JPH1193029A - 特殊複合仮撚加工糸およびその製造方法 - Google Patents

特殊複合仮撚加工糸およびその製造方法

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JPH1193029A
JPH1193029A JP24671097A JP24671097A JPH1193029A JP H1193029 A JPH1193029 A JP H1193029A JP 24671097 A JP24671097 A JP 24671097A JP 24671097 A JP24671097 A JP 24671097A JP H1193029 A JPH1193029 A JP H1193029A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 滑らかな表面タッチでレーヨン調風合を呈す
る特殊複合仮撚加工糸およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 複屈折率0.07〜0.11の未延伸高
配向ポリエステルマルチフィラメントと、それよりも伸
度が50〜200%大きく且つ中空率が20%以上であ
る未延伸低配向中空ポリエステルマルチフィラメントと
を、後者が4〜7割を占めるように合糸し、次いで糸温
度を70〜100℃、延伸倍率を1.1〜1.4、仮撚
数を13000/(総繊度)1/2 〜30000/(総繊
度)1/2 として延伸仮撚加工した後、温度150℃以上
で熱処理して、鞘部フィラメントの中空状態がパルシン
グし、その最大中空率が仮撚加工前の中空率の1.4倍
以下であり、且つその断面偏平度が1.5〜4.5で、
中空率の分布が0〜60%、且つ中空部潰れの割合が5
0%以下である二層構造の複合仮撚加工糸を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、滑らかな表面タッ
チでレーヨン調風合を呈する特殊複合仮撚加工糸および
その製造方法に関するものである。さらに詳しくは、フ
ィラメントの長手方向に沿って中空状態がパルシング
し、かつその断面形状が偏平である中空フィラメント
が、鞘部として芯部糸に巻き付いた二層構造の特殊複合
仮撚加工糸およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、伸度差を有する2種以上のフィラ
メント糸を引き揃えて交絡し、引き続いて仮撚加工する
ことにより、嵩高でウオーム感に優れた二層構造糸を得
る方法が知られている(例えば特公昭60―11130
号公報、特公昭61―19733号公報など)。しかし
ながら、これらの二層構造糸は、嵩高性には優れている
ものの、仮撚による捲縮発現が強く、断面変形による粗
硬感が強く、また特有のヌメリ感を呈するものであるた
め、盛夏用外衣等のシャリ感および清涼感が要求される
用途には十分対応しきれないという問題があった。
【0003】この様な問題を解消するため、特開昭7―
118976号公報には、伸度差を有する2種のポリエ
ステルマルチフィラメント糸を交絡した後、低延伸倍率
で低温延伸仮撚加工する2層構造糸の製造方法が開示さ
れている。しかしながら、かかる方法で得られる二層構
造糸は、鞘部を構成するフィラメントがネック延伸を起
こして太細(シックアンドシン)形態になるため、ポリ
エステルのヌメリ感は払拭することができるものの、そ
の表面タッチの粗硬感はまだ強く、またドレープ性も不
十分なものである。
【0004】また特開平9―132835号公報には、
伸度差が300%以上で、高伸度側のフィラメントが中
空率20%以上の中空部を有している2種のフィラメン
トを交絡した後、低延伸倍率で低温延伸仮撚加工する二
層構造の複合仮撚加工糸の製造方法が開示されている。
しかしながら、かかる方法ではソフトな風合を呈し軽量
感にも優れた二層構造糸は得られるものの、高伸度側フ
ィラメントの伸度が大きいため、延伸仮撚加工時にネッ
ク延伸を起こして鞘部フィラメントは太細(シックアン
ドシン)形態となりやすく、また仮撚加工時の中空部エ
アー偏在により、部分的に中空部が大きく拡大しすぎて
中空膜が薄くなる部分が形成され、その結果、製織工
程、染色加工工程、あるいはアルカリ減量加工工程にお
いて中空破れが発生しやすくなり、滑らかな表面タッチ
でレーヨン調の風合が得られないという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の有する問題点を解消し、滑らかな表面タッチ
で且つレーヨン調風合を呈する特殊複合仮撚加工糸およ
びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意検討した結果、伸度差を有する2種の
フィラメント間の伸度差を200%以下にすると共に、
高伸度側のフィラメントに中空フィラメントを用いて特
定条件下で延伸仮撚加工するとき、中空状態および太さ
(繊度)が中空フィラメントの長手方向に沿ってパルシ
ングし、且つ中空部破れの発生し難い、所望の風合を呈
する複合仮撚加工糸が得られることを究明した。
【0007】かくして本発明によれば、(1) 高配向
ポリエステルマルチフィラメント(A)を芯部とし、そ
の周りに低配向ポリエステルマルチフィラメント(B)
が鞘部として巻き付いた二層構造の複合仮撚加工糸にお
いて、該鞘部フィラメントは長手方向に沿って中空状態
がパルシングし、その最大中空率が仮撚加工前の中空率
の1.4倍以下である中空フィラメントで構成され、該
複合仮撚加工糸の横断面における該鞘部フィラメントの
断面形状は、偏平度が1.5〜4.5で、その中空率の
分布が0〜60%、且つ中空部の潰れた割合が50%以
下であることを特徴とする特殊複合仮撚加工糸、および
(2) 複屈折率が0.07〜0.11の未延伸高配向
ポリエステルマルチフィラメント(A’)と、該
(A’)よりも切断伸度が50〜200%大きく且つ中
空率が20%以上である未延伸低配向中空ポリエステル
マルチフィラメント(B’)とを合糸し、下記(a)〜
(d)の仮撚加工条件下に延伸同時仮撚加工を行い、次
いで150℃以上の温度で熱処理することを特徴とする
特殊複合仮撚加工糸の製造方法、 (a)0.4≦DB/(DA+DB)≦0.7 但し、DAは未延伸高配向ポリエステルマルチフィラメ
ント(A’)の総繊度、DBは未延伸低配向中空ポリエ
ステルマルチフィラメント(B’)の総繊度を表す (b)延伸倍率(DR):1.1≦DR≦1.4 (c)仮撚数(T):13000/(DA+DB)1/2
≦T≦30000/(DA+DB)1/2 (d)仮撚の熱固定ヒーター出口直後の糸温度(T
E):70℃≦TE≦100℃ が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面により、
詳細に説明する。図1は、本発明の複合仮撚加工糸の一
横断面図例、図2は、従来の複合仮撚加工糸の一横断面
図例である。また、図3は本発明の複合仮撚加工糸を製
造するための製造装置の一例を示す側面図である。
【0009】図3において、クリール1の未延伸高配向
ポリエステルマルチフィラメント(A′)と、クリール
2の、(A′)よりも50〜200%高伸度の未延伸低
配向中空ポリエステルマルチフィラメント(B′)は引
き揃えられて1対の供給ローラー(5)より供給され、
空気交絡ノズル(6)で互いに絡められた後、中間ロー
ラー(7)を経て第1ヒーター(8)と仮撚具(9)に
送られ、加撚、熱セットおよび解撚される。
【0010】さらに、仮撚加工された複合仮撚加工糸
は、引き続いて、デリベリローラー(10)を経て、第
2ヒーター(11)で熱処理され、引き取りローラ(1
2)により、ワインダー(13)にチーズ(14)とし
て巻き取られる。
【0011】この際、未延伸高配向ポリエステルマルチ
フィラメント(A′)としては複屈折率が0.07〜
0.11のものを使用し、該(A′)と未延伸低配向中
空ポリエステルマルチフィラメント(B′)との伸度差
は50〜200%にすることが肝要である。伸度差が5
0%未満の場合には、二層構造の複合仮撚加工糸は得ら
れなくなり、中空状態のパルシングも不十分となる。一
方、200%を越える場合には、鞘部フィラメントの中
空状態のパルシングが大きくなりすぎ、また鞘部フィラ
メントの断面形状の変形も大きくなりすぎるため、染色
斑や筋斑が発生しやすくなり、得られる布帛もシャリ感
が強くなり本発明の目的を達成することができない。
【0012】なお、上記未延伸高配向ポリエステルマル
チフィラメント(A′)[以下単にA′と略称すること
がある]は、伸度が50〜130%の中実ポリエステル
マルチフィラメントであることが望ましく、4000m
/分以上の高速度で紡糸する方法、さらにこれを加熱処
理する方法により得られるものを例示することができ、
なかでも5000m/分以上の速度で紡糸されたものが
好ましい。一方、高伸度側の未延伸低配向中空ポリエス
テルマルチフィラメント(B′)[以下、単にB´と略
称することがある]としては、伸度が100〜200%
の範囲のものが好ましく、なかでも紡糸速度2500〜
3500m/分で得られたものが好ましい。
【0013】次ぎに、中空フィラメント(B′)の中空
率は20%以上であることが必要であり、該中空率が2
0%未満の場合には、フィラメントの長手方向に沿って
中空状態のパルシングが十分に起こらないので好ましく
ない。ただ、あまりに中空率が大きくなりすぎると、フ
ィブリルが発生しやすくなり、製織性の低下等を招くの
で、高々50%程度に止めることが好ましい。上記未延
伸低配向中空ポリエステルマルチフィラメント(B′)
は、従来公知の方法により製造することができる。
【0014】また上記A′とB′とは、その総繊度DA
とDBとが下記式を満足していることが必要である。 0.4≦DB/(DA+DB)≦0.7 但し、DAは未延伸高配向ポリエステルマルチフィラメ
ント(A´)の総繊度、DBは未延伸低配向中空ポリエ
ステルマルチフィラメント(B´)の総繊度を表す。
【0015】中空フィラメントB′の割合が40%未満
の場合には、A′が支配的になって、得られる複合仮撚
加工糸の鞘部フィラメントの中空状態がパルシングする
効果が低下して、表面タッチの滑らかさが減少するので
好ましくない。一方70%を越える場合には、得られる
複合仮撚加工糸の芯部の割合が少なくなり、反撥性が低
下するだけでなく、仮撚加工時のB′への撚負荷が大き
くなりすぎ、鞘部フィラメントの偏平度および中空部潰
れのバランスが崩れて本発明の目的を達成することがで
きなくなる。
【0016】上記仮撚加工に際しては、仮撚の熱固定ヒ
ーター出口の糸温度を70〜100℃にすることが必要
である。出口の糸温度が70℃未満の場合には、加撚張
力が高くなりすぎて、染色斑やイラツキ発生の原因とな
る。一方、該糸温度が100℃を越える場合には、捲縮
率が高くなりすぎて、得られる織物がふかついた風合を
呈するようになる。
【0017】仮撚の熱固定ヒーター出口の糸温度を70
〜100℃とするには、延伸仮撚ヒーター温度を80〜
120℃とし、0.2〜0.4秒間加熱を行えばよい。
【0018】また仮撚加工に際しての延伸倍率は、1.
1〜1.4の範囲とする必要がある。この延伸倍率が
1.4を越える場合には、毛羽が多発して製織・染色等
の後加工工程での加工性が低下する上、得られる織物の
品位も低下するため好ましくない。一方1.1未満の場
合には、仮撚加工時の糸揺れに起因して、得られる複合
加工糸は染斑が発生しやすくなるので好ましくない。
【0019】また、仮撚加工に際しての仮撚数(T)
は、下記式を満足するように設定する必要がある。 13000/(DA+DB)1/2 ≦T≦30000/
(DA+DB)1/2 仮撚数がこの範囲内にあると、加撚糸条の振動や、バル
ーニングに起因する撚数のバラツキを抑制することがで
き、糸の長手方向での中空潰れの割合を50%以下に保
ちながら、中空状態を安定にパルシングさせることが可
能となり、これにより滑らかな表面タッチでレーヨン調
の風合を呈する複合仮撚加工糸を安定して得ることがで
きる。
【0020】次ぎに第2ヒーター(11)での熱処理
は、得られる複合仮撚加工糸の沸水収縮率が3〜7%と
なるような条件で実施すればよく、上記条件で仮撚する
場合には150℃以上の温度が必要である。しかし、あ
まりに温度が高くなりすぎると、フィラメント間の融着
等が発生する場合があるので、高々220℃程度に止め
ることが好ましい。
【0021】なお、本発明におけるポリエステルは、テ
レフタル酸を主たる酸成分とし、少なくとも1種のグリ
コール、好ましくはエチレングリコール、トリメチレン
グリコール、テトラメチレングリコールなどから選ばれ
た少なくとも1種のアルキレングリコールを主たるグリ
コール成分とするポリエステルを対象とするが、該ポリ
エステルには、スルホン酸金属塩を含有するイソフタル
酸成分、例えば5―ナトリウムスルホイソフタル酸また
は5―テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸な
どを公知の方法で共重合したものでもよく、また、本発
明の目的を損なわない範囲で安定剤、酸化防止剤、難燃
剤、帯電防止剤、蛍光増色剤、触媒、着色剤、無機微粒
子などを添加したものでもよい。
【0022】以上に詳述した方法により製造される複合
仮撚加工糸は、高配向ポリエステルマルチフィラメント
(A)を芯部(以下、芯糸と称することがある)とし、
その周りに低配向中空ポリエステルマルチフィラメント
(B)が鞘部(以下、鞘糸と称することがある)として
巻き付いた二層構造を形成し、しかも、鞘糸を構成する
各中空フィラメントの中空状態が互いに位相を異ならせ
ながらパルシングしているため、その任意の断面におい
て、図1に示すように、潰れた状態から、仮撚加工前よ
りも中空率が拡大した状態までの中空フィラメントが混
在したものが得られる。
【0023】つまり、上記の仮撚工程においては、低配
向の中空フィラメント(B´)は伸びやすく、他方、高
配向のフィラメント(A´)は伸び難いので、高配向フ
ィラメント(A´)の外周部に低配向中空フィラメント
(B´)が巻き付けられ、巻き付けに要する長さだけ中
空フィラメント(B´)は引き伸ばされる。
【0024】そして、該中空フィラメント(B´)は捩
じられながら引き伸ばされるので、中空部分に存在する
空気がフィラメントの長手方向に押し出され、中空部分
は、中空率がフィラメント間で互いに位相を異ならせな
がら変動を繰り返すパルシング状態となるのである。
【0025】この際、中空フィラメントの最大中空率
は、仮撚加工前の中空率の1.4倍以下、好ましくは
1.1〜1.3倍の範囲内であることが肝要である。最
大中空率が1.4倍を越える場合には、得られる加工糸
の軽量感は増大するものの、部分的に中空部が大きく拡
大するためにパルシング斑が発生しやすく、太さ斑や、
中空率が大きい部分でのフィブリル化が起こりやすくな
る。このために、製織性の低下、染色時の染色斑等を引
き起こしやすく、さらにはアルカリ減量処理する場合に
中空破れが発生して表面タッチの滑らかさが得られなく
なる等、本発明の目的を達成することができなくなる。
一方、最大中空率の仮撚加工前の中空率に対する拡大割
合の下限は、特に限定されるものではないが、あまりに
小さすぎる場合には中空状態のパルシングが不十分とな
って、滑らかな表面タッチでレーヨン調の風合を呈する
複合仮撚加工糸が得られなくなる場合がある。
【0026】さらに本発明の複合仮撚加工糸は、中空フ
ィラメントの外周横断面形状は偏平度が1.5〜4.
5、好ましくは1.8〜4.0で、その断面内における
中空率の分布は0〜60%、好ましくは0〜40%で、
且つ中空部の潰れた割合が50%以下、好ましくは30
〜50%である必要がある。偏平度が1.5未満である
場合には、人工的なギラギラ光沢(イラツキ)が発生す
るため、本発明の目的とするレーヨン調の風合が得られ
なくなり、一方4.5を越える場合には、断面形状に鋭
角部が存在するようになってガサツキ感を呈するように
なるので好ましくない。
【0027】また断面内における中空率の分布が前記範
囲外である場合には、中空状態のパルシングの割合が大
きくなりすぎるだけでなく、鞘糸の断面形状の変形が大
きくなりすぎて、やはり滑らかな表面タッチでレーヨン
調の風合を得ることができなくなるので好ましくない。
さらに、中空部が潰れた状態の鞘糸割合が50%を越え
る場合には、中空状態のパルシングのバランスが崩れ、
中空状態の異なる単糸のランダム配置、ミックス効果が
低下して、表面タッチが悪化するため本発明の目的を達
成することができなくなる。
【0028】なお、ここでいう偏平度とは、中空フィラ
メントの横断面における最長軸径をLAとし、これに直
交する方向における最大幅を短軸径LBとした時、次式
で定義される。 偏平度=LA/LB また断面内における中空率の分布とは、複合仮撚加工糸
の任意の断面における鞘糸(中空フィラメント)の、夫
々のフィラメント中空率を測定してその範囲で表したも
のである。
【0029】さらに中空部の潰れた割合は、本発明の複
合仮撚加工糸の各鞘糸が、中空状態が互いに位相を異に
してパルシングしており、その任意の断面においては図
1に示すような下記〜の断面を有するフィラメント
の少なくとも3種が混在しているため、下記式により定
義するものである。 仮撚加工前の断面形状と、中空率とが実質的に維持さ
れた断面、 仮撚加工前の断面形状が維持され、他方中空率は増大
した断面、 仮撚加工により偏平化され、且つ中空率は仮撚加工前
よりも減少した断面、 仮撚加工により偏平化され、且つ中空率はまったくつ
ぶれてしまった断面、 中空部の潰れた割合(%)=(/(+++
))×100
【0030】
【作用】本発明の二層構造の複合仮撚加工糸は、鞘糸の
中空フィラメントは中空状態が長手方向に沿ってパルシ
ングしており、しかもそのパルシング状態が従来のもの
とは異なって、中空部の潰れた割合は50%以下で、し
かも最大中空率が仮撚加工前の中空率の1.4倍以下に
抑制されているため、製織工程、染色工程、アルカリ減
量加工工程等での中空破れが発生し難く、また断面の偏
平度および中空率も特定範囲内に制御されているため、
粗硬感がなく滑らかな表面タッチでレーヨン調の風合を
呈する布帛が得られるのである。
【0031】また本発明の製造方法によれば、2層構造
糸の鞘糸となるマルチフィラメント(B´)は、芯糸に
なるマルチフィラメント(A´)との伸度差が50〜2
00%であり、しかも中空率20%以上の中空部を有す
るため、低倍率・低温の延伸仮撚加工することにより、
該鞘糸は一部中空部を保持した状態で且つ長手方向にパ
ルシングした状態で偏平断面形状に変形すると共に、長
手方向に該中空偏平断面がランダムにねじれた状態で、
各単糸間で位相を異にして配置される。しかも、鞘糸に
なるフィラメント(B´)としてはA´との伸度差があ
まり大きくないものを使用しているので、仮撚加工での
捩じり負荷に対する抵抗が大きくなって、中空状態のパ
ルシングの変動率が低下している。これらの効果が相俟
って、滑らかな表面タッチを維持しながら、染色斑(イ
ラツキ)がなく、また清涼感にも優れた複合仮撚加工糸
が得られるのである。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例をあげて、さらに詳細
に説明する。なお、実施例中の各物性は、以下の方法に
より測定した。
【0033】<断面における中空率の分布>複合仮撚加
工糸の断面顕微鏡写真(倍率500倍)を、任意に20
ケ所撮影し、各断面におけるすべての鞘部フィラメント
(中空フィラメント)の中空率を測定し、20ケ所の測
定値を範囲表示した。なお、この中空率の中で最大の値
を最大中空率とした。
【0034】<偏平度>上記の断面写真において、中空
フィラメントの横断面における最長軸径をLAとし、こ
れに直交する方向における最大幅を短軸径LBとした
時、次式で定義される。 偏平度=LA/LB
【0035】<捲縮率(TC)>試料に50mg/デニ
ールの張力を掛けてカセ枠に巻き取り、約3,000デ
ニールのカセを作る。カセ作成後、カセの一端に2mg
/デニール+200mg/デニールの荷重を負荷し、1
分間経過後の長さL0 (cm)を測定する。次いで、2
00mg/デニールの荷重を除去した状態で、100℃
の沸水中にて20分間処理する。沸水処理後2mg/デ
ニールの荷重を除去し、24時間自由な状態で自然乾燥
する。自然乾燥した試料に、再び2mg/デニール+2
00mg/デニールの荷重を負荷し、1分間経過後の長
さL1 (cm)を測定する。次いで、200mg/デニ
ールの荷重を除去し、1分間経過後の長さL2 を測定
し、次の算式で捲縮率を算出した。 TC(%)=[(L1 −L2 )/L0 )×100 測定は10回実施し、その平均値で表した。
【0036】<沸水収縮率>約3000デニールの複合
仮撚加工糸のカセを作り、これに0.1g/デニールの
荷重をかけて原長l0 (cm)を測定し、次にカセの荷
重を2mg/デニールに変え、これを沸水水中で30分
間熱処理し、室温で乾燥させた後、荷重を0.1g/デ
ニールに変えてその長さl1 (cm)を測定して、次の
算式で沸水収縮率を算出した。 沸水収縮率BWS(%)=(l0 −l1 )/l0 ×10
0 測定は10回実施し、その平均値で表した。
【0037】<複合仮撚加工糸の風合>得られた複合仮
撚加工糸を筒編機にて編立て、常法にしたがって精練、
染色、ファイナルセットした後の編地の風合(ソフト
感)、表面タッチを、熟練者5人により官能判定した。
判定は1(不良)〜5(極めて良好)の5段階で表し
た。なお4以上を合格レベルとした。
【0038】[実施例1]ポリエチレンテレフタレート
ポリマーを中空繊維紡糸用口金から溶融吐出した後、紡
糸速度3000m/分で紡糸して、中空率が29%、伸
度130%、150デニール/48フィラメントの中空
ポリエステルフィラメント糸(B′)を得た。次に、ポ
リエチレンテレフタレートポリマーを常法により溶融吐
出した後、紡糸速度4600m/分で紡糸して、複屈折
率が0.085、伸度70%、75デニール/12フィ
ラメントの高配向未延伸(低伸度)中実ポリエステルフ
ィラメント糸(A′)を得た。
【0039】次いで、上記両フィラメント糸を図3に示
す仮撚加工装置に供給し、オーバーフィード率2%、圧
空圧2.5kg/cm2 の条件で交絡処理を施した。引
き続いて、両フィラメントを95℃に設定した第1ヒー
ターで0.3秒間熱セットし、ヒーター出口の糸温度を
85℃として、630m/分の表面速度で回転している
三軸式摩擦仮撚装置に導き、延伸倍率1.25倍、加工
速度400m/分の条件で、延伸仮撚加工した。この際
の仮撚数T(回/m)は1500であった。
【0040】さらに、上記複合仮撚加工糸を、オーバー
フィード率0%で、200℃の第2ヒーターに導き熱処
理を施した後、ワインダーに巻き取り、185デニール
/60フィラメント、伸度40%、捲縮率1.3%、沸
水収縮率4.5%の複合仮撚加工糸を得た。
【0041】得られた複合仮撚加工糸は、中実の芯糸の
周りに中空の鞘糸が巻きついた二層構造を呈しており、
さらに任意の断面における中空フィラメントの断面形状
を観察したところ、図1に示すように偏平度は平均2.
5で、かつ中空部の潰れた割合は33%であり、下記
〜の断面を有する中空フィラメント糸が混在してお
り、しかも中空状態はフィラメント間で位相差を有しな
がら糸の長手方向に沿ってパルシングしているものであ
った。なお、中空フィラメントの断面内における中空率
の分布は、0〜38%の範囲に分布していた。
【0042】仮撚加工前の断面形状と、中空率とが実
質的に維持された断面、 仮撚加工前の断面形状が維持され、他方中空率は増大
した断面、 仮撚加工により偏平化され、且つ中空率は仮撚加工前
よりも減少した断面、 仮撚加工により偏平化され、且つ中空率はまったくつ
ぶれてしまった断面、
【0043】得られた複合仮撚加工糸を筒編機にて編立
て、常法にしたがって染色、仕上げした編地は、優れた
ドレープ感とサラットした風合を呈するものであった。
また複合仮撚加工糸に1800T/mの撚糸を施し、経
密度が176本/3.79cm、緯密度が106本/
3.79cmで綾組織に織成し、常法にしたがって、リ
ラックス(温度120℃、20分間)、プレセット(温
度180℃、45秒)、アルカリ減量処理(減量率;1
7%)、染色加工(温度130℃、45分間)、および
ファイナルセット(温度160℃、45秒間)の工程を
とおして織物を得た。得られた該織物は、滑らかな表面
タッチと優れたドレープ性を呈し、しかも清涼感に優れ
た織物であった。
【0044】[比較例1]ポリエチレンテレフタレート
ポリマーを紡糸速度1300m/分で紡糸した、伸度が
360%、複屈折率0.015、150デニール/48
フィラメントの中実ポリエステルフィラメント糸を得
た。次に、ポリエチレンテレフタレートポリマーを常法
にしたがって、紡糸速度4600m/分で紡糸して、複
屈折率が0.085、伸度70%、75デニール/12
フィラメントの高配向未延伸中実ポリエステルフィラメ
ントを得た。
【0045】両フィラメントを実施例1と同様に仮撚加
工を行った。得られた複合仮撚加工糸は、実体顕微鏡を
使用して2層構造糸を目視観察したところ、鞘糸にシッ
ク・アンド・シン部が混在するものであった。
【0046】この加工糸を実施例1と同様に織物加工を
行ったところ、得られた織物は、シャリ感には優れてい
るものの、表面タッチはザラザラとしていて、ドレープ
性にも劣った織物であった。
【0047】[実施例2〜7、比較例2〜7]実施例1
において、原糸特性および仮撚加工条件を表1、2に示
すように変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
得られた複合仮撚加工糸及び編地の物性を表1、2に示
す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】以上に述べた本発明の製造方法によれ
ば、二層構造の複合仮撚加工糸の鞘糸は、中空状態がパ
ルシング(中空率が特定範囲で分散すると共に断面形状
も種々のものが混在)し、しかも断面偏平化によってリ
ボン状の自然撚が一部形成される。これらの構造が相俟
って、本発明の複合仮撚加工糸は、表面タッチが滑らか
でサラリとし、高ドレープ性でレーヨン調の風合を呈
し、しかも、清涼感にも優れた織物が得られる。したが
って、盛夏用織物用途に好適に使用することができ、そ
の工業的価値には極めて大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の特殊複合仮撚加工糸の一横断面図例で
ある。
【図2】従来の複合仮撚加工糸の一横断面図例である。
【図3】本発明の複合仮撚加工糸を製造するための製造
装置の一例を示す側面図である。
【符号の説明】
1 高配向フィラメント(A′)[クリール1] 2 低配向中空フィラメント(B′)[クリール2] 3 ガイド 4 張力調整装置 5 供給ローラー 6 空気交絡ノズル 7 中間ローラー 8 第1ヒーター 9 仮撚具 10 デリベリローラー 11 第2ヒーター 12 引き取りローラ 13 ワインダー 14 チーズ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高配向ポリエステルマルチフィラメント
    (A)を芯部とし、その周りに低配向ポリエステルマル
    チフィラメント(B)が鞘部として巻き付いた二層構造
    の複合仮撚加工糸において、該鞘部フィラメントは長手
    方向に沿って中空状態がパルシングし、その最大中空率
    が仮撚加工前の中空率の1.4倍以下である中空フィラ
    メントで構成され、該複合仮撚加工糸の横断面における
    該鞘部フィラメントの断面形状は、偏平度が1.5〜
    4.5で、その中空率の分布が0〜60%、且つ中空部
    の潰れた割合が50%以下であることを特徴とする特殊
    複合仮撚加工糸。
  2. 【請求項2】 複屈折率が0.07〜0.11の未延伸
    高配向ポリエステルマルチフィラメント(A’)と、該
    (A’)よりも切断伸度が50〜200%大きく且つ中
    空率が20%以上である未延伸低配向中空ポリエステル
    マルチフィラメント(B’)とを合糸し、下記(a)〜
    (d)の仮撚加工条件下に延伸同時仮撚加工を施し、次
    いで150℃以上の温度で熱処理することを特徴とする
    特殊複合仮撚加工糸の製造方法。 (a)0.4≦DB/(DA+DB)≦0.7 但し、DAは未延伸高配向ポリエステルマルチフィラメ
    ント(A’)の総繊度、DBは未延伸低配向中空ポリエ
    ステルマルチフィラメント(B’)の総繊度を表す。 (b)延伸倍率(DR):1.1≦DR≦1.4 (c)仮撚数(T):13000/(DA+DB)1/2
    ≦T≦30000/(DA+DB)1/2 (d)仮撚の熱固定ヒーター出口直後の糸温度(T
    E):70℃≦TE≦100℃
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