JP2000144539A - 複合加工糸および複合加工糸の製造方法 - Google Patents

複合加工糸および複合加工糸の製造方法

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JP2000144539A
JP2000144539A JP11247229A JP24722999A JP2000144539A JP 2000144539 A JP2000144539 A JP 2000144539A JP 11247229 A JP11247229 A JP 11247229A JP 24722999 A JP24722999 A JP 24722999A JP 2000144539 A JP2000144539 A JP 2000144539A
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yarn
yarns
composite
constituent
fiber
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JP11247229A
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English (en)
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Reiko Baba
玲子 馬場
Hideaki Kunisada
秀明 國貞
Kakuji Murakami
確司 村上
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】織編物にしたとき、ソフトで張り、腰、反発性
に富み、しかも実質的に毛羽を発生せず、シルキー感ま
たはスパン感を有する複合加工糸および複合加工糸の製
造方法を提供する。 【解決手段】仮撚捲縮を有する少なくとも2本の構成糸
Aおよび構成糸Bからなる複合加工糸であって、該2本
の構成糸は収縮率差を有し、収縮率の大なる構成糸Bを
構成する単繊維が糸軸方向に沿って漸次変化してなる太
い部分と細い部分を有するとともに、収縮率の小なる構
成糸Aを構成する単繊維も糸軸方向に沿って太い部分と
細い部分を有する複合加工糸。複数の糸条を同速度また
は異速度でフィードローラーに供給後、少なくとも一方
の糸条Aを加熱回転体に巻回して加熱処理することによ
り糸条Aおよび糸条Bを温度差を有した状態で仮撚回転
子の施撚作用により合流させ、かつ糸条Aはフィードロ
ーラーから糸条Bと合流する間に延伸されて糸条Bより
も糸速度が速いことを特徴とする複合仮撚糸の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は収縮させることで芯
鞘構造と繊維軸方向に太細構造を発現させることによ
り、ふくらみを持つ複合加工糸および複合加工糸の製造
方法に関するものであり、さらに詳しくはソフトで張
り、腰、反発性に優れ、シルキー感またはスパン感を持
つ複合加工糸および複合加工糸の製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、伸度差を有する2本の糸を引き揃
えて仮撚加工することによって得られる芯鞘構造の複合
加工糸はよく知られている。この方法によれば、低伸度
の糸が芯部を形成し、高伸度の糸が鞘部を形成した芯鞘
2層構造の高捲縮で嵩高性に富む複合加工糸が得られ、
梳毛調織編物差別化素材として汎用的に用いられてい
る。
【0003】また、特開平6−57562号公報には、
2本の糸にフィード率差を付けて、フィード率の小なる
糸にフィード率の大なる糸を仮撚ヒーターとスピンドル
間で捲回させることによって、嵩高性、ソフト性に優れ
た複合糸の製造方法が開示されている。しかしながら、
この方法では、高捲縮、高嵩高の加工糸故に、張り、腰
が不十分であるという問題を有する。
【0004】そこで、特開平9−78385号公報に
は、2種の糸条を温度差を有した状態で、仮撚回転子の
施撚作用によって合流させる方法が開示されている。し
かしながら、この方法では、ソフトで張り、腰、反発性
には富むものの、糸条加熱時に糸条が擦過されやすく、
特に細繊度の糸条を加工するとによる毛羽が発生しやす
くなるという問題を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した複
合加工糸が有する欠点を解消することを目的とし、ウー
ルや絹の持つ風合いであるソフトで張り、腰、反発性に
富み、しかも実質的に毛羽を発生せず、シルキー感また
はスパン感を有する複合加工糸および複合加工糸の製造
方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を達
成するため次の構成からなる。
【0007】すなわち、仮撚捲縮を有する少なくとも2
本の構成糸Aおよび構成糸Bからなる複合加工糸であっ
て、該2本の構成糸は収縮率差を有し、収縮率の大なる
構成糸Bを構成する単繊維が糸軸方向に沿って漸次変化
してなる太い部分と細い部分を有するとともに、収縮率
の小なる構成糸Aを構成する単繊維も糸軸方向に沿って
太い部分と細い部分を有する複合加工糸である。
【0008】また、複数の糸条を同速度または異速度で
フィードローラーに供給後、少なくとも一方の糸条Aを
加熱回転体に巻回して加熱処理することにより糸条Aお
よび糸条Bを温度差を有した状態で仮撚回転子の施撚作
用により合流させ、かつ糸条Aはフィードローラーから
糸条Bと合流する間に延伸されて合流点にて糸条Bより
も糸速度が速いことを特徴とする複合加工糸の製造方法
である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の複合加工糸と製造
方法について詳細に説明する。
【0010】最初に、本発明の複合加工糸について説明
する。本発明の複合加工糸は仮撚捲縮を有する糸条から
なる少なくとも2種の構成糸Aおよび構成糸Bから構成
されるものである。仮撚捲縮を有することによって、織
編物にしたときのふくらみに優れるものとなる。
【0011】さらに本発明では仮撚捲縮を有する構成糸
Aと構成糸Bとの間に収縮差を有するものである。収縮
差により、たとえば製編織後の染色工程におけるリラッ
クス工程、セット等の熱処理によって収縮率の大なる構
成糸Bが芯部となり、収縮率が小なる構成糸Aが鞘部を
形成する芯鞘2層構造の複合形態となることができる。
【0012】織編物にしたとき、適度なやわらかさと反
発感を両立するために、構成糸Aの単繊維繊度は好まし
くは0.001d以上8d以下であり、より好ましくは
0.5d以上5d以下、かつ構成糸Bの単繊維繊度が好
ましくは0.1d以上10d以下、より好ましくは1d
以上7d以下とする。
【0013】本発明の構成糸Aおよび構成糸Bを構成す
るフィラメントの断面形状は、丸断面、多葉断面、扁平
断面、中空断面、その他特殊異形断面でもよく、またど
のような組み合わせでもよい。使用原糸として未延伸
糸、高配向未延伸糸、半延伸糸および延伸部と非延伸部
が交互に存在してなるシックアンドシン糸などを用いる
ことができる。また延伸糸を用いても良いが、フィラメ
ント長手方向に太さムラを付与することが難しく、好ま
しくない。構成糸Aおよび構成糸Bに用いる糸条の種類
は異なっていてもよいし、同じ種類であってもよい。
【0014】しかし収縮率差だけでは高風合いの布帛を
得るには自ずと限界があるため、本発明においては加工
条件を適宜選択することにより、複合糸の芯糸となる構
成糸Bに糸軸方向に沿って漸次変化した太細構造を有す
るものであり、このような構造をとることによって構成
繊維の単繊維間に高反発な風合いを出すのに重要となる
微小空隙を与えることができる。しかも複合糸の鞘糸と
なる構成糸Aを構成する単繊維も糸軸方向に沿って太い
部分と細い部分を有する。これによってドライタッチと
ふくらみ感をよりいっそう増すことができる。
【0015】ここで、複合加工糸の鞘糸となる構成糸A
は延伸されて構成糸Bに比べて合流点での糸速度が速
く、かつ加熱されて温度差を有した状態で構成糸Bと合
流し、高温側の糸条Aが低温側の糸条Bを糸軸方向およ
び直径方向に不均一に加熱処理することにより、構成糸
Bの単糸内および単糸間で内部構造や繊維形状に変化を
きたす。このため、仮撚加工が完了した時点で、鞘糸と
なる構成糸Aは、構成糸Bと合流する前に加熱および延
伸により形成された太細構造を発現し、芯糸となる構成
糸Bには、単繊維の糸軸方向には不均一かつ短周期の太
細構造を発生し、従来の仮撚加工糸とは似てもにつかぬ
緩波状の捲縮を呈する。
【0016】鞘糸となる構成糸Aを加熱する加熱体とし
て例えば加熱回転体を用いると、鞘糸の延伸と加熱が同
時には行われないために、鞘糸に太細構造が発生するの
である。一方、加熱体として例えば乾熱板を用い、延伸
と同時に加熱・熱セットされるときには、鞘糸の延伸点
は分散し、単糸内の繊度差は小さくなる。
【0017】前記構成糸Bはその収縮特性からポリエス
テルマルチフィラメントであることが好ましい。
【0018】このポリエステルとしては、繊維形成性を
有するポリエステルであればその種類は特に限定されな
い。ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレートが好ましく用
いることができ、特にポリエチレンテレフタレートが収
縮特性の点から最適である。
【0019】ポリエチレンテレフタレートに共重合成分
としてアジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、ジフェ
ニルカルボン酸、ナフタリンジカルボン酸などの二塩基
酸、オキシ安息香酸などのオキシ酸類、ジエチレングリ
コール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ルなどのグリコール酸、5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸などを1種または2種以上を共重合させることがで
きる。これらのポリエステルには、酸化チタンなどの艶
消剤、カオリナイトなどの微細孔形成剤、帯電防止剤な
どが少量添加されていてもよい。
【0020】前記構成糸Aに用いられる素材としては、
熱可塑性重合体であれば特に限定されず、例えば、ポリ
エステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリビニルアルコ
ール系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニル
アルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビ
ニリデン系繊維、ポリプロピレン系繊維、セルロース系
繊維等を用いることができ、この中でもポリエステル系
繊維、またはポリアミド系繊維が好ましく、収縮特性か
らポリエステル系繊維がより好ましい。また、本発明の
複合加工糸を構成する少なくとも2本の構成糸の糸条の
組み合わせとしては、その種類、形態、形状、集束状態
あるいは物性などが相互に同じであっても、異なってい
ても良く、特に限定されるものではない。
【0021】本発明の構成糸Bは熱水処理による収縮後
に乾熱処理をすることで0.1〜25%となる自発伸長
性を示すことも好ましい。一旦収縮後、自発伸長挙動を
示すことで構成糸相互の繊維間、単繊維間および布帛の
組織間の歪みを緩和することができ、反発感に富んだ織
編物となる。
【0022】かつ、構成糸Bは複屈折の最小値が60×
10-3以上で、単繊維の繊維軸方向に複屈折の範囲
(R)が30×10-3以上、好ましくは40×10-3
上であるとともに、構成単繊維間の複屈折の範囲(R)
が30×10-3以上、好ましくは40×10-3以上であ
ることも好ましい。本発明の言う複屈折の最小値を持つ
ことによって構成糸Bには、染色処理や熱処理によって
特異的に脆くなる点は持たない。また、単繊維の繊維軸
方向と、構成単繊維間において30×10-3以上の複屈
折の範囲(R)を持つことで、繊維軸方向には延伸倍率
差と収縮率差により熱処理時に太さムラを形成するとと
もに、単繊維間にも複屈折分布が実質的に必ず存在する
ため、熱処理時に繊維間空隙が形成される。延伸部と非
延伸部が交互に存在してなるシックアンドシン糸では単
繊維内に複屈折分布を形成することはできるが、繊維断
面方向における複屈折分布が一定でないことが本発明と
の大きな違いである。ここで、範囲(R)とはR=(最
大値)−(最小値)を意味している。
【0023】加熱後延伸する系や冷延伸後加熱する系、
または延伸倍率の設定により、構成糸Aとしては単繊維
が繊維軸方向に漸次変化してなる太細構造を有し、繊維
軸方向の同一点上における構成単繊維の太細比が、太部
直径/細部直径=1.1〜5とすることができる。これ
により自然感のある織編物とすることができ、好まし
い。
【0024】ここでいう漸次変化してなる太細構造とは
図2に示すように、太部14と細部13とが徐々に変化
し、変形点が確認できないものをいう。
【0025】また、冷延伸後加熱する系や加熱後延伸す
る系、または延伸倍率の設定により、構成糸Aとしては
単繊維が繊維軸方向に急激に変化してなる太細構造を有
し、繊維軸方向の同一点上における構成単繊維の太細比
が、太部直径/細部直径=1.06〜2とすることがで
きる。これにより、ドライ感を有する織編物とすること
ができ、好ましい。
【0026】ここでいう急激に変化してなる太細構造と
は図3に示すように、太部14と細部13とが急に変化
し、太部と細部の間に変形点(延伸点)が確認できるも
のをいう。
【0027】本複合加工糸では後工程で芯鞘2層構造の
複合形態とするために熱水収縮率が10〜90%である
ことが好ましい。収縮率が10%未満であると鞘糸のふ
くらみが不十分となり、90%を越えると織物の生機幅
を広くせざるを得ず、織機が限定される。より好ましく
は10〜80%である。
【0028】布帛のボリューム感を増加させるという風
合い調整上の観点から構成糸相互の熱水収縮率差は5〜
85%であるのが好ましい。
【0029】熱水収縮率差が5%に満たないとボリュー
ム感が不足し、張り、腰、反発性などの効果を発揮し得
ない傾向がある。また、85%を越えると織物の生機幅
を広くせざるを得ず、織機が限定される傾向にある。よ
り好ましくは5〜60%である。
【0030】前記構成糸Aとして熱水収縮率が10〜7
0%であり、かつ、熱水処理により収縮し、その後乾熱
処理することで自発伸長性を有することができる。構成
糸Aと構成糸Bの収縮率差を保つために、より好ましく
は熱水収縮率が20〜40%、さらに好ましくは20〜
30%である。収縮後、自発伸長性を示すことで、表面
タッチのやわらかなシルキー調の風合いを与えることが
できる。
【0031】このような構成糸Aとして、急激に変化し
てなる太細構造を有し、かつ、熱水処理後に乾熱処理す
ることで自発伸長性を示すことも好ましいが、漸次変化
してなる太細構造を有し、かつ、熱水処理後に乾熱処理
することで自発伸長性を示すほうが繊維表面の変化が緩
やかで、よりソフトでなめらかな風合いを示すため、よ
り好ましい。
【0032】一方、前記構成糸Aとして熱水収縮率が5
〜20%であり、かつ、熱水での収縮量に加え乾熱にて
収縮することができる。より好ましくは熱水収縮率が5
〜15%である。すなわち、熱水での収縮処理後に乾熱
でも収縮する性質を持つものは熱水収縮率が低く、構成
糸Aと構成糸Bの間に大きな収縮差を得ることができ、
ふくらみの大きな素材となることができる。
【0033】加工条件によるが、漸次変化してなる太細
構造を有し、かつ、熱水処理後に加え乾熱にて収縮する
ことも好ましいが、急激に変化してなる太細構造を有
し、かつ、熱水処理後に加え乾熱にて収縮するほうが急
激な太細によるドライ感をもちながら、構成糸Aと構成
糸Bの収縮率差によるふくらみを合わせ持つため、より
好ましい。
【0034】上記構成糸Aを構成する単繊維の太細構造
は、加熱後延伸する系や冷延伸後加熱する系、または延
伸倍率の設定によって、太細構造の分散状態を制御で
き、実質的に染着差を有すことも、染着差を有さないこ
とも可能である。すなわち、単糸内、単糸間に存在する
太細構造を分散させることによって実質的に染着差を有
さず、表面品位にすぐれた織編物を得ることができる。
一方、単糸間に存在する太細構造を集中させることによ
って、染着差を有することもできる。複合加工糸の構成
糸の一部に染着差を持つ繊維があることで、スパン調の
ムラ感のある素材とすることができる。
【0035】また、芯糸となる構成糸Bの単繊維の一部
には筋状の圧痕が存在することも好ましい。前記圧痕は
繊維長手方向に対して斜めに凹凸による筋状構造をなし
ており、この様に微細な筋状構造を有することによって
表面反射光を弱めることができる。
【0036】以上、本発明の複合加工糸はウールや絹の
持つ風合いであるソフトで張り、腰、反発性に富み、し
かも実質的に毛羽を発生せず、シルキー感またはスパン
感を有するものである。
【0037】次に本発明の複合加工糸製造方法について
説明する。
【0038】本発明は複合仮撚するに際し、複数の糸条
を同速度または異速度でフィードローラーに供給後、少
なくとも一方の糸条Aを加熱回転体に巻回して加熱処理
することにより、糸条Aおよび糸条Bを温度差を有した
状態で仮撚回転子の施撚作用により合流させ、かつ糸条
Aはフィードローラーから撚り合わせる間に延伸されて
合流点において糸条Bよりも糸速度が速いことを特徴と
する複合加工糸の製造方法である。
【0039】このように少なくとも加熱処理した高温の
糸条Aと、これよりも低温の糸条Bとを撚り合わせて仮
撚加工すると、相互の糸条間で熱の授受が行われ、低温
側の糸条Bが高温側の糸条Aにより糸軸方向および直径
方向に不均一に加熱処理されて、単糸内および単糸間で
内部構造や繊維形状に変化をきたし、糸軸方向には不均
一かつ短周期の太細構造を発生する。また、糸条Aを加
熱回転体に巻回させ、フィードローラーから撚り合わせ
るまでの間に延伸することで、単繊維の糸軸方向に太細
構造を発生し、延伸位置の設定により糸条Aの配向と結
晶化を制御することができる。また、合流時に糸条Aの
方が糸速度が速いことから、糸条Bのまわりに糸条Aが
巻き付き、糸条Bを効率的に不均一に加熱することがで
きる。
【0040】上記のように糸条Aを加熱処理するための
加熱手段としては、加熱回転体を使用するものとし、こ
の加熱回転体に糸条Aを巻回させて共周りさせながら加
熱処理するようにする。このように加熱回転体による加
熱処理により、糸条Aは実質的に加熱体との相対移動に
よる擦過を受けないため、実質的に毛羽を発生させない
ようにすることができる。しかも、安定に高速処理する
ことができる。
【0041】本発明に用いる糸条Aおよび糸条Bはその
断面形状、性状等に制約を受けるものではなく、熱可塑
性繊維であれば未延伸糸、高配向未延伸糸、半延伸糸、
延伸糸、および延伸部と非延伸部が交互に存在してなる
シックアンドシン糸などを用いることができる。2本の
糸条Aと糸条Bに用いる糸条の種類は異なっていてもよ
いし、同じ種類であってもよい。
【0042】また、本発明に用いる糸条は少なくとも2
本が必要ではあるが、複合糸への特徴付与のため、例え
ば制電性、吸湿性などに応じて3本あるいは4本用いる
こともできる。ポリマーに制限はなく、ポリアミド系繊
維、ポリエチレンテレフタレート系繊維、ポリビニルア
ルコール系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビ
ニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩
化ビニリデン系繊維、ポリプロピレン系繊維、セルロー
ス系繊維等を用いることができ、この中でもポリエステ
ル系繊維、またはポリアミド系繊維が好ましく、収縮特
性からポリエステル系繊維がより好ましい。むろん、該
繊維の繊維形状、たとえば、繊度、フィラメント数、断
面形状、染着性、光沢、撚りの有無に限定されることは
なく、強伸度、収縮率、ヤング率などの物理特性に制約
を受けるものではない。
【0043】織編物にしたとき、適度なやわらかさと反
発感を両立するために、糸条Aの単繊維繊度は好ましく
は0.001d以上8d以下であり、より好ましくは
0.5d以上5d以下、かつ糸条Bの単繊維繊度が好ま
しくは0.1d以上10d以下、より好ましくは1d以
上7d以下とする。
【0044】糸条Aと糸条Bの繊度の比率を1:5〜
5:1に適宜変えることによって、反発感と表面のふく
らみ、ソフト感のバランスをコントロールできる。
【0045】糸条Aおよび糸条Bを温度差を有した状態
で仮撚回転子の施撚作用により合流させるときに、加熱
回転体と仮撚回転子の下流に設けた第2フィードローラ
ーとの間において前記糸条Aに延伸を施すこともでき
る。糸条Aを加熱後に延伸することで延伸をスムーズに
起こすことができ、漸次変化する太細構造を付与すると
同時に太細構造を単糸間および単糸内に分散することが
できる。また分子の配向結晶化も抑制でき、熱水処理に
よる収縮発現後乾熱処理することで自発伸長性を示し、
よりソフトな風合いを発現できる。
【0046】糸条Aおよび糸条Bを温度差を有した状態
で仮撚回転子の施撚作用により合流させるときに、フィ
ードローラーと加熱回転体の間において前記糸条Aに延
伸を施すこともできる。糸条Aを延伸後加熱することで
糸条の結晶化を促進して、糸条Aの収縮を低下させ、織
編物のふくらみを大きくすることができる。適宜加工条
件を設定することにより結晶化を進め、収縮発現後乾熱
処理により収縮する糸となる。また、原糸設定延伸倍率
や糸条温度を適切な領域にすることで糸条Aを不均一延
伸させ、急激に変化する太細構造を付与し、織編物にス
パン調のタッチや自然な杢を表現することができる。こ
の際糸条温度をコントロールする目的で加熱回転体や、
非回転加熱体を適宜使用することもできる。
【0047】また、糸条Aおよび糸条Bを温度差を有し
た状態で仮撚回転子の施撚作用により合流させるとき
に、フィードローラと加熱回転体との間、および加熱回
転体と第2フィードローラーとの間において前記糸条A
に延伸を施すことも好ましい。糸条Aの延伸倍率をそれ
ぞれ調整して、糸条Aの収縮率や杢調の強弱をコントロ
ールすることができる。
【0048】前記加熱回転体の温度は糸条AのTg(ガ
ラス転移温度)以上であることが好ましく、糸条AとB
の温度差は、合流ガイド前において5〜200℃である
ことが好ましい。さらに生産性向上のためには糸条Bの
温度が室温で、糸条Aの温度が糸条Aのガラス転移温度
以上、特に80℃以上であることが特に好ましい。
【0049】糸条AとBの温度差が5℃よりも低いと、
低温側の糸条Bに対する加熱が十分に行われなくなり、
上述した加熱による内部構造の変化を起こすことが難し
くなる。また、温度差が200℃よりも高い場合には、
加工糸が熱劣化しやすく、加工が不安定になる。
【0050】加熱回転体としては、一対の加熱ローラー
と分離ローラーから構成されたネルソン型ローラーを使
用することが好ましい。このようなネルソン型ローラー
を使用すれば、糸条をローラー軸方向に小さなピッチで
ずらせながら多数回にわたり巻回させることができるの
で、熱処理装置をコンパクトにしながら必要十分な熱処
理を施すことが可能となる。
【0051】冷却板は仮撚加工によって付与された構造
を効率的に冷却・固定し、かつ、加工時の糸道規制、振
動防止等を行い安定加工を可能にするためのものである
が、該冷却板が必須となるものではない。
【0052】また糸条を集束することも好ましい。例え
ばフィードローラの前後で集束することで、特に糸条A
を集束することで糸掛け性が向上する。また第2フィー
ドローラの後で複合加工糸を集束することで、パッケー
ジへの巻き取り性が向上する。糸の集束手段としてイン
ターレースノズルを用いることができ、また実撚、交互
撚、融着、糊剤による接着などいかなる手段を用いるこ
ともできる。
【0053】本発明において、2本以上の糸条を寄り合
わせた後、仮撚装置前の撚係数Kの値は特に限定される
ものではないが、好ましい範囲は10000≦K≦32
000である。ただし、ここでの繊度は撚数測定位置の
繊度を示している。ここで撚係数Kとは繊度D(デニー
ル)、撚数T(回/m)としたとき、K=T×D1/2を
意味している。
【0054】本発明の製造方法における仮撚工程は捲縮
発現を目的としているが、むしろ繊維軸方向に糸物性の
変化を付けることが重要であって、従来からの仮撚捲縮
ほどの嵩高性は求めていない。そのため、撚係数は低く
ても本発明の効果は得られる。しかし、撚係数が100
00より少ないと加工張力が高くなり、生産性が低下す
るため不利であり、撚係数が17000以上がより好ま
しい。特に施撚しにくいフィラメントでない限り、可能
な限り大きな仮撚数の方が有利であり、すなわち糸の破
断が起こりにくい撚係数が32000以下の安定に加工
が可能な撚係数にて生産するのが好ましい。
【0055】本発明に用いる仮撚回転子として特に制限
はないが外接型摩擦仮撚装置、ベルトニップ仮撚装置、
スピンドル仮撚装置は、撚りの安定性から好ましく用い
られ、供給する糸の種類、加工速度、設定仮撚数等加工
条件によって適宜用いればよい。
【0056】図1、図4は本発明の複合仮撚糸の製造方
法の一例を模式的に示した概略図である。
【0057】図1において、供給糸条1aおよび供給糸
条1bを第1フィードローラー2aおよび2bに各々供
給し、ついで糸条Aは加熱回転体5によって加熱され、
第1フィードローラー2aと第2フィードローラー9と
の間で延伸されて糸条Bよりも糸速度の速い状態で、糸
条Aより温度の低い糸条Bと合流点Pで合流したあと、
冷却板7、仮撚回転子8を介して仮撚加工を行い、交絡
ノズル10によって2本の糸を集束し、ドローローラー
11を経てパッケージ12として巻き取る。この加熱回
転体5は、一対の加熱ローラー4と分離ローラー3とか
らなるネルソン型ローラーとして構成されている。
【0058】この場合、鞘側フィードローラー2aおよ
び芯側フィードローラー2bは同速度であっても異速度
であってもよく、供給糸の特性および加工の安定性等に
よって適宜設定すればよい。
【0059】また、この製造方法においては糸条Aとそ
れより温度の低い糸条Bが合流点Pで合流する際に、糸
道規制ガイド6によって、糸条Aの撚り登りを阻害する
ことができ、加熱回転体上の糸道も安定するため、加工
上優れている。
【0060】第1フィードローラー2a、2bや第2フ
ィードローラー9、ドローローラー11は糸条速度が変
化しないように安定化させることが生産上好ましい。そ
のため分離ローラーを用いたネルソン型ローラーにした
り、いわゆるそろばんガイドを用いてローラーに複数回
巻き付ける等の手段を講ずることが好ましい。
【0061】さらに、複合仮撚加工時の第1フィードロ
ーラーから第2フィードローラーまでの延伸倍率は、用
いる供給原糸、目的の加工糸物性に合わせて適宜設定す
ればよい。しかし、加工安定性から1.01倍以上、
(糸条AまたはBの供給原糸の破断伸度)×0.8倍以
下が好ましい。さらに好ましくは1.1倍以上、2.2
倍以下に設定するのがよい。特に糸条Aは太細構造を効
果的に付与するために1.3倍以上、2.2倍以下に設
定することが好ましい。
【0062】また、図4に示したように、糸条Aを加熱
回転体5aで加熱するとともに、糸条Bも加熱回転体5
bや非回転加熱体で加熱しても良い。しかし、上記のよ
うに両糸条A、Bを同時に加熱する場合であっても、必
ず加熱回転体5aによる糸条Aに対する加熱温度を、加
熱回転体5bによる糸条Bに対する加熱温度よりも高く
するようにしなければならない。このように糸条Aの温
度を糸条Bよりも高くするように温度差を与えることに
より、図1の場合と同様の作用効果を与えることができ
る。
【0063】図5および図6は本発明の複合加工糸の製
造方法を実施する別の工程を示すものであり、図5は正
面図、図6は側面図である。
【0064】この延伸仮撚工程では、低温側の糸条Bに
対して回転加熱体が設けられておらず、また冷却板7も
設けていない。また、第2フィードローラー9とドロー
ローラー11のかわりに、第2フィードローラー9を段
付きローラーにしている。ここで第1フィードローラー
2aと2bを1つにすることも好んで行われる。
【0065】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて更に具体的に
説明する。
【0066】なお、実施例中下記の測定が行われた。 [レーザーラマン分光分析]装置としてはRamano
r T−64000(Jobin Yvon)を顕微ラ
マンとして用い、対物レンズを×100、光源としてA
r+レーザー(NEC GLG3460)の5145オ
ングストローム、分光器はSingleモードで180
0gr/mmの回折格子を用い、Slit幅 100μ
m、検出器としてCCD(Jobin Yvon 10
24×256)を用いた。繊維軸方向に平行な偏光配置
での1615cm-1ラマンバンドの強度をI
1615(P)、繊維軸方向に垂直な偏光配置での1615
cm-1ラマンバンドの強度をI1615(V)とした時、強
度比R=I1615(P)/I1615(V)と定義し、換算複
屈折Δn(×10−3)=275×(R−1)/(R+
2)と定義した。また、1730cm-1付近のラマンバ
ンドの半値全幅をΔν1730(cm-1)とした時、結晶化
度χ(%)はχ=100×((305−Δν1730)/2
09−1.335)/(1.455−1.335)と定
義した。ただし、換算複屈折は1軸延伸のフィルムを標
準として求めたものであり、結晶化度は、種々のPET
試料の半値幅から経験的に求められたものである。 [太部直径/細部直径(太細比)]測定する加工糸の任
意の場所で、全ての構成単糸を繊維軸方向に同じ位置に
て測定した。構成単糸を単糸同士が重ならないようにし
てプレパラートに固定し、流動パラフィンを1滴落とし
た後カバーグラスをかけ、透過顕微鏡下で単糸の側面か
ら見た直径を測定した。(異形断面糸に関しては適宜、
頂点などの測定点を決めて、その距離を測定する。)全
ての構成単糸の測定終了後、最も太い単糸の直径を太部
直径(μm)、最も細い単糸の直径を細部直径(μm)
として、太部直径/細部直径(太細比)と定義した。 [熱水収縮率]JIS L−1090の5.10のA法
(かせ収縮率)に準じた。ただし、糸をかせ状にしたサ
ンプルを粗布で包まずにロット棒につるした状態で、9
8℃の熱水中で5分間処理し測定した。 [自発伸長率]糸をかせ状にしたサンプルを98℃の熱
水で5分間処理後、一昼夜風乾した後の長さL1 を測定
し、次いで試料をさらに180℃のオーブン中で5分間
処理し、室温に冷却後の長さL2 を測定し、下記式で自
発伸長率を求めた。なお各々の糸長の測定は、0.1g
/dの荷重を懸垂した状態で行った。
【0067】 自発伸長率=100×(L2 −L1 )/L1 [染着差判定]また、染着差は交絡させない複合加工糸
を試作し、糸条AとBとに分離した後、糸条Aのみを適
切なゲージ数の筒編み機を用いて筒編みをおこない、常
圧で膨潤剤で下記条件で染色を実施した後、目視によっ
て染着差による杢の有無を確認した。
【0068】 <染色条件> 染料名:Foron Navy S−2GL Gran. 0.6%owf 膨潤剤:テトロシン PEC 5.0%owf 分散剤:サンソルト #120 1.0%owf 昇温速度:50℃〜98℃まで1℃/分 染色時間:98℃20分キープ後60℃まで冷却 [実施例1]ポリエチレンテレフタレートポリマーを常
法により溶融紡糸し、切断伸度182%の55デニー
ル、12フィラメントである供給糸条1aおよび1bを
高配向未延伸糸(以下、POY)として巻き取り、図1
のプロセスを用いて複合仮撚加工を実施した。図1にお
いて第1フィードローラー2a、2bの速度をともに3
64m/分、加熱回転体4を速度364m/分、温度1
10℃として糸条Aを加熱し、糸条Aが延伸されて糸条
Bよりも糸速度が速い状態で糸条Bと合流させ、仮撚回
転子8として外接型摩擦仮撚装置を用いて糸条Bと複合
仮撚加工を行い(D/Y比1.86)、ついで第2フィ
ードローラー9(速度600m/分)、ドローローラー
11間で交絡ノズル10によって交絡を付与し複合糸の
集束性を向上させて巻き取った。なお、合流点で糸条A
のほうが糸速度が速いことは合流部手前の繊度測定結果
と合流部を写真観察することで確認した。
【0069】本実施例によって得られた複合仮撚糸は糸
条Aと糸条Bを含む糸条とが収縮差と糸長差を有した高
収縮・低捲縮の芯鞘構造を取るものであった。さらに熱
処理した後、糸条Bは糸軸方向に沿った漸次変化する不
均一かつ短周期の太細構造と筋状の圧痕も有し、糸条A
は単糸の糸軸方向に漸次変化する太細構造を有してい
た。また、糸条AおよびBの物性を測定するために交絡
を付与しないで巻き取り、それぞれに分離して糸物性を
測定した。糸物性の結果を表1にまとめた。次いでこの
加工糸に1000回/mの実撚を付与し、緯密度89本
/吋、経密度79本/吋の平織物に製織したのち、常法
により染色仕上げ加工した。
【0070】このようにして得られた織物はソフトで張
り、腰、反発性に優れ、かつシルキー調の風合いを有し
ていた。また、織物表面の毛羽や染着差、仮撚加工糸特
有のグリッターも認められない高品位の織物であった。
また染着差判定用の筒編地にも染着差は見られなかっ
た。 [実施例2]実施例1と同じPOYを用い、図1のプロ
セスを用いて複合仮撚加工を実施した。図1において第
1フィードローラー2a、2bの速度をともに364m
/分、加熱回転体4を速度600m/分、温度110℃
としてその他は実施例1と同様に複合仮撚加工を行っ
た。
【0071】本実施例によって得られた複合仮撚糸は糸
条Aと糸条Bを含む糸条とが収縮差と糸長差を有した高
収縮・低捲縮の芯鞘構造を取るものであった。さらに熱
処理した後糸条Bは糸軸方向に沿った漸次変化する不均
一かつ短周期の太細構造と筋状の圧痕も有し、糸条Aは
単糸の糸軸方向に急激な太細構造を有していた。また、
糸条AおよびBの物性を測定するために交絡を付与しな
いで巻き取り、それぞれに分離して糸物性を測定した。
糸物性の結果を表1にまとめた。次いで実施例1と同様
に織物にして後染色仕上げ加工を行った。
【0072】このようにして得られた織物は、ソフトで
張り、腰、反発性に優れ、かつスパン調の風合いを有し
ていた。また、毛羽や仮撚加工糸特有のグリッターは認
められなかった。染着差判定用の筒編地表面の糸長手方
向に目視で容易に確認できる染着差が見られた。 [実施例3]実施例1と同じPOYを用い、図1のプロ
セスを用いて複合仮撚加工を実施した。図1において第
1フィードローラー2a、2bの速度をともに364m
/分、加熱回転体4を速度473m/分、温度110℃
としてその他は実施例1と同様に複合仮撚加工を行っ
た。
【0073】本実施例によって得られた複合仮撚糸は糸
条Aと糸条Bを含む糸条とが収縮差と糸長差を有した高
収縮・低捲縮の芯鞘構造を取るものであった。さらに熱
処理した後の芯側の糸条Bは糸軸方向に沿った漸次変化
する不均一かつ短周期の太細構造と筋状の圧痕も有し、
鞘側の糸条Aは単糸の糸軸方向に漸次変化する太細構造
を有していた。また、糸条AおよびBの物性を測定する
ために交絡を付与しないで巻き取り、それぞれに分離し
て糸物性を測定した。糸物性の結果を表1にまとめた。
次いで実施例1と同様に織物にして後染色仕上げ加工を
行った。
【0074】このようにして得られた織物は、ソフトで
張り、腰、反発性に優れ、かつシルキー調の風合いを有
していた。また、毛羽、仮撚加工糸特有のグリッターは
認められず、実施例1よりもふくらみのある素材となっ
ていた。染着差判定用の筒編地は表面に現れた鞘側糸条
を念入りに確認すると、ごく弱い染着差が見られたが全
体としてはほとんど無視できるものであり、杢効果を認
められるほどの表面効果を奏するものにはならなかっ
た。 [比較例1]実施例1と同じPOYを用い、図1のプロ
セスを用いて、加熱回転体4の代わりに接触型ヒーター
を温度110℃で用い、その他は実施例1と同様に複合
仮撚加工を行った。
【0075】本実施例によって得られた複合仮撚糸は糸
条Aと糸条Bを含む糸条とが収縮差と糸長差を有した高
収縮・低捲縮の芯鞘構造を取るものであった。さらに熱
処理した後の芯側の糸条Bは糸軸方向に沿った漸次変化
する不均一かつ短周期の太細構造と筋状の圧痕も有して
いたが、鞘側の糸条Aは太細構造を有してはいなかっ
た。また、糸条AおよびBの物性を測定するために交絡
を付与しないで巻き取り、それぞれに分離して糸物性を
測定した。糸物性の結果を表1にまとめた。次いで実施
例1と同様に織物にして後染色仕上げ加工を行った。
【0076】このようにして得られた織物は、ソフトで
張り、腰、反発性を有していたものの、どちらかといえ
ば梳毛感を有し、シルキー調やスパン調の風合いとは異
なっていた。また、仮撚加工糸特有のグリッターは認め
られなかったが、若干ではあるが毛羽が認められた。
【0077】
【表1】
【0078】
【発明の効果】本発明によれば、仮撚捲縮と収縮率差を
持つ少なくとも2種類の加工糸が、単繊維の長手方向に
それぞれ太細構造を持つことによって自然感またはドラ
イ感を有し、ソフトで張り、腰、反発性に富み、しかも
実質的に毛羽を発生させずに、シルキー調またはスパン
調の素材を実現できる。また、回転加熱体の速度を適宜
設定することによって繊維軸方向の太細構造の分散状態
を比較的自由にコントロールすることができ、様々な風
合い設計が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合仮撚糸の製造方法の一例を模式的
に示した概略図である。
【図2】本発明の構成糸Aの漸次変化する太細構造の一
例を模式的に示した概略図である。
【図3】本発明の構成糸Aの急激に変化する太細構造の
一例を模式的に示した概略図である。
【図4】本発明の複合仮撚糸の製造方法の他の一例を模
式的に示した概略図である。
【図5】本発明の複合仮撚糸の製造方法のさらに他の一
例を模式的に示した概略図である。
【図6】図5の工程を側面から見たときの概略図であ
る。
【符号の説明】
A、B :糸条 1a、1b :供給原糸 2a、2b :第1フィードローラー 3、3a、3b:加熱ローラー 4、4a、4b:分離ローラー 5、5a、5b:加熱回転体 6 :糸道規制ガイド 7 :冷却板 8 :仮撚回転子 9 :第2フィードローラー 10 :交絡ノズル 11 :ドローローラー 12 :巻き取りパッケージ 13 :細部 14 :太部 P :合流点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D01F 6/62 303 D01F 6/62 303H

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】仮撚捲縮を有する少なくとも2本の構成糸
    Aおよび構成糸Bからなる複合加工糸であって、該2本
    の構成糸は収縮率差を有し、収縮率の大なる構成糸Bを
    構成する単繊維が糸軸方向に沿って漸次変化してなる太
    い部分と細い部分を有するとともに、収縮率の小なる構
    成糸Aを構成する単繊維も糸軸方向に沿って太い部分と
    細い部分を有することを特徴とする複合加工糸。
  2. 【請求項2】少なくとも前記構成糸Bがポリエステルマ
    ルチフィラメントであり、該構成糸Bは、熱水処理によ
    る収縮後に乾熱処理することにより0.1〜25%とな
    る自発伸長性を有し、かつ、複屈折の最小値が60×1
    -3以上で、単繊維の繊維軸方向に複屈折の範囲(R)
    が30×10-3以上、かつ構成単繊維間の複屈折の範囲
    (R)が30×10-3以上であることを特徴とする請求
    項1に記載の複合加工糸。
  3. 【請求項3】前記構成糸Aが構成単繊維の繊維軸方向に
    漸次変化してなる太細構造を有し、繊維軸方向の同一点
    上における構成単繊維の太細比が、太部直径/細部直径
    =1.1〜5であることを特徴とする請求項1または2
    に記載の複合加工糸。
  4. 【請求項4】前記構成糸Aが構成単繊維の繊維軸方向に
    急激に変化してなる太細構造を有し、繊維軸方向の同一
    点上における構成単繊維の太細比が、太部直径/細部直
    径=1.06〜2であることを特徴とする請求項1また
    は2に記載の複合加工糸。
  5. 【請求項5】構成糸相互の熱水収縮率差が5〜85%で
    あり、該複合加工糸の熱水収縮率が10〜90%である
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複合
    加工糸。
  6. 【請求項6】前記構成糸Aの熱水収縮率が10〜70%
    であるとともに、熱水処理により収縮し、その後乾熱処
    理することにより自発伸長性を有することを特徴とする
    請求項1〜5のいずれかに記載の複合加工糸。
  7. 【請求項7】前記構成糸Aの熱水収縮率が5〜20%で
    あるとともに、熱水処理により収縮し、その後乾熱処理
    することにより収縮することを特徴とする請求項1〜5
    のいずれかに記載の複合加工糸。
  8. 【請求項8】前記構成糸Aは実質的に染着差を有さない
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の複合
    加工糸。
  9. 【請求項9】前記構成糸Aは繊維軸方向に染着差を有す
    ることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の複
    合加工糸。
  10. 【請求項10】前記構成糸Bを構成する単繊維の繊維軸
    方向の一部に筋状の圧痕を持つことを特徴とする請求項
    1〜9のいずれかに記載の複合加工糸。
  11. 【請求項11】少なくとも1本がポリエステル糸条であ
    る少なくとも2本の糸条Aおよび糸条Bを複合仮撚する
    に際し、該複数の糸条を同速度または異速度でフィード
    ローラーに供給後、少なくとも一方の糸条Aを加熱回転
    体に巻回して加熱処理することにより、糸条Aおよび糸
    条Bを温度差を有した状態で仮撚回転子の施撚作用によ
    り合流させ、かつ糸条Aはフィードローラーから糸条B
    と合流する間に延伸されて合流点にて糸条Bよりも糸速
    度が速いことを特徴とする複合加工糸の製造方法。
  12. 【請求項12】前記少なくとも2本の糸条Aおよび糸条
    Bが、半延伸糸、未延伸糸、延伸糸、および延伸部と非
    延伸部が交互に存在してなるシックアンドシン糸からな
    る群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性合成繊維で
    あることを特徴とする請求項11に記載の複合加工糸の
    製造方法。
  13. 【請求項13】前記加熱回転体と仮撚回転子の下流に設
    けられた第2フィードローラーとの間において前記糸条
    Aに延伸を施すことを特徴とする請求項11または12
    に記載の複合加工糸の製造方法。
  14. 【請求項14】前記フィードローラーと加熱回転体の間
    において前記糸条Aに延伸を施すことを特徴とする請求
    項11〜13のいずれかに記載の複合加工糸の製造方
    法。
  15. 【請求項15】前記加熱回転体の温度が糸条AのTg
    (ガラス転移温度)以上であり、前記糸条AとBとの温
    度差が5〜200℃であることを特徴とする請求項11
    〜14のいずれかに記載の複合加工糸の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009287132A (ja) * 2008-05-28 2009-12-10 Toray Opelontex Co Ltd 仮ヨリ糸

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