JP3401373B2 - カットパイル布帛の製造方法 - Google Patents

カットパイル布帛の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インテリアや車両
などの椅子張りに用いられる、軽量で耐毛倒れ性、立毛
性に優れたカットパイル布帛の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、インテリアや車両などに使用され
ている高級カットパイル布帛は、元々、天然繊維を使っ
た紡績糸によって造られていた。近年、合成繊維の発展
とともに低コスト化、ならびに、商品のバラエティー化
および高性能化が要求されるようになり、ナイロンやア
クリル、あるいは、ポリエステルなどによる代替が行わ
れているが、糸形態としては相変わらず紡績糸が使用さ
れているのが現状である。このため、カットパイル布帛
を製造するに当たっては、毛羽などの影響で製織効率が
向上しないとか、製造工程で風綿が多発して掃除の手間
がかかるとか、環境衛生が嫌われるとか、製品にしたと
きも脱毛が起こり易いといった問題、あるいは、紡績プ
ロセスが、元々、マスプロに向いたシステムのため、今
日のような多様化した少量多品種要求に対応し難いとい
った問題が顕在化しつつある。
【0003】これに対し、最近、パイル糸に合成繊維の
マルチフィラメントを使った複合化工糸を用いる試みが
検討されているが(実公平6−27672号公報、特公
平6−96813号公報参照)、嵩高性、糸染性、軽量
性、コストなどの点で、未だ、従来の紡績糸を越えるよ
うな品位のものは得られていない。
【0004】一方、従来からフィラメント加工糸による
紡績糸代替技術の代表的な例として、例えば、特公昭5
9−39526号公報、あるいは、特公昭61−197
33号公報などが良く知られている。しかし、これら
は、ともにバルキーなスパンライク糸を狙っており、伸
度差を大きくして低伸度原糸の周りに高伸度原糸がS、
Z交互に巻き付いた、いわゆる芯鞘2層構造をしてお
り、この糸をパイル布帛のパイル糸に用いると、芯鞘の
糸足差が大き過ぎてカットパイルに用いたりすると、カ
ット面が均一に揃わず目面が悪くなる。また、パイル糸
を剪毛開繊し難いとか、あるいは、芯鞘の物性差が大き
いため、染着差が目立ち易いなどといった問題があっ
た。さらに、沸水収縮を高く糸染した際、チーズ内外層
で染着差や捲縮差が発生し易いなどの問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、カットパイ
ル布帛のパイル糸に、紡績糸ではなく、ポリエステルフ
ィラメントの特殊な複合仮撚捲縮糸を採用することによ
り、取扱性に優れ、かつ、軽量でありながら耐毛倒れ性
が良好で、かつ、深色性に優れた新規なカットパイル布
帛の製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、複屈折率Δn
が0.03〜0.09で、かつ、切断伸度の差が30〜
75%である2種類のポリエステルマルチフィラメント
原糸に下記の条件を用いて複合仮撚加工を施し、さら
に、得られた複合仮撚糸に糸染を施したのち、パイル織
機もしくはダブルラッセル編機に掛けカットパイル織編
物を製造することを特徴とするカットパイル布帛の製造
方法である。 仮撚延伸倍率(DR) :1.2〜1.4倍 仮撚セット温度(T1 ):160〜200℃ 捲縮セット温度(T2 ):200〜230℃ 捲縮セット時の弛緩率 :0〜8%
【0007】ここで、2種類のポリエステルマルチフィ
ラメント原糸の平均単繊維デニールは、4〜7デニー
ル、両者の混合比率は、重量比で3:7〜7:3、両者
の染着差は、L値で2以下であることが好ましい。
【発明の実施の形態】以下、添付図面により本発明を詳
述する。
【0008】図1は、本発明に係るカットパイル布帛の
断面図である。図中、Pはカットパイル糸、Gは地糸、
Hはカットパイル糸が抜けるのを防止するためのバッキ
ング樹脂を示す。ここで、カットパイル糸Pは、捲縮率
の異なる2種のポリエステルマルチフィラメントAおよ
びBからなる複合仮撚糸をチーズ染色法にて糸染したも
のであり、その製造には、以下の要求特性を満たす必要
がある。
【0009】要件(1) 本発明のカットパイル糸に用いる複合仮撚糸Pに使用さ
れるポリエステルフィラメントAおよびBの切断伸度差
は、紡績糸と同様の立毛性と紡績糸以上のバルキー性を
得るため30〜75%が望ましい。すなわち、これが3
0%未満になると、芯鞘構造が得られ難く、従って、捲
縮差も付与し難い。しかし、75%を超えると、今度
は、逆に芯鞘の糸足差が大きくなり過ぎ、パイル糸をカ
ットした際にパイル面が均一に揃わず目面が悪くなる欠
点が生ずる。すなわち、本発明の複合仮撚糸Pは、弱い
芯鞘2層構造で熱セットされるため芯鞘糸足差が少な
く、解撚後は、従来の複合仮撚のような芯鞘2層構造は
呈しない。従って、しごきなどによる芯鞘のスリップも
生じ難く、かつ、開繊され易い取扱性の良いものが得ら
れる。一方、芯部と鞘部とで一応の糸足差があるため、
捲縮率に差のあるバルキー構造糸が得られる。
【0010】要件(2) さらに、本発明では、従来の紡績糸のパイル密度感を持
ちながら軽量、かつ、パイルの圧縮変形に対する回復
性、すなわち、耐毛倒れ性が良好であるパイル布帛を得
るため、複屈折度の異なる原糸を用い仮撚加工時に、図
2のような2ヒータータイプの延伸仮撚装置を用いる必
要がある。すなわち、適切な嵩高性とパイルの立毛性を
得るため、第1ヒーターの仮撚セット温度(T1 )とし
ては、160〜200℃が好ましい。これが、160℃
未満では捲縮が不足し、200℃を超えると、フィラメ
ントの断面変形が大きくなり易く、タッチが粗硬になり
好ましくない。
【0011】また、第2ヒーターの温度(T2 )として
は、200〜230℃が好ましい。これが200℃未満
では、沸水収縮を低くし難く糸染時に収縮斑などのトラ
ブルが発生する。一方、230℃を超えると、捲縮がへ
たってしまったり、熱により低複屈折率側のポリエステ
ルフィラメントが溶着したり、断糸などが発生したりし
て好ましくない。また、2ヒーターセットを行うことに
より芯鞘の収縮差なども作用して糸足差はさらに縮小す
るので、芯鞘の分離が起こり難くなり、従来のように、
供給原糸間に交絡を付与しなくても製織時などに良好な
取扱性が得られるメリットも発生する。もちろん、供給
原糸間または仮撚加工時に弱い交絡処理を施しても、何
ら問題はない。
【0012】また、さらに、第2ヒーターの糸の弛緩率
を調節することで、糸の捲縮が自由に調節できるほか、
芯鞘成分の捲縮差も自由に付与できるメリットがある。
この弛緩率としては、0〜8%が好ましい。0%より低
くなると、糸の張力が大きくなり、集束性が悪くなった
り、低熱収縮化が困難になる。一方、8%を超えると、
捲縮が大きくなり過ぎたり、糸の張力が低くなるため、
捲縮斑が発生したり、糸走行が不安定になったりして好
ましくない。また、本発明で使用する原糸の配向度は、
未延伸糸対比が高く、低延伸倍率で比較的高温で仮撚加
工しても融着、染斑など発生せず、高い捲縮性のものが
得られる。
【0013】なお、上記でいう適性ヒーター温度は、現
在、市販されている仮撚機によるもので、第1ヒーター
として接触式の1.5〜2.5m長のもの、第2ヒータ
ーとして非接触式の1.0〜1.5m長のもの、糸速と
して400〜800m/minなどの仕様によるものを
想定している。従って、特殊なヒーターを用いたり、超
高速、あるいは、低速度で加工する場合などは、この限
りでないことはもちろんのことである。
【0014】要件(3) 本発明は、上記特性を満足した複合仮撚糸Pを、ソフト
ワインドしてチーズ染色法によって糸染する必要があ
る。従って、チーズ染色時に熱収縮斑や染液の通過性斑
などによる染斑が発生しないように、適当な低熱収縮特
性と嵩性が必要であり、この意味からも2ヒータータイ
プの仮撚装置が必要で、要件(2)に記載したような配
慮が必要である。
【0015】要件(4) また、圧縮変形に対する回復性を良くするため、本発明
では、供給する2種類のポリエステルフィラメント原糸
の平均単繊維デニールを4〜7デニールになるようにす
る必要がある。すなわち、パイル糸を構成する単繊維の
平均デニールが仮撚加工後、おおよそ2〜5デニールが
好ましい。単繊維デニールは、太いほど、耐毛倒れ性が
良くなるが、反面、風合が粗硬になるため、本発明で
は、7デニール以下にする必要がある。かといって4デ
ニール未満になると、今度は、耐毛倒れ性が悪くなるの
で、好ましくない。なお、平均単繊維デニールが4〜7
デニールであっても、加工後、太デニール成分が6デニ
ールを超えると、触ったときにチクチクすることがあ
り、好ましくない。
【0016】要件(5) 仮撚延伸倍率(DR)として、1.2〜1.4倍を使用
する必要がある。これが1.2倍未満では加工張力が低
下し安定した加工が行えず、1.4倍を超えると、深色
性が得られず、好ましくない。また、芯成分と鞘成分の
染着差は、L値で2以下でなければならない。これが2
を超えると、芯部、鞘部の染着性が目立ち、得られたカ
ットパイル布帛にもイラツキが発生し好ましくない。
【0017】ここで、前述のL値は、以下の定義に従う
ものである。 〔L値〕色感覚には、色合い(色相)、明るさ(明
度)、さえ(彩色)の3つの属性がある。L値は、この
3つの属性のうち、明度に対応するもので、いわゆる明
るい色、暗い色という区別で有彩色、無彩色(白〜黒)
に共通している。そして、L値の表示は、0(明度が最
も低い)〜100(明度が最も高い)の範囲で示され、
この値が小さいものほど濃色である。
【0018】なお、本発明においては、得られた複合加
工糸Pを芯成分、鞘成分に分け、それぞれを筒編みし、
通常の染色機を用い、以下の条件で染色、還元洗浄を行
ったものについてL値を測定した。測定にあたってL値
は、色差計で直読できるが、本発明では、日本電色工業
(株)製のタイプND−101DC型色差計によりL値
を測定した。
【0019】
【0020】還元洗浄 ・NaOH 1g/l ・ハイドロサルファイト 2g/l ・浴比 1:50 ・処理温度 70℃×20分
【0021】以上のような特性を満足した複合仮撚糸を
糸染し、二重織織機、あるいは、ダブルラッセル編機に
かけてカットパイル布帛を作成すると、軽量でありなが
ら従来のパイル密度感を損なわず、かつ、耐毛倒れ性が
良好で深色性もあり、さらに、優れた取扱性を持った新
規なカットパイル布帛を得ることができる。
【0022】次に、本発明について、添付図面により具
体例を挙げて詳述する。本発明で得られるカットパイル
布帛は、軽量でありながら従来のパイル密度感を損なわ
ず、かつ、耐毛倒れ性が良好で深色性もあり、さらに、
優れた取扱性を持った新規なカットパイル布帛である。
このカットパイル布帛を得るためには、連続フィラメン
トを対象にいろいろな捲縮形態を付与したり、充分な熱
セットをする必要があり、本発明においては、2ヒータ
ー方式の仮撚加工法を最適手段として採用した。また、
カットパイルの密度感、立毛品位を良くするためには、
異捲縮芯鞘混合特性が必要であり、本発明では、この発
明では、この異捲縮糸を安定して得るため複屈折率の異
なる原糸を供給することにした。
【0023】図2は、カットパイル布帛のパイル糸を使
う複合仮撚糸Pを製造するため本発明に用いた2ヒータ
ー方式の仮撚加工装置の例である。ここでは、Aおよび
Bは、複屈折率Δnが0.03〜0.09、切断伸度差
が30〜75%であるポリエステルマルチフィラメント
糸、1は供給ローラー、2は第1ヒーター、3は仮撚装
置、4は第1デリベリーローラー、5は第2ヒーター、
6は第2デリベリーローラー、7はワインダー、Pは本
発明によるカットパイル布帛用複合仮撚糸、8はこれら
を巻き上げたチーズを示している。
【0024】すなわち、上記複屈折率の異なるポリエス
テルマルチフィラメントAおよびBを引揃えてこの2ヒ
ーター方式の仮撚加工装置に供給し、供給ローラー1と
第1デリベリーローラー4との間で、1.2〜1.4倍
に延伸しながら第1ヒーター2および仮撚装置3を用い
て、いわゆる仮撚加工を行い、次いで、第1デリベリー
ローラー4と第2デリベリーローラー6の間で弛緩しな
がら第2ヒーター5に通して200〜230℃で再熱セ
ットし、得られた複合仮撚糸Pを第2デリベリーローラ
ー6とワインダー7の間で弛緩しながら捲密度0.4g
/cm3 以下になるようにチーズ8に巻き取る、という
ものである。この巻取り条件は、前述のほかに、巻取っ
てから後でチーズ染色用にソフトワインドしても良い。
ただし、いずれの場合もソフトワインドしたチーズの捲
密度は、チーズ染色時の染斑を防止するために、0.4
g/cm3 以下にする必要がある。
【0025】次に、このようにして得た複合仮撚糸Pの
ソフトワインドチーズ8を120〜140℃でチーズ染
色した後、無撚または追撚してそのまま、あるいは、さ
らに、双子または3本合糸して二重織織機またはダブル
ラッセル編機に掛け、地糸とともにパイル糸として製織
または製編したのち、この布帛に毛割、剪毛などの仕上
げ加工を施してパイルの外観、風合を整え、さらに、布
帛の裏面に樹脂をバッキングしてパイル糸を地糸による
基布に固定することによりカットパイル布帛が得られ
る。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳しく説明
する。 実施例1 図2に示した仮撚装置を使用して、ポリエステルフィラ
メントAに複屈折率Δnが0.05、全デニールが16
0デニール、フィラメント数が48本、光沢がセミダ
ル、断面形状が丸断面のPOY(高速紡糸による高配向
未延伸糸)、ポリエステルフィラメントBに複屈折率Δ
nが0.087、全デニールが75デニール、フィラメ
ント数が12本、光沢がセミダル、断面形状が丸断面の
USY(超高速紡糸糸)を使用し、両者をほぼ同張力で
引揃えて第1供給ローラー1より供給し、第1デリベリ
ーローラー4との間で1.25倍に延伸しながら第1ヒ
ーター温度200℃でD/Yが2.0のフリクションデ
ィスク方式の仮撚装置3を使用して加工速度(第1デリ
ベリーローラー4の表面速度)400m/minで延伸
複合仮撚加工を施し、引き続き第1デリベリーローラー
4と第2デリベリーローラー6との間で5%弛緩しなが
ら第2ヒーター温度230℃で熱セットし、さらに、ワ
インダー7との間で10%弛緩しながらソフトワインド
し、複合仮撚糸Pのソフトチーズ8を得た。
【0027】得られた複合仮撚糸Pのデニールは197
デニール、捲縮率は10.5%、沸水収縮率は2.6
%、フィラメントAの捲縮率は12.2%、L値は1
1.86、フィラメントBの捲縮率は6.5%、L値は
11.55、構成フィラメントの平均単繊維デニールは
3.3デニール、フィラメントAの比率は6.5%、ソ
フトワインドしたチーズの捲密度は0.32g/cm3
であった。次に、ソフトワインドしたチーズ8をチーズ
染色法により高圧下で130℃で糸染し、双子にして2
00T/Mの追撚を加えたのち、二重織織機を使用して
ポリエステル/レーヨン混(65/35)20番手/双
子の地糸とともに、筬羽数20本/インチ、緯密度46
本/インチの規格でパイル長6mmに製織した。
【0028】ここで、糸染後のチーズの解除性、燃糸
性、製織性は、従来紡績糸に比べて非常に良好で、風綿
などの発生がなく、かつ、綜絖や製織時の開口がスムー
スなため、約20%のスピードアップを行っても、特
に、問題なく扱うことができた。次いで、このカットパ
イル織物の生機を仕上加工工程に通して毛割・剪毛を2
回繰り返したのち、生地の裏側より静電性のある樹脂加
工を施し、本発明のカットパイル織物を得た。
【0029】このようにして得られたカットパイル織物
は、従来の紡績糸使いのものに比べてパイル糸が異捲縮
フィラメントの混合嵩高形態をしており、かつ、開繊性
が非常に良く、さらに、捲縮形態が挫屈形態でなくスパ
イラル形態をしているため、従来の紡績糸使いのパイル
布帛よりパイル目付を下げても圧縮変形に対する回復が
良く、かつ、跡が目立ち難い特性があり、いわゆる耐毛
倒れ性に優れていた。また、構成フィラメントのパイル
長が揃っているため、カット面がフラットになってお
り、ソフトタッチでありながら弾力性のある風合および
立毛性がよく、色相に深味のある外観など新規な品位を
呈していた。さらに、連続フィラメントのため、紡績糸
に比べて基布の地糸にパイル糸全体がしっかり把持さ
れ、このため、脱毛が極めて少なく仕上げ加工や製品の
取り扱いが非常に容易にできた。
【0030】実施例2 図2に示した仮撚装置において、仮撚装置3をスピンド
ル方式のものに交換し、ポリエステルフィラメントAに
複屈折率Δnが0.05、全デニールが115デニー
ル、フィラメント数が36本、光沢がセミダル、断面形
状が丸断面のPOY、ポリエステルフィラメントBに複
屈折率Δnが0.088、全デニールが75デニール、
フィラメント数が24本、光沢がセミダル、断面形状が
丸断面のUSYを使用し、スピンドル方式の仮撚装置を
使用することによって仮撚数を1,900T/Mとかな
り低くし、かつ、供給ローラー1と第1デリベリーロー
ラー4との間の弛緩率を2%、また、第1デリベリーロ
ーラー4と第2デリベリーローラー6との間の弛緩率を
3%、また、加工速度(=第1デリベリーローラー4の
表面速度)を250m/minにした以外は、実施例1
と同様の条件で複合仮撚を行った。
【0031】得られた複合仮撚糸Pのデニールは195
デニール、捲縮率は8.8%、沸水収縮率は2.3%、
フィラメントAの捲縮率は9.4%、L値は11.6
7、フィラメントBの捲縮率は3.1%、L値は11.
57、構成フィラメントの平均単繊維デニールは3.3
デニール、フィラメントAの比率は59%、チーズの捲
密度は0.34g/cm3 であった。
【0032】次に、本複合仮撚糸Pを用いて実施例1と
同様の条件にてチーズ染色および製織ならびに仕上加工
を施し、カットパイル織物を得た。得られたカットパイ
ル織物は、実施例1で得たものに比べて低捲縮で立毛観
がシャープになっているにもかかわらず、フィラメント
の断面変形度を少なくした効果か、耐毛倒れ性が良好な
ものであった。なお、複合仮撚糸Pおよび得られたカッ
トパイル織物の取扱性は、実施例1と同様、紡績糸より
非常に優れていた。
【0033】
【発明の効果】上記のように、本発明によれば、軽量で
ありながら従来のパイル密度感を損なわず、かつ、耐毛
倒れ性が良好で良好で深色性もあり、さらに優れた取扱
性を持ったインテリアや車両などの椅子張りに好適な新
規なカットパイル布帛が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るカットパイル織物の断面図であ
る。
【図2】本発明に用いたカットパイル織物のパイル糸に
用いられる複合仮撚糸を製造する仮撚加工装置の正面図
である。
【符号の説明】
A 低複屈折率側のフィラメント糸 B 高複屈折率側のフィラメント糸 P 複合仮撚糸
フロントページの続き (72)発明者 浜島 徳充 大阪府大阪市中央区南本町1丁目6番7 号 帝人株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−179527(JP,A) 特開 昭57−25447(JP,A) 特開 平7−310258(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D03D 27/00 D02G 3/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複屈折率Δnが0.03〜0.09で、
    かつ、切断伸度の差が30〜75%である2種類のポリ
    エステルマルチフィラメント原糸に下記の条件を用いて
    複合仮撚加工を施し、さらに、得られた複合仮撚糸に糸
    染を施したのち、パイル織機もしくはダブルラッセル編
    機に掛けカットパイル織編物を製造することを特徴とす
    るカットパイル布帛の製造方法。 仮撚延伸倍率(DR) :1.2〜1.4倍 仮撚セット温度(T1 ):160〜200℃ 捲縮セット温度(T2 ):200〜230℃ 捲縮セット時の弛緩率 :0〜8%
  2. 【請求項2】 2種類のポリエステルマルチフィラメン
    ト原糸の平均単繊維デニールが4〜7デニール、両者の
    混合比率(重量比)が3:7〜7:3、両者の染着差が
    L値で2以下である請求項1記載のカットパイル布帛の
    製造方法。
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