JP2000192339A - 複合仮撚加工糸の製造方法およびその仮撚加工装置 - Google Patents

複合仮撚加工糸の製造方法およびその仮撚加工装置

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JP2000192339A
JP2000192339A JP10369503A JP36950398A JP2000192339A JP 2000192339 A JP2000192339 A JP 2000192339A JP 10369503 A JP10369503 A JP 10369503A JP 36950398 A JP36950398 A JP 36950398A JP 2000192339 A JP2000192339 A JP 2000192339A
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heating
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Shuichi Nonaka
修一 野中
Kakuji Murakami
確司 村上
Tsugihiko Kai
二男子 甲斐
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ウールや絹が持つ風合い、つまり張り、腰、反
発性、ふくらみ感に富み、しかもスパン調風合いを有す
る複合仮撚加工糸を毛羽の発生を抑えて安定に加工可能
にする製造方法を提供する。 【解決手段】複数の糸条を用いて、延伸作用を伴う複合
仮撚加工をするに際し、少なくとも一の糸条を第1の加
熱回転体に巻回して、加熱処理に引き続き延伸した後、
さらに第2の加熱回転体に巻回して加熱処理を施した加
熱状態にある糸条とし該糸条の温度よりも低い温度であ
る別の糸条とを仮撚の施撚作用により撚合して仮撚加工
する。糸条が走行する順に少なくとも供給ローラー、第
1の加熱回転体、合流ガイド、仮撚回転子、引取ローラ
ーから構成された仮撚加工装置において、上記第1の加
熱回転体と合流ガイドとの間に第2の加熱回転体が設置
されていることを特徴とする仮撚加工装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は複合仮撚加工糸の製
造方法に関し、さらに詳しくはソフトで張り、腰、反発
性、ふくらみ感に富み、しかもスパン調風合いを有する
複合仮撚加工糸を染め斑による杢を制御し、毛羽の発生
を抑えて安定に加工可能にする製造方法および複合仮撚
加工を実施するに好適な仮撚加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、複合仮撚加工糸としては伸度
差を有する2本の糸条を引き揃えて仮撚加工したり、或
いはフィード率に差を付けた2本の糸条を仮撚加工して
芯鞘構造にした複合仮撚加工糸を得る方法がよく知られ
ている。しかしながら、これら前記従来の方法で得られ
た複合仮撚加工糸は、いずれも高捲縮性であったり、高
嵩高性であるため風合いの面でふかつき感が大きく、ま
た仮撚加工特有のグリッターを有していることが審美性
の点から問題とされていた。
【0003】前者の高捲縮性や高嵩高性の対策として
は、中強撚の追撚を行うことによりふかつき感を抑制し
たり、またグリッターの対策としては多角断面糸を使用
することにより緩和せしめるようにするものがあるが、
いずれもコスト高を招くなどするため必ずしも満足な対
策と言えるものではなかった。
【0004】そこで、特開平9−78385号公報に
は、2種の糸条を温度差を有した状態で、仮撚回転子の
施撚作用によって合流させる方法が開示されている。し
かしながら、この方法では、ソフトで、張り、腰、反発
性に富むものの、糸条加熱時に糸条が擦過されやすく、
特に細繊度の糸条を加工する場合には毛羽が発生しがち
あった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した従来の問題を解消しウールや絹が持つ風合い、つま
り張り、腰、反発性、ふくらみ感に富み、しかもスパン
調風合いを有する複合仮撚加工糸を染め斑による杢を制
御し、毛羽の発生を抑えて安定に加工可能にする製造方
法およびそれに好適な仮撚加工装置を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明による複合仮撚加工糸の製造方法は次の構成を有す
る。
【0007】すなわち、複数の糸条を用いて、延伸作用
を伴う複合仮撚加工をするに際し、少なくとも一の糸条
を第1の加熱回転体に巻回して加熱し延伸した後、さら
に第2の加熱回転体に巻回して加熱し、この加熱状態に
ある糸条と、該糸条の温度よりも低い温度である他の糸
条とを仮撚の施撚作用により撚合して仮撚加工するもの
である。
【0008】このように少なくとも第1の加熱回転体に
巻回して、加熱処理に引き続き延伸した後、さらに第2
の加熱回転体に巻回して加熱処理した高温の糸条と、こ
れよりも低温の糸条とを合糸して仮撚加工することによ
って、相互の糸条間で熱の授受が行われ、低温側の糸条
が高温側の糸条により糸軸方向および直径方向に不均一
に加熱処理される。このことによって低温側の糸条は単
糸内および単糸間で内部構造や繊維形状に変化を付与さ
れる。これらの変化は、フリーで熱処理することにより
単繊維の糸軸方向には不均一かつ短周期の太細構造を発
現するため、従来の仮撚加工糸とは似ても似つかぬ緩波
状の捲縮を呈する。また、断面変形が小さいため仮撚加
工糸特有のグリッターも改善することができる。
【0009】また、これらの現象は繊維物性の面でも単
繊維の糸軸方向に短周期での収縮率や初期引張低高度
(ヤング率)変化として現れる。このような特性の複合
仮撚加工糸を布帛にし、染色などの後加工工程で熱処理
すると布帛内で短周期の形態差、捲縮差等の特異構造を
顕在化させて単繊維に微小空隙やズレを形成する。この
ような微小空隙やズレによって布帛にウール風合いのソ
フトで張り、腰、反発性、ふくらみ感が付与される。
【0010】さらに、低温側の糸条は熱水処理により収
縮し、その後乾熱処理することで自発伸長性を有するこ
とができる。このような特性の複合仮撚加工糸を布帛に
し、精練工程などの熱水処理後、セット工程などの感熱
処理を施すことにより、布帛内に微小空隙やズレを形成
する。このような微小空隙やズレによって布帛に張り、
腰、反発性、ふくらみ感がより一層付与される。
【0011】一方、高温側の糸条は第1の加熱回転体で
加熱処理に引き続き延伸され、さらに第2の加熱回転体
で熱固定される。このように第1の加熱回転体で加熱さ
れた状態で延伸した後、さらに第2の加熱回転体で熱固
定することによって十分な構造固定が施されることとな
る。これらのことによって、前記低温側の糸条との間に
大きな収縮差を有することとなる。これら低温側および
高温側の糸条からなる複合糸を布帛にし染色などの後加
工工程で熱処理すると前記低温側の糸条と十分に熱固定
された高温側の糸条との間には大きな収縮差による糸長
差を発現するため、スパン風合いを有する布帛を得るこ
とができる。
【0012】さらに、第1の加熱回転体の温度と第1の
加熱回転体と第2の加熱回転体の間で少なくとも一の加
熱処理される糸条の延伸倍率を調整することにより、前
記高温側の糸条の延伸斑をコントロールした複合加工糸
が得られ、これを布帛にして染色すると杢をコントロー
ルした布帛が得られる。
【0013】しかも、本発明では、少なくとも2本の糸
条に温度差を与えるための加熱手段として加熱回転体を
使用し、この加熱回転体に糸条を巻回、共回りさせなが
ら加熱処理するため、糸条の擦過による毛羽の発生を抑
制して、安定状態に、かつ高速処理することができるこ
とにより、高速加工を可能にする。また、加熱回転体は
糸条を複数回にわたり巻回して加熱できるため、装置を
コンパクトにしながら効率的な熱処理を行うことができ
る。
【0014】また、本発明による複合仮撚加工糸の仮撚
加工装置は、次の構成を有する。
【0015】すなわち、糸条が走行する方向順に供給ロ
ーラー、第1の加熱回転体、合流ガイド、仮撚回転子、
引取ローラーが設けられてなる仮撚加工装置において、
前記第1の加熱回転体と前記合流ガイドとの間に第2の
加熱回転体が設置されている仮撚加工装置である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明に用いる糸条としては、加
熱によって内部構造変化する熱可塑性重合体であれば特
に限定されず、例えば、ポリアミド繊維、ポリエステル
繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊
維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリプロピレン繊維、ポ
リ乳酸繊維、ポリプロピレンテレフタレート繊維などの
熱可塑性の合成繊維を挙げることができ、特にポリアミ
ド繊維、ポリエステル繊維は好適である。
【0017】糸条の形態として延伸糸、半延伸糸、未延
伸糸のいずれであってもよい。また、繊度、フィラメン
ト数、断面形状、染着性、光沢、撚の有無なども任意で
よく、強伸度、収縮率、ヤング率などの物理特性も任意
でよい。また、少なくとも2本の糸条の組み合わせとし
ては、その種類、形態、形状或いは物性などが相互に同
じであっても、異なっていてもよく、特に限定されるも
のではない。
【0018】本発明において、複合仮撚加工に供する少
なくとも2本の糸条のうち、少なくとも一の糸条は、加
熱処理することによって高温状態にする必要がある。こ
の高温状態にした糸条に合糸される他方の糸条は、加熱
処理を施しても、施さなくても何れでもよいが、少なく
とも両糸条が合糸される点においては上記高温状態にし
た糸条よりも、低温の状態にしておく必要がある。
【0019】上記のように糸条を加熱処理するための加
熱手段としては、加熱回転体を使用するものとし、この
加熱回転体に糸条を巻回させて共回りさせながら加熱処
理するようにする。このように加熱回転体による加熱処
理により、糸条は加熱体との相対移動による擦過を受け
ないため、毛羽の発生を抑制することができ、しかも安
定に高速処理することができることにより、高速加工を
可能にする。また、加熱回転体に糸条を複数回にわたり
巻回させるようにして加熱することができるため、必要
量の熱処理をするに際しても、熱処理装置をコンパクト
にしながら効率的に行うことができる。
【0020】加熱回転体としては、一対の加熱ローラー
と分離ローラーから構成されたネルソンニップ機構を用
いたローラーを使用することが好ましい。このようなネ
ルソンニップ機構を用いたローラーを使用すれば、糸条
をローラー軸方向に小さなピッチでずらせながら多数回
にわたり巻回させることができるので、熱処理装置をコ
ンパクトにしながら必要十分な熱処理を施すことが可能
になる。
【0021】少なくとも一の糸条を加熱処理する第1の
加熱回転体の温度は、室温から(糸条の軟化点温度−2
0)℃の範囲が好ましい。この範囲内でも、第1の加熱
回転体の温度を室温〜糸条のガラス転移点温度の範囲に
設定し糸条を熱処理すると、その後、第1の加熱回転体
と第2の加熱回転体の間で糸条に延伸処理を施すことに
より糸条に延伸斑ができ、高温側の糸条は糸軸方向に染
着差を有する糸条となるので好ましい。第1の加熱回転
体の温度を室温から糸条のガラス転移点温度の範囲に設
定して得た複合仮撚加工糸を織編物にし、該織編物を染
色加工を施すことにより自然感のある杢調のものに仕上
げることができる。このとき、少なくとも一の加熱処理
される糸条の延伸倍率を調整して、杢調の強弱をコント
ロールすることができる。また、第1の加熱回転体の温
度を糸条のガラス転移点温度から(糸条の軟化点温度−
20)℃の範囲に設定し糸条を熱処理すると、その後、
第1の加熱回転体と第2の加熱回転体の間で糸条に延伸
処理を施すことにより糸条に均一な延伸またはマイルド
な斑延伸処理を施すことができ、高温側の糸条は糸軸方
向に染着差を有さない糸条または糸軸方向にマイルドな
染着差を有する糸条となるので好ましい。このとき、第
1の加熱回転体と第2の加熱回転体の間の糸条の延伸倍
率を糸条の(自然延伸倍率×1.2)から糸条の切断伸
度未満に設定し、第1の加熱回転体の温度を糸条のガラ
ス転移点温度から(糸条の軟化点温度−20)℃の範囲
に設定して得た複合仮撚加工糸を布帛にし染色加工を施
すことにより染め斑のないものに仕上げることができ、
第1の加熱回転体と第2の加熱回転体の間の糸条の延伸
倍率を糸条の(自然延伸倍率×1.2)未満に設定し、
第1の加熱回転体の温度を糸条のガラス転移点温度から
(糸条の軟化点温度−20)℃の範囲に設定して得た複
合仮撚加工糸を布帛にし染色加工を施すことによりマイ
ルドで自然感のある杢調のものに仕上げることができ
る。
【0022】少なくとも一の糸条を加熱処理する第2の
加熱回転体の温度は、糸条のガラス転移点温度から(糸
条の軟化点温度−20)℃の範囲が好ましく、また、低
温側の糸条との温度差としては、5〜200℃の範囲に
するのが好ましい。
【0023】第2の加熱回転体の温度が、糸条のガラス
転移点温度よりも低かったり、また低温側の糸条との温
度差が5℃よりも低かったりすると、低温側の糸条に対
する熱交換が十分に行われなくなり、それによって上述
した熱交換による内部構造の変化作用を奏することが難
しくなる。また、第2の加熱回転体の温度が、糸条のガ
ラス転移点温度よりも低いと、高温側の糸条は第2の加
熱回転体で熱固定されず、十分な構造固定が施されるこ
とが難しくなる。このことによって、前記低温側の糸条
との間に大きな収縮差を有さなくなり、これら低温側お
よび高温側の糸条からなる複合糸を布帛にし染色などの
後加工で熱処理しても前記低温側の糸条と高温側の糸条
との間には大きな収縮差による糸長差を発現することが
できず、スパン調風合いを有する布帛を得ることが難し
くなる。また、第2の加熱回転体の温度が(糸条の軟化
点温度−20)℃よりも高かったり、温度差が200℃
よりも高かったりする場合には、加工糸が熱劣化しやす
く、加工が不安定になりやすい。
【0024】前記高温側の糸条は第2の加熱回転体で熱
処理を施した後、延伸処理を施さなくても施してもよい
が、延伸処理を施すことにより収縮率を抑えた高温側の
糸条の収縮率が大きくなり、前記低温側の糸条との間の
収縮差が小さくなる。これら前記低温側および高温側の
糸条からなる複合糸を布帛にし染色などの後加工で熱処
理すると前記低温側の糸条と高温側の糸条との間には収
縮差による糸長差が発現しにくく、スパン風合いを有す
る布帛を得ることが難しくなる方向にあるので、高温側
の糸条は第2の加熱回転体で熱処理を施した後は延伸処
理を施さないほうが好ましい。
【0025】少なくとも2本の糸条を複合仮撚加工工程
に供するときのフィード率としては、該糸条の相互間に
差を与えても与えなくてもよいが、供給するときの糸の
特性に応じて安定に加工糸が得られるようにフィード率
を設定することが好ましい。
【0026】また、本発明において、少なくとも2本の
温度差が与えられた糸条の糸速は特に限定されるもので
はないが、好ましくは合流点直前において、高温側の糸
条の糸速Vaが低温側の糸条の糸速Vbよりも大きく
(Va>Vb)なるように設定するのがよい。このよう
に糸速を設定することにより、低温側の糸条に対する熱
処理効果を向上し、前述した本発明によってもたらされ
る複合仮撚加工糸のソフトな張り、腰、反発性を一層顕
著にすることができる。
【0027】仮撚加工後の糸条は必要により流体加工処
理を施してから巻き取るか、或いは実撚を施して巻き取
ることが好ましい。このように仮撚加工後の糸条に交絡
或いは実撚を与えることにより、上述した加熱処理を加
熱回転体を使用することにより発生を抑制した毛羽に加
えて、その毛羽の発生を一層抑制することができ、以後
の高次工程に供したときの工程通過性を良好にすること
ができる。
【0028】図1は本発明による複合仮撚加工糸の製造
方法および複合仮撚加工を実施するに好適な仮撚加工装
置の一例を示すものである。
【0029】図1において、供給側には糸条Aが巻き取
られた供給糸のパッケージ1aと、糸条Bが巻き取られ
た供給糸のパッケージ1bとの2種類が設置されてい
る。各供給糸のパッケージ1a、1bに近接配置した供
給ローラー2a、2bと、この2者に共通する引取ロー
ラー12との間には、合流ガイド9、冷却板10、仮撚
回転子11が配置されており、かつ供給糸のパッケージ
1a側の供給ローラー2aと合流ガイド9との間には第
1の加熱回転体5、第2の加熱回転体8が配設されてい
る。この第1の加熱回転体5は、一対の加熱ローラー3
と分離ローラー4とから、第2の加熱回転体8は一対の
加熱ローラー6と分離ローラー7とからなるネルソンニ
ップ機構を用いたローラーとして構成されている。さら
に引取ローラー12の下流側には、仮撚加熱後の糸条に
対し圧縮空気により交絡を付与する交絡ノズル13が設
けられ、その交絡が付与された複合仮撚加工糸を送りロ
ーラー14を経て巻取糸のパッケージ15に巻き上げら
れるようになっている。
【0030】一方の供給糸のパッケージ1aから供給ロ
ーラー2aにより引き出された糸条Aは、他方の供給糸
のパッケージ1bから引き出された糸条Bとの合流点P
に達する前に、予め一対の加熱ローラー3と分離ローラ
ー4からなる第1の加熱回転体5の回りに少しずつロー
ラー軸方向にピッチをずらせながら複数回巻回されるこ
とにより加熱処理されて、この糸条は第1の加熱回転体
5と第2の加熱回転体8との間で延伸される。さらに一
対の加熱ローラー6と分離ローラー7からなる第2の加
熱回転体8の回りに少しずつローラー軸方向にピッチを
ずらせながら複数回巻回されることにより加熱処理が施
されることによって収縮率が抑制され十分に熱固定され
た高温の糸条になる。他方の供給糸のパッケージ1bか
ら引き出された糸条Bは熱処理されず、糸条Aよりも低
い温度の糸条として合流点Pに達する。このように供給
ローラー2a、2bからそれぞれ引き出される2本の糸
条A、Bの供給速度としては、同速度であっても或いは
互いに異速度であってもよいが、好ましくは合流点Pの
直前において、高温側の糸条Aの糸速Vaが低温側の糸
速Vbよりも速くなるように(Va>Vb)設定するの
がよい。
【0031】合流点Pで合糸された2本の糸条A、B
は、引取ローラー12に引き取られながら仮撚回転子1
1の上流側で加撚され、下流側で解撚されることにより
仮撚加工される。このように仮撚加工されるとき、仮撚
回転子11の上流側で撚り合わされた状態の糸条A、B
は、その撚り合わせ状態を維持しながら低温側の糸条B
が高温側の糸条Aによって加熱されることにより、糸軸
方向および直径方向に不均一に加熱処理される。そのた
め、単糸内および単糸間において内部構造や繊維形状に
変化を来たし、単繊維の糸軸方向には不均一かつ短周期
の太細構造や短周期の収縮差を発生する。
【0032】上記のように仮撚加工が行われるとき、糸
条Aの加熱処理を第1の加熱回転体5、第2の加熱回転
体8に巻回させて共回りするようにして行うことによっ
て、糸条Aが第1の加熱回転体5、第2の加熱回転体8
に対して相対移動を生じないため、擦過に起因する毛羽
を発生を抑制し、張力変動を小さく安定化させ、また高
速処理を可能にすることができることにより、高速加工
を可能にする。
【0033】また、第1の加熱回転体5、第2の加熱回
転体8に糸条Aを多数回巻回するため、コンパクトな装
置にしながら、かつ必要十分な熱量を与える加熱処理を
行うことができる。また、糸条A、Bの供給速度とし
て、合流点Pの直前における糸速を、高温側の糸条Aの
糸速Vaの方が低温側の糸条Bの糸速Vbよりも速い
(Va>Vb)ように設定する場合には、低温側の糸条
Bに対して高温の糸条Aから伝達する熱量を十分にし、
本発明の目的とするソフトな張り、腰、反発性、ふくら
み感を一層良好にすることができる。
【0034】上記のようにして得られた複合仮撚加工糸
は、引取ローラー12と送りローラー14との間で交絡
ノズル13により交絡処理された後、巻取糸のパッケー
ジ15に巻き上げられる。或いは、図1中に波線で示す
ように、交絡ノズル13により交絡を付与することなく
リング撚糸機16により実撚を付与しながらパーン17
に巻き上げるようにしてもよい。また、交絡ノズルによ
る交絡とリング撚糸機による実撚の付与とを併用して、
さらに集束性を向上させて巻き上げるようにしてもよ
い。このように複合仮撚加工糸に交絡或いは実撚を付与
することにより、複合仮撚加工糸の集束性を向上し、高
次加工工程における工程通過性を一層良好にすることが
できる。
【0035】
【実施例】実施例1 ポリエチレンテレフタレートを常法により高速で溶融紡
糸することにより、55デニール−12フィラメント、
強度2.3g/d、切断伸度182%である半延伸糸の
ポリエステル糸条AおよびBを得た。
【0036】上記ポリエステル糸条A、Bを、それぞれ
図1に示す仮撚加工工程(仮撚回転子:外接型摩擦仮撚
装置)に糸条A、Bとして仕掛け、両糸条A、Bの供給
ローラー2a、2bの速度を共に同じ333m/分、第
1の加熱回転体の加熱ローラー3の速度を333m/
分、第2の加熱回転体の加熱ローラー6の速度を600
m/分、引取ローラー12の速度を600m/分にし、
かつ糸条Aを処理する第1の加熱回転体の加熱ローラー
3の温度を90℃、第2の加熱回転体の加熱ローラー6
の温度を110℃に設定して複合仮撚加工し(仮撚ディ
スク表面速度/加工速度比1.86)、複合仮撚加工糸
(61デニール)を得た。
【0037】上記複合仮撚加工糸に1000回/mの撚
りを付与し、経密度100本/インチ、緯密度90本/
インチの平織物に製織したのち、この織物を常法(リラ
ックス精練−乾燥−中間セット−アルカリ減量−染色−
仕上げセット)により染色仕上げ加工した(アルカリ減
量率20%)。仕上がった織物の密度は経密度120本
/インチ、仕上げ緯密度112本/インチであった。
【0038】このようにして得られた織物は、ソフトで
張り、腰、反発性、ふくらみ感に優れ、かつスパン調風
合いを有していた。また、仮撚加工糸特有のグリッター
も認められず、かつ毛羽も全く認められない高品位の織
物であった。
【0039】実施例2 実施例1のポリエステル糸条Aにポリエチレンテレフタ
レートを常法により高速で溶融紡糸することにより得ら
れた、55デニール−36フィラメント、強度2.4g
/d、切断伸度190%である半延伸糸を使用した以外
は実施例1と同様の加工条件によって複合仮撚加工糸
(61デニール)を得た。次いで、この複合仮撚加工糸
を実施例1と同じ1000回/mの撚りを付与し、経密
度100本/インチ、緯密度90本/インチの平織物に
製織したのち、この織物を常法により染色仕上げ加工し
た(アルカリ減量率20%)。仕上がった織物の密度は
経密度119本/インチ、仕上げ緯密度110本/イン
チであった。
【0040】このようにして得られた織物は、張り、
腰、反発性に優れ、単糸繊度のより小さい糸条を高温側
糸条Aに使用したことにより、より一層ソフトでふくら
み感に優れ、スパン調風合いを有していた。また、毛羽
や仮撚加工糸特有のグリッターも認められない上品な織
物に仕上がった。
【0041】実施例3 実施例1と同じポリエステル糸条A、Bを用い、糸条A
を処理する第1の加熱回転体の加熱ローラー3の温度を
室温に設定した以外は実施例1と同様の加工条件によっ
て複合仮撚加工糸(61デニール)を得た。次いで、こ
の複合仮撚加工糸を実施例1と同じ1000回/mの撚
りを付与し、経密度100本/インチ、緯密度90本/
インチの平織物に製織したのち、この織物を常法により
染色仕上げ加工した(アルカリ減量率20%)。仕上が
った織物の密度は経密度121本/インチ、仕上げ緯密
度113本/インチであった。
【0042】このようにして得られた織物は、ソフトで
張り、腰、反発性、ふくらみ感に優れ、かつスパン調風
合いを有していた。また、仮撚加工糸特有のグリッター
も認められず、かつ毛羽も全く認められない自然感のあ
る杢調の織物であった。
【0043】実施例4 実施例1と同じポリエステル糸条A、Bを用い、糸条B
の供給ローラー2bの速度を373m/分、第1の加熱
回転体の加熱ローラー3の速度を373m/分に設定し
た以外は実施例1と同様の加工条件によって複合仮撚加
工糸(65デニール)を得た。次いで、この複合仮撚加
工糸を実施例1と同じ1000回/mの撚りを付与し、
経密度90本/インチ、緯密度80本/インチの平織物
に製織したのち、この織物を常法により染色仕上げ加工
した(アルカリ減量率20%)。仕上がった織物の密度
は経密度114本/インチ、仕上げ緯密度106本/イ
ンチであった。
【0044】このようにして得られた織物は、ソフトで
張り、腰、反発性、ふくらみ感に優れ、かつスパン調風
合いを有していた。また、仮撚加工糸特有のグリッター
も認められずマイルドな自然感のある杢調を有し、かつ
毛羽も全く認められない高品位の織物であった。
【0045】比較例1 図1の仮撚工程において、第1の加熱回転体の代わりに
温度110℃に加熱した熱板を使用した以外は、実施例
1と同様の糸条A、Bとの加工条件によって複合仮撚加
工糸(67デニール)を得た。次いで、この複合仮撚加
工糸を実施例1と同じ1000回/mの撚りを付与し、
経密度90本/インチ、緯密度80本/インチの平織物
に製織したのち、この織物を常法により染色仕上げ加工
した(アルカリ減量率20%)。仕上がった織物の密度
は経密度106本/インチ、仕上げ緯密度100本/イ
ンチであった。
【0046】このようにして得られた織物は、ハリ、
腰、反発性に富むものの織物の一部に毛羽が認められ、
実施例1、2で得られた織物に比べると品位がやや劣っ
ていた。
【0047】
【発明の効果】上記のように、本発明の製造方法によれ
ば、単繊維の糸軸方向に不均一かつ短周期の太細構造を
発生した緩波状の捲縮を呈し、仮撚加工特有のグリッダ
ーのない複合仮撚加工糸が得られ、これを布帛にして染
色などの後加工で熱処理を施すと布帛内の単繊維に微小
空隙やズレを形成することによって、ウールや絹風合い
の張り、腰、反発性、ふくらみ感を有す布帛が得られ
る。
【0048】一方、前記低温側の糸条と十分に熱固定さ
れた高温側の糸条との間に大きな収縮差を有する複合仮
撚加工糸が得られ、これを布帛にして染色などの後加工
で熱処理すると前記低温側の糸条と前記高温側の糸条と
の間には大きな収縮差を発現するため、スパン調風合い
を有す布帛が得られる。
【0049】さらに、第1の加熱回転体の温度と第1の
加熱回転体と第2の加熱回転体の間で少なくとも一の加
熱処理される糸条の延伸倍率を調整することにより、前
記高温側の糸条の延伸斑をコントロールした複合加工糸
が得られ、これを布帛にして染色すると杢をコントロー
ルした布帛が得られる。
【0050】しかも、少なくとも2本の糸条に温度差を
与えるための加熱手段として加熱回転体を使用し、この
加熱回転体に糸条を巻回、共回りさせながら加熱処理す
るため、糸条に擦過による毛羽の発生を抑制して、安定
状態に、かつ高速処理することができることにより、高
速加工を可能にする。また、加熱回転体に糸条を複数回
にわたり巻回させることができるため、装置をコンパク
トにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における複合仮撚加工糸の製造方法の一
例を示す工程図である。
【符号の説明】
A、B :糸条 1a、1b:供給糸のパッケージ 2a、2b:供給ローラー 3 :第1の加熱回転体の加熱ローラー 4 :第1の加熱回転体の分離ローラー 5 :第1の加熱回転体 6 :第2の加熱回転体の加熱ローラー 7 :第2の加熱回転体の分離ローラー 8 :第2の加熱回転体 9 :合流ガイド 10 :冷却板 11 :仮撚回転子 12 :引取ローラー 13 :交絡ノズル 14 :送りローラー 15 :巻取糸のパッケージ 16 :リング撚糸機 17 :パーン P :合流点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L036 AA01 MA04 MA24 MA25 MA26 MA40 PA01 PA06 PA17 PA21 PA41 UA01 UA21

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の糸条を用いて、延伸作用を伴う複合
    仮撚加工をするに際し、少なくとも一の糸条を第1の加
    熱回転体に巻回して加熱し延伸した後、さらに第2の加
    熱回転体に巻回して加熱し、この加熱状態にある糸条
    と、該糸条の温度よりも低い温度である他の糸条とを仮
    撚の施撚作用により撚合して仮撚加工を施すことを特徴
    とする複合仮撚加工糸の製造方法。
  2. 【請求項2】前記加熱回転体が一対の加熱ローラーと分
    離ローラーとから構成されたネルソンニップ機構を用い
    たローラーであり、該ネルソンニップ機構を用いたロー
    ラーに糸条を複数回にわたり巻回して加熱することを特
    徴とする請求項1に記載の複合仮撚加工糸の製造方法。
  3. 【請求項3】前記第1の加熱回転体の温度が室温から
    (糸条の軟化点温度−20)℃の範囲とすることを特徴
    とする請求項1または2に記載の複合仮撚加工糸の製造
    方法。
  4. 【請求項4】前記第2の加熱回転体の温度が糸条のガラ
    ス転移点温度から(糸条の軟化点温度−20)℃の範囲
    であり、少なくとも2本の糸条の合流点直前において、
    前記低温側の糸条と前記高温側の糸条との温度差が5〜
    200℃であることを特徴とする請求項1〜3いずれか
    に記載の複合仮撚加工糸の製造方法。
  5. 【請求項5】前記少なくとも2本の糸条の合流点直前に
    おいて、高温側の糸条の糸速Vaが低温側の糸条の糸速
    Vbよりも大であることを特徴とする請求項1〜4いず
    れかに記載の複合仮撚加工糸の製造方法。
  6. 【請求項6】仮撚加工後の糸条に流体交絡加工を施して
    巻き取ることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載
    の複合仮撚加工糸の製造方法。
  7. 【請求項7】仮撚加工後の糸条に実撚を施して巻き取る
    ことを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の複合仮
    撚加工糸の製造方法。
  8. 【請求項8】糸条が走行する方向順に供給ローラー、第
    1の加熱回転体、合流ガイド、仮撚回転子、引取ローラ
    ーが設けられてなる仮撚加工装置において、前記第1の
    加熱回転体と前記合流ガイドとの間に第2の加熱回転体
    が設置されていることを特徴とする仮撚加工装置。
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