JP2000064139A - 特殊断面ポリエステル複合糸 - Google Patents
特殊断面ポリエステル複合糸Info
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- JP2000064139A JP2000064139A JP10232778A JP23277898A JP2000064139A JP 2000064139 A JP2000064139 A JP 2000064139A JP 10232778 A JP10232778 A JP 10232778A JP 23277898 A JP23277898 A JP 23277898A JP 2000064139 A JP2000064139 A JP 2000064139A
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- Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 偏平断面糸のもつサラリとした手触り感を有
する綿タッチの風合を損なうことなく熱処理後の布帛に
伸縮性能とハリ,コシを付与することのできる特殊断面
ポリエステル複合糸を提供する。 【解決手段】 潜在捲縮性能を有する非捲縮糸と,任意
の横断面において,糸条を構成するフィラメントの少な
くとも一部が中空部を有する捲縮糸とが混繊された複合
糸である。そして,前記捲縮糸の任意の横断面における
中空フィラメントの平均中空率が5〜20%であり,か
つ,前記捲縮糸は断面偏平度が2.0以上のフィラメント
を40〜85%含有する。
する綿タッチの風合を損なうことなく熱処理後の布帛に
伸縮性能とハリ,コシを付与することのできる特殊断面
ポリエステル複合糸を提供する。 【解決手段】 潜在捲縮性能を有する非捲縮糸と,任意
の横断面において,糸条を構成するフィラメントの少な
くとも一部が中空部を有する捲縮糸とが混繊された複合
糸である。そして,前記捲縮糸の任意の横断面における
中空フィラメントの平均中空率が5〜20%であり,か
つ,前記捲縮糸は断面偏平度が2.0以上のフィラメント
を40〜85%含有する。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,ポリエステル系潜
在捲縮糸の捲縮発現による伸縮性及びハリ,コシと,特
殊断面による綿タッチのサラリとした風合を得ることの
できる特殊断面ポリエステル複合糸に関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術】ポリエステルマルチフィラメント糸を綿
風合に近づけるために種々の工夫がなされている。その
うち,断面形状を綿のように偏平断面とするため,中空
断面を有するポリエステル糸を仮撚加工することが提案
されている。 【0003】例えば,特開昭55−122031号公報
には,中空部を有するポリエステル糸を仮撚加工し,中
空部が消滅した偏平断面糸とする方法が開示されてい
る。また,特開昭54−151650号公報や特許第2
667171号公報には,中空部を有するマルチフィラ
メント糸を仮撚加工して,中空部を有した状態で偏平断
面とした中空加工糸が提案されている。しかし,これら
の加工糸は,単フィラメントがほぼ均一な偏平断面を有
しているものであり,綿のような種々の断面形状とする
ことはできなかった。 【0004】さらに,特開平9−273038号公報で
は,偏平断面の加工糸と非捲縮の中空糸を空気混繊した
加工糸が提案されているが,この非捲縮糸は熱処理後に
伸縮性が発現しないものであった。また,特開平5−3
11533号公報には,潜在捲縮性能を有する糸条とシ
ックアンドシンを有する糸条とを同時延伸仮撚加工した
複合捲縮糸が開示されているが,両糸条ともに捲縮加工
されているため,ポリエステル非捲縮糸特有のハリ,コ
シを布帛に与えることができなかった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は,上記の問題
を解決し,非捲縮糸の潜在捲縮性能を利用することによ
って,偏平断面糸のもつサラリとした手触り感を有する
綿タッチの風合を損なうことなく熱処理後の布帛に伸縮
性能とハリ,コシを付与することのできる特殊断面ポリ
エステル複合糸を提供することを技術的な課題とするも
のである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは,上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果,本発明に到達し
た。すなわち,本発明は,潜在捲縮性能を有する非捲縮
糸と,任意の横断面において,糸条を構成するフィラメ
ントの少なくとも一部が中空部を有する捲縮糸とが混繊
された複合糸であって,前記捲縮糸の任意の横断面にお
ける中空フィラメントの平均中空率が5〜20%であ
り,かつ,前記捲縮糸は断面偏平度が2.0以上のフィラ
メントを40〜85%含有することを特徴とする特殊断
面ポリエステル複合糸を要旨とするものである。 【0007】 【発明の実施の形態】以下,本発明について詳細に説明
する。 【0008】本発明におけるポリエステルとは,ポリエ
チレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートを
主体とするものであれば,ホモポリエステル,共重合ポ
リエステルのいずれであってもよい。 【0009】本発明の特殊断面ポリエステル複合糸は,
非捲縮糸と捲縮糸が混繊されたものである。そして,非
捲縮糸は,潜在捲縮性能を有している必要があり,この
潜在捲縮性能を有する糸条としては,熱水(沸水)収縮
率が10%以下で,かつ沸水30分間処理後の捲縮率が
30%以上となるポリエステル複合繊維が好ましい。非
捲縮糸が潜在捲縮性能を有し,好ましくは熱水収縮率が
10%以下で,かつ熱水による捲縮発現率を30%以上
とすることによって,染色後の布帛に優れた伸縮性能を
付与することができる。すなわち,上記の潜在捲縮性能
を有する非捲縮糸は,仮撚の撚歪みを受けることなく,
高ヤング率を保持したまま,染色時の熱処理により捲縮
が発現して収縮するので,布帛にふくらみ感とハリ,コ
シと同時に伸縮性を付与することができる。 【0010】次に,上記の非捲縮糸とともに本発明の特
殊断面ポリエステル複合糸を構成する捲縮糸は,任意の
断面において,糸条を構成する少なくとも一部のフィラ
メントが中空部を有しており,各フィラメントの中空率
は一定ではないが,中空部を有するフィラメントの平均
中空率は5〜20%である。平均中空率が5%未満では
中空率の変化が少なくなる。また,20%を超えると,
中空率の大きいものが多くなり,中空フィラメントの割
れが生じ,布帛表面に毛羽立ちが発生する。 【0011】上記の中空部を有するフィラメントは,捲
縮糸を構成する全フィラメント数の50%以下,特に1
0〜40%とすることが好ましい。中空部を有するフィ
ラメントが50%以上では,中空部を有しない偏平断面
フィラメントの偏平度を2.0以上とすることが困難とな
る。 【0012】上記の捲縮糸は,断面偏平度が2.0以上あ
るフィラメントの本数が糸条を構成する全フィラメント
本数の40〜85%存在する必要がある。この偏平度が
2.0以上のフィラメントが40%未満しか存在しない場
合は,偏平糸によるサラリとした触感を布帛に与えるこ
とができない。また,85%を超えて存在すると,ガサ
ツキ感が生じる。そして,このように断面偏平度が2.0
以上のフィラメントが40〜85%存在するときにはじ
めてフィラメントの断面変形が変化に富んだ形状を示
し,布帛にサラリとした綿タッチの風合を付与すること
ができる。 【0013】本発明の特殊断面ポリエステル複合糸は,
上記した構成を満足する非捲縮糸と捲縮糸が混繊された
糸条であり,この糸条を織編物にし,染色処理等の熱処
理を施せば,非捲縮糸に捲縮が発現して伸縮性が付与さ
れるとともに,捲縮糸の中空及び偏平による綿タッチの
サラリとした風合が付与される。 【0014】次に,本発明の特殊断面ポリエステル複合
糸の製法例について説明する。まず,潜在捲縮性能を有
する非捲縮糸,好ましくは沸水処理後の捲縮率が30%
以上となる非捲縮糸は,熱収縮特性の異なる粘度差(極
限粘度差が0.10以上)を有する2成分のポリエステル
重合体をサイドバイサイド型に貼り合わせて複合紡糸
し,延伸することによって得ることができる。 【0015】次に,捲縮糸は,ポリエステルを公知の方
法で中空部を有する糸条となした後,仮撚加工を施すこ
とによって得ることができるが,偏平度を大きくするた
めには,高配向未延伸糸を用いることが必要であり,こ
の高配向未延伸糸に太細があれば,偏平度が種々に変形
するので,よりよい風合を得るために好適に用いること
ができる。上記工程において,仮撚加工は,中空の一部
が消失せず,かつ中空部をつぶして偏平度が2.0以上と
なる仮撚数と延伸倍率を採用すればよいが,仮撚数T
(T/M)は,仮撚加工後の繊度D(d)に対し,T=
(18000〜25000)/D1/2(T/M)で,延伸
倍率を1.10〜1.35倍の範囲で設定するのが好まし
い。 【0016】続いて,非捲縮糸と捲縮糸を複合交絡させ
るが,その手段としては,空気交絡方法として公知のイ
ンターレース法が好ましく用いられる。インターレース
時の給糸条件としては,両糸条を引き揃えて交絡させる
か,捲縮糸の方を非捲縮糸より1〜5%多く供給して交
絡させることが好ましい。 【0017】なお,本発明における断面偏平度,平均中
空率,熱水収縮率及び捲縮率は,それぞれ次のようにし
て測定される値である。 (1) 断面偏平度 捲縮糸のみの断面写真を拡大したものを使用し,フィラ
メント断面の最大に離れている2点を結ぶ直線(最長
径:A)と,この直線に直交する個所で最大の長さと最
小になる個所の直線の平均値(短径:B)を計測し,A
/Bの値を偏平度とする。 (2) 平均中空率 捲縮糸のみの断面の拡大写真より中空部を含む外周部の
重量(C)と中空部の重量(D)を測定し,中空率
(E)=〔D/C〕×100(%)とし,中空部を有す
るフィラメントの中空率(E)の合計を中空部を有する
全フィラメント数で除した値である。 (3) 熱水収縮率 非捲縮糸を0.1g/dの張力下で10回綛に巻いて輪に
なった試料を得て,この試料に1g/dの荷重をつけて
輪の長さ(F)を測定した後,荷重を外して沸水中で3
0分間熱処理し,風乾する。次いで,1g/dの荷重下で
輪の長さ(G)を測定し,次式により算出する。 熱水収縮率(%)=〔(F−G)/F〕×100 (4) 捲縮率 0. 1g/dの張力下で10回綛に巻いて輪になった糸
条を1/6000g/dの荷重下で30分間放置した
後,この状態を維持したまま沸水中に入れて,30分間
放置する。その後,風乾し,1/500g/dの荷重を
かけて長さ(H)を測定する。次に,荷重を外し,1/
20g/dの荷重をかけてその長さ(I)を測定し,次
式により算出する。 捲縮率(%)=〔(I−H)/I〕×100 【0018】 【実施例】次に,本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。 実施例1,比較例1,2 常法の高速紡糸法によって,断面が円形中空型で,中空
率25%のポリエチレンテレフタレート高配向未延伸糸
を紡糸し,次いで熱処理と延伸によってシック部とシン
部を有する太細糸160d/36fを得た(実施例1と
比較例1の捲縮糸用)。また,極限粘度〔η〕0.45と
〔η〕0.68のポリエチレンテレフタレートを複合紡
糸,延伸して,サイドバイサイド型の複合繊維50d/
12fを得た(実施例1と比較例2の非捲縮糸用)。 【0019】比較のため,50d/12fの複合繊維に
代えて通常のポリエチレンテレフタレート延伸糸50d
/12f(比較例1の非捲縮糸用)と,中空部を有しな
い160d/36fのポリエチレンテレフタレート高配
向未延伸糸(比較例2の捲縮糸用)を得た。これらの糸
条を用い,仮撚工程と空気交絡工程を備えた加工装置に
て,表1の糸加工条件によって仮撚加工と空気交絡加工
を行った。 【0020】 【表1】得られた複合糸の物性を測定した結果を表2に示す。 【0021】 【表2】 得られた複合糸に500T/Mの追撚を施して,経糸密
度80本/2.54cm,緯糸密度50本/2.54cmで平織
物を試作した。次いで,通常の染色仕上げ加工を行った
ところ,実施例1で得られた織物は,サラリとした綿タ
ッチな手触り感と,ほどよい伸縮性のある,ハリ,コシ
を有するものであった。 【0022】一方,比較例1の織物は,綿タッチは感じ
られるが,伸縮性とハリ,コシに乏しいものであった。
また,比較例2は,伸縮性とハリ,コシを有した通常の
加工糸織物であった。 【0023】 【発明の効果】本発明によれば,中空部と変形の大きい
偏平糸のもつサラリとした手触り感を有する綿タッチの
風合を損ねることなく,ポリエステル繊維特有のハリ,
コシを向上させ,さらに,着心地のよい適度な伸縮性を
布帛に付与することのできる特殊断面ポリエステル複合
糸が提供される。
在捲縮糸の捲縮発現による伸縮性及びハリ,コシと,特
殊断面による綿タッチのサラリとした風合を得ることの
できる特殊断面ポリエステル複合糸に関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術】ポリエステルマルチフィラメント糸を綿
風合に近づけるために種々の工夫がなされている。その
うち,断面形状を綿のように偏平断面とするため,中空
断面を有するポリエステル糸を仮撚加工することが提案
されている。 【0003】例えば,特開昭55−122031号公報
には,中空部を有するポリエステル糸を仮撚加工し,中
空部が消滅した偏平断面糸とする方法が開示されてい
る。また,特開昭54−151650号公報や特許第2
667171号公報には,中空部を有するマルチフィラ
メント糸を仮撚加工して,中空部を有した状態で偏平断
面とした中空加工糸が提案されている。しかし,これら
の加工糸は,単フィラメントがほぼ均一な偏平断面を有
しているものであり,綿のような種々の断面形状とする
ことはできなかった。 【0004】さらに,特開平9−273038号公報で
は,偏平断面の加工糸と非捲縮の中空糸を空気混繊した
加工糸が提案されているが,この非捲縮糸は熱処理後に
伸縮性が発現しないものであった。また,特開平5−3
11533号公報には,潜在捲縮性能を有する糸条とシ
ックアンドシンを有する糸条とを同時延伸仮撚加工した
複合捲縮糸が開示されているが,両糸条ともに捲縮加工
されているため,ポリエステル非捲縮糸特有のハリ,コ
シを布帛に与えることができなかった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は,上記の問題
を解決し,非捲縮糸の潜在捲縮性能を利用することによ
って,偏平断面糸のもつサラリとした手触り感を有する
綿タッチの風合を損なうことなく熱処理後の布帛に伸縮
性能とハリ,コシを付与することのできる特殊断面ポリ
エステル複合糸を提供することを技術的な課題とするも
のである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは,上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果,本発明に到達し
た。すなわち,本発明は,潜在捲縮性能を有する非捲縮
糸と,任意の横断面において,糸条を構成するフィラメ
ントの少なくとも一部が中空部を有する捲縮糸とが混繊
された複合糸であって,前記捲縮糸の任意の横断面にお
ける中空フィラメントの平均中空率が5〜20%であ
り,かつ,前記捲縮糸は断面偏平度が2.0以上のフィラ
メントを40〜85%含有することを特徴とする特殊断
面ポリエステル複合糸を要旨とするものである。 【0007】 【発明の実施の形態】以下,本発明について詳細に説明
する。 【0008】本発明におけるポリエステルとは,ポリエ
チレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートを
主体とするものであれば,ホモポリエステル,共重合ポ
リエステルのいずれであってもよい。 【0009】本発明の特殊断面ポリエステル複合糸は,
非捲縮糸と捲縮糸が混繊されたものである。そして,非
捲縮糸は,潜在捲縮性能を有している必要があり,この
潜在捲縮性能を有する糸条としては,熱水(沸水)収縮
率が10%以下で,かつ沸水30分間処理後の捲縮率が
30%以上となるポリエステル複合繊維が好ましい。非
捲縮糸が潜在捲縮性能を有し,好ましくは熱水収縮率が
10%以下で,かつ熱水による捲縮発現率を30%以上
とすることによって,染色後の布帛に優れた伸縮性能を
付与することができる。すなわち,上記の潜在捲縮性能
を有する非捲縮糸は,仮撚の撚歪みを受けることなく,
高ヤング率を保持したまま,染色時の熱処理により捲縮
が発現して収縮するので,布帛にふくらみ感とハリ,コ
シと同時に伸縮性を付与することができる。 【0010】次に,上記の非捲縮糸とともに本発明の特
殊断面ポリエステル複合糸を構成する捲縮糸は,任意の
断面において,糸条を構成する少なくとも一部のフィラ
メントが中空部を有しており,各フィラメントの中空率
は一定ではないが,中空部を有するフィラメントの平均
中空率は5〜20%である。平均中空率が5%未満では
中空率の変化が少なくなる。また,20%を超えると,
中空率の大きいものが多くなり,中空フィラメントの割
れが生じ,布帛表面に毛羽立ちが発生する。 【0011】上記の中空部を有するフィラメントは,捲
縮糸を構成する全フィラメント数の50%以下,特に1
0〜40%とすることが好ましい。中空部を有するフィ
ラメントが50%以上では,中空部を有しない偏平断面
フィラメントの偏平度を2.0以上とすることが困難とな
る。 【0012】上記の捲縮糸は,断面偏平度が2.0以上あ
るフィラメントの本数が糸条を構成する全フィラメント
本数の40〜85%存在する必要がある。この偏平度が
2.0以上のフィラメントが40%未満しか存在しない場
合は,偏平糸によるサラリとした触感を布帛に与えるこ
とができない。また,85%を超えて存在すると,ガサ
ツキ感が生じる。そして,このように断面偏平度が2.0
以上のフィラメントが40〜85%存在するときにはじ
めてフィラメントの断面変形が変化に富んだ形状を示
し,布帛にサラリとした綿タッチの風合を付与すること
ができる。 【0013】本発明の特殊断面ポリエステル複合糸は,
上記した構成を満足する非捲縮糸と捲縮糸が混繊された
糸条であり,この糸条を織編物にし,染色処理等の熱処
理を施せば,非捲縮糸に捲縮が発現して伸縮性が付与さ
れるとともに,捲縮糸の中空及び偏平による綿タッチの
サラリとした風合が付与される。 【0014】次に,本発明の特殊断面ポリエステル複合
糸の製法例について説明する。まず,潜在捲縮性能を有
する非捲縮糸,好ましくは沸水処理後の捲縮率が30%
以上となる非捲縮糸は,熱収縮特性の異なる粘度差(極
限粘度差が0.10以上)を有する2成分のポリエステル
重合体をサイドバイサイド型に貼り合わせて複合紡糸
し,延伸することによって得ることができる。 【0015】次に,捲縮糸は,ポリエステルを公知の方
法で中空部を有する糸条となした後,仮撚加工を施すこ
とによって得ることができるが,偏平度を大きくするた
めには,高配向未延伸糸を用いることが必要であり,こ
の高配向未延伸糸に太細があれば,偏平度が種々に変形
するので,よりよい風合を得るために好適に用いること
ができる。上記工程において,仮撚加工は,中空の一部
が消失せず,かつ中空部をつぶして偏平度が2.0以上と
なる仮撚数と延伸倍率を採用すればよいが,仮撚数T
(T/M)は,仮撚加工後の繊度D(d)に対し,T=
(18000〜25000)/D1/2(T/M)で,延伸
倍率を1.10〜1.35倍の範囲で設定するのが好まし
い。 【0016】続いて,非捲縮糸と捲縮糸を複合交絡させ
るが,その手段としては,空気交絡方法として公知のイ
ンターレース法が好ましく用いられる。インターレース
時の給糸条件としては,両糸条を引き揃えて交絡させる
か,捲縮糸の方を非捲縮糸より1〜5%多く供給して交
絡させることが好ましい。 【0017】なお,本発明における断面偏平度,平均中
空率,熱水収縮率及び捲縮率は,それぞれ次のようにし
て測定される値である。 (1) 断面偏平度 捲縮糸のみの断面写真を拡大したものを使用し,フィラ
メント断面の最大に離れている2点を結ぶ直線(最長
径:A)と,この直線に直交する個所で最大の長さと最
小になる個所の直線の平均値(短径:B)を計測し,A
/Bの値を偏平度とする。 (2) 平均中空率 捲縮糸のみの断面の拡大写真より中空部を含む外周部の
重量(C)と中空部の重量(D)を測定し,中空率
(E)=〔D/C〕×100(%)とし,中空部を有す
るフィラメントの中空率(E)の合計を中空部を有する
全フィラメント数で除した値である。 (3) 熱水収縮率 非捲縮糸を0.1g/dの張力下で10回綛に巻いて輪に
なった試料を得て,この試料に1g/dの荷重をつけて
輪の長さ(F)を測定した後,荷重を外して沸水中で3
0分間熱処理し,風乾する。次いで,1g/dの荷重下で
輪の長さ(G)を測定し,次式により算出する。 熱水収縮率(%)=〔(F−G)/F〕×100 (4) 捲縮率 0. 1g/dの張力下で10回綛に巻いて輪になった糸
条を1/6000g/dの荷重下で30分間放置した
後,この状態を維持したまま沸水中に入れて,30分間
放置する。その後,風乾し,1/500g/dの荷重を
かけて長さ(H)を測定する。次に,荷重を外し,1/
20g/dの荷重をかけてその長さ(I)を測定し,次
式により算出する。 捲縮率(%)=〔(I−H)/I〕×100 【0018】 【実施例】次に,本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。 実施例1,比較例1,2 常法の高速紡糸法によって,断面が円形中空型で,中空
率25%のポリエチレンテレフタレート高配向未延伸糸
を紡糸し,次いで熱処理と延伸によってシック部とシン
部を有する太細糸160d/36fを得た(実施例1と
比較例1の捲縮糸用)。また,極限粘度〔η〕0.45と
〔η〕0.68のポリエチレンテレフタレートを複合紡
糸,延伸して,サイドバイサイド型の複合繊維50d/
12fを得た(実施例1と比較例2の非捲縮糸用)。 【0019】比較のため,50d/12fの複合繊維に
代えて通常のポリエチレンテレフタレート延伸糸50d
/12f(比較例1の非捲縮糸用)と,中空部を有しな
い160d/36fのポリエチレンテレフタレート高配
向未延伸糸(比較例2の捲縮糸用)を得た。これらの糸
条を用い,仮撚工程と空気交絡工程を備えた加工装置に
て,表1の糸加工条件によって仮撚加工と空気交絡加工
を行った。 【0020】 【表1】得られた複合糸の物性を測定した結果を表2に示す。 【0021】 【表2】 得られた複合糸に500T/Mの追撚を施して,経糸密
度80本/2.54cm,緯糸密度50本/2.54cmで平織
物を試作した。次いで,通常の染色仕上げ加工を行った
ところ,実施例1で得られた織物は,サラリとした綿タ
ッチな手触り感と,ほどよい伸縮性のある,ハリ,コシ
を有するものであった。 【0022】一方,比較例1の織物は,綿タッチは感じ
られるが,伸縮性とハリ,コシに乏しいものであった。
また,比較例2は,伸縮性とハリ,コシを有した通常の
加工糸織物であった。 【0023】 【発明の効果】本発明によれば,中空部と変形の大きい
偏平糸のもつサラリとした手触り感を有する綿タッチの
風合を損ねることなく,ポリエステル繊維特有のハリ,
コシを向上させ,さらに,着心地のよい適度な伸縮性を
布帛に付与することのできる特殊断面ポリエステル複合
糸が提供される。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 潜在捲縮性能を有する非捲縮糸と,任意
の横断面において,糸条を構成するフィラメントの少な
くとも一部が中空部を有する捲縮糸とが混繊された複合
糸であって,前記捲縮糸の任意の横断面における中空フ
ィラメントの平均中空率が5〜20%であり,かつ,前
記捲縮糸は断面偏平度が2.0以上のフィラメントを40
〜85%含有することを特徴とする特殊断面ポリエステ
ル複合糸。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10232778A JP2000064139A (ja) | 1998-08-19 | 1998-08-19 | 特殊断面ポリエステル複合糸 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10232778A JP2000064139A (ja) | 1998-08-19 | 1998-08-19 | 特殊断面ポリエステル複合糸 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000064139A true JP2000064139A (ja) | 2000-02-29 |
Family
ID=16944600
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008030186A (ja) * | 2006-07-04 | 2008-02-14 | Tsuyakin Kagaku Seni Kk | 塗装作業ロボット用保護カバー |
WO2017221934A1 (ja) * | 2016-06-21 | 2017-12-28 | 三菱ケミカル株式会社 | 扁平断面捲縮糸、該捲縮糸の製造方法及び該捲縮糸を含む織編物 |
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1998
- 1998-08-19 JP JP10232778A patent/JP2000064139A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008030186A (ja) * | 2006-07-04 | 2008-02-14 | Tsuyakin Kagaku Seni Kk | 塗装作業ロボット用保護カバー |
JP4659786B2 (ja) * | 2006-07-04 | 2011-03-30 | 艶金化学繊維株式会社 | 塗装作業ロボット用保護カバー |
WO2017221934A1 (ja) * | 2016-06-21 | 2017-12-28 | 三菱ケミカル株式会社 | 扁平断面捲縮糸、該捲縮糸の製造方法及び該捲縮糸を含む織編物 |
JPWO2017221934A1 (ja) * | 2016-06-21 | 2018-06-21 | 三菱ケミカル株式会社 | 扁平断面捲縮糸、該捲縮糸の製造方法及び該捲縮糸を含む織編物 |
TWI658183B (zh) * | 2016-06-21 | 2019-05-01 | 三菱化學股份有限公司 | 扁平剖面捲縮絲、該捲縮絲的製造方法和含有該捲縮絲的編織物 |
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