JPH05295617A - スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの製造方法 - Google Patents

スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの製造方法

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JPH05295617A
JPH05295617A JP9526092A JP9526092A JPH05295617A JP H05295617 A JPH05295617 A JP H05295617A JP 9526092 A JP9526092 A JP 9526092A JP 9526092 A JP9526092 A JP 9526092A JP H05295617 A JPH05295617 A JP H05295617A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 直接紡糸延伸方法により、紡出糸条を3〜5
倍に延伸して、3000m/分以上の速度でポリエステ
ルモノフィラメントを巻き取るに際して、張力付与ロー
ラ、加熱供給ローラ、加熱延伸ローラおよび非加熱ロー
ラからなる延伸系において、加熱延伸ローラと非加熱ロ
ーラの間で糸条に0.1%以上、10%以下のストレッ
チを付与し、巻取ることを特徴とするスクリーン紗用ポ
リエステルモノフィラメントの製造方法。 【効果】本発明によれば、直接紡糸延伸において、寸法
安定性に優れたスクリーン紗用ポリエステルモノフィラ
メントを容易に製造することができる。また、ポリエス
テルモノフィラメントの生産性を大幅に向上することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はスクリーン紗用ポリエス
テルモノフィラメントの製造方法に関する。さらに詳し
くは、寸法安定性に優れたポリエステルモノフィラメン
トの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スクリーン紗織物は、スクリーン印刷用
途、フィルタ用途などに広く使用されている。素材とし
ては従来、絹などの天然繊維やステンレスなどの無機繊
維が使用されてきた。しかしながら最近は、品質が安定
し入手が容易なナイロンやポリエステルなどの有機繊維
が一般的に使用されるようになってきている。特に、ポ
リエステルモノフィラメントよりなるスクリーン紗織物
は、ナイロンに比較して水分による寸法安定性への影響
も少なく、耐熱性に優れており、かつ低価格であるため
に広く普及しつつある。
【0003】しかしながら、一旦紡糸し巻き取った未延
伸糸を、従来公知のドローツイスターを用いて500〜
1500m/分の速度で延伸して巻き取る方法では、モ
ノフィラメントの生産性が極めて低いという問題があっ
た。
【0004】生産性を高める手段としては、紡糸した未
延伸糸を一旦巻き取ることなく直接延伸して巻き取るい
わゆる直接紡糸延伸法が合成繊維の製造方法としてよく
知られており、多用されている。さらに、特公昭58−
53084号公報には巻取りローラ直前の最終ローラを
非加熱ローラとし、糸質ムラおよび巻形状の改善をはか
ることが提案されている。
【0005】該公知の方法は、実施例から明らかなよう
に加熱延伸ローラと非加熱ローラの間で3%収縮させ、
ついで非加熱ローラと摩擦駆動式ワインダーの間で0.
25〜1.416%のオーバフィード率で巻き取るとい
うものである。この公知の方法では、供給加熱ローラと
延伸加熱ローラの間で形成された、高度に配向した繊維
構造が大幅に緩和されてしまうために、巻き取られた延
伸糸は、低い張力で変形し易く、しかも、応力緩和しや
すいものであった。一方、電子回路等の印刷に代表され
る、精密スクリーン印刷を実現するためのモノフィラメ
ントに要求される特性は、高強度で、モジュラスが高
く、かつ応力緩和が小さいことである。
【0006】モノフィラメントを高強度で、高モジュラ
スとすることは、得られるスクリーン紗の原版に対する
被印刷物の印刷位置の微小なズレを防止するために必須
の要件である。さらに、印刷枚数の増加にともなってス
クリーン版が伸びることによる被印刷物の印刷位置ズレ
を防止するために、応力緩和の小さいモノフィラメント
が求められている。また、電子回路においては線幅が5
0〜150μmという細線印刷が行なわれるために、メ
ッシュの細かいものが必要とされ、そのため、用いられ
るポリエステルモノフィラメントも必然的に高強度、高
モジュラスであり、かつ細繊度のものとする必要があ
る。
【0007】一般に、ポリエステルモノフィラメントを
高強度、高モジュラス化するためには、原糸製造過程
で、高倍率の延伸を付与し、高度に配向、結晶化させた
ものとすれば良いが、スクリーン紗の製造工程では、極
めて高密度の織物を高速で製織するため、オサなどとの
強い擦過を繰り返し受けることになり、モノフィラメン
ト経糸の表面が削り取られ、ヒゲ状あるいは粉状のスカ
ムが発生しやすい。特に、配向、結晶化の高いものほ
ど、この傾向が著しくなり、製織を一時中断し、織機の
清掃をする必要が生じ、作業性を損なうと同時に、その
部分が織段となるため、製品欠点につながる。また、清
掃を必要とするほどでもなくとも、生じたスカムの一部
がスクリーン紗の中に織り込まれてしまうと、精密印刷
時には印刷の欠点となるため、スカムの発生を防ぐこと
は、極めて重要な課題である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
の欠点に鑑み、直接紡糸延伸法でポリエステルモノフィ
ラメントを製造するに際して、スカム発生が少なく、し
かも、応力緩和の小さいポリエステルモノフィラメント
の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記本発明の目的は、直
接紡糸延伸方法により、紡糸糸条を3〜5倍に延伸し
て、3000m/分以上の速度でポリエステルモノフィ
ラメントを巻き取るに際して、張力付与ローラ、加熱供
給ローラ、加熱延伸ローラ、および非加熱ローラからな
る延伸系において、加熱延伸ローラと非加熱ローラの間
で糸条に0.1%以上、10%以下のストレッチを付与
し、巻取ることを特徴とするスクリーン紗用ポリエステ
ルモノフィラメントの製造方法によって達成することが
できる。
【0010】本発明者らは、直接紡糸延伸方法によるス
クリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの製造方法
について検討してきたが、従来公知の直接紡糸延伸方法
のように弛緩工程が入ると、ポリエステルモノフィラメ
ントの低速引張試験で得られる応力ー歪曲線(以後低速
S−Sという)の1〜3%伸長点のモジュラスが、従来
一般に用いられていた一旦紡糸し巻き取った未延伸糸を
延伸して得られるポリエステルモノフィラメントに比較
して、小さいことを見出した。この1〜3%伸長点のモ
ジュラスが小さくなることは、ポリエステルモノフィラ
メントの弾性回復性が小さく、塑性変形を受けやすいも
のとなる。このために、スクリーン版としたとき印刷中
に版が伸びるという問題があった。ここで低速S−Sと
いうのは、定速引張試験機で試料長200mm、引張速
度5%/分で測定したS−S曲線のことである。
【0011】従来公知のJIS−L−1013(198
1)による定速引張試験(引張速度が100%/分また
は50%/分)では、緩和の寄与が小さく応力緩和特性
との対応を見ることはできない。この低速S−Sによる
1〜3%伸長点のモジュラスを、従来一般に用いられて
いたポリエステルモノフィラメント並みに高くする方法
としては、加熱供給ローラと加熱延伸ローラ間の延伸倍
率を高くする方法があるが、この方法では、モノフィラ
メントの破断伸度が30%以下となり、製織時のスカム
発生が激しく良好なスクリーン紗を製織することが困難
である。さらに、巻取時に張力を高める方法もあるが、
このように巻取張力を高くすると、ドラム、パーンなど
に巻取られた巻糸の硬度が高くなり、解舒張力が高くな
ることから製織時に、いわゆるパーン引けが発生してス
クリーン紗の品位を損なう。
【0012】本発明の方法によれば、加熱延伸ローラと
非加熱ローラの間で0.1%以上、10%以下のストレ
ッチを付与して巻取ることによって、低速S−Sによる
2%伸長点のモジュラスを、1.6〜2g/dとするこ
とができ、寸法安定性に優れたモノフィラメントを得る
ことができる。さらに、本発明の方法によれば、加熱供
給ローラと加熱延伸ローラ間の延伸倍率を適正な倍率に
できるため、モノフィラメントの破断伸度35〜45%
を得ることができるのでスカム抑制に対しても好ましい
方法である。また、ワインダーへの巻取張力を高くする
必要もなく、製織時の引け抑制に対しても好ましい方法
である。ちなみに、加熱延伸ローラと非加熱ローラの間
で0.5〜3%のリラックスを付与して巻取ると低速S
−Sによる2%伸長点のモジュラスは1.1〜1.4g
/dと小さくなって、塑性変形しやすく、寸法安定性に
欠け、好ましい方法ではない。
【0013】以下、図面を用いて本発明を説明する。図
1は、本発明の実施態様の一例を示す直接紡糸延伸装置
の説明図である。紡糸口金1から紡出された紡出糸条3
は糸条冷却装置2で冷却して、給油装置5で従来公知の
油剤を付与し、張力付与ローラ8、9へ供給され、張力
付与ローラ9とTgより10〜30℃高い温度に加熱し
た加熱供給ローラ11との間で1〜3%のストレッチ率
を与え、未延伸糸10に糸張力を付与した後、加熱供給
ローラ11と130〜180℃に加熱した加熱延伸ロー
ラ12との間で3〜5倍に延伸する。加熱延伸ローラ1
2の温度は120〜180℃とするのが好ましい。12
0℃未満では巻取糸条の巻締まりが大きくなり、モノフ
ィラメントの解舒性が低下し、一方、180℃以上では
低速S−Sによる2%伸長点のモジュラスが低下するた
め寸法安定性が低くなる傾向にある。加熱延伸ローラ1
2のより好ましい温度は130〜160℃である。上記
によって加熱延伸された糸条は、引き続いて非加熱ロー
ラ14に導かれ、加熱延伸ローラ12と非加熱ローラ1
4との間の延伸糸条13に0.1〜10%のストレッチ
率を与えながら巻取装置16で巻取るものである。ここ
でローラ14を非加熱とするのは、延伸糸条13の温度
を速やかに冷却して、巻取糸条15の瞬間弾性回復を抑
制するためである。したがって、ローラ14は非加熱と
することが必要であり、好ましくは冷却水を循環させる
など積極的に冷却する手段を用いるのが良い。
【0014】延伸糸条13に付与するストレッチ率は、
0.1%未満では良好な寸法安定性が得られない。また
10%を越えると、ドラム、またはパーンに巻取られた
後の遅延回復による巻締まりが大きくなり、モノフィラ
メントの解舒性が低下する。したがって、延伸糸条13
に付与するストレッチ率は、0.1〜10%にすること
が必要である。より好ましくは、1〜3%である。巻取
糸条15の糸張力すなわち巻取張力は、巻取糸条のデニ
ール当たりで0.2〜0.5gとすることで巻形状およ
び解舒性に優れたモノフィラメント得ることができる。
本発明の直接紡糸延伸方法において加熱供給ローラ11
の速度は600〜2000m/分、巻取装置16の速度
は2500〜5000m/分で巻取られる。また各ロー
ラ間に分繊ガイドを設けてもよい。
【0015】本発明のポリエステルとしては、コストな
ども考慮すると、衣料用途、産業用途で大量に使用され
ているポリエチレンテレフタレートが最も好ましいが、
弾性率の高いポリエチレン−2,6−ナフタレートなど
も用いることができる。
【0016】本発明の方法は特に、直接紡糸延伸方法に
おいて高強度、高モジュラスのスクリーン紗用モノフィ
ラメントを製造するのに適している。さらに、従来公知
の複合紡糸法を用いた複合モノフィラメントを得る方法
として用いることができる。モノフィラメントのデニー
ルは特に限定するものではないが、4〜50dに本発明
の方法を適用することができる。
【0017】本発明における寸法安定性とは、以下に述
べる方法で測定した応力緩和時間(λ1.25)で判定し
た。応力緩和式としては、次式の指数関数が一般に用い
られる。 λ=t/ln(F0 /Ft ) λ:応力緩和時間(秒) F0 :初期応力(g/d) Ft :t秒間緩和後の応力(g/d) t:測定時間(秒)
【0018】テンシロン型引張試験機を用いて試長20
0mm、引張速度10mm/分でF0 =1.25g/d
に到達した時点で引張りを停止し、停止後は、一定長に
保ち、t=1200秒後の張力をチャートから読取り、
1200(g/d)を求め、下記の式からλ1.25を算出し
た。ただし、測定温度は25℃とした。 λ1.25=1200/ln(1.25/F1200) (秒) ここで、λ1.25は大きいほど寸法安定性に優れている。
【0019】本発明者らの研究によれば、ポリエステル
モノフィラメントのλ1.25が5000秒であれば、スク
リーン印刷に用いた際の寸法精度が良好であることを見
い出した。しかし、λ1.25の測定には長時間を要するた
め、測定中の微少な測定温度の影響があらわれ、測定値
が変動しやすいものであった。そこで、λ1.25に代用し
うる簡便な特性について種々検討を行ない、本発明の定
速S−Sによる2%伸長点モジュラスを見い出したもの
である。すなわち、定速S−Sによる2%伸長点モジュ
ラスはλ1.25と高い相関関係により、しかも測定が容易
であることから測定本数nを大きくすることができ、精
度の高い測定値を得ることができる。本発明でいう定速
S−Sの2%伸長点モジュラスは、測定本数n=10本
の平均値を用いている。さらに、λ1.25と低速S−Sに
よる2%伸長点のモジュラスとは、高い相関関係があ
り、λ1.25を5000秒以上にするためには低速S−S
による2%伸長点のモジュラスを1.6g/d以上にす
る必要がある。さらに、直接紡糸延伸法によってポリエ
ステルモノフィラメントの低速S−S2%伸長点のモジ
ュラスを1.6g/d以上にする方法として、延伸加熱
ロールと非加熱ロールとの間で0.1%〜10%のスト
レッチを付与することを見い出し、本発明に至ったもの
である。
【0020】
【実施例】
実施例1 35℃のο−クロロフェノール溶液にて測定した固有粘
度が0.8の粒状ポリエチレンテレフタレートを紡糸温
度300℃、6孔の紡糸口金より押し出し、冷却固化
後、水エマルジョン油剤をオイリングローラにより付与
し、図1に示す直接紡糸延伸装置を用いて6分割して単
糸繊度12dのモノフィラメントをワインダードラムに
巻取った。
【0021】直接紡糸延伸装置の条件は次の通りであ
る。 未延伸糸条10の張力0.2g/d(未延伸単糸繊度) 加熱供給ローラ11の速度1175m/分、温度92℃ 加熱延伸ローラ12の速度3950m/分、温度135
℃ 非加熱ローラ14の速度 4050m/分、温度 室温 巻取糸条15の張力0.25g/d(巻取単糸繊度) 加熱延伸ローラ12と非加熱ローラ14の間のストレッ
チ率2.53% 上記によって得られたポリエチレンテレフタレートモノ
フィラメントの低速S−S2%伸長点のモジュラスは
1.8g/dであり、応力緩和時間λ1.25が5700秒
となり寸法安定性に優れたモノフィラメントを得ること
ができた。該モノフィラメントはドラムからの解舒性も
良好であった。
【0022】比較例1 実施例1の直接紡糸延伸装置の条件において、加熱延伸
ローラ12の速度4000m/分、温度150℃、非加
熱ローラ14を除去してストレッチを付与することなく
巻取糸条15の張力0.25g/d(巻取単糸繊度)で
単糸繊度12dのモノフィラメントをワインダードラム
に巻取った。得られたポリエチレンテレフタレートモノ
フィラメントの低速S−S2%伸長点のモジュラスは
1.1g/dであり、応力緩和時間λ1.25が3600秒
となり寸法安定性に劣るモノフィラメントであった。
【0023】実施例2 実施例1において、直接紡糸延伸装置の条件を 未延伸糸条10の張力 0.2g/d(未延伸単糸繊
度) 加熱供給ローラ11の速度1175m/分、温度 92
℃ 加熱延伸ローラ12の温度 150℃ 非加熱ローラ14の速度 4050m/分、温度 室温 巻取糸条15の張力 0.25g/d(巻取単糸繊度) として、加熱延伸ローラ12の速度を変更して、加熱延
伸ローラ12と非加熱ローラ14間のストレッチ率を変
更した。上記によって得た12dポリエチレンテレフタ
レートモノフィラメントの低速S−S2%伸長点のモジ
ュラス、応力緩和時間λ1.25、寸法安定性およびモノフ
ィラメントのドラムからの解舒性を表1に示した。表1
から明らかなように、本発明の方法で得られるモノフィ
ラメントは低速S−S2%伸長点のモジュラスおよび応
力緩和時間λ1.25が大きく、寸法安定性に優れたもので
ある。さらに、モノフィラメントのドラムからの解舒性
についても満足できるものであった。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、直接紡糸延伸工程にお
いて、寸法安定性に優れたスクリーン紗用ポリエステル
モノフィラメントを容易に製造することができる。ま
た、ポリエステルモノフィラメントの生産性を大幅に向
上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明において、好適に採用できる直接紡糸
延伸方法を説明するための装置の一例である。
【符号の説明】
1:紡糸口金 2:糸条冷却装置 3:紡出糸条 4,6,7:糸条ガイド 5:給油装置 8,9:張力付与ローラ 10:未延伸糸条 11,12:加熱供給ローラ 13:延伸糸条 14:非加熱ローラ 15:巻取糸条 16:巻取装置(ワインダー)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直接紡糸延伸方法により、紡出糸条を3
    〜5倍に延伸して、3000m/分以上の速度でポリエ
    ステルモノフィラメントを巻き取るに際して、張力付与
    ローラ、加熱供給ローラ、加熱延伸ローラおよび非加熱
    ローラからなる延伸系において、加熱延伸ローラと非加
    熱ローラの間で糸条に0.1%以上、10%以下のスト
    レッチを付与し、巻取ることを特徴とするスクリーン紗
    用ポリエステルモノフィラメントの製造方法。
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