JP4824866B2 - 特殊仮撚加工糸及びその製造方法並びに織編物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソフト感、張り腰のある風合い、及び自然な糸斑感を織編物に付与することが可能な特殊仮撚加工糸及びその製造方法、並びに該仮撚加工糸を含み前述の風合いや糸斑感が付与された織編物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、織編物に糸の太さ斑による表面効果を付与する素材として、攪乱流体処理による流体スラブ糸、撚糸による部分的多重捲付糸、仮撚加工による部分的多重捲付スラブ糸等種々提案されている。しかしながら、攪乱流体処理による流体スラブ糸は、ソフト感はあるものの、糸全体の集束性に欠け張り腰に乏しく、意匠的にも単調感が否めないものであり、また撚糸による部分的多重捲付糸は、生産性が極めて低いという問題点を有している。
【0003】
一方、仮撚加工による部分的多重捲付スラブ糸は、芯糸に対し概ね100%近いオーバーフィード率で鞘糸を仮撚加工中の芯糸に供給し、部分的に三重若しくは一重に捲き付け、スラブ部を形成するものであり、このため、スラブ部の太さは非スラブ部の2倍以上にもなり、かつスラブ部と非スラブ部との形態差が著しく、スラブ部頻度も多く、自然な斑感に乏しく、粗々しさを与える。
【0004】
このスラブ部を穏やかなものとし、かつスラブ部を低頻度化するためには、一般的には鞘糸の供給量の低減、仮撚数の低減等の対応があるが、芯糸への鞘糸の捲き付け強度が不足し、スラブ部のズリが生じ易く形状が安定しないものとなる。これに対し、特開昭54−131060号公報で提案されているように、芯糸、鞘糸、捲付糸からなり、芯糸に鞘糸が部分的に三重若しくは多重に捲き付きスラブ部を形成し、捲付糸がその外周に捲き付けることにより、スラブ形状の安定化、張り腰感に優れ、スラブ部を低頻度化するものであるが、ある程度の斑感は得られるものの、依然として自然な斑感を付与するには至っていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述のような従来技術における問題点、特に仮撚加工による部分的多重捲付スラブ糸の有する問題点を解決するものである。本発明の目的は、ソフト感、張り腰があり、スラブ部が低頻度で自然な糸斑感を織編物に付与することが可能な特殊仮撚加工糸を提供すること及びかかる特殊仮撚加工糸を得ること、更に前述の風合いや糸斑感が付与された織編物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、芯糸の周囲に鞘糸が多重に捲き付いた多重捲回部と芯糸の周囲に鞘糸が一重に捲き付いた一重捲回部とをそれぞれ有する糸条Aと糸条Bとからなる仮撚加工糸であって、糸条Aの多重捲回部と糸条Bの多重捲回部が引き揃えられた部分、糸条Aの多重捲回部と糸条Bの一重捲回部が引き揃えられた部分、糸条Bの多重捲回部と糸条Aの一重捲回部が引き揃えられた部分、及び糸条Aの一重捲回部と糸条Bの一重捲回部が引き揃えられた部分が存在し、糸条Aと糸条Bが糸長手方向にS方向、Z方向交互に撚り合わされていることを特徴とする特殊仮撚加工糸、及び、芯糸aと芯糸bを引き揃えて仮撚加工するに際し、その撚り合わせ点に至る前の領域で、かつ芯糸aの加撚域に鞘糸aを、芯糸bの加撚域に鞘糸bを供給し、それぞれの芯糸の周囲に鞘糸を捲き付けて多重捲回部と一重捲回部を形成することを特徴とする特殊仮撚加工糸の製造方法、並びに、前記の特殊仮撚加工糸で一部又は全部が構成された織編物、にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の特殊仮撚加工糸は、芯糸の周囲に鞘糸が多重に捲き付いた多重捲回部と鞘糸が一重に捲き付いた一重捲回部を有する糸条Aと、芯糸の周囲に鞘糸が多重に捲き付いた多重捲回部と鞘糸が一重に捲き付いた一重捲回部を有する糸条Bからなり、かつ糸条Aと糸条Bが糸長手方向に対しS方向、Z方向に交互に撚り合わされていることが必要であり、糸条Aの多重捲回部と糸条Bの多重捲回部が引き揃えられた部分、糸条Aの多重捲回部と糸条Bの一重捲回部が引き揃えられた部分、糸条Bの多重捲回部と糸条Aの一重捲回部が引き揃えられた部分、及び糸条Aの一重捲回部と糸条Bの一重捲回部が引き揃えられた部分が存在し、更に撚り合わせ方向による加撚、解撚が加わってより複雑に組み合わされ、ソフト感、張り腰があり、多重捲回部で形成されたスラブ部が低頻度、かつ少ない形態差で出現して仮撚加工糸の糸長手方向に極めて自然な糸斑感、外観・光沢の変化、染色したときの異色効果が発揮される。
【0008】
また、本発明の特殊仮撚加工糸は、多重捲回部と一重捲回部を有する糸条Aと多重捲回部と一重捲回部を有する糸条Bが撚り合わされていることにより、糸条Aと糸条Bとの多重捲回部同士、多重捲回部と一重捲回部の組み合わせ部における各多重捲回部及び多重捲回部で形成されるスラブ部のズリが生じることなく形状が安定したものとなる。
【0009】
なお、本発明の特殊仮撚加工糸において、多重捲回部とは、芯糸の周囲に鞘糸が三層以上に重なって捲き付いた状態をいい、本発明においては、多重捲回部は、加工安定性や捲回部の形態安定性等を考慮すれば、芯糸の周囲に鞘糸が三層に重なって捲き付いた三重捲回部であることが好ましい。
【0010】
本発明の特殊仮撚加工糸において、その構成の糸条A、糸条Bのそれぞれの芯糸、鞘糸の素材の種類は、特に限定はなく、レーヨン、セルロースアセテート等のセルロース系繊維或いはポリエステル、ポリアミド、アクリル等の合成繊維であってもよい。また、これらの素材は、前記繊維のコンジュゲート糸、異染性或いは易染性糸、シックアンドシン糸等であってもよく、織編物に各種風合いや異色意匠効果等の付与することも可能である。素材の繊維の断面形状、繊度等も特に限定はなく、目的の風合い、意匠効果及び異色効果等を考慮して選択すればよい。
【0011】
また、糸条A、糸条Bのそれぞれの芯糸、鞘糸の糸形態も特に限定はなく、フィラメント糸又はステープル糸であってもよく、またフィラメント糸はマルチフィラメント糸であってもモノフィラメント糸であってもよい。
【0012】
本発明の特殊仮撚加工糸は、その構成の糸条A、糸条Bの一部又は全部が融着していてもよく、融着部を有するときには、特殊仮撚加工糸の形態安定性が更に向上し、張り腰感も向上し、シャリ感の風合いを織編物に付与することが可能であるだけでなく、特に特殊仮撚加工糸の多重捲回部において鞘糸が融着しているときには、捲き付きがより強力に固定されることになり、多重捲回部で形成されるスラブ部の形状の安定性がより向上する。
【0013】
本発明の特殊仮撚加工糸は、次のようにして製造することができる。
即ち、本発明の特殊仮撚加工糸は、芯糸aと芯糸bを引き揃えて仮撚加工するに際し、その撚り合わせ点に至る前の領域で、かつ芯糸aの加撚域に鞘糸aを、芯糸bの加撚域に鞘糸bを供給し、それぞれの芯糸の周囲に鞘糸を捲き付けて多重捲回部と一重捲回部を形成することにより得られる。
【0014】
本発明の特殊仮撚加工糸の製造工程を図1により更に詳しく説明する。
芯糸a(1)及び芯糸b(2)はそれぞれ第1給糸ローラー(3)により供給され、撚り合わせ点(8)を経て仮撚加工される。一方、鞘糸a(4)及び鞘糸b(5)はそれぞれ第2給糸ローラー(6)により供給され、ガイド(7)を経て仮撚スピンドル(10)により加撚されつつ走行する芯糸a(1)及び芯糸b(2)に対してそれぞれオーバーフィード下に供給される。
【0015】
このとき、鞘糸a(4)及び鞘糸b(5)は、ガイド(7)を支点として、走行している芯糸a(1)及び芯糸b(2)に対してトラバースしつつ捲き付き、芯糸a(1)及び芯糸b(2)の周囲にそれぞれ多重に捲き付いた多重捲回部と一重に捲き付いた一重捲回部とを形成する。芯糸aの周囲に鞘糸aが捲き付いた多重捲回部と一重捲回部を有する糸条Aと芯糸bの周囲に鞘糸bが捲き付いた多重捲回部と一重捲回部を有する糸条Bは、撚り合わせ点(8)で撚り合わされ、第1ヒーター(9)にて熱セットされ、仮撚スピンドル(10)通過後、第1送糸ローラー(11)を経て、第2ヒーター(12)にて熱セットされ、第2送糸ローラー(13)を経て、巻取装置(14)にて巻き取られる。
【0016】
本発明の特殊仮撚加工糸の製造方法においては、多重捲回部と一重捲回部が形成された糸条Aと多重捲回部と一重捲回部が形成された糸条Bとの撚り合わされる前の領域で、かつ芯糸a、芯糸bのそれぞれの加撚域に鞘糸a、鞘糸bをそれぞれ供給し、それぞれの芯糸の周囲に鞘糸を捲き付けて多重捲回部と一重捲回部を形成した後に、多重捲回部と一重捲回部が形成された糸条Aと多重捲回部と一重捲回部が形成された糸条Bとが撚り合わされる。この際、撚り合わされた糸条は、糸条Aの多重捲回部と糸条Bの多重捲回部が引き揃えられた部分、糸条Aの多重捲回部と糸条Bの一重捲回部が引き揃えられた部分、糸条Bの多重捲回部と糸条Aの一重捲回部が引き揃えられた部分、及び糸条Aの一重捲回部と糸条Bの一重捲回部が引き揃えられた部分が存在する極めて糸斑の大きい糸条であり、このため、仮撚加工時の加撚域の撚り斑が大きく、かつ大きな張力変化が伴い、結果として未解撚部分が多発したSZ交互撚状の加工糸となる。従い、糸条全体における撚り形態は極めて複雑なものとなって、この特殊仮撚加工糸を用いた布帛の意匠性を高めるという効果も併せ有する。
【0017】
また、芯糸aに対する鞘糸aの供給量或いは芯糸bに対する鞘糸bの供給量は、特に限定されるものではなく、多重捲回部の安定形成性や仮撚加工安定性等を考慮して決定すればよいが、スラブ部を低頻度で出現させるためには、芯糸aに対する鞘糸a、芯糸bに対する鞘糸bをそれぞれ、好ましくは5〜80%、より好ましくは10〜50%のオーバーフィード率で供給する。
【0018】
以上のような製造方法によって得られた本発明の特殊仮撚加工糸は、織編物に用いられる。本発明の特殊仮撚加工糸を含んでなる織編物は、本発明の特殊仮撚加工糸を用いて、織編物の全部を構成したものでもよく、また他糸との交編織により一部を構成したものであってもよく、目的の風合いや製品外観が得られる範囲で、本発明の特殊仮撚加工糸の含有率並びに織編組織を決定して構成すればよい。また、本発明の特殊仮撚加工糸を素材として織編物に用いる際には、更に追撚等を施して用いてもよい。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例中、布帛評価は、得られた仮撚加工糸を製編織し、意匠効果(斑感)及び風合い(ソフト感、張り腰)を目視、ハンドリングにて評価した。仮撚加工糸の撚数は、仮撚加工糸の試長を50cmとして0.09cN/dtexの荷重をかけて検撚機にセットし解撚することにより測定できる。仮撚り方向と同方向に撚りがある部分と仮撚り方向と反対方向に撚りがある部分のそれぞれの任意の10ケ所について測定し、その平均値で算出した。また、仮撚加工糸の多重捲回部(スラブ)の頻度は、仮撚加工糸の任意の10mの長さ部分での多重捲回部(スラブ)の個数を数え、1m当たりの個数に換算して求めた。
【0020】
(実施例1)
図1に示す装置を用いて、芯糸a、芯糸bとして、共に56dtex/24fのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸を用い、鞘糸a、鞘糸bとして、共に33dtex/12fのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸を用い、第1給糸ローラーの速度54m/分、第2給糸ローラーの速度57.5m/分、鞘糸a、鞘糸bのオーバーフィード率15%、第1ヒーターの温度200℃、第2ヒーターの温度190℃、仮撚数2700t/mの条件で仮撚加工を行った後、第1送糸ローラーの速度50m/分、第2送糸ローラーの速度45m/分、巻き取り速度48m/分で巻き取った。
【0021】
得られた仮撚加工糸は、多重捲回部と一重捲回部を有する糸条Aと多重捲回部と一重捲回部を有する糸条BがS方向、Z方向に交互に撚り合わされた糸形態を呈し、多重捲回部で形成されるスラブ部は低頻度で出現しており、スラブ部のズリもなく、糸全体の集束性も良好であった。この仮撚加工糸の撚数を測定した結果、撚数は仮撚り方向と同方向に283T/M、仮撚り方向と反対方向に24T/Mであった。また、そのスラブ頻度は平均で4.3ケ/mであった。この仮撚加工糸を用いて製織し織物としたが、製編工程での通過性も良好であり、また、得られた織物は、ソフト感と適度の張り腰を有し、かつ自然な斑感を有するものであった。
【0022】
(実施例2)
図1に示す装置を用いて、芯糸a、芯糸bとして、共に56dtex/24fのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸を用い、鞘糸a、鞘糸bとして、共に33dtex/12fのカチオン染料可染性ポリエステルマルチフィラメント糸を用い、第1給糸ローラーの速度54m/分、第2給糸ローラーの速度57.5m/分、鞘糸a、鞘糸bのオーバーフィード率15%、第1ヒーターの温度200℃、第2ヒーターの温度190℃、仮撚数2700t/m、第1送糸ローラーの速度50m/分、第2送糸ローラーの速度45m/分、巻き取り速度48m/分の条件で仮撚加工を行った。
【0023】
得られた仮撚加工糸は、多重捲回部と一重捲回部を有する糸条Aと多重捲回部と一重捲回部を有する糸条BがS方向、Z方向に交互に撚り合わされた糸形態を呈し、多重捲回部で形成されるスラブ部は低頻度で出現しており、スラブ部のズリもなく、糸全体の集束性も良好であった。この仮撚加工糸の撚数を測定した結果、撚数は仮撚り方向と同方向に254T/M、仮撚り方向と反対方向に16T/Mであった。また、そのスラブ頻度は平均で4.1ケ/mであった。この仮撚加工糸を用いて製織し織物としたが、製編工程での通過性も良好であり、また、得られた織物を分散染料とカチオン染料で染色したところ、得られた織物は、ソフト感と適度の張り腰を有し、かつ自然な斑感を有し、更に染色性の違いによる異色効果が加わり意匠効果に優れたものであった。
【0024】
(実施例3)
図1に示す装置を用いて、芯糸a、芯糸bとして、共に56dtex/12fのポリエステルコンジュゲートマルチフィラメント糸を用い、鞘糸a、鞘糸bとして、共に33dtex/12fのカチオン染料可染性ポリエステルマルチフィラメント糸を用い、第1給糸ローラーの速度54m/分、第2給糸ローラーの速度57.5m/分、鞘糸a、鞘糸bのオーバーフィード率15%、第1ヒーターの温度200℃、第2ヒーターの温度190℃、仮撚数2700t/m、第1送糸ローラーの速度50m/分、第2送糸ローラーの速度45m/分、巻き取り速度48m/分の条件で仮撚加工を行った。
【0025】
得られた仮撚加工糸は、多重捲回部と一重捲回部を有する糸条Aと多重捲回部と一重捲回部を有する糸条BがS方向、Z方向に交互に撚り合わされた糸形態を呈し、多重捲回部で形成されるスラブ部は低頻度で出現しており、スラブ部のズリもなく、糸全体の集束性も良好であった。この仮撚加工糸の撚数を測定した結果、撚数は仮撚り方向と同方向に245T/M、仮撚り方向と反対方向に24T/Mであった。また、そのスラブ頻度は平均で3.8ケ/mであった。この仮撚加工糸を用いて製織し織物としたが、製編工程での通過性も良好であり、また、得られた織物を分散染料とカチオン染料で染色したところ、得られた織物は、ソフト感と適度の張り腰を有し、かつ自然な斑感を有し、更に染色性の違いによる異色効果が加わり意匠効果に優れ、ストレッチ性を有するものであった。
【0026】
(実施例4)
図1に示す装置を用いて、芯糸a、芯糸bとして、共に84dtex/36fのポリエチレンテレフタレートシックアンドシンマルチフィラメント糸を用い、鞘糸a、鞘糸bとして、共に84dtex/20fのセルロースマルチフィラメント糸を用い、第1給糸ローラーの速度49.5m/分、第2給糸ローラーの速度60m/分、鞘糸a、鞘糸bのオーバーフィード率20%、第1ヒーターの温度170℃、第2ヒーターの温度190℃、仮撚数1800t/m、第1送糸ローラーの速度50m/分、第2送糸ローラーの速度46.3m/分、巻き取り速度47.3m/分の条件で仮撚加工を行った。
【0027】
得られた仮撚加工糸は、多重捲回部と一重捲回部を有する糸条Aと多重捲回部と一重捲回部を有する糸条BがS方向、Z方向に交互に撚り合わされた糸形態を呈し、多重捲回部で形成されるスラブ部は低頻度で出現しており、スラブ部のズリもなく、糸全体の集束性も良好であった。この仮撚加工糸の撚数を測定した結果、撚数は仮撚り方向と同方向に198T/M、仮撚り方向と反対方向に12T/Mであった。また、そのスラブ頻度は平均で2.8ケ/mであった。この仮撚加工糸を用いて製織し織物としたが、製編工程での通過性も良好であり、また、得られた織物は、ソフト感と適度の張り腰を有し、かつ自然な斑感を有し、更にセルロースマルチフィラメント糸特有のシャリ感を有すると同時に、ポリエチレンテレフタレートシックアンドシンマルチフィラメント糸のシック部とシン部、更にセルロースマルチフィラメント糸との染色性の違いに加え、仮撚加工糸の形態の複雑さとあいまって異色性に富むものであった。
【0028】
(実施例5)
図1に示す装置を用いて、芯糸a、芯糸bとして、共に56dtex/24fのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸を用い、鞘糸a、鞘糸bとして、共に33dtex/12fのカチオン染料可染性ポリエステルマルチフィラメント糸を用い、第1給糸ローラーの速度54m/分、第2給糸ローラーの速度57.5m/分、鞘糸a、鞘糸bのオーバーフィード率15%、第1ヒーターの温度220℃、第2ヒーターの温度190℃、仮撚数2700t/m、第1送糸ローラーの速度50m/分、第2送糸ローラーの速度45m/分、巻き取り速度48m/分の条件で仮撚加工を行った。
【0029】
得られた仮撚加工糸は、多重捲回部と一重捲回部を有する糸条Aと多重捲回部と一重捲回部を有する糸条BがS方向、Z方向に交互に撚り合わされた糸形態を呈し、多重捲回部で形成されるスラブ部は低頻度で出現しており、かつ鞘糸の一部が融着しており、スラブ部のズリもなく、糸全体の集束性も良好であった。この仮撚加工糸の撚数を測定した結果、撚数は仮撚り方向と同方向に254T/M、仮撚り方向と反対方向に16T/Mであった。また、そのスラブ頻度は平均で4.1ケ/mであった。この仮撚加工糸を用いて製織し織物としたが、製編工程での通過性も良好であり、また、得られた織物は、仮撚加工糸の一部が融着していることにより、ソフト感がありながら、しっかりした張り腰を有し、かつ自然な斑感を有するものであった。
【0030】
(比較例1)
図1に示す装置を用いて、芯糸a、芯糸bとして、共に56dtex/24fのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸を用い、鞘糸aとして、33dtex/12fのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸を用い(鞘糸bはなし)、第1給糸ローラーの速度54m/分、第2給糸ローラーの速度57.5m/分、鞘糸aのオーバーフィード率15%、第1ヒーターの温度200℃、第2ヒーターの温度190℃、仮撚数2700t/m、第1送糸ローラーの速度50m/分、第2送糸ローラーの速度45m/分、巻き取り速度48m/分の条件で仮撚加工を行った。この仮撚加工糸の撚数を測定した結果、撚数は仮撚り方向と同方向に105T/M、仮撚り方向と反対方向に3T/Mであった。また、そのスラブ頻度は平均で9.3ケ/mであった。
【0031】
得られた仮撚加工糸は、多重捲回部と一重捲回部を有する糸条Aと芯糸bのみまらなる糸条BがS方向、Z方向に交互に撚り合わされた糸形態を呈していたが、多重捲回部が糸条Aにしか存在しないため、糸条Aの多重捲回部はズリが生じ易いもので、この仮撚加工糸を用いて製織した織物は、自然な斑感に欠けるものであった。
【0032】
(比較例2)
図1に示す装置を用いて、芯糸aとして、56dtex/24fのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸を用い(芯糸bはなし)、鞘糸aとして、33dtex/12fのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸を用い(鞘糸bはなし)、第1給糸ローラーの速度54m/分、第2給糸ローラーの速度100m/分、鞘糸aのオーバーフィード率100%、第1ヒーターの温度200℃、第2ヒーターの温度190℃、仮撚数2700t/m、第1送糸ローラーの速度50m/分、第2送糸ローラーの速度45m/分、巻き取り速度48m/分の条件で仮撚加工を行った。この仮撚加工糸の撚数を測定した結果、撚数は仮撚り方向と同方向に663T/M、仮撚り方向と反対方向に256T/Mであった。また、そのスラブ頻度は平均で13.8ケ/mであった。
【0033】
得られた仮撚加工糸は、集束性はよいものの、多重捲回部の頻度が高く、多重捲回部と一重捲回部との形態差が著しく、この仮撚加工糸を用いて製織した織物は、張り腰感が強く硬い織物で、糸の多重捲回部が目立ち過ぎ、粗々しさのあるものであった。
【0034】
(比較例3)
図1に示す装置を用いて、芯糸aとして、56dtex/24fのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸を用い(芯糸bはなし)、鞘糸aとして、33dtex/12fのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸を用い(鞘糸bはなし)、第1給糸ローラーの速度54m/分、第2給糸ローラーの速度60m/分、鞘糸aのオーバーフィード率20%、第1ヒーターの温度220℃、第2ヒーターの温度200℃、仮撚数2000t/m、第1送糸ローラーの速度50m/分、第2送糸ローラーの速度45m/分、巻き取り速度48m/分の条件で仮撚加工を行った。
【0035】
得られた仮撚加工糸は、多重捲回部の頻度が低いものの、多重捲回部のズリが目立ち、糸全体の集束性も不良であった。この仮撚加工糸を2本用いて、常法により引き揃え仮撚加工を行ったが、糸の集束性が悪く、安定して加工を行うことが困難であった。そのため撚数の測定は不可能であった。
【0036】
【発明の効果】
本発明の特殊仮撚加工糸は、ソフト感、張り腰があり、スラブ部が低頻度で自然な糸斑感を織編物に付与し得るものであり、本発明の製造方法によれば糸形態安定性良好に前記仮撚加工糸を得ることが可能である。また本発明の特殊仮撚加工糸を含んでなる織編物は、本発明の特殊仮撚加工糸によってもたらされるソフト感、張り腰、自然な糸斑感を有し、異色効果等の意匠効果を得ることもでき、衣料用織編物として好適なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の特殊仮撚加工糸の製造工程の一例図である。
【符号の説明】
1 芯糸a
2 芯糸b
3 第1給糸ローラー
4 鞘糸a
5 鞘糸b
6 第2給糸ローラー
7 ガイド
8 撚り合わせ点
9 第1ヒーター
10 仮撚スピンドル
11 第1送糸ローラー
12 第2ヒーター
13 第2送糸ローラー
14 巻取装置

Claims (5)

  1. 芯糸の周囲に鞘糸が多重に捲き付いた多重捲回部と芯糸の周囲に鞘糸が一重に捲き付いた一重捲回部とをそれぞれ有する糸条Aと糸条Bとからなる仮撚加工糸であって、糸条Aの多重捲回部と糸条Bの多重捲回部が引き揃えられた部分、糸条Aの多重捲回部と糸条Bの一重捲回部が引き揃えられた部分、糸条Bの多重捲回部と糸条Aの一重捲回部が引き揃えられた部分、及び糸条Aの一重捲回部と糸条Bの一重捲回部が引き揃えられた部分が存在し、糸条Aと糸条Bが糸長手方向にS方向、Z方向交互に撚り合わされていることを特徴とする特殊仮撚加工糸。
  2. 糸条A及び又は糸条Bの少なくとも一部が融着している請求項1に記載の特殊仮撚加工糸。
  3. 芯糸aと芯糸bを引き揃えて仮撚加工するに際し、その撚り合わせ点に至る前の領域で、かつ芯糸aの加撚域に鞘糸aを、芯糸bの加撚域に鞘糸bを供給し、それぞれの芯糸の周囲に鞘糸を捲き付けて多重捲回部と一重捲回部を形成することを特徴とする特殊仮撚加工糸の製造方法。
  4. 鞘糸a、鞘糸bをそれぞれ5〜80%のオーバーフィード率で供給する請求項3に記載の特殊仮撚加工糸の製造方法。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の特殊仮撚加工糸で一部又は全部が構成された織編物。
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