JP3581003B2 - ポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、織編物としたときに嵩高性に優れソフトでふくらみ感に富み、自然な斑表面効果を与えるポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、嵩高性に富む織編物を得る手段として、低収縮性マルチフィラメント糸(以下低収縮成分と略す)と高収縮性マルチフィラメント糸(以下高収縮成分と略す)とを流体処理等で混繊糸とし、この混繊糸を用いた織編物を染色仕上げ等の工程で熱処理することにより、混繊糸中の低収縮成分と高収縮成分との収縮差に因って嵩高性を発現させることが知られている。このような低収縮成分と高収縮成分との異収縮混繊糸を用いた織編物は、ソフトでふくらみ感に富むものである。
【0003】
しかしながら、消費者からはより高いふくらみ感や新規な風合いが求められ、技術的には異収縮混繊糸を構成する低収縮成分と高収縮成分との収縮差をより大きくすることが求められている。収縮差を大きくする方法として、高収縮成分の収縮率を大きくする方法と低収縮成分の収縮率を小さくする方法がある。前者については、織編物を大きく縮めることとなり織編物製造工程での設備を制約したり、染色仕上げ工程等での織編物の規格バラツキの原因となり、さらには織編物の引っ張り応力に対する形態安定性を低下させ実用範囲を低下させることになる。
【0004】
かかる状況より、後者の低収縮成分の収縮率を小さくする方法についての提案が数多くなされ、その一つに自発伸長性を有するフィラメント糸を用いる提案がある。自発伸長性フィラメント糸及びその混繊糸に関する提案しては、特公昭62−60504号公報、特公平4−1097号公報、特公平4−18051号公報、特許第2642264号公報、特開平6−257029号公報、特開平6−200439号公報等ある。これら自発伸長性フィラメント糸を低収縮成分とする混繊糸は、織編物としたときに、従来の異収縮混繊糸を用いた織編物に比し一段と風合いが向上したものとなり、市場より高い評価を受けている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の自発伸長性フィラメント糸を低収縮成分とした混繊糸より得られる織編物の問題点は、その外観が均一であり、表面変化に乏しいことでである。本発明の目的は、織編物としたときに嵩高性に優れソフトでふくらみ感に富み、自然な斑感の表面効果を与えるポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、低収縮成分と高収縮成分とからなる異収縮混繊糸において、低収縮成分は、太細ポリエステルマルチフィラメント糸であって、沸水処理時に自発伸長する部分Aと10〜30%の沸水収縮率を示す部分Bとを交互に有し、部分Aと部分Bの長さ割合が2:8〜9:1であり、沸水処理後に180℃で乾熱処理した時に、沸水処理糸を原長として部分A及び部分Bが非可逆的な自発伸長性を顕しかつ部分Bの自発伸長率が2.1〜3.8%であり、高収縮成分は、沸水処理時の沸水収縮率が低収縮成分の太細ポリエステルマルチフィラメント糸の部分Bの沸水収縮率より高いポリエステルマルチフィラメント糸であることを特徴とするポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸、にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の異収縮混繊糸を構成する低収縮成分は、シック部とシン部が混在する太細ポリエステルマルチフィラメント糸であり、この太細ポリエステルマルチフィラメント糸は、沸水処理時に自発伸長する部分Aと10〜30%の沸水収縮率を示す部分Bとを交互に有し、部分Aと部分Bの長さ割合が2:8〜9:1であり、沸水処理後に180℃で乾熱処理した時に、沸水処理糸を原長として部分A、Bが共に非可逆的な自発伸長性を顕し、かつ部分Bの自発伸長率が2.1〜3.8%を示すものである。
【0008】
本発明での低収縮成分は、高収縮成分の高収縮性ポリエステルマルチフィラメント糸と混繊して混繊糸とし、沸水処理後に180℃で乾熱処理した時に、太細ポリエステルマルチフィラメント糸の部分Aはその潜在自発伸長性の顕在化と高収縮性ポリエステルマルチフィラメント糸の収縮とで収縮差による大きな嵩高性を示す。また、太細ポリエステルマルチフィラメント糸の部分Bは沸水処理で一旦収縮し、沸水処理後の180℃の乾熱処理で2.1〜3.8%に自発伸長することにより、高収縮性ポリエステルマルチフィラメント糸との収縮差が部分Aに比して小さくなり、小さな嵩高性を示し、この嵩高性に差のあることが大きな嵩高と小さな嵩高とにより織編物に斑感を与える。
【0009】
低収縮成分の太細ポリエステルマルチフィラメント糸の部分Bの沸水収縮率が10%未満では、部分Aとの嵩高差が小さく斑感に乏しく、30%を超えると高収縮成分の高収縮性ポリエステルマルチフィラメント糸の沸水収縮率を30%を超えるものとする必要が生じ、この極めて高い収縮率は実用時の重大な欠点を招き、部分Bの沸水収縮率は、好ましくは15〜20%である。
【0010】
低収縮成分の太細ポリエステルマルチフィラメント糸は、その部分Aと部分Bの長さ割合が2:8〜9:1であり、沸水処理のみで自発伸長性を顕す部分Aと沸水処理後の180℃での乾熱処理で自発伸長性を顕す部分Bとの自発伸長性成分が異収縮混繊糸として織編物としたときに優れた風合いを与え、かつ斑感を表現する。太細ポリエステルマルチフィラメント糸における部分Aの長さ割合が20%未満では、織編物の風合いが粗硬となり、90%を超えると、斑感が弱くなる。
【0011】
また、本発明の異収縮混繊糸を構成する高収縮成分は、加熱したときに潜在収縮性が顕在化する性質を有するポリエステルマルチフィラメント糸である。織編物の風合い、実用性は、高収縮成分の収縮特性に大きく左右されるが、本発明での低収縮成分は、破断伸度が比較的大きいため、実用時の織編物に作用する外力を直接受けることは好ましくなく、高収縮成分のポリエステルマルチフィラメント糸は、沸水収縮率が低収縮成分の太細ポリエステルマルチフィラメント糸の部分Bの沸水収縮率より高い収縮特性を有することが必要である。
【0012】
高収縮成分のポリエステルマルチフィラメント糸の沸水収縮率が低収縮成分の太細ポリエステルマルチフィラメント糸の部分Bの沸水収縮率より低いと、低収縮成分の太細ポリエステルマルチフィラメント糸の部分Aの沸水収縮率との差が十分確保できず、得られる織編物のふくらみが乏しくなり、従来の異収縮混繊糸によるものと殆ど違いのない風合いのものとなるため、高収縮成分のポリエステルマルチフィラメント糸の沸水収縮率は、10%以上であることが必要である。一方、高収縮成分のポリエステルマルチフィラメント糸の沸水収縮率が高すぎると、実用時に作用する外力で容易に伸長してしまい織編物の実用性に乏しくなることから、その沸水収縮率の上限は30%であることが好ましい。
【0013】
本発明の目的とする織編物としたときの斑感を強調するためには、低収縮成分の太細ポリエステルマルチフィラメント糸の部分Bの沸水収縮率と高収縮成分のポリエステルマルチフィラメント糸の沸水収縮率をできるだけ近似させることが好ましい。しかし、単に両成分の沸水収縮率を近似させた場合は、風合いが硬化し、織編物の風合いを低下させるという欠点を生ずることになるが、低収縮成分の太細ポリエステルマルチフィラメント糸の部分Bが沸水処理後の180℃での乾熱処理で自発伸長性を顕すことがかかる欠点の回避に極めて有効に作用する。
【0014】
本発明においては、低収縮成分の太細ポリエステルマルチフィラメント糸は、シック部とシン部が混在していることにより、本発明の異収縮混繊糸を織編物としたときにふくらみ感に富む外観を与える。すなわち、自発伸長性部分を有する低収縮性フィラメント糸と高収縮性フィラメント糸との混繊糸を沸水処理及び乾熱処理して収縮と自発伸長性を顕出させた際、低収縮性フィラメント糸がシック部を有していない場合は、低収縮性フィラメント糸の自発伸長性部分が集団となってアーチ状に織編物表面に突出したものとなり、特に混繊方法がインターレースであるとその傾向が強くなり、織編物の外観を向上させることの課題となっているが、本発明においては、低収縮成分の太細ポリエステルマルチフィラメント糸のシック部が熱処理の際にフィラメント間に適度な空隙を形成するため自発伸長性の部分Aの集団化が低減され、ふくらみ感に富む織編物外観を呈する。
【0015】
本発明での低収縮成分の太細ポリエステルマルチフィラメント糸は、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルからなる太細マルチフィラメント糸であり、フィラメントの断面形状は、円形であっても異形であってもよい。
【0016】
本発明での低収縮成分である太細ポリエステルマルチフィラメント糸は、例えば次のようにして製造することができる。
固有粘度[η]が0.60〜0.65のポリエチレンテレフタレートを捲き取り速度2500〜3200m/分で溶融紡糸して得た高配向未延伸糸を、図1に示すような延撚機で延伸する。この際、高配向未延伸糸1を、ピンチローラ2と一段目引き取りホットローラ3間の延伸倍率(DR1)を最大延伸倍率(MDR)×(0.4〜0.5)、一段目引き取りホットローラ3と二段目引き取りホットローラ4間の延伸倍率(DR2)を1.03〜1.4、二段目引き取りホットローラ4と三段目引き取りホットローラ6間で5%以上のオーバーフィード率、一段目引き取りホットローラ3の温度を未延伸糸のガラス転移温度(Tg)〜(Tg+20)℃、二段目引き取りホットローラ4の温度を未延伸糸の結晶化温度(Tc)未満、熱板5の温度をTc+5℃、三段目引き取りホットローラ6の周速800〜1000m/分の条件で延伸して太細延伸糸7とする。
【0017】
得られる太細延伸糸7は、ウスターU%が0.80〜0.85、CV%が3.4〜3.7、破断伸度が130±20%、自発伸長率が沸水収縮率で−0.5〜−3%であり、この糸を沸騰染色し光学顕微鏡下で観察すると、フィラメントには微小なシック部とシン部が混在し、フィラメント間、フィラメント長さ方向に微小なシック部が分散するフィラメント糸である。
【0018】
次いで、この太細延伸糸を、フィラメント糸が結晶化しない温度以下で延伸倍率1.15〜1.50の範囲で、任意に設定した時間で間欠的に延伸することで、本発明での低収縮成分とする、沸水処理時に自発伸長する部分Aと10〜30%の沸水収縮率を示す部分Bとを交互に有し、部分Aと部分Bの長さ割合が2:8〜9:1である、太細ポリエステルマルチフィラメント糸を製造することができる。
【0019】
太細ポリエステルマルチフィラメント糸を製造する際の間欠的延伸を、図2に示す装置で説明すると、図2において、図1の装置で得られた太細延伸糸7であるフィラメント糸はマグネットテンサー8で供給張力が一定にされ、トップローラ9は円周方向に溝を付与したローラとし、トップローラ9とボトムローラ10からなる一対のローラ群を供給ローラとし、ドローローラ11との間で延伸する際、トップローラ9の手前でフィラメント糸をトラバースガイド12でトラバースし、溝付きのトップローラ9による糸の把持の有無により延伸、非延伸する手法によって、太細延伸糸のフィラメント糸に部分Aと部分Bが形成され、部分Aと部分Bを有する太細ポリエステルマルチフィラメント糸14が得られる。
【0020】
さらに、トップローラ9の溝幅、トラバース速度、延伸速度、延伸倍率を制御することで、部分Aと部分Bの長さ及び頻度及び部分Bの沸水収縮率を10〜30%とすることができる。間欠延伸は、室温中で行われるが、ボトムローラ10とドローローラ11間にフィラメント糸のTc以下、好ましくはTg以下の温度の熱ピン13を設け、熱ピン13に接触させつつ延伸してもよい。
【0021】
また、高収縮成分のポリエステルマルチフィラメント糸は、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルからなるマルチフィラメント糸であり、共重合成分、好ましくはイソフタル酸を共重合した改質ポリエステルからなるマルチフィラメント糸である。イソフタル酸等を共重合しないポリエチレンテレフタレートによる高収縮性マルチフィラメント糸では、後での高次加工工程での熱処理で結晶化が進行し易いため、収縮能力が十分発揮し難い。
【0022】
さらに説明すれば、高収縮成分のポリエステルマルチフィラメント糸は、混繊糸による製織或いは製編の準備段階での例えば湿熱80℃での撚り止めセット、サイジング時の例えば乾熱100℃での乾燥等の自由収縮ができない状態で熱処理される場合があり、これら工程での結晶化の進行は、高収縮成分としての収縮能力の発揮を著しく阻害する作用をする。従って、高収縮成分のポリエステルマルチフィラメント糸は、高次加工の最終に近い比較的自由収縮が可能な工程である、染色や熱セット、好ましくは130℃の高温染色や例えば乾熱180℃での熱セットで収縮能力を十分に発揮するものであることが好ましい。
【0023】
かかる観点からも、高収縮成分としては、イソフタル酸を共重合した改質ポリエステルからなるマルチフィラメント糸であることが好ましく、このマルチフィラメント糸を得る際の延伸時の熱処理温度等の条件にもよるが、イソフタル酸を7〜10モル%ポリエチレンテレフタレートに共重合することにより所望の高収縮成分としてのポリエステルマルチフィラメント糸を製造することができる。
【0024】
低収縮成分である太細ポリエステルマルチフィラメント糸と高収縮成分であるポリエステルマルチフィラメント糸とは、インターレース加工若しくはタスラン加工等の従来より公知の流体噴射による混繊手段により混繊糸とされ、混繊手段には特に制限はない。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例における各項目の測定は、下記の方法に拠った。
【0026】
部分A、部分Bの沸水収縮率は実測することが困難であり、間欠延伸の際の延伸の有り若しくは無しの試料での次の収縮率で代替した。
〔沸水収縮率(BWS)〕
JIS L1013、7・15(1)B法に準じ、初荷重0.8023CN/dtexで測定し、平均値を求めた。
〔乾熱収縮率(HAS)〕
沸水処理試料に初荷重0.8023CN/dtexでの試料長(L1)と乾熱180℃の雰囲気中に無荷重で10分放置後の試料長(L2)を測定し、JIS L1013、7・15(1)B法の式で算出した。
【0027】
〔部分A、部分Bの長さ割合〕
低収縮成分をJIS L1013、7・3法に準じて見かけ繊度を測定する。太細フィラメント糸のシック部の測定におけると同様に染色、熱処理し、長さ方向に濃染部と淡染部が生じた糸に繊度0.1dtex当たり0.03269CNの荷重をかけた状態で各部の長さを、糸長50mにつき測定し、部分A、部分Bの長さ割合を求めた。
【0028】
〔シック部の確認〕
綛を、テラシル ネービィー ブルー SGL(チバ−ガイギィ社製分散染料)を用い20分沸騰染色し、風乾後、光学顕微鏡で観察した。
【0029】
〔ガラス転移温度(Tg)、結晶化温度(Tc)〕
示差走査熱量測定器(セイコー電子工業社製DSC220)にて測定した。
【0030】
(実施例1)
固有粘度[η]が0.65のポリエチレンテレフタレートを、孔径0.2mmの孔を72個配設した紡糸口金を用いて、紡糸温度290℃で溶融紡糸し、2700m/分で捲き取り、120d/72fの高配向未延伸フィラメント糸を製造した。得られた高配向未延伸フィラメント糸は、MDR2.55、複屈折率Δn53×10−3、Tg70℃、Tc110℃であった。
【0031】
この高配向未延伸フィラメント糸を、図1に示す装置で、下記の条件で延伸、緩和熱処理して太細フィラメント糸を得た。得られた太細フィラメント糸の原糸特性値を表1に示した。
一段目延伸倍率(DR1) 変更
二段目延伸倍率(DR2) 1.10(固定)
一段目引き取りローラ温度(HR1) 変更
二段目引き取りローラ温度(HR2) 110℃(固定)
三段目のオーバーフィード率(OF%) 変更
熱板温度 190℃(固定)
【0032】
【表1】
【0033】
表1の試験No.1の太細フィラメント糸は、ウスターU%が0.80、CV%が3.4、破断伸度が117%で、シック部の存在が確認された。次いで、この試験No.1の太細フィラメント糸を、図2に示す装置で、間欠延伸時の雰囲気温度28℃で延伸倍率を変更し、間欠的に延伸した。得られた間欠延伸による低収縮性太細フィラメント糸の部分A、部分Bのシック部の存在、BWS、HASを表2に示した。なお、各低収縮性太細フィラメント糸の部分A、部分Bの長さ割合を5:5とし、それぞれの部分の長さを21cmの繰り返しとした。
【0034】
【表2】
【0035】
試験No.3〜8の各低収縮性太細フィラメント糸を、イソフタル酸を8モル%ポリエチレンテレフタレートに共重合した改質ポリエステルを紡糸速度2000m/分で溶融紡糸し、延伸後のBWSが25%となるような条件で延伸して製造した75d/18fの高収縮性フィラメント糸と、それぞれエアー噴射により混繊して混繊糸とした。これら混繊糸を用いてそれぞれ丸編物とし、沸水でリラックスし、減量率10wt%に減量し、130℃で染色後、180℃で1分間の乾熱処理を施した。
【0036】
試験No.3の低収縮性太細フィラメント糸を用いてなる丸編物は、低収縮性太細フィラメント糸の部分BのBWSが低いため、斑感が不足し、試験No.8の低収縮性太細フィラメント糸を用いてなる丸編物は、低収縮性太細フィラメント糸の部分BのBWSが高収縮性フィラメント糸のBWSより著しく高くなるため、引っ張り応力を加えると変形が回復しなかったが、他の低収縮性太細フィラメント糸を用いてなる丸編物は、風合い、斑感、変形回復が良好なるものであった。。
【0037】
(実施例2)
実施例1において、BWSが25%の高収縮性フィラメント糸をBWSを15%とした高収縮性フィラメント糸に代えた混繊糸を用いた以外は、実施例1と同様にし丸編物とし処理した。その結果は、試験No.3の低収縮性太細フィラメント糸を用いてなる丸編物は、実施例1におけると同じであり、試験No.6〜8の低収縮性太細フィラメント糸を用いてなる丸編物は、低収縮性太細フィラメント糸の部分BのBWSが高収縮性フィラメント糸のBWSより著しく高くなるため、引っ張り応力を加えると変形が回復しないものであったが、試験No.4〜5の低収縮性太細フィラメント糸を用いてなる丸編物は、風合い、斑感、変形回復が良好なるものであった。
【0038】
(実施例3)
実施例1において、BWSが25%の高収縮性フィラメント糸をBWSを30%とした高収縮性フィラメント糸に代えた混繊糸を用いた以外は、実施例1と同様にし丸編物とし処理した。その結果は、試験No.3の低収縮性太細フィラメント糸を用いてなる丸編物は、実施例1におけると同じであり、試験No.4〜8の低収縮性太細フィラメント糸を用いてなる丸編物は、風合い、斑感、変形回復が良好なるものであった。
【0039】
(実施例4)
実施例1において、BWSが25%の高収縮性フィラメント糸をポリエチレンテレフタレートからなるBWSが10%の高収縮性フィラメント糸に代えた混繊糸を用いた以外は、実施例1と同様にし丸編物とし処理した。その結果は、試験No.3の低収縮性太細フィラメント糸を用いてなる丸編物は、実施例1におけると同じであり、試験No.5〜8の低収縮性太細フィラメント糸を用いてなる丸編物は、低収縮性太細フィラメント糸の部分BのBWSが高収縮性フィラメント糸のBWSより高くなるため、引っ張り応力を加えると変形が回復しないものであったが、試験No.4の低収縮性太細フィラメント糸を用いてなる丸編物は、風合い、斑感、変形回復が良好なるものであった。丸編物での試験No.4の低収縮性太細フィラメント糸の部分Bの部分を顕微鏡で観察したところフィラメント間に空隙が認められ、シック部の存在が風合いを向上させたものと判断した。
【0040】
(比較例1)
実施例1において、BWSが25%の高収縮性フィラメント糸をBWSを34%とした高収縮性フィラメント糸に代えた混繊糸を用いた以外は、実施例1と同様にし丸編物とし処理した。その結果は、試験No.3〜8の低収縮性太細フィラメント糸を用いてなる丸編物は、高収縮性フィラメント糸のBWSが低収縮性太細フィラメント糸の部分BのBWSより著しく高くなるため、引っ張り応力を加えると変形が回復しないものであった。
【0041】
(比較例2)
実施例1において、BWSが25%の高収縮性フィラメント糸をポリエチレンテレフタレートからなるBWSが7%の高収縮性フィラメント糸に代えた混繊糸を用いた以外は、実施例1と同様にし丸編物とし処理した。その結果は、試験No.3の低収縮性太細フィラメント糸を用いてなる丸編物は、実施例1におけると同じであり、風合いも粗硬であった。試験No.5〜8の低収縮性太細フィラメント糸を用いてなる丸編物は、低収縮性太細フィラメント糸の部分BのBWSが高収縮性フィラメント糸のBWSより高くなるため、引っ張り応力を加えると変形が回復しないものであった。
【0042】
(実施例5)
実施例1において、図2に示す装置で、試験No.4〜7の低収縮性太細フィラメント糸を得る際、低収縮性太細フィラメント糸の部分A、部分Bの長さ割合を2:8とし、部分Aの長さを18cm、部分Bの長さを144cmの繰り返しのものと、また部分A、部分Bの長さ割合を9:1とし、部分Aの長さを135cm、部分Bの長さを15cmの繰り返しのものとし、実施例1でのBWSが25%の高収縮性フィラメント糸との混繊糸を、実施例1と同様にし丸編物とし処理した。その結果は、いずれの丸編物も、明瞭なる斑感を呈するものであった。なお、低収縮性太細フィラメント糸の部分A、部分Bの長さ割合を1:9、10:1としたものでは、前者は風合いが粗硬で、後者は斑感に乏しいものであった。
【0043】
(比較例3)
実施例1における低収縮性太細フィラメント糸を得る際に用いた高配向未延伸フィラメント糸を綛にとり、フィラメント間の乱れが生じないように「ひびろ」を多数もうけ、沸水中で5分間処理した。処理後の糸を実施例1の試験No.6の延伸条件で部分Aと部分Bの長さ割合を5:5とし、室温25℃で間欠延伸した。得られた間欠延伸糸の部分AはHASが−12.3%であり、シック部が存在せず、部分BのBWSは15.5%、HASが−3.6%であり、シック部が存在するものであった。
【0044】
この間欠延伸糸と実施例2で用いたと同じBWSが15%の高収縮性フィラメント糸との混繊糸を用い、丸編物とし、180℃で乾熱処理した。得られた丸編物のふくらみ感を肉眼で判定したが、得られた丸編物は、試験No.4〜8の低収縮性太細フィラメント糸を用いてなる丸編物に比べ、間欠延伸糸にシック部が存在しないためと判断されるが、混繊糸の間欠延伸糸の部分Aの低収縮性部分が集団でアーチ状に突出したものとなり、質感に欠けるものであった。
【0045】
【発明の効果】
本発明のポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸は、織編物の構成糸として用いられ、織編物としたときに、織編物に優れた嵩高性、ソフトでふくらみ感に富む風合い、自然な斑感の表面効果を与えるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において低収縮成分とする太細ポリエステルマルチフィラメント糸の中間体である太細延伸糸を得る延撚機の概略図である。
【図2】中間体である太細延伸糸より本発明での低収縮成分である太細ポリエステルマルチフィラメント糸を得る間欠的延伸装置の概略図である。
【符号の説明】
1 高配向未延伸糸
2 ピンチローラ
3 一段目引き取りホットローラ
4 二段目引き取りホットローラ
5 熱板
6 三段目引き取りホットローラ
7 太細延伸糸
8 マグネットテンサー
9 トップローラ
10 ボトムローラ
11 ドローローラ
12 トラバースガイド
13 熱ピン
14 太細ポリエステルマルチフィラメント糸
Claims (1)
- 低収縮成分と高収縮成分とからなる異収縮混繊糸において、低収縮成分は、太細ポリエステルマルチフィラメント糸であって、沸水処理時に自発伸長する部分Aと10〜30%の沸水収縮率を示す部分Bとを交互に有し、部分Aと部分Bの長さ割合が2:8〜9:1であり、沸水処理後に180℃で乾熱処理した時に、沸水処理糸を原長として部分A及び部分Bが非可逆的な自発伸長性を顕しかつ部分Bの自発伸長率が2.1〜3.8%であり、高収縮成分は、沸水処理時の沸水収縮率が低収縮成分の太細ポリエステルマルチフィラメント糸の部分Bの沸水収縮率より高いポリエステルマルチフィラメント糸であることを特徴とするポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸。
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JP02153698A JP3581003B2 (ja) | 1998-01-20 | 1998-01-20 | ポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸 |
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JP02153698A Expired - Lifetime JP3581003B2 (ja) | 1998-01-20 | 1998-01-20 | ポリエステルマルチフィラメント異収縮混繊糸 |
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1998
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JPH11200166A (ja) | 1999-07-27 |
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