JP3496361B2 - 織編物の製造方法 - Google Patents

織編物の製造方法

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JP3496361B2 JP24439995A JP24439995A JP3496361B2 JP 3496361 B2 JP3496361 B2 JP 3496361B2 JP 24439995 A JP24439995 A JP 24439995A JP 24439995 A JP24439995 A JP 24439995A JP 3496361 B2 JP3496361 B2 JP 3496361B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中空糸からなる織
物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】中空糸は、非中空糸に比較して軽量性や
膨らみ感に優れ、その特長は中空率が大きくなるほど顕
著にすることができ、また高い剛性を有することから反
発性のある風合いを示すことが知られている。特に、中
空糸がポリエステルから構成されている場合は、ポリエ
ステルが本来有する高結晶性に起因して、反発性の風合
いを一層顕著にすることができる。
【0003】しかし、単なる中空糸使いの織編物では、
感触が通常の合成繊維と同様に強いぬめり感を有してお
り、高級衣服など幅広い用途への展開の障害になってい
る。従来、このようなぬめり感に対する対策としては、
原糸を仮撚加工するとか、原糸を多角断面糸として溶融
紡出することによって、糸表面が肌へ接触する面積を減
らしてぬめり感を無くし、ドライ感にするという提案が
ある。しかし、前者の仮撚加工する方法では、これを単
に中空糸に適用しただけでは、その中空部が完全に潰さ
れてしまい、その結果として中空糸が本来有する軽量感
等の特長が失われてしまうという欠点がある。
【0004】また、多角断面糸にする方法では、口金孔
から紡出されるときの溶融ポリマーは、表面張力によっ
て糸断面が円形化しようとする現象があるため、シャー
プなエッジが形成できない。その結果として、高級感の
あるドライ感や清涼感が得られないという欠点がある。
また、中空糸使いの織編物は繰り返し使用していると、
やがて中空糸の表面が擦られて中空部を包囲する部分が
裂けたり、壊れたりしてフィブリル化し、いわゆる「フ
ロスティング」と呼ばれる白化現象が顕れるようにな
る。特に、三角〜六角形などの多角形断面の中空糸はフ
ロスティングを起こしやすい欠点がある。
【0005】このようなフロスティングを抑制する方法
としては、(1)中空率が比較的小さい中空糸を使用す
る方法、(2)単糸の横断面を円形乃至楕円形にして外
方からの摩擦力の負荷を極力しゅうめん全体に分散させ
る方法などがある。しかし、前者の方法では、中空糸特
有の軽量性と膨らみ感が損なわれてしまう欠点があり、
また後者の方法では清涼感やドライ感が得られず、ぬめ
り感の強いものになってしまう欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、中空
糸を使用した織編物が本来有する軽量性と膨らみ感を損
なうことなく、優れたドライ感や清涼感を有し、かつ白
化現象の起きにくい抗フロスティング性を有する織編
製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
【0008】上記目的を解決する本発明による織編物の
製造方法は、横断面における外形が実質的に四辺形で、
フィラメント軸方向に連続する中空部を有するポリエス
テルからなる芯成分と、前記ポリエステルよりもアルカ
リにより溶解しやすい共重合ポリエステルからなる鞘成
分とからなる複合フィラメント繊維からなるマルチフィ
ラメント糸条に、実撚を付与したのち仮撚加工を施す
か、または仮撚加工したのち実撚を施すことにより仮撚
加工糸にし、該仮撚加工糸を織編糸として織編物にし、
次いで該織編物をアルカリ処理して前記複合フィラメン
ト繊維の鞘成分を溶出処理することを特徴とするもので
ある。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の織編物に使用する中空糸
の織編糸は、単糸横断面における外形が不規則にひしゃ
げられた変形四辺形であり、かつ糸軸方向に連続する中
空部を有するマルチフィラメント糸からなる。しかも、
各中空フィラメントの変形四辺形の形態が、中空フィラ
メント相互間で各種各様に異なっているようになってい
る。このような特徴を有するマルチフィラメント糸は、
強撚糸、仮撚糸、先撚仮撚糸、仮撚追撚糸などの加工糸
の形態になっており、特に先撚仮撚糸或いは仮撚追撚糸
であるものが好ましい。
【0010】図1〜図4は、それぞれ上記織編糸として
使用される中空フィラメントの横断面を示す。図1〜図
4に示すいずれの中空フィラメント10も、フィラメン
トを形成するポリマー部1の外形とその内側の中空部3
とが実質的に四辺形であるが、その四辺形はいずれもひ
しゃげられて不規則に変形している。織編糸を構成する
マルチフィラメント糸条としては、このような中空フィ
ラメント10の変形四辺形の横断面が、フィラメント相
互において各種各様に異なったものとなっている。
【0011】中空フィラメント10の実質的四辺形の横
断面形状は、圧潰などの外力によってひしゃげられるこ
とにより、各辺が湾曲或いは屈曲変形し、かつその湾曲
或いは屈曲した辺は横断面において内側に凹状になって
いるものが多くなっている。また、隣接する二つの辺の
間に形成されるエッジeは、少なくとも2箇所以上がシ
ャープな鋭角になっている。
【0012】このように横断面がひしゃげられた変形四
辺形を有する中空マルチフィラメント糸からなる織編物
は、中空糸本来の軽量性を有するとともに、断面がひし
ゃげられた変形四辺形であることによりフロスティング
が改善される。また、中空マルチフィラメント糸の織編
糸が外周に複数の鋭角なシャープエッジを有し、また外
形から内側に湾曲或いは屈曲した辺を有するため、肌に
対する接触面積が少なくなり、それによって細やかなド
ライ感やサラサラした清涼感が一層強調されるようにな
る。また、横断面が変形四辺形でシャープエッジを備え
ていることによって、絹ずれのようなキシミ感を奏し、
高級感を与えるようになる。
【0013】本発明において、上述した織編物を製造す
る方法の一例について説明すると、横断面における外形
が実質的に四辺形で、フィラメント軸方向に連続する中
空部を有するポリエステルからなる芯成分と、この芯成
分のポリエステルよりもアルカリにより溶解しやすい共
重合ポリエステルからなる鞘成分とからなる複合フィラ
メント繊維からなるマルチフィラメント糸条を原糸とし
て使用する。このような芯鞘型の複合フィラメント繊維
に、実撚を付与したのち仮撚加工を施すか、または仮撚
加工したのち実撚を施すことにより仮撚加工糸にする。
【0014】次いで、この仮撚加工糸を織編糸として使
用することにより織編物にする。さらに、この織編物を
アルカリ処理し、織編糸を構成する複合フィラメント繊
維の鞘成分(共重合ポリエステル)を溶出処理するので
ある。ここで織編物に残された複合フィラメント繊維の
芯成分は、横断面がひしゃげられた変形四辺形の中空マ
ルチフィラメント糸になっている。
【0015】このように複合フィラメント繊維の断面を
ひしゃげる力は、複合マルチフィラメント糸を加撚する
ことによって生ずる構成フィラメント同士の締付け力に
基づき発生させるものである。このような締付け力によ
ってフィラメントがひしゃげられる場合、フィラメント
1本を長手方向にみると、横断面におけるひしゃげられ
た不作為形状も長手方向に不作為に一定でないランダム
なものとして得られ、これが異形断面効果に寄与するも
のとなる。
【0016】本発明の製造方法において、織編物に製織
或いは製編する前の複合フィラメント繊維は、例えば図
5〜図8のような横断面を有するものが使用される。す
なわち、図5〜8に示すように、複合フィラメント繊維
20は、ほぼ四辺形に形成されたポリエステルのポリマ
ー部1と中空部3とからなる芯成分と、その外周を断面
外形がほぼ真円形(図5〜7)または楕円形(図8)の
共重合ポリエステルポリマー部2が鞘成分として被覆す
るように構成されている。
【0017】ここで芯成分に使用されるポリエステルは
単独重合体であり、特にポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート等の単独重合体が好まし
い。一方、鞘成分に使用される共重合ポリエステルとし
ては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート等の構成成分であるジカルボン酸やジオール
の一部をナトリウムスルホイソフタル酸やポリエチレン
グリコール等の他の成分に置換して得た共重合体が好ま
しく使用される。この共重合ポリエステルは、ポリエス
テル単独重合体に比べてアルカリ処理による溶解速度が
速いことで特徴づけられる。
【0018】芯鞘構造の複合フィラメント繊維は、その
溶融紡糸時に四辺形断面の芯成分が溶融粘度の近似した
鞘成分で包まれた状態で紡出されるので、四辺形断面の
芯成分が表面張力によって円形化することがなく、四辺
形のエッジを保った状態にする。したがって、後工程で
鞘成分を溶出させたときシャープなエッジを有する芯成
分の中空フィラメントを得ることができる。
【0019】また、上記複合フィラメント繊維は、鞘成
分が円形断面であるため、これを仮撚加工したときの圧
縮作用を複合フィラメント繊維の周囲にほぼ均等に加え
ることができ、一部に局所的に加わらないようにするこ
とができる。そのため中空部が完全に潰れてしまうこと
がなく、中空糸の特性を維持させることができる。上記
複合フィラメント繊維からなるマルチフィラメント糸を
仮撚加工するときは、その仮撚加工前または後に実撚を
与えるようにする。このように仮撚加工の前後のいずれ
か一方で実撚を加えることによって織編糸に集束性を与
え、織編物が程よい膨らみ感を呈するようにすることが
できる。また、仮撚加工においては、加撚によってマル
チフィラメント糸条の構成フィラメントに実質的に横断
面方向の圧縮作用が与えられることにより、その構成フ
ィラメント同士の締付力が発生することによりフィラメ
ントが圧潰されることになる。
【0020】また、本発明において、仮撚加工における
仮撚加工温度および仮撚数としては、一般に従来の仮撚
加工に採用されている条件よりも甘い条件にする。この
ように甘い条件とすることにより、中空部が完全に押し
潰されることがなく、フィラメント軸方向に連続するよ
うに保持され、また横断面がひしゃげられてシャープな
エッジが強調された中空フィラメントを得ることができ
る。
【0021】このような一般条件よりも甘い条件の仮撚
加工温度としては130℃以上、180℃以下、また仮
撚数としては、下記の式で与えられる仮撚数T(回/
m)の50〜100%、好ましくは50〜90%の範囲
にするとよい。 T=(3.16×104 /√D)×0.94 但し、Dはマルチフィラメント糸条の総繊度(デニー
ル) 上述した複合フィラメント繊維からなる織編糸を製織ま
たは製編する織編物の形態は特に限定されないが、中空
糸の軽量感や清涼感をよく発揮しやすいものとしては平
織物、綾織物がよい。また、薄地織物の場合は、強撚ジ
ョーゼット、アムンゼン、デシルクレープが、厚地織物
の場合は、ツイル、変化綾、朱子織が好ましく使用され
る。また、編物の場合は、スムース、モックミラノリプ
トが好ましく使用される。
【0022】これら織編物には、その織編糸の全部(1
00%)に中空糸を使用することが望ましいが、中空糸
と非中空糸との混繊糸を使用すれば、ハリ、コシのある
風合いを得ることができる。しかし、非中空糸を併用す
る場合には、少なくとも織編物の表層部に中空糸を位置
させるようにすべきであり、そのため非中空糸を芯部
に、中空糸を鞘部にした芯鞘型複合混繊糸にして使用す
ることが望ましい。この場合の中空糸の混率としては5
0重量%以上、好ましくは80重量%以上にするとよ
い。
【0023】織編物のアルカリ処理は苛性ソーダ水溶液
によって行えばよい。このアルカリ処理によって織編糸
を構成する複合フィラメント繊維の鞘成分を溶出除去す
るが、その除去は必ずしも全部を除去する必要はなく、
少量を残存させるようにしてもよい。鞘成分を少量残存
させた場合には、変形四辺形断面の辺上において鞘成分
表面にフィラメント軸に交差する方向の多数の浅い横溝
が形成され、細やかなドライ感やサラサラな清涼感を一
層強調できるようになる。
【0024】このように鞘成分を溶解除去した後の織編
物は、上述したひしゃげられた変形四辺形断面に基づく
優れたドライ感、清涼感、また抗ロスティング性のほ
か、鞘成分の減量による空隙化に基づいてソフトな膨ら
み感が増し、また高反発な風合いや軽量性が向上する。
さらに鞘成分の減量による空隙化は、織編物の吸水性や
保温性も向上するようになる。
【0025】また、本発明において、アルカリ処理後に
最終的に得られた織編物において、その織編糸を構成す
る中空糸が有すべき中空率としては10〜50の範囲に
することが好ましい。このような中空率にすることによ
り、中空糸による軽量性を維持することができ、また良
好な抗フロスティング性を維持することができる。
【0026】
【実施例】次に、本発明の実施例を比較例とともに説明
するが、以下の実施例及び比較例において用いた諸特性
は次のようにして計測・評価した。 (風合い) a.ドライ感 織編物を手で触り、ぬめり感がなく乾いた繊細な風合い
を良好とし、次の4段階に官能評価した。
【0027】◎ 極めて良好 ○ 良好 △ やや良好 × 不良 b.清涼感 織編物を手で触り、サラサラした手触り感を清涼感と
し、そのサラサラ感の強いものの順に、ドライ感と同様
の4段階に官能評価した。
【0028】c.ソフトさ しなやかな風合いを良好とし、ドライ感と同様の4段階
に官能評価した。 d.膨らみ感 織編物の厚み(mm)をピーコック型厚み計(株式会社尾
崎製作所製)で測定して、その厚みを目付け(g/
2 )で除した値を「cc/g」なる単位で表して、膨ら
み感の目安とした。上記単位が大きい織編物ほど膨らみ
感があることを意味する。
【0029】e.キシミ感 指では布帛同士を挟みながら、擦れ合わされた際にキュ
ッ、キュッと絹鳴り音の大きいほどキシミ感良好とし、
ドライ感と同様の4段階に官能評価した。 (軽量性)1m×1mの広さの織編物の重量(g)を測
定した。すなわち、目付けであり、単位を「g/m2
で表示した
【0030】(抗フロスティング性)直径10cmの円形
に切り出した織編物を2枚サンプリングし、そのうちの
1枚を蒸留水に湿潤させ、互いに反対方向に回転する一
対の円板のうちの上部側円板に取付けるとともに、他の
1枚を乾いた状態で下部側円板に取付ける。そして両円
板を10分間、円運動させながら2枚の試料を互いに摩
擦させる。摩擦終了後4時間放置してから、水に湿潤さ
せた方の試料の変褪色の程度を、次の5段階に分けて視
感評価した。
【0031】5級:変褪色が認められず非常に良好。 4級:良好。 3級:普通。 2級:変褪色が認められ不良。 1級:変褪色が著しく不良。
【0032】(吸水性)JIS1096(一般織編物試
験法)に基づき、毛細管現象による吸水高さ(mm) を測
定した。吸水高さが高いほど吸水性が良好であることを
意味する。 (中空率)中空糸単糸の横断面を走査型顕微鏡(SE
M)により1500倍に拡大した写真に撮影し、その外
形によって囲まれる全断面積S0 と、中空部の断面積S
1 を測定し、次の計算式により中空率Pを計算した。
【0033】P(%)=(S1 /S0 )×100 実施例1,2,3 横断面が、図5のように芯成分がポリエステル単独重合
体55重量%からなる中空四辺形で、鞘成分が5−ナト
リウムスルホイソフタル酸を4.5モル%共重合した共
重合ポリエステル45重量%からなる円形である複合フ
ィラメント繊維を溶融紡糸し延伸することにより、中空
率23.0%で、繊度155デニール、48フィラメン
ト、単繊維繊度3.2デニールのポリエステル複合中空
マルチフィラメント糸を得た。
【0034】次いで、得られた複合中空マルチフィラメ
ント糸に400回/mの実撚をかけたのち、それぞれ仮
撚加工温度を175℃(実施例1)、165℃(実施例
2)、155℃(実施例3)に異ならせて、仮撚数21
00回/m(0.88T)、仮撚加工張力17.05g
(0.11g/d) で仮撚加工を行った。引き続き、上
記3種類の仮撚加工糸を、それぞれ経糸および緯糸に用
いて、変化綾組織(杉綾)の中厚地織物に製織した。次
いで、この3種類の織物を、常法に従ってリラックス精
錬、乾燥、乾熱セット(180℃)したのち、苛性ソー
ダ1.5%水溶液で、80℃×40分のアルカリ処理を
実施し、それぞれについて鞘成分の共重合ポリエステル
成分を55重量%ずつ選択的に溶出し、減量処理した。
【0035】次いで、これら3種類の織物を、それぞれ
ブルーの分散染料 Resoline Blue FBL (バイエル(株)
製)を用いて、染色濃度1.0重量%で、130℃×4
5分間染色して仕上げを行った。仕上り織物の結果は表
1に示す通りであった。また、仕上り織物の分解糸の繊
維断面形状を観察すると、実施例1,2,3の織物と
も、いずれも図1〜図4に示すようなひしゃげられた横
断面四辺形の外形と中空部分を有する各種態様の中空フ
ィラメントが集合したものであった。さらに、繊維断面
のひしゃげ程度を観察すると、実施例1,2,3の織物
の順に大きくなっており、中空率が若干小さくなる傾向
がみられたが、いずれも中空部が保持されており、消失
していなかった。なお、図9は実施例1の織物の横断面
を走査型顕微鏡で撮影した写真である。
【0036】
【表1】 表1から明らかなように、実施例1,2,3の織物は、
いずれも細やかなドライ感、サラサラした清涼感、ソフ
トで膨らみ感とキシミ感とがある素晴らしい高級感にあ
ふれる風合いを備えたブルーの中厚地織物であった。ま
た、軽量で高い吸水性を有しており、抗フロスティング
性もすぐれてた。
【0037】比較例1、比較例2 仮撚り加工を適用しないほかは、実施例1に準じた仕上
げ加工をした織物を製作した(比較例1)。また、複合
フィラメント繊維を使用せず、ポリエステル単独重合体
のみで横断面の外形と中空部とを共に円形にした中空マ
ルチフィラメント糸を使用し、繊度、フィラメント数、
単繊維繊度、中空率とも実施例1に準じ、かつ仮撚加工
は常法の仮撚温度210℃を適用したほかは、実施例1
に準じて仕上げ加工をした織物を製作した(比較例
2)。
【0038】これら仕上り織物の結果は、表1に示す通
りであった。表1から明らかなように、比較例1の織物
は、織糸の横断面には四角形状がシャープに残っている
が、風合いが剛く、ソフトさ、キシミ感、ふくらみ感に
欠けるものであった。また、比較例2の織物は、織糸の
潰れが大きく、ふくらみ感に欠けており、かつ抗フロス
ティング性にも問題があった。
【0039】実施例4 芯成分がポリエステル単独重合体を60重量%、鞘成分
がポリエチレンテレフタレートにポリエチレングリコー
ル(分子量1000)を12.0重量%共重合した共重
合ポリエステルを40重量%の複合比にし、図7に示す
ように横断面外形が円形で、芯成分が中空台形にした複
合フィラメント繊維を溶融紡糸し延伸して、中空率が3
0.0%で、繊度85デニール、24フィラメントのポ
リエステル複合中空マルチフィラメント糸を得た。
【0040】次いで、このポリエステル複合中空マルチ
フィラメント糸を仮撚加工温度160℃、仮撚数280
0回/m、仮撚張力8.5gで仮撚加工し、仮撚後に1
200回/mの実撚をかけて仮撚追撚糸を得た。引き続
き、上記仮撚追撚糸をインターロック組織でスムースに
編成して(ゲージ数:32GG)、編物にした。次い
で、得られた編物を常法に従って精錬、セットしたの
ち、苛性ソーダ3.0%水溶液で98℃×60分のアル
カリ処理を実施し、鞘成分の共重合ポリエステルの40
重量%を選択的に溶出した。
【0041】続いて、上記編物をイエローの分散染料を
用いて、130℃×30分間染色し、仕上げた。仕上り
編物の結果は表2に示す通りであった。仕上げ編物の繊
維断面を観察すると、図1〜図4に示すようなひしゃげ
られた四辺形状が各種態様に異なるものが集合してお
り、かつ内側には連続した中空部を保持していた。
【0042】
【表2】 表2から明らかなように、得られた編物にはドライ感、
清涼感があり、ソフトでふくらみ感がある高級な絹様風
合いのイエロー色のニットであった。また、軽量性、吸
水性にすぐれ、抗フロスティング性も良好であった。
【0043】比較例3 仮撚加工を適用しないほかは、実施例4に準じて仕上げ
た編物を製作した。この編物は、ソフトさ、キシミ感に
乏しく、平凡な風合いであった。 実施例5 繊度75デニール、フィラメント数36フィラメントに
したほかは、実施例1に従ってポリエステル複合マルチ
フィラメント中空糸を製糸した。
【0044】次いで、仮撚温度170℃、仮撚数300
0回/m、仮撚張力7.5gで仮撚加工したのち、25
00回/mの実撚をかけて仮撚追撚(強撚)糸にし、さ
らにこの仮撚追撚糸を80℃×20分間スチーミングし
て、ヨリ止めセットした。続いて、この仮撚追撚糸を経
糸および緯糸に用いて平組織のジョーゼットクレープに
製織した。この織物をシボ立て精錬、セットし、実施例
1に準じて、アルカリ処理および染色して仕上げた。
【0045】仕上げ織物は、細やかなドライタッチとサ
ラサラした清涼感を有し、素晴らしい風合いのものが得
られた。また、吸水性も高く、抗フロスティング性にも
優れていた。なお、仕上げ織物の織糸は、図2に示すよ
うなひしゃげた菱形の断面のものが多く含まれており、
かつ中空部は糸軸方向に連続しており、中空率は18%
であった。
【0046】
【発明の効果】上述したように、本発明による織編物
は、中空糸を使用した織編物が本来有する軽量性と膨ら
み感などの風合いを損なうことなく、次のような優れた
特性を備えることができる。 (1)ぬめり感やワキシー感のないドライ感を有する。
【0047】(2)サラサラした清涼感を有する。 (3)ソフトで膨らみ感が大きい。 (4)絹ずれ音(キシミ感)のある優雅な風合い有す
る。 (5)優れた抗フロスティング性を有する。 また、本発明による製造方法によれば、上記風合いを有
する織編物を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の織編物に用いる中空糸を例示する横断
面図である。
【図2】本発明の織編物に用いる他の中空糸を例示する
横断面図である。
【図3】本発明の織編物に用いるさらに他の中空糸を例
示する横断面図である。
【図4】本発明の織編物に用いるさらに他の中空糸を例
示する横断面図である。
【図5】本発明の織編物を製造する前の原糸(複合中空
フィラメント)を例示する横断面図である。
【図6】本発明の織編物を製造する前の原糸(複合中空
フィラメント)の他の例を示す横断面図である。
【図7】本発明の織編物を製造する前の原糸(複合中空
フィラメント)のさらに他の例を示す横断面図である。
【図8】本発明の織編物を製造する前の原糸(複合中空
フィラメント)のさらに他の例を示す横断面図である。
【図9】実施例1で得られた織物の横断面を走査型顕微
鏡で撮影した写真である。
【符号の説明】
1 ポリマー部(複合フィラメント繊維のときの芯成
分) 2 ポリマー部(鞘成分) 3 中空部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−341056(JP,A) 特開 平3−124807(JP,A) 特開 平3−249266(JP,A) 特開 平3−124878(JP,A) 特開 平4−272215(JP,A) 特開 平4−257314(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06M 11/00 - 11/84 D01D 5/24 D03D 15/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 横断面における外形が実質的に四辺形
    で、フィラメント軸方向に連続する中空部を有するポリ
    エステルからなる芯成分と、前記ポリエステルよりもア
    ルカリにより溶解しやすい共重合ポリエステルからなる
    鞘成分とからなる複合フィラメント繊維からなるマルチ
    フィラメント糸条に、実撚を付与したのち仮撚加工を施
    すか、または仮撚加工したのち実撚を施すことにより仮
    撚加工糸にし、該仮撚加工糸を織編糸として織編物に
    し、次いで該織編物をアルカリ処理して前記複合フィラ
    メント繊維の鞘成分を溶出処理する織編物の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記中空部が横断面において実質的に四
    辺形である請求項に記載の織編物の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記複合フィラメント繊維の鞘成分の横
    断面における外形が実質的に円形である請求項または
    に記載の織編物の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記仮撚加工における仮撚温度が130
    ℃以上、180℃以下である請求項1〜3のいずれか1
    項に記載の織編物の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記仮撚加工における仮撚数を、下記の
    式で与えられる仮撚数T(回/m)の50〜100%の
    範囲にする請求項に記載の織編物の製造方法。 T=(3.16×104 /√D)×0.94 但し、Dはマルチフィラメント糸条の総繊度(デニー
    ル)
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