JPS64491B2 - - Google Patents
Info
- Publication number
- JPS64491B2 JPS64491B2 JP55187414A JP18741480A JPS64491B2 JP S64491 B2 JPS64491 B2 JP S64491B2 JP 55187414 A JP55187414 A JP 55187414A JP 18741480 A JP18741480 A JP 18741480A JP S64491 B2 JPS64491 B2 JP S64491B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- yarn
- thick
- fabric
- elongation
- woven
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired
Links
- 239000004744 fabric Substances 0.000 claims description 54
- 239000003513 alkali Substances 0.000 claims description 42
- 238000010438 heat treatment Methods 0.000 claims description 38
- 229920000728 polyester Polymers 0.000 claims description 26
- 238000004519 manufacturing process Methods 0.000 claims description 10
- 238000002474 experimental method Methods 0.000 description 22
- 230000007423 decrease Effects 0.000 description 19
- 238000000034 method Methods 0.000 description 10
- HEMHJVSKTPXQMS-UHFFFAOYSA-M Sodium hydroxide Chemical compound [OH-].[Na+] HEMHJVSKTPXQMS-UHFFFAOYSA-M 0.000 description 9
- 238000004043 dyeing Methods 0.000 description 4
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 4
- 239000000126 substance Substances 0.000 description 4
- 230000004580 weight loss Effects 0.000 description 4
- DNIAPMSPPWPWGF-UHFFFAOYSA-N Propylene glycol Chemical compound CC(O)CO DNIAPMSPPWPWGF-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 3
- MTHSVFCYNBDYFN-UHFFFAOYSA-N diethylene glycol Chemical compound OCCOCCO MTHSVFCYNBDYFN-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 3
- 238000005259 measurement Methods 0.000 description 3
- GWEVSGVZZGPLCZ-UHFFFAOYSA-N Titan oxide Chemical compound O=[Ti]=O GWEVSGVZZGPLCZ-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 2
- 239000002253 acid Substances 0.000 description 2
- WNLRTRBMVRJNCN-UHFFFAOYSA-N adipic acid Chemical compound OC(=O)CCCCC(O)=O WNLRTRBMVRJNCN-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 2
- 239000012752 auxiliary agent Substances 0.000 description 2
- 238000010622 cold drawing Methods 0.000 description 2
- 230000000052 comparative effect Effects 0.000 description 2
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 2
- 239000000835 fiber Substances 0.000 description 2
- 239000012467 final product Substances 0.000 description 2
- QQVIHTHCMHWDBS-UHFFFAOYSA-N isophthalic acid Chemical compound OC(=O)C1=CC=CC(C(O)=O)=C1 QQVIHTHCMHWDBS-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 2
- 238000009991 scouring Methods 0.000 description 2
- CXMXRPHRNRROMY-UHFFFAOYSA-N sebacic acid Chemical compound OC(=O)CCCCCCCCC(O)=O CXMXRPHRNRROMY-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 2
- 238000009987 spinning Methods 0.000 description 2
- OGIDPMRJRNCKJF-UHFFFAOYSA-N titanium oxide Inorganic materials [Ti]=O OGIDPMRJRNCKJF-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 2
- 239000002759 woven fabric Substances 0.000 description 2
- XNWFRZJHXBZDAG-UHFFFAOYSA-N 2-METHOXYETHANOL Chemical compound COCCO XNWFRZJHXBZDAG-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- MMINFSMURORWKH-UHFFFAOYSA-N 3,6-dioxabicyclo[6.2.2]dodeca-1(10),8,11-triene-2,7-dione Chemical group O=C1OCCOC(=O)C2=CC=C1C=C2 MMINFSMURORWKH-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- 239000002202 Polyethylene glycol Substances 0.000 description 1
- 241001199012 Usta Species 0.000 description 1
- 150000007513 acids Chemical class 0.000 description 1
- 239000001361 adipic acid Substances 0.000 description 1
- 235000011037 adipic acid Nutrition 0.000 description 1
- 230000003796 beauty Effects 0.000 description 1
- 238000005452 bending Methods 0.000 description 1
- 235000010290 biphenyl Nutrition 0.000 description 1
- 239000004305 biphenyl Substances 0.000 description 1
- 238000007334 copolymerization reaction Methods 0.000 description 1
- 238000011161 development Methods 0.000 description 1
- -1 diphenyl dicarboxylic acid Chemical compound 0.000 description 1
- 150000002334 glycols Chemical class 0.000 description 1
- 238000002513 implantation Methods 0.000 description 1
- 230000002045 lasting effect Effects 0.000 description 1
- KYTZHLUVELPASH-UHFFFAOYSA-N naphthalene-1,2-dicarboxylic acid Chemical compound C1=CC=CC2=C(C(O)=O)C(C(=O)O)=CC=C21 KYTZHLUVELPASH-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- SLCVBVWXLSEKPL-UHFFFAOYSA-N neopentyl glycol Chemical compound OCC(C)(C)CO SLCVBVWXLSEKPL-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- WXZMFSXDPGVJKK-UHFFFAOYSA-N pentaerythritol Chemical compound OCC(CO)(CO)CO WXZMFSXDPGVJKK-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- ZUOUZKKEUPVFJK-UHFFFAOYSA-N phenylbenzene Natural products C1=CC=CC=C1C1=CC=CC=C1 ZUOUZKKEUPVFJK-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- 229920001223 polyethylene glycol Polymers 0.000 description 1
- 230000002265 prevention Effects 0.000 description 1
- 239000000047 product Substances 0.000 description 1
- 238000011084 recovery Methods 0.000 description 1
- 230000002040 relaxant effect Effects 0.000 description 1
- 238000005070 sampling Methods 0.000 description 1
- 238000010186 staining Methods 0.000 description 1
- 238000012360 testing method Methods 0.000 description 1
- 239000004753 textile Substances 0.000 description 1
Landscapes
- Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
- Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
Description
本発明はフイラメントの長さ方向に太細を有す
るポリエステルマルチフイラメント糸の製造方法
に関するものである。 従来、繊維軸方向に対し、微細構造差を有する
ポリエステルマルチフイラメント糸としては、繊
維軸方向に太細を有し、その太い部分は配向度が
低く、細い部分は配向度が高いポリエステルマル
チフイラメント糸、いわゆるシツクアンドシンヤ
ーンが知られている。 しかしながら、このような従来のシツクアンド
シンヤーンは複屈接率が0.5×10-3〜10×10-3で
ある未延伸糸から得られたものであるため、配向
度の低い部分が結晶化した際に、糸がもろくなり
高次工程通過性が著しく低下し、用途展開上大き
な問題となつていた。 本発明者らはこのような問題点を改善するた
め、すでに高配向度未延伸ポリエステルマルチフ
イラメント糸から得た太細を有するポリエステル
糸条を特開昭50−18717で、その製造方法を特開
昭50−1878で提案した。 しかしながら、この糸条は仮ヨリ加工糸として
用いる場合は優れた織編物とすることが可能であ
るが、この糸条をそのまま用いて織物にする、い
わゆる生糸使いや、あるいは強撚して、織編物と
して用いる場合は次のような問題点を生ずる。 (1) 通常生糸使いや強撚糸使いの織編物は、最終
製品のソフトさやしなやかさ、ドレープ性等の
向上を狙つて、染色前にアルカリ処理を行なう
のが一般的であるが、シツクアンドシンヤーン
を用いた織編物をアルカリ処理すると、通常糸
とは違つて著しく織編物の強度が減少してしま
う。ポリエステルはアルカリに侵食されやすい
が、特に内部構造の粗の部分は密な部分に比べ
てアルカリに侵食されやすいのでシツクアンド
シンヤーンの太い部分、すなわち内部構造の粗
な未延伸部分が選択的にアルカリに犯され、ア
ルカリ処理後の織編物の張力をかけるとこの部
分への応力集中が起り、著しく強度が減少す
る。 (2) シツクアンドシンヤーンは収縮率が非常に大
きいため、そのまま織編物にすると布の巾入れ
が大きく、そのまま製品とすることはむづかし
い。 そこでこのような問題点を解決する目的で、高
配向未延伸糸を低倍率で冷延伸した後、弛緩状態
で熱処理する方法を特開昭54−68413で提案した。
この方法によればシツクアンドシンヤーンを低収
縮化することが可能であるが、冷延伸によつてシ
ツクアンドシンヤーンを得るため、太い部分の長
さが比較的長く、かつ太い部分の発生が周期的に
なり、得られた糸条を用いて織編物とし、染色す
ると、濃染となつた太い部分が集中したり、その
周期性によつて、いわゆるモアレになつたりする
欠点がある。さらにこの糸条は太い部分が比較的
長いため、この糸条を用いた織編物をアルカリ処
理をすると強力低下が大きい織編物とならざるを
得ず、さらにこの方法は高温熱処理を施すために
太い部分と細い部分との濃淡差が減少し、好まし
い霜降り調の濃淡が得られないという欠点があつ
た。 本発明者らは以上の欠点を解消することを目的
とし、先に提案した太細を有するポリエステルマ
ルチフイラメント糸の製造方法をさらに改善すべ
く鋭意検討した結果、本発明に到達したものであ
る。 そこで本発明の目的は、高次加工した織編物に
スパンライクな濃淡霜降り調と、自然な表面タツ
チと、良好な強力を与えるフイラメントの長さ方
向に太細を有するポリエステルマルチフイラメン
ト糸の製造方法を提供することにある。 すなわち、本発明は前記目的を達成するために
次の構成を有する。 アルカリ処理が施される織編物を構成するマル
チフイラメント糸において、複屈折率が20×10-3
〜70×10-3である高配向未延伸ポリエステルマル
チフイラメント糸を50〜100℃の加熱ピンに捲回
させ、(1+定応力伸長域伸度×0.6)倍〜(1+
定応力伸長域伸度×1.2)倍の倍率で熱ピン延伸
した後、リラツクス率1〜8%の弛緩状態におい
て100℃以上170℃以下の温度で熱処理し、アルカ
リ処理による強力低下率を70%以下とすることを
特徴とする太細を有するポリエステルマルチフイ
ラメント糸の製造方法。 以下、本発明の製造方法について図面を用いて
さらに詳細に説明する。 第1図は本発明の製造方法による好ましい製造
装置の一実施態様である。 第1図中1は本発明で用いる高配向未延伸ポリ
エステルマルチフイラメント糸で、フイードロー
ラー2とドローローラー4の間で熱ピン3を介し
て低倍率熱ピン延伸を行ない太細糸とした後、ド
ローローラー4とリラツクスローラー6との間で
熱処理装置5を介して弛緩熱処理を行ない、ワイ
ンダー7に巻取る。本発明で用いる高配向未延伸
ポリエステルマルチフイラメント糸1は複屈折率
が20×10-3〜70×10-3であることが必要で、好ま
しくは25×10-3〜60×10-3である。複屈折率が20
×10-3未満の未延伸糸を用いると太細の断面積比
が大きくなりすぎ、得られた糸を織編物として染
色すると、濃淡のコントラストが大きくなりすぎ
るため好ましくない。さらに太い部分の配向度が
低いために高次工程でアルカリ処理を施すとこの
部分が選択的にアルカリ処理を受け、著しく強度
低下を起すようになる。一方、複屈折率が70×
10-3を越える未延伸糸を用いて得た糸を織編物に
した場合、耐アルカリ処理性は向上するが、染色
すると濃淡のコントラストが低くなり、霜降り調
のパターンが得られなくなる。フイードローラー
2とドローローラー4とで熱ピン3を介して低倍
率延伸を行なう際は50〜100℃の加熱ピンに捲回
させて熱ピン延伸することが必要である。熱ピン
延伸においては、単糸フイラメント間での太細の
位相が実質的に等しく、明瞭な濃淡コントラスト
が得られる。熱ピン温度は60〜90℃であることが
好ましい。熱ピンの温度が50℃未満であると、太
細の発生が分散されず、太い部分が長く存在し、
後述するU%測定器で得られるU%チヤーでは太
い部分が長くつづくテーブル状のパターンとな
り、冷延伸を行なつた場合と似たパターンとな
る。従つて得られた糸を用いた織編物を染色する
と長い濃染部が存在し、かつ周期性を有するた
め、いわゆるモアレ状態の濃淡にならざるを得
ず、織編物の品位が著しく低下するとともに、ア
ルカリ処理によつて前記長く太い部分が選択的に
侵食されるため強度保持の点からも好ましくな
い。一方、熱ピンの温度が100℃を越えると得ら
れる糸のU%が低下し、織編物として染色すると
濃淡のコントラストが低下する。 また、延伸倍率は(1+定応力伸長域伸度×
0.6)倍〜(1+定応力伸長域伸度×1.2)倍が必
要であり、好ましくは(1+定応力伸長域伸度×
0.8)倍〜(1+定応力伸長域伸度×1.0)倍であ
る。延伸倍率が(1+定応力伸長域伸度×1.2)
倍を越えると太い部分の発生頻度が低下するた
め、この糸を用いた織編物を染色すると濃染部が
点在する織編物となり、本発明の目的とする霜降
り調が得られなくなる。一方、延伸倍率が(1+
定応力伸長域伸度×0.6)倍未満では太い部分が
多くなり過ぎ、この糸を用いた織編物を染色する
と濃染部の非常に多い美感の低下した織編物にな
るとともに、太い部分が多いことによつて耐アル
カリ侵食性も低下し、強力低下が大きくなる。 また、ドローローラ4とリラツクスローラ6と
の間で熱処理装置5を介して弛緩熱処理をする場
合、熱処理温度は100℃以上、170℃以下であるこ
とが必要であり、好ましくは120℃以上、150℃以
下である。熱処理温度が100℃未満では得られる
糸のアルカリ処理による強力低下が大きくなり、
かつ糸走行安定性が悪化する。熱処理温度が170
℃を越えると、得られる糸のU%が低下し、織編
物として染色すると濃淡のコントラストが低下す
ると共にアルカリ処理による強力低下が大きくな
る傾向がある。 かかる熱処理は1〜8%のリラツクス率の弛緩
状態に行なうものである。リラツクス率が1%未
満では得られた糸を織編物として染色すると濃淡
コントラストが低くなり、またリラツクス率が8
%を越えると糸走行張力が低下し、加工性が悪化
する。 ここでシツクアンドシンヤーンに弛緩熱処理を
施すとアルカリ処理による強力低下を抑えること
ができる理由として、本発明者らは下記のように
推定している。 すなわち、通常のポリエステルマルチフイラメ
ント糸は弛緩熱処理によつて配向度低下をおこす
が、高配向未延伸糸を熱ピン温度50〜100℃で低
倍率延伸して得た太細糸は弛緩熱処理によつて細
い部分の配向度は低下するが、太い部分の配向度
は逆に増大し、両者の内部構造差が減少するた
め、弛緩熱処理なしの太細糸と弛緩熱処理を施し
た太細糸を同一アルカリ減量率で比較すると、弛
緩熱処理なしの太細糸に比べて弛緩熱処理を施し
た太細糸の太い部分がアルカリに侵食されにくく
なり、かつ細い部分が犯されやすくなることによ
つて、比較的均一にアルカリ処理を受けることに
なる。従つてこの糸が張力を受けた場合、応力集
中する部分が少なくなり、この結果強力低下をお
さえることが可能になる。このようなアルカリ処
理によつて強力低下をおさえる効果は、前述のよ
うに延伸時に熱ピン温度50〜100℃で低倍率延伸
し、かつ引続いて100℃以上、170℃以下の温度で
弛緩熱処理することによつてはじめて発揮される
ものである。 なお、熱処理装置としては熱板に限られるもの
ではなく、熱処理の均一化をねらつてチユーブヒ
ータやスリツトヒータ、またはホツトローラを用
いることもできる。 熱処理装置として熱板やスリツトヒーターを用
いる場合は、最終製品の霜降り調の濃淡コントラ
スト向上の面からリラツクス率が3〜8%である
ことが好ましく、ホツトローラーを用いる場合は
糸走行安定性の面から1〜4%であることが好ま
しい。 そしてかかる弛緩熱処理による処理時間は、一
般には0.01秒〜0.13秒であり、好ましくは0.01秒
〜0.1秒である。 さらに染色した織編物に霜降り調のパターンを
与えるためには、本発明により得られる糸のU%
(後述する)は一般には4〜12%であり、好まし
くは5〜10%である。 また、高次工程通過性を良好にし、実用に十分
に耐える織編物とするためには、後述するアルカ
リ処理による強力低下率が70%以下が必要で、60
%以下が好ましい。 本発明で用いる高配向未延伸ポリエステルマル
チフイラメントを構成するポリエステルは、エチ
レンテレフタレート単位を80モル%以上含むもの
である。 共重合成分としては、たとえばアジピン酸、セ
バシン酸、イソフタル酸、ジフエニルジカルボン
酸、ナフタリンジカルボン酸等の二塩基酸類、オ
キシ安息香酸の如きオキシ酸類、およびジエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ネオペン
チルグリコール、ペンタエリスリトール、ポリエ
チレングリコールモノメチルエーテル等のグリコ
ール類、5−ナトリウムスルホイソフタル酸など
のうちから1種または2種以上のものを使用する
ことができる。 以上詳述したように本発明で得られる太細を有
するポリエステルマルチフイラメント糸は、熱ピ
ン温度50〜100℃で低倍率延伸した後、100℃以
上、170℃以下の温度で弛緩熱処理をしたため、
織編物として高次加工すると下記のような優れた
効果を発揮する。 すなわち、マルチフイラメント糸が太細を有す
るため、表面に微妙な凹凸をもち、自然なスパン
調の表面タツチを有する他、この凹凸が光線の吸
収を助け色の深みを増すとともに霜降り調の自然
な濃淡を有するために優れた美感を呈する。ま
た、生糸及び強撚使いとしてアルカリ処理を施し
ても十分実用に耐える強力を有し、工程通過性が
極めて良好である。 一方、太細の存在によつてフイラメント相互間
に空隙を有するので、優れたドレープ性が付与さ
れ、アルカリ処理によつてこのドレープ性は一層
向上する。 さらに強撚使いの場合、加撚効果による良好な
シヤリ感を有し、フイラメント相互間に空隙を有
するため曲げ変化に対して応力回復が容易とな
り、良好な反発性を呈する。 以下、実施例によつて本発明を更に具体的に説
明するが、これに先立ち、リラツクス率、定応力
伸長域伸度の定義、および各種測定法につき述べ
る。 リラツクス率の定義: リラツクス率〔%〕= ドローローラ4の表面速度(m/min)−リラツクスロ
ーラ6の表面速度(m/min)/ドローローラ4の表面
速度(m/min)×100 定応力伸長域伸度の定義: インストロン型引張試験機得た第2図に示す
チヤート上のAの伸度を読みとり、とえば40%
であれば0.4として表わす。 U%の測定方法: 測定機としては市販のUster Evenness
Tester(計測器工業株式会社製)を使用する。
糸のトータルデニールによつて使用する測定用
スロツトを選択し、糸速を4m/minとし仮撚
り機で約1500rpmの回転を与えて仮撚りしつつ
ノルマルテストにて測定する。ウスタむら曲線
はチヤート速度25m/minで描かせる。U%は
付属のインテグレーターで3分間の糸むらとし
て値を読みとる。U%は3分間の測定を1回と
して少なくとも5回測定し、その平均値で表わ
す。 強力低下率の測定方法: 本発明の製造方法によつて得られる太細を有
するポリエステルマルチフイラメント糸を
21700/√T/M(D:太細を有するポリエス
テルマルチフイラメント糸のデニール)のヨリ
数で、SヨリおよびZヨリで強撚した後、S、
Zそれぞれヨリ止めセツトを行なう。得られた
強撚糸を平織機にて、S、Z交互に緯打込みを
行ない平織物を得る。この織物を精練、中間セ
ツト工程を通した後、中間セツト上りの織物を
分解して緯糸を取り出し、20本の緯糸をサンプ
リングする。これを試料Aとする。サンプリン
グ後の織物を浴濃度NaOH30g/、浴温度
98℃、浴比1:100のアルカリ浴にてアルカリ
処理を行なう。この時アルカリによる織物の減
量率(%) (アルカリ処理前の重量(g)−アルカリ処理後の重量
(g)/アルカリ処理前の重量(g)×100) が25%となるようにアルカリ処理時間を設定す
る。アルカリ処理終了後織物を分解して緯糸を取
り出し、20本の緯糸をサンプリングする。これを
試料Bとする。試料A及び試料Bを用意し、イン
ストロン型引張試験機にて、試料長さ20cm、引張
速度20cm/minの条件下で試料1本づつの破断強
力を測定する。この測定をくり返し試料Aと試料
Bの各々20本づつの破断強力平均値を求め、次式
に従つて強力低下率を算出する。 強力低下率(%)=試料Aの平均値(g)−試料
Bの平均値(g)/試料Aの平均値(g)×100 実施例 1 〔η〕=0.64の酸化チタンを含むポリエステル
を紡糸速度及び吐出量を変更して第1表に示す36
フイラメントの未延伸ポリエステルマルチフイラ
メント糸を得た。この未延伸糸を延伸速度450
m/min、延伸倍率(1+定応力伸長域伸度×
0.9)倍、熱ピン温度80℃、リラツクス率5%、
熱処理装置として熱板を用いて熱処理温度145℃
の条件下で延伸弛緩熱処理を行ないフイラメント
の長さ方向に断面積の変化を有するポリエステル
マルチフイラメント糸を得た。この糸を2000T/
MでS及びZで強撚した後、ヨリ止めセツトを行
ない、平織機にてS、Z交互に緯糸打込みを行な
つてデシンクレープ織物を得た。この織物を精
練、中間セツト工程を通した後、浴濃度
NaOH30g/、浴温度98℃、浴比1:100の条
件下でアルカリ処理を行なつてアルカリ減量率25
%の織物を得た。次に染料アマクロンブルー
(American Color&Chemical Corp製)1.0%
owf、助剤サンソルト(日華化学工業製)1.0%
owfの条件下で染色を行なつた。 第1表中実験No.1およびNo.3は本発明を明確に
するための比較例であり、No.1は複屈折率が10×
10-3のいわゆる未延伸糸使いのため、太細糸の太
い部分の内部構造が粗であり、極端にアルカリ処
理を受け、織物強力が著しく低く、糸切れ部分が
多発していた。また、実験No.3は複屈折率が78×
10-3であるため耐アルカリ性は良好であつたが太
細の断面積比が小さく、かつ太細の内部構造差が
小さいため濃淡のコントラストが非常に弱く、霜
降り調の濃淡が得られなかつた。一方、本発明の
要件を満たす実験No.2からは良好な霜降り調の美
感を有し、かつ自然な表面タツチと適度なシヤリ
感、反発性を有し、さらに優れたドレープ性を有
する極めて価値の高い織物が得られた。 なお、実験No.1、2、3のアルカリ処理による
強力低下率は、それぞれ83%、45%、23%であつ
た。
るポリエステルマルチフイラメント糸の製造方法
に関するものである。 従来、繊維軸方向に対し、微細構造差を有する
ポリエステルマルチフイラメント糸としては、繊
維軸方向に太細を有し、その太い部分は配向度が
低く、細い部分は配向度が高いポリエステルマル
チフイラメント糸、いわゆるシツクアンドシンヤ
ーンが知られている。 しかしながら、このような従来のシツクアンド
シンヤーンは複屈接率が0.5×10-3〜10×10-3で
ある未延伸糸から得られたものであるため、配向
度の低い部分が結晶化した際に、糸がもろくなり
高次工程通過性が著しく低下し、用途展開上大き
な問題となつていた。 本発明者らはこのような問題点を改善するた
め、すでに高配向度未延伸ポリエステルマルチフ
イラメント糸から得た太細を有するポリエステル
糸条を特開昭50−18717で、その製造方法を特開
昭50−1878で提案した。 しかしながら、この糸条は仮ヨリ加工糸として
用いる場合は優れた織編物とすることが可能であ
るが、この糸条をそのまま用いて織物にする、い
わゆる生糸使いや、あるいは強撚して、織編物と
して用いる場合は次のような問題点を生ずる。 (1) 通常生糸使いや強撚糸使いの織編物は、最終
製品のソフトさやしなやかさ、ドレープ性等の
向上を狙つて、染色前にアルカリ処理を行なう
のが一般的であるが、シツクアンドシンヤーン
を用いた織編物をアルカリ処理すると、通常糸
とは違つて著しく織編物の強度が減少してしま
う。ポリエステルはアルカリに侵食されやすい
が、特に内部構造の粗の部分は密な部分に比べ
てアルカリに侵食されやすいのでシツクアンド
シンヤーンの太い部分、すなわち内部構造の粗
な未延伸部分が選択的にアルカリに犯され、ア
ルカリ処理後の織編物の張力をかけるとこの部
分への応力集中が起り、著しく強度が減少す
る。 (2) シツクアンドシンヤーンは収縮率が非常に大
きいため、そのまま織編物にすると布の巾入れ
が大きく、そのまま製品とすることはむづかし
い。 そこでこのような問題点を解決する目的で、高
配向未延伸糸を低倍率で冷延伸した後、弛緩状態
で熱処理する方法を特開昭54−68413で提案した。
この方法によればシツクアンドシンヤーンを低収
縮化することが可能であるが、冷延伸によつてシ
ツクアンドシンヤーンを得るため、太い部分の長
さが比較的長く、かつ太い部分の発生が周期的に
なり、得られた糸条を用いて織編物とし、染色す
ると、濃染となつた太い部分が集中したり、その
周期性によつて、いわゆるモアレになつたりする
欠点がある。さらにこの糸条は太い部分が比較的
長いため、この糸条を用いた織編物をアルカリ処
理をすると強力低下が大きい織編物とならざるを
得ず、さらにこの方法は高温熱処理を施すために
太い部分と細い部分との濃淡差が減少し、好まし
い霜降り調の濃淡が得られないという欠点があつ
た。 本発明者らは以上の欠点を解消することを目的
とし、先に提案した太細を有するポリエステルマ
ルチフイラメント糸の製造方法をさらに改善すべ
く鋭意検討した結果、本発明に到達したものであ
る。 そこで本発明の目的は、高次加工した織編物に
スパンライクな濃淡霜降り調と、自然な表面タツ
チと、良好な強力を与えるフイラメントの長さ方
向に太細を有するポリエステルマルチフイラメン
ト糸の製造方法を提供することにある。 すなわち、本発明は前記目的を達成するために
次の構成を有する。 アルカリ処理が施される織編物を構成するマル
チフイラメント糸において、複屈折率が20×10-3
〜70×10-3である高配向未延伸ポリエステルマル
チフイラメント糸を50〜100℃の加熱ピンに捲回
させ、(1+定応力伸長域伸度×0.6)倍〜(1+
定応力伸長域伸度×1.2)倍の倍率で熱ピン延伸
した後、リラツクス率1〜8%の弛緩状態におい
て100℃以上170℃以下の温度で熱処理し、アルカ
リ処理による強力低下率を70%以下とすることを
特徴とする太細を有するポリエステルマルチフイ
ラメント糸の製造方法。 以下、本発明の製造方法について図面を用いて
さらに詳細に説明する。 第1図は本発明の製造方法による好ましい製造
装置の一実施態様である。 第1図中1は本発明で用いる高配向未延伸ポリ
エステルマルチフイラメント糸で、フイードロー
ラー2とドローローラー4の間で熱ピン3を介し
て低倍率熱ピン延伸を行ない太細糸とした後、ド
ローローラー4とリラツクスローラー6との間で
熱処理装置5を介して弛緩熱処理を行ない、ワイ
ンダー7に巻取る。本発明で用いる高配向未延伸
ポリエステルマルチフイラメント糸1は複屈折率
が20×10-3〜70×10-3であることが必要で、好ま
しくは25×10-3〜60×10-3である。複屈折率が20
×10-3未満の未延伸糸を用いると太細の断面積比
が大きくなりすぎ、得られた糸を織編物として染
色すると、濃淡のコントラストが大きくなりすぎ
るため好ましくない。さらに太い部分の配向度が
低いために高次工程でアルカリ処理を施すとこの
部分が選択的にアルカリ処理を受け、著しく強度
低下を起すようになる。一方、複屈折率が70×
10-3を越える未延伸糸を用いて得た糸を織編物に
した場合、耐アルカリ処理性は向上するが、染色
すると濃淡のコントラストが低くなり、霜降り調
のパターンが得られなくなる。フイードローラー
2とドローローラー4とで熱ピン3を介して低倍
率延伸を行なう際は50〜100℃の加熱ピンに捲回
させて熱ピン延伸することが必要である。熱ピン
延伸においては、単糸フイラメント間での太細の
位相が実質的に等しく、明瞭な濃淡コントラスト
が得られる。熱ピン温度は60〜90℃であることが
好ましい。熱ピンの温度が50℃未満であると、太
細の発生が分散されず、太い部分が長く存在し、
後述するU%測定器で得られるU%チヤーでは太
い部分が長くつづくテーブル状のパターンとな
り、冷延伸を行なつた場合と似たパターンとな
る。従つて得られた糸を用いた織編物を染色する
と長い濃染部が存在し、かつ周期性を有するた
め、いわゆるモアレ状態の濃淡にならざるを得
ず、織編物の品位が著しく低下するとともに、ア
ルカリ処理によつて前記長く太い部分が選択的に
侵食されるため強度保持の点からも好ましくな
い。一方、熱ピンの温度が100℃を越えると得ら
れる糸のU%が低下し、織編物として染色すると
濃淡のコントラストが低下する。 また、延伸倍率は(1+定応力伸長域伸度×
0.6)倍〜(1+定応力伸長域伸度×1.2)倍が必
要であり、好ましくは(1+定応力伸長域伸度×
0.8)倍〜(1+定応力伸長域伸度×1.0)倍であ
る。延伸倍率が(1+定応力伸長域伸度×1.2)
倍を越えると太い部分の発生頻度が低下するた
め、この糸を用いた織編物を染色すると濃染部が
点在する織編物となり、本発明の目的とする霜降
り調が得られなくなる。一方、延伸倍率が(1+
定応力伸長域伸度×0.6)倍未満では太い部分が
多くなり過ぎ、この糸を用いた織編物を染色する
と濃染部の非常に多い美感の低下した織編物にな
るとともに、太い部分が多いことによつて耐アル
カリ侵食性も低下し、強力低下が大きくなる。 また、ドローローラ4とリラツクスローラ6と
の間で熱処理装置5を介して弛緩熱処理をする場
合、熱処理温度は100℃以上、170℃以下であるこ
とが必要であり、好ましくは120℃以上、150℃以
下である。熱処理温度が100℃未満では得られる
糸のアルカリ処理による強力低下が大きくなり、
かつ糸走行安定性が悪化する。熱処理温度が170
℃を越えると、得られる糸のU%が低下し、織編
物として染色すると濃淡のコントラストが低下す
ると共にアルカリ処理による強力低下が大きくな
る傾向がある。 かかる熱処理は1〜8%のリラツクス率の弛緩
状態に行なうものである。リラツクス率が1%未
満では得られた糸を織編物として染色すると濃淡
コントラストが低くなり、またリラツクス率が8
%を越えると糸走行張力が低下し、加工性が悪化
する。 ここでシツクアンドシンヤーンに弛緩熱処理を
施すとアルカリ処理による強力低下を抑えること
ができる理由として、本発明者らは下記のように
推定している。 すなわち、通常のポリエステルマルチフイラメ
ント糸は弛緩熱処理によつて配向度低下をおこす
が、高配向未延伸糸を熱ピン温度50〜100℃で低
倍率延伸して得た太細糸は弛緩熱処理によつて細
い部分の配向度は低下するが、太い部分の配向度
は逆に増大し、両者の内部構造差が減少するた
め、弛緩熱処理なしの太細糸と弛緩熱処理を施し
た太細糸を同一アルカリ減量率で比較すると、弛
緩熱処理なしの太細糸に比べて弛緩熱処理を施し
た太細糸の太い部分がアルカリに侵食されにくく
なり、かつ細い部分が犯されやすくなることによ
つて、比較的均一にアルカリ処理を受けることに
なる。従つてこの糸が張力を受けた場合、応力集
中する部分が少なくなり、この結果強力低下をお
さえることが可能になる。このようなアルカリ処
理によつて強力低下をおさえる効果は、前述のよ
うに延伸時に熱ピン温度50〜100℃で低倍率延伸
し、かつ引続いて100℃以上、170℃以下の温度で
弛緩熱処理することによつてはじめて発揮される
ものである。 なお、熱処理装置としては熱板に限られるもの
ではなく、熱処理の均一化をねらつてチユーブヒ
ータやスリツトヒータ、またはホツトローラを用
いることもできる。 熱処理装置として熱板やスリツトヒーターを用
いる場合は、最終製品の霜降り調の濃淡コントラ
スト向上の面からリラツクス率が3〜8%である
ことが好ましく、ホツトローラーを用いる場合は
糸走行安定性の面から1〜4%であることが好ま
しい。 そしてかかる弛緩熱処理による処理時間は、一
般には0.01秒〜0.13秒であり、好ましくは0.01秒
〜0.1秒である。 さらに染色した織編物に霜降り調のパターンを
与えるためには、本発明により得られる糸のU%
(後述する)は一般には4〜12%であり、好まし
くは5〜10%である。 また、高次工程通過性を良好にし、実用に十分
に耐える織編物とするためには、後述するアルカ
リ処理による強力低下率が70%以下が必要で、60
%以下が好ましい。 本発明で用いる高配向未延伸ポリエステルマル
チフイラメントを構成するポリエステルは、エチ
レンテレフタレート単位を80モル%以上含むもの
である。 共重合成分としては、たとえばアジピン酸、セ
バシン酸、イソフタル酸、ジフエニルジカルボン
酸、ナフタリンジカルボン酸等の二塩基酸類、オ
キシ安息香酸の如きオキシ酸類、およびジエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ネオペン
チルグリコール、ペンタエリスリトール、ポリエ
チレングリコールモノメチルエーテル等のグリコ
ール類、5−ナトリウムスルホイソフタル酸など
のうちから1種または2種以上のものを使用する
ことができる。 以上詳述したように本発明で得られる太細を有
するポリエステルマルチフイラメント糸は、熱ピ
ン温度50〜100℃で低倍率延伸した後、100℃以
上、170℃以下の温度で弛緩熱処理をしたため、
織編物として高次加工すると下記のような優れた
効果を発揮する。 すなわち、マルチフイラメント糸が太細を有す
るため、表面に微妙な凹凸をもち、自然なスパン
調の表面タツチを有する他、この凹凸が光線の吸
収を助け色の深みを増すとともに霜降り調の自然
な濃淡を有するために優れた美感を呈する。ま
た、生糸及び強撚使いとしてアルカリ処理を施し
ても十分実用に耐える強力を有し、工程通過性が
極めて良好である。 一方、太細の存在によつてフイラメント相互間
に空隙を有するので、優れたドレープ性が付与さ
れ、アルカリ処理によつてこのドレープ性は一層
向上する。 さらに強撚使いの場合、加撚効果による良好な
シヤリ感を有し、フイラメント相互間に空隙を有
するため曲げ変化に対して応力回復が容易とな
り、良好な反発性を呈する。 以下、実施例によつて本発明を更に具体的に説
明するが、これに先立ち、リラツクス率、定応力
伸長域伸度の定義、および各種測定法につき述べ
る。 リラツクス率の定義: リラツクス率〔%〕= ドローローラ4の表面速度(m/min)−リラツクスロ
ーラ6の表面速度(m/min)/ドローローラ4の表面
速度(m/min)×100 定応力伸長域伸度の定義: インストロン型引張試験機得た第2図に示す
チヤート上のAの伸度を読みとり、とえば40%
であれば0.4として表わす。 U%の測定方法: 測定機としては市販のUster Evenness
Tester(計測器工業株式会社製)を使用する。
糸のトータルデニールによつて使用する測定用
スロツトを選択し、糸速を4m/minとし仮撚
り機で約1500rpmの回転を与えて仮撚りしつつ
ノルマルテストにて測定する。ウスタむら曲線
はチヤート速度25m/minで描かせる。U%は
付属のインテグレーターで3分間の糸むらとし
て値を読みとる。U%は3分間の測定を1回と
して少なくとも5回測定し、その平均値で表わ
す。 強力低下率の測定方法: 本発明の製造方法によつて得られる太細を有
するポリエステルマルチフイラメント糸を
21700/√T/M(D:太細を有するポリエス
テルマルチフイラメント糸のデニール)のヨリ
数で、SヨリおよびZヨリで強撚した後、S、
Zそれぞれヨリ止めセツトを行なう。得られた
強撚糸を平織機にて、S、Z交互に緯打込みを
行ない平織物を得る。この織物を精練、中間セ
ツト工程を通した後、中間セツト上りの織物を
分解して緯糸を取り出し、20本の緯糸をサンプ
リングする。これを試料Aとする。サンプリン
グ後の織物を浴濃度NaOH30g/、浴温度
98℃、浴比1:100のアルカリ浴にてアルカリ
処理を行なう。この時アルカリによる織物の減
量率(%) (アルカリ処理前の重量(g)−アルカリ処理後の重量
(g)/アルカリ処理前の重量(g)×100) が25%となるようにアルカリ処理時間を設定す
る。アルカリ処理終了後織物を分解して緯糸を取
り出し、20本の緯糸をサンプリングする。これを
試料Bとする。試料A及び試料Bを用意し、イン
ストロン型引張試験機にて、試料長さ20cm、引張
速度20cm/minの条件下で試料1本づつの破断強
力を測定する。この測定をくり返し試料Aと試料
Bの各々20本づつの破断強力平均値を求め、次式
に従つて強力低下率を算出する。 強力低下率(%)=試料Aの平均値(g)−試料
Bの平均値(g)/試料Aの平均値(g)×100 実施例 1 〔η〕=0.64の酸化チタンを含むポリエステル
を紡糸速度及び吐出量を変更して第1表に示す36
フイラメントの未延伸ポリエステルマルチフイラ
メント糸を得た。この未延伸糸を延伸速度450
m/min、延伸倍率(1+定応力伸長域伸度×
0.9)倍、熱ピン温度80℃、リラツクス率5%、
熱処理装置として熱板を用いて熱処理温度145℃
の条件下で延伸弛緩熱処理を行ないフイラメント
の長さ方向に断面積の変化を有するポリエステル
マルチフイラメント糸を得た。この糸を2000T/
MでS及びZで強撚した後、ヨリ止めセツトを行
ない、平織機にてS、Z交互に緯糸打込みを行な
つてデシンクレープ織物を得た。この織物を精
練、中間セツト工程を通した後、浴濃度
NaOH30g/、浴温度98℃、浴比1:100の条
件下でアルカリ処理を行なつてアルカリ減量率25
%の織物を得た。次に染料アマクロンブルー
(American Color&Chemical Corp製)1.0%
owf、助剤サンソルト(日華化学工業製)1.0%
owfの条件下で染色を行なつた。 第1表中実験No.1およびNo.3は本発明を明確に
するための比較例であり、No.1は複屈折率が10×
10-3のいわゆる未延伸糸使いのため、太細糸の太
い部分の内部構造が粗であり、極端にアルカリ処
理を受け、織物強力が著しく低く、糸切れ部分が
多発していた。また、実験No.3は複屈折率が78×
10-3であるため耐アルカリ性は良好であつたが太
細の断面積比が小さく、かつ太細の内部構造差が
小さいため濃淡のコントラストが非常に弱く、霜
降り調の濃淡が得られなかつた。一方、本発明の
要件を満たす実験No.2からは良好な霜降り調の美
感を有し、かつ自然な表面タツチと適度なシヤリ
感、反発性を有し、さらに優れたドレープ性を有
する極めて価値の高い織物が得られた。 なお、実験No.1、2、3のアルカリ処理による
強力低下率は、それぞれ83%、45%、23%であつ
た。
【表】
実施例 2
〔η〕=0.64の酸化チタンを含むポリエステル
紡糸速度3000m/minで溶融紡糸を行ない、複屈
折率が35×10-3、定応力伸長域伸度が0.45である
118デニール36フイラメントの未延伸ポリエステ
ルマルチフイラメント糸を得た。この糸を延伸速
度450m/min、熱処理装置として熱板を用いた
他第2表に示す条件で延伸して、第2表に示す太
細を有するポリエステルマルチフイラメント糸を
得た。この糸を2500T/MでS及びZで強撚した
後、ヨリ止めセツトを行ない、平織機にてS、Z
交互打込みを行なつてデシンクレープ織物を得
た。この織物を精練、中間セツト工程を通した
後、浴濃度NaOH30g/、浴温度98℃、浴比
1:100の条件下でアルカリ処理を行なつてアル
カリ減量率25%の織物を得た。次に染料アマクロ
ンブルー(American Color&Chemical Corp
製)1.0%owf、助剤サンソルト(日華化学工業
製)1.0%owfの条件下で染色を行ない第2表に
示す織物評価を行なつた。 第2表中実験No.1、4、5、8、9、12、13、
16及び17は本発明の効果を明確にするための比較
例である。 第2表中実験No.1〜4は延伸倍率を変更して、
実験したものである。実験No.1は延伸倍率が(1
+定応力伸長域伸度×0.6)より低いため、U%
が大きく、濃染部が多すぎるため低品位の織物に
なつたばかりでなく、濃染部となる内部構造の粗
な太い部分が多いためアルカリ処理による強力低
下が大きく、織物強力が低かつた。 また、実験No.4は延伸倍率が(1+定応力伸長
域伸度×1.2)を越えるため、U%が低く、濃染
部が少なすぎるため濃染部が点在する織物とな
り、本発明の目的とする霜降り調の織物が得られ
なかつた。 実験No.5〜8は熱ピン温度を変更して実験した
ものである。実験No.5は熱ピン温度が50℃より低
いため、いわゆる冷延伸と似た太細パターン、す
なわち太い部分が長く続き、かつ周期性を有する
太細パターンとなり、モアレ状態の低品位な織物
となつた。さらに太い部分が長いため、アルカリ
処理による強力低下が大きい織物となつた。 また、実験No.8は熱ピン温度が100℃を越える
ため、U%が低く、濃淡コントラストの少ない織
物となつた。 実験No.9〜12はリラツクス率を変更して実験し
たものである。実験No.9はリラツクス率が1%よ
り低く、定長〜緊張熱処理のため、濃淡コントラ
ストが少ない織物となつた。また、実験No.12はリ
ラツクス率が8%を越えるため糸走行安定性が悪
化し、糸切れが発生した。 実験No.13〜16は熱処理温度を変更して実験した
ものである。実験No.13は熱処理温度が100℃より
低いため、糸走行安定性が悪化し、糸切れが発生
した。また、実験No.16は熱処理温度が170℃を越
えるため、全体に淡染傾向になり、かつ濃淡コン
トラストが少なく、かつ強力低下の比較的大きな
織物であつた。 実験No.17は延伸したのみで弛緩熱処理を実施し
ないで実験したものである。実験No.17は弛緩熱処
理を施していないために強力低下率が非常に大き
く、強力低下の大きな織物であつた。 一方、本発明の要件を満たす実験No.2、3、
6、7、10、11、14及び15からは、良好な織物強
度と霜降り調の濃淡とを有し、かつ自然な表面タ
ツチと適度なシヤリ感、反発性を有し、さらに優
れたドレープ性を有する極めて商品価値の高い織
物が得られた。
紡糸速度3000m/minで溶融紡糸を行ない、複屈
折率が35×10-3、定応力伸長域伸度が0.45である
118デニール36フイラメントの未延伸ポリエステ
ルマルチフイラメント糸を得た。この糸を延伸速
度450m/min、熱処理装置として熱板を用いた
他第2表に示す条件で延伸して、第2表に示す太
細を有するポリエステルマルチフイラメント糸を
得た。この糸を2500T/MでS及びZで強撚した
後、ヨリ止めセツトを行ない、平織機にてS、Z
交互打込みを行なつてデシンクレープ織物を得
た。この織物を精練、中間セツト工程を通した
後、浴濃度NaOH30g/、浴温度98℃、浴比
1:100の条件下でアルカリ処理を行なつてアル
カリ減量率25%の織物を得た。次に染料アマクロ
ンブルー(American Color&Chemical Corp
製)1.0%owf、助剤サンソルト(日華化学工業
製)1.0%owfの条件下で染色を行ない第2表に
示す織物評価を行なつた。 第2表中実験No.1、4、5、8、9、12、13、
16及び17は本発明の効果を明確にするための比較
例である。 第2表中実験No.1〜4は延伸倍率を変更して、
実験したものである。実験No.1は延伸倍率が(1
+定応力伸長域伸度×0.6)より低いため、U%
が大きく、濃染部が多すぎるため低品位の織物に
なつたばかりでなく、濃染部となる内部構造の粗
な太い部分が多いためアルカリ処理による強力低
下が大きく、織物強力が低かつた。 また、実験No.4は延伸倍率が(1+定応力伸長
域伸度×1.2)を越えるため、U%が低く、濃染
部が少なすぎるため濃染部が点在する織物とな
り、本発明の目的とする霜降り調の織物が得られ
なかつた。 実験No.5〜8は熱ピン温度を変更して実験した
ものである。実験No.5は熱ピン温度が50℃より低
いため、いわゆる冷延伸と似た太細パターン、す
なわち太い部分が長く続き、かつ周期性を有する
太細パターンとなり、モアレ状態の低品位な織物
となつた。さらに太い部分が長いため、アルカリ
処理による強力低下が大きい織物となつた。 また、実験No.8は熱ピン温度が100℃を越える
ため、U%が低く、濃淡コントラストの少ない織
物となつた。 実験No.9〜12はリラツクス率を変更して実験し
たものである。実験No.9はリラツクス率が1%よ
り低く、定長〜緊張熱処理のため、濃淡コントラ
ストが少ない織物となつた。また、実験No.12はリ
ラツクス率が8%を越えるため糸走行安定性が悪
化し、糸切れが発生した。 実験No.13〜16は熱処理温度を変更して実験した
ものである。実験No.13は熱処理温度が100℃より
低いため、糸走行安定性が悪化し、糸切れが発生
した。また、実験No.16は熱処理温度が170℃を越
えるため、全体に淡染傾向になり、かつ濃淡コン
トラストが少なく、かつ強力低下の比較的大きな
織物であつた。 実験No.17は延伸したのみで弛緩熱処理を実施し
ないで実験したものである。実験No.17は弛緩熱処
理を施していないために強力低下率が非常に大き
く、強力低下の大きな織物であつた。 一方、本発明の要件を満たす実験No.2、3、
6、7、10、11、14及び15からは、良好な織物強
度と霜降り調の濃淡とを有し、かつ自然な表面タ
ツチと適度なシヤリ感、反発性を有し、さらに優
れたドレープ性を有する極めて商品価値の高い織
物が得られた。
【表】
【表】
◎極めて良好 ○良好 ×不良
第1図は本発明で用いる好ましい製造装置の概
略図で、第2図は定応力伸長域伸度を説明する強
力伸長曲線のモデル図である。 1……高配向未延伸マルチフイラメント、2…
…フイードローラー、3……熱ピン、4……ドロ
ーローラー、5……熱処理装置、6……リラツク
スローラー、7……ワインダー。
略図で、第2図は定応力伸長域伸度を説明する強
力伸長曲線のモデル図である。 1……高配向未延伸マルチフイラメント、2…
…フイードローラー、3……熱ピン、4……ドロ
ーローラー、5……熱処理装置、6……リラツク
スローラー、7……ワインダー。
Claims (1)
- 1 アルカリ処理が施される織編物を構成するマ
ルチフイラメント糸において、複屈折率が20×
10-3〜70×10-3である高配向未延伸ポリエステル
マルチフイラメント糸を50〜100℃の加熱ピンに
捲回させ、(1+定応力伸長域伸度×0.6)倍〜
(1+定応力伸長域伸度×1.2)倍の倍率で熱ピン
延伸した後、リラツクス率1〜8%の弛緩状態に
おいて100℃以上170℃以下の温度で熱処理し、ア
ルカリ処理による強力低下率を70%以下とするこ
とを特徴とする太細を有するポリエステルマルチ
フイラメント糸の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18741480A JPS57112428A (en) | 1980-12-30 | 1980-12-30 | Production of polyester multifilament yarn having thick and fine parts |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18741480A JPS57112428A (en) | 1980-12-30 | 1980-12-30 | Production of polyester multifilament yarn having thick and fine parts |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS57112428A JPS57112428A (en) | 1982-07-13 |
JPS64491B2 true JPS64491B2 (ja) | 1989-01-06 |
Family
ID=16205616
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18741480A Granted JPS57112428A (en) | 1980-12-30 | 1980-12-30 | Production of polyester multifilament yarn having thick and fine parts |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS57112428A (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5915536A (ja) * | 1982-07-14 | 1984-01-26 | 日本エステル株式会社 | 太細糸の製造方法 |
JPS61635A (ja) * | 1984-06-07 | 1986-01-06 | 東レ株式会社 | シツクアンドシン糸条の熱処理方法 |
JPH0711095B2 (ja) * | 1984-10-15 | 1995-02-08 | 東レ株式会社 | シツクアンドシン糸条の熱処理方法 |
JPH0711096B2 (ja) * | 1984-12-28 | 1995-02-08 | 東レ株式会社 | ポリエステルスパンライク潜在捲縮糸の製造方法 |
JP2814451B2 (ja) * | 1988-05-09 | 1998-10-22 | 三菱レイヨン株式会社 | スパン調マルチフィラメント糸の製造方法 |
JP2698725B2 (ja) * | 1992-03-04 | 1998-01-19 | 鐘紡株式会社 | 自己伸長性太細糸の製造方法及び異収縮混繊糸の製造方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS51133522A (en) * | 1975-05-16 | 1976-11-19 | Toray Ind Inc | Synthetic fiber multifilament yarn and process for producing it |
-
1980
- 1980-12-30 JP JP18741480A patent/JPS57112428A/ja active Granted
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS51133522A (en) * | 1975-05-16 | 1976-11-19 | Toray Ind Inc | Synthetic fiber multifilament yarn and process for producing it |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS57112428A (en) | 1982-07-13 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPS64491B2 (ja) | ||
JPH0680207B2 (ja) | ポリエステル太細糸及びその製造方法 | |
JPS5994634A (ja) | 異収縮混繊糸 | |
JPH0797731A (ja) | 編織物用複合糸 | |
JP3023017B2 (ja) | 仮撚複合糸およびその製造方法 | |
JP3515508B2 (ja) | ポリエステル撚糸を含む濃淡織編物 | |
JPH0152491B2 (ja) | ||
JP3501012B2 (ja) | 複合糸およびその複合糸からなる織編物 | |
JPH03279428A (ja) | ポリエステル混繊糸 | |
JPH1193029A (ja) | 特殊複合仮撚加工糸およびその製造方法 | |
JP2005082908A (ja) | 先染め糸およびその製造方法 | |
JPH1161633A (ja) | 織物の製造方法 | |
JPS5971413A (ja) | 高ドレ−プ布帛用ポリエステル原糸およびその製造方法 | |
JP2000144541A (ja) | ポリエステル混繊糸 | |
JP2985887B1 (ja) | ソフトポリエステル繊維および織編物 | |
JP3452154B2 (ja) | ポリエステル複合糸及びポリエステル織編物の製造方法 | |
JP3581003B2 (ja) | ポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸 | |
JPH02293410A (ja) | 混繊用ポリエステル繊維とその混繊糸 | |
JPH04333634A (ja) | ポリエステル系複合糸 | |
JP2003306829A (ja) | ポリエステル斑糸 | |
JP2003020519A (ja) | ポリエステル太細糸およびその製造方法 | |
JPH09273043A (ja) | 自発伸長性ポリエステルフィラメント糸及びその製造方法並びに自発伸長性ポリエステルフィラメント糸含有混繊糸 | |
JPH0657564A (ja) | シルクウール調複合仮撚加工糸およびその製造方法 | |
JPS6155224A (ja) | 特殊混繊糸 | |
JPH08176933A (ja) | シボ織物及びその製造方法 |