JP3989212B2 - 特殊仮撚加工糸及びその製造法並びに織編物 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、諸撚糸様のハリ・コシ、ふくらみ感、ドレープ性と共に、光沢や色調の微妙な変化、シャリ感を織編物に付与することが可能な特殊仮撚加工糸及びその製造法並びに該加工糸を含む織編物に関する。
【0002】
【従来の技術】
諸撚糸は、撚りを持つ複数の糸条同士が、引き揃えられて更に撚糸された構造を有しており、ハリ・コシ、ふくらみ感、ドレープ性を布帛に付与することが可能な加工糸である。しかしながら、諸撚糸は、糸長手方向に撚り数並びに撚り方向が一定であるため、外観的には均一であり、昨今の消費者ニーズである光沢や色調の微妙で複雑な変化を布帛へ付与することは困難であった。更に、従来の諸撚糸にはない特徴を付与することも、消費者が求める付加価値のある布帛を得るためには必要不可欠であり、例えばシャリ感のような風合いの付与が求められている。
【0003】
また、諸撚糸の一般的な製造方法は、複数の糸条それぞれに同一方向の撚り(下撚り)を施して、湿熱条件或いは乾熱条件で熱セットし撚り構造の形態を固定し、それぞれの糸条を引き揃えて下撚りと逆方向の撚り(上撚り)を施すものであり、複数の工程を必要とすることからコストが高くなるという欠点を有しており、諸撚糸様の糸特性や風合いを得ることが可能な加工糸の製造においては、その生産性が良好であることも求められている。
【0004】
これらの要望に対し、糸長手方向にS撚り部とZ撚り部が存在するSZ交互撚糸を引き揃えて、撚り部の顕在トルクでSZ交互撚糸を寄りつかせるセルフツイスト法を用いた手法が多数提案されている。特に、特開昭58−126331号公報では、2本のSZ交互撚糸を、撚り部の位相を若干ずらして両糸条の撚り方向変換部が互いに重ならないようにして引き揃えて寄りつかせることで、セルフツイストが行われずに集束性が殆どない部分、いわゆる非セルフツイスト部が極めて短く外観上わかりにくいセルフツイスト糸が提案されている。
【0005】
このセルフツイスト糸は、生産性が良好で、また引き揃える糸条がそれぞれSZ交互撚り構造を有することから、光沢や色調の微妙で複雑な変化も得ることが可能である。しかしながら、S撚り部及びZ撚り部の持つ顕在トルクでの寄りつきだけではSZ交互撚糸同士の撚り構造(上撚り)が不十分、かつ不安定なものであり、後工程で加工糸に張力がかかったときの糸形態安定性に問題がある。また、この撚り構造(上撚り)が不安定なために諸撚糸独特のハリ・コシ、ふくらみ感、ドレープ性が不十分なものである。
【0006】
そこで、特開昭61−12948号公報では、糸形態安定性の向上を目的に、SZ交互撚糸を引き揃えてセルフツイスト状態を形成すると共に実質的無撚り部の一部を流体による交絡処理により交絡させた加工糸が提案されているが、流体による交絡処理は、いわゆるふかついた風合いとなり、諸撚糸特有のハリ・コシ、ふくらみ感、ドレープ性を布帛に付与することは困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、糸長手方向にS撚り部とZ撚り部を交互に形成した2本の糸条で構成すること、糸条を構成する単繊維を部分的に融着させること、更には仮撚加撚時に融着構造を形成して仮撚解撚時に未解撚部と過解撚部を形成せしめてこれらの糸条に上撚りを付与することにより、上記の問題点を解決しようとするものである。本発明の目的は、諸撚糸様のハリ・コシ、ふくらみ感、ドレープ性と共に、光沢や色調の微妙で複雑な変化、シャリ感を織編物に付与することが可能な特殊仮撚加工糸を提供し、また該加工糸を含む織編物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、糸条Aと糸条Bが共にSZ交互撚糸であり、糸条Aと糸条Bが引き揃えられてSZ交互撚り構造を形成すると共に、糸条Aを構成する単繊維と糸条Bを構成する単繊維とが部分的に融着部を形成していることを特徴とする特殊仮撚加工糸、及び、共にSZ交互撚糸である糸条Aと糸条Bとを合糸して仮撚加撚域へ供給し、糸条Aを構成する単繊維及び又は糸条Bを構成する単繊維に融着を生じさせる温度で仮撚加撚することを特徴とする特殊仮撚加工糸の製造法、並びに、前記の特殊仮撚加工糸で一部又は全部が構成された織編物、にある。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の特殊仮撚加工糸において、加工糸を構成する糸条Aと糸条Bとが共にSZ交互撚糸であることと、糸条Aと糸条Bが引き揃えられてSZ交互撚り構造を形成することが必要である。糸条Aと糸条Bには単繊維が揃った集束構造を有している撚り部がそれぞれ存在し、更に糸条Aと糸条Bとが引き揃えられて形成されたSZ交互撚り構造が、諸撚糸の上撚りに相当するものとなり、本発明の特殊仮撚加工糸は、諸撚糸様のハリ・コシ、ふくらみ感、ドレープ性を織編物に付与することが可能な加工糸をなしている。なお、本発明において、SZ交互撚糸或いはSZ交互撚り構造とは、糸長手方向にS撚り部とZ撚り部が交互に形成されている糸条或いは構造をいう。
【0010】
更に、本発明の特殊仮撚加工糸において、糸条Aを構成する単繊維と糸条Bを構成する単繊維とが部分的に融着部を形成していることが必要である。本発明の特殊仮撚加工糸は、かかる部分的に融着部を形成していることで、適度なシャリ感のある風合いを織編物に付与し、また糸条Aと糸条Bとの間に融着部を有することにより、糸形態の安定性が良好となる。
【0011】
本発明の特殊仮撚加工糸において、糸条Aを構成する単繊維と糸条Bを構成する単繊維とが部分的に融着部を形成しているならば、糸条Aを構成する単繊維と糸条Bを構成する単繊維とが全部融着して融着部を形成している必要はなく、また糸条Aを構成する単繊維同士或いは糸条Bを構成する単繊維同士で融着部を形成していてもよく、目的とする織編物の風合い等を考慮して融着部を形成すればよい。
【0012】
なお、本発明における融着部とは、糸条を構成する単繊維同士が加熱により溶融及び/又は軟化して接着された部位をいい、任意の糸断面を光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡等を用いて観察したときに、隣り合う単繊維同士が接着している部分をいう。
【0013】
本発明の特殊仮撚加工糸は、糸条Aと糸条Bとが、撚り部/撚り部、撚り部/非撚り部、非撚り部/非撚り部のいずれかの組み合わせで、S撚り、Z撚り或いは無撚りの状態で引き揃えられ合糸されてSZ交互撚り構造が形成されている。これらの組み合わせと合糸撚り状態とが糸長手方向に変化していることで、本発明の特殊仮撚加工糸には、光沢や色調に従来の加工糸にはない微妙かつ複雑な変化が付与される。また、特に糸条Aの撚り部と糸条Bの撚り部が合わさっている場合は、糸条Aと糸条Bの間でマイグレーションが発生することなく、合撚された形態となり、よりふくらみ感のある風合いを得ることが可能となる。
【0014】
本発明の特殊仮撚加工糸において、糸条Aの撚り部と糸条Bの撚り部が、糸長手方向に同じ位相で配置され引き揃えられていることがより好ましく、集束構造を有した撚り部と撚り部が引き揃えられSZ交互撚りが付与されていることで、糸条Aと糸条Bの間でマイグレーションが発生していない、いわゆる諸撚糸様の形態がより効果的に顕出され、諸撚糸と同様のハリ・コシ、ふくらみ感、ドレープ性を織編物に付与することが可能な加工糸となる。
【0015】
なお、引き揃えられる撚り部の組み合わせは、特に限定されるものではなく、同じ撚り方向の撚り部同士或いは異なる撚り方向の撚り部同士での組み合わせのいずれでもよいが、同じ撚り方向の撚り部同士が組み合わされていることがより好ましく、セルフツイストによる糸条Aと糸条Bの撚り付き効果が付与されるために、加工糸の集束性が一段と高まり、本発明の目的の風合いを容易に得やすくなるとともに、加工糸の形態安定性もより良好なものとなる。
【0016】
本発明の特殊仮撚加工糸において、その構成の糸条A及び糸条Bの繊維素材としては、加熱により溶融或いは軟化しうる成分が含まれていれば特に限定はなく、例えばポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリ乳酸繊維等の熱可塑性合成繊維やこれらの熱可塑性合成繊維を含む複合糸が挙げられる。
【0017】
また、これらの繊維素材は、無機添加剤や高分子機能材等の他の成分を含むもの或いは複数成分で構成されるコンジュゲート糸、シックアンドシン糸或いは高配向未延伸糸等であってもよく、繊維素材の断面形状や繊度等も特に限定はなく、目的の織編物の風合いや意匠性等を考慮して選択すればよい。更に、糸条の形態も特に限定はなく、フィラメント糸、ステープル糸或いはフィラメント糸とステープル糸の混合糸であってもよい。
【0018】
本発明の特殊仮撚加工糸は、次のようにして製造することができる。
即ち、本発明の特殊仮撚加工糸は、共にSZ交互撚糸である糸条Aと糸条Bとを合糸して仮撚加撚域へ供給し、糸条Aを構成する単繊維及び又は糸条Bを構成する単繊維に融着を生じさせる温度で仮撚加撚することにより得られる。
【0019】
本発明の特殊仮撚加工糸の製造工程を図面により説明する。
図1は、本発明の特殊仮撚加工糸の製造工程の一例を示すものである。SZ交互撚糸である糸条A(1)及び糸条B(2)を、それぞれマグネットテンサー(3)、(4)を介して同一の予備張力に調整し、次いで、合糸ガイド(9)で合糸し、供給ローラー(10)により同供給量で仮撚加撚域に供給し、第1ヒーター(11)及び仮撚ユニット(12)により融着部を形成させ加撚状態を固定する。
【0020】
次いで、仮撚ユニット(12)を通過後、弱融着部は解撚されて仮撚加撚と逆方向の撚り形態を付与される。引き続き、第1引き取りローラー(13)と第2引き取りローラー(15)の間で、第2ヒーター(14)により熱セット処理し、巻き取り機(16)で巻き取る。
【0021】
本発明の特殊仮撚加工糸の製造法において、仮撚加撚域へ供給する糸条A及び糸条Bは、共にSZ交互撚糸であることが必要であり、構成する単繊維が揃った集束構造を有している撚り部が存在することで、仮撚加撚時或いは解撚時に糸条Aと糸条Bが合糸されて撚り構造を形成するときに糸条Aと糸条Bの間でマイグレーションが発生することなく諸撚糸調の形態を形成することができる。
【0022】
本発明の特殊仮撚加工糸の製造法においては、糸条Aを構成する単繊維及び/又は糸条Bを構成する単繊維に溶融を生じさせる温度で仮撚加撚を行うことが必要であり、単繊維に溶融を生じさせる温度で仮撚加撚を行うことにより、糸条Aを構成する単繊維と糸条Bを構成する単繊維とが部分的に融着部を形成させ、糸条Aと糸条Bが仮撚加撚方向と同方向に合撚された部分と、仮撚加撚方向とは逆方向に合撚された部分を形成することができる。
【0023】
図2は、本発明の特殊仮撚加工糸の製造工程の他の例を示すものである。2本の糸条を、それぞれマグネットテンサー(3)、(4)を介して同一の予備張力に調整し、制御電磁弁(5)、(6)でエアが間歇噴射するように制御されたエア旋回流ノズル(7)、(8)に供給してSZ交互撚糸とし、これらのSZ交互撚糸を糸条A(1)及び糸条B(2)として合糸ガイド9で合糸し、供給ローラー(10)により同供給量で仮撚加撚域に供給するものである。
【0024】
図2で示した工程では、制御電磁弁(5)、(6)をコンピューター等で調整し、エア旋回流ノズルのエアの間歇噴射を同じタイミングで行うことにより、2本の糸条にそれぞれ撚り部を同じタイミングで形成することが可能となり、糸条A(1)と糸条B(2)の撚り部の位置を糸長手方向に同じ位相で合糸することが容易になる。特に引き揃えられた撚り部の撚り方向が同じ場合には、糸条Aと糸条Bとの間にセルフツイストによる撚り付きが発生し、引き揃えられた糸の集束性がよくなるため、第1ヒーター(11)における融着部の形成がより容易となる。
【0025】
図2に示した工程による方法によれば、糸条A(1)及び糸条B(2)における、S撚部とZ撚部の長さや撚り数は、マグネットテンサー(3)、(4)により設定される予備張力、エア旋回流ノズル(7)、(8)におけるエア供給圧、エア供給時間、エア非供給時間、マグネットテンサー(3)、(4)からエア旋回流ノズル(7)、(8)までの距離、エア旋回流ノズル(7)、(8)から合糸ガイド(9)までの距離等により、適宜設定可能であり、織編物の目的とする風合いや意匠性により設定すればよい。
【0026】
本発明の特殊仮撚加工糸は、織編物の素材として好適に用いられる。本発明の特殊仮撚加工糸を含んでなる織編物は、本発明の特殊仮撚加工糸で織編物の全部を構成したものでもよく、また他糸との合撚、交編織により織編物の一部を構成したものであってもよく、目的の風合いや製品外観が得られる範囲で、本発明の特殊仮撚加工糸の含有率並びに織編組織を決定して構成すればよい。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0028】
(実施例1)
図1に示す工程の装置にて、糸条A(1)及び糸条B(2)として、78デシテックス(dtex)/36フィラメント(f)のポリエステルシックアンドシンマルチフィラメントSZ交互撚糸(S撚り部及びZ撚り部の各長さが800〜1200mmの範囲でランダムに変化)を用い、仮撚数2000T/m、仮撚方向Z、第1ヒーター(11)温度200℃、第2ヒーター(14)温度200℃、合糸ガイド(9)への供給の際の糸条A(1)及び糸条B(2)の予備張力10cN、仮撚加撚域へ糸条A(1)及び糸条B(2)のオーバーフィード率4.0%、第1引き取りローラー(13)の速度50m/分、第1引き取りローラー(13)〜第2引き取りローラー(15)間のオーバーフィード率5.0%の条件設定で仮撚加工を行い、巻き取り機(16)で巻き取った。
【0029】
得られた加工糸は、その糸形態を光学顕微鏡にて観察したところ、共にSZ交互撚糸である2本の糸条Aと糸条Bが、撚り部/撚り部、撚り部/非撚り部、非撚り部/非撚り部の組み合わせで、S撚り、Z撚り及び無撚りの状態で合糸されており、糸条Aと糸条Bが仮撚方向と同方向(Z撚り)の撚り構造部には糸条Aを構成する単繊維と糸条Bを構成する単繊維との間に部分的に融着部を有していることが確認された。得られた加工糸を用い、16ゲージの一口筒編み機で製編し、この筒編地を常法により精練、分散染色し、ハンドリング及び目視にて評価を行ったところ、編地は、諸撚糸の様なハリ・コシ、ふくらみ感、ドレープ性とともに、光沢や色調の微妙な変化、シャリ感を付与されたものであった。
【0030】
(実施例2)
図2に示す工程の装置にて、糸条A(1)及び糸条B(2)となる元の糸条として、84dtex/48fの5−ナトリウムスルホイソフタル酸2.3モル%、アジピン酸5.0モル%共重合のポリエチレンテレフタレートフィラメント糸(ガラス転移温度:64℃、融点:242℃)を用い、旋回流ノズル(7)、(8)へのエア供給圧0.35MPa、エア供給時間0.3〜0.5秒(ランダムに変化)、エア非供給時間0.3〜0.5秒(ランダムに変化)、マグネットテンサー(3)、(4)からエア旋回流ノズル(7)、(8)までの距離300mm、エア旋回流ノズル(7)、(8)から合糸ガイド(9)までの距離300mm、仮撚数2000T/m、仮撚方向Z、第1ヒーター(11)温度220℃、第2ヒーター(14)温度200℃、エア旋回流ノズルへのエア供給停止時における合糸ガイド(9)への供給の際の糸条A(1)及び糸条B(2)の予備張力10cN、仮撚加撚域へ糸条A(1)及び糸条B(2)のオーバーフィード率5.0%、第1引き取りローラー(13)の速度50m/分、第1引き取りローラー(13)〜第2引き取りローラー(15)間のオーバーフィード率7.5%の条件設定で仮撚加工を行い、巻き取り機(16)で巻き取った。
【0031】
なお、糸条A(1)及び糸条B(2)となる元の糸条に対するエア旋回流ノズル(7)、(8)へのエア供給のタイミング並びに糸条に対するエア旋回流の方向は、同じ条件に設定し、間歇エア旋回流処理により、同じSZ交互撚り構造を付与して糸条A(1)及び糸条B(2)とした。
【0032】
得られた加工糸は、その糸形態を光学顕微鏡にて観察したところ、共にSZ交互撚糸である2本の糸条Aと糸条Bからなり、糸条Aの撚り部と糸条Bの撚り部の位置が糸長手方向に同じ位相で、S撚り、Z撚り及び無撚りの状態で合糸されており、糸条Aと糸条Bが仮撚方向と同方向(Z撚り)の撚り構造部には糸条Aを構成する単繊維と糸条Bを構成する単繊維との間に部分的に融着部を有していることが確認された。得られた加工糸を用い、16ゲージの一口筒編み機で製編し、この筒編地を常法により精練、分散染色し、ハンドリング及び目視にて評価を行ったところ、編地は、諸撚糸の様なハリ・コシ、ふくらみ感、ドレープ性とともに、光沢や色調の微妙な変化、シャリ感を付与されたものであった。
【0033】
(比較例1)
実施例2において、エア旋回流ノズル(8)のエア供給を中止する以外は、実施例2と同様の条件で仮撚加工を行った。得られた加工糸は、その糸形態を光学顕微鏡にて観察したところ、SZ交互撚糸と撚り構造のないマルチフィラメント糸が合糸されて融着構造を有するものであった。得られた加工糸を用い、実施例2と同様に製編、精練、分散染色した筒編地をハンドリング及び目視にて評価を行ったところ、編地は、融着の特徴であるシャリ感風合いはあるものの、ハリ・コシ感、フクラミ感、ドレープ性に欠けるものであった。
【0034】
(比較例2)
実施例2において、第1ヒーター(11)温度を180℃とする以外は、実施例2と同様の条件で仮撚加工を行った。得られた加工糸は、その糸形態を光学顕微鏡にて観察したところ、共にSZ交互撚糸である2本の糸条Aと糸条Bからなり、糸条Aの撚り部と糸条Bの撚り部の位置が糸長手方向に同じ位相で、S撚り、Z撚り及び無撚りの状態で合糸されているが、融着部は形成されていないものであった。得られたこの加工糸は、後工程でガイド等の接触によるしごきにより糸条Aと糸条Bが分糸し易く、糸形態安定性が不安定なものであった。得られた加工糸を用い、実施例2と同様に製編、精練、分散染色した筒編地をハンドリング及び目視にて評価を行ったところ、編地は、ハリ・コシ、ふくらみ感、ドレープ性並びに光沢や色調の微妙な変化は得られているものの、シャリ感には欠けるものであった。
【0035】
【発明の効果】
本発明の特殊仮撚加工糸は、諸撚糸様のハリ・コシ、ふくらみ感、ドレープ性とともに、光沢や色調の微妙で複雑な変化、シャリ感といった風合い及び意匠効果を織編物に付与することが可能なものであり、また本発明の特殊仮撚加工糸を含んでなる織編物は、本発明の特殊仮撚加工糸によってもたされる諸撚糸様のハリ・コシ、ふくらみ感、ドレープ性と共に、光沢や色調の微妙で複雑な変化、シャリ感といった風合い及び意匠効果も得ることができ、衣料用織編物として好適なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の特殊仮撚加工糸の製造工程の一例の工程図である。
【図2】本発明の特殊仮撚加工糸の製造工程の他の例の工程図である。
【符号の説明】
1 糸条A
2 糸条B
3 マグネットテンサー
4 マグネットテンサー
5 制御電磁弁
6 制御電磁弁
7 エア旋回流ノズル
8 エア旋回流ノズル
9 合糸ガイド
10 供給ローラー
11 第1ヒーター
12 仮撚ユニット
13 第1引き取りローラー
14 第2ヒーター
15 第2引き取りローラー
16 巻き取り機

Claims (3)

  1. 糸条Aと糸条Bが共にSZ交互撚糸であり、糸条Aと糸条Bが引き揃えられてSZ交互撚り構造を形成すると共に、糸条Aを構成する単繊維と糸条Bを構成する単繊維とが部分的に融着部を形成していることを特徴とする特殊仮撚加工糸。
  2. 共にSZ交互撚糸である糸条Aと糸条Bとを合糸して仮撚加撚域へ供給し、糸条Aを構成する単繊維及び又は糸条Bを構成する単繊維に融着を生じさせる温度で仮撚加撚することを特徴とする特殊仮撚加工糸の製造法。
  3. 請求項1に記載の特殊仮撚加工糸で一部又は全部が構成された織編物。
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