JP4536242B2 - 伸縮性複合仮撚加工糸及びその製造方法並びにその織編物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライ感、清涼感、シャリ感風合いを兼ね備えながら、適度なストレッチ感を有し、且つ自然なスラブ斑感の意匠効果を織編物に付与することが可能であり、糸形態安定性に優れた仮撚加工糸及びその製造方法、並びに該仮撚加工糸を含むことで上述の風合いや意匠効果が付与された織編物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、伸縮性を有する加工糸の製造方法として、弾性糸との合撚手法や弾性糸を芯糸としたカバーリング加工糸が知られている。これらはその構造上均一な伸縮形態であり、単純に布帛に伸縮性のみを得ることを目的としている。また工程中で被覆糸の糸ズレや弾性糸の目ムキが生じやすい欠点や、生産性が低い問題を有している。
【0003】
仮撚手法において、特許第1085653号公報、特許第1743915号公報では鞘糸に捲縮加工糸を用い、弾性糸との引揃空気混繊仮撚加工によってストレッチ性加工糸を得る製造法が開示されているが、これらはその構造上芯部に弾性糸、鞘部に捲縮加工糸が配している2層構造糸であり、スラブ調の意匠効果を与える物ではない。またエア加工である為、加工糸として弾性糸の目ムキ発生が生じやすい欠点を持つ。更に特許第1506830号公報では、芯糸にポリブチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレートコンジュゲート糸を、鞘糸に高配向未延伸ポリエステル糸を用いて捲縮率10%以上を有するストレッチ性スパンライク2層構造加工糸が開示されているがストレッチ感は不充分で、且つスパン的なスラブ斑感の意匠効果が無く表情感に欠けたものとなる。また特開平6−316826号公報ではイオン染料に対して可染性と不染性のポリエステルマルチフィラメントを引揃延伸仮撚する芯糸部に、弾性糸を配した異色効果のあるヘザー効果を有する伸縮性スパンライク加工糸が開示されているが、太細差を有するスラブ調の意匠効果を与える物ではない。
【0004】
またシャリ感とスラブ斑的な意匠効果を有する仮撚スラブ加工手法では特開平11−315438号公報では、芯糸にポリエチレンテレフタレートコンジュゲートを、鞘糸に熱可塑性繊維や半合成繊維等を用いた仮撚スラブ加工手法によるストレッチ仮撚スラブ加工糸が開示されている。これはスラブ斑的な意匠効果に加えてシャリ感を有するが、捲縮伸張率が10%程度と低いため、布帛の規格によってはストレッチ性が低い加工糸となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ドライ感、清涼感、シャリ感風合いを兼ね備えながら、従来に無いストレッチ感を有し、且つ多重巻き付け部であるスラブ部の繊度斑感のある麻調の意匠効果を織編物に付与することが可能であり、更に糸形態安定性に優れた仮撚加工糸及びその製造方法、並びに該仮撚加工糸を含むことで上述の風合いや意匠効果が付与された織編物を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の要旨は、弾性糸Aを芯糸とし、該糸Aの外側に熱可塑性マルチフィラメント捲縮糸Bが配置された混繊糸の外側に合成繊維フィラメント糸Cが多重に捲き付いている多重捲回部と、該糸Cが一重に捲き付いている一重捲回部が糸長手方向に交互に存在し、以下の条件をみたす複合仮撚加工糸にある。
15%≦CC≦30%
20%≦CE≦45%
(CCは捲縮率、CEは捲縮伸張率を示す)
また本発明の第2の要旨は、一定のドラフト状態で供給された弾性糸Aと熱可塑性マルチフィラメント捲縮糸Bとを引き揃えて集束し、流体加工することによって、一旦、弾性糸Aを芯糸とし、該糸Aの外側に熱可塑性マルチフィラメント捲縮糸Bが配置された混繊糸を得、該混繊糸に仮撚加工を行う際に、仮撚加撚域に該混繊糸から一定距離にあるガイドを介して、合成繊維フィラメント糸Cをオーバーフィード供給し、該芯糸の周囲にトラバース捲回させる仮撚加工であって、仮撚温度を150〜220℃とすることを特徴とする複合仮撚加工糸の製造方法
にある。
【0007】
さらに本発明の第3の要旨は、本発明の複合仮撚加工糸を含む織編物にある。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について具体的に説明する。
【0009】
本発明の複合仮撚加工糸は、弾性糸Aを芯糸とし、該糸Aの外側に熱可塑性マルチフィラメント捲縮糸Bが配置されている。芯糸に弾性糸Aが含まれているためストレッチ性が付与され、熱可塑性マルチフィラメント糸が捲縮を有していることから弾性糸Aと熱可塑性マルチフィラメント捲縮糸Bの形態を保ち易く、加工工程で糸形態が崩れにくくなる。
【0010】
さらに本発明では、該糸A、該糸Bの外側に合成繊維フィラメント糸Cが多重に捲き付いている多重捲回部と、該糸Cが一重に捲き付いている一重捲回部が糸長手方向に交互に存在していることが必要であり、多重捲回部は加工糸としての捲縮形態を保ち、また一重捲回部は伸縮性に大きく寄与し、捲縮形態とストレッチ性を兼ね備えた織編物が得られる。尚、多重に捲き付くとは、芯糸成分の糸の周囲に鞘糸成分の糸が三層以上に重なり捲き付いた状態をいい、加工安定性や多重捲回部の糸形態安定性等を考慮すると三層に重なり捲き付いていることがより好ましい。
【0011】
また本発明では、捲縮率CCは15%以上30%以下であることが必要である。15%未満ではふくらみ感が不足し、30%を越える場合には、ふかついた風合いとなる。
【0012】
さらに捲縮伸張率CEはが20%以上45%以下であることが必要である。20%未満では、ストレッチ感が不十分となり、45%を越える場合、合成繊維フィラメント糸Cのたるみが発生し、糸の弛みや布帛での伸びの戻りが悪い、いわゆる生地のワライが発生する。ここで捲縮率CC、捲縮伸張率CEはJIS L―1090の測定方法にて測定した。
【0013】
また本発明では、弾性糸としてはポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系等任意の物を使用することができる。
【0014】
熱可塑性マルチフィラメント捲縮糸Bに用いられる素材は、ポリエステル、ポリアミド等が望ましく、特にシックアンドシンポリエステル糸、ポリエステル系コンジュゲートタイプのシックアンドシンポリエステル糸、イオン染料可染性ポリエステル糸等を用いることがさらにに望ましい。該糸Bがイオン性染料可染性のポリエステルマルチフィラメント糸である場合、合成繊維フィラメント糸Cとの染色性差を強調し、異色染め分け可能な仮撚スラブ意匠を付与したストレッチ複合仮撚加工糸を得ることも可能となる。
【0015】
合成繊維フィラメント糸Cとしては熱可塑性合成繊維の他にアセテート等の半合成繊維、レーヨン、キュプラ、ポリ乳酸繊維等の繊維を用いることができる。特にセルロースアセテートフィラメント糸を用いることで、適度に吸湿性のある清涼感や好ましいドライ感、更に良好な発色性を得ることが可能となるため好ましい。尚、セルロースアセテートフィラメント糸は平均酢化度48.8%〜56.2%のセルロースジアセテートマルチフィラメント糸(ジアセテートと略す)、酢化度56.2%〜62.5%のセルローストリアセテートマルチフィラメント糸(トリアセテートと略す)があげられる。該セルロースアセテートマルチフィラメント糸がカチオン可染性を有する場合、カチオン染色及び分散染色による染め分けにより更に多色ミックス感の優れた絣杢調の外観を表現できる。
【0016】
上記のように、該糸B、該糸Cの選択より素材の有する染色特性により、織編物に高次な異色斑感を付与することが可能である。
【0017】
次に本発明の複合仮撚加工糸の製造方法の一例を図1に示す。
【0018】
弾性糸Aを一対の送り出しローラー1と第2供給ローラー3の間で一定のドラフトをかけ供給する。ドラフトとしては2〜5倍がよく、後工程通過性の面で2〜3.5倍が好ましい。熱可塑性マルチフィラメント捲縮糸Bは第1供給ローラー2で供給し、該弾性糸Aと引揃え後、流体ノズル5で流体加工を行う。流体加工ノズルはインターレースノズル、交絡圧力は0.1〜0.5MPa、オーバーフィード率0.5〜3%、交絡度30〜100個/m程度が好ましい。
【0019】
次に、仮撚ユニット9により加撚されつつ第1引き取りローラー10に引き取られて走行する混繊された該糸A、該糸Bに対して、合成繊維フィラメント糸Cを混繊された該糸A、該糸Bから一定距離にあるガイド7を介して第3供給ローラー4によってオーバーフィード供給する。該糸Cは、ガイド7を支点として、走行している該糸A、該糸Bの走行方向に対して平行に(図の矢印で示すように上下に)トラバースしつつ、該糸A、該糸Bの周囲に多重に捲き付いた多重捲回部と一重に捲き付いた一重捲回部とを交互に形成する。
【0020】
次いで、接触式の第1ヒーター8により加熱固定されるとともに、仮撚ユニット9を通過後、一重捲回部は解撚されて仮撚方向と逆方向の撚り形態を呈するが、多重捲回部は強固に固定されているために加撚時の形態をそのまま保つ。
【0021】
引き続いて第1引き取りローラー10と第2引き取りローラー12の間で、非接触式の第2ヒーター11で熱セット処理を行い、第2引き取りローラーを介して、ワインダー13で巻き取る。尚、上述の熱セット処理は仮撚加工糸の要求される糸特性や加工機の都合により省略しても良い。
【0022】
また本発明において、仮撚加撚域で走行する混繊された該糸A、該糸Bと、該糸Cを供給するガイド7との距離は特に限定されず、一重捲回部、多重捲回部の平均長さ或いは加工安定性等を考慮して決定すればよい。該仮撚加工糸を含む織編物に風合いや意匠効果をより好適に付与するためには、10〜35cmが好ましい。
【0023】
さらに混繊された該糸A、該糸Bに対する該糸Cのオーバーフィード供給量は特に限定されるものではなく、多重捲回部の安定形成性や仮撚加工安定性等を考慮して決定すればよく、20〜180%が好ましく、50〜120%が更に好ましい。
【0024】
尚、本発明の製造方法は、前述の工程以外にも、第1段階として弾性糸Aと熱可塑性マルチフィラメント捲縮糸Bの流体加工を行い、第2段階として該混繊糸と合成繊維Cとの複合仮撚加工を行う工程をとっても問題ない。
【0025】
また、各温度条件は該糸Aの耐熱温度や該糸B、該糸Cの融点、仮撚加熱時間、ヒーター性能、仮撚数等の諸要因によって適宜決定されるが、弾性糸のストレッチ性を生かすためには、仮撚温度を150〜220℃で行うことが必要である。仮撚温度が150℃未満の場合、多重捲回部の収束性が低下し、製織製編等の後工程で多重捲回部のズレ(いわゆるズッコケ)を生じやすい。220℃を越える場合、弾性糸Aを被覆する熱可塑性繊維の繊度にもよるが、弾性糸の熱セットが過剰に利きすぎストレッチ性を喪失する事になる。ストレッチ性を得るためには200℃以下が好適である。尚、該弾性糸は160〜240℃の融点且つ200〜900%の伸度を有する物で、仮撚加工時の際の熱により伸縮性が失われにくい低熱セット性タイプの弾性糸を用いることが好ましい。
【0026】
また、熱可塑性マルチフィラメント捲縮糸Bは、複屈折率Δnが0.01以上0.09以下の低配向部分とΔnが0.10以上の高配向部分が繊維長手方向にランダムに存在し、10〜100mmの長さを有する該低配向部分が5〜30個/mであるポリエステル太細マルチフィラメント糸を仮撚加工して得たものを用いることが、選定染料や染色温度によって濃淡差のある仮撚スラブ意匠を付与したストレッチ複合仮撚加工糸を得ることができ望ましい。
【0027】
低配向部のΔnが0.01未満の場合、融点が低く過ぎ、かつ伸度が高い為、仮撚り加工時の加工安定性が劣りやすく、0.09以上の場合、高配向部との差が小さくなるため濃淡差が得難くなる。また高配向部分の△nが0.10未満の場合も低配向部との差が小さくなる為、濃淡差が得難くなる。
【0028】
さらに低配向部分の長さが10mm未満や低配向部の頻度が5個/m未満の場合濃淡差効果が少なく、また更に低配向部分の長さが100mm以上や頻度が30個を超える場合、濃淡差効果があるが、仮撚り加工時の加工安定性が低下しやすい。
【0029】
また、本発明の複合仮撚加工糸を含む織編物は、従来に無いストレッチ感を有し、且つ多重巻き付け部であるスラブ部の麻調の繊度斑感の意匠効果を織編物に付与することができ、該複合仮撚加工糸の混率並びに織編組織は目的の風合いや製品外観が得られる範囲で決定すればよい。
【0030】
例えば、該複合仮撚加工糸の単独構成による2WAYのストレッチ麻調織物や、織物の緯糸にのみ使用した緯ストレッチ麻調織物があげられる。また他糸との交編織により該複合仮撚加工糸を一部配列させ麻調の繊度斑感を有する小シボ調の織編物外観や、サッカー調の織編物の収縮部に麻調の繊度斑感を有する外観織編物等、ドライ感、清涼感、シャリ感風合いを兼ね備えながら、従来に無いストレッチ感を有し、且つ自然なスラブ斑感の意匠効果に優れた特徴を有するものが得られる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を説明する。評価方法は次に示す方法で行った。
【0032】
(複屈折率△n)
カネボウエンジ(株)社製分子配向測定装置DELTA−Nを用いて測定した。
【0033】
(糸形態安定性)
織編物を形成する際の、加工糸全体のループ毛羽等の形成、多重捲回部の位置ズレ発生等を目視にて評価した。
【0034】
(布帛評価)
得られた複合仮撚加工糸を製編織し、意匠効果(スラブ斑感)、及び風合い(ストレッチ感、ドライ感、清涼感、シャリ感)を目視、ハンドリングにて評価した。
【0035】
(実施例1)
図1の装置を用い、弾性糸Aとして、ポリウレタン22デシテックスをドラフト率3.5倍で延伸し、熱可塑性マルチフィラメント捲縮糸Bには、56デシテックス24フィラメントのシックアンドシンポリエステル(複屈折率Δnが0.01以上0.09以下の低配向部分とΔnが0.10以上の高配向部分が繊維長手方向にランダムに存在し、マルチフィラメント糸の長手方向で10〜100mmの低配向部分の頻度が15個/m)を第1ヒーター仮撚温度180℃、第2ヒーター仮撚温度180℃、仮撚数3000T/m、仮撚方向Zの条件にて仮撚加工したシックアンドシンポリエステル捲縮糸(65デシテックス24フィラメント)を用いた。
【0036】
該糸A、該糸Bは流体ノズル直前でガイドにより集束され、流体ノズルで流体加工を行う。流体加工ノズルはインターレースノズルを使用し、交絡圧力は0.3MPa、オーバーフィード率2%、交絡度50〜70個/mであった。
【0037】
合成繊維マルチフィラメント糸Cとして、61デシテックス15フィラメントのトリアセテートを用い、仮撚数:2500T/m、仮撚方向:Z、第1ヒーター温度:170℃、温度第2ヒーターの温度:190℃、混繊された該糸A、Bのオーバーフィード2%、仮撚加撚域の混繊された該糸A、Bと該糸Cの供給ガイド間距離:200mm、仮撚加撚域への該糸Cのオーバーフィード率:90%、第1引き取りローラーの速度:55m/分、第1引き取りローラー〜第2引き取りローラー間のオーバーフィード率:6%の条件で仮撚加工を行って、本発明の仮撚加工糸を得た。
【0038】
得られた仮撚加工糸は、弾性糸Aを芯糸とし、該糸Aの外側に熱可塑性マルチフィラメント捲縮糸Bが配置され、更に糸A、糸Bの外側に合成繊維フィラメント糸Cが多重に捲き付いている多重捲回部と、一重に捲き付いている一重捲回部が糸長手方向に交互に形成される加工糸形態を呈し、従来にないストレッチを有した麻調複合仮撚加工糸であった。
【0039】
ループ毛羽等の形成、多重捲回部の位置ズレの発生等は認められず、加工糸の糸形態安定性は良好なものであった。
【0040】
この複合仮撚加工糸を用いて、経糸に経糸規格120本/3.75cm(寸)、緯糸規格80本/3.75cm(寸)のマット組織で製織した。後工程通過性には問題なく、本織物を精練、リラックス処理の後、以下の条件で染色して評価を行った。
染料 分散染料(Dystar(株)社製)
Dianix NTA−N Blue 0.12%owf
Dianix NTA−N Red 0.12%owf
Dianix NTA−NYellow 0.25%owf
染色条件 120℃×60分
得られた織物は、従来にないストレッチ及びキックバック性を有し、ドライ感、清涼感、シャリ感風合いを兼ね備え、且つ自然なスラブ斑感の意匠効果に優れた麻調特徴を有する織物であった。
【0041】
評価結果を表1に示した。
【0042】
(実施例2)
熱可塑性マルチフィラメント捲縮糸Bに、ジメチルスルフォキシド2.3mol%共重合した84デシテックス24フィラメントカチオン染料可染性ポリエステルフィラメントを用い、第1ヒーター仮撚温度180℃、仮撚数2800T/m、仮撚方向Zの条件にて捲縮加工した、イオン性染料可染性のポリエステルマルチフィラメント捲縮糸(87デシテックス24フィラメント)を用いた以外、実施例1と同様にして本発明の複合仮撚加工糸を得た。
【0043】
得られた複合仮撚加工糸は、弾性糸Aを芯糸とし、該糸Aの外側に熱可塑性マルチフィラメント捲縮糸Bが配置され、更に糸A、糸Bの外側に合成繊維フィラメント糸Cが間欠的に多重に捲き付いている多重捲回部と、一重に捲き付いている一重捲回部が糸長手方向に交互に形成される加工糸形態を呈し、従来にないストレッチを有した麻調複合仮撚加工糸であった。
【0044】
ループ毛羽等の形成、多重捲回部の位置ズレの発生等は認められず、加工糸の糸形態安定性は良好なものであった。
【0045】
この複合仮撚加工糸を実施例1と同様に織物を作成し、以下の染色条件で評価を行った。
染料
分散染料 Dianix NTA−N Blue 0.30%wof
カチオン染料AizenBLACK R−10DP(保土谷化学工業(株)社製)3.0%wof
染色条件 120℃×60分、
得られた織物は、従来にないストレッチ及びキックバック性を有し、ドライ感、清涼感、シャリ感風合いを兼ね備え、カチオン染料可染性繊維をカチオン性染料によって濃色に、多重捲回部に存在するトリアセテート糸を分散染料にて淡色に染色する事で染色性差を強調し異色染め分けする事で、スラブ斑感の意匠効果を強調した優れたストレッチ性の麻調特徴を有する織物であった。
【0046】
評価結果を表1に示した。
【0047】
(比較例1)
図1の装置を用い、弾性糸A及び、流体ノズルを使用せず、熱可塑性マルチフィラメント捲縮糸Bのみ芯糸として使用した。該糸Bとしては84デシテックス36フィラメントのシックアンドシンポリエステルを用いた以外、実施例1と同様に仮撚加工を行って複合仮撚加工糸を得た。
【0048】
この複合仮撚加工糸を実施例1と同様に織物として評価を行った。該織物は多重捲回部と、一重捲回部が糸長手方向に交互に形成されている太細の斑感と、濃淡差を有するドライで清涼感を有する麻調スラブ織物であったが、織物としてのストレッチ感は充分ではなかった。
【0049】
評価結果を表1に示した。
【0050】
(比較例2)
図1の装置を用い、弾性糸A及び、流体ノズルを使用せず、熱可塑性マルチフィラメント捲縮糸Bのみ芯糸として使用した。該糸Bとしては56デシテックス12フィラメントのサイドバイサイド型コンジュゲートポリエステルを用いた以外、実施例1と同様に仮撚加工を行って複合仮撚加工糸を得た。
【0051】
この複合仮撚加工糸を実施例1と同様に織物として評価を行った。該織物は多重捲回部と、一重捲回部が糸長手方向に交互に形成されている太細の斑感と、ストレッチ感を若干有するドライで清涼感を有する麻調スラブ織物であったが、織物としてのストレッチ感は充分ではなかった。
【0052】
評価結果を表1に示した。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】
本発明は、ドライ感、清涼感、シャリ感風合いを兼ね備えながら、従来に無いストレッチ感を有し、且つ多重巻き付け部であるスラブ部の繊度斑感の有る麻調の意匠効果を織編物に付与することが可能であり、本発明の仮撚加工糸の製造方法によれば、糸形態安定性に優れた複合仮撚加工糸が得られ、該複合仮撚加工糸を含むことで上述の風合いや意匠効果が付与された織編物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の仮撚加工糸の製造装置の一例図である。
【符号の説明】
A 弾性糸
B 熱可塑性マルチフィラメント捲縮糸
C 合成繊維マルチフィラメント糸
1 送り出しローラー
2 第1供給ローラー
3 第2供給ローラー
4 第3供給ローラー
5 流体ノズル
6 ガイド
7 ガイド
8 第1ヒーター
9 仮撚ユニット
10 第1引き取りローラー
11 第2ヒーター
12 第2引き取りローラー
13 ワインダー
Claims (6)
- 弾性糸Aを芯糸とし、該糸Aの外側に熱可塑性マルチフィラメント捲縮糸Bが配置された混繊糸の外側に合成繊維フィラメント糸Cが多重に捲き付いている多重捲回部と、該糸Cが一重に捲き付いている一重捲回部が糸長手方向に交互に存在し、以下の条件をみたす複合仮撚加工糸。
15%≦CC≦30%
20%≦CE≦45%
(CCは捲縮率、CEは捲縮伸張率を示す) - 熱可塑性マルチフィラメント捲縮糸Bが、イオン染料可染性のポリエステルマルチフィラメント糸である請求項1記載の複合仮撚加工糸。
- 合成繊維フィラメント糸Cが、アセテートフィラメント糸である請求項1〜2いずれかに記載の複合仮撚加工糸。
- 一定のドラフト状態で供給された弾性糸Aと熱可塑性マルチフィラメント捲縮糸Bとを引き揃えて集束し、流体加工することによって、一旦、弾性糸Aを芯糸とし、該糸Aの外側に熱可塑性マルチフィラメント捲縮糸Bが配置された混繊糸を得、該混繊糸に仮撚加工を行う際に、仮撚加撚域に該混繊糸から一定距離にあるガイドを介して、合成繊維フィラメント糸Cをオーバーフィード供給し、該芯糸の周囲にトラバース捲回させる仮撚加工であって、仮撚温度を150〜220℃とすることを特徴とする複合仮撚加工糸の製造方法。
- 熱可塑性マルチフィラメント捲縮糸Bが、複屈折率Δn0.01以上0.09以下の低配向部分と、Δn0.10以上の高配向部分が繊維長手方向にランダムに存在し、10〜100mmの長さを有する該低配向部分が5〜30個/mであるポリエステル太細マルチフィラメント糸を仮撚加工して得た捲縮糸である請求項4記載の複合仮撚加工糸の製造方法。
- 請求項1〜3いずれかに記載の複合仮撚加工糸を含む織編物。
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