JP3376110B2 - 潜在捲縮性アセテート複合繊維及びその製造方法 - Google Patents
潜在捲縮性アセテート複合繊維及びその製造方法Info
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Description
複合繊維及びその製造方法に関する。
感触、深みのある色調、さらには他繊維との親和性に優
れているが、反面ふくらみ感、軽量感にやや欠けるとこ
ろがある。これは、アセテート繊維が乾式紡糸法により
製造されるという原糸製造の基本紡糸法に起因するもの
である。しかしながら、アセテート繊維においても、消
費者ニーズの多様化により、ふくらみ感、軽量感を有す
る繊維が求められており、このため、例えば紡糸過程で
ノズル形状を異型化し繊維を異型断面とする方法、或い
は後加工で繊維を嵩高加工する方法等が提案されている
が、これらの方法では、ふくらみ感が十分でなかった
り、或いはふくらみ感は得られてもハリ、コシが損なわ
れる場合が多い。
を用い、サイドバイサイド型に複合紡糸し熱水処理によ
り捲縮付与する方法も提案(特公昭43ー25941号
公報)されているが、ある程度のふくらみ感は得られる
ものの、満足すべきふくらみ感を得るには至っていな
い。
バイサイド型に複合紡糸しアルカリ処理を施して自発捲
縮を発現させる方法もあるが、得られるアセテート複合
繊維内の高酢化度成分の成分比を大きくすると、ソフト
感は向上するが、嵩高度は十分に大きくは得られない。
一方、得られるアセテート複合繊維内の収縮部分である
低酢化度成分の成分比を大きくすると、嵩高度は大きく
は得られるが、しなやかなソフト風合いは得られ難い。
軸方向に沿って変動させる方法により、大きな嵩高度及
びソフト風合いを付与することも可能であるが、フィラ
メントに発現する自発捲縮の捲縮力が不十分で、織編物
の組織により十分な捲縮発現が得られない場合がある。
複合繊維における複合成分間の酢化度差の拡大と単繊維
繊度の極細化とを組み合わせたことにあり、本発明の目
的は、しなやかなソフトな風合い及び大きなふくらみ感
を発現し、かつ十分な捲縮力を有する潜在捲縮性アセテ
ート複合繊維を提供することにある。
化度48.8%未満のセルロースアセテート成分又はセ
ルロース成分と平均酢化度56.2〜62.5%のセル
ローストリアセテート成分がサイドバイサイド型に貼り
合わされ、単繊維繊度が0.8〜2.0デニールのアセ
テート複合繊維であって、かつ2.0cm3/g以上の
嵩高度及び30%以上の捲縮率を有する潜在捲縮性アセ
テート複合繊維、及び、
アセテートと平均酢化度56.2%〜62.5%のセル
ローストリアセテートをサイドバイサイド型に複合紡糸
し、単繊維繊度を1.0〜2.5デニールとした前駆体
繊維を、アルカリ水溶液で鹸化処理することを特徴とす
る潜在捲縮性アセテート複合繊維の製造方法にある。
は、2種の構成成分がサイドバイサイド型に貼り合わさ
れた複合構造をなすものであり、一方の構成成分は、平
均酢化度48.8%未満のセルロースアセテート又はセ
ルロースであり、他方の構成成分は、平均酢化度56.
2〜62.5%のセルローストリアセテートである。
維においては、その単繊維繊度が0.8〜2.0デニー
ル(以下d)であり、かつ、後述の実施例での測定方法
による2.0cm3/g以上の嵩高度及び30%以上の
捲縮率を有し、かかる大きな嵩高性及び捲縮率が、繊維
の極細繊度と相俟って、しなやかなソフトな風合い及び
ふくらみ感をもたらす。
は、次のようにして得られる。すなわち、平均酢化度5
6.2%未満、好ましくは平均酢化度56.2%未満4
8.8%以上のセルロースジアセテートと平均酢化度5
6.2%〜62.5%のセルローストリアセテートをサ
イドバイサイド型に複合紡糸し、単繊維繊度を1.0〜
2.5dとした前駆体繊維を、アルカリ水溶液で鹸化処
理することにより得られる。
体繊維の複合成分のうち平均酢化度56.2%未満のセ
ルロースジアセテート成分が選択的に部分鹸化減量さ
れ、その処理条件により酢化度48.8%未満の低酢化
度セルロースアセテート乃至酢化度0%のセルロースと
なる。又、このアルカリ鹸化処理でのセルロースジアセ
テート成分の部分減量により、元の前駆体繊維全体の0
〜20wt%を減量させ、単繊維繊度を0.8〜2.0
dとする。
得る方法を、更に説明すると、前駆体繊維を構成するセ
ルロースジアセテート成分とセルローストリアセテート
成分の複合比(重量比)は、特に限定されるものではな
く目的に応じて設定すればよいが、好ましい複合比は、
セルロースジアセテート成分/セルローストリアセテー
ト成分=40/60〜60/40である。
維繊度0.8〜2.0dの潜在捲縮性アセテート複合繊
維を得るためには、前駆体繊維の単繊維繊度を1.0〜
2.5d、好ましくは1.2〜2.0dにしておくこと
が必要である。かかる単繊維繊度の前駆体繊維を得るた
めには、前駆体繊維の製造時に細孔径の紡糸ノズルを用
いる、紡糸から巻取りまでのドラフトを大きくする、或
いは希釈紡糸原液を用いる等の方法があるが、用いる手
段は、得られるアセテート複合繊維の糸物性や製造設備
等を考慮して決定される。
化処理することにより本発明の潜在捲縮性アセテート複
合繊維を得るが、鹸化処理は、水酸化ナトリウム、炭酸
カルシウム等のアルカリ化合物の水溶液に前駆体繊維を
浸漬する等の方法により行われる。処理条件は、アルカ
リ化合物、前駆体繊維の構成等により異なるが、水酸化
ナトリウムを使用する場合であれば、水酸化ナトリウム
5wt%未満の濃度、30〜100℃の処理温度、15
分以下の処理時間である。
維は、そのセルロースジアセテート成分が選択的に鹸化
減量されてその酢化度がより低くなり高収縮を生じ捲縮
が発現するとともに、前駆体繊維の単繊維繊度が極細化
されているために、アルカリ鹸化処理により発現するヘ
リカルコイル様の捲縮の繊維軸方向の発現頻度がより増
大することにより、2.0cm3/g以上の嵩高度及び
30%以上の捲縮率を示す繊維となり、しなやかなソフ
トな風合い及び大きなふくらみ感を発現し、かつ十分な
捲縮力を有する本発明の潜在捲縮性アセテート複合繊維
が得られる。
る。なお、実施例及び比較例におけるふくらみ感を表す
嵩高度、捲縮率及び風合いの測定方法を下記に示す。
3.5mmの溝部を有するロールの溝部に0.1g/d
の張力下に巻取り、溝部に巻取られた試料の重量Wと試
料が占める溝部の容積Vを測定し、嵩高度D(cm3/
g)を式D=V/Wより算出した。 捲縮率:試料の一端を固定し、10mg/dの荷重を加
えて30秒後の試料長A、続いて1g/dの荷重を加え
て30秒後の試料長Bを測定し、捲縮率Ce(%)を式
Ce=(B−A)/B×100より算出した。 風合い:官能テストでソフト感を判定し、極めて良好な
方から順に◎、○、△、×で示した。
ローストリアセテートと平均酢化度55.2%のセルロ
ースジアセテートをそれぞれ塩化メチレン/メタノール
(=91/9)の混合溶剤に溶解し、原液濃度22重量
%のセルローストリアセテート紡糸原液、及びセルロー
スジアセテート紡糸原液をそれぞれ調製した。これらの
紡糸原液を用い、乾式紡糸法によりセルローストリアセ
テート成分/セルロースジアセテート成分=50/50
の複合比(重量比)でサイドバイサイド型複合紡糸を行
い、50d/20フィラメント(以下f)の前駆体繊維
を得た。
カリ水溶液に浸漬し鹸化処理した。 アルカリ水溶液 水酸化ナトリウム1wt%水溶液 温度 60℃ 時間 10分 浴比 1:100 得られた繊維は、酢化度0%のセルロース成分と酢化度
61.6%のセルローストリアセテート成分とがサイド
バイサイド型に貼り合わされた複合構造をなしており、
表1に繊維の実測繊度、繊維物性、嵩高度、捲縮率、風
合いを示した。
ローストリアセテート紡糸原液とセルロースジアセテー
ト紡糸原液を用い、乾式紡糸法によりセルローストリア
セテート成分/セルロースジアセテート成分=50/5
0の複合比でサイドバイサイド型複合紡糸を行い、40
d/20fの前駆体繊維を得た。次いで、この前駆体繊
維を実施例1と同じ条件でアルカリ鹸化処理した。得ら
れた繊維は、酢化度0%のセルロース成分と酢化度6
1.6%のセルローストリアセテート成分とがサイドバ
イサイド型に貼り合わされた複合構造をなしており、表
1に繊維の実測繊度、繊維物性、嵩高度、捲縮率、風合
いを示した。
ローストリアセテート紡糸原液とセルロースジアセテー
ト紡糸原液を用い、乾式紡糸法によりセルローストリア
セテート成分/セルロースジアセテート成分=50/5
0の複合比でサイドバイサイド型複合紡糸を行い、30
d/20fの前駆体繊維を得た。次いで、この前駆体繊
維を実施例1と同じ条件でアルカリ処理をした。得られ
た繊維は、酢化度0%のセルロース成分と酢化度61.
6%のセルローストリアセテート成分とがサイドバイサ
イド型に貼り合わされた複合構造をなしており、表1に
繊維の実測繊度、繊維物性、嵩高度、捲縮率、風合いを
示した。
ローストリアセテート紡糸原液とセルロースジアセテー
ト紡糸原液を用い、乾式紡糸法によりセルローストリア
セテート成分/セルロースジアセテート成分=50/5
0の複合比でサイドバイサイド型複合紡糸を行い、75
d/20fの前駆体繊維を得た。次いで、この前駆体繊
維を実施例1と同じ条件でアルカリ処理をした。得られ
たアセテート複合繊維は、酢化度0%のセルロース成分
と酢化度61.6%のセルローストリアセテート成分と
のサイドバイサイド型の複合構造をなしており、表1に
繊維の実測繊度、繊維物性、嵩高度、捲縮率、風合いを
示した。
ローストリアセテート紡糸原液とセルロースジアセテー
ト紡糸原液を用い、乾式紡糸法によりセルローストリア
セテート成分/セルロースジアセテート成分=65/3
5の複合比でサイドバイサイド型複合紡糸を行い、75
d/20fの前駆体繊維を得た。次いで、この前駆体繊
維を実施例1と同じ条件でアルカリ処理をした。得られ
たアセテート複合繊維は、酢化度0%のセルロース成分
と酢化度61.6%のセルローストリアセテート成分と
のサイドバイサイド型の複合構造をなしており、表1に
繊維の実測繊度、繊維物性、嵩高度、捲縮率、風合いを
示した。
ローストリアセテート紡糸原液とセルロースジアセテー
ト紡糸原液を用い、乾式紡糸法によりセルローストリア
セテート成分/セルロースジアセテート成分=35/6
5の複合比で複合紡糸を行い、75d/20fの前駆体
繊維を得た。次いで、この前駆体繊維を実施例1と同じ
条件でアルカリ処理をした。得られたアセテート複合繊
維は、酢化度0%のセルロース成分と酢化度61.6%
のセルローストリアセテート成分とのサイドバイサイド
型の複合構造をなしており、表1に繊維の実測繊度、繊
維物性、嵩高度、捲縮率、風合いを示した。
ローストリアセテート紡糸原液とセルロースジアセテー
ト紡糸原液を用い、乾式紡糸法によりセルローストリア
セテート成分/セルロースジアセテート成分=50/5
0の複合比でサイドバイサイド型複合紡糸を行い、繊維
全体の繊維断面におけるセルローストリアセテート成分
の面積比の平均値に対して繊維軸方向に±20%以上の
変動幅を有する75d/20fの前駆体繊維を得た。次
いで、この前駆体繊維を実施例1と同じ条件でアルカリ
処理をした。得られたアセテート複合繊維は、酢化度0
%のセルロース成分と酢化度61.6%のセルロースト
リアセテート成分とのサイドバイサイド型の複合構造を
なしており、表1に繊維の実測繊度、繊維物性、嵩高
度、捲縮率、風合いを示した。
方法に従って、平均酢化度61.6%のセルローストリ
アセテートを塩化メチレン/メタノール=91/9の混
合溶剤に溶解し、原液濃度21.95重量%のセルロー
ストリアセテート紡糸原液を調製した。この紡糸原液を
用いて乾式紡糸法により75d/20fのセルロースト
リアセテート繊維を得た。表1に繊維の実測繊度、繊維
物性、嵩高度、風合いを示した。
比較例5の従来のトリアセテート繊維と比較して若干低
いが、実用上は全く問題無いものであった。又、本発明
の繊維は、比較例1〜3の単繊維繊度が2.5dを超え
る複合繊維から得られる繊維と比較して、嵩高性、捲縮
特性、風合いが共に優れたものとなっている。また、比
較例4の構成成分の面積比の変動が有る複合繊維から得
られる繊維と比較しても、嵩高性、風合いは同程度であ
るが、捲縮特性が優れており、しなやかなソフトな風合
い及び良好なふくらみ感を発現し、かつ大きな捲縮力を
有するものであった。
は、従来のアセテート繊維の有するドライでシルキー調
な風合いとは全く異なり、ソフトな風合い及び良好なふ
くらみ感を有し、かつ単繊維繊度を極細化することによ
り、しなやかなソフトな風合い、大きな嵩高性及び良好
な捲縮力を同時に具備するものであり、本発明は、アセ
テート繊維としての用途を拡大することを可能とするも
ので、その価値は極めて大である。
Claims (2)
- 【請求項1】 平均酢化度48.8%未満のセルロース
アセテート成分又はセルロース成分と平均酢化度56.
2〜62.5%のセルローストリアセテート成分がサイ
ドバイサイド型に貼り合わされ、単繊維繊度が0.8〜
2.0デニールのアセテート複合繊維であって、かつ
2.0cm3/g以上の嵩高度及び30%以上の捲縮率
を有する潜在捲縮性アセテート複合繊維。 - 【請求項2】 平均酢化度56.2%未満のセルロース
ジアセテートと平均酢化度56.2%〜62.5%のセ
ルローストリアセテートをサイドバイサイド型に複合紡
糸し、単繊維繊度を1.0〜2.5デニールとしたアセ
テート複合前駆体繊維を、アルカリ水溶液で鹸化処理す
ることを特徴とする潜在捲縮性アセテート複合繊維の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15815494A JP3376110B2 (ja) | 1994-06-17 | 1994-06-17 | 潜在捲縮性アセテート複合繊維及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15815494A JP3376110B2 (ja) | 1994-06-17 | 1994-06-17 | 潜在捲縮性アセテート複合繊維及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH083820A JPH083820A (ja) | 1996-01-09 |
JP3376110B2 true JP3376110B2 (ja) | 2003-02-10 |
Family
ID=15665450
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15815494A Expired - Lifetime JP3376110B2 (ja) | 1994-06-17 | 1994-06-17 | 潜在捲縮性アセテート複合繊維及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3376110B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100472827B1 (ko) * | 2001-03-21 | 2005-03-07 | 에스케이케미칼주식회사 | 셀룰로오스/셀룰로오스 트리아세테이트 복합직물의 제조방법 |
-
1994
- 1994-06-17 JP JP15815494A patent/JP3376110B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH083820A (ja) | 1996-01-09 |
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