JP5090059B2 - 捲縮複合繊維の製造方法並びに捲縮複合繊維を含む通気度変化織編物の製造方法 - Google Patents
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本発明の第2の要旨は、下記の工程からなる通気度変化織編物の製造方法にある。
(1)吸湿特性の異なる少なくとも一方がセルロースエステルである2種の成分が接合された複合繊維に、仮撚数T(t/m)が11000/D 1/2 〜35000/D 1/2 (D:dtex)の仮撚条件での捲縮加工を施し、捲縮率を4〜15%とする
(2)捲縮加工を施した捲縮複合繊維を用いて製織又は製編する
(3)織編物にアルカリ減量加工を施して含まれる捲縮複合繊維での捲縮率を15〜35%とする
ワク周1mの検尺器を用い、試料を0.01cN/dtexの荷重下で10回巻き10mのカセを作る。作成したカセに、水酸化ナトリウム1質量%水溶液、温度60〜65℃、浴比1:100の浴中で10分間のアルカリ減量加工を施し、乾燥後、90℃の熱水中で20分処理し、温度20℃、相対湿度65%の雰囲気下に24時間放置して自然乾燥した。乾燥した試料に0.59cN/dtexの荷重をかけ、1分経過後の長さL0(cm)を測定し、初期糸長とする。次いで、荷重を除き、カセを20℃の水中に1分間浸漬し、湿潤状態とする。表面に付いた過剰な水分をろ紙で拭き取った後、0.59cN/dtexの荷重をかけ、1分経過後の長さL1(cm)を測定する。さらに、カセを室温20℃、相対湿度65%の雰囲気下に24時間放置して自然乾燥し、再び、0.59cN/dtexの荷重をかけ、1分経過後の長さL2(cm)を測定する。各長さの測定値より、次式により、糸伸長率、糸回復率を算出した。測定値には5回行った平均値を用いた。
糸伸長率(%)=[(L1−L0)/L0]×100
糸回復率(%)=[(L1−L2)/(L1−L0)]×100
ワク周1mの検尺器を用い、試料を0.01cN/dtexの荷重下で10回巻き10mのカセを作る。作成したカセを、90℃の熱水中で20分処理した後、温度20℃、相対湿度65%の雰囲気下に24時間放置して自然乾燥した。乾燥した試料に1.96cN/dtexの荷重をかけ、1分経過後の長さL1(cm)を測定する。次いで、荷重の除き、無荷重の状態で2分間放置する。その後、0.05cN/dtexの荷重をかけ、1分経過後の長さL2(cm)を測定し、次式により捲縮率を算出した。測定値には5回行った平均値を用いた。
捲縮率(%)=[(L1−L2)/L1]×100
試料にて織編物を作成し、温度20℃、相対湿度65%の雰囲気下で、JIS L1018一般試験方法(フラジール形試験)に準拠し、テクステスト社製、通気度試験機FX3300で測定した。織編物を温度25℃、相対湿度65%の雰囲気下で水分率を平衡にしたときの初期通気度(A)(cm3/cm2/sec)を測定した。織編物を20℃の水中に1分間浸漬し湿潤させた後、再び温度25℃、相対湿度65%の雰囲気下で水分率を平衡にしたときの再乾燥時通気度(B)(cm3/cm2/sec)を測定し、次式により捲縮率を算出した。
通気度差(cm3/cm2/sec)=再乾燥時通気度(B)−初期通気度(A)
通気度差が20以上であれば良好な程通気度変化を示し、通気度差が大きくなるほど通気度変化性能が向上する。
平均置換度2.41のセルロースジアセテートと平均置換度2.91のセルローストリアセテートを質量比で50:50の複合比にサイドバイサイド型に乾式紡糸法により複合紡糸されたセルロースアセテート複合繊維(110dtex/26フィラメント(f))を前駆体繊維として用いた。この前駆体繊維に、三菱重工業社製、仮撚機LS−6型にて、仮撚フィード率−3%、仮撚温度160℃、仮撚数1800(t/m)、緊張熱処理温度200℃、緊張熱処理フィード率0%の条件で仮撚加工を施し、仮撚加工糸を作成した。得られた仮撚加工糸の捲縮率は4.5%であった。この仮撚加工糸にてカセを作成し、水酸化ナトリウム1質量%水溶液、温度60〜65℃、浴比1:100の浴中で10分間のアルカリ減量加工を施し、乾燥し、その後、90℃の熱水中で20分間の熱水処理を施した。アルカリ減量加工後の加工糸は糸伸長率が24.1%、糸回復率が72.9%、捲縮率が25.3%であった。また、アルカリ減量加工後の加工糸について、セルロース繊維は不染の分散染料にて染色した繊維断面を観察し、アリカリ反応性の高いセルロースジアセテートのみが脱エステル化してセルロース化していることが確認された。
実施例1で用いたと同じ前駆体繊維(110dtex/26f)を用い、仮撚フィード率−4%、仮撚温度160℃、仮撚数2200(t/m)、緊張熱処理温度160℃、緊張熱処理フィード率2.5%の条件で仮撚加工を施して仮撚加工糸を作成した以外は、実施例1におけると同様にしてアルカリ減量加工を施した。仮撚加工上がりの仮撚加工糸の捲縮率は6.8%、アルカリ減量加工後の加工糸は糸伸長率が23.7%、糸回復率が77.7%、捲縮率が25.7%であった。また、アルカリ減量加工後の加工糸について、セルロース繊維は不染の分散染料にて染色した繊維断面を観察し、アリカリ反応性の高いセルロースジアセテートのみが脱エステル化してセルロース化していることが確認された。
実施例1で用いたと同じ前駆体繊維(110dtex/26f)を用い、仮撚加工を施すことなく、実施例1におけると同様にしてアルカリ減量加工を施した。前駆体繊維の捲縮率は0.3%、アルカリ減量加工後の繊維は糸伸長率が15.1%、糸回復率が61.6%、捲縮率が27.1%であった。また、アルカリ減量加工後の繊維について、セルロース繊維は不染の分散染料にて染色した繊維断面を観察し、アリカリ反応性の高いセルロースジアセテートのみが脱エステル化してセルロース化していることが確認された。
実施例1で用いたと同じ前駆体繊維(110dtex/26f)を用い、仮撚フィード率−4%、仮撚温度160℃、仮撚数3500(t/m)、緊張熱処理温度160℃、緊張熱処理フィード率2.5%の条件で仮撚加工を施して仮撚加工糸を作成した以外は、実施例1におけると同様にしてアルカリ減量加工を施した。仮撚加工上がりの仮撚加工糸の捲縮率は16.3%、アルカリ減量加工後の加工糸は糸伸長率が18.9%、糸回復率が82.6%、捲縮率が32.3%であった。また、アルカリ減量加工後の加工糸について、セルロース繊維は不染の分散染料にて染色した繊維断面を観察し、アリカリ反応性の高いセルロースジアセテートのみが脱エステル化してセルロース化していることが確認された。
実施例1で用いたと同じ前駆体繊維(110dtex/26f)を用い、仮撚フィード率−4%、仮撚温度160℃、仮撚数900(t/m)、緊張熱処理温度160℃、緊張熱処理フィード率2.5%の条件で仮撚加工を施して仮撚加工糸を作成した以外は、実施例1におけると同様にしてアルカリ減量加工を施した。仮撚加工上がりの仮撚加工糸の捲縮率は2.5%、アルカリ減量加工後の加工糸は糸伸長率が16.2%、糸回復率が65.5%、捲縮率が22.3%であった。また、アルカリ減量加工後の加工糸について、セルロース繊維は不染の分散染料にて染色した繊維断面を観察し、アリカリ反応性の高いセルロースジアセテートのみが脱エステル化してセルロース化していることが確認された。
実施例2における仮撚加工により得た6%の捲縮率を有する仮撚加工糸を用いて、20Gの一口編機にて編地を作成した後、実施例1におけると同様にして編地にアルカリ減量加工を施した。その後、分散染料を用い、温度120℃で30分の染色を行った。得られた染色編地は、構成繊維におけるセルロース化した部分が無着色であり、通気度差が316.3cm3/cm2/secであり、優れた通気度変化を有するものであった。
実施例1で用いたと同じ前駆体繊維(110dtex/26f)を用い、仮撚加工を施すことなく、20Gの一口編機にて編地を作成した後、実施例1におけると同様にして編地にアルカリ減量加工を施した。その後、実施例3におけると同様に120℃30分の染色を行った。得られた染色編地は、構成繊維におけるセルロース化した部分が無着色であり、通気度差が260.4cm3/cm2/secであり、通常の通気度を有するものであった。
実施例2における仮撚加工により得た6%の捲縮率を有する仮撚加工糸を裏地に用い、ポリエチレンテレフタレート繊維(167dtex/30f)の仮撚加工糸をパイル地に用いたパイル編地を作成した後、実施例1におけると同様にして編地にアルカリ減量加工を施した。その後、実施例3におけると同様に120℃30分の染色を行った。得られた染色編地は、裏地の構成繊維におけるセルロース化した部分が無着色であり、通気度差が16.9cm3/cm2/secであり、通気度変化の低いものであった。
実施例1で用いたと同じ前駆体繊維(110dtex/26f)を、仮撚加工を施すことなく、裏地に用い、ポリエチレンテレフタレート繊維(167dtex/30f)の仮撚加工糸をパイル地に用いたパイル編地を作成した後、実施例1におけると同様にして編地にアルカリ減量加工を施した。その後、実施例3におけると同様に120℃30分の染色を行った。得られた染色編地は、裏地の構成繊維におけるセルロース化した部分が無着色であり、通気度差が7.1cm3/cm2/secであり、通気度変化の低いものであった。
2 供給ローラ
3 第1ヒータ
4 仮撚スピンドル
5 第1引取ローラ
6 第2ヒータ
7 第1引取ローラ
8 巻取り機
Claims (2)
- 吸湿特性の異なる少なくとも一方がセルロースエステルである2種の成分が接合された複合繊維に、仮撚数(t/m)が11000/D 1/2 〜35000/D 1/2 (D:dtex)の仮撚条件で、捲縮加工を施して捲縮率を4〜15%とした後、アルカリ減量加工を施して該捲縮複合繊維での捲縮率を15〜35%とすることを特徴とする捲縮複合繊維の製造方法。
- 下記の工程からなる通気度変化織編物の製造方法。
(1)吸湿特性の異なる少なくとも一方がセルロースエステルである2種の成分が接合された複合繊維に、仮撚数T(t/m)が11000/D 1/2 〜35000/D 1/2 (D:dtex)の仮撚条件で捲縮加工を施し、捲縮率を4〜15%とする
(2)捲縮加工を施した捲縮複合繊維を用いて製織又は製編する
(3)織編物にアルカリ減量加工を施して含まれる捲縮複合繊維での捲縮率を15〜35%とする
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JP2007133600A JP5090059B2 (ja) | 2007-05-21 | 2007-05-21 | 捲縮複合繊維の製造方法並びに捲縮複合繊維を含む通気度変化織編物の製造方法 |
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