JP4325387B2 - スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント及びその製造方法 - Google Patents

スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、スクリーン印刷に用いられるメッシュ織物に好適なポリエステルモノフィラメント及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、電子回路などの高度な精密性を要求される分野に好適なハイメッシュなスクリーン紗とするのに適したポリエステルモノフィラメント及びその製造方法に関する。
従来、スクリーン紗としてシルク等の天然繊維やステンレス等の無機繊維からなるメッシュ織物が広く使用されてきたが、シルクは破断強度、寸法安定性に問題があり、ステンレスは弾性回復に問題があった。
また、近年ではポリエステルやナイロン等の有機繊維からなるメッシュ織物が一般に使用されるようになってきている。特にナイロンと比較して水分による寸法安定性への影響が少なく、耐熱性に優れ、かつ低価格であるポリエステル繊維からなるスクリーン紗が広く用いられるようになっている。しかしながら、最近の電子回路の印刷分野などにおいて印刷精度の向上に対する要求がますます強くなってきているためハイメッシュの細かいものが必要とされており、より繊維径が細く、かつ製織時の張力に耐えうる繊維、つまり高破断強度モノフィラメントが要求されている。
一般に繊維の破断強度を高めるためには原糸の製造方法において高倍率の延伸を施し、分子鎖を高度に配向、結晶化すれば良い(特許文献1、特許文献2参照)。
しかし、スクリーン紗の製造工程は極めて高密度の織物を高速で製織するため、単繊維/単繊維や単繊維/装置部品(金属等)との擦過を繰り返し受けることとなり、フィラメントの一部が削り取られ、粉状あるいはフィブリル状のスカムが発生しやすい。特に配向、結晶化の高いものほどこの傾向が激しくなり、製織を一時中断し、織り機の清掃をする必要が生じ、作業性を損なうと同時に、その部分が織り段となるため、製品欠陥につながる。また、清掃を必要とする程度でなくとも、生じたスカムの一部が紗に織り込まれたり、スキージによる擦過によってスカムが剥脱し、目詰まりを起こすことで、印刷精度が悪化するため、スカム発生を防ぐことは、極めて重要な検討課題である。
この問題を解消するため、「ポリエステルよりなる芯・鞘複合モノフィラメントにおいて、破断強度が6g/d(=5.3cN/dtex)以上、伸度10%時のモジュラスが3.5g/d(=3.1cN/dtex)以上、破断伸度が33%未満であり、鞘を構成するポリエステルのガラス転移温度が芯のそれより低く、かつ、35〜73℃であり、芯:鞘の面積比が70:30〜95:5の範囲にあることを特徴とする高破断強度のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント」が開示されている(特許文献3参照)。
この技術は、高破断強度でかつ粉状あるいはフィブリル状スカムの発生を抑制することを目的としており、モノフィラメントの表層を共重合によりTgを低下させたソフトなポリエステルで覆うことによって製織時の擦過によるスカム発生を抑制する技術である。しかし、その実施例に示された繊維の到達破断強度は高々8.2g/d(=7.2cN/dtex)であり、近年の高精度スクリーン紗印刷に要求される破断強度レベルを満たさないだけでなく、芯成分と鞘成分のTgが異なるため、例えば芯成分に適した温度条件で加熱延伸を行えば、鞘のTgが低いために鞘の溶融が起こり、ローラーへの融着等により、繊維表面が乱されて、耐スカム性の悪化を招き、鞘成分に適した温度条件で加熱延伸する際には芯成分の軟化が不十分のまま、延伸張力が付与されるため、芯成分へのボイド発生を招き、破断強度が低下するため、高精度印刷に適した高破断強度モノフィラメントを得ることが困難となる。更に、鞘成分をソフトすることで耐スカム性を向上しているため、単繊維/単繊維の擦過に対しては効果があるが、単繊維/金属(装置部品等)での擦過では削れが発生し、スカム評価では劣ったものとなり、要求されるレベルには及ばないといった欠点がある。
溶融異方性を示す芳香族ポリエステルを芯成分、鞘成分が溶融異方性を示さないポリマーである芯鞘複合繊維よりなるスクリーン紗が開示されている(特許文献4参照)。この技術では破断強度、弾性率共に高いものとするために、剛直性高分子からなる全芳香族ポリエステルを芯成分として用い、さらにこれら剛直性高分子からなる繊維の欠点であるフィブリル化し易いという問題点を補うために鞘成分として溶融異方性を示さないポリマーを用いて毛羽の発生、フィブリル化し難くしている。確かに該繊維は溶融異方性ポリマー由来の高破断強度、高弾性率という性質を有するが、伸度が実施例にも開示されているように2.5〜3.0%と非常に低いものであり、スクリーン紗を製織する際に、従来のポリエステル系モノフィラメントと比較して衝撃による糸切れが発生するといった製造工程上の問題点がある。また、該繊維の芯鞘成分は非相溶性であるため、フィブリル化は改善されるものの、芯鞘の成分界面剥離が起こりやすく、剥脱した鞘部がスクリーン紗の目詰まりを起こす原因となるため、高精度スクリーン印刷に適用するのは非常に困難である。また、全芳香族ポリエステルが非常に高価であることから、目的とするモノフィラメントの製造コストが非常に高いものとなってしまうという実質的な問題が残る。
また、繊維の単糸横断面の中心から外側にかけ、連続的に粘度及び複屈折率が低下しているというような特異な構造を有した単糸より構成されている繊維に関する技術開示がある(特許文献5参照)。この技術の目的は「高破断強度且つ低熱収縮率を同時に達成しえなかった困難を克服し、高破断強度且つ低熱収縮率のポリエステル繊維の提供」にあり、「単糸断面の複屈折率の分布が均一になり、外側からの応力に対し単糸横断面全体に応力を分散することが可能となり最高の高強度物性が発現する」ことを特徴としており、高強度を達成するために繊維構造が糸断面方向に高度に、且つ均一に配向しているため、最終製品段階で繊維の配向は非常に高いものとなっている。従い、仮に該高強度繊維をスクリーン紗用モノフィラメントに利用したとしても、製織時の単繊維/単繊維もしくは単繊維/金属(装置部品)と繰り返し擦過を受けることで、粉状あるいはフィブリル状のスカムが発生し、非常に欠陥の多いスクリーン紗となってしまう。
特開昭63−262289号公報(2頁) 特開平5−295617号公報 (段落[0007]) 特開平2−289120号公報 (特許請求の範囲) 特開平3−220340号公報 (特許請求の範囲) 特開平5−311513号公報 (特許請求の範囲)
ポリエステルモノフィラメントを高精度スクリーン印刷に適用するためには、更なる高破断強度を有しつつ、耐スカム性の優れたポリエステルモノフィラメントが望まれていた。また、このような繊維を安定して製造する方法が要望されている。
本発明の目的は、ポリエステルモノフィラメントに関して、高破断強度と耐スカム性を同時に達成しえなかった困難を克服し、高精度スクリーン印刷に適したポリエステルモノフィラメントを提供することにある。
本発明は、スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント及びその製造方法における問題点を解消すべく鋭意検討した結果、高破断強度を有しつつ、耐スカム性が著しく向上されたポリエステルモノフィラメントに必要となる繊維構造を発見し、本発明に至ったものである。
本発明のスクリーン紗用モノフィラメントは、ポリエステルからなる芯鞘型複合モノフィラメントにおいて(1)〜()を同時に満足することを特徴とするスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。
(1)破断強度が6.0cN/dtex以上
(2)伸度が10%以上
(3)鞘成分の複屈折率ΔnSが180×10−3以下
(4)繊維表層の結晶化度が30%以上
即ち、本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントは、高破断強度を有しつつも、適当な伸度を有し、且つ耐スカム性に優れるというような従来技術では到底成し得なかった特徴を有するものである。
本発明のポリエステルモノフィラメントは高破断強度を有しつつも製織時のスカム発生を完全に防止し、高精度スクリーン印刷に好適なハイメッシュのスクリーン紗を達成する。
スクリーン印刷では、一般的に印刷パターンの精度を向上させるために、紗張りテンションを高くし、スクリーン紗と被印刷物の距離を小さくする方法が採られている。紗張りの際、テンションを高くするためには繊維1本当たりの強力を向上させる必要がある。
また、印刷業界の要求は厳しく、細繊度でハイメッシュ、即ち、織密度の高いメッシュ織物を要求している。製織過程で糸にかかる張力は必ずしもその繊度に比例するわけでなく、モノフィラメント1本当たりの強力が高いことが必要であり、細くなればなるほど、より破断強度の高いものとする必要がある。
使用する織り機の種類や、製織時の回転数によっても異なるが、本発明者等の検討によれば、強力が約50g/本以上あれば、実用的に製織が可能となる。
即ち、破断強度が5cN/dtex程度であれば、10dtex程度のモノフィラメントが提供でき、更に6cN/dtex程度であれば、7.5dtexまでの細繊度化が可能となる。従い、高精度印刷に適用するためには破断強度が6.0cN/dtex以上必要である。前記したように紗張りのテンションをより高くし、より精密度な印刷を可能にするには、繊維の破断強度を7.0cN/dtex以上とすることが好ましく、より好ましくは8.0cN/dtex以上とすることである。
また、この様な高破断強度を達成するためには原糸製造段階で高度な延伸を行うことが必須となる。その結果として、伸度が低いものとなるが、本発明者等の検討によれば、製織する際に伸度が10%未満になると、製織時の糸切れが多発することが明らかになっており、このため、本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの伸度は10%以上である必要があり、好ましくは15%以上である。
本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントは特異な繊維構造を有しているため、仮に破断強度を8.0cN/dtex以上とした場合でも、伸度を10%以上有するため、製織を安定して行える。
一般的にポリエステル繊維において、高破断強度を達成しようとすると、それに伴い製織時のスカム発生が助長される。これはポリエステル繊維において、配向、結晶化が進むと、繊維軸方向には破断強度の増大として現れるが、それに伴い、繊維は脆くなり、曲げ、剪断、削れ等に対して弱くなるためである。最終製品として高破断強度が求められる以上、繊維自体前記したような力学的特性を具備している必要があるが、更に本発明においては耐スカム性を向上させることも重要な課題である。
本発明の第2の特徴は、かかる高破断強度のモノフィラメントであって、いかに製織性を良好に保つかの工夫にあり、即ち、スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントにおいて、高破断強度を有しつつ、いかに耐スカム性を向上させるかにある。
本発明者等はこの大きな課題に対し、共重合ポリマーを使用せず、2種のIVのみを変更したポリエステルを用い芯鞘型複合モノフィラメントとし、且つ鞘成分のみの配向を低下させることに成功し、この課題を解決した。
前記したようにスカムの発生は、配向や結晶化度と大きく相関しおり、繊維表面の配向つまり複屈折率が低いほど耐スカム性は向上することになる。耐スカム性を向上させることのみが目的であれば、繊維表面(鞘成分)の配向は低いほど効果的ということになるが、繊維が高破断強度を有するためには、鞘成分の配向も適度に必要となる。
そこで、本発明者等は鋭意検討し、複屈折率が180×10-3以下の場合に粉状あるいはフィブリル状スカムの発生が著しく抑制されることを発見し、本発明に至った。従い、本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントは、繊維表面(鞘成分)の複屈折率ΔnSが180×10-3以下であることが好ましい。耐スカム性を更に向上させるためには、ΔnSを175×10-3以下とすることがより好ましく、更に好ましくは170×10-3以下とすることである。
但し、破断強度は実質的に芯成分が担うため、芯成分の複屈折率ΔnCと鞘成分の複屈折率ΔnSの差(ΔnC−ΔnS)は5×10-3以上20×10-3以下とするのが好ましい。(ΔnC−ΔnS)を上記した範囲にすると高強度を有しつつも、耐スカム性の非常に優れたスクリーン紗用モノフィラメントが得られる。
さらに繊維表層の非晶配向度が0.70未満となった場合にも粉状あるいはフィブリル状スカムの発生が著しく抑制されることも発見した。従って、本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントは、繊維表層の非晶配向度が0.70未満であることが好ましく、より好ましくは0.68以下、更にこのましくは0.60以下とすることである。
繊維表層の非晶配向度を0.70未満とすることにより、耐スカム性が向上するメカニズムは定かでないが、非晶配向度とは繊維構造の緩みの指標であり、繊維表層の構造が0.70未満に低下したことによって繰り返し擦過の衝撃を吸収しやすい構造となったことが要因であると考察する。そうすることにより、繊維表層の構造が剛直な結晶に守られつつも、緩んだ非晶部によって構成されることになり、繰り返し擦過による非晶部の破壊が要因であるフブリル状スカム発生への抑制効果が発現できると考えられる。
更に耐スカム性を向上させるためには繊維表層の結晶化度を30%以上とするものであり、好ましくは35%以上、更に好ましくは40%以上とすることである。そうすることにより、非晶部の割合が減少し、繰り返し擦過による非晶部の破壊が要因であるフィブリル状スカム発生への抑制効果がより優れたものになる。
本発明の繊維表層とは、単糸繊度(単糸径)にもよるが、繊維表層から3μmまでの平均値が該記した値となっていれば良い。
本発明のスクリーン紗用モノフィラメントの製造方法は前記した様な特異な構造を有したポリエステルモノフィラメントを製造可能であれば、特に限定する必要はないが、特別な製糸条件や特別な設備を用意する場合には、生産性やコスト面から劣性となる。従って、特別な設備を必要とせずに本発明のスクリーン紗用モノフィラメントを製造することが必要である。本発明者等は後述する製造方法によって従来の設備を利用し、本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの製造が可能であることを発見した。以下に本発明の製造方法について記す。
本発明の製造方法は、芯成分ポリマーとしてIV(IV )が0.8以上、芯成分ポリマーIV(IV )とのIV比(IV /IV )が0.7以下である鞘成分ポリマーとを、芯成分/鞘成分の複合面積比を60/40〜90/10の範囲となるように口金背面で芯鞘構造となるように合流させて吐出した後に引き取って得た芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメント未延伸糸を2.0〜7.0倍に多段延伸した後に180〜230℃に保持された最終延伸ローラーと非加熱の引き取りローラーの間で2〜10%のリラックス処理を行うことによって特別な設備を必要とすることなく、工程安定性やコスト面から有意に本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントを製造することが可能となる。
高破断強度ポリエステルモノフィラメントの一般的な製造方法として、高IVのポリエステルを使用し、溶融紡糸して未延伸糸を得、この未延伸糸を高倍率延伸する方法がある。また、ポリエステル未延伸糸を多段に組み合わせた加熱ローラーによって高倍率延伸し、高強度を有した延伸糸を得ることは公知の技術である。
ところが、この方法によって得られるモノフィラメントは、前記したように高破断強度を有するものの、必然的に伸度が著しく低下しているだけでなく、繊維構造、特に繊維表面の構造が著しく配向しているため、製織時に糸切れが多発したり、単繊維/単繊維および単繊維/装置部品(金属等)で繰り返し擦過を受けることによりスカムが発生し、製織できなくなるというような欠陥があるため、高精度スクリーン印刷には適用には限界がある。
本発明の製造法における特徴は、第1に使用する未延伸糸が芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントであること、第2に多段延伸した後に180〜230℃に保持された最終延伸ローラーと非加熱の引き取りローラー間で2〜10%のリラックス処理を行うことである。本発明者らは第1、第2の技術が組み合わされることによって、本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントが製造可能となり、高破断強度を有しつつも製織時のスカム発生を完全に防止し、高精度スクリーン印刷に好適なハイメッシュスクリーン紗が達成されるものである。
前記したように例えば芯鞘型複合繊維において、芯成分に高IVのポリエステルを用いることで高破断強度なものとし、これをソフトな鞘成分で覆うことでスカム性向上しようとする技術は公知のものである。しかし、該繊維を単に高倍率延伸しただけでは高精度スクリーン印刷の要求するレベルに破断強度および耐スカム性ともに及ばない。
しかしながら、本発明の製造方法では180〜230℃に保持された最終延伸ローラーと非加熱の引き取りローラー間で2〜10%のリラックス処理を行う。従って、最終延伸ローラー前で高度に配向した芯成分および鞘成分は高温の最終延伸ローラー上で瞬時に結晶化し、繊維構造が完成されるが、最終延伸ローラーを180〜230℃と従来技術と比較して高温に保持しているため(通常は90℃〜140℃)、該繊維は高温のまま最終延伸ローラーと引き取りローラー間でリラックス処理を受けることになり、ポリマーIVの低い鞘成分は速やかに構造が緩和し、配向が低下する。
これにより、従来では得難かった鞘配向の低下、即ち、耐スカム性を得ることができる。一方、芯成分は最終延伸ローラー上で構造が高度に形成されるため、構造の緩和がほとんどなく、高破断強度を維持することができる。このように本発明の製造方法では、特別な設備を必要とすることなく、従来技術では得ることが困難であった高破断強度を有し、耐スカム性の優れた本発明のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントを得ることが可能となる。
本発明の最終延伸ローラー温度は180〜230℃の範囲とする必要がある。最終延伸ローラー温度を180℃未満にすると既記した鞘部分の緩和を起こすことが困難になる。一方、230℃を超えた場合には最終延伸ローラーへの融着が起こりやすく、製糸性が悪化するため、好ましくない。耐スカム性をより効果的なものとするためには最終延伸ローラー温度は200〜230℃の範囲であることがより好ましい。
本発明におけるリラックス処理とは、最終延伸ローラーと非加熱の引き取りローラーの間でローラーの回転数を変更することによって行われる。
通常、リラックス熱処理と言われる技術は2対の加熱ローラー間で行われ、十分に結晶化を行い、繊維構造を固定し、延伸糸の熱収縮率の低下を目的とした技術であり、本技術のリラックス処理とは技術内容及びその目的が異なる。
本発明のリラックス処理は鞘成分の配向の低下を目的としており、2〜10%のリラックス率をとることが必要である。具体的には最終延伸ローラー速度(V1)と非加熱の引き取りローラー速度(V2)の速度比(V2/V1)が0.90〜0.98となるようにする。リラックス率を2%未満とした場合、鞘成分の配向低下が不十分なものとなり、耐スカム性が低下する。一方、リラックス率が10%を超える範囲で行うと最終延伸ローラーへの巻き付きを起こしやすくなるため、好ましくない。製糸性が安定し、かつ本発明をより効果的にするためには、リラックス率を2〜6%とすることがより好ましく、更に好ましくは3〜5%とすることである。
本発明の多段延伸とは多段に組み合わされた加熱ローラーの回転数を変更することにより、未延伸糸を2.0〜7.0倍に延伸する工程をいう。加熱ローラーの数は特に限定されるものではない。本発明の目的を達成するためには、未延伸糸を高倍率延伸することが必要となるが、一対の加熱ローラーでこれを行うと、延伸張力が増大するため、糸斑が増大したり、糸切れが多発する等の問題が発生するため、多段のローラーを組み合わすことにより行う必要がある。但し、コスト、装置スペース及び操作性を考えると加熱ローラーの数は3〜6個とすることが好ましい。
本発明に用いる加熱ローラーの表面状態は特に限定されるものではないが、第1加熱延伸ローラーは延伸点固定のために鏡面仕上げ、それ以降は融着防止のために梨地仕上げとすると糸斑が低下し、製糸製が向上するため、好ましい。
多段延伸の際、加熱ローラーの温度条件は走行糸条がローラーに融着しない程度の温度を適宜用いることが可能であるが、通常第1加熱ローラーは芯及び鞘ポリマーのガラス転移温度(以下Tg)+10〜30℃とし、第2加熱ローラー以降は徐々に温度を増加していくことが適正である。但し、最終延伸ローラー前のローラー温度は、最終延伸ローラー温度以下とすることが好ましい。
本発明における多段延伸の延伸倍率は特に限定することなく実施可能であるが、本発明の目的に好適な高破断強度モノフィラメントを得るためには2.0〜7.0倍することが好ましい。延伸倍率を2.0倍未満とした場合、得られる延伸糸の繊維構造が低配向となるため、高破断強度モノフィラメントを得ることが困難となる。7.0倍を超える倍率で行った場合、延伸張力が極めて高くなるため、糸切れが多発し、製糸性が悪化するだけでなく、糸斑による耐スカム性の悪化を助長する。従って、多段延伸の際の延伸倍率は2.0〜7.0倍とすることが好ましく、より好ましくは4.0〜6.5倍、更に好ましくは4.5〜6.0倍とすることである。延伸倍率を4.5〜6.0倍の範囲にした場合には、高精度スクリーン印刷に好適な高破断強度で耐スカム性の優れたモノフィラメントを製糸性良く得ることができる。
この際、第1加熱ローラーと第2加熱ローラーの間で下記式〔I〕
0.6Rn≦R1≦0.95Rn …〔I〕
但し、Rn:未延伸糸の限界延伸倍率 R1:延伸倍率(第2加熱ローラー速度/第1加熱ローラー速度)
を満足するように延伸すると得られるモノフィラメントのウースター斑(以下U%)を低くすることができる。
本発明の言う第1加熱ローラー及び第2加熱ローラーとは、多段延伸の第1段目の延伸が行われる2対のローラーのことである。また、Rn(未延伸糸の限界延伸倍率)とは実施にともなう速度、温度条件とした供給ローラー及び延伸ローラーを用意し、供給ローラーの速度を固定したまま、延伸ロールの速度を増加させ、糸条が走行不可になった際の供給ローラーと延伸ローラーの速度比のことを言う。
第1段目の延伸倍率を0.6Rn〜0.95Rnとした場合には延伸点が固定され、非常に均一なスクリーン紗用モノフィラメントを得ることが可能となる。従って、第1段目の延伸倍率は0.6Rn〜0.95Rnの範囲で行うのが好ましく、より好ましくは0.70Rn〜0.95Rnとすることである。特に第1段目の延伸を0.70Rn〜0.95Rnとした際にはU%の値が低く、均一性に優れたモノフィラメントを得ることができる。
本発明の製造方法における芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメント未延伸糸は従来公知の複合紡糸方法を用い製造することができる。例えば、芯および鞘を形成するポリマーをそれぞれ独立に溶融計量し、口金背面で芯鞘構造となるように合流させ、同一吐出孔から吐出した後にガラス転移温度以下に一旦冷却固化し、引き取ることにより得られる。この際、未延伸糸を連続または一旦引き取った後に延伸を行っても良い。
本発明における芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメント未延伸糸の芯成分および鞘成分を構成するポリエステルとしてはエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエチレンテレフタレート、テレフタル酸成分およびエチレングリコール成分以外の第3成分を少量(通常20モル%以下)共重合および、または混合させたポリエステルよりなるもので良い。また芯成分として、弾性率の高いポリエチレン2,6ナフタレート等を用いることもできる。耐熱性、コスト等の点から好ましくはポリエチレンテレフタレートである。さらにポリマー中に必要に応じて難燃剤、撥水剤、制電剤、除電剤、紫外線吸収剤等の添加剤が含有されていても良い。
本発明では高強度化を達成するためには、芯成分を構成するポリマーのIVCを0.8以上、鞘を構成するポリマーのIVSと芯を構成するポリマーのIV比(IVS/IVC)を0.7以下とし、芯成分と鞘成分の複合比を60/40〜90/10の範囲とすることが好ましい。
このような構成とする理由は、一般に溶融したポリマーが口金孔から吐出される際に、孔壁面とポリマーとの間で生じる剪断力により単糸表層となる部分の分子の配向が促進され、吐出された単糸断面方向の分子の配向に関する均一性が損なわれ、その後の延伸性が大きく低下すると考えられるためである。
従って、本発明の目的である高破断強度化のために高IVポリマーを芯成分とし、低IVのポリマーを鞘成分とすることで孔壁面との大きな剪断力を低IVの鞘成分で吸収し、芯ポリマーの分子鎖の状態を均一にするとともに、大きな歪みを受けた鞘成分のポリマーは吐出後瞬時に緩和が進行するため結果的に歪みが小さくなることを利用し、その後の延伸性を向上しようとするものである。従って、芯成分の面積比率が50%未満でも分子鎖の構造均一性の効果は得られるが、実質的に延伸糸破断強度を芯成分が担うため、本発明が目的とする高破断強度スクリーン紗用モノフィラメントを得るためには適さない場合がある。一方、芯成分の面積比率が、90%より大きくなると、均一な芯鞘構造を形成することが困難となり、部分的に芯部が露出し、耐フィブリル性および耐鞘剥離性が低下する原因となるため、好ましくない場合がある。従って、芯/鞘の面積比率としては60/40〜90/10が好ましく、より好ましくは70/30〜80/20とすることである。
このとき、鞘成分を構成するポリマーのIV(IVS)と芯成分を構成するポリマーのIV比(IVS/IVC)を0.7以下とすることが好ましい。繊維表面を構成するポリマーのIVSと繊維中心を構成するポリマーのIV比(IVS/IVC)を0.7以下とすると剪断応力の均一性が向上し、巻き取られた未延伸糸の芯成分は均一な構造を有するようになるため、延伸倍率の増大がはかれる。また、鞘成分の配向を低下させ、耐スカム性をより向上させるためにも、IV比としてはより好ましくは0.4以下、更に好ましくは0.2以下とすることである。
また、ポリマーIVが高い方がその延伸糸物性は高破断強度化することが知られているが、本発明の芯鞘型ポリエステルモノフィラメントは実質的に破断強度を芯成分が担うため、芯を構成するポリマーのIVを0.8以上にすると本発明の目的に好適な未延伸糸を容易に得ることができる。実質的な生産性を考えると、芯を構成するポリマーのIVとしては、0.8以上が好ましく、より好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.2以上とすることである。
未延伸糸の引き取り速度は特に限定することなく、実施することが可能であるが、未延伸糸の引き取り速度は500〜1000m/minの範囲とすることが好ましく、より好ましくは600〜900m/minの範囲とすることである。
該引き取り速度を500〜1000m/minにすると、紡糸線上で未延伸糸の繊維構造が形成されること無く、高倍率延伸が可能となり、生産性も良好に高破断強度モノフィラメントを得ることが可能となる。
本発明に使用される芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメント未延伸糸の繊度は、特に限定されるものではなく、目的用途に合わせた延伸糸繊度により決定すればよい。但し、本発明の技術は高精度スクリーン印刷に適したモノフィラメントを製造することにあるため、生産性、取扱性及び最終製品の繊度を考慮すると、該未延伸糸の繊度は25dtex〜150dtexが好ましく、より好ましくは30dtex〜70dtex、更に好ましくは30〜50dtexとすることである。
更に、モノフィラメントの糸断面形状は円形であることが望ましい。これは製織したスクリーン紗で感光性乳剤を硬化させる際に、変形断面を有するモノフィラメントの場合、ハレーションを起こすために印刷精度に悪影響を及ぼし、オープニングの均一性が損なわれるといった問題点も生じる場合があるためである。
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれより何等限定されるものではない。なお、実施例中の物性値は以下の方法によって測定した。
[固有粘度(IV)]
オルソクロロフェノール中25℃で測定された値より算出した。
[ガラス転移温度Tg(℃)]
使用ポリマーの粉末10mgを採取し、示差走査熱量計(パーキンエルマー社:DSC−4型)を用いて、16℃/分で昇温しつつ、昇温過程で発現するガラス転移に伴うピークを、パーキンエルマー社のデータ処理システムで処理し、ガラス転移温度Tg(℃)を求める。
[破断強伸度、弾性率 cN/dtex、%]
オリエンテックス社製テンシロン引張試験機を用い、未延伸糸の場合には初期試料長50mm、引張速度400mm/分、延伸糸の場合には初期試料長200mm、引張速度200mm/分で測定した。
[繊維全体の複屈折率 ΔnALL ×10-3
OLYMPUS社製BH−2偏光顕微鏡コンペンセーターを用い、通常の干渉縞法によって、レターデーションと繊維径より求めた。
[芯成分及び鞘成分の複屈折率測定]
サンプルをエポキシ樹脂に包埋後、ミクロトームを用いて厚さ1μmの切片に加工し、堀場ジョバンイボン社製 Ramanor T−64000を用いて測定した。光源として、Ar+レーザー(514.5nm、50mW)を用い、100倍の対物レンズによって1μmに集光した。ラマン散乱光はシングルモード、スリット100μm、回折格子1800gr/mmの条件で、CCD検出器により検出した。
測定は鞘成分、芯成分の各5点で行い、それぞれの測定結果に対しラマンバンドパラメータを算出し、その平均値を求めた。PETラマンバンドパラメータについては、下記式を用いた。
強度比R=I1615平行/I1615垂直
1615平行:繊維方向に平行な偏向配置での1615cm-1ラマンバンドの強度
1615垂直:繊維方向に垂直な偏光配置での1615cm-1ラマンバンドの強度
換算複屈折は次の定義による。
Δn(×10-3)=275×(R−1)/(R+2)
(換算複屈折は1軸延伸の繊維を標準として求めた。)
[繊維表層の非晶配向度及び結晶化度測定]
サンプルをエポキシ樹脂に包埋後、ミクロトームを用いて厚さ1μmの切片に加工し、堀場ジョンバンイボン社製 Ramanor T−64000を用いて測定した。光源として、Ar+レーザー(514.5nm、50mW)を用い、100倍の対物レンズによって1μmに集光した。ラマン散乱光はシングルモード、スリット100μm、回折格子1800gr/mmの条件で、CCD検出器により検出した。
測定は繊維表層から3μmまでを1μm毎に測定し、それぞれの測定結果に対しラマンバンドパラメータを算出し、その平均値を求めた。PETラマンバンドパラメータについては下記式を用いた。
強度比R=I1615平行/I1615垂直
1615平行:繊維方向に平行な偏向配置での1615cm-1ラマンバンドの強度
1615垂直:繊維方向に垂直な偏向配置での1615cm-1ラマンバンドの強度
換算複屈折率(Δn)及び換算密度(ρ)は次の定義による。
Δn(×10-3)=275×(R−1)/(R−2)
ρ(g/cm3)=(305−Δν1730)/209
Δν1730:1730cm-1付近のラマンバンド半値全幅
(換算複屈折率及び換算密度は1軸延伸の繊維を標準として求めた。)
結晶化度χは該記したρから次の定義により求める。
χ(%)=100×(ρ−1.335)/(1.455−1.335)
非晶配向度faはΔn及びχの値から次の定義により求める。
fa=(Δn−χ・Δnc0)/{(1−χ)・Δna0}
Δnc0:極限結晶複屈折率 0.220
Δna0:極限非晶複屈折率 0.235
[ウースター斑(U%)]
ツェルベガーウスター社製ウースター斑試験機を用いて、糸速度100m/分、測定タイプノーマルで測定し、U%値を求めた。
[耐フィブリル性評価(回)]
単糸を用いて、φ3mmの梨地の金属棒に接触角35°で糸を掛け、金属棒から340mmの所で糸張力1.5cN/dtexとして把持し、ストローク長30mm、速度100回/minで往復運動を与え、毛羽(剥離、フィブリル化)の発生した回数を測定した。
[耐摩耗性(筬洗浄周期)(m)]
スルーザー型織機より織機の回転数350rpmとしてメッシュ織物を製織する。筬の汚れ具合を観察しつつ、継続して製織を行うことが不能と判断されるときに停機し、筬の洗浄を行った。その時点の製織長さを筬洗浄周期(m)とする。この洗浄周期が短いほどスカムの発生が多いことを示す。
実施例1〜4、比較例1〜3
固有粘度IV=1.2のポリエチレンテレフタレートを芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントの芯成分として、固有粘度IV=0.5のポリエチレンテレフタレートを鞘成分として準備した。
従来公知の複合紡糸方法に従って、芯鞘の複合比を面積比が、80/20となるように吐出量を調整し、紡糸温度300℃で同心円型複合モノフィラメントを紡速600m/分で紡糸し芯鞘複合型モノフィラメントの未延伸糸を得た。
得られた未延伸糸を第1加熱ローラー90℃、第2加熱ローラーが140℃、最終延伸ローラー230℃に保持したホットローラーを用い、延伸糸繊度が8dtexとなるように2段延伸した後、最終延伸ローラーと非加熱の引き取りローラー速度比を段階的に変更し、巻き取った。該モノフィラメントを製織し、仕上げ加工をして330メッシュのハイメッシュ紗とした。
製糸条件の詳細、延伸糸物性及び紗の評価結果を下表に示す。
実施例5〜7
固有粘度=1.2、1.5のポリエチレンテレフタレートを芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメントの芯成分として、固有粘度IV=0.4、0.6のポリエチレンテレフタレートを鞘成分として準備した。
従来公知の複合紡糸方法に従って、芯鞘の複合比を面積比が80/20になるように吐出量を調整し、紡糸温度300℃で同心円型複合モノフィラメントを紡速600m/分で紡糸し芯鞘型複合モノフィラメントの未延伸糸を得た。
得られた未延伸糸を第1加熱ローラー90℃、第2加熱ローラーが140℃、最終延伸ローラー230℃に保持したホットローラーを用い、延伸糸繊度が8.5dtexとなるように2段延伸した後、最終延伸ローラーと非加熱の引き取りローラー速度比を0.96として4%のリラックス処理を施した後で巻き取った。
該モノフィラメントを製織し、仕上げ加工をして330メッシュのハイメッシュ紗とした。
製糸条件の詳細、延伸糸物性及び紗の評価結果を下表に示す。
実施例8、比較例4
最終延伸ローラー温度を140、180℃としたこと以外は全て実施例2に準じて行った。
製糸条件の詳細、延伸糸物性及び紗の評価結果を下表に示す。
実施例9,10
総延伸倍率を4.5倍、6.0倍としたこと以外は全て実施例2に準じて行った。
製糸条件の詳細、延伸糸物性及び紗の評価結果を下表に示す。
実施例11〜13
最終延伸ローラーと非加熱の引き取りローラーの速度比を0.98、0.94、0.90としたこと以外は全て実施例6に準じて行った。
製糸条件の詳細、延伸糸物性及び紗の評価結果を下表に示す。
実施例14,15
総延伸倍率を4.5倍、6.0倍としたこと以外は全て実施例6に準じて行った。
製糸条件の詳細、延伸糸物性及び紗の評価結果を下表に示す。
実施例16,17
紡糸速度を900m/minとし、総延伸倍率を4.5倍、3.4倍としたこと以外は全て実施例6に準じて行った。
製糸条件の詳細、延伸糸物性及び紗の評価結果を下表に示す。
比較例5〜8
固有粘度IV=1.2のポリエチレンテレフタレートを従来公知の溶融紡糸方法に従って、紡糸温度300℃、紡速600m/分で紡糸し単独のモノフィラメントの未延伸糸を得た。
得られた未延伸糸を第1加熱ローラー90℃、第2加熱ローラーが140℃、最終延伸ローラー230℃に保持したホットローラーを用い、延伸糸繊度が8dtexとなるように2段延伸した後、最終延伸ローラーと非加熱の引き取りローラー速度比を段階的に変更し、巻き取った。該モノフィラメントを製織し、仕上げ加工をして330メッシュのハイメッシュ紗とした。
製糸条件の詳細、延伸糸物性及び紗の評価結果を下表に示す。
比較例9,10
固有粘度IV=0.80のポリエチレンテレフタレート(A)を芯鞘型複合モノフィラメントの芯成分として準備した。一方、鞘成分としては分子量1000のポリエチレングリコールをポリエチレンテレフタレートの重合時に8重量%添加した固有粘度IV=0.67のポリマー(B)を準備した。
従来公知の複合紡糸方法に従って、芯鞘の複合比を面積比が90/10になるように吐出量を調整し、紡糸温度295℃で同心円型複合モノフィラメントを紡速600m/分で紡糸し、芯鞘型複合モノフィラメントの未延伸糸を得た。
得られた未延伸糸を第1加熱ローラー90℃、第2加熱ローラーが140℃、に保持した一対のホットローラーを用い、延伸糸繊度が8.9dtexとなるように延伸した後、最終延伸ローラーを用いずに第2加熱ローラと非加熱の引き取りローラー速度比を1.05として巻き取った。
該モノフィラメントを製織し、仕上げ加工をして330メッシュのハイメッシュ紗とした。
製糸条件の詳細、延伸糸物性及び紗の評価結果を下表に示す。
比較例11
延伸を第1加熱ローラー90、第2加熱ローラー140℃に保持した一対の加熱ローラーで行い最終延伸ローラーを用いずに引取ローラーとの非加熱ローラとの速度比を0.96としてリラックス率を4%として巻き取ること以外は全て実施例2に準じて行った。
製糸条件の詳細、延伸糸物性及び紗の評価結果を下表に示す。
比較例12〜14
最終延伸ローラーと非加熱の引き取りローラーの速度比を1.01、1.05、1.10としたこと以外は全て実施例6に準じて行った。
製糸条件の詳細、延伸糸物性及び紗の評価結果を下表に示す。
比較例15
最終延伸ローラーと非加熱の引き取りローラーの速度を1.01としたこと以外は全て実施例16に準じて行った。
製糸条件の詳細、延伸糸物性及び紗の評価結果を下表に示す。
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本発明は、スクリーン印刷に用いられるメッシュ織物に好適なポリエステルモノフィラメント及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、電子回路などの高度な精密性を要求される分野に好適なハイメッシュなスクリーン紗とするのに適したポリエステルモノフィラメント及びその製造方法に関する。
本発明において、好適に採用できる延伸方法を説明するための装置の一例である。
符号の説明
1:未延伸糸
2:供給ローラー(非加熱)
3:第1加熱ローラー
4:第2加熱ローラー
5:最終延伸ローラー(加熱)
6:引取ローラー(非加熱)
7:巻き取り糸
8:巻き取り装置(スピンドル)

Claims (6)

  1. ポリエステルからなる芯鞘型複合モノフィラメントにおいて(1)〜()を同時に満足することを特徴とするスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。
    (1)破断強度が6.0cN/dtex以上
    (2)伸度が10%以上
    (3)鞘成分の複屈折率ΔnSが180×10−3以下
    (4)繊維表層の結晶化度が30%以上
  2. 繊維表層の非晶配向度が0.70未満であることを特徴とする請求項1記載のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。
  3. ポリエステルからなる芯鞘型複合モノフィラメントにおいて、フィラメントの構成が(1)〜(3)であることを特徴とする請求項1または2記載のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。
    (1)芯成分を構成するポリマーのIV(IV)が0.8以上
    (2)鞘成分を構成するポリマーのIV(IV)とIVCの比(IV/IV)が0.7以下
    (3)芯/鞘の複合面積比が60/40〜90/10
  4. 芯成分ポリマーとしてIV(IV )が0.8以上、芯成分ポリマーIV(IV )とのIV比(IV /IV )が0.7以下である鞘成分ポリマーとを、芯成分/鞘成分の複合面積比を60/40〜90/10の範囲となるように口金背面で芯鞘構造となるように合流させて吐出した後に引き取って得た芯鞘型複合ポリエステルモノフィラメント未延伸糸を2.0〜7.0倍に多段延伸した後に180〜230℃に保持された最終延伸ローラーと非加熱の引き取りローラーの間で2〜10%のリラックス処理を行うことを特徴とするスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの製造方法。
  5. ポリエステルからなる芯鞘型複合モノフィラメント未延伸糸を延伸する過程において、第1加熱ローラーと第2加熱ローラーの間で下記式〔I〕を満足するように延伸することを特徴とする請求項記載のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの製造方法。
    0.6Rn≦R1≦0.95Rn…〔I〕
    但し、Rn:未延伸糸の限界延伸倍率 R1:延伸倍率(第2加熱ローラー速度/第1加熱ローラー速度)
  6. 速度500〜1000m/minで引き取ったポリエステルからなる芯鞘型複合モノフィラメント未延伸糸を延伸することを特徴とする請求項または記載のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの製造方法。
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