JP2010221486A - スクリーン紗 - Google Patents

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基博 小田
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浩史 山本
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、高精細・高精密なスクリーン印刷に適したハイメッシュ且つ高強度をもつスクリーン紗を提供することにある。
【解決手段】 2種のホモポリエチレンテレフタレートが芯鞘状に配置されたモノフィラメントからなり、以下の特徴を有する織密度500メッシュ以上のスクリーン紗。
A.スクリーン紗のオープニング 0.15以上
B.スクリーン紗を構成するモノフィラメントの繊径 25μm以下
C.開口面積バラツキ 5%以下
D.スクリーン紗の破断強度 250N/5cm以上
【選択図】なし

Description

本発明は、高精細・高精密印刷に適した500メッシュ以上のポリエステルハイメッシュスクリーン紗に関するものである。
従来、スクリーン印刷用織物としては、シルクなどの天然繊維やステンレスなどの無機繊維からなるメッシュ織物が広く使用されてきたが、近年は、柔軟性や耐久性、コストパフォーマンスに優れる合繊メッシュが広く用いられ、中でもポリエステルからなるモノフィラメントは寸法安定性に優れるなどスクリーン紗適正が高く、コンパクトディスクのレーベル印刷などグラフィックデザイン物の印刷や電子基板回路印刷などに幅広く使用されている。
近年、電子機器の高性能化やコンパクト化が著しく進行する中、電子機器を構成する電子基板のコンパクト化や基板回路の精密化に応えるべく、よりハイメッシュ、かつ繊径ムラなどの織物欠点が少ないスクリーン紗への要求が高まっている。
特許文献1及び2ではスクリーン紗に適したモノフィラメントの発明の開示があるが、両文献ともにフィラメントを得る方法として、紡糸したフィラメントを一度巻き取ってから再度解舒して延伸する、いわゆる二工程法(UY/DT)により製糸を行っている。しかし、この方法では延伸前に配向が進んでしまい特に細繊径において延伸時に高タフネスを得る事ができない。ほか、配向ムラが極端に大きくなり、特にハイメッシュスクリーン紗において糸長繊度変動率が大きくなる。このため、スクリーン紗としたときに印刷精度を決定付づけるインキ通過部分のバラツキ、すなわち開口面積バラツキが大きくなるため、印刷時にラインパターンの精密性が極端に悪化する。これらの点から上記例のモノフィラメントでは本発明のスクリーン紗を得ることは不可能である。さらに特許文献1の請求項では繊径21μm(繊度4.6dtex)までの記載があるが、21μmでは上述バラツキが顕著に現れ、高精彩・高精密なスクリーン紗は実現できず、実施例で行っている31μm(10dtex)ではスクリーン紗の織密度を500メッシュ以上としたときにメッシュの開口部の面積(オープニング)が極端に小さくなり、インキの通過性が確保できない。特許文献2では細繊径・高精密となる発明の開示があるが、細繊径化・高強度化により伸度が大幅に低下しており、実施例に示されたタフネスは高々27程度と脆く、整径、製織時の僅かな張力変動によって破断しやすい。そのようなスクリーン紗において特に緯糸を均一に織り込むことが極めて困難であり、ハイメッシュ化や開口面積バラツキを抑えることは不可能であった。
一方、特許文献3では繊径20μm、500メッシュのスクリーン紗に関する記載があるが、このスクリーン紗を得るためには減量処理を必要としている。太繊度のモノフィラメントを製織後にアルカリ処理を施すことにより細繊径化しオープニングを拡大したものであるが、アルカリ処理により開口面積バラツキは極端に悪化するため、精密印刷には好ましくない。また、アルカリ処理を速やかに進行させるために用いている共重合PETは分子鎖の対称性を乱し繊維構造をルーズなものとするとの記載があり、この点から耐摩耗性が悪化する事を示唆しており、毛羽やスカムが発生し易くなる。
特開2005−47020号公報(請求の範囲、実施例) 特開2003−213520号公報(請求の範囲、実施例) 特開平06−278383号公報(請求の範囲、実施例)
本発明の目的は、ハイメッシュ且つ開口面積バラツキおよび織物欠点を抑制することにより、高精細・高精密なスクリーン印刷に適したハイメッシュ且つ高強度をもつスクリーン紗を提供することにある。
2種のホモポリエチレンテレフタレートが芯鞘状に配置されたモノフィラメントからなり、以下の特徴を有する織密度500メッシュ以上のスクリーン紗。
A.スクリーン紗のオープニング 0.15以上
B.スクリーン紗を構成するモノフィラメントの繊径 25μm以下
C.開口面積バラツキ 5%以下
D.スクリーン紗の破断強度 250N/5cm以上
細繊径・高強度を有するモノフィラメントからなるハイメッシュスクリーン紗を提供することにより、高精細・高精密印刷が可能となる。
ラインパターンの評価例
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のスクリーン紗を構成する「2種のホモポリエチレンテレフタレート(以下ホモPET)が芯鞘状に配置されたモノフィラメント」とは、繰り返し単位の99重量%以上がエチレンテレフタレートより構成されており、芯成分、鞘成分いずれもPETである芯鞘型の複合モノフィラメントである。PETは剛性に優れており、高強度・高タフネスなフィラメントを得やすく、電子基板用途など極めて高い精密性を必要とするパターン形成用スクリーン紗に最適である。ところが、その優れた剛性ゆえに紡糸途中での糸切れが多発し易い上に、製織時に筬羽との擦過による毛羽・スカムを発生しやすいという欠点をもつ。そこで、フィラメントの形態は、芯成分が鞘成分に完全に覆われた同心円状の芯鞘構造であることが好ましく、芯成分に強度を担う成分を、鞘成分には耐摩耗性を担う成分をそれぞれ配置することで前記の欠点を補うことができる。
本発明のスクリーン紗を実現するためには織密度500メッシュ以上が必要であり、好ましくは、600〜800メッシュである。織密度とは織物1インチ(1インチ=25.4mm)あたりのフィラメント数であり、単位はメッシュで表す。織密度を増加させることでフィラメント交差部からなる格子面積を減少ならびに格子数を増加せしめ、精細なパターンの印刷を可能とする。特に500メッシュ以上において極めて高精細な印刷が可能となる。しかし、織密度が増加すると、格子面積が小さくなり、インキの通過性が極端に悪化するため、無尽蔵に織密度を増加させることは好ましくない。本発明のスクリーン紗において、最適なオープニング(紗面積に対する開口面積の割合)を確保するためには織密度800メッシュ以下であることが好ましい。
本発明のスクリーン紗の目開きを表すオープニングは0.15以上であることが必要であり、好ましくは0.20以上がよい。スクリーン紗のオープニングは印刷時のインキの通過量にかかわるものであり、インキを被写体に均一に塗布するためには、一定以上のオープニングが必要である。一方、オープニングを大きくするためにはメッシュ数を少なくするか、使用するモノフィラメントの繊径を小さくすることが必要であるが、後述するスクリーン紗の破断強度を確保する観点から0.4以下とすることが好ましい。オープニング0.2〜0.4においては、印刷に適したインキの通過性とスクリーン紗の破断強度を両立することが容易となる。
本発明のスクリーン紗を構成するモノフィラメントの繊径は25μm以下であることが必要であり、好ましくは22μm以下がよい。本発明のスクリーン紗を製織するにあたり、織密度500メッシュ以上というハイメッシュスクリーン紗ではメッシュピッチが極端に狭くなるため、筬羽との擦過がより激しくなり、毛羽・スカム等の削れ屑が発生し易くなる。発生した削れ屑は製織の際に織り込まれ目詰まりとなったり、印刷時にラインパターン端部印刷ムラが生じやすくなる。同じ織密度のスクリーン紗においても繊径25μm以下のモノフィラメントを使用することで、ハイメッシュスクリーン紗を製織する際の筬羽との擦過を抑えることができる。従来のスクリーン紗の織密度は比較的高メッシュのものでも織密度250〜350メッシュ程度であり、これらを構成するフィラメントの繊径は30〜45μmである。繊径35μmのフィラメントでは、織密度350メッシュ(1インチ=2.54cm当たり350本)のスクリーン紗の時はオープニング0.27と印刷に最適な値であるが、500メッシュではオープニング0.10と極度に低下してしまいインキの通過量が激減する。725メッシュではメッシュピッチが繊径とほぼ同等となり、実質インキが通過できなくなる。しかし、フィラメントの繊径を小さくしていくと、フィラメントの強力が減少するためメッシュの破断が起こりやすくなる。そのため、本発明のスクリーン紗に適した強力を得るための繊径としては少なくとも15μm以上が好ましく、より好ましくは18μm以上である。
本発明のスクリーン紗の開口面積バラツキは5%以下であることが必要であり、好ましくは4%以下である。特に500メッシュ以上のハイメッシュスクリーン紗では各格子からのインキの通過性が印刷精度に大きく影響し、その精度を決定づける開口面積バラツキは5%以下とすることで印刷時のラインパターン端部印刷ムラの抑制が可能となる。従来の技術では開口面積バラツキを抑制することができず、高精密印刷に好適なハイメッシュスクリーン紗を実現できなかった。開口面積バラツキを支配する要因として糸長手方向の繊度変動率(糸長繊度変動率)が極度に大きい箇所の存在や、毛羽やスカムの織込みが挙げられる。特に500メッシュ以上のハイメッシュスクリーン紗においてその影響はより顕著なものとなり、スクリーン紗を構成するモノフィラメントの糸長繊度変動率の増大が、スクリーン紗の開口面積バラツキ増加の大きな要因となる。本発明のスクリーン紗を得るためのモノフィラメントの糸長繊度変動率は1.5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0%以下である。
開口面積バラツキのもう一つの要因として挙げられる毛羽・スカムはモノフィラメントを製織する際にフィラメントが筬羽に擦過されることにより発生するものであり、ハイメッシュスクリーン紗においてはメッシュピッチが極端に小さくなるため、筬羽との擦過がより激しくなりフィラメントが削られやすくなる。フィラメントが削られると、その削れ屑により格子を塞いでしまいその部分だけインキの通過性が極端に悪化するほか、削られた部分の繊径が減少し、紗としたときにインキの通過性が格子毎で大きく変動してしまう。これを防止する手段として、スクリーン紗を構成するモノフィラメントを前述の通り芯鞘構造とし、鞘成分の固有粘度(IV)を芯成分のIVよりも低くすることでポリエステルモノフィラメント表層部の分子配向度を低く抑えることができ、毛羽状・スカムは生じにくくなり、開口面積バラツキを抑制することができる。
本発明のスクリーン紗の破断強度は250N/5cm以上とする必要がある。好ましくは300N/5cm以上である。スクリーン紗を製織するにあたり紗張時や印刷時のスキージの圧力によってメッシュに破れが生じる場合があるが、スクリーン紗の破断強度を250N/5cm以上とすることで大幅に抑制することができる。特に、本発明のスクリーン紗に使用するモノフィラメントは極めて細繊径であるため、より原糸の破断強度が大きなものがよい。この点から本発明のスクリーン紗に使用するモノフィラメントの強度としては7.5cN/dtex以上であることが好ましく、より好ましくは8.5cN/dtex以上である。但し、フィラメント強度が大きくなりすぎると、伸度が低くなるため、無尽蔵に大きくすることは好ましくない。本発明のスクリーン紗を構成するフィラメントの強度の上限として好ましくは11.0cN/dtex以下、より好ましくは10.0cN/dtex以下がよい。また、前述の開口面積バラツキが小さく、格子面積が均一なスクリーン紗であると、そのスクリーン紗を構成するモノフィラメントの強度を効率良く紗の破断強度として反映できるため、好ましいと言える。また、スクリーン紗の破断強度を大きくするためには、紗を構成するフィラメントの強度を大きくするか、フィラメント数を増加するなどが挙げられるが、フィラメント数は織密度に関わるので安易に変更する事は好ましくない。そのため、フィラメント強度を大きくすることが好ましいが、強度を大きくし過ぎると伸度が極端に低下してしまい、印刷時にスキージとの擦過に対して適度な柔軟性が得られず好ましくない。そのため、本発明のスクリーン紗の破断強度として好ましくは900N/5cm以下、より好ましくは750N/5cm以下、さらに好ましくは700N/5cm以下とすることで適度な伸度を有するスクリーン紗を得ることできる。
次に本発明のスクリーン紗を構成するモノフィラメントについて説明する。前述の通り、該モノフィラメントを構成するホモPETは、繰り返し単位の99重量%以上がエチレンテレフタレートからなるものである。さらに、芯成分・鞘成分いずれもホモPETである芯鞘型の複合繊維であり、鞘成分の固有粘度(IV)は芯成分のIVより0.2〜1.0小さいものであることが好ましく、溶融押出機や紡糸口金内での安定計量性の観点から0.4〜0.8がより好ましい。これにより、溶融紡糸の口金吐出孔内壁面におけるせん断応力を溶融粘度が低い鞘成分が担うため、芯成分が受けるせん断力は小さくなり、芯成分は分子鎖配向度が低く、均一の状態で紡出されるため、最終的に得られるモノフィラメントの糸長繊度変動率や対磨耗性が向上し、スクリーン紗のスカムなどの欠点が減少するだけでなく、強度が向上するメリットもある。鞘成分のホモPETはモノフィラメントの耐磨耗性を主として担うため、酸化チタンに代表される無機粒子を0.005〜5重量%添加させることが好ましい。
芯成分ホモPETのIVとしては高強度化という観点から0.7以上が好ましく、更に好ましくは0.8以上である。一方、溶融紡糸における溶融ポリマの流動性という観点から1.4以下が好ましく、更に好ましくは1.3以下である。芯成分のPETはモノフィラメントの強度を主として担うため、通常ポリエステル繊維に添加される酸化チタンに代表される無機粒子の添加物は少ない方が良く、0.5wt%未満であることが好ましい。また、芯成分、鞘成分いずれのホモPETにも、本発明の効果を損なわない限り、酸化防止剤、制電剤、可塑剤、紫外線吸収剤、着色剤等を適宜添加しても良い。
本発明のスクリーン紗を構成するホモポリエステルモノフィラメントの芯/鞘面積比は60/40〜95/5であることが好ましい。前述の通り、芯成分は強度を担い、鞘成分は耐磨耗性を担うため、該範囲であればいずれも損なうことなく両立することができる。更に好ましくは70/30〜90/10である。
糸の破断とは、破断強度と破断伸度によって決定されるものであり、定応力的な変形に関しては強度、定長的な変形に関しては伸度が係わるため、たとえ前述の強度7.5cN/dtexを達成していたとしても、破断伸度が小さければ糸は脆く破断し易いものと言える。従って、破断に対する耐性としては強度・伸度のいずれかではなく、いずれも加味したパラメーターで表現されるべきである。これは引張試験の応力―歪曲線における、破断に至るまでの曲線の積分値がそれに相当するが、簡便的な指標としてタフネス(=(強度)×(伸度)0.5)を用いればそれと良い相関を示す。25μm以下という細繊径のポリエステルモノフィラメントをハイメッシュスクリーン紗とし、更にはスクリーン紗として印刷に耐えるものとするには、前記の通り強度を7.5cN/dtex以上、より好ましくは8.5cN/dtex以上とするとともに、タフネスは30以上、より好ましくは31以上を実現したモノフィラメントを使用することが好ましい。また、芯成分に対してより高IVのポリマを使用することにより高タフネス・高強度のフィラメントを得ることは比較的容易であるが、先にも述べた通り、高IVポリマについて、製糸性の観点から極端にIVの大きなものを選択することは好ましくない。タフネスの上限として好ましくは40以下、より好ましくは38以下、更に好ましくは35以下となるフィラメントが得られる範囲内でポリマを選定する事が好ましい。
糸長繊度変動率とは、ある規定の長さでのフィラメントの繊度変動率を示すものであり、従来までのローメッシュスクリーン紗では、繊径変動幅に対するメッシュピッチが十分大きかったため問題とならなかったが、織密度500メッシュ以上のハイメッシュスクリーン紗ではメッシュピッチが極めて狭くなるため、微小な繊径変動でも格子面積に影響を及ぼし、開口面積バラツキ悪化の要因となる。また、糸長繊度変動率はフィラメントの製法にも影響され、公知文献にある二工程法による製糸工程では延伸ムラが発生し易く、糸長繊度変動率が大きくなる。以上より、本発明のスクリーン紗において、開口面積バラツキ5%以下の達成を容易とするためには糸長繊度変動率は1.5%以下であるモノフィラメントを使用することが好ましく、より好ましくは1.0%以下である。
本発明のスクリーン紗を構成するホモPETからなるモノフィラメントは細繊径・高強力・低糸長繊度変動率であることを特徴としており、これらの特性を満足するモノフィラメントとしては、以下に示す製法で得られたものが好ましい。
本発明のスクリーン紗を構成するポリエステルモノフィラメントを得る紡糸工程としては、芯成分・鞘成分のPETをそれぞれ別々の溶融押出機に供給、溶融せしめ、一定量に計量した後に紡糸口金から吐出させ、冷却・固化させながら一定速度のゴデットローラーにて引き取る。得られるポリエステルモノフィラメントのタフネスを最大限に引き出すためには、主に以下の点に留意すれば良い。
(1)溶融から紡出直前までのPET溶融通過時間、加熱温度を極力小さくし、PETの分子量低下を抑制する。
(2)ゴデットローラーによる引取速度を好ましくは800m/分以下、より好ましくは300〜600m/分という低速とし、紡出糸条の分子配向度上昇を抑制する。
(3)紡糸口金直下に長さ70〜150mmの加熱体を設け、好ましくは加熱体内部の雰囲気温度を280〜310℃に積極保持し、伸張変形による紡出糸条の分子配向度上昇を抑制する。
(4)紡糸ドラフト(=引取速度/口金吐出口内の平均線速度)を好ましくは100以下、より好ましくは70以下とし、紡出糸条の紡糸線上変形を緩やかにし、紡出糸条の分子配向度を抑制する。
紡糸工程でのタフネス向上に関する技術としては、(1)PETの加水分解による分子量低下を極力抑制することに加え、紡糸工程での分子配向度が小さい紡糸糸条を延伸工程で高い延伸倍率で配向せしめる観点から、(2)〜(4)紡糸糸条の分子配向度を極力抑制することが有効である。吐出された糸条の分子配向度は、簡単に言えば紡糸で“引き伸ばす”力が強ければ強いほど大きくなる。紡糸線上に働く力としては、引取速度による引張り力、伸張粘性や空気抵抗力による変形抵抗力が挙げられるが、モノフィラメントの場合空気抵抗力は極めて小さいため殆ど無視しても良い。
繊径25μm以下のモノフィラメントを得るべく常法で紡糸すると、紡出糸条が細いために冷却され易く、変形抵抗力が大きくなるため紡出糸条の分子配向度が大きくなり、結果としてタフネス30以上を得ることは困難となるため、(2)〜(4)は特に重要な項目となる。引取速度による引張り力を小さくするには(2)ゴデットローラーによる引取速度を好ましくは800m/分以下、より好ましくは300〜600m/分の低速域とすればよい。伸張粘性による変形抵抗力を小さくするには、伸張変形する際の糸条温度を高くし、伸張粘性を低くするという観点から(3)少なくとも紡糸口金直下70mmでの温度を280℃以上に加熱保温すること、(4)紡糸ドラフトを小さく100以下、さらに好ましくは70以下とすれば、得られるノフィラメントのタフネスは向上する。
モノフィラメントを得る延伸・巻取工程としては、紡出され引き取られた糸条をガラス転移点以上に加熱された加熱ローラー、結晶化温度以上に加熱された延伸ローラーの間で延伸し、パーン状あるいはチーズ状に巻き取る。得られるモノフィラメントのタフネスを最大限に引き出すためには、主に以下の点に留意すれば良い。
(5)紡糸糸条の分子配高度を低くしているため、得られるモノフィラメントの物性バラツキ低減の観点から未延伸糸を一旦巻き取らず直接延伸を行うスピンドローとする。
(6)延伸は3対以上のローラーによる多段延伸とし、一段目の延伸倍率比率を好ましくは50〜80%とする。
(7)最終延伸ローラー以前の延伸ローラー温度は好ましくは130℃以下、より好ましくは110℃以下とし、延伸途中での結晶化を抑制する。
(8)最終延伸ローラーの温度は好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上とし、得られるモノフィラメントの結晶化度を向上させる。
前述の紡糸方法によって得られた紡糸糸条は極度に配向度が低いため、未延伸糸として巻き取ると経時で物性が変化し易く、延伸時の延伸ムラや得られるモノフィラメントに長手や個体間の物性バラツキを生じる可能性がある。このフィラメントに生じた糸長手方向のムラにより糸長繊度変動率が2%以上と大きくなる事もあり、糸切れの要因やスクリーン紗の開口面積バラツキの原因となる。極めて高い繊径均一性が要求されるハイメッシュスクリーン紗用モノフィラメントにおいては、このような長手の延伸ムラの低減が重要であるため、これを回避するために(5)一旦巻き取らず直接延伸を行うスピンドローとすることが好ましい。
繊径25μm以下、高強度のモノフィラメントを得る延伸工程では、延伸倍率が4.5〜7.0倍程度の高倍率延伸を施すため、(6)、(7)のようにより均一に延伸するべく一段目倍率比率が50〜80%の多段延伸を行うのが好ましく、最終延伸ローラー以前の延伸ローラーの加熱温度は好ましくは130℃以下、より好ましくは110℃以下である。ローラーの個数の上限は特に限定するものでなく、3対以上のホットローラーがあれば同じように多段延伸の効果が得られるが、極端に個数を増やすと装置が複雑化することとなるため、通常3、4対程度で十分である。なお、ホットロールについては、1ホットロール−1セパレートロールの構成、あるいは2ホットロール構成(いわゆるデュオタイプ)の何れを用いても良く、デュオタイプでは、2ホットロールで1対とカウントするものである。
更には、(8)最終的に得られるモノフィラメントの結晶化度を向上させ、高タフネスを得る最終延伸ローラー温度は、好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上である。最終延伸ローラーから巻取機の間に更に数個のゴデットローラーを配してもよい。最終延伸ローラーとゴデットローラーの間で負の速度差を付与する場合、延伸によって生じた分子非晶部位の歪みを緩和することができるため、伸度が上昇しタフネスが向上する効果と、スカムが発生しにくくなる耐磨耗性向上効果が得られ、特に伸度不足と耐摩擦性が懸念される芯成分としてIV1.0、鞘成分としてIV0.8を超える高めのIVのPETを用いたモノフィラメントでは顕著な効果が期待できる。一方、最終延伸ローラーとゴデットローラーの間で正の速度差を付与する場合、得られるポリエステルモノフィラメントの初期弾性率が向上するため、スクリーン紗とした場合に繰り返し印刷による目ズレが小さい、即ち印刷精度がより良いスクリーン紗が得られ、特にIVが0.7程度の低めのPETを使用する際には効果が高い。これらは印刷用途毎の要求特性を鑑みた上で適宜決定すればよい。
本発明のポリエステルモノフィラメントを得る工程のいずれかの部分において、得られるポリエステルモノフィラメントの平滑性、耐磨耗性、制電性を向上させる目的で油剤を付与することが好ましい。給油方式としては給油ガイド方式、オイリングローラー方式、スプレー方式などを挙げることができ、紡出から巻取までの間で複数回数給油しても構わない。
このようにして得たモノフィラメントをスクリーン紗とする方法を以下に示す。
本発明のスクリーン紗の織物構造としては、平織組織が最も構造が安定しており好ましいが、綾織りとすることも出来る。また、高精密なスクリーン紗を得るためのモノフィラメントとして、経・緯糸には同一の原糸を用いることが好ましい。
フィラメントを織機にセットし、200〜1000rpmの速度で製織し生機とする。緯糸を打ち込むにあたり、筬羽と経糸との擦過により毛羽・スカムが発生し、さらにその削れ屑が筬羽に堆積していく。これらが紗に織り込まれるとスクリーン紗の格子や開口面積バラツキの悪化の要因となるため定期的に筬羽の洗浄を行うことが好ましい。筬羽洗浄周期は糸の削れ屑の発生頻度にもよるが、3〜10日の間にて定めるのが好ましい。洗浄周期を伸ばすためには、削れ屑の発生自体を抑制することが好ましく、その方法としては前述の通り芯成分が高IVホモPETで、芯成分よりIVが0.2〜1.0小さい低IVホモPETを芯鞘状に配置した芯鞘複合モノフィラメントを使用することが好ましい。次いで精錬、洗浄を行い、目ズレ防止と仕上げのため180℃±10℃にてヒートセットを施すことによりスクリーン紗が得られる。また、必要に応じてハレーション防止のための染色を行ってもよい。その他、本発明のスクリーン紗について、請求の機能を損なわない限りにおいて、製織後に乳剤とのぬれ性を向上するためのプラズマ処理を施すなど、新たに機能を付加する工程を追加してもよい。
実施例中の評価は以下の方法に従った。
(IV)
25℃、純度98%以上のo−クロロフェノール(以下、OCPと略記する。)10mL中に試料ポリマを0.8g溶かし、25℃の温度にてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを下式より求め、さらに換算式より固有粘度(IV)を算出した。
Figure 2010221486
固有粘度(IV)=0.0242ηr+0.2634
(オープニング)
スクリーン紗の織密度(メッシュ)と繊径を用い、以下式よりオープニングOPを求める。
Figure 2010221486
(開口面積バラツキ)
スクリーン紗を電子顕微鏡で観察し、開口部が経・緯糸方向に8×8格子分、計64ヶ所の格子面積の標準偏差を平均面積で除し、百分率(%)表示する。
(繊径)
スクリーン紗から抜き取ったフィラメントを電子顕微鏡で観察し、繊径を3点測定し、その平均値より求める。
(破断強度)
破断強力の測定方法は5cmを試験片として、ラベルド・ストリップ法で、掴み間隔20cmに設定してストレス・ストレイン曲線を測定したときの破断強力を読む。
(モノフィラメントの強度、伸度、タフネス)
オリエンテックス社製テンシロン引張試験機を用い、JIS L1013(1999)に準じ、初期試料長20cm、引張速度20cm/分にて破断した際の強度、伸度を測定し、それぞれ5回測定した値の平均値を強度(cN/dtex)、伸度(%)とした。また、これらの強度、伸度からタフネス(=(強度)×(伸度)0.5)を算出した。
(糸長繊度変動率)
アンリツ株式会社製レーザ外径測定機KL1002A/E検出部に、得られたモノフィラメントを速度500m/分にて通過させ、データ平均化個数16点の出力条件下において120秒間約22000点の糸径データを得た。得られた糸径データr(μm)は下記式にて糸長繊度変動率X(%)に換算した。
Figure 2010221486
(印刷評価)
得られたメッシュ織物を紗枠に高テンションで22.5度角に紗張りし、ポリビニルアルコール及び酢酸ビニル系の紫外線硬化型のマスキング樹脂を塗布し、100mm×100mmの正方形の中にスキージ走行方向に50μm間隔で50μm幅100mm長のラインパターンを形成し、印刷後のイメージの端部印刷ムラ・断線評価ならびに繰り返し印刷時の紗の破れ評価を行った。ラインパターン端部印刷ムラ・断線評価では紙に1000回印刷を繰り返した後に銅薄にラインパターンを印刷した。該銅薄に紫外線を照射しインキを硬化させた後、光学顕微鏡倍率400倍でラインパターンを現わし、その中から10本のラインを任意に選択し、ラインパターン端部印刷ムラおよび断線箇所を数え、○、△、×にて評価した。ここで、ラインパターン端部印刷ムラおよび断線とは図1に示したとおり、ラインパターンの端部を基準線とし基準線から10μm以上外側にインキが塗布されている部分および10μm以上内側でインキが塗布されていない部分を指し、その個数をカウントしたものである。断線とはラインパターンの幅方向に対して内側に30μm以上インキが付着していない部分を断線と判断し、その箇所をカウントした。印刷評価はインキを塗布していない状況でスキージを紗上で繰り返し擦過させたときに、紗に破断が生じた時のスキージの擦過回数で評価した。
それぞれの評価基準は以下の通りであり、総合評価として、×評価がないこと、かつ、○評価が少なくとも一つあることを満たす場合に合格とした。
〈ラインパターン端部印刷ムラ評価〉
○:ラインパターン端部印刷ムラ部無し
△:5箇所以下
×:6箇所以上
〈断線箇所評価〉
○:断線部無し
△:3箇所以下
×:4箇所以上
〈印刷時破断評価〉
○:6000回以上(評価時に紗の破断なし)
△:6000〜3000回で紗に破断が発生
×:3000回未満で紗に破断が発生 。
(実施例1)
芯成分用としてIV=1.00のホモPET、鞘成分用としてIV=0.51のホモPETをそれぞれ準備した。上記のポリマをエクストルーダにて溶融し、290℃に保温した配管を通して公知の芯鞘口金から芯/鞘複合面積比率80/20、各成分を同心円状に配置した芯鞘複合糸条を紡出させた。吐出糸条は口金面から下方に100mmの間、糸条走行路の雰囲気温度を290℃となるように加熱体により積極保温した後、25℃のエアーを10m/分の風速で糸条に吹き付け、冷却固化せしめた。冷却固化された糸条は給油ロールにより紡糸油剤を給油したのち、スピンドロー(DSD)にて製糸した。具体的には表面速度500m/分の第一ゴデットロール、表面速度505m/分、表面温度90℃の第一ホットロール、表面速度1800m/分、表面温度100℃の第二ホットロール、表面速度2930m/分、表面温度220℃の第三ホットロール、表面速度2959m/分の第二ゴデットロールを介した後、巻取張力0.5gfとなるように速度が制御された糸条巻取装置にてポリエステルモノフィラメントを巻き取った。このとき、紡糸ドラフトは64、総延伸倍率は5.8倍、1段目倍率比率(1段目延伸倍率/総延伸倍率×100)は61%とした。得られたモノフィラメントの繊径は20.4μm、強度9.1cN/dtex、タフネス33.1、糸長繊度変動率は0.64%であった。さらに、レピア織機300rpmで製織長500m、幅2.2mの生機を製織し、次いで、精錬・生機セットをして500メッシュの平織ハイメッシュ紗とし、180℃で熱セットを施した後紗張りを行い、オープニングが0.36であるスクリーン紗を得た。該紗について、ラインパターン端部印刷ムラ・断線部の数量ならびに破断評価を行った。表1に示した通り、得られたパターンには端部印刷ムラ・断線は確認されず、良好なものであった。スキージによる擦過評価を行ったところ6000回を超えても紗の破断は確認されなかった。
(実施例2〜4、比較例1)
実施例1に対し、オープニングの変更が印刷特性に与える影響について調査した。
実施例2は紗の織密度を670メッシュとし、オープニングを0.21とした以外、実施例1と同様の方法にてスクリーン紗を得た。670メッシュとハイメッシュにしたところ、ラインパターン端部印刷ムラ・断線は殆ど見られず極めて良好であった。スキージによる擦過試験を行ったところ、6000回を超えても紗に破断は確認されなかった。
実施例3は紗の織密度を750メッシュとしオープニングを0.16とした以外、実施例1と同様の方法にてスクリーン紗を得た。オープニングがさらに狭まることで印刷時のインキの通過性が悪化し、印刷評価時ではラインパターン端部印刷ムラ・断線が発生したものの、スキージによる擦過試験を行ったところ、6000回を超えても紗の破断は確認されず、良好な結果を得た。
比較例1は紗の織密度を800メッシュとしオープニングを0.13とした以外、実施例1と同様の方法にてスクリーン紗を得た。しかし、オープニングが小さいため、インキの通過性の悪化が顕著となり、印刷評価ではラインパターンの所々に端部印刷ムラが発生し、断線箇所も増加しており使用に耐えるものではなかった。
実施例4はフィラメントの繊径を16.8μm、芯成分IVを1.28、鞘成分IVを0.51とした以外、実施例1と同様の方法にてオープニング0.45のスクリーン紗を得た。スキージによる擦過試験を行ったところ、3765回まで紗に破断が無いことを確認した。紗としての耐破断強度が低下し、印刷評価ではラインパターンの一部に端部印刷ムラが確認されたものの断線は確認されず、印刷評価は良好だった。
以上、実施例1〜4および比較例1について、印刷評価結果を表1に示す。
Figure 2010221486
(実施例5,6、比較例2)
次にモノフィラメントの繊径がスクリーン紗の印刷特性に与える影響を調査した。
実施例5はフィラメント繊径を21.9μm、紗の織密度を550メッシュとした以外、実施例1と同様の方法でスクリーン紗を得た。該紗にて印刷評価を実施したところ、ラインパターンに端部印刷ムラ・断線は確認されず、繰り返し擦過試験においても6000回で紗の破断は確認されなかった。
実施例6はフィラメント繊径を24.5μmと大きくした以外、実施例5と同様の方法にてスクリーン紗を得た。オープニングが小さくなるため、該紗の開口面積バラツキに少し悪化がみられたものの、ラインパターンの端部印刷ムラは局所的であり、スクリーン紗としては十分使用に耐えるものであった。スキージによる繰り返し擦過試験では6000回を超えても紗の破断は確認されなかった。
比較例2はフィラメント繊径を27.2μmとさらに大きくした以外、実施例5と同様の方法にてスクリーン紗を得た。太繊径のモノフィラメントをハイメッシュスクリーン紗としたため、筬羽との擦過によりスカムが発生し、印刷評価ではラインパターンの断線が所々で目立ち、使用に耐えないものであった。
以上、実施例5,6および比較例2について、印刷評価結果を表2に示す。
Figure 2010221486
(比較例3、実施例7,8)
次にスクリーン紗の破断強度と印刷特性との関係について調査した。
比較例3は表3に示した紡糸条件以外、実施例1と同様の方法にてスクリーン紗を得た。スクリーン紗の破断強度は237N/5cmであり、印刷評価ではラインパターンに端部印刷ムラ・断線は殆ど確認されなかったものの、スキージによる擦過試験では1433回と早い段階で破れが発生し、使用に耐えるものではなかった。
実施例7は表3に示した紡糸条件以外、比較例3と同様の方法にてスクリーン紗を得た。比較例3より芯成分IVを大きくすることで、原糸強度およびタフネスの改善を図り、スクリーン紗の破断強度は266N/5cmとなった。得られたスクリーン紗について印刷評価を行ったところラインパターンに端部印刷ムラ・断線は確認されず、良好なパターンが得られた。擦過試験では4779回まで紗の破断が起こらないことを確認した。原糸強度並びにタフネスを改善することにより紗の耐破断強度が向上することを確認した。
実施例8は表3に示した紡糸条件以外、比較例3と同様の方法にてスクリーン紗を得た。実施例7より更にIVを増加させることにより原糸強度増加を図った。擦過試験では擦過回数6000回でも紗の破断は確認されなかった。印刷評価を行ったところ、ラインパターンに端部印刷ムラ・断線は殆ど確認されなかった。
比較例3および実施例7,8の結果より、スクリーン紗の破断強度は原糸の破断強度の大きさが反映されていることを示唆しており、特に原糸強度7.5以上において、そのスクリーン紗は使用に耐えることを確認した。
以上、比較例3および実施例7,8について、印刷評価結果を表3に示す。
Figure 2010221486
(実施例9〜11、比較例4、5)
実施例9は表4に示すように繊径を24.5μm、口金下雰囲気温度を300℃と上げたと以外は実施例1と同様の方法にてモノフィラメントを得た。口金下の加熱体温度を上げたことによりタフネスは増加したものの原糸モノフィラメントの糸長繊度変動率が悪化した。しかし、フィラメントから得られたスクリーン紗は開口面積バラツキがやや大きく、印刷評価ではラインパターンで局所的に端部印刷ムラが発生していたものの断線は観察されておらず、良好なスクリーン紗であった。
実施例10は口金下雰囲気温度を340℃、冷却風速を15m/分と上げた以外は実施例9と同様の方法にてスクリーン紗を得た。得られたモノフィラメントは糸長繊度変動率が1.67%となったものの、このフィラメントから得られたスクリーン紗について印刷評価を実施したところ、所々でラインパターンに端部印刷ムラ・断線を確認したが、使用には耐えるものであった。
実施例9,10より比較的に太繊度のフィラメントにおいては糸長繊度変動率のスクリーン紗への影響は軽微であり、ラインパターンへの影響は小さいといえる。
実施例11は繊径を20.4μmとした以外は実施例9と同様の方法にてモノフィラメントを得た。得られたモノフィラメントは糸長繊度変動率が1.14%となり、スクリーン紗について印刷評価を行ったところ、ラインパターンに端部印刷ムラ・断線を確認したものの、印刷時に破断評価は良好であった。
比較例4は口金下雰囲気温度を320℃、冷却風速を15m/分とした以外は実施例11と同様の方法にてモノフィラメントを得た。得られたモノフィラメントは糸長繊度変動率が1.75%であり、スクリーン紗の開口面積バラツキは6.2%となり、印刷評価をおこなったところ、ラインパターンの端部印刷ムラが激しく、紗としての使用には耐えないものであった。
比較例5は鞘成分としてIV=0.85のホモPETを用いた以外は実施例11と同様の方法にてモノフィラメントを得た。得られたモノフィラメントを用いてスクリーン紗としたところ、フィラメントの糸長繊度変動率は1.12であったがこれを用いてスクリーン紗としたところ、製織時に鞘成分の削れが多発した。開口面積バラツキは5.7%と大きくなり、印刷評価ではラインパターンに端部印刷ムラ・断線が多発し、紗としては使用に耐えるものではなかった。
実施例9〜11及び比較例4,5より、細繊径のモノフィラメントを使用したスクリーン紗では糸長繊度変動率の影響を受けやすく、繊径の僅かな変動もラインパターンへ反映される。
(比較例6)
芯成分用としてIV=1.00のホモPET、鞘成分用としてIV=0.51のホモPETをそれぞれ準備した。上記のポリマをエクストルーダにて溶融し、290℃に保温した配管を通して公知の芯鞘口金から芯/鞘複合面積比率80/20の芯鞘複合糸条を紡出させた。吐出使用は口金面から下方に100mmの間、糸条走行路の雰囲気温度を290℃となるように加熱体により積極保温した後、25℃のエアーを10m/分の風速で糸条に吹き付け、冷却固化せしめた。冷却固化された糸条は給油ロールにより紡糸油剤を給油した後、750m/分にてポリエステルモノフィラメントを巻き取った。該フィラメントを2日間保管した後、延伸を行った。延伸は表面速度163m/分のフィードロール、表面速度172m/分、表面温度90℃の第一ホットロール、表面速度620m/分、表面温度100℃の第二ホットロール、表面速度1000m/分、表面温度150℃の第三ホットロールを介して巻取速度1050m/分にてポリエステルモノフィラメントを巻き取った。得られたモノフィラメントの繊径は20.4μm、強度は7.5cN/dtex、タフネスは33.9、糸長繊度変動率1.65%であった。該モノフィラメントを実施例1と同様の方法にて製織し、スクリーン紗を得た。該スクリーン紗の開口面積バラツキは5.8%と大きくなり、印刷評価を行ったところ、表4の通り二工程法により得た細繊度モノフィラメントから得たスクリーン紗では印刷評価におけるラインパターン端部印刷ムラおよび破断が激しく、使用に耐えるものではなかった。
この結果より、二工程法によるモノフィラメントでは均一なハイメッシュスクリーン紗は達成し得ないことがわかる。
以上、実施例9〜11および比較例4〜6について、印刷評価結果を表4に示す。
Figure 2010221486
1:ラインパターン
2:評価基準線
3:ラインパターン端部印刷ムラ
4:断線部

Claims (2)

  1. 2種のホモポリエチレンテレフタレートがそれぞれ芯鞘状に配置された複合モノフィラメントからなり、以下の特徴を有する織密度500メッシュ以上のスクリーン紗。
    A.スクリーン紗のオープニング 0.15以上
    B.スクリーン紗を構成するモノフィラメントの繊径 25μm以下
    C.開口面積バラツキ 5%以下
    D.スクリーン紗の破断強度 250N/5cm以上
  2. 芯成分側にホモポリエチレンテレフタレート、鞘成分側に芯成分よりも低IVのホモポリエチレンテレフタレートが同心円状に配置されており、芯成分と鞘成分のホモポリエチレンテレフタレートの固有粘度(IV)差が0.2以上、鞘成分側の複合面積比率が0.05〜0.40、フィラメントのタフネス30以上、強度7.5cN/dtex以上、糸長繊度変動率1.5%以下の芯鞘複合モノフィラメントより得られる請求項1記載のスクリーン紗。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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