JPH10280238A - 複合意匠糸、複合意匠糸の製造方法、及び複合意匠糸を使用した編織成物 - Google Patents

複合意匠糸、複合意匠糸の製造方法、及び複合意匠糸を使用した編織成物

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JPH10280238A
JPH10280238A JP8271497A JP8271497A JPH10280238A JP H10280238 A JPH10280238 A JP H10280238A JP 8271497 A JP8271497 A JP 8271497A JP 8271497 A JP8271497 A JP 8271497A JP H10280238 A JPH10280238 A JP H10280238A
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yarn
sheath
composite
composite design
slab
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JP8271497A
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Inventor
Tamiko Yasuda
多美子 安田
Shoji Kanetani
庄次 金谷
Hide Komata
秀 小俣
Hiroyasu Murai
裕康 村井
Nobuhiro Yamaguchi
展弘 山口
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スラブ部と道中部との繊度差が大きく、これ
によって目立った意匠特性を呈し、しかも風合いが良好
であり、かつ廉価に供給し得るスラブ糸からなる複合意
匠糸、複合意匠糸の製造方法、及び複合意匠糸を使用し
た編織成物を提供する。 【解決手段】 マルチフィラメント糸による芯糸の外周
に開繊した鞘糸が一重に捲回した道中部と、同じく芯糸
の外周に開繊した鞘糸が多重に捲回したスラブ部とを具
備する複合意匠糸。又、マルチフィラメント糸からなる
芯糸Aの仮撚加工時の加撚域に、マルチフィラメント糸
からなる鞘糸Bを旋回流ノズル4経由によって供給する
複合意匠糸の製造方法。及び上記の複合意匠糸を使用し
てある編織成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芯糸と鞘糸、又は
芯糸と鞘糸と押糸からなる複合意匠糸、複合意匠糸の製
造方法、及び複合意匠糸を使用した編織成物に関する。
【0002】
【従来の技術】マルチフィラメント糸からなる芯糸の仮
撚加工時の加撚域に同じくマルチフィラメント糸からな
る鞘糸をオーバーフィードすることにより、芯糸に対し
て鞘糸を一重に捲回した道中部と三重に捲回したスラブ
部とを有するスラブ糸からなる複合意匠糸は、特公昭4
5−28018号公報や特公昭47−49459号公報
等により公知であり、紬調を呈する織物等の素材として
広く使用されている。
【0003】又、この種のスラブ糸において、道中部で
のずり抜けを防止するためにこの上に更に押糸を捲回さ
せる技術が、特開平7−150433号公報に説明され
ている。
【0004】更に、スラブ部の長さ、大きさ、及び頻度
等を変化させるために、鞘糸の供給方向をを芯糸の走行
方向に対して正,逆に移動させる技術が、特開平7−1
57933号公報に説明されている。又、エレベータガ
イドを用いる技術が、特開昭61−89344号公報に
説明されており、鞘糸の供給位置を回転移動させる技術
が、特開昭63−235538号公報にそれぞれ説明さ
れている。
【0005】又、紡錘形のスラブ部を有するスラブ糸を
得る方法として、仮撚糸を鞘糸として使用する技術が、
特開平4−100944号公報に記載されており、ソフ
トスラブ糸を得る方法として、インターレース糸を鞘糸
として用いる技術が、特公昭7−23569号公報に説
明されている。
【0006】しかしながら、上記したような従来のスラ
ブ糸からなる複合意匠糸は、集束性を向上させるために
鞘糸を芯糸よりも太くすることが出来ず、このために紡
錘形をなすスラブ部を有してはいるものの、スラブ部と
道中部との繊度差が小さく地味なものであったり、タス
ラン加工等による糸形態保持のため全体的にふかついた
りしている。
【0007】更に、従来の紡錘形のスラブ部を有するス
ラブ糸を得る方法においては、仮撚糸を鞘糸として用い
ているためにその製造工程が二工程になったり、エレベ
ータガイド又はロータリーガイド、及びそれらを駆動さ
せるモーターや発信器等の設備が必要になる等のため
に、コスト高になるという問題もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、スラブ部と道中部との繊度差が大きく、これによっ
て目立った意匠特性を呈し、しかも風合いが良好であ
り、かつ廉価に供給し得るスラブ糸からなる複合意匠
糸、複合意匠糸の製造方法、及び複合意匠糸を使用した
編織成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、以下に記
載する構成からなる本発明の複合意匠糸、複合意匠糸の
製造方法、及び複合意匠糸を使用した編織成物によって
解決される。
【0010】つまり本発明は、マルチフィラメント糸に
よる芯糸の外周に同じくマルチフィラメント糸による鞘
糸が捲回してなる複合糸であって、芯糸の外周に開繊し
た鞘糸が一重に捲回した道中部と、芯糸の外周に開繊し
た鞘糸が多重に捲回したスラブ部とを有している複合意
匠糸からなる。
【0011】上記の構成による複合意匠糸においては、
芯糸の外周に開繊した鞘糸が多重に捲回したスラブ部
が、鞘糸を五重以上に捲回した紡錘形の多重捲回構造部
からなる太スラブ部であることが好ましい。
【0012】この太スラブ部を有している複合意匠糸に
おいては、該太スラブ部における芯糸に対する鞘糸の巻
き付け角度が80度以上になっていることが好ましい。
【0013】又上記の構成による複合意匠糸において
は、芯糸の外周に鞘糸が多重に捲回したスラブ部であっ
て、前記太スラブ部よりも小型のループスラブ部を有し
ていることが好ましい。なおこのループスラブ部は、芯
糸の外周に鞘糸が多重に捲回して形成されていればよ
く、必ずしも開繊した鞘糸が捲回したものでなくてもよ
い。
【0014】このループスラブ部を有している複合意匠
糸においては、該ループスラブ部は太スラブ部に連続し
て存在していても、或いは太スラブ部から離れて存在し
ていてもよい。又、このループスラブ部を有している複
合意匠糸においては、太スラブ部同士の間に、2個以上
のループスラブ部が連続して存在していても、或いは2
個以上のループスラブ部が離れて存在していてもよい。
【0015】上記の太スラブ部を有する複合意匠糸にお
いては、道中部に対する太スラブ部の繊度比が2以上、
長径比の最小値が1以上、同じく長径比の最大値が3以
上であることが好ましい。又、複合意匠糸をなす糸条1
0m当りの太スラブ部の個数が5〜30であることが好
ましい。
【0016】更に、上記の本発明の複合意匠糸において
は、芯糸の外周に捲回している鞘糸が、旋回流仮撚糸か
らなるものであることが好ましい。
【0017】本発明の別の複合意匠糸は、芯糸と鞘糸と
によって形成されている上記の各複合糸に外周に、更に
全繊度の5〜20%の繊度を有するマルチフィラメント
糸からなる押糸が捲回しており、かつ該押糸が一重に捲
回している道中部と三重に捲回しているスラブ部とを有
している複合意匠糸からなる。
【0018】この押糸を更に使用した複合意匠糸におい
ては、道中部に対する太スラブ部の繊度比が2以上、長
径比の最小値が1以上、同じく長径比の最大値が3以上
であることが好ましい。
【0019】本発明の複合意匠糸の製造方法は、マルチ
フィラメント糸からなる芯糸の仮撚加工時の加撚域に、
同じくマルチフィラメント糸からなる鞘糸を旋回流ノズ
ル経由によって供給し、芯糸の外周に鞘糸を捲回するこ
とにより、芯糸と鞘糸との複合糸からなる複合意匠糸を
得るものである。
【0020】この芯糸と鞘糸との複合糸からなる複合意
匠糸の製造方法においては、旋回流ノズルからの鞘糸の
出口の角度を80度以下に設定することが、より好まし
い。
【0021】別の本発明の複合意匠糸の製造方法は、マ
ルチフィラメント糸からなる芯糸の仮撚加工時の加撚域
に、同じくマルチフィラメント糸からなる鞘糸を旋回流
ノズル経由によって供給することにより、芯糸の外周に
鞘糸を捲回した後に、上記のマルチフィラメント糸から
なる芯糸の仮撚加工時の加撚域に、マルチフィラメント
糸からなる押糸を供給することによって、鞘糸の外周に
押糸を捲回することにより、芯糸と鞘糸と押糸との複合
意匠糸を得るものである。
【0022】この芯糸と鞘糸と押糸との複合意匠糸の製
造方法においても、旋回流ノズルからの鞘糸の出口の角
度を80度以下に設定することが、より好ましい。
【0023】押糸を捲回させる上記の複合意匠糸の製造
方法においては、全繊度の5〜20%の繊度を有するマ
ルチフィラメント糸からなる押糸を供給することが、よ
り好ましい。
【0024】上記の芯糸と鞘糸との複合糸からなる複合
意匠糸の製造方法、及び芯糸と鞘糸と押糸との複合意匠
糸の製造方法においては、鞘糸のオーバーフィード率を
50〜100%に設定することが、より好ましい。
【0025】本発明の編織成物は、上記の構成による各
複合意匠糸の少なくとも1種を、編織成用糸の少なくと
も1部の糸として使用してある編織成物である。
【0026】以上の通りの構成による本発明の複合意匠
糸、複合意匠糸の製造方法、及び複合意匠糸を使用した
編織成物において、マルチフィラメント糸からなる芯
糸、及び同じくマルチフィラメント糸からなる鞘糸は1
本のマルチフィラメント糸であっても、あるいは2本以
上のマルチフィラメント糸であってもよい。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の複合意匠糸は、マルチフ
ィラメント糸による芯糸と、該芯糸に対して捲回してい
る同じくマルチフィラメント糸による鞘糸とで形成され
ているスラブ糸からなるものであって、芯糸の外周に開
繊した鞘糸が一重に捲回した道中部と、芯糸の外周に開
繊した鞘糸が多重に捲回したスラブ部とを有するもので
ある。
【0028】上記の構成による本発明の複合意匠糸にお
いては、芯糸の外周に開繊した鞘糸が多重に捲回したス
ラブ部として、芯糸の外周に開繊した鞘糸が五重以上の
多重に捲回した紡錘形の多重捲回構造部からなる太スラ
ブ部を有していることが好ましく、又この太スラブ部を
なす多重捲回構造部における糸軸に対する鞘糸の巻付角
度が80度以上になっていることにより、絹玉調の強固
かつ大きな紡錘形をなす太スラブ部になる。
【0029】本発明の複合意匠糸においては、上記の太
スラブ部の他に、該太スラブ部よりも小型のループスラ
ブ部を有していることが好ましい。このループスラブ部
は、芯糸の外周に鞘糸が多重に捲回して構成されている
ものであり、太スラブ部よりも小型であればよく、芯糸
の外周に捲回している鞘糸は必ずしも開繊したものでな
くてもよい。
【0030】このループスラブ部は、太スラブ部と連続
していても、あるいは太スラブ部から離れて存在してい
てもよい。又太スラブ部同士の間に、2個以上のループ
スラブ部が連続して存在していても、或いは互いに離れ
て存在していてもよい。
【0031】更にマルチフィラメント糸からなる押糸を
使用してある本発明の複合意匠糸は、該押糸の捲回によ
って、芯糸と鞘糸とによる複合糸のスラブ部と道中部と
がそれぞれ固定されると共に、この押糸自身が三重に捲
回されてなるスラブ部と、一重に捲回されてなる道中部
とを形成している。
【0032】上記の構成による本発明の複合意匠糸にお
いて、道中部に対しての太スラブ部は、その繊度比が2
以上、好ましくは4〜10、長径比の最小値が1以上、
同じく長径比の最大値が3以上、好ましくは6以上であ
る。
【0033】ここで、複合意匠糸における道中部に対し
ての太スラブ部の繊度比が2未満になると、従来の三重
に捲回させたスラブ部を有するスラブ糸のように平坦な
ものになり易く、スラブ部と道中部との繊度差の著しい
目立った意匠特性を有するものにはなり難い。
【0034】又、道中部に対しての太スラブ部の繊度比
が10を超えると、この複合意匠糸の糸加工性及び編織
成工程での工程通過性が悪くなる。更に道中部に対する
太スラブ部の長径比の最小値が1未満になることは、道
中部よりスラブ部の方が細いことを意味しており、本発
明の複合意匠糸の特性を満足するものにはならない。又
道中部に対する太スラブ部の長径比の最大値が3未満に
なると、従来の三重に捲回させたスラブ部を有するスラ
ブ糸のような平坦なものになり易い。
【0035】なお、複合意匠糸における道中部に対して
の太スラブ部の繊度比、及び長径比は下記の式に従って
求められる。 (1)繊度比=太スラブ部の繊度/道中部の繊度 (2)長径比=太スラブ部の長径/道中部の直径 (太スラブ部の断面が楕円の場合には、その最大直径を
長径とする。) (3)長径比(最小値)=太スラブ部の長径の最小値/
道中部の直径の最大値 (4)長径比(最大値)=太スラブ部の長径の最大値/
道中部の直径の最小値
【0036】本発明の複合複合意匠糸においては、該複
合意匠糸をなす糸条10m当りの太スラブ部の個数が5
〜30であることが好ましい。複合意匠糸をなす糸条1
0m当りの太スラブ部の個数が5未満になると、太スラ
ブ部の密度が低く、該太スラブ部の存在による意匠効果
が低くなる。又太スラブ部の個数が30を越えると、太
スラブ部の密度が高くなり過ぎるために、かえって太ス
ラブ部の存在感に乏しくなり、意匠効果が低くなる。
【0037】更に本発明の複合複合意匠糸においては、
鞘糸が旋回流仮撚糸からなるものであることが好まし
い。これによってより完全な開繊状態の鞘糸が芯糸の周
囲に巻きついたスラブ糸にすることができる。
【0038】尚従来の技術の欄で説明したように、予め
仮撚加工された糸を鞘糸にすることによっても紡錘形の
スラブ部を有するスラブ糸を形成することができるが、
この場合には道中部も強固に捲縮されたものになってし
まい、染色等の後加工後にふかつき等が生じるようにな
る。
【0039】これに対して本発明の複合意匠糸は、鞘糸
として開繊状態のものを供給するものであるために、つ
まり芯糸に捲回する鞘糸は撚抜けを有する捲縮糸からな
るものであるために、捲縮の強い部分がスラブ部に集中
すること、及び予め仮撚加工してある鞘糸に比較して熱
履歴が少ないこと等により、比較的ストレートな道中部
を具備する複合意匠糸になる。
【0040】更に、マルチフィラメント糸からなる押糸
を用いた複合意匠糸は、芯糸に鞘糸を多重に捲回したス
ラブ部と一重に捲回した道中部とを有するスラブ糸の外
周に、更に全繊度の5〜20%の繊度を有する押糸を捲
回しており、しかもこの押糸の三重捲回構造部によるス
ラブ部と一重捲回構造部による道中部とが付加されてい
る。
【0041】ここで押糸の繊度が全繊度の20%を超え
ると、押糸自身によって形成した三重捲回構造部による
スラブ部と一重捲回構造部による道中部とが、押糸を捲
回する前の複合糸のスラブ部や、糸条自体の全体の形態
に悪影響を及ぼすようになる。又、押糸の繊度が全繊度
の5%未満になると、芯糸と鞘糸のと前記複合糸のスラ
ブ部及び道中部に対する固定作用が十分でなくなる。
【0042】本発明の複合意匠糸を構成する各マルチフ
ィラメント糸は特に限定されるものではなく、例えばポ
リエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、アセ
テート繊維等が挙げられる。又、これらのマルチフィラ
メント糸の異繊度糸、異収縮糸、部分配向糸、高応力高
収縮糸、異染色性糸、極細糸、或いはこれらの複合糸等
が用いられる。
【0043】本発明の複合意匠糸における芯糸として
は、強力保持性能が高いなものが好ましく、例えばポリ
エステルマルチフィラメント糸が好適である。又、鞘糸
としては光沢や風合いに優れるものが好適であり、例え
ばアセテートマルチフィラメント糸、異形断面糸等が好
ましい。更に押糸は集束性の向上性能の高いものが好ま
しく、例えば高収縮糸が好適である。
【0044】更に、鞘糸としてアセテートマルチフィラ
メント糸や異形断面糸を使用することにより、大きな紡
錘形の太スラブ部を有する意匠性の高い複合意匠糸にす
ることができる。又鞘糸として高収縮糸を用いることに
より、製織性に優れた強固なシルクノイル調の複合意匠
糸にすることができる。更に又鞘糸として、種類の相違
する2本以上のマルチフィラメント糸を使用することに
より、糸条相互のもつれに伴う意匠効果の極めて高いシ
ルクシャンタン調の複合意匠糸にすることができる。
【0045】本発明の複合意匠糸の製造方法は、マルチ
フィラメント糸からなる芯糸の仮撚加工時の加撚域に、
同じくマルチフィラメント糸からなる鞘糸を旋回流ノズ
ル経由によって供給し、芯糸の外周に鞘糸を捲回するこ
とによって複合意匠糸を得るものである。
【0046】上記の構成による本発明の複合意匠糸の製
造方法において最も特徴的なことは、1本以上のマルチ
フィラメント糸からなる鞘糸を旋回流仮撚糸として供給
することであり、これによって芯糸の外周に開繊した鞘
糸が一重に捲回した道中部と、芯糸の外周に開繊した鞘
糸が多重に捲回したスラブ部とを有する複合意匠糸を得
るものである。
【0047】本発明の複合意匠糸の製造方法において
は、上記のマルチフィラメント糸の旋回流仮撚糸からな
る鞘糸をマルチフィラメント糸からなる芯糸の仮撚加工
時の加撚域に供給する工程を、つまりマルチフィラメン
ト糸からなる鞘糸を旋回流ノズル経由によって供給する
工程を、該マルチフィラメント糸からなる鞘糸が旋回流
仮撚加工の解撚域にあるときに供給するようにすること
が好ましい。
【0048】これによって、例えばタスランノズルやイ
ンターレースノズル等のように、糸交絡を目的としたノ
ズル経由によっては形成することのできない多重に捲回
した紡錘形の太スラブ部を具備し、かつ染色等の後加工
後に生じるふかつきの恐れのない複合意匠糸を製造する
ことができる。
【0049】従来の三重の捲回構造部からなるスラブ部
を有するスラブ糸の製造方法では、芯糸に対する鞘糸の
規則的な上下振幅運動によってスラブ部を形成してお
り、又、鞘糸は仮撚加工糸からなるフィラメントの集合
体として挿入している。
【0050】これに対して本発明の複合意匠糸の製造方
法では、鞘糸を旋回流仮撚しつつその解撚域で芯糸に供
給するため、鞘糸は開繊された状態にあって、しかも多
くの部分で単フィラメントオーダーで芯糸に捲回するの
で、芯糸に対して非常になじみの良好な自然な状態に捲
回する。
【0051】又振幅運動においても、芯糸に対する鞘糸
の張力が一重の捲回の時よりも大きくなった時点で、鞘
糸がほぼ芯糸と同速度で下降する。この時に、鞘糸の巻
付角度が糸軸に対して80度以上にある紡錘形の太スラ
ブ部を形成するが、全てが捲回構造になるわけではな
く、その中層は捲縮糸が押し込まれた状態になる。
【0052】その後、鞘糸の張力が上昇すると次の一重
の捲回部を形成する。そして、次の太スラブ部を形成す
るまでの間に、芯糸と鞘糸のもつれ等により、該太スラ
ブ部より小型のループスラブ部を形成する。
【0053】押糸を用いる本発明の複合意匠糸の製造方
法は、上記の芯糸と鞘糸との複合糸に対して、更に従来
からある方法によって押糸を供給し、該押糸が三重に捲
回したスラブ部と一重に捲回した道中部とを形成し、糸
条全体の集束性の向上した複合意匠糸を得るものであ
る。
【0054】上記の押糸は、鞘糸による紡錘形の太スラ
ブ部の直前で急激な張力低下を生じて複合糸を三重に捲
回する。そして、該太スラブ部を通過時には張力が上昇
しているため、複合糸を強固に一重に捲回し、これによ
って太スラブ部を固定する。
【0055】又、ループスラブ部及び道中部において
は、従来からある押糸の三重捲回構造部からなるスラブ
部と、押糸の一重捲回構造部の道中部とを形成する。
【0056】本発明の複合意匠糸の製造方法で使用する
旋回流ノズルは、一般に広く使用されているものでよい
が、推進性のあるものの方が好ましい。
【0057】以下本発明の複合意匠糸、及び複合意匠糸
の製造方法に使用する糸加工装置の一例を、図面に基づ
いて説明する。
【0058】図1〜図4は、本発明の複合意匠糸の一例
の側面の模式図と、この複合意匠糸を構成する芯糸、鞘
糸、及び押糸の走行状態を並列して示したものである。
【0059】図1は道中部cの途中に形成されている太
スラブ部aを示し、図2は道中部cの途中に形成されて
いるループスラブ部bを示し、図3及び図4は、それぞ
れ別の形態の道中部cを示している。更にイは芯糸の走
行状態、ロは鞘糸の走行状態、ハは押糸の走行状態を示
しており、複合意匠糸が形成される方向を矢印によって
表示してある。
【0060】図1に示す太スラブ部aは、鞘糸ロが芯糸
イの外周に二重に捲回した後、その外側に折りたたみ構
造をとりながらさらに捲回して形成されている。押糸ハ
は鞘糸ロが芯糸イに対する捲回開始点直前で三重に捲回
し、その後一重に捲回し、芯糸イと鞘糸ロとによる複合
糸のスラブ部の外周を押さえている。
【0061】又、図2に示す小型のループスラブ部bで
は、鞘糸ロが芯糸イの周囲を不規則に小さな往復運動を
しながら捲回し、更にその外周を押糸ハが一重に捲回し
ている。
【0062】図3に示す道中部cは、芯糸イと鞘糸ロの
外周を押糸ハが三重に捲回している部分、或いは引き揃
えられた糸条全体が過解撚されてS撚構造をなしている
部分である。図4に示す道中部cは、芯糸イと鞘糸ロの
外周を押糸ハが一重に捲回している。ここで、押糸ハの
繊度が全繊度の5〜20%の範囲にあるとバランスのあ
るものになり、解撚後壁撚り状の形態になる。
【0063】図5は、本発明の複合意匠糸を得るための
糸加工装置の一例を模式的に示したものであり、仮撚加
工装置の原糸供給側にマグネットテンサ1、第1供給ロ
ーラ3、及び第2供給ローラ6が設けられている。
【0064】芯糸A、鞘糸B、及び押糸Cは、マグネッ
トテンサ1、第1供給ローラ3、及び第2供給ローラ6
からそれぞれ供給される。マグネットテンサ1は、芯糸
Aが安定に仮撚加工されるように芯糸Aを定常的に供給
しうるものである。従って芯糸Aの供給装置は、芯糸A
を定常的に供給しうるものであればよく、定速ニップロ
ーラでもよい。
【0065】マグネットテンサ1、第1供給ローラ3、
及び第2供給ローラ6から各々給糸ガイド2、5、7を
経由して第1引取ローラ10で引取られるまでの間に、
芯糸A、鞘糸B、及び押糸Cからなる複合糸Gは、接触
式の第1ヒータ8及び仮撚ユニット9により、加撚熱固
定を受ける。
【0066】鞘糸Bは、第1供給ローラ3から給糸ガイ
ド5迄の間で、旋回流ノズル4により旋回流仮撚を施さ
れつつ、供給ガイド5を介して芯糸Aの加撚域にオーバ
ーフィード状態で供給される。旋回流ノズル4の上下に
撚り止めガイドがあってもよいが、加工性を考慮する
と、上側ガイド距離L1を3〜20cm、下側ガイド距
離L2を0cm(ガイド無し)にすることが好ましい。
また、上側ガイド距離L1が大きいほど、複合意匠糸に
おけるスラブ部が長くなる傾向がある。
【0067】更に、旋回流ノズル4が特に推進性を有す
るものである場合には、上から下へ垂直に鞘糸Bが通過
するように配置し、その出口角度θを20〜70度、鞘
糸供給ガイド5から芯糸Aと鞘糸Bとの合糸点Xまでの
距離を15〜50cmにすることが、加工性の点で好ま
しい。
【0068】旋回流仮撚の空気圧は通常のエア加工と同
程度、すなわち2〜6kg/cm2でよい。また、第1
供給ローラ3からの芯糸Aに対する鞘糸Bのオーバーフ
ィード率は、同時に旋回流仮撚オーバーフィード率でも
あるが、加工性及び形成される太スラブ部の形態を考慮
すると、50〜100%が好ましい。
【0069】鞘糸Bは合糸点Xで芯糸Aに供給される。
このときに、鞘糸Bは張力変動に伴って振幅運動し、開
繊した鞘糸が多重に捲回したスラブ部と、同じく開繊し
た鞘糸が一重に捲回した道中部とを有する複合糸にな
る。
【0070】更に押糸を用いる場合においては、押糸C
は鞘糸Bのオーバーフィード率より大きいオーバーフィ
ード状態で供給され、芯糸Aと鞘糸Bとからなる複合糸
との合糸点Yで、該複合糸の外周を振幅運動しながら捲
回し、この捲回した押糸Cの三重捲回構造部からなるス
ラブ部と、一重捲回構造部からなる道中部とが、芯糸と
鞘糸との複合糸に対してさらに形成される。
【0071】芯糸Aと鞘糸Bとからなる複合糸に対する
第2供給ローラ6からの押糸Cのオーバーフィード率
は、得られる複合意匠糸の形態および加工性を考慮する
と、70〜120%が好ましい。また、押糸供給ガイド
7から、芯糸Aと鞘糸Bとからなる複合糸と押糸Cとの
合糸点Yまでの距離は、加工性を考慮すると、20〜7
0cmが好ましい。
【0072】押糸Cは、芯糸Aと鞘糸Bとからなる複合
糸の太スラブ部の直前では、該太スラブ部が太く、捲付
角度が80度以上になるために、急激な張力低下により
三重に捲回する。この太スラブ部の通過時には、強固に
一重に捲回する。これによって芯糸Aと鞘糸Bとからな
る複合糸の太スラブ部を固定する。又小型のループスラ
ブ部及び道中部においては、押糸Cの三重捲回構造部か
らなるスラブ部と一重捲回構造部からなる道中部とを形
成し、これによって芯糸Aと鞘糸Bとからなる複合糸に
おける小型のループスラブ部と道中部とを固定する。
【0073】更に、第1ヒータ8の温度は通常の仮撚加
工における温度、すなわち120〜230℃程度でよい
が、200℃以上になるとセルロース繊維の場合には毛
羽やフライの発生が多くなり、又ポリエステル繊維の場
合には融着したりする。このために、該温度は150〜
200℃が好ましい。
【0074】また、第2ヒータ11での熱処理温度は、
第1引取ローラ10までの工程で形成された複合意匠糸
の形態の保持を可能にする温度範囲であればよい。
【0075】仮撚ユニット9により施される仮撚数(T
/M)は、得られる複合意匠糸の用途により適当な範囲
のものになし得るが、加工性、及び集束性を考慮する
と、28000/√Da〜42000/√Da(ただ
し、Daは使用糸の合計繊度を表わす)が好ましい。
【0076】この様にして、鞘糸Bの多重捲回構造部か
らなるスラブ部(太スラブ部)、及び押糸Cの三重捲回
構造部からなるスラブ部は、未解撚のままの状態で以っ
て、又押糸Cの一重捲回構造部からなる道中部は過解撚
された状態で以って、仮撚ユニット9を通過し、次いで
第1引取ローラ10と第2引取ローラ12との間で非接
触式の第2ヒータ11で熱処理された後、巻取ローラ1
3により目的の複合意匠糸としてチーズに巻取られる。
【0077】
【実施例】以下、本発明の複合意匠糸、複合意匠糸の製
造方法、及び複合意匠糸を使用した編織成物の具体的な
構成を、実施例に基づいて説明する。
【0078】実施例1〜実施例7 図5に示す概略構成を具備する仮撚加工機装置(三菱重
工業(株)製仮撚加工機;LS−2)を用いて、表1〜
表2の所定欄に示す芯糸、鞘糸、押糸を使用し、旋回流
ノズル4の上側撚り止めガイド距離L1を5cm、下側
ガイドは無し、鞘糸の旋回流ノズルからの出口角度θを
50度、旋回流の空気圧4kg/cm2、仮撚方向Z、
第1ヒータ温度170℃、第1引取ローラ速度50m/
分、第2ヒーター温度170℃、第2引取ローラ速度4
6.3m/分、その他の条件は表1〜表2の所定欄に示
す通りにして、7種類の複合意匠糸を得た。
【0079】得られた複合意匠糸全体の繊度(デニー
ル)、太スラブ部の繊度(デニール)、道中部の繊度
(デニール)、道中部に対する太スラブ部の繊度比、道
中部に対する太スラブ部の長径比の最小値、道中部に対
する太スラブ部の長径比の最大値、太スラブ部の頻度
(個/10m)、太スラブ部の糸径(mm)、道中部の
糸径(mm)を、表1〜表2の所定欄に示す。
【0080】又、ポリエステルマルチフィラメントレギ
ュラー糸セミダルの50d/36fで、糸密度120本
/吋にした経糸に、上記の実施例5、実施例6、又は実
施例7の複合意匠糸を、糸密度750/√Db本/吋
(Dbは複合意匠糸の平均繊度を表す)で緯打した織物
の布厚(mm)、BWS(%)、及び織物収縮率(%)
を、表2に示す。
【0081】尚、布厚は複合意匠糸の道中部で構成され
ている部分を測定し、BWS(%)は、織物を100℃
の沸騰水に30分間浸漬した後の面積収縮率を測定し、
又織物収縮率は、織物を130℃の高圧熱水中で30分
間リラックス処理した後の面積収縮率を測定した。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】実施例1による複合意匠糸は、鞘糸と押糸
がトリアセテートマルチフィラメント糸からなるもので
あり、この複合意匠糸を使用した織物は、絹玉調の触感
のある風合いの優れたものになった。
【0085】実施例2による複合意匠糸は、鞘糸が異形
断面のポリエステルマルチフィラメント糸レギュラー糸
からなり、又押糸がポリエステルマルチフィラメント糸
高収縮糸からなるものであり、光沢感のある太スラブ部
を有し、且つ集束性に優れたものになった。又この複合
意匠糸を使用した織物は、実施例1の複合意匠糸を使用
した織物と同様に、絹玉調の触感のある風合いの優れた
ものになった。
【0086】実施例3による複合意匠糸は、鞘糸がポリ
エステルマルチフィラメント糸異収縮糸からなり、押糸
がポリエステルマルチフィラメント糸高収縮糸からなる
ものであり、光沢感のある太スラブ部を有し、且つ集束
性に優れたものになった。又この複合意匠糸を使用した
織物も、実施例1の複合意匠糸を使用した織物と同様
に、絹玉調の触感のある風合いの優れたものになった。
【0087】実施例4による複合意匠糸は、鞘糸がポリ
エステルマルチフィラメント糸高収縮糸とポリエステル
マルチフィラメント糸異収縮糸との2本のチフィラメン
ト糸からなり、押糸は用いていない。この複合意匠糸
は、ランダムで頻度の多い太スラブ部を有しており、且
つ集束性が良好である。又、この複合意匠糸を使用した
織物は、シルクシャンタン調の表面変化に富んだ意匠性
のあるものになった。
【0088】実施例5による複合意匠糸は、鞘糸がポリ
エステルマルチフィラメント糸高収縮糸からなり、押糸
は用いていない。実施例1〜実施例4による複合意匠糸
と比較すると、実施例5による複合意匠糸の太スラブ部
は小粒ではあるが、多重捲回紡錘形をなしており、集束
性が良好である。又、この複合意匠糸を使用した織物
は、引き締まった表面感のものになった。
【0089】実施例6による複合意匠糸は、芯糸、鞘
糸、及び押糸が、全てポリエステルマルチフィラメント
糸レギュラー糸からなるものであり、実施例1及び実施
例2の複合意匠糸と比較すると光沢感に劣るものの、強
固且つ大きな多重捲回紡錘形の太スラブ部を有する。
又、この複合意匠糸を使用した織物の製織工程での通過
性も良好であり、織物は製織後の減量加工によってソフ
トでドレープ性の良好なものになった。
【0090】なお、実施例6による複合意匠糸は、実施
例7による複合意匠糸に押糸を追加したものであり、実
施例7による複合意匠糸よりも全体が太くなっている。
実施例6による複合意匠糸と実施例7による複合意匠糸
とは、太スラブ部の形態、及び太スラブ部の頻度に大差
はないものの、太スラブ部及びループスラブ部が、実施
例6による複合意匠糸の方が、実施例7による複合意匠
糸よりも、より強固に固定されている。
【0091】更に実施例7による複合意匠糸は、鞘糸が
ポリエステルマルチフィラメント糸レギュラー糸からな
り、上記の通り押糸は用いていない。この複合意匠糸
は、太スラブ部の捲回が強固であるために、糸条にずっ
こけが無い。
【0092】実施例8 トリアセテートマルチフィラメント糸ブライト糸55d
/15f(押糸比率24%)からなる押糸を使用し、仮
撚数を2500T/Mにする以外は、実施例1の対応す
る条件と同一の条件によって複合意匠糸を得た。この複
合意匠糸は良好な風合いを有している。又押糸による三
重捲回構造のスラブ部が目立ち、又押糸自身のスラブ部
のずっこけが若干みられた。
【0093】比較例1 旋回流ノズルを経由させない以外は、実施例5の対応す
る条件と同一の条件によって、比較のための複合意匠糸
を得た。この複合意匠糸は、実施例5の複合意匠糸に比
較すると、道中部に対する太スラブ部の繊度比、及び長
経比が小さく、紡錘形をなす多重捲回構造部からなる太
スラブ部を有するものにはならなかった。
【0094】又、この比較のための複合意匠糸を使用し
て、上記の実施例5による複合意匠糸を使用した織物と
同様にして織成した織物は、布厚、BWS、及び織物収
縮率において有意差はないものの、織物自体が平らであ
り、膨らみのないスラブ部が高頻度で現出したものにな
った。
【0095】比較例2 鞘糸として予め仮撚加工されたものを使用し、かつ旋回
流ノズルを経由させない以外は、実施例6の対応する条
件と同一の条件によって、比較のための複合意匠糸を得
た。この複合意匠糸は、紡錘形スラブ部の頻度が極めて
低く、風合い面でふかつきの多いものになった。
【0096】上記したように、実施例5の複合意匠糸と
比較例1の複合意匠糸とでは、これを使用した織物の布
厚、及び織物収縮率に有意差がないのに対して、比較例
2の複合意匠糸は、実施例6の複合意匠糸と比較する
と、この複合意匠糸を使用して上記の実施例5による複
合意匠糸を使用した織物と同様にして織成した織物のB
WSが、1.5倍以上であり、又布厚、及び織物収縮率
が共に大きくなった。更に、減量加工することによっ
て、ふかつきがより多くなった。
【0097】比較例3 市中で生産されている仮撚加工機を使用して得られた三
重捲回構造部からなるスラブ部を有するスラブ糸を、比
較例品として挙げる。このスラブ糸からなる複合意匠糸
は、比較例1による複合意匠糸と同様に、スラブ部が平
らであって膨らみに欠け、またスラブ部の頻度が非常に
多かった。
【0098】比較例4 市中で生産されている移動ガイドを使用して得られた複
合スラブ糸を、比較例品として挙げる。このスラブ糸か
らなる複合意匠糸は、大小ランダムな大きさのスラブ部
を有しているが、大きな多重捲回紡錘形のスラブ部は極
めて少ない頻度で出現している。従って、この複合意匠
糸を使用した織物は、おとなしい感じのものになった。
【0099】比較例5 旋回流ノズルの代わりにタスランノズルを用いること以
外は、実施例6の対応する条件と同一の条件によって、
比較のための複合意匠糸を得た。この複合意匠糸は、嵩
高にはなっているものの、多重捲回による紡錘形のスラ
ブ部がなく、又集束性に劣るものになった。なお、鞘
糸、及び押糸のオーバーフィード条件を振ってもみても
同様であった。
【0100】実施例9 鞘糸供給ガイド5から芯糸Aと鞘糸Bとの合糸点Xまで
の距離を3cmとした以外は、実施例1の対応する条件
と同一の条件によって複合意匠糸を得た。なお、このと
きの鞘糸の旋回流ノズルからの出口角度θは85度であ
る。得られた複合意匠糸は小粒のスラブ部を有するもの
であり、若干ずっこけがみられた。
【0101】実施例10 鞘糸Bのオーバーフィード率を120%、押糸Cのオー
バーフィード率を150%にした以外は、実施例1の対
応する条件と同一の条件によって複合意匠糸を得た。得
られた複合意匠糸は、鞘糸と押糸の両方によるスラブ部
が非常に多く、且つスラブ部と道中部との区別が若干不
明瞭なものになったものの、意匠効果の高い形態になっ
た。
【0102】比較例6 鞘糸として予め仮撚加工されたものを用い、旋回流ノズ
ルを経由させないこと以外は、実施例7の対応する条件
と同一の条件によって、比較のための複合意匠糸を得
た。得られた複合意匠糸は極めて低頻度の紡錘形スラブ
部を有しており、風合い面でふかつきが多いものになっ
た。
【0103】比較例7 旋回流ノズルの代わりにインターレースノズルを用いた
ること以外は、実施例6の対応する条件と同一の条件に
よって、比較のための複合意匠糸を得た。この複合意匠
糸は嵩高にはなっているものの、多重捲回による紡錘形
のスラブ部がなく、又集束性に劣るものになった。な
お、鞘糸、及び押糸のオーバーフィード条件を振っても
みても同様であった。
【0104】上記の比較例1〜比較例4、及び比較例6
の複合意匠糸の製造条件と、これらの複合意匠糸全体の
繊度(デニール)、太スラブ部の繊度(デニール)、道
中部の繊度(デニール)、道中部に対する太スラブ部の
繊度比、道中部に対する太スラブ部の長径比の最小値、
道中部に対する太スラブ部の長径比の最大値、太スラブ
部の頻度(個/10m)、太スラブ部の糸径(mm)、
道中部の糸径(mm)を、表3〜表4の所定欄に示す。
【0105】又、ポリエステルマルチフィラメントレギ
ュラー糸セミダルの50d/36fで、糸密度120本
/吋に形成した経糸に、上記の比較例1、比較例2また
は比較例6の複合意匠糸を、糸密度750/√Db本/
吋(Dbは複合意匠糸の平均繊度を表す)で緯打した織
物の布厚(mm)、BWS(%)、及び織物収縮率
(%)を、表3〜表4の所定欄に示す。
【0106】
【表3】
【0107】
【表4】
【0108】
【発明の効果】本発明の複合意匠糸は、開繊した鞘糸が
強固に多重捲回した紡錘形のスラブ部を有しており、ス
ラブ部と道中部との繊度差が大きく、これによって目立
った意匠特性を呈し、又道中部での集束性が良好であ
り、スラブ部を形成している捲回鞘糸のずり抜けがな
く、染色加工後のふかつきも少なく、追撚の必要性のな
いものである。
【0109】又本発明の複合意匠糸の製造方法によれ
ば、特殊な設備を用いることなく既存の設備によって、
容易、かつ的確に上記の特性を具備する複合意匠糸を製
造することができる。
【0110】更に本発明の編織成布は、上記の特性を有
する複合意匠糸を使用してなるものであるために、シル
クシャタン調を呈し、しかもメリハリの高い表面を有す
る意匠効果に優れたものになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】複合意匠糸の道中部の途中に形成されている太
スラブ部の側面と、この複合意匠糸を構成する芯糸、鞘
糸、及び押糸の走行状態とを並列して示した模式図であ
る。
【図2】複合意匠糸の道中部の途中に形成されているル
ープスラブ部の側面と、この複合意匠糸を構成する芯
糸、鞘糸、及び押糸の走行状態とを並列して示した模式
図である。
【図3】複合意匠糸の道中部の側面と、この複合意匠糸
を構成する芯糸、鞘糸、及び押糸の走行状態とを並列し
て示した模式図である。
【図4】複合意匠糸の別の道中部の側面と、この複合意
匠糸を構成する芯糸、鞘糸、及び押糸の走行状態とを並
列して示した模式図である。
【図5】本発明の複合意匠糸の製造方法に使用する糸加
工装置の一例の模式図である。
【符号の説明】
a・・・・太スラブ部 b・・・・太スラブ部よりも小型のループスラブ部 c・・・・道中部 d・・・・道中部 イ・・・・芯糸 ロ・・・・鞘糸 ハ・・・・押糸 A・・・・芯糸 B・・・・鞘糸 C・・・・押糸 1・・・・マグネットテンサ 2・・・・芯糸供給ガイド 3・・・・第1供給ローラ 4・・・・旋回流ノズル 5・・・・鞘糸供給ガイド 6・・・・第2供給ローラ 7・・・・押糸供給ガイド 8・・・・第1ヒータ 9・・・・仮撚ユニット 10・・・・第1引取ローラ 11・・・・第2ヒータ 12・・・・第2引取ローラ 13・・・ 巻取ローラ L1・・・・旋回流ノズル上側ガイド距離 L2・・・・旋回流ノズル下側ガイド距離 θ・・・・鞘糸Bの旋回流ノズル4からの出口角度 X・・・・芯糸Aと鞘糸Bとの合糸点 Y・・・・芯糸Aと鞘糸Bからなる複合糸と押糸Cとの合糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村井 裕康 大阪府大阪市北区天満橋一丁目8番30号 三菱レイヨン株式会社大阪支店内 (72)発明者 山口 展弘 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究所内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マルチフィラメント糸による芯糸の外周
    に同じくマルチフィラメント糸による鞘糸が捲回してな
    る複合糸であって、芯糸の外周に開繊した鞘糸が一重に
    捲回した道中部と、同じく芯糸の外周に開繊した鞘糸が
    多重に捲回したスラブ部とを有していることを特徴とす
    る複合意匠糸。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の複合意匠糸において、
    芯糸の外周に開繊した鞘糸が多重に捲回したスラブ部
    が、鞘糸を五重以上に捲回した紡錘形の多重捲回構造部
    からなる太スラブ部であることを特徴とする複合意匠
    糸。
  3. 【請求項3】 太スラブ部における芯糸に対する鞘糸の
    巻き付け角度が80度以上であることを特徴とする請求
    項2に記載の複合意匠糸。
  4. 【請求項4】 芯糸の外周に鞘糸が多重に捲回したスラ
    ブ部であって、前記太スラブ部よりも小型のループスラ
    ブ部を有することを特徴とする請求項2又は請求項3に
    記載の複合意匠糸。
  5. 【請求項5】 ループスラブ部が太スラブ部に連続して
    存在しているか、或いは離れて存在していることを特徴
    とする請求項4に記載の複合意匠糸。
  6. 【請求項6】 太スラブ部同士の間に、2個以上のルー
    プスラブ部が連続して存在しているか、或いは互いに離
    れて存在していることを特徴とする請求項4又は請求項
    5に記載の複合意匠糸。
  7. 【請求項7】 道中部に対する太スラブ部の繊度比が2
    以上、長径比の最小値が1以上、同じく長径比の最大値
    が3以上であることを特徴とする請求項2〜請求項6の
    うちのいずれかの1項に記載の複合意匠糸。
  8. 【請求項8】 複合意匠糸をなす糸条10m当りの太ス
    ラブ部の個数が5〜30であることを特徴とする請求項
    2〜請求項7のうちのいずれかの1項に記載の複合意匠
    糸。
  9. 【請求項9】 鞘糸が旋回流仮撚糸からなることを特徴
    とする請求項1〜請求項8のうちのいずれかの1項に記
    載の複合意匠糸。
  10. 【請求項10】 請求項1〜請求項9のうちのいずれか
    の1項に記載の複合糸の外周に、全繊度の5〜20%の
    繊度を有するマルチフィラメント糸からなる押糸が捲回
    しており、かつ該押糸が一重に捲回している道中部と三
    重に捲回しているスラブ部とを有していることを特徴と
    する複合意匠糸。
  11. 【請求項11】 道中部に対する太スラブ部の繊度比が
    2以上、長径比の最小値が1以上、同じく長径比の最大
    値が3以上であることを特徴とする請求項10に記載の
    複合意匠糸。
  12. 【請求項12】 マルチフィラメント糸からなる芯糸の
    仮撚加工時の加撚域に、同じくマルチフィラメント糸か
    らなる鞘糸を旋回流ノズル経由によって供給し、芯糸の
    外周に鞘糸を捲回することを特徴とする複合意匠糸の製
    造方法。
  13. 【請求項13】 旋回流ノズルからの鞘糸の出口の角度
    を80度以下に設定することを特徴とする請求項12に
    記載の複合意匠糸の製造方法。
  14. 【請求項14】 マルチフィラメント糸からなる芯糸の
    仮撚加工時の加撚域に、同じくマルチフィラメント糸か
    らなる鞘糸を旋回流ノズル経由によって供給することに
    より、芯糸の外周に鞘糸を捲回した後に、上記のマルチ
    フィラメント糸からなる芯糸の仮撚加工時の加撚域に、
    マルチフィラメント糸からなる押糸を供給することによ
    って、鞘糸の外周に押糸を捲回することを特徴とする複
    合意匠糸の製造方法。
  15. 【請求項15】 旋回流ノズルからの鞘糸の出口の角度
    を80度以下に設定することを特徴とする請求項14に
    記載の複合意匠糸の製造方法。
  16. 【請求項16】 全繊度の5〜20%の繊度を有するマ
    ルチフィラメント糸からなる押糸を供給することを特徴
    とする請求項14又は請求項15に記載の複合意匠糸の
    製造方法。
  17. 【請求項17】 鞘糸のオーバーフィード率を50〜1
    00%に設定することを特徴とする請求項12〜請求項
    16のうちのいずれかの1項に記載の複合意匠糸の製造
    方法。
  18. 【請求項18】 請求項1〜請求項11のうちのいずれ
    かの1項に記載の複合意匠糸を使用してあることを特徴
    とする編織成物。
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