JPH11335939A - ポリエステル複合仮撚糸およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル複合仮撚糸およびその製造方法

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JPH11335939A
JPH11335939A JP7756499A JP7756499A JPH11335939A JP H11335939 A JPH11335939 A JP H11335939A JP 7756499 A JP7756499 A JP 7756499A JP 7756499 A JP7756499 A JP 7756499A JP H11335939 A JPH11335939 A JP H11335939A
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false twist
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composite false
multifilament
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JP7756499A
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Reiko Baba
玲子 馬場
Hideaki Kunisada
秀明 國貞
Kakuji Murakami
確司 村上
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Toray Industries Inc
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  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】張り、腰、反発性に優れ、ドライ感を有し、さ
らに染色後に杢調の自然なムラ感を有する編織物を提供
する。 【解決手段】仮撚捲縮を有する少なくとも2種のポリエ
ステルマルチフィラメントA、Bからなる複合仮撚糸で
あって、該マルチフィラメントBは該マルチフィラメン
トAよりも収縮率が大きくかつ単繊維が部分的に未延伸
部を有することを特徴とするポリエステル複合仮撚糸、
または、仮撚捲縮を有する少なくとも2種のポリエステ
ルマルチフィラメントA、Bからなる複合仮撚糸であっ
て、該マルチフィラメントAは該マルチフィラメントB
よりも収縮率が小さくかつ単繊維が部分的に未延伸部を
有する複合仮撚糸。少なくとも1本のシックアンドシン
糸を含む複数の糸条を複合仮撚するに際し、温度の高い
糸条を回転仮撚子の施撚作用により温度の低い糸条と合
流せしめ、前記高温側の糸条によって低温側の糸条を加
熱することを特徴とするポリエステル複合仮撚糸の製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、部分的に未延伸部
分を含む太細構造を持つポリエステル繊維を含むポリエ
ステル複合仮撚糸およびその製造方法に関するものであ
り、さらに詳しくは染色仕上げ後に張り、腰、反発性に
優れ、ドライ感を有し、杢調の自然なムラ感を有するポ
リエステル複合仮撚糸およびその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、絣模様の編織物を得るために糸の
長手方向に沿って太細を持つ糸が使用されており、一般
にスラブ糸と言われている。スラブ糸の系統に属するマ
ルチフィラメント糸のシックアンドシン糸は、特公昭4
1−6616公報、特公昭43−19627公報に記載
されているように未延伸の太い部分と細い延伸部分を交
互に形成せしめた糸が知られている。
【0003】しかし、このようなシックアンドシン糸で
は、淡色地に濃色のコントラストがきつすぎるため深み
のある自然な杢調は得られなかった。これは、未延伸部
の集中が原因と考えられ、これを防ぐために、緊張下で
熱処理後に延伸する方法が、特公昭51−7207公報
に開示されているが、染着差が全体的に分散するために
その杢は少ないものであった。
【0004】一方、伸度差を有する2本の糸を引き揃え
て仮撚加工することによって、低伸度の糸が芯部を形成
し、高伸度の糸が鞘部を形成した芯鞘2層構造の高捲縮
で嵩高性に富む複合加工糸が得られることが知られてお
り、梳毛調織編物差別化素材として汎用的に用いられて
いる。また、特開平6−57562公報にあるように、
2本の糸にフィード率差を付けて、フィード率の小なる
糸にフィード率の大なる糸を仮撚ヒータとスピンドル間
で捲回させる複合糸の製造方法が知られている。しか
し、これらの方法では嵩高性、ソフト性に優れるものが
得られるものの、高捲縮・高嵩高の加工糸であるが故
に、フカツキがあり、着用時の落ち感という点では不十
分であった。
【0005】そこで、特開平9−78385公報には2
種の糸条を温度差を有した状態で、仮撚回転子の施撚作
用によって合流せしめ複合仮撚することによって、ソフ
トで、張り、腰、反発性に富むポリエステル仮撚加工糸
が提案されている。しかしながら、天然素材に見られる
ような自然な杢調を表現することがさらに望まれてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、張り、腰、
反発性を有するとともに、天然素材に見られるような自
然な杢調を表現するまたはドライ感を付与するための編
物、織物用のポリエステル複合加工糸とその製造方法を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の複合仮撚糸の一
態様は、仮撚捲縮を有する少なくとも2種のポリエステ
ルマルチフィラメントA、Bからなる複合仮撚糸であっ
て、該マルチフィラメントBは該マルチフィラメントA
よりも収縮率が大きくかつ単繊維が部分的に未延伸部を
有する複合仮撚糸である。
【0008】また、本発明の複合仮撚糸の他の態様は、
仮撚捲縮を有する少なくとも2種のポリエステルマルチ
フィラメントA、Bからなる複合仮撚糸であって、該マ
ルチフィラメントAは該マルチフィラメントBよりも収
縮率が小さくかつ単繊維が部分的に未延伸部を有する複
合仮撚糸である。
【0009】本発明の複合仮撚糸の製造方法の一態様
は、少なくとも1本のシックアンドシン糸を含む複数の
糸条を複合仮撚するに際し、温度の高い糸条を回転仮撚
子の施撚作用により温度の低い糸条と合流せしめ、該高
温側の糸条によって低温側の糸条を加熱するものであ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の複合仮撚糸は、仮撚捲縮
を有するポリエステルマルチフィラメントからなる少な
くとも2種のマルチフィラメントA、Bから構成される
ものである。
【0011】ポリエステルマルチフィラメントのポリエ
ステルとしては、繊維形成性を有するポリエステルであ
ればその種類は特に限定されない。ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレートが好ましく用い
ることができ、特にポリエチレンテレフタレートが収縮
特性の点から最適である。
【0012】ポリエチレンテレフタレートに共重合成分
として、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、ジフ
ェニルカルボン酸、ナフタリンジカルボン酸などの二塩
基酸、オキシ安息香酸などのオキシ酸類、ジエチレング
リコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコ
ールなどのグリコール酸、5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸などを1種または2種以上を共重合させることが
できる。これらのポリエステルには、酸化チタンなどの
艶消剤、カオリナイトなどの微細孔形成剤、帯電防止剤
などが少量添加されていてもよい。
【0013】本発明の複合仮撚糸を構成するフィラメン
トの断面形状は、丸断面、多葉断面、扁平断面、中空断
面、その他特殊異形断面でもよく、またどのような組み
合わせでもよい。
【0014】本発明の複合仮撚糸の繊度としては、特に
限定されるものではないが、加工性の観点から、総繊度
が20〜600デニールの範囲であるものが好ましい。
【0015】また、織物にしたとき、適度な曲げ硬さと
反発性を両立するためには、マルチフィラメントAの単
繊維繊度を好ましくは0.001デニール以上3デニー
ル以下、より好ましくは0.5デニール以上3デニール
以下とし、マルチフィラメントBの単繊維繊度を好まし
くは2デニール以上10デニール以下、より好ましくは
4デニール以上10デニール以下とする。
【0016】また、反発感やふくらみを残しながら、さ
らっとした風合いにするためには、マルチフィラメント
Aの単繊維繊度が1デニール以上3デニール以下、マル
チフィラメントBの単繊維繊度が2デニール以上6デニ
ール以下にすることが好ましい。なお、ドライ感を付与
するためには、丸断面の繊維よりも異形断面の繊維を用
いる方がより効果的である。
【0017】マルチフィラメントAとマルチフィラメン
トBの繊度の比率を1:5〜5:1に適宜変えることに
よって、反発感と表面のふくらみ、ソフト感をバランス
よくコントロールすることができる。
【0018】両フィラメントが仮撚捲縮を有することに
よって、編織物にしたときのふくらみが発現することに
なる。仮撚捲縮は、従来の仮撚加工工程で得られる緻密
な三次元捲縮とは異なり、緩やかな波状捲縮であること
がフカツキはなくふくらみを出すために好ましい。
【0019】また、構成マルチフィラメント中には、単
繊維が部分的に未延伸部を有する糸を少なくとも1本含
んでいる。この糸は、未延伸部が部分的に存在して太細
構造を有しているいわゆるシックアンドシン糸である。
【0020】シックアンドシン糸を構成している単繊維
は延伸部中に未延伸部が残留して太くなっており、繊維
長手方向に分散している。織編物にしたとき、フィラメ
ントの太細形状によりドライ感を有するものとなる。ま
た、構成フィラメント間において太部が集中するように
した場合は、染色後マルチフィラメントとして繊維長手
方向にコントラストのある染着差を呈することになる。
【0021】ここでいう未延伸部とは荷重−伸長曲線に
おいて伸長しても荷重(応力)がほとんど増加しないい
わゆるフロー領域を有する部分のことをいう。または複
屈折(Δn)でみた場合には15〜80×10-3、より
好ましくは30〜80×10 -3である部分のことをい
う。
【0022】さらにマルチフィラメントAおよびBは収
縮差を有する。したがって、複合加工糸に追撚を施して
製編織し、染色工程(リラックス工程、セット等)の熱
処理を施すことで、収縮率の大なるマルチフィラメント
Bが芯部となり、収縮率が小なるマルチフィラメントA
が鞘部を形成する芯鞘2層構造になる。
【0023】マルチフィラメントBがマルチフィラメン
トAよりも収縮率が大きくかつ単繊維が部分的に未延伸
部を有する場合、マルチフィラメントBが芯部となるこ
とにより、従来のシックアンドシン糸と同様、濃色部と
淡色部の染着差が発現するうえに、マルチフィラメント
B(芯部)の淡色部よりも淡色、または淡色部と濃色部
の中間色を呈するマルチフィラメントAが鞘部として配
置されることで、より自然な杢調を発現することができ
る。ここで、鞘部は芯部を完全に覆うわけではないため
に芯部の染着差が部分的に表面に現れ、従来の未延伸部
を含む加工糸よりも自然な杢調を発現することができる
のである。
【0024】また、マルチフィラメントAがマルチフィ
ラメントBよりも収縮率が小さくかつ部分的に未延伸部
を含む場合、マルチフィラメントAが鞘部となることに
より、マルチフィラメントA(鞘部)の濃色部よりも濃
色、又は淡色部と濃色部の中間色を呈するマルチフィラ
メントBが芯部として配置されることで、明瞭な杢調を
発現できると共に、表面に現れたシックアンドシン糸の
太細構造によってドライ感を付与することができるので
ある。
【0025】本発明の複合仮撚糸では後工程で芯鞘2層
構造の複合形態とするために熱水収縮率が10〜90%
であることが好ましい。収縮率が10%未満であると鞘
部のふくらみが不十分となり、90%を越えると織物の
生機幅を広くせざるを得ず、織機が限定される。より好
ましくは10〜80%である。
【0026】また、布帛のボリューム感を増加させると
いう風合い調整上の観点から、フィラメント糸AとBの
熱水収縮率差が5〜85%あることが好ましい。より好
ましくは5〜60%である。
【0027】本発明の複合仮撚糸は仮撚加工時の熱処理
条件を適宜選択することによって、熱水処理による収縮
処理後に乾熱処理することで自発伸長性を示す。自発伸
長によって構成糸相互の繊維間、単繊維間及び布帛の組
織間の少なくともいずれかにおいて空隙及びずれを生
じ、風合いの向上に寄与することから、自発伸長率は
0.1〜25%であることが好ましい。
【0028】また、複合仮撚糸の芯部となるフィラメン
トBのラジアル方向の一部に筋状の圧痕が存在する部分
を有することが好ましい。この筋状の圧痕は、加工条件
を適宜選択することにより形成できる。
【0029】すなわち圧痕は、施撚による糸条同士の締
め付け押圧作用によって生じ、単繊維の直径レベルの微
細な筋状構造をなしており、このように微細な筋状構造
を有することによって仮撚加工糸に特有な断面変形が原
因で発生するグリッターを改善することができ、このよ
うな微細構造のために構成繊維の単繊維間に高反発な風
合いを出すのに必須となる微小空隙を生ずることができ
る。
【0030】本発明の複合仮撚糸は、少なくとも1本の
シックアンドシン糸を含む複数の糸条を複合仮撚するこ
とによって製造することができる。少なくとも1本のシ
ックアンドシン糸を含むことにより、未延伸部による太
細構造を持ち、ドライ感や染着差を有する糸を得ること
ができる。
【0031】複合仮撚においては、温度の高い糸条を回
転仮撚子の施撚作用により温度の低い糸条と合流せし
め、高温側の糸条によって低温側の糸条が加熱される。
これにより温度差を有する糸条相互の熱の授受が仮撚加
撚状態にて行われる。これにより、きわめて短ピッチ
(撚りピッチに相当)の加熱処理が行われ、低温側の糸
条は糸条の直径方向および糸軸方向において内部構造や
繊維形状に変化を与える。そして、加工条件を調整する
ことによって単繊維の糸軸方向に未延伸部と単繊維のラ
ジアル方向に筋状の圧痕を有する部分を含むことがで
き、かつ、従来の仮撚加工工程で得られる緻密な三次元
捲縮とは似ても似つかぬ緩やかな波状捲縮を呈すること
ができる。本発明において、糸条間に温度差を与えるた
めには、図1の如く糸条Aのみを加熱し、糸条Bは常温
(室温)で用いてもよく、また、糸条Bの収縮率をコン
トロールするために糸条Bを芯側フィードローラー2か
ら糸道規制ガイド4の間でヒーター等を設置し加熱して
もよい。要は合流点Pにおいて双方の糸条間に温度差を
有していればよい。糸条間の温度差は、糸道規制ガイド
前において糸条温度が5℃以上異なることが好ましく、
加工糸の収縮特性から考えて、低温側の糸条の温度がT
g以下であり、高温側の糸条の温度がTg以上であるこ
とがより好ましく、さらに生産性向上のためには低温側
の糸条の温度が室温で、高温側の糸条の温度が90℃以
上であることが特に好ましい。
【0032】シックアンドシン糸は、延伸部と未延伸部
が糸長手方向に交互に存在するものであれば問題はな
く、未延伸糸または半延伸糸を自然延伸比(以下、ND
R(Natural Draw Ratioの略記)と称する。)以下で延
伸することで製造できる。不均一延伸工程では延伸工程
中において、熱ピン、熱板等の加熱体を好ましく用いる
ことができる。これらの加熱温度、ローラーとの距離、
表面の摩擦係数等によってシックアンドシン糸の未延伸
部のピッチや太細形状を制御することが可能となり、太
部を単糸間で分散させることにより見かけ上染着差を示
さなくすることも、太部を単糸間において集中させるこ
とで糸長手方向に染着差を表現してもよい。
【0033】シックアンドシン糸でない糸条の仮撚加工
時の延伸倍率は限定されるものではなく、使用する原
糸、目的とする加工糸の特性に応じて適宜選択すればよ
いが、シックアンドシン糸との収縮差を大きくし、織編
物の膨らみを大きくするためには、NDR以上の延伸倍
率で延伸することが好ましい。一方、シックアンドシン
糸はNDR以下の延伸倍率で延伸することが好ましい。
また、この延伸倍率をコントロールすることにより、シ
ックアンドシン糸でない糸条はシックアンドシン糸の細
糸部よりも淡染にすることも、細部と太部の中間の染着
性を有することも可能である。
【0034】なお、本発明に用いる糸条は少なくとも2
本のポリエステル繊維が必要ではあるが、これに他の糸
条を加えて3本以上用いることもできる。また、用いる
糸条全てが、シックアンドシン糸であってもよい。
【0035】冷却板9は、仮撚加工によって付与された
構造を効率的に冷却・固定し、かつ加工時の糸道規制、
振動防止等を行い安定加工を可能にするためのものであ
るが、必ず必要とするものではない。
【0036】また、加熱の手段としては通常の仮撚加工
と同様な乾熱板、ホットロールあるいは中空加熱筒等を
用いることができ、接触、非接触に限らずその他のいか
なる加熱方法を用いてもよい。むろん、熱媒を限定する
ものではない。
【0037】また構成糸をまとまりの良いものとし、糸
長差を糸軸方向に分散せしめて織編物の表面品位を向上
させる観点から、糸条を集束することも好ましい。集束
によって製編職時の後加工工程における作業性、ハンド
リング性、工程通過性が向上し、生産の効率化を図るこ
とができる。糸の集束手段としてインターレースノズル
を用いることができ、また実撚、交互撚、融着、糊剤に
よる接着などいかなる手段を用いることもできる。集束
の頻度は特に限定されるものではなく、構成糸相互が分
離しない程度で、布帛の風合い、品位に悪影響を及ぼさ
ないのが好ましい。
【0038】本発明に用いる仮撚回転子として特に限定
はないが外接型摩擦仮撚装置、ベルトニップ型仮撚装
置、スピンドル型仮撚装置などが好ましく用いられる。
【0039】図1、2は本発明の複合仮撚糸の製造方法
の一例を模式的に示した概略図である。
【0040】図1において供給原糸aおよび予めシック
アンドシン加工された供給原糸bを鞘側フィードローラ
ー1及び芯側フィードローラー2に各々分離して供給
し、ついで第2フィードローラー7との間で糸条Aは熱
板3によって加熱され、糸条Aより温度の低い糸条Bと
合流点Pで撚り合わせた後、冷却板5、仮撚回転子6を
介して仮撚加工を行い交絡ノズル8によって2本の糸を
集束しパッケージ10として巻き取る。この場合、鞘側
フィードローラー1及び芯側フィードローラー2は同速
度であっても異速度であってもよく、供給糸の特性及び
加工の安定性等によって適宜設定すればよい。予めシッ
クアンドシン加工された原糸が低温側の糸条となること
で、高温側の糸条よりも収縮率が大きくなり芯鞘構造の
芯部となる。また、鞘部は芯部を完全に覆うわけではな
いので、未延伸部による染着差が部分的に表面に現れ、
自然な杢調を呈することができる。
【0041】供給原糸aは、その断面形状、性状等に制
約を受けるものではなく、熱可塑性繊維であれば未延伸
糸、半延伸糸、延伸糸、およびシックアンドシン糸など
のいずれも用いることができる。
【0042】2本の供給原糸aと供給原糸bに用いる糸
条の種類は異なっていてもよいし、同じ種類であっても
よい。
【0043】また、図1において供給原糸aとして予め
シックアンドシン加工された糸を用い、供給原糸aおよ
び供給原糸bを鞘側フィードローラー1および芯側フィ
ードローラー2に各々分離して供給し、熱板3によって
加熱された温度の高い糸条Aを回転仮撚子の施撚作用に
よって糸条Bと合流させた後、2本の糸を集束させパッ
ケージとして巻き取ることもできる。予めシックアンド
シン加工された原糸が高温側の糸条となることで、低温
側の糸条よりも収縮率が小さくなり芯鞘構造の鞘部とな
る。つまり、シックアンドシン糸による太細構造が表面
に現れるために明瞭な杢調を表現すると同時にドライ感
を増すことができるのである。
【0044】また、図2および図3に示したように不均
一延伸とその後の延伸仮撚加工を同時に行うことも生産
性向上のために好ましく行うことができる。図2に示し
たように供給原糸bとして未延伸糸または半延伸糸を用
い、これを芯側フィードローラー2と芯側(第2)フィ
ードローラー12との間でNDRに応じて熱ピン11を
用いて不均一延伸し、シックアンドシン糸とする。つい
で第2フィードローラー7との間で糸条Aは熱板3によ
って加熱され、糸条Aより温度の低いシックアンドシン
糸である糸条Bと合流点Pで撚り合わせた後、冷却板
5、仮撚回転子6を介して仮撚加工を行い交絡ノズル8
によって2本の糸を集束しパッケージ10として巻き取
ることも望ましい。また、図3に示したように供給原糸
aとして未延伸糸または半延伸糸を用い、これを鞘側フ
ィードローラー1と鞘側(第2)フィードローラー13
との間でNDRに応じて熱ピン11を用いて不均一延伸
し、シックアンドシン糸とする。ついで第2フィードロ
ーラー7との間で熱板3によって加熱され、糸条Aより
温度の低い糸条Bと合流点Pで撚り合わせた後、冷却板
5、仮撚回転子6を介して仮撚加工を行い交絡ノズル8
によって2本の糸を集束し、パッケージ10として巻き
取ることもできる。
【0045】これらの方法では、連続的にシックアンド
シン糸である糸条を他の糸条と合流させ延伸仮撚するこ
とが可能となり、加工工程が簡略化できる。
【0046】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて更に具体的に
説明する。
【0047】なお、熱水収縮率および自発伸長率は、以
下の方法によって求めた。[熱水収縮率]JIS L−
1090の5.10のA法(かせ収縮率)に準じて、糸
をかせ状にした試料を粗布で包まずにロット棒につるし
た状態で、98℃の熱水中で30分間処理し測定した。 [自発伸長率]糸をかせ状にした試料を98℃の熱水で
処理後、一昼夜風乾した後の長さL1を測定し、次いで
試料をさらに180℃のオーブン中で5分間処理し、室
温に冷却後の長さL2を測定し、下記式で自発伸長率を
求めた。なお各々の糸長の測定は、0.1g/dの荷重
を懸垂した状態で行った。
【0048】自発伸長率=100×(L1−L2)/L1 実施例1 糸条Aとして、ポリエチレンテレフタレートを用いて常
法により溶融紡糸して得た85デニール、48フィラメ
ント(切断伸度185%、NDR60%)を用いた。一
方、糸条Bとして、ポリエチレンテレフタレートを用い
て常法により溶融紡糸し、125デニール、18フィラ
メントの糸条b(切断伸度188%、NDR68%)を
半延伸糸として巻き取り、図3の工程でフィードローラ
ー21、ドローローラー23の速度をそれぞれ71m/
分、100m/分に設定し、熱ピン22を72℃として
不完全延伸した後巻き取ったものを用いた。
【0049】次に、鞘側フィードローラー1、芯側フィ
ードローラー2、第2フィードローラー7の速度をそれ
ぞれ212m/分、333m/分、350m/分に設定
し、熱板3を120℃として糸条Aを加熱し、仮撚回転
子6として外接型摩擦仮撚装置を用いてシックアンドシ
ン糸である糸条Bと複合仮撚加工を行い、ついで第2フ
ィードローラー7、第3フィードローラー9間で交絡ノ
ズルによって交絡を付与し複合仮撚糸の集束性を向上さ
せて巻き取った。
【0050】得られた複合仮撚糸は、糸条Aとシックア
ンドシン糸である糸条Bを含む糸条とが収縮差を有した
高収縮・低捲縮の芯鞘構造を有するものであった。さら
に芯側の糸条は部分的に未延伸部を含み、単繊維のラジ
アル方向に筋状の圧痕も有していた。
【0051】次いで、この複合仮撚糸に500回/mの
実撚を付与したものをタテ糸密度60本/吋、ヨコ糸密
度58本/吋の平織物に製織し、常法により染色仕上げ
加工を行ったところ、濃染部が点在した自然なムラ感を
呈し、しかも、張り、腰、反発性を有した杢調の織物を
得た。
【0052】複合仮撚糸の熱水収縮率は64%で、糸条
Aと糸条Bの熱水収縮率差は60%であった。また、複
合仮撚糸として7%の自発伸長性を示した。
【0053】なお、糸条A、Bの熱水収縮率は交絡して
いない糸を別途採取し、それぞれに分離して測定したも
のである。
【0054】比較例1 実施例1の供給原糸bをそのまま図1の芯側フィードロ
ーラー2に供給して複合仮撚加工を実施した。芯側フィ
ードローラー2の速度を238m/分に設定し、その他
は実施例1と同様に複合仮撚および交絡した後巻き取っ
た。
【0055】得られた複合仮撚糸は2種類の糸条が収縮
差を有した芯鞘構造を取るものであったが、芯側の糸は
単繊維のラジアル方向に筋状の圧痕は有していたが、未
延伸部は見られなかった。
【0056】次いでこの複合仮撚糸に500回/mの実
撚を付与したものをタテ糸密度60本/吋、ヨコ糸密度
58本/吋の平織物に製織し、常法により染色仕上げ加
工を行ったところ、張り、腰、反発性を有していたもの
の、濃染部などは存在せず、天然素材の持つムラ感や杢
調とはほど遠いものであった。
【0057】実施例2 糸条Aとして、ポリエチレンテレフタレートを用いて常
法により溶融紡糸して得た85デニール、48フィラメ
ント(切断伸度185%、NDR60%)を半延伸糸と
して巻き取り、図3の工程でフィードローラー21、ド
ローローラー23の速度をそれぞれ83m/分、100
m/分に設定し、熱ピン22を80℃として不完全延伸
した後巻き取ったものを用いた。一方、糸条Bとして、
ポリエチレンテレフタレートを用いて常法により溶融紡
糸し、125デニール、18フィラメントの糸条b(切
断伸度188%、NDR68%)を用いた。
【0058】次に、鞘側フィードローラー1、芯側フィ
ードローラー2、第2フィードローラー7の速度をそれ
ぞれ333m/分、212m/分、350m/分に設定
し、熱板3を120℃として糸条Aを加熱し、仮撚回転
子6として外接型摩擦仮撚装置を用いて糸条Bと複合仮
撚加工を行い、ついで第2フィードローラー7、第3フ
ィードローラー9間で交絡ノズルによって交絡を付与し
複合仮撚糸の集束性を向上させて巻き取った。
【0059】得られた複合仮撚糸は、糸条Aと糸条Bと
が収縮差を有した高収縮・低捲縮の芯鞘構造を有するも
のであった。さらに鞘側の糸条は部分的に未延伸部を含
み、芯側の糸条は単繊維のラジアル方向に筋状の圧痕も
有していた。
【0060】次いで、この複合仮撚糸に500回/mの
実撚を付与したものをタテ糸密度60本/吋、ヨコ糸密
度58本/吋の平織物に製織し、常法により染色仕上げ
加工を行ったところ、実施例1よりもさらに明瞭な濃染
部が点在したムラ感を呈し、しかも、張り、腰、反発性
とともにドライ感に富む杢調の織物を得た。
【0061】複合仮撚糸の熱水収縮率は66%で、糸条
Aと糸条Bの熱水収縮率差は48%であった。また、複
合仮撚糸として7%の自発伸長性を示した。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、張り、腰、反発性に優
れ、ドライ感を有し、染色後に杢調の自然なムラ感を編
織物にて表現できる糸を得ることができる。また、上記
複合仮撚糸を安定にまた安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合仮撚糸の製造方法の一例を示す概
略工程図である。
【図2】本発明の複合仮撚糸の製造方法の他の一例を示
す概略工程図である。
【図3】本発明の複合仮撚糸の製造方法の他の一例を示
す概略工程図である。
【図4】本発明に用いるシックアンドシン糸の製造方法
の一例を示す概略工程図である。
【符号の説明】
1:鞘側フィードローラー 2:芯側フィードローラー 3:熱板 4:糸道規制ガイド 5:冷却板 6:仮撚回転子 7:第2フィードローラー 8:交絡ノズル 9:第3フィードローラー 10:巻き取りパッケージ 11:熱ピン 12:芯側(第2)フィードローラー 13:鞘側(第2)フィードローラー 21:フィードローラー 22:熱ピン 23:ドローローラー 24:巻き取りパッケージ P:合流点 a:供給原糸 b:供給原糸 A:糸条 B:糸条

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】仮撚捲縮を有する少なくとも2種のポリエ
    ステルマルチフィラメントA、Bからなる複合仮撚糸で
    あって、該マルチフィラメントBは該マルチフィラメン
    トAよりも収縮率が大きくかつ単繊維が部分的に未延伸
    部を有することを特徴とするポリエステル複合仮撚糸。
  2. 【請求項2】仮撚捲縮を有する少なくとも2種のポリエ
    ステルマルチフィラメントA、Bからなる複合仮撚糸で
    あって、該マルチフィラメントAは該マルチフィラメン
    トBよりも収縮率が小さくかつ単繊維が部分的に未延伸
    部を有することを特徴とするポリエステル複合仮撚糸。
  3. 【請求項3】前記マルチフィラメントBが繊維長手方向
    に染着差を有することを特徴とする請求項1に記載のポ
    リエステル複合仮撚糸。
  4. 【請求項4】前記マルチフィラメントAが繊維長手方向
    に染着差を有することを特徴とする請求項2に記載のポ
    リエステル複合仮撚糸。
  5. 【請求項5】前記マルチフィラメントAとBの熱水収縮
    率差が5〜85%であり、複合仮撚糸としての熱水収縮
    率が10〜90%であることを特徴とする請求項1〜4
    に記載のポリエステル複合仮撚糸。
  6. 【請求項6】熱水処理による収縮処理後に乾熱処理する
    ことで、0.1〜25%の自発伸長性を有することを特
    徴とする請求項1〜5いずれかに記載のポリエステル複
    合仮撚糸。
  7. 【請求項7】前記マルチフィラメントBを構成する単繊
    維の少なくとも一部に筋状の圧痕を持つことを特徴とす
    る請求項1〜6いずれかに記載のポリエステル複合仮撚
    糸。
  8. 【請求項8】少なくとも1本のシックアンドシン糸を含
    む複数の糸条を複合仮撚するに際し、温度の高い糸条を
    回転仮撚子の施撚作用により温度の低い糸条と合流せし
    め、該高温側の糸条によって低温側の糸条を加熱するこ
    とを特徴とするポリエステル複合仮撚糸の製造方法。
  9. 【請求項9】前記シックアンドシン糸が、未延伸糸また
    は半延伸糸を自然延伸比(NDR)以下で延伸してなる
    ことを特徴とする請求項8に記載のポリエステル複合仮
    撚糸の製造方法。
  10. 【請求項10】前記シックアンドシン糸でない糸条は未
    延伸糸または半延伸糸を自然延伸比(NDR)以上の延
    伸倍率で延伸し、前記シックアンドシン糸は未延伸糸ま
    たは半延伸糸を自然延伸比(NDR)以下の延伸倍率で
    延伸することを特徴とする請求項8または9に記載のポ
    リエステル複合仮撚糸の製造方法。
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