチューブの位置を
口金から遠ざけ、延伸応力、延伸倍率を上げる方法など
が採られるが、実際にはホットチューブ位置を下げるス
ペースがなかったり、ホットチューブ位置を変更できる
場合でも、その後の糸道設定などの作業量の増加や位置
変更のための設備コスト負担が増大する等の問題を招く
ようになる。
【0004】また、1工程法として紡糸工程と延伸工程
を連続化した連続紡糸延伸法があるが、この場合、延伸
倍率を制御することはできるが複数のホットローラを使
用するため、主として設備コスト、エネルギー消費量の
面から、製造コストの増大が避けられなかった。
【0005】製造コストを低下させ、かつ延伸倍率を制
御する方法として、スチームを用いる方法が挙げられ
る。スチームを延伸工程に用いた例として実開昭59−
185298号公報、特開昭62−141118号公報
などが挙げられる。しかしながら、これら方法、装置で
は均一な延伸が困難であったり、得られるフィラメント
に未延伸糸が混在し染色布帛に濃染状の欠陥糸を含むも
のとなる。また、特開昭62−141118号公報のよ
うに紡糸速度が4000m/分を越える場合、得られる
フィラメントの複屈折率を高くすることが困難になり、
紡糸、延伸の2工程法のフィラメントと同様の織編物が
得難いか、得ようとすると加工条件を大幅に変更する必
要が生じる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した従来技術の問題点、すなわち,太デニールポリエス
テルフィラメントを、標準品種と同一の製糸方法によ
り、実用に供し得る機械的性質、均一性などを有する延
伸糸を、低コストで製糸性良く得ることが困難である等
の諸問題を解消することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、単糸デニールが3.5デニール以上の太デニールポ
リエステルフィラメントを紡糸延伸するに際し、溶融し
たポリエステルを紡糸口金から吐出し冷却固化させた
後、巻き取ることなく非加熱の第1ゴデーローラにより
引取速度2000〜4000m/分で引取り、該第1ゴ
デーローラと非加熱の第2ゴデーローラとの間に設置し
た常圧スチーム雰囲気を有する第1熱処理装置で加熱延
伸し、引き続き第2熱処理装置で熱処理して巻き取るこ
とを特徴とする太デニールポリエステルフィラメントの
紡糸延伸方法によって達成される。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて、太デニールポリエステルフィラメントは単糸デ
ニールが3.5デニール以上のものを対象とする。単糸
デニールを3.5デニール以上とすることにより、太デ
ニールフィラメントの張りや腰などの特徴が発揮でき
る。特に単糸デニールが5.0デニール以上になると、
太デニールフィラメントの特徴がより顕著に発揮でき
る。
【0009】本発明におけるポリエステルは、そのポリ
エステルを構成する主たるジカルボン酸成分としてテレ
フタル酸成分が好ましいが、それ以外のジカルボン酸成
分、例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、
アジピン酸、セバシン酸や5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸などの置換体等を本発明の目的を逸脱しない範囲
で使用してもよい。またポリエステルを構成する主たる
ジオール成分としてエチレングリコールが好ましいが、
それ以外の成分、例えば、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、
ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノールなどのジオール成分などを、本発明の目
的を逸脱しない範囲で使用してもよい。さらに、本発明
におけるポリエステルには、必要に応じて各種の添加
剤、たとえば、艶消剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、螢光増白剤などを共重
合または混合することができる。
【0010】本発明の紡糸延伸方法は、まず溶融した上
記ポリエステルを紡糸口金から吐出し冷却固化させた
後、巻き取ることなく加熱延伸する、いわゆる,1工程
法を採用している。この1工程法の採用によって労務
費、設備費や屑の減少等のコストメリットが生かせると
共に、紡糸した直後の物性の経時変化が実質的に生じて
いないフィラメントを加熱延伸に供するため、均一延伸
に対して有利となる。また、従来のホットチューブ紡糸
法に比較すると延伸倍率が第1ゴデーローラと第2ゴデ
ーローラの周速度の比により設定できるため、任意の品
種において機械的性質を延伸倍率によって制御すること
が可能となる。
【0011】本発明においては、冷却固化した糸条に糸
重量に対して3%以上、好ましくは5%以上の水分を付
与する必要がある。この水分付与によって、染色斑のな
い太デニールポリエステルフィラメントを得ることが可
能となる。その理由は、後述する第1熱処理装置でのス
チームが太デニールポリエステルフィラメントに均一に
凝結しやすくなり、糸の均一昇温が達成されるためと考
えている。またその水分付与に当たっては、油剤を水エ
マルジョンとして糸条に付与することが、設備簡略化等
の観点から好ましい。
【0012】上記の水分付与糸条は、非加熱の第1ゴデ
ーローラで引取速度2000〜4000m/分で引取
る。この引取速度が2000m/分に満たない場合は、
糸の生産性が低下し、1工程法の長所を十分生かすこと
ができなくなる。一方、引取速度が4000m/分を越
えると、得られるフィラメントの配向度を高くすること
が困難となり、紡糸、延伸の2工程法を採用したフィラ
メントと同様の条件で糸加工、製編織などができなくな
る。好ましい引取速度は3500m/分以下である。
【0013】次に、上記第1ゴデーローラで引取られた
糸条は加熱延伸を行う。本発明における加熱延伸工程の
基本的な構成は、非加熱の第1ゴデーローラ、スチーム
雰囲気を有する第1熱処理装置および非加熱の第2ゴデ
ーローラからなり、この第1ゴデーローラと第2ゴデー
ローラとの間に設けた第1熱処理装置によってスチーム
雰囲気での加熱延伸を行う。本発明ではこの加熱延伸方
法として、電気設備、電力に対してコスト的に有利なス
チームを用いる。
【0014】このスチーム雰囲気での加熱延伸は常圧下
で行わねばならない。その加熱延伸を加圧下または減圧
下で行なった場合、処理室の糸条通過口には圧力を十分
遮断するためのシール部が必要となるが、糸条がそのシ
ール部を通過するとき、スチームまたは処理室外部の気
体による激しい抵抗力により糸条に対する延伸張力が変
動し、均一な加熱延伸ができない等の問題が生じるよう
になるからである。ここでいうスチーム雰囲気の常圧と
は、第1熱処理装置処理室のスチーム圧力が外気圧とほ
ぼ等しいことを意味する。
【0015】スチーム雰囲気の圧力は、処理室に設ける
糸条通過口のシール性、スチームの流入量、処理室の形
状・寸法、糸条の随伴気流量等によって変化するが、糸
条通過口のシール性をある程度低い状態に保っておれ
ば、本発明でいうスチーム雰囲気の常圧の範囲が満たさ
れる。なお、糸条通過口の開口部面積の上限は、処理室
内に糸条や第1ゴデーローラの随伴外気が流入し、糸条
の加熱が困難にならない範囲に設定すればよく、たとえ
ば、糸条通過口は幅が10mm以下のスリット状の開口部
とする等が好適である。
【0016】また常圧スチーム雰囲気の温度は、通常の
ポリエステルフィラメントのガラス転移点温度より十分
高温である90℃以上が均一な加熱延伸を行う上で好ま
しく、より好ましくは外部気流をほぼ完全に遮断できた
状態に相当する常圧飽和スチーム温度である100℃付
近、さらに好ましくはドレンの発生が少なくかつ大気圧
による変動要素のない105℃以上である。90℃以上
の常圧スチーム雰囲気の温度は外部気流をほぼ遮断する
ことにより達成でき、100℃付近は外部気流をほぼ完
全に遮断することにより達成でき、105℃以上は常圧
スチーム雰囲気を外部から加圧スチームなどにより加熱
することや供給するスチームをあらかじめ加熱する、い
わゆるスーパーヒートの状態とすることにより達成でき
る。太デニールポリエステルフィラメントに対して経時
的により安定した加熱延伸を行うためには、常圧スチー
ム雰囲気を外部から加熱する方法が好ましい。
【0017】上記加熱延伸後のポリエステルフィラメン
トは、さらに糸の結晶化を促進させ、実用に供し得る太
デニール糸とするために、引き続き第2熱処理装置での
熱処理を行う。その第2熱処理装置にはホットローラ、
加熱板などが採用できるが、第1熱処理装置と同様にス
チームを用いるとコスト面で有利である。
【0018】この際のスチームには、糸条を高温処理す
る必要から、加圧スチームやスーパーヒートスチームを
用いるが、中でも付加的なスーパーヒート手段を要しな
い加圧スチームが好ましい。この場合のスチーム圧力
は、得られるフィラメントの収縮率を決定する要因とな
り、0.1〜5.0 Kg/cm2 G の範囲で選択、制御する
のが好ましい。
【0019】次に、本発明の紡糸延伸方法においては、
複数本のポリエステルマルチフィラメント、すなわちポ
リエステルマルチフィラメントの2本以上、好ましくは
8〜16本の多糸条を、一つの第1ゴデーローラ、第1
熱処理装置、第2ゴデーローラおよび第2熱処理装置を
用いて加熱延伸および熱処理することができる。従来の
連続紡糸延伸法は延伸予熱を要するために、糸条を6〜
8回ホットローラに巻き回すのが通例であり、このため
一系列の加熱延伸および熱処理工程では高々8糸条の同
時処理が限界であったが、本発明方法は上記したような
多糸条の同時処理が可能であるため、太デニールポリエ
ステルフィラメントの加熱延伸および熱処理方法として
コスト的に極めて有利となる。
【0020】次に、本発明の紡糸延伸方法の一例を、図
面を参照しながら具体的に説明する。 すなわち、図1
は本発明の紡糸延伸方法を説明するための工程図であ
り、また図2は図1における第1熱処理装置の概略図で
ある。図1において、溶融されたポリエステルは紡糸口
金1から吐出する。吐出糸条は紡糸口金下5〜30cmの
保温ゾーン2を通過させた後、チムニー3により冷却風
を吹き当てガラス転移温度以下まで冷却する。冷却糸条
は給油装置4によって糸条重量に対し3%以上の水分を
与えるように、水エマルジョン油剤を給油する。その糸
条は巻き取ることなく非加熱の第1ゴデーローラ5、常
圧スチーム雰囲気を有する第1熱処理装置6および非加
熱の第2ゴデーローラ7を通過させ、第1ゴデーローラ
5と第2ゴデーローラの周速度の比に従って所定延伸倍
率の加熱延伸を行う。さらに、第2ゴデーローラ7を通
過した糸条は、加圧スチーム雰囲気を有する第2熱処理
装置8により熱処理し、非加熱の第3ゴデーローラ9、
必要に応じて交絡付与装置10、非加熱の第4ゴデーロ
ーラ11等を経て、ワインダー12で巻き取られる。
【0021】ここにおける第1熱処理装置6は、図2に
示すように、主として糸条通過口(入口)13、処理室
14、スチーム導入部15、糸条通過口(出口)16か
ら構成されており、また処理室14はその周囲に設けた
加圧スチーム室17によって加熱するようになってい
る。
【0022】このようにして、本発明による単糸デニー
ルが3.5デニール以上の太デニールポリエステルフィ
ラメントは、1工程法で延伸倍率を制御し、低コスト化
を図りつつ均一延伸糸とすることができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明
する。なお、本例中の各特性値は次の方法にしたがって
求めた。
【0024】(A)強度、伸度 オリエンテック社製テンシロンを用い、試長200mm、
引張り速度200mm/分、チャート速度300mm/分の
条件で、破断時の強力および伸度を求めた。別に、試料
の繊度を90m法で測定しておき、強度は(強力)÷
(繊度)により求めた。
【0025】(B)沸水収縮率 試料を約100cm/周の5回巻のカセとし、0.1g/
dの荷重下で原長aを測定する。次にこのカセを98℃
の沸騰水中で無荷重で15分間処理し、風乾する。処理
後長bを0.1g/dの荷重下で測定し、下式により沸
水収縮率(%)を求めた。 沸水収縮率=(a−b)/a×100 (C)熱収縮応力 カネボウエンジニアリング製熱応力測定機KE−2型を
用い、20cmの試料をループにして10cmとし、測定す
る原糸のデニール×1/15の初荷重をかけて調整した
後、昇温速度150℃/minで昇温し熱収縮応力曲線
を求めた。この曲線からピーク位置での応力(g/d)
を読み取る。なお、記録計は横河電気製X−Y Rec
order Type3083を用いた。
【0026】(D)複屈折率 偏光顕微鏡を用い、NaD線の波長でのフィラメント中
央部のレターデーションを求め、これをフィラメント直
径で割ることによって複屈折率とした。
【0027】(E)染色斑 試料をヨコ糸として製織し、染料としてダイヤセリトン
ファーストルビー3Bを95℃、10リットルの沸騰水
中に2g加え、その中に試料織物を15分間浸漬し、撹
拌しつつ染色した。水洗、乾燥後、染色斑を以下の基準
により判定した。なお、濃染部は肉眼観察後、拡大鏡に
より濃染単糸の存在を確認したものとした。
【0028】(F)張り、腰 30Dのポリエステルフィラメントをタテ糸とし、試料
をヨコ糸として織物を作製する。ヨコ糸15〜20Dの
場合の打込みは96本/in、30〜50Dの場合は9
2本/in、75〜100Dの場合は73本/inとし
た。得られた織物をジッガー染色機で染色した後、張
り、腰を官能評価した。染色は、テラシールネービーブ
ルーSGL0.6%owfに助剤を用い、浴比1:10
0、98℃、20分で行った。なお、染色処理後の織物
において、十分な張り、腰を有するものを◎、良好な張
り、腰を有するものを○、張り、腰の不十分なものを×
とした。
【0029】実施例1〜3、比較例1、2 オルソクロロフェノール25℃で測定した極限粘度
[η]=0.65で酸化チタンを0.05重量%添加し
たポリエステルを295℃で溶融し、図1に示した紡糸
延伸工程図に従い、孔径0.25mmφ、孔数12の紡糸
口金1から吐出した。このとき、ポリマ吐出量は表1に
示す単糸デニール相当量に変更した。
【0030】吐出糸条は紡糸口金下の20cmの保温ゾー
ン2を通過させた後、0.7mにわたって糸条に対して
垂直に30m/分、20℃の空気をチムニー3により吹
き当てて糸条を冷却し、紡糸口金下2.5mに設置した
ガイド給油装置4により水エマルジョン系の油剤を給油
した。このとき、糸重量に対する水分付与量は10%と
した。続いて給油(水分付与)後の糸条を周速度(紡糸
速度)3000m/分の非加熱の第1ゴデーローラ5で
引取り、周速度5400m/分の非加熱の第2ゴデーロ
ーラ7との間で第1熱処理装置6を用いて常圧スチーム
下で加熱延伸した。さらに第2ゴデーローラ7を通過し
た糸条を、第2熱処理装置8によって処理室内部が1.
5 Kg/cm2 G に保たれた加圧スチーム下で熱セットし、
周速度5400m/分の非加熱の第3ゴデーローラ9、
交絡付与装置10、周速度5400m/分の非加熱の第
4ゴデーローラ11を経て、ワインダーで巻き取った。
得られたポリエステルフィラメントの糸特性を表1に示
した。
【0031】なお、上記第1熱処理装置6の糸条通過口
13、16は、それぞれ幅が2mm、5mmのスリット状で
あり、また処理室14は幅10mm、長さ100mmであ
り、その処理室はその周囲の約1.0 Kg /cm2 G に保
たれた加圧スチーム室17で加熱するようにした。ま
た、比較例2についてのみ、第2、第3、第4ゴデーロ
ーラの周速度を5200m/分とした。
【0032】表1から明らかなように、単糸デニール
3.5以上、特に5.0以上の場合、十分な機械的性
質、収縮率、染色の均一性を有し、かつ張り、腰の良好
な太デニール糸を得ることができる。
【0033】
【表1】 実施例4〜6、比較例3 第1ゴデーローラ速度を変更し、第2、第3、第4ゴデ
ーローラ速度を伸度が約35%となるように変更した以
外は、実施例2と同様にして、75デニール12フィラ
メントの太デニールポリエステルフィラメントを得た。
糸特性の評価結果を表2に示す。
【0034】表2から明らかなように、第1ゴデーロー
ラ速度を4000m/分以下とすることにより、紡糸、
延伸の2工程法で得られる製糸性を損なうことなく、良
好な糸質、2工程法のフィラメントの複屈折率範囲であ
る0.125以上と同程度の太デニール糸を得ることが
できる。また、通常の2工程法によるフィラメントの複
屈折率の好適範囲である0.135以上とするために
は、第1ゴデーローラ速度を3500m/分以下とする
のが好ましい。
【0035】
【表2】 比較例4、5 常圧スチームによる第1熱処理装置6を、実施例2で用
いた加圧スチームによる第2熱処理装置8と同一タイプ
のものとし、その内部圧力を変更した以外は、実施例2
と同一の条件で、75デニール12フィラメントの太デ
ニールポリエステルフィラメントを得た。糸特性の評価
結果を表3に示す。
【0036】表3から明らかなように、第1ゴデーロー
ラと第2ゴデーローラとの間に設置した第1熱処理装置
のスチーム雰囲気がを加圧状態になると、太デニール糸
を製織した織物の染色斑が著しく増大するようになる。
【0037】
【表3】 実施例7、8、比較例6 加圧スチームによる第2熱処理装置8のスチーム圧力を
変更した以外は、実施例2と同一の条件で、75デニー
ル12フィラメントの太デニールポリエステルフィラメ
ントを得た。糸特性の評価結果を表4に示す。なお、装
置圧力0.0 kg/cm2 G の場合(比較例6)は、スチー
ムを停止し、熱処理を行わなかったことを示す。
【0038】表4から明らかなように、加熱延伸したの
ち、第2熱処理装置による熱処理を行うと、太デニール
糸の収縮率が適正化するが、その熱処理を行わなかった
場合には、収縮率の極めて高いものしか得られなかっ
た。
【0039】
【表4】 実施例9、10、比較例7 加圧スチームによる第2熱処理装置8に代えて、第2ゴ
デーローラをホットローラ(HR)とした以外は、実施
例2と同一の条件で、75デニール12フィラメントの
太デニールポリエステルフィラメントを得た。糸特性の
評価結果を表5に示す。
【0040】表5から明らかなように、第2熱処理装置
としてホットローラを用いても、良好な糸質の太デニー
ル糸を得ることができ、一方、熱処理をしない場合には
収縮率の極めて高いものしか得られなかった。
【0041】
【表5】 実施例11、12、比較例8 糸重量に対する水分付与量を変更した以外は、実施例2
と同一の条件で75デニール12フィラメントの太デニ
ールポリエステルフィラメントを得た。糸特性の評価結
果を表6に示す。
【0042】表6から明らかなように、糸重量に対する
水分付与量を3%以上、好ましくは5%以上とすること
により、染色斑のない均一な太デニール糸を得ることが
できた。
【0043】
【表6】
【0044】
【発明の効果】本発明の紡糸延伸方法によれば、染色斑
がなく、十分な機械的性質、熱収縮率を有し、また従来
の2工程法と同程度の複屈折率を有する、張り、腰の良
好な単糸デニール3.5以上の太デニールポリエステル
フィラメントを、低コストの1工程法で容易に製造する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の紡糸延伸方法を説明するための工程図
である。
【図2】図1における第1熱処理装置の概略図である。
【符号の説明】
1:紡糸口金 4:給油装置 5:第1ゴデーローラ 6:第1熱処理装置 7:第2ゴデーローラ 8:第2熱処理装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01D 5/084 10/00 A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単糸デニールが3.5デニール以上の太デ
    ニールポリエステルフィラメントを紡糸延伸するに際
    し、溶融したポリエステルを紡糸口金から吐出し冷却固
    化させた後、糸重量に対して3%以上の水分を付与し、
    巻き取ることなく非加熱の第1ゴデーローラにより引取
    速度2000〜4000m/分で引取り、該第1ゴデー
    ローラと非加熱の第2ゴデーローラとの間に設置した常
    圧スチーム雰囲気を有する第1熱処理装置で加熱延伸
    し、引き続き第2熱処理装置で熱処理して巻き取ること
    を特徴とする太デニールポリエステルフィラメントの紡
    糸延伸方法。
  2. 【請求項2】第2熱処理装置の熱処理域が加圧スチーム
    雰囲気であることを特徴とする請求項1記載の太デニー
    ルポリエステルフィラメントの紡糸延伸方法。
  3. 【請求項3】複数本のポリエステルマルチフィラメント
    を一つの第1ゴデーローラ、第1熱処理装置、第2ゴデ
    ーローラおよび第2熱処理装置により加熱延伸および熱
    処理することを特徴とする請求項1または2記載の太デ
    ニールポリエステルフィラメントの紡糸延伸方法。
JP9491194A 1994-05-09 1994-05-09 太デニールポリエステルフィラメントの紡糸延伸方法 Pending JPH07305223A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108441975A (zh) * 2018-05-17 2018-08-24 北京中丽制机工程技术有限公司 聚酯细旦工业丝牵伸卷绕机

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