JP4547792B2 - ポリエステル仮撚被覆弾性糸およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は一般衣料製品向けのポリエステル被覆弾性糸およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリエステル被覆弾性糸を複合仮撚加工によって製造する方法はすでに知られている。例えば、特開昭55−148227号公報には、弾性糸とすでに仮撚加工された捲縮糸とを引き揃えて交絡処理後、再び仮撚加工を施した仮撚被覆弾性糸およびその製造方法が開示されている。
【0003】
しかし、この技術では、被覆糸の形態に太細変化が生じるので編織物製品では、糸筋状の欠点として目立ちやすくなり、また鞘糸となるマルチフィラメント糸は、2度の高い温度で熱処理を受けるので、被覆弾性糸として強度低下や毛羽が発生し弱糸となる欠点がある。
【0004】
また、特許1085653号公報では、弾性糸とポリエステルフィラメント糸を引き揃え複合仮撚加工後、交絡処理を施した仮撚被覆弾性糸およびその製造方法が提案されているが次の欠点がある。
【0005】
仮撚被覆弾性糸は鞘糸の軟化点が高く、かつ剛性率が高いので、芯/鞘型筒状の糸構造が形成されにくく、そのため被覆性は低くなり、弾性糸はポリエステルフィラメント糸からはみ出し易くなり、いわゆる「目むき」現象などが起こる欠点を有している。
【0006】
その結果、実用化に至った技術は見あたらなく、被覆性に優れ安定した糸品質と大幅なコストアップにつながらない、ポリエステル被覆弾性糸およびその製造方法が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の技術の欠点を改良し、捲縮特性、被覆性に優れ、高度のソフト感を有するポリエステル被覆弾性糸、および優れた高品質と合理的な方法によって得ることが可能なポリエステル被覆弾性糸の製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、(1)ポリウレタン弾性糸を芯部にし、その周囲に鞘部として少なくとも2回の仮撚加工履歴を持つポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮糸が実質的に仮撚により被覆されてなるとともに、上記少なくとも2回の仮撚加工履歴を経ていることにより該ポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮が微細化されており、かつ糸長さ方向に開繊部と絡合部とを交互に形成した糸構造を有し、前記絡合部の糸長さ方向における数が20〜50個/18cmであって、しかも総繊度が100dtex未満であって、100〜1000T/mの撚が施されているか、または総繊度が100〜250dtexであって、50〜300T/mの撚が施されていることを特徴とするポリエステル仮撚被覆弾性糸。
【0009】
(2)前記芯部と鞘部が互いに非融着状態であることを特徴とする前記(1)に記載のポリエステル仮撚被覆弾性糸。
【0012】
(3)芯部原糸にポリウレタン弾性糸、鞘部原糸に予め仮撚加工したポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮糸をそれぞれ使用し、前記芯部原糸をドラフトしながら、加撚領域よりも前の領域にて前記芯部原糸と鞘部原糸とが互いに一体となるように引き揃え、該引き揃えた糸条を加ネン−熱固定−解ネンの摩擦型仮撚加工を施すことにより上記ポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮を微細化するとともに、さらに、前記複合仮撚加工後の総繊度が100dtex未満であって、100〜1000T/mの追撚を施すか、または前記複合仮撚加工後の総繊度が100〜250dtexであって、50〜300T/mの追撚を施すことを特徴とするポリエステル仮撚被覆弾性糸の製造方法。
【0013】
(4)前記ポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮糸を予め仮撚加工するときの加工温度が0〜130℃、前記両糸条を複合仮撚加工するときの加工温度が90〜200℃であるとともに、複合仮撚加工するときの加工温度を予め仮撚加工するときの加工温度よりも高く設定することを特徴とする前記(3)に記載のポリエステル仮撚被覆弾性糸の製造方法。
【0014】
(5)前記複合仮撚加工後の糸条に圧空により交絡処理を施すことを特徴とする前記(3)または(4)に記載のポリエステル仮撚被覆弾性糸の製造方法。
【0016】
(6)前記(1)〜(2)のいずれかに記載のポリエステル仮撚被覆弾性糸、または前記(3)〜(5)のいずれかに記載のポリエステル仮撚被覆弾性の製造方法によって得られるポリエステル仮撚被覆弾性糸を用いてなることを特徴とする織編物。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステル仮撚被覆弾性糸は、芯部原糸にポリウレタン弾性糸、鞘部原糸に予め仮撚加工したポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮糸をそれぞれ使用し、前記芯部原糸をドラフトしながら、加撚領域よりも前の領域にて前記芯部原糸と鞘部原糸とが互いに一体となるように引き揃え、該引き揃えた糸条を加ネン−熱固定−解ネンの摩擦型仮撚加工を施すことにより上記ポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮を微細化するとともに、さらに、前記複合仮撚加工後の総繊度が100dtex未満であって、100〜1000T/mの追撚を施すか、または前記複合仮撚加工後の総繊度が100〜250dtexであって、50〜300T/mの追撚を施すことにより製造することができる。
【0018】
すなわち、ドラフトしたポリウレタン弾性糸と、予め仮撚加工したポリエステルマルチフィラメントの仮撚捲縮糸とを加撚領域よりも前の領域において、芯部原糸と鞘部原糸とが互いに一体となるように引き揃えるのであるが、この場合、ドラフトしたポリウレタン弾性糸が芯となり、予め仮撚加工したポリエステルマルチフィラメントの仮撚捲縮糸が鞘状になるように引き揃えることが好ましい。
【0019】
本発明のポリエステル仮撚被覆弾性糸は、ポリウレタン弾性糸を芯部にし、その周囲に鞘部として少なくとも2回の仮撚加工履歴を持つポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮糸が実質的に仮撚により被覆されてなるとともに、上記少なくとも2回の仮撚加工履歴を経ていることにより該ポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮が微細化されており、かつ糸長さ方向に開繊部と絡合部とを交互に形成した糸構造を有し、前記絡合部の糸長さ方向における数が20〜50個/18cmであって、しかも総繊度が100dtex未満であって、100〜1000T/mの撚が施されているか、または総繊度が100〜250dtexであって、50〜300T/mの撚が施されていることを特徴とするポリエステル仮撚被覆弾性糸である。
【0020】
すなわち、芯部のポリウレタン弾性糸の周囲にポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮糸を鞘部として被覆した構成を有し、そのポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮糸は、鞘部原糸として予め施された仮撚加工と、その後の複合仮撚加工との少なくとも2回の仮撚加工履歴を経ていることにより捲縮が微細になっているため、編織物にしたとき高度のソフト感を呈するようになる。
【0021】
芯部のポリウレタン弾性糸の周囲に鞘部のポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮糸が実質的に仮撚により被覆されるものであるが、この実質的に仮撚により被覆とは、無撚の場合は、撚回・反転して被覆されるものであり、実撚を有する場合は、撚回・反転しない場合もあるが、実撚を解じょすると仮撚により撚回・反転した状態となる場合を含むものである。
【0022】
また、ポリエステル仮撚被覆弾性糸は、複合加工が摩擦仮撚加工で実施されることにより、糸長さ方向に開繊部と絡合部を交互に形成し、その交絡部を20〜50個/18cmの多数存在させるようになっている。このように絡合部を密に存在させることにより鞘部の被覆性が向上するために、編地にしたとき「目むき」が生じないようになる。
【0023】
絡合部の数が20個/18cm未満であると鞘部の被覆性が低下するため、編織物にして大きく伸長させた場合、芯部のポリウレタン弾性糸が鞘部のポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮糸の隙間から覗いて、目むきを生ずるようになる。
【0024】
反対に、絡合部が100個/cm以上よりも多いと、鞘部の被覆性は向上するが、編織物にしたときの風合いが硬くなり、ソフト感が減殺される。
【0025】
また、本発明のポリエステル仮撚被覆弾性糸を製造するときの複合加工において、鞘部原糸の仮撚加工の撚方向と複合仮撚加工における撚方向とを調整することにより、次のような効果を得ることができる。
【0026】
すなわち、鞘部原糸の仮撚加工の撚方向と複合仮撚加工における撚方向の両撚方向(仮撚方向)を互いに反対方向にした場合には、鞘部原糸の残留トルクが複合仮撚加工で生じる残留トルクを相殺し、ポリエステル仮撚被覆弾性糸としての残留トルク撚数を下げるため、ソフトな風合いや嵩高性をなお一層向上させることができる。逆に、両撚方向を同一方向にした場合は、鞘部原糸の残留トルクが複合加工で生じる残留トルクに相乗し、ポリエステル仮撚被覆弾性糸の残留トルク撚数を上げるため収束性を向上させてシアー性を高めたり、「サラサラ」感の風合いを一層向上させるようにする。
【0027】
上記のようにして得られるポリエステル仮撚被覆弾性糸の残留トルク撚数は、0〜100個/50cmの範囲が好ましく、特に前者のように鞘糸の撚方向とポリエステル仮撚被覆弾性糸の撚方向を互いに反対方向にした場合の残留トルク撚数は0〜10回/50cm、後者のように同一方向にした場合の残留トルク撚数は11〜100回/50cmが好ましい。
【0028】
複合仮撚加工の温度と鞘部原糸に予め施す仮撚加工の温度との関係は、複合仮撚加工温度を鞘部原糸の仮撚加工温度よりも高く設定することが好ましい。しかし、複合加工温度は芯部と鞘部が非融着の関係を維持する程度に抑制することがのぞましく、その抑制によって風合いをソフト化し、かつ芯部弾性糸のストレッチパワーを損なわないため、編織物にしたとき高いフィット性を発揮させることができる。
【0029】
具体的な温度の組み合わせとしては、複合仮撚加工温度は鞘部原糸のTg温度(ガラス転移温度)〜200℃にすることが好ましい。また、鞘部原糸の仮撚加工温度は、0〜130℃、好ましくは室温〜130℃に設定することが好ましい。
【0030】
本発明のポリエステル仮撚被覆弾性糸には、複合仮撚加工後に追撚または交絡を施すことが好ましく、この追撚または交絡により被覆性をさらに向上することができる。交絡は、複合仮撚加工後にポリエステル仮撚被覆弾性糸をチーズに巻き取る前に圧空で処理すればよい。また、追撚は、複合仮撚加工後にポリエステル仮撚被覆弾性糸をいったんチーズに巻き取った後、これを巻き返しながら行うことができる。
【0031】
特に、追撚は交絡処理特有の面不良を形成することがないので、ソフトな風合いを損なわずに有利に被覆性を高めることができ、編織物加工通過性の改善は勿論のこと、ソックスやストレッチ織物などの製品に高級感を付与することができる。追撚の加撚方向は、S撚、Z撚のいずれの方向であってもよいが、一般的には複合仮撚加工の加撚方向(仮撚方向)と同一方向にした場合は、集束性や被覆性を良好にすることができ、また逆方向にした場合は、嵩高性やソフト性を良好にすることができる。
【0032】
追撚数はポリエステル仮撚被覆弾性糸の構成繊度によって異なるが、総繊度が100dtex未満では100〜1000T/m、100〜250dtexでは50〜300T/mにする。
【0033】
図1は、本発明のポリエステル仮撚被覆弾性糸を例示したもので、(A)は糸全体の側面を示し、(B)は(A)における1B−1B’断面、(C)は同じく(A)における1C−1C’断面をそれぞれ示す。
【0034】
図1に示すように、本発明のポリエステル仮撚被覆弾性糸Yは、芯部にポリウレタン弾性糸1を有し、その周囲にポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮糸2を鞘部として撚回・反転させるように被覆し、かつ糸手方向に開繊部Yoと絡合部Ysとを交互に形成している。
【0035】
鞘部のポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮糸2は、ポリエステル系の素材であれば特に限定されず、不完全延伸糸のUY、POYと呼ばれるもの、延伸糸のDYと呼ばれるもの、4000〜8000m/minで高速製糸されたOSPと呼ばれるものなど、あらゆる紡糸速度の原糸から仮撚加工されたものである。
【0036】
またポリエステル系のマルチフィラメント糸条であって、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどを好適に用いることができる。
【0037】
ポリエスエルマルチフィラメント仮撚捲縮糸2は、後述するように少なくとも2回の仮撚加工履歴を有するもので、その2回以上の仮撚加工履歴から捲縮が微細化されている。また、その微細な捲縮により、製品の編織物になったとき高度なソフト感を呈することができる。
【0038】
ポリエステル仮撚被覆弾性糸Yの開繊部Yoは、図1(B)のように、鞘部のポリエステルマルチフィラメント仮撚糸2が開繊状態になって芯部のポリウレタン弾性糸1を被覆している。このような開繊部Yoと絡合部Ysとを交互に形成した状態で、絡合部Ysが糸長方向に20〜100個/18cmの頻度で存在している。
【0039】
図2は本発明のポリエステル被覆弾性糸を製造する工程の一例を示す。
【0040】
P1は、芯部用原糸のポリウレタン弾性糸1’を巻き上げたパッケ−ジであり、一対の転動ローラ3,3’に回転自在に支持されている。他方P2は、鞘部用原糸のポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮糸2’を巻き上げたパッケージであり、ボビンホルダー(図示せず)に非回転状態に支持されている。このポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮糸2’は、予め仮撚加工が施された捲縮糸であって、S加撚糸あるいはZ加撚糸のいずれかが用いられる。
【0041】
ポリウレタン弾性糸1’はパッケージP1から、供給ローラ5によりドラフトされながら周方向に引き出され、また他方のポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮糸2’はパッケージp2からボビン軸方向に解じょされながら、V字型ガイド4においてポリウレタン弾性糸1’が芯部に、ポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮糸2’が鞘部になるように芯鞘状に引き揃えられる。
【0042】
上記のように引き揃えられた両糸は、供給ローラ5から、この供給ローラ5よりも速い表面速度で回転する引き取りローラ8に引き取られながら、摩擦仮撚具7により加撚された後ヒータ6で熱セットされ、冷却後に摩擦仮撚具7で解撚されることにより複合仮撚加工されて、ポリエステル仮撚被覆弾性糸が得られる。
このように製造されたポリエステル仮撚被覆弾性糸Yは、巻き取りローラ11でパッケージP3として直接巻き取ってもよいが、巻き取る前に、引き取りローラ8と弛緩ローラ10との間で交絡ノズル9により圧空により交絡処理してもよい。また、交絡ノズル9で交絡処理せずに、いったん巻き取りローラ11にパッケージp3として巻き上げたのち、そのパッケージP3を巻き戻してS撚方向あるいはZ撚方向に追撚するようにしてもよい。
【0043】
加撚領域よりも前の領域に設けられたV字型ガイド4は、前記芯部原糸と鞘部原糸とが互いに一体となるように、好ましくはポリウレタン弾性糸1’が芯部に、ポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮糸2’が鞘部になるように芯鞘状に引き揃えるためのものであり、U字型であってもよい。また、これらV字、あるいはU字型ガイドの上流側に他の案内ガイドを設けて、予め両者を引き揃え状にすることもできる。
【0044】
ポリエステル仮撚被覆弾性糸Yの加撚方向(仮撚方向)は、ポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮糸2の加撚方向が同一の場合は、ポリエステル仮撚被覆弾性糸Yの残留トルク撚数が増加し、かつ被覆性が向上して集束性が高くなり、シアー性を出るようになる。逆に、加撚方向が逆の場合は、ポリエステル仮撚被覆弾性糸Yの残留トルク撚数が減少し、開繊性が大きくなることによって風合いがソフトになり、ボリューム感が向上する。
【0045】
本発明のポリエステル仮撚被覆弾性糸は、特にポリアミド被覆弾性糸の欠点とされる、黄変化、塩素含有による脆化、ハリ・腰不足の風合い、寸法安定性不良などにより用途展開できない分野に適している。例えばサッカー用の黄変化しない白いスポーツソックス、耐塩素のプール用水着、ハリ・腰風合いのあるストレッチ織物、温湿度に影響されない寸法安定性の良い織物等が適している。
【0046】
【実施例】
以下に説明する実施例および比較例において、ポリエステル仮撚被覆弾性糸の絡合部の個数および残留トルク撚数は、次の方法により測定したものである。
【0047】
[絡合部の個数の測定方法]
ポリエステル仮撚被覆弾性糸に13.7cNの荷重を吊し、30cm間隔(長さ)の両端に印をつけて試長とする。この試長を40%弛緩(12cm)させて両端を固定し、該被覆弾性糸18cmの鞘糸が開繊した個数あるいは絡合した個数を拡大鏡で読みとり、n=5の平均値を絡合部の個数(回/18cm)とする。
【0048】
[残留トルクヨリ数の測定方法]
ポリエステル仮撚被覆弾性糸に13.7cNの荷重を吊し、1m間の両端に印をつけて試長とし、試料を横方向に固定する。次いで、上記1m間隔の中央(50cm)に、0.392cN(0.4g)の荷重W1を吊すことにより、試料の両端を中央で合わせ、試料が回転して止まるまでの回転数Nを残留トルクヨリ数(回/50cm)とする。なお、複合仮撚加工後に複合仮撚被覆弾性糸を長期放置した場合は残留トルクヨリ数が潜在化しやすいので、60℃の温水で処理しその後測定するものとする。
【0049】
実施例1
繊度が22dtexのポリウレタン弾性糸のプレドラフト2.5倍、複合仮撚加工ドラフト1.16倍、トータルドラフト2.9倍として芯部原糸に使用し、一方70℃の温度で仮撚加工した繊度84dtexフィラメント数36本のポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮糸を鞘部原糸に使用し、両糸を引き揃えてD/Y比2.1、糸加工速度200m/min、仮撚数3300T/m、セット温度185℃、加ネン張力15g、解ネン張力34gにて2軸式摩擦仮撚具による仮撚加工を行いその後、交絡ノズルにて0.039MP(0.4Kg/Cm2 )の空気交絡処理を施しポリエステル仮撚被覆弾性糸を得た。
【0050】
得られたポリエステル仮撚被覆弾性糸の糸特性は繊度92dtex、強度3.7cN/dT(4.12g/d)、伸度25.1%、伸縮復元率(2mg/d荷重下処理)42.5%であり、また糸長手方向に開繊部と絡合部とを交互に有し、その絡合部の数は65個/18cmであった。また、残留トルク年数は49回/50cmであった。(なお、繊度、強伸度、伸縮復元率はJIS法L1013に準じて測定した。)
次いで、上記のようにして得られたポリエステル仮撚被覆弾性糸に、該仮撚被覆弾性糸の加撚方向(S)と同一方向に200T/mの追撚を施した後、タテ糸が165dtex仮撚加工糸のヨコ糸として該仮撚被覆弾性糸を打ち込み、ストレッチ織物を製造した。
【0051】
この生機を常用法にて染色加工と仕上げセットを施したところ、ソフトな風合いを有しており、ストレッチしたときに起こりやすい織物の「目むき」は目立たず、美しい外観を呈し、高級感のあるストレッチ織物であった。
【0052】
同じく、上記のようにして得たポリエステル仮撚被覆弾性糸に、該仮撚被覆弾性糸の加撚方向(S)と逆方向(Z)に480T/mの追撚を施した、いわゆるオーバー解撚状態の糸形態にした実撚仮撚被覆弾性糸を、ヨコ糸に打ち込み同様の染色仕上げ加工を施した。極めてソフトな風合いを有しており、ストレッチしたときに起こりやすい織物の「目むき」は全く目立たず、滑らかな織組織で美しく、ボリューム感に優れたストレッチ織物であった。
【0053】
比較例1
実施例1において用いた、鞘部原糸と同一の生糸(仮撚加工されていない糸)を用い、複合仮撚加工温度を185℃、仮撚加工延伸倍率1.65倍、弾性糸のトータルドラフト2.9倍とし、その他は全く同じ条件にて複合仮撚加工をおこなった。
【0054】
得られた仮撚被覆弾性糸は、糸長方向に開繊部と絡合部とを交互に有し、絡合数は18個/18cmの被覆性を有しているものの、芯糸と鞘糸は分離しやすいものであった。
【0055】
上記該被覆弾性糸を、実施例1と同様にポリエステル仮撚被覆弾性糸の加撚方向(S)と同一方向に480T/mの追撚を施した後、実施例1と同様の方法にてストレッチ織物を製造した。この織物をスレッチした時、湾曲部は「目むき」を生じ、風合いは「がさつき」感があり粗硬であった。
【0056】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、ポリウレタン弾性糸を芯部にし、その周囲に実質的に仮撚により被覆する鞘部として、少なくとも2回の仮撚加工履歴を持った捲縮の微細化したポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮糸を使用するため、織物にしたとき高度なソフト感や寸法安定性あるいはハリ・腰風合いを得ることができ、また、糸長さ方向には開繊部と絡合部を交互に形成させ、その絡合部を20〜50個/18cmの多数にしたため鞘部は高い被覆性を有し、編織物にしたとき「目むき」を生じにくく、高度のソフト感を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステル仮撚被覆弾性糸の一例を示し、(A)は糸全体の側面図、(B)は、(A)における1B−1B’断面図、(C)は同じく(A)における1C−1C’断面図である。
【図2】本発明のポリエステル仮撚被覆弾性糸の製造方法の一例を示す工程図である。
【符号の説明】
1:ポリウレタン弾性糸
2:ポリエステルマルチフィラメント糸
Y:仮撚被覆弾性糸
Yo:開繊部
Ys:絡合部
1’:ポリウレタン弾性糸(芯部原糸)
2’:ポリエステルマルチフィラメント糸(鞘部原糸)
4:V字ガイド
5:供給ローラ
6:ヒータ
7:摩擦仮撚具(ツイスター)
8:引き取りローラ
9:交絡ノズル
11:巻き取りローラ
Claims (6)
- ポリウレタン弾性糸を芯部にし、その周囲に鞘部として少なくとも2回の仮撚加工履歴を持つポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮糸が実質的に仮撚により被覆されてなるとともに、上記少なくとも2回の仮撚加工履歴を経ていることにより該ポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮が微細化されており、かつ糸長さ方向に開繊部と絡合部とを交互に形成した糸構造を有し、前記絡合部の糸長さ方向における数が20〜50個/18cmであって、しかも総繊度が100dtex未満であって、100〜1000T/mの撚が施されているか、または総繊度が100〜250dtexであって、50〜300T/mの撚が施されていることを特徴とするポリエステル仮撚被覆弾性糸。
- 前記芯部と鞘部が互いに非融着状態であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル仮撚被覆弾性糸。
- 芯部原糸にポリウレタン弾性糸、鞘部原糸に予め仮撚加工したポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮糸をそれぞれ使用し、前記芯部原糸をドラフトしながら、加撚領域よりも前の領域にて前記芯部原糸と鞘部原糸とが互いに一体となるように引き揃え、該引き揃えた糸条を加ネン−熱固定−解ネンの摩擦型仮撚加工を施すことにより上記ポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮を微細化するとともに、さらに、前記複合仮撚加工後の総繊度が100dtex未満であって、100〜1000T/mの追撚を施すか、または前記複合仮撚加工後の総繊度が100〜250dtexであって、50〜300T/mの追撚を施すことを特徴とするポリエステル仮撚被覆弾性糸の製造方法。
- 前記ポリエステルマルチフィラメント仮撚捲縮糸を予め仮撚加工するときの加工温度が0〜130℃、前記両糸条を複合仮撚加工するときの加工温度が90〜200℃であるとともに、複合仮撚加工するときの加工温度を予め仮撚加工するときの加工温度よりも高く設定することを特徴とする請求項3に記載のポリエステル仮撚被覆弾性糸の製造方法。
- 前記複合仮撚加工後の糸条に圧空により交絡処理を施すことを特徴とする請求項3または4に記載のポリエステル仮撚被覆弾性糸の製造方法。
- 前記請求項1〜2のいずれかに記載のポリエステル仮撚被覆弾性糸、または前記請求項3〜5のいずれかに記載のポリエステル仮撚被覆弾性の製造方法によって得られるポリエステル仮撚被覆弾性糸を用いてなることを特徴とする織編物。
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