JP3470618B2 - ポリエステル織物 - Google Patents

ポリエステル織物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステルマル
チフィラメント糸から構成され、ヨコ糸として熱収縮の
異なる捲縮性コンジュゲートマルチフィラメントを用い
た、ポリエステルヨコストレッチ織物に関する。更に詳
しくは、従来のポリウレタン弾性糸を使用した織物に比
し、安価に製造することができ、また、従来の仮撚加工
糸の高トルク糸使用に比し、製織工程の取り扱い性も良
好なポリエステルヨコストレッチ織物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】これまで合成繊維織物は天然繊維の外
観、タッチなどすべて模倣してきたが、近年は、手触り
感に代表される風合いや見た目の感覚において、天然繊
維などと全く異なる、いわゆる合成繊維独自の感覚を備
えたものを開発する動きにある。さらに合成繊維の独自
性を追求する中で、機能性において、従来合成繊維の欠
点を解消するもの、たとえば吸水性、吸汗性、制電性、
あるいは防汚性といったものに対しては、物理的、科学
的手法両面からアプローチされ種々開発されてきた。
【0003】もう一つの機能性の考え方は、合成繊維の
得意分野、すなわち天然繊維では不得意な特性からのア
プローチ、たとえばストレッチ性といったものである。
ストレッチ性については、従来ポリウレタン系弾性繊
維、すなわちスパンデックスのカバーリング糸の使用に
よるものが主流であるが、この織物は原糸・高次加工費
の面でコストに問題がある。
【0004】低コスト化を目的に仮撚り加工糸のクリン
プを利用して伸縮性を有する織物が検討されているが、
薄地織物ではヨコ糸のみ仮撚加工糸を用いると表面シボ
の発現およびクリンプの力不足で充分な伸縮性を有する
織物が得られないのが通常であった。仮ヨリ加工糸を使
用して高伸縮性を有し、かつ、シボのない薄地の高伸縮
織物の製造方法が特公平8−30297号公報および特
開平10−195732号公報により提案されている。
両提案の製造方法はともに高クリンプ率、高トルクを得
るため仮ヨリ条件、先撚もしくは追撚撚方向に工夫が行
われている。しかしながら生産工程において、先撚を施
した後の仮撚は、仮撚時に糸切れが発生し、時として生
産効率を落とすことになっている。また、追撚する方式
においても高クリンプ、高トルク仮撚糸を用いるため撚
糸時の糸切れ問題が時として発生する。更にヨコ糸使用
で製織する上において、高トルクの糸だけに取り扱いに
高度の技術を要し、また製織時の停台回数も多く、ヨコ
糸ビリのり込みもあり高品位の織物を安定して生産す
る事に難がある。また強撚を施しているにも関わらず仮
撚加工を行うため風合いがフカツキ本来の滑り感が損な
われる欠点がある。一方、異なる2成分が並列的に配置
されたコンジュゲート糸にストレッチ性を付与するため
に、コンジュゲート糸に仮ヨリ加工を施している例があ
るが、この方法では前記仮ヨリ加工の方法と同様問題が
発生する。
【0005】また、コンジュゲート糸について、潜在捲
縮熱処理して捲縮を発生させ、カサ高糸あるいはかさ高
織物を得るため、並列的に配置された複合延伸糸を弛緩
熱処理することが、特昭51−37376号公報、特
公昭57−25650号公報に提案されている。これら
は微小張力下で弛緩熱処理することにより、後の捲縮力
を高める思想に基づくものであるが、ストレッチ性を得
ることについては示されていないし、高ストレッチ
期待できないものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、熱収
縮の異なる捲縮性コンジュゲートマルチフィラメントか
らなり、シボのない表面感、適度なドライ感、更には適
度なヨコ伸縮性を有する安価なポリエステルストレッチ
薄地織物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため次の構成を有する。
【0008】すなわち、タテ糸として85dtex以下
のポリエステルマルチフィラメント糸、ヨコ糸として熱
収縮の異なる少なくとも2成分のポリエステル重合体が
並列的あるいは芯・鞘的に接合した85dtex以下の
コンジュゲートマルチフィラメント糸を使用し、織物上
ヨコ糸は撚方向がSまたはZのいずれかの方向の撚を
有したものからなりかつ螺旋状スパイラルけん縮を有
し、ヨコ糸撚数と織物タテ糸密度及び織物組織の関係が
下記式を満足するとともに、前記螺旋状スパイラルけん
縮の凹部にタテ糸がはまり込み、さらに目付が150g
/m2 以下であるポリエステル織物である。 Hw/Pw×1.3 > Tf > Hw/Pw×0.
7 Tf=仕上織物上1cm間のヨコ糸撚数 Hw=仕上織物上1cm間のタテ糸本数 Pw=織物1完全組織のタテ糸本数
【0009】Hw/Pw×1.3 > Tf > Hw
/Pw×0.7 Tf=仕上織物上1cm間のヨコ糸撚数 Hw=仕上織物上1cm間のタテ糸本数 Pw=織物1完全組織のタテ糸本数
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に用いるタテ糸は、目付1
50g/m2 以下の薄地織物を目的としているものであ
り、85dtex以下、好ましくは33〜56dtex
の範囲の細いポリエステルマルチフィラメント糸が必要
となる。
【0011】このポリエステルマルチフィラメント糸の
構成単繊維繊度、断面形態については特に限定されない
が、構成単繊維繊度は0.5〜5.5dtexが推奨さ
れる。ポリエステルマルチフィラメント糸の断面形態に
ついては、特に限定はなく、通常の丸断面糸の他、三角
断面やその他多角断面糸、あるいは偏平断面糸等いずれ
をも使用することができる。また中空断面糸も使用し得
る。
【0012】本発明に用いるヨコ糸は、主たる繰り返し
単位がエチレンテレフタレートからなるポリエステルマ
ルチフィラメント糸を対象とし、熱収縮性を異にする2
種類のポリエステル重合体を使用した並列的あるいは芯
・鞘的に接合したけん縮発現性コンジュゲートマルチフ
ィラメント糸を用いる。このヨコ糸は、追撚を施し、製
織した織物を熱処理するとストレッチ性が得られる。す
なわち、このコンジュゲートマルチフィラメント糸を集
合状態で撚糸し、熱処理すると繊維の長さ方向に螺旋状
のけん縮が発現し、織物の横方向の伸縮性を大きくする
ことができる。本発明において用いられるコンジュゲー
トマルチフィラメント糸は、主たる繰り返し単位がエチ
レンテレフタレートからなるポリエステルマルチフィラ
メント糸を対象とし、熱収縮特性を異にする2種類のポ
リエステル重合体を使用する。この熱収縮性を異にする
ポリエステル重合体としては、ポリエステルホモポリマ
ーで重合度を異にするもの、テレフタール酸成分および
/またはエチレングリコール成分以外の第3成分を共重
合させたもの、他のポリマーをブレンドしたものであっ
てもよい。
【0013】具体的に、本発明で用いられる熱収縮性の
異なるポリエステル重合体としては、ポリエチレンテレ
フタレート単独またはエチレンテレフタレート単位80
モル%以上を含むコポリエステルが好ましい。コポリエ
ステルの共重合成分としては、イソフタル酸、金属スル
ホネート基を有するイソフタール酸、ビスフェノール
類、ネオペンチルグリコールあるいは1、6−シクロヘ
キサンジオールなど公知成分が使用可能である。また、
ポリエステル中に、艶消し剤、紫外線吸収剤、染色性改
良成分、および顔料など他の改良剤を配合することがで
きる。
【0014】本発明のコンジュゲートマルチフィラメン
ト糸は、弛緩熱処理によって螺旋状けん縮を発現する特
性を有することが重要である。そして、このような特性
を有するコンジュゲートマルチフィラメント糸を得るに
は、ポリエステルポリマーの特性、紡糸・延伸条件等が
重要である。
【0015】熱収縮性の異なる2成分のポリエステル重
合体としては、一方を低粘度ポリエステルとし、他方を
高粘度成分とするものが好ましく使用される。ホモポリ
エステルの場合、上記低粘度ポリエステル成分の極限粘
度は0.35〜0.60の範囲、高粘度ポリエステル成
分の極限粘度は0.65〜0.85の範囲にすることが
好ましい。低粘度ポリエステル成分の極限粘度が0.3
5未満であると溶融粘度が低くなるため製糸が難しくな
る。また、低粘度ポリエステル成分の極限粘度が0.5
5を超えるとコンジュゲートマルチフィラメントのけん
縮発現力が乏しくなり、螺旋状けん縮の発現能力が低下
する。また、高粘度ポリエステル成分の極限粘度が0.
85を超えると溶融粘度が高くなるため、紡糸・延伸が
難しくなる。また、高粘度ポリエステル成分の極限粘度
が0.65未満であるとけん縮発現力が乏しくなる傾向
を示す。
【0016】低粘度ポリエステル成分と高粘度ポリエス
テル両者間の極限粘度成分差は0.20〜0.40の範
囲が好ましい。ただし、一方に共重合ポリエステル成分
を使用する場合は、両者成分の極限粘度差はさらに接近
させることが可能である。
【0017】ここで、極限粘度[η]は、温度25℃に
おいてオルソクロロフェノール溶液として求めた。
【0018】ここで用いられるコンジュゲートマルチフ
ィラメント糸については、2種類のポリエステル重合体
を紡糸するに当り、低粘度ポリエステル成分と高粘度ポ
リエステル成分について好適な複合比がある。即ち、低
粘度ポリエステル成分と高粘度ポリエステル成分の複合
比は、重量比で35〜65:65〜35が好ましく、4
0〜60:60〜40がさらに好ましい。
【0019】また、コンジュゲートマルチフィラメント
糸の複合形態は、2成分を並列的あるいは芯・鞘的
置したいずれの形態でもよいが、並列的形態の方が潜在
けん縮の発現力(コイル径が大きく、発現けん縮数が多
い)が高いので好ましい。この複合比と2成分の配列形
態は、コンジュゲート繊維の弛緩熱処理において発現け
ん縮の螺旋状コイルの直径の大きさに関係し、コイル径
の大きい方がストレッチ効果が大きい。
【0020】このようなけん縮性コンジュゲートマルチ
フィラメント糸を得るための紡糸速度は、通常1000
m/分以上の低速領域から、2500m/分以上の高速
領域のいずれでもよい。
【0021】紡糸された未延伸糸、半延伸糸の延伸は、
通常の延伸装置で延伸することが可能であり、未延伸
糸、半延伸糸の強伸度特性に対して得られる延伸糸の強
伸度レベル、毛羽の発生のない条件で、できるだけ延伸
糸の弛緩熱処理で大きい収縮応力が得られる条件を設定
することが望ましい。収縮応力の大きい方が、コンジュ
ゲートマルチフィラメント糸のけん縮発現能を高めるこ
とができ、それによって、後工程における織物の弛緩熱
処理で、けん縮発現による螺旋状コイルの中空構造が得
られる。
【0022】延伸糸として、コンジュゲートマルチフィ
ラメント糸を構成する単繊維繊度は、1.1〜15dt
exが好ましく、より好ましくは2〜10dtexであ
る。1.1dtexより細い領域では現状の技術水準で
は製糸が難しい点もあるが、螺旋状コイル形成に限界が
あり、また15dtexより大きいと、螺旋構造のた
め、衣料用途ではストレート構造よりは柔らかいが、風
合いが硬くなる傾向を示す。
【0023】ヨコ糸に用いるコンジュゲートマルチフィ
ラメント糸の繊度はタテ糸と同様、150g/m2 以下
の薄地織物を目的とし、85dtex以下、好ましくは
33〜56dtexの範囲の細いポリエステルマルチフ
ィラメント糸が必要となる。コンジュゲートマルチフィ
ラメント糸の収縮応力は高い方が潜在けん縮の発現を高
めるため好ましい。そのため、本発明では、収縮応力は
0.26cN/dtex以上とすることが好ましい。こ
の収縮応力の測定法は、常温から250℃近辺まで加熱
したときの収縮応力変化をUゲージ(歪み計)で検出
し、X,Yレコーダーに記録する。試長:100mm、
昇音速度:2.5℃/sec、初荷重:(0.0882
cN/dtex×2)gで昇温する。チャートから最大
応力(g)を読みとる。(cNはセンチニュートン) コンジュゲートマルチフィラメント糸の伸度特性として
は、小さい方がよく、好ましくは35%以下、より好ま
しくは30%以下、さらに好ましくは27%である。伸
度と収縮応力は相関関係にあり、収縮応力を大きくする
には延伸時の温度を低くし延伸倍率を高くして、収縮応
力を大きく、そして伸度を小さくする。コンジュゲート
マルチフィラメント糸としては、単フィラメント自身が
螺旋捲状けん縮構造を有するマルチフィラメント糸を使
用することによって、織物に伸縮特性と高反発性の効果
ををさらに高めることができる。
【0024】次に、製織について説明する。まず、織物
にするに当たり、上述のコンジュゲートマルチフィラメ
ント糸に追撚を施こす。追撚はフィラメント糸を収束
し、織物で弛緩熱処理を施したときに、熱収縮の異なる
2種のポリエステル重合体の収縮差によって生じる螺旋
状けん縮が、マルチフィラメント糸の製糸したときの集
合体として、螺旋状としての位相がずれないで、個々の
フィラメントは集合形態を保ったままの状態に、できる
だけ保つことによつて発現しやすくする。
【0025】一般的に、織物は構成する糸が交錯し、拘
束力の弱い部分と強い部分が存在する。すなわち、織物
ではタテ糸とヨコ糸の交錯点は拘束力が強く、逆に交錯
していない浮いた部分は拘束力が小さい。織物や編物に
使用される原糸の力によって表面変化やストレッチ性を
付与するには、交叉点で糸の浮いている拘束力の小さい
部分に形態変化を持たせることで可能になる。
【0026】従来の原糸によるファブリケーションにお
いて、収縮性を有するストレート原糸を使用した場合
は、表面に何の変化も生じないし、ストレッチ性も付与
されない。また、このストレート原糸に追撚を入れて布
帛にした場合、熱を加えたとき解撚トルクによって表面
にしぼを生じ表面を変化させることはできるが、ストレ
ッチ性の付与は難しい。また、一般的な仮撚加工糸はけ
ん縮は存在するが元々もっているけん縮性能以上の発現
能力がないため、表面変化、ストレッチ性付与力は小さ
い。
【0027】コンジュゲートマルチフィラメント糸にも
同じ現象が起こる。螺旋状のけん縮が発現するときにタ
テ糸の拘束力よりけん縮発現力が大きいとタテ糸を持ち
上げ、織物に表面変化が生じシボ形態となる、特にスパ
イラルの凸部にタテ糸が有るとシボは高くなる、しかし
ながらタテ糸交錯点が螺旋スパイラルの凹部にタテ糸が
はまり込めばシボになり得ず螺旋状のけん縮が容易に発
現する事が可能となることを見出した。拘束力が小さい
浮いた部分は、シボにならず螺旋けん縮が伸縮し織物の
ストレッチとなる。
【0028】すなわち、本発明の追撚数は螺旋状スパイ
ラルけん縮のピッチを決定する重要な要素であると同時
に、織物タテ糸交錯点ピッチと数とヨリによる螺旋状コ
イルピッチを一致させることが、シボを最小にし、かつ
ストレッチ性の優れたものとするために、本発明のポリ
エステル織物は、次の関係を満足することが重要であ
る。
【0029】 Hw/Pw×1.3 > Tf > Hw/Pw×0.
7 ここで、Tf=仕上織物上1cm間のヨコ糸撚数 Hw=仕上織物上1cm間のタテ糸本数 Pw=織物1完全組織のタテ糸本数 織物上1cm間のヨコ糸撚数Tfは、織物上1cm間の
タテ糸本数Hwを、織物一完全組織タテ糸本数Pw例え
ば平織物では2本となり、5枚朱子織物では5本とな
る、この1完全組織タテ糸本数Pwで除したピッチと一
致する状態の場合が、スパイラルコイルの凹部にタテ糸
がはまり込み、タテ糸拘束力が最も小さくなるため、最
もシボが発現せずストレッチが最大となる。
【0030】この関係は、織物規格を同一とした場合、
Hw/Pwより追撚数が少なくなるとシボが発現し始め
る傾向にあり、また追撚数が多くなるとストレッチ
減少する傾向にある。
【0031】仕上織物上の撚数Tfの測定は、織物ヨコ
糸方向に10cm間の印を行い、その後ヨコ糸を採集
し、織物上で印をした間の撚回数を測定する。その時の
ヨリ数を10cmで除して、織物上1cm間のヨリ数と
する。すなわち生産工程での撚糸機にて追撚するヨリ数
を示すものではなく、織物布帛上の間隔1cm間に存在
する撚数を示している。
【0032】次に上記式のHw/Pwは織物タテ糸カバ
ーファクタを示すものであり、次式の範囲内の織物規格
にすることが好ましい。
【0033】 4.7×dtex1/2 > Hw/Pw > 2.7dtex1/2 Hw/Pwが小さくなりすぎるとストレッチは大きく
なるがスリップ等の取り扱いにおける諸問題を引き起こ
してしまう恐れがあり好ましくない。また大きくなりす
ぎるとストレッチ特性が得られ難く、好ましい領域では
ない。
【0034】ヨコ糸密度については70〜140本/
2.54cmの範囲内が好ましい。密度が小さくなりす
ぎるとストレッチは大きくなるがスリップ等の取り扱
いにおける諸問題を引き起こしてしまう恐れがあり好ま
しくない、また大きくなりすぎると螺旋状けん縮が発現
しにくくなるため、ストレッチ特性が得られ難く、好ま
しい領域ではない。
【0035】このコンジュゲートマルチフィラメント糸
に追撚する撚糸方法は、特に制限はなく、通常の技術で
実施でき、また撚方向はS、Zいずれの方向でも良い。
また撚糸後、撚り止めセットを実施してもよいが、セッ
ト温度は製織に問題ない程度に低温が望ましい。
【0036】追撚をほどこしたコンジュゲートマルチフ
ィラメント糸の螺旋状集合体を弛緩熱処理を施し発現さ
せてもよいが、通常の方法としては製織した織物を染色
加工する工程で行うことが好ましい。
【0037】加工工程は一般的なリラックス、中間セッ
ト、アルカリ減量、染色、仕上げセットによる通常条件
で実施可能である。特に注意を必要とするのはリラック
ス処理であるが、追撚された撚りの解撚力と、コンジュ
ゲート糸の潜在けん縮の発現により、螺旋構造をさせる
ようリラックスさせる条件を採用することにより、シボ
がなく、かつ滑りの良いヨコストレッチ織物を得ること
ができる。ヨコ方向のストレッチは、衣服着用時の快
適性から20%以上が好ましく、30%以上がより好ま
しい。
【0038】ここに、本発明におけるマルチフィラメン
ト糸の撚糸構造体において、螺旋状マルチフィラメント
集合体を有する螺旋状スパイラルけん縮からなる織物の
形態概念を試作した織物サンプルについて、日立製作所
(株)製走査型電子顕微鏡で染色仕上げ後の織物の断
面、該織物から解いた糸(マルチフィラメント集合体)
の側面を拡大し、撮影したものを図に示す。
【0039】図1は、本発明の一例を示す織物のタテ糸
断面を切断した繊維の形状を示すタテ糸断面写真であ
る。図2は、図1の織物のヨコ糸の螺旋状けん縮状態の
繊維の形状を示す拡大写真である。追撚により発現した
螺旋状スパイラル形態が、タテ糸により拘束された織物
クリンプと一致している状態がわかる。
【0040】タテ糸の拘束力を受けても仕上工程のリラ
ックスで螺旋状スパイラル捲縮を発現させるためには、
コンジュゲートマルチフィラメント糸の収縮応力は高い
方が潜在捲縮の発現を高めるため好ましい特性である。
収縮応力は前述のように0.265cN/dtex以上
とすることが好ましい。
【0041】なお、本発明において、ストレッチ率の測
定は、織物のヨコ方向に幅5.5cm×30cmの試料
を3枚採取し、幅の両側から同数のヨコ糸を取り去り5
cmとし、その後、自記記録装置付き定速伸長形引張試
験機を用い、つかみ間隔を20cmLとし、5cm×1
mの大きさの試料の重さと同等の初重をかけてつかみ
に固定する。次に引張速度20cm/minで1.8k
gまで引伸ばし、その時のつかみ間隔L1をはかり、次
の式により伸張率(%)を求め、3枚の平均値で表す。
【0042】ストレッチ 率(%)=(L1−L)/L×100
【0043】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。 (実施例1、3、4、比較例1、2)タテ糸として太さ
55dtex−36フィラメントのポリエステルマルチ
フィラメントを、通常サイジング工程を通したタテ糸と
し、生機のタテ糸密度が99本/2.54cmになるよ
うに設定した。
【0044】また、ヨコ糸については本発明に基づく、
極限粘度が0.47のポリエチレンテレフタレート10
0%からなる低粘度成分と、極限粘度が0.75のポリ
エチレンテレフタレートからなる高粘度成分とを、重量
複合比50:50で並列型に貼り合わせたコンジュゲー
トマルチフィラメント未延伸糸を紡糸した後、通常の延
伸機により延伸を行い、55dtex−12フィラメン
トを製造した糸を用いたが、このマルチフィラメントの
収縮応力は0.38cN/dtexであった。このマル
チフィラメント糸を用い、ダブルツイスターでZ撚に1
100T/m、1400T/m、1600T/m、18
00T/m、2200T/m、2600T/mにそれぞ
れ追撚を施した。次いで、80℃で40分間真空スチー
ムセットにより撚止めセットを行った。このセット糸を
用い前述タテ糸のヨコ糸としてウォータージェットルー
ムを用い92本/2.54cmのヨコ密度で製織し生機
を作成し、得られた生機を、それぞれ染色加工した。
【0045】染色加工は、拡布リラックスをソフサーで
80℃で糊抜き精練し、97℃のリラックスを行ない、
その次に液流リラックスを130℃で行ない、乾燥、中
間セットの後減量を10%行った、その次に染色、乾
燥、仕上セットを行った。但しセット幅については、そ
れぞれの生機収縮状態に合わせ、シワの状況表面品位を
見て適宜調整した。
【0046】実施例1は、1800T/m追撚を施した
ものであるが、仕上の1完全織物組織数と、ヨコ糸ヨリ
数を一致させる撚設定をしたことにより、ストレッチ
も大きく、シボもなく表面品位、風合い共に良好なスト
レッチ織物であった。
【0047】実施例3の2200T/m追撚糸は、スト
レッチは30%以上得られたが実施例1よりも小さか
った、しかしシボもなく表面品位、風合いと共に良好で
あった。実施例4の1400T/m追撚糸はストレッチ
は大きいものの、シボの発現が見られ始め、許容限界
に近いものであった。
【0048】比較例1の2600T/m追撚糸は、追撚
数が多いため、ストレッチ小さく、風合いも硬いも
のであった。
【0049】比較例2の1100T/m追撚糸は、リラ
ックスの時点でシボが発現し、中間セット、仕上セット
でも修正できないものであった。シボをなくすため仕上
幅設定すると、ストレッチは全くなくなるものであっ
た。比較例のストレッチはしぼの発現によるものであ
る。 (実施例2) 実施例1と同様の糸を用い、5枚朱子の組織とし、生機
タテ密度を218本/2.54cm、ヨコ密度を100
本/2.54cmに設定し、ヨコ糸は実施例1の追撚数
を本発明に基づいた、仕上織物上の1完全織物組織数
と、同一になるよう、1600T/mに設定し製織した
後、実施例1と同様の方法で染色加工した、その結果高
ストレッチで、かつシボがなく、良好な表面品位、風
合いのストレッチ織物が得られた。 (比較例3) 実施例1と同一のタテ糸を用い、生機タテ密度、ヨコ密
度も同一とした。ヨコ糸は、55dtex−24フィラ
メントの仮撚加工糸を用い、クリンプ率が大きくなる仮
撚加工の加撚方向とは逆方向の追撚を実施例1と同一ヨ
リ数1800T/m施し、撚止セットセットも実施例1
と同条件で実施した。この糸を用い製織した後、生機を
実施例1と同条件で染色加工した。その結果ヨコストレ
ッチは24%まで得られたが、30%以上にはならな
かった、また風合いも加工糸のフカツキが見られ、満足
できるものではなかった。以上の結果をまとめ表1に示
す。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、熱収縮の異なる捲縮性
コンジュゲートマルチフィラメント糸からなる、螺旋状
けん縮糸で構成しているため、従来の仮撚加工糸を使用
した織物に比べ、シボのない表面感、適度なドライ感、
更には適度なヨコ伸縮性を有するため、シャツ、ブラウ
ス、裏地などの軽衣料用途分野で特徴を発揮することが
でき、快適な着用感が得られ、かつ安価に製造できるこ
とから新しい展開が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例を示す織物のタテ糸断面を切断し
た繊維の形状を示すタテ糸断面写真である。
【図2】図1の織物のヨコ糸の螺旋状けん縮状態の繊維
の形状を示す拡大写真である。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タテ糸として85dtex以下のポリエス
    テルマルチフィラメント糸、ヨコ糸として熱収縮の異な
    る少なくとも2成分のポリエステル重合体が並列的ある
    いは芯・鞘的に接合した85dtex以下のコンジュゲ
    ートマルチフィラメント糸を使用し、織物上のヨコ糸は
    撚方向がSまたはZのいずれかの方向の撚を有したもの
    からなりかつ螺旋状スパイラルけん縮を有し、ヨコ糸撚
    数と織物タテ糸密度及び織物組織の関係が下記式を満足
    するとともに、前記螺旋状スパイラルけん縮の凹部にタ
    テ糸がはまり込み、さらに目付が150g/m2 以下で
    あることを特徴とするポリエステル織物。 Hw/Pw×1.3 > Tf > Hw/Pw×0.
    7 Tf=仕上織物上1cm間のヨコ糸撚数 Hw=仕上織物上1cm間のタテ糸本数 Pw=織物1完全組織のタテ糸本数
  2. 【請求項2】前記Hw/Pwの範囲が下記式を満足する
    請求項1記載のポリエステル織物。 4.7×dtex1/2 > Hw/Pw > 3×dtex1/2
  3. 【請求項3】仕上織物のヨコ方向のストレッチが20
    %以上である請求項1または2に記載のポリエステル織
    物。
  4. 【請求項4】前記コンジュゲートマルチフィラメント糸
    が下記の特性を満足することを特徴とする請求項1〜3
    いずれかに記載のポリエステル織物。 収縮応力(TS) 0.265cN/dtex以上
  5. 【請求項5】織物ヨコ密度Hfが70〜140本/2.54
    cmの範囲である請求項1〜4いずれかに記載のポリエス
    テル織物。
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