JP2932337B2 - アセテート複合繊維及びその製造法 - Google Patents
アセテート複合繊維及びその製造法Info
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Description
びその製造法に関する。
感触、深みのある色調、さらには他繊維との親和性に優
れているが、反面ふくらみ感、ソフト感にやや欠けると
ころがある。これは、アセテート繊維が乾式紡糸法によ
り製造されるという原糸製造の基本紡糸法に起因するも
のである。しかしながら、アセテート繊維においても、
消費者ニーズの多様化により、ふくらみ感、ソフト感を
有する繊維が求められており、このため、例えば紡糸過
程でノズル形状を異型化し繊維を異型断面とする方法、
或いは後加工で繊維を嵩高加工する方法等が提案されて
いるが、これらの方法では、ふくらみ感が十分でなかっ
たり、或いはふくらみ感は得られてもハリ、コシが損な
われる場合が多い。
種のアセテート紡糸原液を用い複合紡糸し熱水処理によ
り捲縮付与する方法も提案(特公昭43−25941号
公報)されているが、ある程度のふくらみ感は得られる
ものの、満足すべきふくらみ感を得るには至っていな
い。 本発明は、複合紡糸技術を応用するものである
が、酢化度の異なる2種の成分の複合化と繊維化後のア
ルカリ処理との組み合わせにより、乾式紡糸法により製
造されるアセテート繊維でありながら、ふくらみ感、ソ
フト感を持つアセテート繊維を得るべく検討の結果なさ
れたものである。本発明の目的は、ふくらみ感、ソフト
感を有するアセテート複合繊維を提供することにある。
とも一部がセルロースからなる部分と、平均酢化度5
6.2〜62.5%のセルローストリアセテートからな
る部分が、重量比35:65〜5:95でサイドバイサ
イドに複合されていることを特徴とするアセテート複合
繊維、及び、平均酢化度56.2%未満のセルロースジ
アセテートと平均酢化度56.2〜62.5%のセルロ
ーストリアセテートが重量比40:60〜10:90で
サイドバイサイドに複合された前駆体繊維をアルカリ処
理することを特徴とする請求項1記載のアセテート複合
繊維の製造法にある。
も一部がセルロースからなる部分と、平均酢化度56.
2〜62.5%のセルローストリアセテートからなる部
分とが並行に貼り合わされたサイドバイサイドの複合構
造をなしており、一方の複合成分である少なくとも一部
がセルロースからなる部分は、酢化度56.2未満のセ
ルロースアセテートをアルカリ処理によって、脱アセチ
ル化は行うことにより得られる。また、他方の複合成分
である高酢化度のセルローストリアセテートは、その平
均酢化度が56.2〜62.5%の高い酢化度を有する
ものである。少なくとも一部がセルロースからなる部分
と、平均酢化度56.2〜62.5%のセルローストリ
アセテートからなる部分とは、重量比で35:65〜
5:95、好ましくは35:65〜20:80に複合化
されており、この比率の範囲外では、繊維にふくらみ感
は得られるもののハリやコシがないものとなる。少なく
とも一部がセルロースからなる部分が前記比率よりも大
きくなると、繊維のしなやかさが失われ、比較的硬い風
合いになる。一方、セルローストリアセテート成分が前
記比率よりも大きくなると、捲縮の発現が抑制され、ふ
くらみ感が低下する。
も一部がセルロースからなる部分と、平均酢化度56.
2〜62.5%のセルローストリアセテートからなる部
分とがサイドバイサイドに特定複合比で複合されている
ことにより、例えば、75デニール/20フィラメント
では、1.25〜1.70cm3/gの嵩高度、27%
未満の捲縮率、天竺編地(28ゲージ )で0.25〜
0.38mmの布厚を有する嵩高性の高い繊維であり、
通常のアセテート繊維に比し嵩高度(cm3/g)や同
一組織の編地での布厚が大きく、しかも、しなやかさを
保った布帛となり、従来のアセテート繊維には見られぬ
ふくらみ感、ソフト感を奏する。
次のような方法が採られる。平均酢化度が48.8%〜
56.2%未満のセルロースジアセテートと平均酢化度
が56.2〜62.5%のセルローストリアセテート
を、塩化メチレン等の溶剤或いは塩化メチレンとメタノ
ール等の混合溶剤にそれぞれ溶解し、各々の濃度を15
〜30重量%、好ましくは18〜27重量%にし、2種
の紡糸原液を調製する。これらの紡糸原液をノズルパッ
クへ供給し、セルロースジアセテート成分とセルロース
トリアセテート成分を重量比で40:60〜10:90
の複合比になるようにサイドバイサイド型に両紡糸原液
を合流させ、ノズルより高温雰囲気中に吐出し、溶剤を
揮散させることにより、前駆体繊維を製造する。
のセルロースジアセテートと平均酢化度56.2〜6
2.5%のセルローストリアセテートが重量比で40:
60〜10:90のサイドバイサイドに複合された繊維
であるが、その外観は通常のアセテート繊維と差異はな
く、ふくらみ感のないものである。本発明においては、
この特定の前駆体繊維を、アルカリ処理することが必要
である。
ム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム等のアルカリ化合
物を用い、かかるアルカリ化合物の溶液に前駆体繊維を
浸漬、パッデイング等により含浸させて処理する。アル
カリ処理における処理液濃度、処理温度、処理時間は、
用いるアルカリ化合物により、また目的物により異なる
が、好ましいアルカリ処理条件を挙げるならば、水酸化
ナトリウム水溶液を用いた場合、水酸化ナトリウム濃度
は5重量%を超えない濃度、処理温度は30〜100
℃、処理時間は15分以内であり、減量率で10〜30
重量%を目安に処理する。かかるアルカリ処理により、
前駆体繊維より本発明のアセテート複合繊維を得ること
ができる。
を受け脱アセチル化されるが、各複合成分のうち、セル
ローストリアセテートは、殆ど影響されず、アルカリ処
理の影響を受け易いセルロースジアセテートは、減量さ
れると共に、低酢化度のセルロースアセテートまたはさ
らにセルロースへ転化して、相対的にセルローストリア
セテートの複合比率が増大したアセテート複合繊維とな
る。また、前駆体繊維の各複合成分のアルカリ処理によ
って受ける影響の差により、複合成分間に収縮差を生
じ、得られるアセテート複合繊維は、前述の如く大きな
捲縮特性を発現し、この捲縮特性による嵩高性の向上に
よりふくらみ感を奏する。
リアセテート繊維は、水分保持能力が低いが、特定の複
合構造の前駆体繊維のアルカリ処理によって得る本発明
のアセテート複合繊維は、セルロースまたは平均酢化度
48.8%未満のセルロースアセテートが繊維側面に存
在するものであるから、セルローストリアセテート成分
が多いにもかかわらず、吸水、吸湿性が改善された繊維
となしうる。
る。なお、実施例中の酢化度、嵩高度、布厚は、次の方
法で測定した。酢化度:セルローストリアセテートの酢
化度は、JIS L1013C法、セルロースジアセテ
ート及び低酢化度セルロースアセテートの酢化度は、J
IS L1013B法に拠り、それぞれ測定した。嵩高
度:両つばのある嵩高度測定用ロールにテンサーを介し
0.1g/dの張力下に試料繊維を巻取り、巻取り試料
繊維の重量Wと巻取り試料繊維のロール上に占める容積
Vを測定し、嵩高度DをD=V/Wの式より求めた。布
厚:75デニール/20フィラメントの糸を用い28ゲ
ージで編成した天竺編地の厚みを測定した。
均酢化度55.2%のセルロースジアセテートを、それ
ぞれ塩化メチレン91重量%/メタノール9重量%の混
合溶剤に溶解し、セルローストリアセテート濃度22重
量%の紡糸原液及びセルロースジアセテート濃度22重
量%の紡糸原液を調製した。これらの紡糸原液を用い、
乾式紡糸法により、セルロースジアセテート成分とセル
ローストリアセテート成分を重量比で35:65の複合
比にサイドバイサイドに複合紡糸し、75デニール/2
0フィラメントのサイドバイサイド型に複合された前駆
体繊維を得た。次いで、得られた前駆体繊維を下記の条
件の処理液に浸漬して減量率20重量%にアルカリ処理
し、アセテート繊維を得た。得られたアセテート繊維
は、セルロース(酢化度0%)と平均酢化度61.6%
のセルローストリアセテートが重量比で25:75にサ
イドバイサイドに複合されたアセテート複合繊維であっ
た。また、得られたアセテート繊維は、その繊維物性を
表1に示したが、従来のトリアセテート繊維単独の場合
と比較して嵩高性が向上し、ふくらみ感を有し、しか
も、ソフト感を合わせ持つものであった。
ーストリアセテート成分の複合比(重量比)を22:7
8に代える以外は、実施例1と同様にして、75デニー
ル/20フィラメントのサイドバイサイド型に複合され
た前駆体繊維を得た。次いで、得られた前駆体繊維を実
施例1と同様にアルカリ処理し、アセテート繊維を得
た。得られたアセテート繊維は、セルロース(酢化度0
%)と平均酢化度61.6%のセルローストリアセテー
トが重量比で15:85にサイドバイサイドに複合され
たアセテート複合繊維であった。また、得られたアセテ
ート繊維の繊維物性を表1に示した。
ーストリアセテート成分の複合比を重量比で50:50
に代える以外は、実施例1と同様にして、75デニール
/20フィラメントのサイドバイサイド型に複合された
前駆体繊維を得た。次いで、得られた前駆体繊維を実施
例1と同様にアルカリ処理し、アセテート繊維を得た。
得られたアセテート繊維は、セルロース(酢化度0%)
と平均酢化度61.6%のセルローストリアセテートが
重量比で38:62にサイドバイサイドに複合されたア
セテート複合繊維であった。また、得られたアセテート
繊維の繊維物性を表1に示した。
化メチレン91重量%/メタノール9重量%の混合溶剤
に溶解し、セルローストリアセテート濃度21.95重
量%の紡糸原液を調製した。この紡糸原液を用い、乾式
紡糸法により通常の紡糸をし、75デニール/20フィ
ラメントのセルローストリアセテート繊維を得た。得ら
れたアセテート繊維の繊維物性を参考として表1に示し
た。
ーストリアセテートCe:セルロースを示す。
ト複合繊維は、従来のトリアセテート単独の繊維に比較
して、嵩高性が高く、ふくらみ感を有している。しか
も、しなやかさを保持したソフト感を有したものであ
る。一方、比較例1は、嵩高性は、本発明よりも大きい
が、しなやかさに劣るものであった。
アセテート繊維の有するドライな感触の風合いとは異な
り、吸水性、吸湿性、さらに、ふくらみ感、ソフト感を
有し、しかも、しなやかさ、ハリ、コシを保持した繊維
であり、衣料用途に好適なるものである。このことによ
り、より高品質の繊維を追求する消費者ニーズの多様化
に応えるもので、その価値は、極めて多大といえる。
Claims (2)
- 【請求項1】 少なくとも一部がセルロースからなる部
分と、平均酢化度56.2〜62.5%のセルロースト
リアセテートからなる部分が、重量比35:65〜5:
95でサイドバイサイドに複合されていることを特徴と
するアセテート複合繊維。 - 【請求項2】 平均酢化度56.2%未満のセルロース
ジアセテートと平均酢化度56.2〜62.5%のセル
ローストリアセテートが重量比40:60〜10:90
でサイドバイサイドに複合された前駆体繊維をアルカリ
処理することを特徴とする請求項1記載のアセテート複
合繊維の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25454193A JP2932337B2 (ja) | 1993-10-12 | 1993-10-12 | アセテート複合繊維及びその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP25454193A JP2932337B2 (ja) | 1993-10-12 | 1993-10-12 | アセテート複合繊維及びその製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07109622A JPH07109622A (ja) | 1995-04-25 |
JP2932337B2 true JP2932337B2 (ja) | 1999-08-09 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25454193A Expired - Fee Related JP2932337B2 (ja) | 1993-10-12 | 1993-10-12 | アセテート複合繊維及びその製造法 |
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KR100406884B1 (ko) * | 2001-05-22 | 2003-11-21 | 에스케이케미칼주식회사 | 셀룰로오스 이수축 혼섬직물의 제조방법 |
KR100472384B1 (ko) * | 2001-06-22 | 2005-03-08 | 에스케이케미칼주식회사 | 콜드 패드 배치법에 의한 셀룰로오스 섬유의 제조방법 |
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-
1993
- 1993-10-12 JP JP25454193A patent/JP2932337B2/ja not_active Expired - Fee Related
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