JPH1161633A - 織物の製造方法 - Google Patents

織物の製造方法

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JPH1161633A
JPH1161633A JP10158960A JP15896098A JPH1161633A JP H1161633 A JPH1161633 A JP H1161633A JP 10158960 A JP10158960 A JP 10158960A JP 15896098 A JP15896098 A JP 15896098A JP H1161633 A JPH1161633 A JP H1161633A
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JP
Japan
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woven fabric
fabric
scouring
boiling water
relaxation
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JP10158960A
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English (en)
Inventor
Hideaki Kunisada
秀明 國貞
Tsugihiko Kai
二男子 甲斐
Kakuji Murakami
確司 村上
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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  • Treatment Of Fiber Materials (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】反発感と表面柔らかさを合わせ持つ高風合いな
織物の製造方法を提供する。 【解決手段】ポリエステルまたはポリエステルと他の繊
維により構成された生機を、精練リラックス工程または
それに準ずる湿熱処理工程にて生機と比較して織物面積
率を39%以上79%以下にした後、最終仕上げ工程後
の織物面積が精練リラックス工程またはそれに準ずる湿
熱処理工程後よりも1%以上となるように伸長させ、最
終製品として生機と比較して40%以上85%以下の織
物面積率にすることを特徴とする織物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反発感を有する高
風合いな織物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりポリエステルを用いて、ハリ、
コシと表面柔らかさをもたせた織編物を製造するため
に、太繊度で高収縮率のマルチフィラメントと細繊度で
低収縮または精練リラックス・染色工程で伸長するマル
チフィラメントを混繊することによって、ハリ、コシと
表面柔らかさを表現していた。しかし、芯の部分となる
高収縮マルチフィラメントは精練リラックス・染色工程
にて収縮のみを生じるために、風合いが固くなり易く、
風合い調整が微妙であり、また繊維長手方向の形状が均
一なため、ウールの持つ自然感には達していなかった。
【0003】一方、特公昭61−42022号公報や特
公昭63−35747号公報には、100℃未満の温水
で処理することにより収縮して自発伸長性が付与される
ようなポリエステルマルチフィラメントのフラットヤー
ンを用いて織編成し、温水中にてリラックス処理するこ
とが開示されている。しかし、ドレープ性に富んだ織編
物はできるものの、膨らみに乏しく、単調で自然感に乏
しいものとなってしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らはウール織
物が持つ反発性を持たせるためには、深い織物クリンプ
付与と織物の組織交錯点における歪み除去および糸条を
構成する単繊維間の適度な空隙付与によって生み出され
ることを見出した。従って本発明が解決しようとする課
題は、深い織物クリンプの付与と織物の組織交錯点や糸
条を構成する単糸間への適度な空隙付与、さらに必要に
よって構成フィラメント間の収縮差、単糸繊維軸方向の
物性差により、ハリ、コシ、反発性とともに表面の柔ら
かさ、自然感を合わせ持つ高風合いな織物の製造方法を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の織物の製造方法
は、前記課題を解決するため以下の構成を有する。すな
わち、ポリエステルまたはポリエステルと他の繊維によ
り構成された生機を、精練リラックス工程またはそれに
準ずる湿熱処理工程にて生機と比較して織物面積率を3
9%以上79%以下にした後、最終仕上げ工程後の織物
面積が精練リラックス工程またはそれに準ずる湿熱処理
工程後よりも1%以上となるように伸長させ、最終製品
として生機と比較して40%以上85%以下の織物面積
率にする織物の製造方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の織物の製造方法に
ついて詳細に説明する。
【0007】本発明の織物の製造方法は、ポリエステル
またはポリエステルと他の熱可塑性繊維により構成され
た生機を精練リラックス工程またはそれに準ずる湿熱処
理工程にて生機と比較して織物面積率を39%以上79
%以下にした後、最終仕上げ工程後の織物面積が精練リ
ラックス工程後よりも1%以上伸長させて最終製品とし
て生機に比べ、40%以上85%以下の織物面積率にす
ることを特徴とする。従って、精練リラックス工程また
はそれに準ずる湿熱処理工程にて織物を大きく収縮させ
ることで、織物の組織交錯点において深い織物クリンプ
を形成し、その後、該クリンプ形状を中間セット等の乾
熱処理により熱セットせしめ、減量処理、染色、仕上げ
セット等の染め・仕上げ工程を経ることにより、精練リ
ラックス工程後よりも織物面積を1%以上伸長、好まし
くは3%以上10%以下伸長させることによって、織物
の組織交錯点に空間が生じ、歪みを解消させる。
【0008】本発明によって得られる織物の反発感は、
織物の深いクリンプ形状と織物の組織交錯点での適度な
空隙付与によって生み出されものであり、染色仕上工程
にて上記の織物形状を形成させることができる。
【0009】使用する生機としては、収縮性能と熱セッ
ト性を合わせ持つポリエステル繊維またはポリエステル
繊維と他の熱可塑性合成繊維により構成されるものであ
り、精練リラックス時に大きく収縮させた後、例えば中
間セット時にテンター等で幅方向に引っ張ることによっ
て精練リラックス時に比べて面積を大きくすることが可
能ではあるが、この場合、収縮により形成された深い織
物クリンプが浅くなってしまい好ましくない。そこでこ
れを解決する好ましい原糸の1つとして、結晶化度5%
以下であり、沸水収縮率が20%以上かつ、乾熱処理に
より沸水収縮時よりも伸長するポリエステルマルチフィ
ラメントを生機の少なくとも経・緯糸の一部または構成
する糸の一部に使用するこが挙げられる。これにより、
精練リラックス時に大きく収縮させて織物の組織点にお
けるクリンプ形状を保ったまま最終仕上げ工程までの過
程で精練リラックス工程よりも伸長させることで、組織
交錯点の歪みを除去できる。
【0010】本発明の織物の製造方法は、収縮による深
いクリンプ構造が重要であるため、精練リラックス時ま
たはそれに準ずる湿熱処理工程時での精練リラックス温
度が非常に重要である。結晶化度5%以下のポリエステ
ルマルチフィラメントを5mg/dの荷重下で熱処理す
ると、図1に示すように、70℃付近で最も収縮し、そ
れ以上の温度では伸び始める。そこで精練リラックス時
に収縮からの糸の伸びを発現させない、または最小限に
とどめることにより、より収縮が大きく、梳毛調風合い
の織物を製造することができる。そのためには精練リラ
ックス時またはそれに準ずる湿熱処理工程での最高リラ
ックス温度を60℃以上85℃以下にすることが好まし
い。
【0011】一方、シルクウール調の織物としたい場合
には、精練リラックス工程等の湿熱処理時に糸を加熱
し、収縮時からの伸長を積極的に生じさせるとよい。つ
まり、収縮からの伸長を積極的に生じさせることによ
り、織物の組織交錯点に空間を形成させ、これによって
適度な反発感を有し、表面のきれいな織物を製造するこ
とができる。そのためには精練リラックス時またはそれ
に準ずる湿熱処理工程での最高リラックス温度を85℃
以上135℃以下にすることが好ましい。すなわち、単
一の生機を用いて、染色工程で織物の風合いを調整する
ことができるために、市場動向に合わせて的確に多様な
織物を生産することが可能となり、工業的価値は非常に
高い。
【0012】本発明は、織物内での織物の組織交錯点の
クリンプ形状に特徴を有するものであるが、さらに沸水
収縮率が35%以上と沸水収縮率が30%以下の少なく
とも2種のポリエステルマルチフィラメントにより構成
されている複合延伸同時仮撚糸を生機の少なくとも経糸
および/または緯糸の一部に使用することにより、反発
感だけではなく、フクラミを有する織物を低コストで製
造することが可能となる。すなわち、構成フィラメント
間で沸水収縮率差を5%以上有しているため、精練リラ
ックス工程をはじめとする染色・仕上げ工程において、
織物中にてフィラメント間に収縮差が生じ、織物にフク
ラミを与え、表面の柔らかさを生み出す。ここで繊維が
比較的沸水収縮率の高いフィラメントと低いフィラメン
トから構成されているとき、織物中では比較的沸水収縮
率の高いフィラメントがより大きく収縮し、上記のよう
な深い織物クリンプを形成する。従って、効果的に織物
を収縮させて深い織物クリンプを形成するためには、比
較的沸水収縮率の高いフィラメントは、均一な収縮特性
を有するフィラメントから構成される場合に比べて、沸
水収縮率が高くなければならず、35%以上が好まし
く、45%以上がさらに好ましく、50%以上が最も好
ましい。なお、上限については特に制限はないが、好ま
しくは80%以下である。
【0013】また、この収縮差を有する2種の仮撚糸を
各々別工程で製造後、混繊するのではなく、一工程で製
造することにより、高い生産性を有することとなり、工
業的に極めて有益である。
【0014】またさらに沸水収縮率が35%以上のポリ
エステルマルチフィラメントとして、複屈折の最小値が
80×10-3以上で単繊維の繊維軸方向に複屈折の範囲
(R)が30×10-3以上であるとともに、構成単繊維
間の複屈折率の範囲(R)が、30×10-3以上である
ものを用いることによりマルチフィラメントの単糸間お
よび単糸内に収縮、自発伸長に差が生じ、ゆるやかな太
細構造が発現するとともに、仮撚捲縮のため、繊維間空
隙が生まれ、織物の曲げ戻り性が向上するために、織物
を掴んだとき今までにない反発感を有する織物となる。
またさらに複合延伸同時仮撚加工により比較的沸水収縮
率の小さい沸水収縮率が30%以下であるポリエステル
マルチフィラメントと同時に製造されるため、加工糸と
しての生産性が高いばかりか、織物の経糸または緯糸、
もしくは経糸と緯糸の双方、もしくは織物の経糸および
/または緯糸の一部に使用することによって、フクラミ
に優れ、自然感に富む本格的な梳毛調織物または、シル
クウール調織物となる。
【0015】ここで、高収縮糸として複屈折の最小値が
80×10-3以上で単繊維の繊維軸方向に複屈折の範囲
(R)が30×10-3以上であるとともに、構成単繊維
間の複屈折率の範囲(R)が、30×10-3以上であ
り、仮撚捲縮を有することによる効果をまとめておく
と、(1)複屈折が80×10-3以上という条件から従
来の未延伸部を延伸糸中に分散させるいわゆるシックア
ンドシン糸とは異なり、全て延伸されているためにアル
カリ減量処理時に弱点部を作らないこと、(2)単繊維
の繊維軸方向に30×10-3以上の好ましくは40×1
-3以上の複屈折の範囲(R)を有するとともに、構成
単繊維間において繊維断面方向に、30×10-3以上の
好ましくは40×10-3以上の複屈折の範囲(R)を有
することにより、精練リラックス時の収縮時に単糸内お
よび単糸間においてランダムに収縮ムラを、その後の熱
処理により単糸内および単糸間においてランダムに伸長
ムラを生じて収縮差と太細の形態差により繊維間空隙を
形成すること、(3)ゆるやかな仮撚捲縮を有している
ことから嵩高性を付与することができる。ここで、範囲
(R)とは、R=(最大値)−(最小値)を意味してい
る。
【0016】さらに、沸水収縮率30%以下の繊維と複
合して使用することにより、この低収縮側の繊維が鞘糸
として、織物表面に浮き出ることになり、表面の柔らか
さをさらに高めることが可能となる。沸水収縮率30%
以下の繊維として熱処理時、例えば精練リラックスや熱
セット時に繊維長が元長より伸長するような繊維は好ん
で用いられる。精練リラックス方法としては特に制限す
るものではなく、織物の汚れ、油剤等を洗浄するための
装置でも、揉み効果等を狙った風合い出し装置を用いて
もよい。例えば、拡布状で連続的に精練リラックスする
いわゆる連続リラックス精練法あるいはウィンス、液流
染色機による非拡布でのバッチ精練リラックス法でもよ
いが、織物の収縮を十分に生じさせ、織物クリンプを深
くするためにはできるだけ張力をかけないで処理できる
ものが好ましく、中でも非拡布でのバッチ精練リラック
ス法は、使用原糸として、収縮差のある糸を用いた場
合、液流によるもみ効果のため、収縮時に低収縮糸側の
いわゆる鞘糸を表面に浮き出させ、生じたスペースに高
収縮糸側のいわゆる芯糸がよりコンパクトに収縮するた
めに、織物交錯点でのクリンプをさらに深くすることが
できる。
【0017】ここでいうポリエステルとは、80%以上
のエチレンテレフタレート単位を含有するポリエチレン
テレフタレート系重合体が好ましい。このエチレンテレ
フタレートには、共重合成分として例えばアジピン酸、
セバシン酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、
ナフタリンジカルボン酸等の二塩基酸類、オキシ安息香
酸等のオキシ酸類及びジエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール
類、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の1種または
2種以上を共重合することができる。これらポリエステ
ルに酸化チタン等の艶消し剤、カオリナイト等の微細孔
形成剤、帯電防止剤等が少量添加されていても良い。
【0018】ポリエステルは100%であってもよい
し、他の繊維、例えば天然繊維や再生繊維、熱可塑性合
成繊維との引揃え、撚糸、混繊であってもよい。他の天
然繊維や熱可塑性繊維としては、木綿、麻、羊毛、絹な
どの天然繊維や、レーヨン、キュプラなどの再生繊維、
アセテートなどの半合成繊維、ナイロン、ポリエステ
ル、アクリル、ビニロンなどの合成繊維などが適用でき
る。
【0019】また、本発明に使用する繊維としては、断
面形状は、丸断面、多葉断面、多角断面、扁平断面、中
空断面、その他特殊異形断面のどのようなものも適用可
能であり、その組み合わせでもよい。また、製織する際
に、糸の集束性、曲げ剛性、風合い等のために適宜追撚
等がなされていてもよい。また糸の集束性のために糸に
糊付け等がなされていてもよい。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明する。実施例中下記の測定が行われた。
【0021】(1)レーザーラマン分光分析 装置としてはRamanor T−64000(Job
in Yvon)を顕微ラマンとして用い、対物レンズ
を×100、光源としてAr+レーザー(NEC GL
G3460)の5145オングストローム、分光器はS
ingleモードで1800gr/mmの回折格子を用
い、Slit幅100μm、検出器としてCCD(Jo
bin Yvon 1024×256)を用いた。繊維
軸方向に平行な偏光配置での1615cm-1ラマンバン
ドの強度をI1615(P)、繊維軸方向に垂直な偏光配置
での1615cm-1ラマンバンドの強度をI1615(V)
とした時、強度比R=I1615(P)/I1615(V)と定
義し、換算複屈折Δn(×10-3)=275×(R−
1)/(R+2)と定義した。また、1730cm-1
近のラマンバンドの半値全幅をΔν1730(cm-1)とし
た時、結晶化度χ(%)はχ=100×((305−Δ
ν1730)/209−1.335)/(1.455−1.
335)と定義した。ただし、換算複屈折は1軸延伸の
フィルムを標準として求めたものであり、結晶化度は、
種々のPET試料の半値幅から経験的に求められたもの
である。
【0022】(2)沸水収縮率 JIS規格 L1090−1992の熱水収縮率A法
(かせ収縮率)の試験法にもとずいて求めた。サンプル
原長L0 、沸水処理後サンプル長L1 とすると、 沸水収縮率(%)=[(L0 −L1 )/L0 ]×100 (3)乾熱収縮率 沸水処理したサンプルに2mg/dの荷重をかけて18
0℃のオーブン中に5分間入れ、乾熱処理した後、室温
まで放置し、0.1g/dの荷重下で乾熱処理サンプル
の長さL2 を測定した。
【0023】 乾熱収縮率(%)=[(L1 −L2 )/L1 ]×100 この時マイナスの値を示すときに糸は伸長していること
を示す。
【0024】(4)織物面積率 無張力状態で、かつしわが入っていない状態で生機の経
糸方向、緯糸方向に印を入れる。熱処理し、水分が残っ
ている場合には水分を濾紙等で取った後、自然乾燥させ
て、経・緯の長さを測定する。原長をLa0(経)、L
b0(緯)、熱処理後サンプルの長さをLa(経)、L
b(緯)とすると、生機面積S0=La0(経)×Lb
0(緯)、熱処理後面積S=La(経)×Lb(緯)と
なる。この時、熱処理後の織物面積率(%)=(S/S
0)×100となる。また、精練リラックス後に対する
仕上げ後の織物の伸び(%)={[(S(仕上げ)−S
(精練))]/S(精練)}×100とする。
【0025】[実施例1]ポリエチレンテレフタレート
セミダルポリマーを常法により溶融紡糸し、125デニ
ール、18フィラメントである切断伸度188%の糸条
Aおよび85デニール、48フィラメントである切断伸
度185%の糸条Bを高配向未延伸糸(以下、POY)
としてそれぞれ巻き取り、図2のプロセスを用いて複合
仮撚加工を実施した。
【0026】第1ローラ1及び第1ローラ2を205m
/分、第2ローラ9の速度を339m/分に設定し、糸
条Aは加熱しないで室温にして、糸条Bはヒータ3とし
て120℃の接触式ヒータを用いて加熱したあと、撚合
わせガイドPにて糸条AおよびBを撚合わせして仮撚回
転子5として三軸ツイスタを用い(仮撚数2500T/
m)、冷却板4にて冷却して、複合延伸同時仮撚加工を
行い、ついでローラ6とローラ8間でインターレースノ
ズル7によって交絡を付与し、複合糸の集束性を向上さ
せて巻き取った。加工後、糸条Aはレーザーラマン分光
分析の結果から、繊維軸方向に対して同一点において構
成単繊維間に、結晶化度−4.7〜−1.8%、複屈折
率119〜177×10-3の分布を持っていた。また、
単繊維を繊維軸方向に測定したとき、6〜8mmの周期
で複屈折率が周期的に変動し、単繊維間の複屈折率分布
と測定誤差範囲で一致した。沸水収縮率は65%、乾熱
収縮率は−9%であった。一方、糸条Bは沸水収縮率が
8%、乾熱収縮率は3%であった。なお、上記の糸条A
の複屈折率分布は、延伸仮撚中において、糸条Aの構成
単糸間の延伸倍率分布により形成されると推定される。
【0027】上記複合仮撚糸を用いて、10回巻きの綛
(1周80cm)を作り、5mg/dの荷重をかけた状
態で100℃までは湿熱下、それ以上は乾熱下にて収縮
率を測定した。湿熱下においては2℃/minにて昇温
し、測定温度にて5分放置後、また、100℃以上の乾
熱下では設定温度中にて10分間放置後、糸長を0.1
g/d下にて測定した。その結果を図1に示す。約70
℃において収縮率は最大となり、その後、最大収縮時よ
り180℃にて綛長さは14%伸長した。
【0028】上記繊維に500T/m(S方向)の追撚
を行い、朱子織物(経糸密度:117.3本/吋、緯糸
密度:80本/吋)を製織した。試験片(35cm×3
5cm)を切り取り、20cmの間隔で経・緯に印を付
け、ミニカラー染色機を用いて精練リラックス温度70
℃、100℃、130℃の温度にて以下の方法で精練リ
ラックスを行なった。ミニカラーの浴比は1:90と
し、40℃から加熱していき、80℃まで2℃/mi
n、130℃までは1℃/minにて昇温した。その
後、サンプルをピンテンターであり幅にて180℃乾熱
処理下後、ミニカラー染色機を用いて130℃にて染
色、160℃にて仕上げセットを行った。そのときの性
量データを図3に示す。精練リラックス後に対する仕上
げ後の織物の伸びは、精練リラックス温度70℃の時5
%、精練リラックス温度100、130℃の時ともに3
%の伸びがあった。仕上げ後のサンプルは全てのサンプ
ルにこれまでの合繊織物では表現できなかった反発感を
有していた。その中でも精練リラックス温度70℃のサ
ンプルは最もコシがあり、鞘糸として糸条Bが表面に最
もよく浮き出ていて、表面変化があると共に表面柔らか
さを有していた。また、精練リラックス温度が100
℃、130℃に上昇して行くに従って、表面がきれい
で、柔らかく、シルクウール調の織物となった。
【0029】[実施例2、3、4]実施例1と同じ生機
を用いて実際の加工機にて精練リラックス・中間セット
・染色・仕上げ加工を行った。生機には予め、経糸方向
に2mの長さに印を付けておき、経方向の収縮率測定に
用いた。実施例2としてバッチ精練リラックス法である
液流染色機を用い、最高精練リラックス温度80℃にて
精練リラックス後、190℃で中間セットを行ない、ア
ルカリ減量後、130℃にて染色、160℃にて仕上げ
セットを行った。実施例3は、95℃にて連続精練リラ
ックスした後、最高精練リラックス温度120℃にて精
練リラックスし、その後の工程は実施例2と等しくし
た。実施例4は精練リラックスにて最高精練リラックス
温度130℃にて精練リラックスを行い、その後の工程
は実施例2および3と等しくした。表1に精練リラック
ス後、仕上げ後の織物面積率を示すと共に、精練リラッ
クス後に対する仕上げ後の織物の伸びを精練リラックス
後からの伸びとして示した。仕上げ後の織物はどれも従
来の合繊織物にはない反発感があり、梳毛調の風合いで
あった。実施例2の織物は、鞘糸が表面に浮き出し、表
面柔らかさと共に表面変化がある。また、コシと反発感
は3つの中で最も感じられた。実施例3および4は適度
なコシと反発感を有し、表面の柔らかさ、うつくしさと
も相まって非常にフェミニンな織物となった。
【0030】[実施例5]ポリエチレンテレフタレート
セミダルポリマーを常法により溶融紡糸し、55デニー
ル、12フィラメントである切断伸度190%の糸条A
および55デニール、36フィラメントである切断伸度
182%の糸条BをPOYとしてそれぞれ巻き取り、図
4のプロセスを用いて複合仮撚加工を実施した。
【0031】第1ローラ1及び第1ローラ2を205m
/分、第2ローラ9の速度を339m/分に設定し、糸
条Aは加熱しないで室温にして、糸条Bはヒータ3とし
て加熱回転体の加熱ローラ10の温度を110℃に設定
して加熱したあと、撚合わせガイドPにて糸条Aおよび
Bを撚合わせして複合延伸同時仮撚を行った。ついでロ
ーラ6とローラ8間でインターレースノズル7によって
交絡を付与し、複合糸の集束性を向上させて巻き取っ
た。仮撚回転子5として三軸ツイスタを用い、仮撚数を
3500T/mに設定した。加工後、糸条Aはレーザー
ラマン分光分析の結果から、繊維軸方向に対して同一点
において構成単繊維間に、結晶化度−4.2〜−0.2
%、複屈折率103〜196×10-3の分布を持ってい
た。また、単繊維を繊維軸方向に測定したとき、5〜7
mmの周期で複屈折が周期的に変動し、単繊維間の複屈
折率分布と測定誤差範囲で一致した。沸水収縮率は6
9.9%、乾熱収縮率は−8.5%であった。一方、糸
条Bは沸水収縮率が%28.6、乾熱収縮率は−3%で
あった。
【0032】上記繊維に1000T/m(S方向)の追
撚を行い、平織物(経糸密度:90、緯糸密度:80本
/吋)を製織した。生機には予め、経糸方向に2mの長
さに印を付けておき、経方向の収縮率測定に用いた。バ
ッチ精練リラックス方である液流染色機を用いて、最高
精練リラックス温度98℃にて精練リラックス後、19
0℃で中間セットを行ない、アルカリ減量後、130℃
にて染色、160℃にて仕上げセットを行った。その結
果、精練後織物面積率は60%、仕上げ後織物面積率は
63%、精練後からの伸びは5%であった。
【0033】仕上げ後の織物は従来の合繊織物にはない
反発感を有し、かつ表面に糸が浮き、やわらかく、絹紡
調の風合いであった。また、表面のうつくしさとも相ま
って非常にシルクウール調の織物となった。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、織物の織物の組織交錯
点において、収縮により深いクリンプを生じさせ、その
後、糸を伸長させて織物の組織交錯点に空間を形成する
ことによって、適度なコシと反発感を有する織物を製造
することができる。また、精練リラックス温度を変える
ことによってコシの強い織物からフェミニンな織物まで
比較的簡単に風合い調整をすることができる。さらに使
用原糸を選択すれば、繊維軸方向および単糸間に物性
差、特に太さムラを付与することによって繊維間空隙を
作り出し、反発性、ソフトさとふくらみを合わせ持つ梳
毛調素材を実現できる優れた製造方法とすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい原糸の熱処理温度と収縮率の
関係の一例を示すグラフである。
【図2】本発明の原糸として複合延伸同時仮撚加工糸の
製造方法の一例を模式的に示した工程概略図である。
【図3】本発明の精練リラックス・染め・仕上げ工程の
性量データを測定した一例を示すグラフである。
【図4】本発明の原糸として複合延伸同時仮撚加工糸の
製造方法の他の一例を模式的に示した工程概略図であ
る。
【符号の説明】
A:供給糸 B:供給糸 P:撚合わせガイド 1:第1ローラ 2:第1ローラ 3:ヒータ 4:冷却板 5:回転仮撚子 6:第2ローラ 7:インターレースノズル 8:第3ローラ 9:巻き取りパッケージ 10:加熱ローラ 11:分離ローラ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステルまたはポリエステルと他の繊
    維により構成された生機を、精練リラックス工程または
    それに準ずる湿熱処理工程にて生機と比較して織物面積
    率を39%以上79%以下にした後、最終仕上げ工程後
    の織物面積が精練リラックス工程またはそれに準ずる湿
    熱処理工程後よりも1%以上となるように伸長させ、最
    終製品として生機と比較して40%以上85%以下の織
    物面積率にすることを特徴とする織物の製造方法。
  2. 【請求項2】結晶化度が5%以下であり、沸水収縮率が
    20%以上でかつ、該沸水処理後の乾熱処理により沸水
    収縮時よりも伸長するポリエステルマルチフィラメント
    を生機の少なくとも経糸および/または緯糸の一部に使
    用してなることを特徴とする請求項1に記載の織物の製
    造方法。
  3. 【請求項3】精練リラックス工程またはそれに準ずる湿
    熱処理工程での最高温度が60℃以上85℃以下の温度
    にてリラックスを行うことを特徴とする請求項1または
    2に記載の織物の製造方法。
  4. 【請求項4】精練リラックス工程またはそれに準ずる湿
    熱処理工程での最高温度が85℃以上135℃以下の温
    度にてリラックスを行うことを特徴とする請求項1また
    は2に記載の織物の製造方法。
  5. 【請求項5】沸水収縮率が35%以上と沸水収縮率が3
    0%以下の少なくとも2種のポリエステルマルチフィラ
    メントにより構成されている複合延伸同時仮撚糸を、生
    機の少なくとも経糸および/または緯糸の一部に使用し
    てなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載
    の織物の製造方法。
  6. 【請求項6】前記沸水収縮率が35%以上のポリエステ
    ルマルチフィラメントとして、複屈折の最小値が80×
    10-3以上で単繊維の繊維軸方向に複屈折の範囲(R)
    が30×10-3以上であるとともに、構成単繊維間の複
    屈折率の範囲(R)が、30×10-3以上であることを
    特徴とする請求項5に記載の織物の製造方法。
JP10158960A 1997-06-11 1998-06-08 織物の製造方法 Pending JPH1161633A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101683642A (zh) * 2009-07-24 2010-03-31 无锡市恒恒绒毛制造有限公司 具有防水防油易去污植绒家纺布及其制作工艺
JP2013522493A (ja) * 2010-03-23 2013-06-13 ナムローゼ・フェンノートシャップ・ベーカート・ソシエテ・アノニム 予成形されたフィラメントを有するオープンオフロードコード
JP2022013544A (ja) * 2020-07-03 2022-01-18 ▲クン▼計飛 滅菌されたニット生地及びその製造方法

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