JP2968381B2 - 織物用ポリエステル繊維 - Google Patents
織物用ポリエステル繊維Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高紡糸速度直接紡糸延
伸方法により得られる合理化・汎用性を狙った織物用ポ
リエステル繊維に関する。
伸方法により得られる合理化・汎用性を狙った織物用ポ
リエステル繊維に関する。
【0002】更に詳しくは、高紡糸速度直接紡糸延伸方
法によって得られたポリエステルマルチフィラメント糸
であって、従来使用されている繊維即ち低紡糸速度別延
伸方法あるいは低紡糸速度直接紡糸延伸方法により得ら
れる繊維と同一製織条件で製織しても、製織性・品位・
風合共に同一レベルである織物用ポリエステル繊維に関
するものである。
法によって得られたポリエステルマルチフィラメント糸
であって、従来使用されている繊維即ち低紡糸速度別延
伸方法あるいは低紡糸速度直接紡糸延伸方法により得ら
れる繊維と同一製織条件で製織しても、製織性・品位・
風合共に同一レベルである織物用ポリエステル繊維に関
するものである。
【0003】
【従来の技術】従来、製織・編用の織物用ポリエステル
繊維としては、紡糸引取速度1000〜1500m/分
で引取った未延伸糸をポリエステル繊維のガラス転移点
温度Tg(約70〜80℃)以上に加熱しつつ、引き続
き2〜3倍の速度で延伸して得られる延伸糸を用いるの
が一般的であり、紡糸工程と延伸工程との2工程を別々
に行う低紡糸速度別延伸方法(以下FOYと称する)
と、2工程を直結して行う低紡糸速度直接紡糸延伸方法
(以下SDYと称する)の2種類の製糸方法で操業化・
生産されている。
繊維としては、紡糸引取速度1000〜1500m/分
で引取った未延伸糸をポリエステル繊維のガラス転移点
温度Tg(約70〜80℃)以上に加熱しつつ、引き続
き2〜3倍の速度で延伸して得られる延伸糸を用いるの
が一般的であり、紡糸工程と延伸工程との2工程を別々
に行う低紡糸速度別延伸方法(以下FOYと称する)
と、2工程を直結して行う低紡糸速度直接紡糸延伸方法
(以下SDYと称する)の2種類の製糸方法で操業化・
生産されている。
【0004】しかし、FOYのような方法では工程数が
多く製造コストが高くなるため、SDYのような方法が
多量生産型・合理化型で、FOYよりも工程数もかから
ずコストは安くなりこちらが主流になってきている。ま
た、更に合理化・コストダウンを狙って、近年高速化の
検討が行なわれていているのが実情である。特に、この
高速化においては、2種類の製糸工程に大別され、1つ
は、高紡速直接紡糸方法であり、この方法は、ポリエス
テルを溶融吐出後冷却・固化した後6000m/分以上
で捲取る方法で紡糸口金から捲取機の間には、延伸を付
与する工程を含まない製糸方法である。かかる方法によ
って得られる繊維は、FOY,SDY繊維の物性と比較
すると強度が若干低めで、高結晶性・高易染性・高起毛
性の特徴を有するものである。もう1つの方法は、高紡
速直接紡糸延伸方法であり、先のSDYよりも更に高速
化した製糸方法である。この方法によって得られる繊維
は、前記高紡速直接紡糸方法によって得られる繊維と同
様な傾向を示すとともに、SDYによって得られる繊維
に類似した物性も一部有するものである。
多く製造コストが高くなるため、SDYのような方法が
多量生産型・合理化型で、FOYよりも工程数もかから
ずコストは安くなりこちらが主流になってきている。ま
た、更に合理化・コストダウンを狙って、近年高速化の
検討が行なわれていているのが実情である。特に、この
高速化においては、2種類の製糸工程に大別され、1つ
は、高紡速直接紡糸方法であり、この方法は、ポリエス
テルを溶融吐出後冷却・固化した後6000m/分以上
で捲取る方法で紡糸口金から捲取機の間には、延伸を付
与する工程を含まない製糸方法である。かかる方法によ
って得られる繊維は、FOY,SDY繊維の物性と比較
すると強度が若干低めで、高結晶性・高易染性・高起毛
性の特徴を有するものである。もう1つの方法は、高紡
速直接紡糸延伸方法であり、先のSDYよりも更に高速
化した製糸方法である。この方法によって得られる繊維
は、前記高紡速直接紡糸方法によって得られる繊維と同
様な傾向を示すとともに、SDYによって得られる繊維
に類似した物性も一部有するものである。
【0005】しかしながら、かかる高速製糸方法により
コスト合理化を推し進める場合、あるいはかかる方法に
より得られる繊維を用いてさらに、高付加価値製品を得
ようとする場合、現状の生産・後加工等の条件を変える
ことが必須になると、結局コストは上がってしまうこと
になる。特に操業生産の場合においては安定した工程調
子が重要であり、断糸回数が増えると屑単位も増加し合
理化とは逆行するし、また、後加工においては製織条件
を従来品(FOY・SDY品)と同等にする必要がある
ことから、さらに改善が望まれている。すなわち、製織
条件を銘柄ごとに切り替える必要があるということは、
それ自体市場の合理化体制を崩すことであり、いくら製
糸時の生産・操業でコストダウンをはかっても、後加工
・製織時等でコストアップしたのでは、トータルとして
コストダウンは達成できないのである。
コスト合理化を推し進める場合、あるいはかかる方法に
より得られる繊維を用いてさらに、高付加価値製品を得
ようとする場合、現状の生産・後加工等の条件を変える
ことが必須になると、結局コストは上がってしまうこと
になる。特に操業生産の場合においては安定した工程調
子が重要であり、断糸回数が増えると屑単位も増加し合
理化とは逆行するし、また、後加工においては製織条件
を従来品(FOY・SDY品)と同等にする必要がある
ことから、さらに改善が望まれている。すなわち、製織
条件を銘柄ごとに切り替える必要があるということは、
それ自体市場の合理化体制を崩すことであり、いくら製
糸時の生産・操業でコストダウンをはかっても、後加工
・製織時等でコストアップしたのでは、トータルとして
コストダウンは達成できないのである。
【0006】以上の如く、現状の高速化による高紡速直
接紡糸方法あるいは高紡速直接紡糸延伸方法のいずれの
方法によって得られるポリエステル繊維も、後加工でF
OY・SDYと同一条件で製織することは困難なもので
あり、特に幅入れしにくい(縮まない)、風合が合わな
い(柔らかい)という問題点を有するものであった。
接紡糸方法あるいは高紡速直接紡糸延伸方法のいずれの
方法によって得られるポリエステル繊維も、後加工でF
OY・SDYと同一条件で製織することは困難なもので
あり、特に幅入れしにくい(縮まない)、風合が合わな
い(柔らかい)という問題点を有するものであった。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記従来技術の諸欠点がなく
製織時の熱セット温度をFOYやSDYと同一となして
も、製織後の品位・風合がFOYやSDYと同レベルの
織物が得られる高速製糸された織物用ポリエステル繊維
を提供することを目的とする。
製織時の熱セット温度をFOYやSDYと同一となして
も、製織後の品位・風合がFOYやSDYと同レベルの
織物が得られる高速製糸された織物用ポリエステル繊維
を提供することを目的とする。
【0008】
【発明の構成】本発明者らは、上記目的を達成するため
鋭意検討した結果、驚くべきことに、高紡速領域で製糸
した繊維であっても、特定の糸構造を有し、かつ熱収縮
応力挙動と後記する乾熱特性値が特定の範囲内にあるマ
ルチフィラメント糸条は、従来使用されている繊維と同
一製織工程を経て、同一熱セット温度条件、高温高圧染
色条件で後加工を施しても、製織後の織物の幅入れ、風
合に対して、従来使用されている繊維の織物となんら遜
色のない織物が得られることを見い出し、本発明に到達
した。
鋭意検討した結果、驚くべきことに、高紡速領域で製糸
した繊維であっても、特定の糸構造を有し、かつ熱収縮
応力挙動と後記する乾熱特性値が特定の範囲内にあるマ
ルチフィラメント糸条は、従来使用されている繊維と同
一製織工程を経て、同一熱セット温度条件、高温高圧染
色条件で後加工を施しても、製織後の織物の幅入れ、風
合に対して、従来使用されている繊維の織物となんら遜
色のない織物が得られることを見い出し、本発明に到達
した。
【0009】すなわち、本発明は、引取速度が3000
m/分以上で溶融紡糸され次いで直接延伸された主たる
繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるポリエ
ステルマルチフィラメント糸であって、下記(a)〜
(h)の物性を同時に満足することを特徴とする織物用
ポリエステル繊維である。 (a)伸度(EL):25%≦EL≦40% (b)複屈折率(ΔN):ΔN≧0.120 (c)熱収縮応力特性値(TSCV):TSCV≦7×
10-3g/De・℃ (d)熱収縮応力開始温度(TST):TST≧65℃ (e)熱収縮応力ピーク温度(TSP):TSP≧13
0℃ (f)乾熱特性値(ECV):ECV≧0.1・T―7
% (g)沸水収縮率(BWS):6%≦BWS≦12% (h)結晶サイズ(CS):3.0nm≦CS≦6.0
nm。
m/分以上で溶融紡糸され次いで直接延伸された主たる
繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるポリエ
ステルマルチフィラメント糸であって、下記(a)〜
(h)の物性を同時に満足することを特徴とする織物用
ポリエステル繊維である。 (a)伸度(EL):25%≦EL≦40% (b)複屈折率(ΔN):ΔN≧0.120 (c)熱収縮応力特性値(TSCV):TSCV≦7×
10-3g/De・℃ (d)熱収縮応力開始温度(TST):TST≧65℃ (e)熱収縮応力ピーク温度(TSP):TSP≧13
0℃ (f)乾熱特性値(ECV):ECV≧0.1・T―7
% (g)沸水収縮率(BWS):6%≦BWS≦12% (h)結晶サイズ(CS):3.0nm≦CS≦6.0
nm。
【0010】ここで、熱収縮応力特性値TSCVは、熱
収縮応力曲線において、収縮応力が開始する温度(TS
T)から収縮応力が最大値を示す温度(TSP)迄の間
の変曲点に接線を引いた時の最大傾きで示される。
収縮応力曲線において、収縮応力が開始する温度(TS
T)から収縮応力が最大値を示す温度(TSP)迄の間
の変曲点に接線を引いた時の最大傾きで示される。
【0011】また、乾熱特性値(ECV)は、120℃
以上180℃以下の空気雰囲気下で長さ70cmの糸条の
端にデニール当り0.2gの荷重をかけた後、20秒間
で縮んだ収縮差を元の糸長に対して、百分率で表わした
もので、Tはその時の雰囲気温度である。
以上180℃以下の空気雰囲気下で長さ70cmの糸条の
端にデニール当り0.2gの荷重をかけた後、20秒間
で縮んだ収縮差を元の糸長に対して、百分率で表わした
もので、Tはその時の雰囲気温度である。
【0012】本発明のポリエステル繊維は、繰り返し単
位がエチレンテレフタレートから主としてなるポリエス
テルフィラメントを主たる対象とする。しかし、テレフ
タル酸成分及び/又はエチレングリコール成分以外の第
3成分を少量(通常テレフタル酸成分に対して20モル
%以下)共重合したものであってもよく、また他種ポリ
マーを少量(通常ポリエステルに対して10重量%以
下)混合せしめたポリエステルであってもよい。
位がエチレンテレフタレートから主としてなるポリエス
テルフィラメントを主たる対象とする。しかし、テレフ
タル酸成分及び/又はエチレングリコール成分以外の第
3成分を少量(通常テレフタル酸成分に対して20モル
%以下)共重合したものであってもよく、また他種ポリ
マーを少量(通常ポリエステルに対して10重量%以
下)混合せしめたポリエステルであってもよい。
【0013】また、前記ポリエステル中には、必要に応
じて、制電性、艶消剤、導電剤、可塑剤、紫外線吸収
剤、染色性改良剤等の添加剤を混入せしめてもよい。
じて、制電性、艶消剤、導電剤、可塑剤、紫外線吸収
剤、染色性改良剤等の添加剤を混入せしめてもよい。
【0014】本発明のポリエステル繊維を構成するフィ
ラメントの伸度(以下ELと称する)は、25〜40%
にする必要がある。ELが25%未満のものは、製織後
の風合が硬く、逆に40%を越えるものは、織物とした
際の寸法安定性が劣り、引張りに対する腰がなく、風合
も柔らかくなる。また、このELを得る際の荷伸曲線に
おいては、一次降伏応力点を有しないことが好ましい。
降伏応力点を有すると、高速でウォータージェットルー
ムで製織した際に緯斑・緯ヒケが発生しやすくなるとと
もに、製織後の熱セット時に降伏応力部での熱履歴差に
より筋斑が発生しやすくなるため、品位的に望ましくな
い。
ラメントの伸度(以下ELと称する)は、25〜40%
にする必要がある。ELが25%未満のものは、製織後
の風合が硬く、逆に40%を越えるものは、織物とした
際の寸法安定性が劣り、引張りに対する腰がなく、風合
も柔らかくなる。また、このELを得る際の荷伸曲線に
おいては、一次降伏応力点を有しないことが好ましい。
降伏応力点を有すると、高速でウォータージェットルー
ムで製織した際に緯斑・緯ヒケが発生しやすくなるとと
もに、製織後の熱セット時に降伏応力部での熱履歴差に
より筋斑が発生しやすくなるため、品位的に望ましくな
い。
【0015】次に、複屈折率(ΔN)は、0.120以
上にする必要がある。ΔNが0.120未満のものは、
配向が十分でないため、製織後に熱セットを施しても張
りがなく現状のFOY,SDYより張・腰が弱い感じを
与える。なお、ΔNの上限は0.200、好ましくは
0.150〜0.160程度である。
上にする必要がある。ΔNが0.120未満のものは、
配向が十分でないため、製織後に熱セットを施しても張
りがなく現状のFOY,SDYより張・腰が弱い感じを
与える。なお、ΔNの上限は0.200、好ましくは
0.150〜0.160程度である。
【0016】次に、熱収縮応力特性値等TSCV,TS
T,TSPは後述の実施例に記載の方法で測定した下記
に示す値であり、この特性値も製織後の後加工、風合に
大きな影響を与えるものである。まずTSTは、熱収縮
応力が開始する温度であり、この温度は65℃以上にす
る必要がある。65℃未満では、熱セット時の収縮が早
く始まるために、風合的に硬い印象を与え、また幅入れ
もし難く、厚みのない織物ができやすい。このTSTが
65℃以上であれば、特に風合等で問題は起らないが、
TSTは90℃以下、好ましくは75〜85℃程度以下
とするのが望ましい。なお、熱収縮応力曲線を図1に示
すが、本発明にかかる(a)曲線のTSTはA1 、また
本発明外にかかる(b)曲線のTSTはB1 である。
T,TSPは後述の実施例に記載の方法で測定した下記
に示す値であり、この特性値も製織後の後加工、風合に
大きな影響を与えるものである。まずTSTは、熱収縮
応力が開始する温度であり、この温度は65℃以上にす
る必要がある。65℃未満では、熱セット時の収縮が早
く始まるために、風合的に硬い印象を与え、また幅入れ
もし難く、厚みのない織物ができやすい。このTSTが
65℃以上であれば、特に風合等で問題は起らないが、
TSTは90℃以下、好ましくは75〜85℃程度以下
とするのが望ましい。なお、熱収縮応力曲線を図1に示
すが、本発明にかかる(a)曲線のTSTはA1 、また
本発明外にかかる(b)曲線のTSTはB1 である。
【0017】次にTSPは、熱収縮応力のピーク温度で
あり、この温度は130℃以上にする必要があり。TS
Pが130℃未満のものは、紡糸・延伸段階での配向と
熱セットが十分でないために、製織後の熱セット(プレ
セット)あるいは染色工程時に縮みにくくなり、厚み
(ふくらみ)のない薄い織物しか得られなくなる。TS
Pは、好ましくは135〜150℃であることが望まし
く、FOYやSDYと同様な張り・腰が得られる。この
TSPは、図1(a)曲線ではA2 、(b)曲線はB2
で示される。
あり、この温度は130℃以上にする必要があり。TS
Pが130℃未満のものは、紡糸・延伸段階での配向と
熱セットが十分でないために、製織後の熱セット(プレ
セット)あるいは染色工程時に縮みにくくなり、厚み
(ふくらみ)のない薄い織物しか得られなくなる。TS
Pは、好ましくは135〜150℃であることが望まし
く、FOYやSDYと同様な張り・腰が得られる。この
TSPは、図1(a)曲線ではA2 、(b)曲線はB2
で示される。
【0018】本発明においては、かかる温度特性値の他
に、熱収縮応力曲線における、熱収縮応力の開始する温
度(立上り温度)から熱収縮応力が最大となるまでの間
での最大傾きが重要となる。この傾きが大きいほど収縮
過程での変化が大きくなるために、現行での製織条件・
後加工条件・染色条件では、風合が硬くなり易く、しか
も幅入れがしにくくなるため厚みのない織物が出来上が
ってしまう。したがって、この特性値TSCVは7×1
0-3g/De・℃以下とする必要があり、これは図1で
は(a)曲線のA、(b)曲線のBで、熱収縮応力開始
温度(TST)から温度上昇と共に収縮応力が高くなっ
ていく時の曲線の最大傾き、すなわちこの曲線の変曲点
の接線の傾きで表わされる。このTSCVが7×10-3
g/De・℃を越える場合には、低温側での収縮が大き
く、高温側では縮まらなくなるために、風合的には薄い
印象を与えることとなる。なおTSCVは、7×10-3
g/De・℃以下であれば風合・幅入れ的に問題ないも
のの、好ましくは4〜5×10-3g/De・℃とするの
が望ましい。
に、熱収縮応力曲線における、熱収縮応力の開始する温
度(立上り温度)から熱収縮応力が最大となるまでの間
での最大傾きが重要となる。この傾きが大きいほど収縮
過程での変化が大きくなるために、現行での製織条件・
後加工条件・染色条件では、風合が硬くなり易く、しか
も幅入れがしにくくなるため厚みのない織物が出来上が
ってしまう。したがって、この特性値TSCVは7×1
0-3g/De・℃以下とする必要があり、これは図1で
は(a)曲線のA、(b)曲線のBで、熱収縮応力開始
温度(TST)から温度上昇と共に収縮応力が高くなっ
ていく時の曲線の最大傾き、すなわちこの曲線の変曲点
の接線の傾きで表わされる。このTSCVが7×10-3
g/De・℃を越える場合には、低温側での収縮が大き
く、高温側では縮まらなくなるために、風合的には薄い
印象を与えることとなる。なおTSCVは、7×10-3
g/De・℃以下であれば風合・幅入れ的に問題ないも
のの、好ましくは4〜5×10-3g/De・℃とするの
が望ましい。
【0019】更に、乾熱特性値を示す前述の方法で測定
したECVは、乾熱雰囲気温度Tが120〜180℃
(実際のWJL等の製織後の熱セット温度は130〜1
70℃である)の範囲で(0.1・T―7)%以上が必
要である。ECVが(0.1・T―7)%未満の場合に
は、熱セット時の縮みが少なくなるため、FOY・SD
Yと異なる風合、目張り(透けて見えやすく、膨ら味が
ない)となり好ましくない。特にECVが(0.1・T
―7)%未満となりやすい繊維は、伸度高めで結晶サイ
ズが非常に大きい構造を持つもので、製糸条件では、4
500m/分以上で紡糸した後延伸を施さないかあるい
は延伸を施しても1.01〜1.20倍位の低倍率で延
伸を施す条件で起こり易い。かかる条件で得られる繊維
と本発明の繊維のECV―乾熱温度Tとの関係を図2に
示し、本発明の(a)曲線は単調に特性値が増加するの
に対し、(b)曲線は140〜150℃付近で頭打ちの
状態となる。この差異が、従来のものでは後加工・染色
条件で風合が硬くなり、幅入れもし難くなる原因と推定
される。なお、このECVの温度範囲Tは120〜18
0℃であるが、通常は120,150,180℃の3点
で測定し、3点共ECVが前記関係式を満足していれば
十分である。より厳密に測定する必要がある場合には、
150〜180℃の間で10℃おきに測定するのが良
い。
したECVは、乾熱雰囲気温度Tが120〜180℃
(実際のWJL等の製織後の熱セット温度は130〜1
70℃である)の範囲で(0.1・T―7)%以上が必
要である。ECVが(0.1・T―7)%未満の場合に
は、熱セット時の縮みが少なくなるため、FOY・SD
Yと異なる風合、目張り(透けて見えやすく、膨ら味が
ない)となり好ましくない。特にECVが(0.1・T
―7)%未満となりやすい繊維は、伸度高めで結晶サイ
ズが非常に大きい構造を持つもので、製糸条件では、4
500m/分以上で紡糸した後延伸を施さないかあるい
は延伸を施しても1.01〜1.20倍位の低倍率で延
伸を施す条件で起こり易い。かかる条件で得られる繊維
と本発明の繊維のECV―乾熱温度Tとの関係を図2に
示し、本発明の(a)曲線は単調に特性値が増加するの
に対し、(b)曲線は140〜150℃付近で頭打ちの
状態となる。この差異が、従来のものでは後加工・染色
条件で風合が硬くなり、幅入れもし難くなる原因と推定
される。なお、このECVの温度範囲Tは120〜18
0℃であるが、通常は120,150,180℃の3点
で測定し、3点共ECVが前記関係式を満足していれば
十分である。より厳密に測定する必要がある場合には、
150〜180℃の間で10℃おきに測定するのが良
い。
【0020】次に沸水収縮率(BWS)は、6〜12
%、好ましくは8〜10%である必要がある。6%未満
の場合には幅入れし難くなり、一方12%を越える場合
には縮みすぎて風合の点で好ましくない。結晶サイズに
ついては、大きくなる程、WJLによる筬の開口運動時
の糸同志あるいは糸対金属の擦過によるフィブリル発生
が減少するため好ましいが、あまりに大きくなりすぎる
と熱セット後の幅入れ・膨ら味が低下する傾向があるの
で、3〜6nm、好ましくは4〜5nmとする必要があ
る。
%、好ましくは8〜10%である必要がある。6%未満
の場合には幅入れし難くなり、一方12%を越える場合
には縮みすぎて風合の点で好ましくない。結晶サイズに
ついては、大きくなる程、WJLによる筬の開口運動時
の糸同志あるいは糸対金属の擦過によるフィブリル発生
が減少するため好ましいが、あまりに大きくなりすぎる
と熱セット後の幅入れ・膨ら味が低下する傾向があるの
で、3〜6nm、好ましくは4〜5nmとする必要があ
る。
【0021】次に図3に本発明の繊維を製造する製糸工
程の一例を示すが、溶融温度285℃以上にし、パック
1を経て紡糸口金から溶融吐出される糸条3は、冷却・
固化後、油剤付与装置4でオイリングされインターレー
スノズル5で、引取ローラ(第1ゴデットローラ)6に
糸条3が引取られる前に、非常に絡みの弱いインターレ
ース(交絡)をかけられた後延伸ローラ(第2ゴデット
ローラ)7で延伸されインターレースノズル8により再
度インターレース処理を施された後、捲取機10により
捲取られる。この時、延伸ローラの後に第3ゴデットロ
ーラ(冷ローラ)9を用いて、この7と9のローラ間で
インターレースノズル8′によりインターレース処理が
施されても構わない。
程の一例を示すが、溶融温度285℃以上にし、パック
1を経て紡糸口金から溶融吐出される糸条3は、冷却・
固化後、油剤付与装置4でオイリングされインターレー
スノズル5で、引取ローラ(第1ゴデットローラ)6に
糸条3が引取られる前に、非常に絡みの弱いインターレ
ース(交絡)をかけられた後延伸ローラ(第2ゴデット
ローラ)7で延伸されインターレースノズル8により再
度インターレース処理を施された後、捲取機10により
捲取られる。この時、延伸ローラの後に第3ゴデットロ
ーラ(冷ローラ)9を用いて、この7と9のローラ間で
インターレースノズル8′によりインターレース処理が
施されても構わない。
【0022】かかる製糸工程においては、本発明のポリ
エステル繊維を得るためには、下記に示す方法を採るこ
とが大切である。すなわち、まず冷却・固化後、油剤付
与装置でオイリングを施された糸条は、引取ローラ前に
インターレースノズル5によりインターレース処理が施
されるが、この時のインターレースノズル圧空は、0.
5〜2.0kg/cm2 ・Gであることが大切であり、イン
ターレース個数は、ロッシェルド測定機でのフック・ド
ロップ法で0〜3ケ/m程度でなければならない。イン
ターレースノズル圧空が0.5kg/cm2 ・G未満の場合
には、第1ゴデットローラー上での糸揺れが大きくなる
ため断糸し易く、また単糸のバラケが大きくなるため3
000m/分以上での引取りが困難になり生産上の問題
がある。一方、2kg/cm2 ・Gを越える場合には、糸条
へのインターレースの絡みが強くなるために未延伸を発
生し易く、染斑・品質的に好ましくない。なお、使用す
るインターレースノズルはどのようなものであってもよ
く、例えば糸導孔が1〜2mmの丸形状で、圧空噴射孔が
0.5〜1.0mmの丸形状で、3孔が線対称位置に有し
ているものを例示することができるが、2,4,5,6
孔を有するものでも構わない。
エステル繊維を得るためには、下記に示す方法を採るこ
とが大切である。すなわち、まず冷却・固化後、油剤付
与装置でオイリングを施された糸条は、引取ローラ前に
インターレースノズル5によりインターレース処理が施
されるが、この時のインターレースノズル圧空は、0.
5〜2.0kg/cm2 ・Gであることが大切であり、イン
ターレース個数は、ロッシェルド測定機でのフック・ド
ロップ法で0〜3ケ/m程度でなければならない。イン
ターレースノズル圧空が0.5kg/cm2 ・G未満の場合
には、第1ゴデットローラー上での糸揺れが大きくなる
ため断糸し易く、また単糸のバラケが大きくなるため3
000m/分以上での引取りが困難になり生産上の問題
がある。一方、2kg/cm2 ・Gを越える場合には、糸条
へのインターレースの絡みが強くなるために未延伸を発
生し易く、染斑・品質的に好ましくない。なお、使用す
るインターレースノズルはどのようなものであってもよ
く、例えば糸導孔が1〜2mmの丸形状で、圧空噴射孔が
0.5〜1.0mmの丸形状で、3孔が線対称位置に有し
ているものを例示することができるが、2,4,5,6
孔を有するものでも構わない。
【0023】また、引取りローラ6及び延伸ローラ7は
いずれも加熱可能であることが重要であり、まず引取ロ
ーラの温度は、ガラス転移温度以上であることが染斑及
び品位を改善する上で必要であり、90℃以上好ましく
は90〜100℃とするのが望ましい。90℃未満の場
合には、引取ローラと延伸ローラ間の延伸点が固定され
にくいため、染斑が発生し易く好ましくない。一方10
0℃を越える場合には、引取ローラ上での糸揺れが大き
くなり易く、ローラ上での糸重なりが発生して断糸し易
くなるため望ましくない。
いずれも加熱可能であることが重要であり、まず引取ロ
ーラの温度は、ガラス転移温度以上であることが染斑及
び品位を改善する上で必要であり、90℃以上好ましく
は90〜100℃とするのが望ましい。90℃未満の場
合には、引取ローラと延伸ローラ間の延伸点が固定され
にくいため、染斑が発生し易く好ましくない。一方10
0℃を越える場合には、引取ローラ上での糸揺れが大き
くなり易く、ローラ上での糸重なりが発生して断糸し易
くなるため望ましくない。
【0024】以上述べたように、引取ローラ前でのイン
ターレース処理及び引取ローラでの温度条件は、染斑・
工程調子に影響を与えるが、本発明のポリエステル繊維
を得るには、特に熱セット温度(延伸ローラ温度)及び
延伸倍率を特定範囲にすることが大切である。
ターレース処理及び引取ローラでの温度条件は、染斑・
工程調子に影響を与えるが、本発明のポリエステル繊維
を得るには、特に熱セット温度(延伸ローラ温度)及び
延伸倍率を特定範囲にすることが大切である。
【0025】延伸ローラの温度はTSCV,TST,T
SPを決める大きな要因であり、この温度は120℃以
上が好ましく、120℃以上にすることにより、TSP
を挙げることができ、且つTSCVを下げることができ
る。この温度が120℃未満の場合には、沸水収縮率が
大きくなりすぎ、またTSP及びTSTが低温側に移
り、且つTSCVも大きくなるため好ましくない。特に
好ましい温度範囲は、125〜140℃であり、140
℃を越える場合には、高速紡糸直延方式では糸揺れが大
きくなり易いため断糸回数が増加する傾向にあり好まし
くない。
SPを決める大きな要因であり、この温度は120℃以
上が好ましく、120℃以上にすることにより、TSP
を挙げることができ、且つTSCVを下げることができ
る。この温度が120℃未満の場合には、沸水収縮率が
大きくなりすぎ、またTSP及びTSTが低温側に移
り、且つTSCVも大きくなるため好ましくない。特に
好ましい温度範囲は、125〜140℃であり、140
℃を越える場合には、高速紡糸直延方式では糸揺れが大
きくなり易いため断糸回数が増加する傾向にあり好まし
くない。
【0026】また、前記引取ローラ及び延伸ローラの温
度と同様に重要な熱処理時間は、特に高速製糸の場合重
要である。通常低速直延では、引取ローラの熱処理時間
は0.1〜0.15秒、延伸ローラの熱処理時間は0.
03〜0.05秒であるため延伸ローラの温度を通常高
目にしている。本発明においては、引取ローラの熱処理
時間は0.08〜0.15秒、延伸ローラの熱処理時間
は0.03〜0.04秒にする。この処理時間未満で
は、引取ローラの場合には染斑が発生し易く、延伸ロー
ラの場合には風合及び幅入れに問題が発生し易い。従っ
て、該温度と共に、この熱処理時間が重要なのである。
度と同様に重要な熱処理時間は、特に高速製糸の場合重
要である。通常低速直延では、引取ローラの熱処理時間
は0.1〜0.15秒、延伸ローラの熱処理時間は0.
03〜0.05秒であるため延伸ローラの温度を通常高
目にしている。本発明においては、引取ローラの熱処理
時間は0.08〜0.15秒、延伸ローラの熱処理時間
は0.03〜0.04秒にする。この処理時間未満で
は、引取ローラの場合には染斑が発生し易く、延伸ロー
ラの場合には風合及び幅入れに問題が発生し易い。従っ
て、該温度と共に、この熱処理時間が重要なのである。
【0027】図3の工程で製糸する場合、紡糸速度が3
000m/分未満の場合には繊維の耐フィブリル性が悪
くなって製織時の毛羽立ちが問題となり、また、コスト
合理化といった点からも望ましくない。
000m/分未満の場合には繊維の耐フィブリル性が悪
くなって製織時の毛羽立ちが問題となり、また、コスト
合理化といった点からも望ましくない。
【0028】次に延伸倍率(延伸速度)は1.4倍以
上、好ましくは1.5〜1.7倍とする。1.4倍未満
の場合には、分子の配向が不十分なため伸度が高くなっ
たり、乾熱特性値ECVが低くなり易い。一方、1.7
倍を越える場合には、TSCV,TSP,ECV等の特
性は満足するが工程調子が悪くなり易い。
上、好ましくは1.5〜1.7倍とする。1.4倍未満
の場合には、分子の配向が不十分なため伸度が高くなっ
たり、乾熱特性値ECVが低くなり易い。一方、1.7
倍を越える場合には、TSCV,TSP,ECV等の特
性は満足するが工程調子が悪くなり易い。
【0029】更に、捲取速度が5000m/分未満の場
合には、十分な配向が得難く、製織時の毛羽立ち、製織
後の寸法安定性(幅入れ)が悪くなり易く、且つコスト
合理化を狙う高紡速直接紡糸延伸方法としては望ましく
はない。
合には、十分な配向が得難く、製織時の毛羽立ち、製織
後の寸法安定性(幅入れ)が悪くなり易く、且つコスト
合理化を狙う高紡速直接紡糸延伸方法としては望ましく
はない。
【0030】
【実施例】以下に、実施例をあげて本発明を詳述する。
なお、各実施例、比較例において、EL,ΔN,TSC
V,TST,TSP,ECV,BWS,CSは下記の方
法で測定した。
なお、各実施例、比較例において、EL,ΔN,TSC
V,TST,TSP,ECV,BWS,CSは下記の方
法で測定した。
【0031】(イ)伸度(EL) 島津製作所オートグラフを使用し試料長20cm、引張り
速度100%/分で測定した。
速度100%/分で測定した。
【0032】(ロ)複屈折率(ΔN) 偏光顕微鏡により単色(ナトリウム)ランプのもとで、
コンペンセーターの補正角度から求めたレーターディシ
ョンと干渉縞の数及び試料の直径から複屈折率ΔNを求
めた。(異形断面糸の場合は、丸断面のΔNを測定し、
丸断面糸と異形断面糸の音波速度により算出し、この
時、使用した装置は東洋ボールドウィン社製レオーバイ
ブロンDT―Vである)。
コンペンセーターの補正角度から求めたレーターディシ
ョンと干渉縞の数及び試料の直径から複屈折率ΔNを求
めた。(異形断面糸の場合は、丸断面のΔNを測定し、
丸断面糸と異形断面糸の音波速度により算出し、この
時、使用した装置は東洋ボールドウィン社製レオーバイ
ブロンDT―Vである)。
【0033】(ハ)乾熱特性値(ECV) 東洋紡エンジニアリング社製 ε0.2 装置を使用し、乾
熱状態の雰囲気温度で120〜180℃にし、フィラメ
ント糸のデニール(Total デニール)に0.2g/デニ
ールの荷重をかけ雰囲気温度に20秒さらした時の収縮
率を測定回数10回の平均で示す。
熱状態の雰囲気温度で120〜180℃にし、フィラメ
ント糸のデニール(Total デニール)に0.2g/デニ
ールの荷重をかけ雰囲気温度に20秒さらした時の収縮
率を測定回数10回の平均で示す。
【0034】(ニ)沸水収縮率(BWS) JIS―L 1073に準じて測定した。すなわち、フ
ィラメント糸に1/30g/デニールの荷重をかけ、そ
の長さL0 を測定する。次いで、その荷重を取り除き該
フィラメント糸を沸騰水中に30分間浸漬する。その
後、フィラメント糸を沸騰水から取外し、冷却後再び1
/30g/デニールの荷重をかけてその時の長さL1 を
測定する。沸水収縮率は次式より算出される。 BWS={(L0 ―L1 )/L0 }×100(%) (ホ)熱収縮応力特性値(TSCV,TSP,TST) カネボウ製収縮応力測定器を使用し、5cmの輪状糸を作
り、測定把持部に糸条を把持させ昇温速度120sec /
300℃、初荷重デニール/30gで行い、収縮応力が
始まる(応力が上昇する)温度をTSTとし、収縮応力
が一番高い値を示す温度をTSPとし、TSTからTS
P迄の曲線の変曲点(接点の傾きが最大の点)で接線を
ひき、その傾きをTSCVとした。なおTSCV値は、
図1中のΔTSTとΔTSSの比ΔTSS/ΔTSTで
算出される。
ィラメント糸に1/30g/デニールの荷重をかけ、そ
の長さL0 を測定する。次いで、その荷重を取り除き該
フィラメント糸を沸騰水中に30分間浸漬する。その
後、フィラメント糸を沸騰水から取外し、冷却後再び1
/30g/デニールの荷重をかけてその時の長さL1 を
測定する。沸水収縮率は次式より算出される。 BWS={(L0 ―L1 )/L0 }×100(%) (ホ)熱収縮応力特性値(TSCV,TSP,TST) カネボウ製収縮応力測定器を使用し、5cmの輪状糸を作
り、測定把持部に糸条を把持させ昇温速度120sec /
300℃、初荷重デニール/30gで行い、収縮応力が
始まる(応力が上昇する)温度をTSTとし、収縮応力
が一番高い値を示す温度をTSPとし、TSTからTS
P迄の曲線の変曲点(接点の傾きが最大の点)で接線を
ひき、その傾きをTSCVとした。なおTSCV値は、
図1中のΔTSTとΔTSSの比ΔTSS/ΔTSTで
算出される。
【0035】(ヘ)結晶サイズ(CS) 理学機器のX線回折装置を使用し、広角X線回折法によ
り10°≦2θ≦35°の範囲で測定し、(100)面
のピークの半価幅より求めた。
り10°≦2θ≦35°の範囲で測定し、(100)面
のピークの半価幅より求めた。
【0036】
【実施例1〜3】固有粘度が0.635、艶消剤0.3
重量%のポリエチレンテレフタレートを溶融温度295
℃で溶融吐出後、冷却して紡糸速度3250,400
0,4200m/分と変更し、引き続いて延伸速度を各
々5500,6000,6200m/分と変更し、引取
ローラ温度は90℃一定にし、延伸ローラ温度は各々1
25℃,130℃,130℃とし、且つ延伸ローラ熱処
理時間は各々0.034,0.031,0.030秒と
して最終的に75デニール/36フィラメントの糸条を
得た。
重量%のポリエチレンテレフタレートを溶融温度295
℃で溶融吐出後、冷却して紡糸速度3250,400
0,4200m/分と変更し、引き続いて延伸速度を各
々5500,6000,6200m/分と変更し、引取
ローラ温度は90℃一定にし、延伸ローラ温度は各々1
25℃,130℃,130℃とし、且つ延伸ローラ熱処
理時間は各々0.034,0.031,0.030秒と
して最終的に75デニール/36フィラメントの糸条を
得た。
【0037】得られた糸条の物性を表1に示す。この糸
条を製織した後150℃で熱セットしたところ、幅入れ
(寸法安定性)が良好で且つ風合の良好な織物が得られ
た。また、コストの優位性にも優れているものであっ
た。
条を製織した後150℃で熱セットしたところ、幅入れ
(寸法安定性)が良好で且つ風合の良好な織物が得られ
た。また、コストの優位性にも優れているものであっ
た。
【0038】
【比較例1,2】固有粘度が0.635、艶消剤0.3
重量%のポリエチレンテレフタレートを溶融温度295
℃で溶融吐出後、冷却して紡糸速度1300m/分、別
延伸で1000m/分捲取で倍率3.2倍で延伸し最終
的に75デニール/36フィラメントの延伸糸条を得た
(比較例1)。一方、紡糸した後引き続いて延伸速度3
900m/分で同一デニール糸を得た(SDY:比較例
2)。これらの糸条の特性値及び実施例1と同様に製織
した際の評価結果を表1に示す。なお、これらは従来使
用されているポリエステル繊維である。
重量%のポリエチレンテレフタレートを溶融温度295
℃で溶融吐出後、冷却して紡糸速度1300m/分、別
延伸で1000m/分捲取で倍率3.2倍で延伸し最終
的に75デニール/36フィラメントの延伸糸条を得た
(比較例1)。一方、紡糸した後引き続いて延伸速度3
900m/分で同一デニール糸を得た(SDY:比較例
2)。これらの糸条の特性値及び実施例1と同様に製織
した際の評価結果を表1に示す。なお、これらは従来使
用されているポリエステル繊維である。
【0039】
【比較例3】比較例2において、紡糸速度を2500m
/分とした以外は全て比較例2と同一条件で行ったもの
であるが、その結果は表1に示す如く、製織後の品位は
比較例1,2と同レベルであるものの、そのコスト優位
性は小さい。
/分とした以外は全て比較例2と同一条件で行ったもの
であるが、その結果は表1に示す如く、製織後の品位は
比較例1,2と同レベルであるものの、そのコスト優位
性は小さい。
【0040】
【比較例4〜10】実施例1において、紡糸速度、延伸
速度及び延伸ローラ温度を表1に記載の如く変更する以
外は実施例1と同様に行った。その結果は表1に示す如
く、比較例4はELが高く、ΔNが低いために、風合的
に薄く柔らかい感じがし、しかも幅入れが難しいもので
あった。比較例5は、TSPが低いために、風合が若干
柔らかくなり製織後の熱セット条件を変更しなければな
らないものであった。比較例6は、熱セットは実施して
いないため、TSPが低く、CSが最も大きく、且つコ
スト優位性では最も良いが、生産性(工程調子)及び製
織性については、歩留りが悪く、製織後の品位も従来と
異なり、製織後の熱セット、温度条件等の加工条件を変
更しなければならないものであった。比較例7は、EL
が低いために風合が悪化し、且つ若干幅入れし難いもの
であった。
速度及び延伸ローラ温度を表1に記載の如く変更する以
外は実施例1と同様に行った。その結果は表1に示す如
く、比較例4はELが高く、ΔNが低いために、風合的
に薄く柔らかい感じがし、しかも幅入れが難しいもので
あった。比較例5は、TSPが低いために、風合が若干
柔らかくなり製織後の熱セット条件を変更しなければな
らないものであった。比較例6は、熱セットは実施して
いないため、TSPが低く、CSが最も大きく、且つコ
スト優位性では最も良いが、生産性(工程調子)及び製
織性については、歩留りが悪く、製織後の品位も従来と
異なり、製織後の熱セット、温度条件等の加工条件を変
更しなければならないものであった。比較例7は、EL
が低いために風合が悪化し、且つ若干幅入れし難いもの
であった。
【0041】、また比較例8は、延伸ローラ温度が低す
ぎるために、収縮率が高くなりすぎて風合的にがさつき
感を与えるもので、一方比較例9は、延伸ローラ温度が
高すぎるために収縮率が低くなりすぎて幅入れし難く且
つ風合も硬くなり易いものであった。しかもローラへの
捲付きも発生し、生産性の点でも問題があった。
ぎるために、収縮率が高くなりすぎて風合的にがさつき
感を与えるもので、一方比較例9は、延伸ローラ温度が
高すぎるために収縮率が低くなりすぎて幅入れし難く且
つ風合も硬くなり易いものであった。しかもローラへの
捲付きも発生し、生産性の点でも問題があった。
【0042】また比較例10は、伸度が40%を越え且
つ結晶サイズが3nmより小さいため、寸法安定性が不充
分で、また製織時のワーパー毛羽発生が多いものであっ
た。
つ結晶サイズが3nmより小さいため、寸法安定性が不充
分で、また製織時のワーパー毛羽発生が多いものであっ
た。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】以上に詳述したように、本発明にあって
は、高紡糸速度で直接紡糸延伸して製造されたものであ
るものの、特定の物性値を有しているので、従来採用さ
れている製織、後加工等での諸条件をそのままにしたま
まで、品位、特に風合や寸法安定性(幅入れ)において
従来と同等のものが得られるといった特徴を有する。し
たがって、本発明のポリエステル繊維は、後加工工程
(例えば製織)が従来と同じ条件でできるので、高速製
糸による製糸のコスト合理化が、後加工でのコストアッ
プを引き起すことなくできるものであって、その工業的
価値は極めて大きい。
は、高紡糸速度で直接紡糸延伸して製造されたものであ
るものの、特定の物性値を有しているので、従来採用さ
れている製織、後加工等での諸条件をそのままにしたま
まで、品位、特に風合や寸法安定性(幅入れ)において
従来と同等のものが得られるといった特徴を有する。し
たがって、本発明のポリエステル繊維は、後加工工程
(例えば製織)が従来と同じ条件でできるので、高速製
糸による製糸のコスト合理化が、後加工でのコストアッ
プを引き起すことなくできるものであって、その工業的
価値は極めて大きい。
【図1】熱収縮応力特性値を示すもので、(a)曲線が
本発明のポリエステル繊維の1例であり、(b)曲線が
本発明外のポリエステル繊維の1例である。
本発明のポリエステル繊維の1例であり、(b)曲線が
本発明外のポリエステル繊維の1例である。
【図2】乾熱収縮特性値を示すもので、(a)曲線が本
発明のポリエステル繊維の1例であり、(b)曲線が本
発明外のポリエステル繊維の1例である。なお、斜線部
が本発明の範囲内である。
発明のポリエステル繊維の1例であり、(b)曲線が本
発明外のポリエステル繊維の1例である。なお、斜線部
が本発明の範囲内である。
【図3】本発明のポリエステル繊維を得るための製糸工
程の、一態様を示す正面略図である。
程の、一態様を示す正面略図である。
1 パック本体 2 紡糸口金 3 糸条 4 油剤付与装置 5 インターレースノズル 6 引取ローラー 7 延伸ローラー 8,8′ インターレースノズル 9 第3ゴデットローラー 10 捲取機 A1 ,B1 夫々(a),(b)曲線のTST A2 ,B2 夫々(a),(b)曲線のTSP A, B 夫々(a),(b)曲線のTSCV
Claims (1)
- 【請求項1】 引取速度が3000m/分以上で溶融紡
糸され次いで直接延伸された主たる繰り返し単位がエチ
レンテレフタレートからなるポリエステルマルチフィラ
メント糸であって、下記(a)〜(h)の物性を同時に
満足することを特徴とする織物用ポリエステル繊維。 (a)伸度(EL):25%≦EL≦40% (b)複屈折率(ΔN):ΔN≧0.120 (c)熱収縮応力特性値(TSCV):TSCV≦7×
10-3g/De・℃ (d)熱収縮応力開始温度(TST):TST≧65℃ (e)熱収縮応力ピーク温度(TSP):TSP≧13
0℃ (f)乾熱特性値(ECV):ECV≧0.1・T―7
% (g)沸水収縮率(BWS):6%≦BWS≦12% (h)結晶サイズ(CS):3.0nm≦CS≦6.0
nm ここで、熱収縮応力特性値TSCVは、熱収縮応力曲線
において、収縮応力が開始する温度(TST)から収縮
応力が最大値を示す温度(TSP)迄の間の変曲点に接
線を引いた時の最大傾きで示される。また、乾熱特性値
(ECV)は、120℃以上180℃以下の空気雰囲気
下で長さ70cmの糸条の端にデニール当り0.2gの荷
重をかけた後、20秒間で縮んだ収縮差を元の糸長に対
して、百分率で表わしたもので、Tはその時の雰囲気温
度である。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29485291A JP2968381B2 (ja) | 1991-10-16 | 1991-10-16 | 織物用ポリエステル繊維 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29485291A JP2968381B2 (ja) | 1991-10-16 | 1991-10-16 | 織物用ポリエステル繊維 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05106114A JPH05106114A (ja) | 1993-04-27 |
JP2968381B2 true JP2968381B2 (ja) | 1999-10-25 |
Family
ID=17813088
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29485291A Expired - Fee Related JP2968381B2 (ja) | 1991-10-16 | 1991-10-16 | 織物用ポリエステル繊維 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2968381B2 (ja) |
-
1991
- 1991-10-16 JP JP29485291A patent/JP2968381B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05106114A (ja) | 1993-04-27 |
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