JP4502297B2 - セルロースアセテート仮撚加工糸及びその製造方法並びにその織編物 - Google Patents

セルロースアセテート仮撚加工糸及びその製造方法並びにその織編物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライ感、清涼感、シャリ感風合いを兼ね備えながら、適度なストレッチ感を有し、且つ自然なスラブ斑感の意匠効果を織編物に付与することが可能であり、糸形態安定性に優れた仮撚加工糸及びその製造方法、並びに該仮撚加工糸を含むことで上述の風合いや意匠効果が付与された織編物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ドライ感、清涼感といった風合いを有する仮撚加工素材は多数存在する。例えば、高配向未延伸ポリエステル糸を部分融着仮撚する手法を用い、撚抜け構造の目空き感とシャリ感を付与した素材が知られているが、加工糸での捲縮性が低い為ふくらみ感の不足した肉薄の布帛となってしまう。
【0003】
また風合いやドレープ性の改善のために、例えば特開昭57−39222号公報では、芯糸に伸度70%以上の合成繊維を、鞘糸に半合成繊維を用いて同時延伸仮撚(いわゆるインドロー仮撚)手法による2層構造糸の製造方法が開示されている。これは芯糸を自然延伸倍率以下の特定延伸倍率で延伸しながら、鞘糸と同時延伸仮撚するため、適正仮撚条件が狭く、また中途半端な延伸である為加工糸としての捲縮率、捲縮力が低く、ふくらみ感の不足した布帛となってしまう。更に特開昭59−216939号公報では、芯糸にポリブチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレートコンジュゲート糸を、鞘糸に高配向未延伸ポリエステル糸を用いて捲縮率10%以上有するストレッチ性スパンライク2層構造加工糸が開示されているがストレッチ感はあるものの、スパン的なスラブ斑感の意匠効果が無く表情感に欠けたものとなる。
【0004】
その他、シャリ感とスラブ斑的な意匠効果を有する仮撚スラブ加工手法により得られる加工糸は、現在でも広く利用されている素材の1つであるが、消費者ニーズの多様化に伴って、仮撚スラブ加工素材の多様化、高度化が要求されている。例えば特開平11−315438号公報では、芯糸にポリエチレンテレフタレートコンジュゲートを、鞘糸に熱可塑性繊維や半合成繊維等を用い、仮撚スラブ加工手法によってストレッチ仮撚スラブ加工糸が開示されている。これはスラブ斑的な意匠効果に加えてシャリ感を有するが、捲縮率や捲縮伸張率が比較的低いため、布帛の規格によってはふくらみ感やストレッチ性ががやや低い物となりやすい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述のような従来技術における問題点を解決し、ドライ感、清涼感、シャリ感風合いを兼ね備えながら、適度なストレッチ感を有し、且つ自然なスラブ斑感の意匠効果を織編物に付与することが可能であり、更に糸形態安定性に優れたセルロースアセテート仮撚加工糸及びその製造方法、並びにその織編物を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の要旨は、構成単繊維の少なくとも一部が融着し、長手方向に融着程度が変化している熱可塑性マルチフィラメント糸Aを芯糸とし、該芯糸の周囲にセルロースアセテートマルチフィラメント糸Bが多重に捲き付いている多重捲回部と、一重に捲き付いている一重捲回部を糸長手方向に交互に有し、以下の条件をみたすセルロースアセテート仮撚加工糸にある。
15%≦CC≦25%
8%≦CE≦35%
15≦SI≦45
(CCは捲縮率、CEは捲縮伸張率、SIはスナール指数を示す)
また本発明の第2の要旨は、太細斑を有する熱可塑性マルチフィラメント糸の仮撚加撚域に、該マルチフィラメント糸から一定距離にあるガイドを介してセルロースアセテートマルチフィラメント糸をオーバーフィード供給し、該熱可塑性マルチフィラメント糸の周囲にトラバース捲回させる仮撚加工であって、該熱可塑性マルチフィラメント糸を構成する単繊維の少なくとも一部が融着する温度で仮撚加撚することを特徴とするセルロースアセテート仮撚加工糸の製造方法にある。
【0007】
さらに本発明の第3の要旨は、本発明のセルロースアセテート仮撚加工糸を含む織編物にある。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について具体的に説明する。
【0009】
本発明は、芯糸として構成単繊維の少なくとも一部の単繊維が融着し、長手方向に融着程度が変化している熱可塑性マルチフィラメントAの周囲にセルロースアセテート糸が多重に捲き付いている多重捲回部と、セルロースアセテートマルチフィラメント糸が一重に捲き付いている一重捲回部が糸長手方向に交互に存在することが必要である。
【0010】
融着した芯糸が長手方向にその融着程度が変化することで、捲縮形態に多様性を形成し加工糸としての捲縮率を高めることが出来る。さらにセルロースアセテートマルチフィラメント糸の多重捲回部と一重捲回部が糸長手方向に交互に存在することで、捲縮形態が高度に複合される。加えて融着部が少ない箇所は仮撚過解撚方向の仮撚密度が高くなり、更にポリマー構造上比較的高結晶領域であることから捲縮耐久性も比較的高くなるため、トルク発現力に寄与する事になる。
【0011】
またセルロースアセテートマルチフィラメント糸を鞘糸に用いることで、適度に吸湿性のある清涼感や好ましいドライ感、さらに良好な発色性を得ることが可能となる。さらにこの様な部分融着部や多重捲回部により、織編物に高次な異色斑感を付与することが可能となる。
【0012】
なお、多重に捲き付くとは、芯糸成分の糸の周囲に鞘糸成分の糸が三層以上に重なり捲き付いた状態をいい、加工安定性や多重捲回部の糸形態安定性等を考慮すると三層に重なり捲き付いていることがより好ましい。
【0013】
また本発明における融着とは、加熱により、糸を構成する単繊維の少なくとも表面の一部が溶け、加熱部を経て再固化する際に、隣り合う単繊維同士が接着することをいう。また、少なくとも一部に融着部を有するとは、本発明の仮撚加工糸の任意の糸断面を光学顕微鏡や走査型顕微鏡を用いて該当する糸の断面を観察したときに、隣り合う単繊維同士が接着している部分が少なくとも1カ所以上観察される状態であることをいう。また、長手方向に融着程度が変化するとは、長手方向で融着している単繊維の本数が変化していることをいう。
【0014】
本発明の仮撚加工糸においては、芯糸の熱可塑性マルチフィラメント糸Aとセルロースアセテートマルチフィラメント糸Bの接触面の少なくとも一部に融着部があってもよく、該融着部により該糸Aと該糸Bとの間のズレが生じにくくなり、本発明のセルロースアセテート仮撚加工糸の形態安定性が更に向上する。
【0015】
さらに本発明では、仮撚加工糸からなる布帛のふくらみ感を得るために捲縮率CCは15%以上、25%以下であることが必要である。15%未満ではふくらみ感不足であり、また25%を越える場合には、ふかついた風合いとなる。また捲縮伸張率CEは8%以上、35%以下が必要であり、CEが8%未満ではストレッチ性が充分ではなく、35%を越える場合には、ストレッチ性回復率が低くなり、布帛での伸びの戻りが悪くなる。さらに、スナール指数SIは15以上、45以下が必要であり、15未満の場合、布帛でのシボ感やふくらみ感に乏しくなり、45を越える場合、加工糸の解撚トルクによる糸の絡まった状態、いわゆるビリ付きによって製織製編性が損なわれる。ここで捲縮率、捲縮伸張率はJIS L―1090伸縮性等の測定方法、スナール指数はJIS L−1095スナールA法にて測定した。
【0016】
また本発明では、紡績糸に近い自然な繊度斑感を得るために、熱可塑性マルチフィラメント糸Aの繊度DAと、セルロースアセテートマルチフィラメント糸Bの繊度DBの繊度比DB/DAが0.35以上、1以下が好ましい。DB/DAが0.35未満の場合、スラブ斑感の意匠効果が低く、また鞘糸のアセテートの適度な吸湿性にもとづく清涼感や好ましいドライ感、良好な発色性を得難くなりやすい。DB/DAが1を越える場合、鞘糸のスラブ感が強くなり、自然な紡績斑感とは言い難くなりやすい。
【0017】
さらに本発明の仮撚加工糸において、熱可塑性マルチフィラメント糸Aに用いられる素材は、ポリエステルが望ましく、シックアンドシンポリエステル、たとえば高配向未延伸ポリエステル糸を用いて仮撚加工工程の前段階でフィードローラーとヒーター間に設置した加熱ピンまたは延伸ローラーを用いて斑延伸処理して得たシックアンドシンポリエステル、ポリエステル系コンジュゲートタイプのシックアンドシンポリエステル糸等を用いることが望ましい。
【0018】
また本発明のセルロースアセテートマルチフィラメント糸は平均酢化度48.8%〜56.2%のセルロースジアセテートマルチフィラメント糸(ジアセテート糸と略す)、酢化度56.2%〜62.5%のセルローストリアセテートマルチフィラメント糸(トリアセテート糸と略す)があげられる。さらに該セルロースアセテートマルチフィラメント糸がカチオン可染性を有する場合、カチオン染色及び分散染色による染め分けにより更に多色ミックス感の優れた絣杢調の外観を表現できる。
【0019】
次に本発明のセルロースアセテート仮撚加工糸の製造方法の一例を図1に示す。
【0020】
太細斑を有する熱可塑性マルチフィラメント糸1は、マグネットテンサー3により一定張力でガイド5を経て仮撚加工装置に供給される。一方、セルロースアセテートマルチフィラメント糸2は、供給ローラー4よりガイド6を経て、仮撚ユニット8により、加撚されつつ第1引き取りローラー9に引き取られて走行する該熱可塑性マルチフィラメント糸に対して、オーバーフィード状態で該熱可塑性マルチフィラメント糸から一定距離にあるガイド6を支点として、走行している該熱可塑性マルチフィラメント糸の走行方向に対して図の矢印で示すように上下にトラバースしつつ供給され、該熱可塑性マルチフィラメント糸の周囲に多重に捲き付いた多重捲回部と一重に捲き付いた一重捲回部とを交互に形成する。
【0021】
次いで、接触式の第1ヒーター7により加熱固定されるとともに、熱可塑性マルチフィラメント糸の少なくとも一部が溶融し、仮撚ユニット8を通過するとともに冷却されて、構成単繊維の少なくとも一部の単フィラメントが融着し、該熱可塑性マルチフィラメント糸が太細斑を有するため、長手方向に融着程度が変化する糸となる。
【0022】
さらに、仮撚ユニット8を通過後、一重捲回部は解撚されて仮撚方向と逆方向の撚り形態を呈するが、熱可塑性マルチフィラメント糸の融着の程度が多い箇所は仮撚方向と同一方向の撚抜けを生じる。多重捲回部は強固に固定されているために加撚時の形態をそのまま保つ。
【0023】
引き続いて第1引き取りローラー9と第2引き取りローラー11の間で、非接触式の第2ヒーター10で熱セット処理を行い、第2引き取りローラーを介して、ワインダー12で巻き取る。
【0024】
尚、上述の熱セット処理は仮撚加工糸の要求される糸特性や加工機の都合により省略しても良い。
【0025】
また本発明では、熱可塑性マルチフィラメント糸を構成する単繊維の少なくとも一部が融着する温度で仮撚加撚することが必要である。該温度条件は該熱可塑性マルチフィラメント糸の融点、仮撚加熱時間、ヒーター性能、仮撚数等の諸要因によって適宜決定される。
【0026】
また本発明では、太細斑を有する熱可塑性マルチフィラメント糸が、複屈折率Δnが0.01以上0.09以下の低配向部分とΔnが0.10以上の高配向部分が繊維長手方向にランダムに存在し、10〜100mmの長さを有する該低配向部分が5〜30個/mであるポリエステル太細マルチフィラメント糸であることが好ましい。
【0027】
低配向部のΔnが0.01未満の場合、融点が低く、伸度も高いため仮撚り加工時の加工安定性が劣りやすく、△nが0.09を超える場合、高配向部との差が小さくなるため、優先的に部分的な融着が発生しにくくなり、錘間差が発生しやすくなる。また加工糸としての濃淡差も得難くなりやすい。また、高配向部分の△nが0.10未満の場合は低配向部との差が小さくなり、部分的な非融着部の形成を制御しがたくなる。
【0028】
さらに、低配向部分の長さが10mm未満や低配向部の頻度が5個/m未満の場合、低配向部分の長さが100mmを超える場合や頻度が30個を超える場合、部分的な融着部と非融着部からなる捲縮部のバランスが悪くなり、本発明の特徴とする捲縮が得られにくくなる。また錘間差が発生しやすくなり加工安定性に乏しい物となりやすい。
【0029】
また本発明では、太細斑を有する熱可塑性マルチフィラメント糸として、高配向未延伸ポリエステル糸を用いて仮撚加工工程の前段階でフィードローラーとヒーター間に設置した加熱ピンまたは延伸ローラーを用いて斑延伸処理して得たシックアンドシンポリエステルを使用しても良い。
【0030】
尚、複屈折率△nはカネボウエンジニアリング(株)製「分子配向度測定装置DELTA−N」を用いて測定した。
【0031】
さらに本発明において、仮撚加撚域で走行する熱可塑性マルチフィラメント糸と、セルロースアセテートマルチフィラメント糸を供給するガイド6との距離は特に限定されず、一重捲回部、多重捲回部の平均長さ或いは加工安定性等を考慮して決定すればよい。該仮撚加工糸を含む織編物に風合いや意匠効果をより好適に付与するためには、10〜35cmが好ましい。
【0032】
また、該熱可塑性マルチフィラメント糸に対するセルロースアセテートマルチフィラメント糸のオーバーフィード供給量は特に限定されるものではなく、多重捲回部の安定形成性や仮撚加工安定性等を考慮して決定すればよく、20〜180%が好ましく、50〜120%が更に好ましい。
【0033】
さらに本発明の仮撚加工糸からなる織編物は、該仮撚加工糸の混率並びに織編組織は目的の風合いや製品外観が得られる範囲で決定すればよい。
【0034】
また、本発明の織編物は、該仮撚加工糸の単独構成、他糸との交編織による該仮撚加工糸の一部含有、更には本発明の仮撚加工糸に追撚を施して織編物の少なくとも一部に用いてもよく、本発明の織編物は、ドライ感、清涼感、シャリ感風合いを兼ね備えながら、適度なストレッチ感を有し、且つ自然なスラブ斑感の意匠効果に優れた特徴を有するものである。
【0035】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を説明する。評価方法は次に示す方法で行った。
【0036】
(糸形態安定性)
織編物を形成する際の、加工糸全体のループ毛羽等の形成、多重捲回部の位置ズレ発生等を目視にて評価した。
【0037】
(布帛評価)
得られた仮撚加工糸を製編織し、意匠効果(スラブ斑感)、及び風合い(ドライ感、清涼感、シャリ感、ストレッチ感)を目視、ハンドリングにて評価した。
【0038】
(実施例1)
図1の装置を用い、太細斑を有する熱可塑性マルチフィラメント糸として、ポリエステルマルチフィラメント糸(84デシテックス36フィラメント、複屈折率Δnが0.01以上0.09以下の低配向部分とΔnが0.10以上の高配向部分が繊維長手方向にランダムに存在し、マルチフィラメント糸の長手方向で10〜100mmの低配向部分の頻度が15個/m)を用いた。
セルロースアセテートマルチフィラメント糸として61デシテックス15フィラメントのトリアセテート糸を用い、仮撚数:2500T/m、仮撚方向:Z、第1ヒーター温度:220℃、温度第2ヒーターの温度:180℃、マグネットテンサーの張力(テンサー出側):5―7g、仮撚加撚域の供給ガイド間距離:300mm、仮撚加撚域への該トリアセテート糸のオーバーフィード率:90%、第1引き取りローラーの速度:55m/分、第1引き取りローラー〜第2引き取りローラー間のオーバーフィード率:2.5%、の条件で仮撚加工を行って、仮撚加工糸を得た。
【0039】
得られた仮撚加工糸は、構成単繊維の少なくとも一部が融着し、長手方向に融着程度が変化している芯糸の周囲にトリアセテート糸が多重に捲き付いている多重捲回部と、一重に捲き付いている一重捲回部が糸長手方向に交互に形成される加工糸形態を呈していた。糸物性は表1に示した。ループ毛羽等の形成、多重捲回部の位置ズレの発生等は認められず、加工糸の糸形態安定性は良好なものであった。
【0040】
この仮撚加工糸を用いて、経糸規格72本/3.75cm(寸)、緯糸規格65本/3.75cm(寸)の平組織で製織した。後工程通過性には問題なく、本織物を精練、リラックス処理の後、以下の条件で染色して評価を行った。
染料 分散染料(Dystar(株)社製)
Dianix NTA−N Blue 0.12%owf
Dianix NTA−N Red 0.12%owf
Dianix NTA−N Yellow 0.25%owf
染色条件 120℃×60分
得られた織物はドライ感、清涼感、シャリ感風合いを兼ね備えながら、適度なストレッチ感を有し、且つ自然なスラブ斑感の意匠効果に優れた特徴を有するものであった。評価結果を表1示した。
【0041】
(実施例2)
太細斑を有する熱可塑性マルチフィラメント糸として、ポリエステルマルチフィラメント糸(110デシテックス48フィラメント、複屈折率Δnが0.01以上0.09以下の低配向部分とΔnが0.10以上の高配向部分が繊維長手方向にランダムに存在し、マルチフィラメント糸の長手方向で10〜100mmの低配向部分の頻度が15個/m)を用い、セルロースアセテートマルチフィラメント糸として40デシテックス9フィラメントのトリアセテート糸を用いた以外、実施例1と同様に仮撚加工を行って、仮撚加工糸を得た。
【0042】
得られた仮撚加工糸は、構成単繊維の少なくとも一部の単繊維が融着し、長手方向に融着程度が変化している芯糸の周囲にトリアセテート糸が多重に捲き付いている多重捲回部と、一重に捲き付いている一重捲回部が糸長手方向に交互に形成される加工糸形態を呈していた。糸物性は表1に示した。 この仮撚加工糸を用いて実施例1と同様に製織し織物としたところ、得られた織物はドライ感、清涼感、シャリ感風合いを兼ね備えながら、適度なストレッチ感を有し、且つ自然なスラブ斑感の意匠効果に優れた特徴を有するものであった。評価結果を表1示した。
【0043】
(比較例1)
図1の装置を用い、セルロースアセテートマルチフィラメント糸の代わりに、110デシテックス48フィラメントのポリエステルマルチフィラメント糸を用い、第1ヒーター温度を200℃、とした以外、実施例1と同様に仮撚加工を行って仮撚加工糸を得た。
【0044】
得られた仮撚加工糸は、芯糸の周囲に該ポリエステルマルチフィラメント糸が多重に捲き付いている多重捲回部と、該芯糸の周囲に該ポリエステルマルチフィラメント糸が一重に捲き付いている一重捲回部が糸長手方向に交互に形成されていたが、該芯糸には融着部が認められなかった。
【0045】
この仮撚加工糸を用いて経糸規格60本/3.75cm(寸)、緯糸規格54本/3.75cm(寸)の平組織で製織し、実施例1と同様の織物としたところ、製織工程で多重捲回部のズレの発生が一部で認められた。また、得られた織物はポリエステル特有のガリ感が強く、かつスラブ感が強すぎ、好ましいシャリ感清涼感は得られなかった。更にストレッチ感も低い物であった。評価結果を表1示した。
【0046】
(比較例2)
第1ヒーター温度を170℃、温度第2ヒーターの温度を180℃にした以外、実施例1と同様に仮撚加工を行って仮撚加工糸を得た。
【0047】
得られた加工糸は、芯糸の周囲にトリアセテート糸が多重に捲き付いている多重捲回部と、該芯糸の周囲にポリエステルマルチフィラメント糸が一重に捲き付いている一重捲回部が糸長手方向に交互に形成されていたが、該芯糸には融着部が認められなかった。
【0048】
この仮撚加工糸を用いて実施例1と同様に織物としたところ、比較的多重捲回部のズレの発生が少なく、加工糸の糸形態安定性は良好なものであったが、ストレッチ感の低い物となった。評価結果を表1示した。。
【0049】
【表1】
Figure 0004502297
【0050】
【発明の効果】
本発明の仮撚加工糸は、ドライ感、清涼感、シャリ感風合いを兼ね備えながら、適度なストレッチ感を有し、且つ自然なスラブ斑感の意匠効果を織編物に付与することが可能であり、本発明の仮撚加工糸の製造方法によれば、糸形態安定性に優れたセルロースアセテート仮撚加工糸が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の仮撚加工糸の製造装置の一例図である。
【符号の説明】
1 熱可塑性マルチフィラメント糸
2 セルロースアセテートマルチフィラメント糸
3 マグネットテンサー
4 供給ローラー
5 ガイド
6 ガイド
7 第1ヒーター
8 仮撚ユニット
9 第1引き取りローラー
10 第2ヒーター
11 第2引き取りローラー
12 ワインダー

Claims (5)

  1. 構成単繊維の少なくとも一部が融着し、長手方向に融着程度が変化している熱可塑性マルチフィラメント糸Aを芯糸とし、該芯糸の周囲にセルロースアセテートマルチフィラメント糸Bが多重に捲き付いている多重捲回部と、一重に捲き付いている一重捲回部を糸長手方向に交互に有し、以下の条件をみたすセルロースアセテート仮撚加工糸。
    15%≦CC≦25%
    8%≦CE≦35%
    15≦SI≦45
    (CCは捲縮率、CEは捲縮伸張率、SIはスナール指数を示す)
  2. 熱可塑性マルチフィラメント糸Aの繊度DAとセルロースアセテートマルチフィラメント糸の繊度DBの繊度比DB/DAが下式の関係をみたす請求項1記載のセルロースアセテート仮撚加工糸。
    0.35≦DB/DA≦1
  3. 太細斑を有する熱可塑性マルチフィラメント糸の仮撚加撚域に、該マルチフィラメント糸から一定距離にあるガイドを介してセルロースアセテートマルチフィラメント糸をオーバーフィード供給し、該熱可塑性マルチフィラメント糸の周囲にトラバース捲回させる仮撚加工であって、該熱可塑性マルチフィラメント糸を構成する単繊維の少なくとも一部が融着する温度で仮撚加撚することを特徴とするセルロースアセテート仮撚加工糸の製造方法。
  4. 太細斑を有する熱可塑性マルチフィラメント糸が、複屈折率Δnが0.01以上0.09以下の低配向部分とΔnが0.10以上の高配向部分が繊維長手方向にランダムに存在し、10〜100mmの長さを有する該低配向部分が5〜30個/mであるポリエステル太細マルチフィラメント糸である請求項3記載のセルロースアセテート複合仮撚加工糸の製造方法。
  5. 請求項1または2記載のセルロースアセテート仮撚加工糸を含む織編物。
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