JP2005047020A - スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント - Google Patents

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Yoshitoki Mori
義斉 森
Atsushi Odajima
敦 小田嶋
Hiroyuki Kurokawa
浩亨 黒川
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Abstract

【課題】優れた寸法安定性とスカム抑制効果を有し、電子回路などの高精密印刷に好適なスクリーン紗用モノフィラメントを得ること。
【解決手段】芯鞘複合型のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントであって、芯部・鞘部を構成するポリマーが共にポリエチレンテレフタレートであり、芯部と鞘部の複合断面積比(芯:鞘)が70:30〜90:10、破断強度が6.5cN/dtex以上、破断伸度が15〜25%、沸水収縮率が5.5%以下であることを特徴とするスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。
【選択図】なし

Description

本発明は、スクリーン紗用モノフィラメントに関する。さらに詳しくは、精密スクリーン印刷に好適なスクリーン紗用モノフィラメントに関するものである。
【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】
【従来の技術】
印刷スクリーン用織物としては、従来はシルクなどの天然繊維やステンレスなどの無機繊維からなるメッシュ織物が広く使用されてきたが、近年は、柔軟性や耐久性、コストパフォーマンスに優れる合繊メッシュが好んで使用され、中でもポリエステルモノフィラメントは寸法安定性に優れるなどスクリーン用適正が高く、広く普及している。
【0003】
しかしながら、最近、電子回路印刷など高精密印刷の必要性が高まっており、メッシュがより細かく、紗張り時の伸びが少なく寸法安定性に優れたスクリーン紗が要求され、すなわち、細繊度かつ高強度、高モジュラス化したスクリーン紗用原糸を高密度製織する方向へと進んでいる。
【0004】
一般に、スクリーン紗の製造工程は高密度織物を高速で製織するため、高密度製織においては、特に走行フィラメントと小ピッチ配列の筬刃の接触頻度および摩擦力が増大し、フィラメント表面が削り取られてヒゲ状あるいは粉末状のスカムが発生しやすい。このスカムは織機汚れとなるばかりでなく、スクリーン紗の中に織り込まれてしまうと精密印刷時の重大な欠点となり、スカム発生防止は、スクリーン紗においては重要な課題である。
【0005】
そのため、スカム発生の軽減を目的とする改善技術の提案が多くなされている。例えば、芯部をポリエステルとし、ナイロンなどの削れにくいポリマーを鞘部とする複合モノフィラメントである(特許文献1参照)。しかしながら、該モノフィラメントではナイロンの使用によりスカム発生は防止することができるが、ナイロンの高い吸湿性により、精密印刷に欠かすことのできない寸法安定性が欠如するものとなるばかりでなく、ナイロンの低薬品耐性によるスクリーン使用分野の制限など、スクリーン素材として完全に満足できるまでには至っていない。
【0006】
他の提案としては、芯部をポリエステルとし、ガラス転移温度が35〜73℃である共重合ポリエステルを鞘部とする複合モノフィラメントである(特許文献2参照)。同様の提案として、芯部をIV=0.60〜0.90のポリエチレンテレフタレートとし、鞘部をIV=0.60〜0.80でイソフタル酸8〜20モル%、ネオペンチルグリコール5〜14モル%共重合したビカット軟化温度67〜78℃のポリエチレンテレフタレートとする複合モノフィラメントである(特許文献3参照)。これらのモノフィラメントでは、鞘部を共重合ポリエステルとしてガラス転移温度や軟化温度を低下することにより、ポリマーのソフト性を向上させた場合には、スカム発生を軽減する効果を有するものの、完全防止には至らず、さらには電子回路印刷のような高精密印刷用スクリーン紗に必要な高密度化や寸法安定性の向上を実現するためのスクリーン紗用原糸に要求される強度や10%伸長時応力などの重要な原糸物性を実現することが非常に困難である。
【0007】
【特許文献1】
特開昭62−276048号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平2−289120号公報
【0009】
【特許文献3】
特開平11−241227号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決し、従来のモノフィラメントでは得られなかった高密度製織性、優れた寸法安定性とスカム抑制効果を有し、電子回路などの高精密印刷に好適なスクリーン紗用モノフィラメントを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明は、芯鞘複合型のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントであって、芯部・鞘部を構成するポリマーが共にポリエチレンテレフタレートであり、芯部と鞘部の複合断面積比(芯:鞘)が70:30〜90:10、破断強度が6.5cN/dtex以上、破断伸度が15〜25%、沸水収縮率が5.5%以下であることを特徴とするスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明におけるポリエステルとは、繰り返し単位が95モル%以上がエチレンテレフタレートであるポリエチレンテレフタレートを示し、酸化チタン粒子などの無機粒子を含有していても良い。
【0014】
スクリーン紗用モノフィラメントは、一般に高強度を得るために、繊維を形成するポリマーの分子配向が低配向状態となるように紡糸し、一旦未延伸糸を巻き取った後に、高倍率延伸して高配向化される。高配向化した延伸糸は、高強度を発現する反面、曲げや剪断、削れに対して脆くなり、高密度スクリーン製織時の筬により摩耗される度合いが大きくなる。このため、高密度スクリーン紗の製織においては、フィラメント強度の保持とスカム発生防止を両立することが、高品位なスクリーン紗を得るためには必要不可欠となる。
【0015】
本発明において、ポリエステルモノフィラメントは、その横断面において芯部が鞘部により覆われ芯部が繊維表面に露出しないように配置された芯鞘型複合モノフィラメントである。芯鞘型複合とすることで、高密度スクリーン紗を製織する際に必要な強度とスカム発生防止を両立するものであり、単一成分のみでこれを達成し得ないことは同業者の間では従来公知である。なお、ここで芯鞘型とは芯部が鞘部により完全に覆われていれば良いが、溶融紡糸の際の吐出安定性や紗張り後のスクリーンの寸法安定性を保持しやすくするため、同心円状に配置することが好ましい。また、断面形状についても、丸型、偏平型三角型、四角型など幾つもの形状があるが、安定した製糸性やスクリーン製織性を得やすいという点や、製織後乳剤を塗布して感光させる際にハーレーションの発生を抑えるため、スクリーン紗の目開き、すなわちタテ糸とヨコ糸の交差により形成される格子状空間の形状の安定性などより、丸断面とすることが好ましい。
【0016】
本発明において、例えば塗布厚み10μm以下で行う様な高分解能および高精密な水準の印刷を目的とした300〜500メッシュ(本/インチ)のスクリーンを得るため、単糸繊度は5〜15dtexであることが好ましい。より好ましくは、7〜12dtexである。
【0017】
また、高密度スクリーン紗を製織する際の筬による摩耗への耐性、或いはタテ糸とヨコ糸の擦過によるフィラメント表面の薄皮状の剥離や削れ、スカムなどの発生を抑制するために、モノフィラメントの糸ー糸動摩擦係数は0.110μd以下であることが好ましく、より好ましくは0.100μd以下である。なお、糸ー糸動摩擦係数を前記の好ましい範囲とする方法は特に限定するものではないが、鞘部に無機粒子を1.0重量%を超えて多量に含有したポリマーを用いる方法は、製糸工程あるいは製織工程における各ガイド類を擦過してしまい、かえってスカムや表面剥離などの問題を誘発してしまうため好ましくない。このため、モノフィラメントを製糸する際に付与する油剤に、シリコーン変性物などを含有した油剤を、油剤中の水分を除外した油成分濃度が0.25〜1.00重量%の範囲となるように油剤付与する方法が好ましく、油成分濃度の付着量は0.30〜0.55%の範囲とすることがより好ましい。
【0018】
スクリーン紗の紗張り工程においては、紗の寸法安定上、一定値以上の張力が必要であり、張力は強度(cN/dtex)×メッシュにより定まる。高密度化を図る場合、一般的には細繊度のモノフィラメントを用いれば良いが、モノフィラメント繊度とメッシュ密度は完全には反比例しないため、細繊度化するほど破断強度は高くする必要がある。このため、本発明のモノフィラメントの場合では、必要な破断強度は6.5cN/dtex以上であり、より好ましい破断強度は6.8cN/dtex以上、更に好ましくは7.0cN/dtex以上である。
【0019】
このような高破断強度、高伸長応力を達成するためには、原糸の製造工程において高延伸倍率を行うことが必須となり、結果として破断伸度の低いものとなるが、製織時の本発明の目的を達成するためには、モノフィラメントの破断伸度は15〜25%の範囲であることが必要である。破断伸度が15%を下回るものでは、製織糸切れが多発するなど糸の取り扱い性が著しく悪くなるばかりでなく、フィラメント表面の配向性が過剰に高くなりスカムや成分剥離などが発生しやすくなる。また、破断伸度が25%を上回る場合には、紗伸びが発生しやすくなり、寸法安定性に劣るものとなる。好ましくは、破断伸度は17〜22%である。
【0020】
一方、高強度のモノフィラメントからなる高密度スクリーン紗であっても、製織後の精錬・染色加工工程など熱処理を施す際に、熱収縮率が高いと織り幅の変化や目ズレが発生し、高分解能印刷の精度を保持することが出来ない。そのため、歪みの発生しない寸法安定性の良好なスクリーン紗を得るためには、モノフィラメントの熱収縮率が高いことが必要であり、これは沸水収縮率で代表することができ、5.5%以下とする必要があり、好ましくは4.5%以下である。なお、スクリーン紗の印刷時のスキージなどにより応力が加えられた際の歪みを抑制し、より寸法安定性を向上するためには、モノフィラメントの10%伸長時応力が5.5cN/dtex以上であることが好ましく、より好ましくは5.7cN/dtex以上である。
【0021】
本発明において、芯部PETのIV、及び鞘部PETのIVの下限については、前記強伸度特性および熱収縮特性を同時に満足せしめるための延伸熱セットを施すに際して、モノフィラメントの強度を受け持つ芯部PET、及び繊維長手方向の連続性、未配向部分と結晶化部分の繊維配向均一性、延伸工程および製織工程での工程通過性を受け持つ鞘部PETの下限を規定することが好ましい。また、芯部PETのIV、及び鞘部PETのIVの上限について、前記強伸度特性および熱収縮特性を同時に満足せしめるための延伸熱セットを施すに際して、芯部PETの延伸ムラを防止して繊維の均斉性を良好にしたり、鞘部PETの配向性を制御してフィラメント表面の耐摩擦性を良好にして、スカムや摩耗損傷による薄皮削れの様な成分剥離などを防止するため各IVの上限を規定することが好ましい。よって、前記のモノフィラメントに必要な強伸度特性および熱収縮特性、すなわち破断強度6.5cN/dtex以上、破断伸度15〜25%、沸水収縮率5.5%以下を得るため、また溶融紡糸の際の操業性、製造コストなどの観点から、芯部に用いるポリエステルはIV=0.90〜1.30のポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す)、鞘部はIV=0.45〜0.75のPETを用いると良い。より好ましくは、芯部PETのIV=1.00〜1.25、鞘部PETのIV=0.50〜0.68である。
【0022】
本発明における芯部PETと鞘部PETの複合断面積比(芯:鞘)は、破断強度、製織時の耐筬摩耗性を確保するために、70:30〜90:10の範囲であることが必要であり、鞘部の比率が上記範囲を上回ると、破断強度が不足し、鞘部比率が上記範囲を下回ると、厚み均一性低下による薄皮部の摩耗損傷などを生じる。好ましくは、複合断面積比(芯:鞘)は75:25〜85:15の範囲である。
【0023】
【実施例】
以下本発明を実施例により詳細に説明する。なお、実施例中の評価は以下の方法に従った。
【0024】
1.固有粘度(IV)
オルソクロロフェノール(以下OCPと略す)10ml中に試料ポリマーを0.8g溶かし、25℃にてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを次式により算出した値(IV)である。
ηr=η/η=(t×q)/(t×q
IV=0.0242ηr+0.2634
但し、η:ポリマー溶液粘度、η:OCPの粘度、t:溶液の落下時間(秒)、q:溶液密度(g/cm)、t:OCPの落下時間(秒)、q:OCPの密度(g/cm)。
【0025】
2.破断強伸度、10%伸長時応力
JIS−L−1013に準じて、引張試験機は東洋ボールドウィン社製テンシロンUTM−4−100を用い、試料長20cm、定速引張速度20cm/分の条件で、破断強伸度は試料が伸長破断した時の強度および伸度を求め、10%伸長時応力は試料が10%伸長した時(すなわち試料原長より2cm伸長した時)の強度を求め、各々測定本数10本の平均値を使用した。
【0026】
3.沸水収縮率
JIS−L−1013(1999)中の「熱水収縮率A法」に準じて測定した。熱水は一旦沸騰させた98℃のものを用いてカセ収縮率として求め、測定本数10本の平均値を使用した。
【0027】
4.複合断面積比
評価すべきフィラメントを採取し、横断面を顕微鏡を用いて任意の倍率に拡大した写真撮影を行い、この写真を用いて芯部と鞘部の断面積比を求めた。
【0028】
5.糸ー糸動摩擦係数
約690mのモノフィラメントを、綾角5°で約10gの張力を掛けて、円筒状の紙管に巻き付け、更に同じモノフィラメント30.5cmをこの円筒状紙管に掛ける。この時、モノフィラメントは円筒状紙管上にあり、円筒状紙管の巻き付け方向と平行にする。グラム数で表した荷重の値が、円筒状紙管に掛けたモノフィラメントの繊度の0.036倍になるように荷重を選択し、円筒状紙管に掛けたモノフィラメントの片方の端に結び、他方の端にはストレインゲージを連結させる。次に円筒状紙管を18m/分の周速度で回転させ、張力をストレインゲージで測定し、次式により糸ー糸動摩擦係数(μd)を算出した。
糸ー糸動摩擦係数(μd)=1/π×ln(T2/T1)
但し、T1:モノフィラメントに掛けた荷重(g)、T2:上記測定を25回測定した時の張力の平均値(g)、ln:自然対数、π:円周率。
【0029】
6.スカム抑制効果
スルーザー型織機を使用し、タテ・ヨコ密度350メッシュ(350本/インチ)、回転数350rpmでスクリーン織物を製織し、筬の汚れが進行して正常な製織を維持出来ず、停機せざるを得なくなった時点までの製織長を求め、製織長350m以上を○、250〜340mを△、250m未満を×とし、○および△を合格とした。
【0030】
7.スクリーンの寸法安定性
印刷パターンの歪みを観察し、歪み発生時の印刷累計枚数にて、1500枚以上を○、1200〜1500枚を△、1200枚未満を×とし、○および△を合格とした。
【0031】
実施例1
通常の複合紡糸機を用いて、芯部にIV=1.00のPETを用い、鞘部に酸化チタン粒子を0.5重量%含有したIV=0.51のPETを用いて、複合断面積比80:20となるようにポリマー吐出量を調整して、紡糸温度298℃にて口金から糸条を吐出した後、内壁温度300℃で糸条との距離が4.5cm、長さ10cmの加熱帯を通過させた後に冷却風にて冷却固化した芯鞘型複合モノフィラメント糸条を、紡糸速度850m/分で引き取り、特殊変性シリコーンを0.04%含有した油剤を油成分付着量0.40重量%となるように付与した後に未延伸糸を一旦巻き取った。
この未延伸糸を、表面温度90℃の第1ホットローラーと表面温度100℃の第2ホットローラー間で4.39倍、第2ホットローラーと表面温度200℃の第3ホットローラー間で1.07倍、第3ホットローラーと表面温度が室温の冷却ローラー間で4.29%のリラックスを付与して延伸熱セットし、繊度が10.0デシテックスの複合モノフィラメントを得た。得られた複合モノフィラメントは破断強度7.1cN/dtex、破断伸度19.5%、沸水収縮率3.3%であり、この複合モノフィラメントを用いて、350メッシュの高密度スクリーン紗を製織した結果、筬汚れによる停機までの製織長は450mであり、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数1620枚までパターンの歪みは発生せず、安定な製織性と品質の良好な高密度スクリーン紗が得られた。
【0032】
実施例2
芯部にIV=1.23のPETを用い、鞘部に酸化チタン粒子を0.5重量%含有したIV=0.65のPETを用いて、未延伸糸を一旦巻き取り、延伸糸の破断強度が8.0cN/dtexとなるようにトータル延伸倍率を調整して延伸熱セットしたこと以外、実施例1と同様の方法で複合モノフィラメントを得た。得られた複合モノフィラメントは破断伸度17.8%、沸水収縮率3.0%であり、この複合モノフィラメントを用いた高密度スクリーン紗製織では、筬汚れによる停機までの製織長は380mであり、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数1780枚までパターンの歪みは発生せず、安定な製織性と品質の良好な高密度スクリーン紗が得られた。
【0033】
実施例3
未延伸糸を得る際の加熱帯を取り外したこと以外は、実施例2と同様の方法で芯鞘型複合モノフィラメント糸を得た。得られた複合モノフィラメントは破断強度8.1cN/dtex、破断伸度15.3%、沸水収縮率2.7%であり、この複合モノフィラメントを用いた高密度スクリーン紗製織では、筬汚れによる停機までの製織長は260mであり、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数1850枚までパターンの歪みは発生せず、本発明の目的を満足する製織性と品質の良好な高密度スクリーン紗が得られた。
【0034】
実施例4
芯部にIV=0.90のPETを用い、鞘部に酸化チタン粒子を0.5重量%含有したIV=0.45のPETを用いて、複合断面積比が90:10になるようにポリマー吐出量を調整し未延伸糸を一旦巻き取り、延伸糸の破断強度が6.6cN/dtexとなるようにトータル延伸倍率を調整したこと以外、実施例1と同様の方法で複合モノフィラメントを得た。得られた複合モノフィラメントは破断伸度17.2%、沸水収縮率4.5%であり、この複合モノフィラメントを用いた高密度スクリーン紗製織では、筬汚れによる停機までの製織長は300mであり、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数1310枚までパターンの歪みは発生せず、本発明の目的を満足する製織性と品質を有する高密度スクリーン紗が得られた。
【0035】
実施例5
芯部にIV=1.30のPETを用い、鞘部に酸化チタン粒子を0.3重量%含有したIV=0.75のPETを用い、芯部と鞘部の複合断面比が75:25となるようにポリマー吐出量を調整して未延伸糸を一旦巻き取り、延伸糸の破断強度が7.4cN/dtex、沸水収縮率が5.4%となるようにトータル延伸倍率および第3ホットローラー温度を調整したこと以外、実施例1と同様の方法で複合モノフィラメントを得た。得られた複合モノフィラメントは破断伸度15.6%であり、この複合モノフィラメントを用いた高密度スクリーン紗製織では、筬汚れによる停機までの製織長は280mであり、該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数1430枚までパターンの歪みは発生せず、本発明の目的を満足する製織性と品質を有する高密度スクリーン紗が得られた。
【0036】
実施例1〜5の結果をまとめて表1に示す。
【0037】
比較例1
芯部にIV=0.80のPETを用いて、紡糸温度295℃にて口金から糸条を吐出した後、冷却風で冷却固化し紡糸速度1200m/分にて未延伸糸を一旦巻き取った。表面温度90℃の第1ホットローラーと表面温度130℃の第2ホットローラー間にて、延伸糸の破断強度が6.2cN/dtexとなるようにトータル延伸倍率を調整して延伸熱セットしたこと以外、実施例1と同様の方法で複合モノフィラメントを得た。得られた複合モノフィラメントは破断伸度20.4%、沸水収縮率8.5%であり、この複合モノフィラメントを用いてた高密度スクリーン紗製織では、筬汚れによる停機までの製織長は360mでありスカム抑制効果は問題ないものの、破断強度が低いためと思われる製織時糸切れが多発し、糸切れ端がスクリーンに織り込まれるなど製織性の劣ったものとなった。該スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数720枚でパターンの歪みが発生し、寸法安定性の劣るものとなった。
【0038】
比較例2
鞘部にIV=0.51のPETを用い、延伸糸の破断強度が8.5cN/dtexとなるように、トータル延伸倍率を調整したこと以外、実施例3と同様の方法で複合モノフィラメントを得た。得られた複合モノフィラメントは破断伸度11.5%、沸水収縮率3.1%であり、この複合モノフィラメントを用いた高密度スクリーン紗を用いた印刷を行った結果では、印刷枚数1810枚までパターンの歪みは発生せず寸法安定性は問題ないものであったが、製織時の筬汚れによる停機までの製織長は140mであり、破断伸度が低すぎた該モノフィラメントでは繊維表面の配向が過剰に高いためと思われるスカムの発生が多く、また製織糸切れも多発し、製織性の劣ったものとなった。
【0039】
比較例3
芯部にIV=1.40のPETを用いたこと以外、実施例1と同様の方法で複合モノフィラメントを得た。得られた複合モノフィラメントは破断強度6.9cN/dtex、破断伸度22.3%、沸水収縮率7.6%であり、この複合モノフィラメントを用いた高密度スクリーン紗製織では、筬汚れによる停機までの製織長は330mであり、スカム抑制効果は問題ないものの、、スクリーン紗を用いた印刷では、印刷枚数920枚でパターンの歪みが発生してしまい、沸水収縮率が高いことによる寸法安定性の低下が発生した。なお、該複合モノフィラメントについては、破断強度・破断伸度レベルが実施例1に近似しているにも係わらず、スカム抑制効果が実施例1対比劣性となり、これは芯部ポリマーのIVが高すぎたことにより、芯部ポリマーの延伸ムラが発生し、複合モノフィラメント全体としての長手方向の配向均一性が低下したためと思われる。
【0040】
比較例4
鞘部にIV=0.65のPETを用い、紡糸速度を600m/分として未延伸糸を紡糸し、トータル延伸倍率を4.90倍で延伸熱セットしたこと以外、実施例1と同様の方法で複合モノフィラメントを得た。得られた複合モノフィラメントは破断強度6.3cN/dtex、破断伸度29.3%、沸水収縮率2.8%であり、10%伸長時応力が4.6cN/dtexと他の実施例に比較してモジュラスの低いモノフィラメントであった。この複合モノフィラメントを用いた高密度スクリーン紗製織では、筬汚れによる停機までの製織長は540mであり、良好なスカム抑制効果を有しているものの、破断強度が低いために比較例1のモノフィラメントと同様に製織時糸切れが多発し、糸切れ端がスクリーンに織り込まれるなど製織性の劣ったものとなった。また、該スクリーン紗では、破断伸度が過剰に高いためと思われる紗伸びが発生してしまい寸法安定性が低下しており、印刷を行った際には、印刷枚数790枚でパターンの歪みが発生した。
【0041】
比較例5
芯部と鞘部の複合断面積比を95:5としたこと以外、実施例1と同様の方法で複合モノフィラメントを得た。得られた複合モノフィラメントは、破断強度6.9cN/dtex、破断伸度18.7%、沸水収縮率3.2%であり、糸物性としては問題ないものの、鞘部の厚みが不均一なものとなった。この複合モノフィラメントを用いた高密度スクリーン紗の製織においては、筬汚れによる停機までの製織長が150mであり、鞘部の厚みが薄い部分が剥離したと思われる薄皮状の削れが多発した。また、該スクリーン紗では、印刷枚数1220枚までパターンの歪みは発生せず寸法安定性は問題ないものの、紡糸段階における鞘部ポリマーの吐出ムラによると思われる太細ムラ欠点がスクリーン紗中に見つかり、該欠点部分は印刷使用不可となった。
【0042】
比較例6
芯部と鞘部の複合断面積比を60:40としたこと以外、実施例1と同様の方法で複合モノフィラメントを得た。得られた複合モノフィラメントは、破断強度5.9cN/dtex、破断伸度16.1%、沸水収縮率4.9%であり、この複合モノフィラメントを用いた高密度スクリーン紗の製織においては、製経時のタテ糸切れおよび製織時ヨコ糸切れともに頻発し、スクリーン紗を製織することができなかった。
【0043】
【表1】
Figure 2005047020
【0044】
【発明の効果】
上述したように、本発明のポリエステルよりなる芯鞘型複合モノフィラメントは、芯部・鞘部PETの複合断面積比、破断強伸度、沸水収縮率を適正なものとすることにより、従来のモノフィラメントでは得られなかった高密度製織性、優れた寸法安定性とスカム抑制効果を有し、電子回路などの高精密印刷に好適なスクリーン紗用モノフィラメントを得ることができる。

Claims (3)

  1. 芯鞘型複合のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントであって、芯部・鞘部を構成するポリマーが共にポリエチレンテレフタレートであり、芯部と鞘部の複合断面積比(芯:鞘)が70:30〜90:10、破断強度が6.5cN/dtex以上、破断伸度が15〜25%、沸水収縮率が5.5%以下であることを特徴とするスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。
  2. 芯部のポリエチレンテレフタレートがIV=0.90〜1.30、鞘部のポリエチレンテレフタレートがIV=0.45〜0.75であることを特徴とする請求項1記載のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。
  3. 単糸繊度が5〜15デシテックス(dtex)、糸ー糸動摩擦係数が0.110μd以下である請求項1または請求項2記載のスクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント。
JP2003203172A 2003-07-29 2003-07-29 スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント Pending JP2005047020A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008101288A (ja) * 2006-10-18 2008-05-01 Teijin Fibers Ltd 寸法安定性に優れたスクリーン紗用モノフィラメント
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WO2010035640A1 (ja) 2008-09-26 2010-04-01 東レ株式会社 ポリエステルモノフィラメント、およびその製造方法、ならびにそれを用いたスクリーン紗の製造方法
JP2011016279A (ja) * 2009-07-08 2011-01-27 Teijin Fibers Ltd スクリーン紗
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