JP2639284B2 - 混繊複合糸およびその製造方法と織物 - Google Patents
混繊複合糸およびその製造方法と織物Info
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Description
る混繊複合糸に関するものであり、さらに詳しくは従来
の強撚によるシャリ感と異なる風合(サラサラ感)及び
触感、ドレープ性を兼ね備えた織物に適する混繊複合糸
およびその製造方法と織物に関する。
糸は、織物に優れたドレープ性を付与することができ、
とくに婦人服において優雅なシルエットを表現できるた
め、ナイロンやアクリルなど他の合成繊維とは異にして
使用されている。ドレープ性を付与するためには、ポリ
エステルマルチフィラメント糸に強撚を施すことが必要
であり、次いで製織し、得られた生機を染色工程でアル
カリ減量し、織物を得る。また強撚を施すことは、織物
にドレープ性を付与する効果を有するだけでなく、織物
として従来のワキシー感を取除き、ドライな風合のシャ
リ感を付与する効果を有する。このシャリ感は強撚撚数
によって異なり、撚数が過度に高くなると風合がかたく
なり、織物として好ましくないジャリ感となる。
ープ性あるいはシャリ感を付与するため強撚すると、マ
ルチフィラメント糸が高度に集束し、撚構造のためにふ
くらみ感・ソフト感に欠けたかたい風合の織物となる問
題があり、それを解決せんと特公昭61−19733、
特公昭61−31210号公報、特公昭63−6142
2号公報において、伸度差の異なるマルチフィラメント
糸を2種類以上用いて複合し、延伸仮撚加工することに
よって、芯鞘2層構造を有する複合構造仮撚加工糸が提
案されている。この複合構造仮撚加工糸の構造は、芯糸
と鞘糸間に糸長差を有する2層構造形態を形成してい
る。そのため、追撚工程においては、糸長の短い芯糸側
に先づ撚糸張力がかかり集束状態で撚が付与され、さら
に撚数が増加していくにつれ徐々に鞘側のマルチフィラ
メント群に撚が付与され、芯糸の周囲に撚糸されること
となる。したがって、撚糸数が増加しても、鞘側のマル
チフィラメント糸は空隙を形成することができ、ふくら
み・ソフト感を有する傾向があった。
るため満足できるものではなく、ドレープ性あるいはド
ライ感を得るためには、強撚撚数をさらに増加しなけれ
ばならず、その結果として撚数増加によるふくらみ・ソ
フト感の低下を招くのであった。特に加工糸使いの中・
肉織物において、上記の問題は顕著であった。上述のよ
うに、従来のポリエステルマルチフィラメント糸や芯鞘
2層構造を有する複合構造仮撚加工糸において、ドレー
プ性とドライなシャリ感を得るため撚糸するとふくらみ
・ソフト感に欠け、反対にふくらみ・ソフト感を追及す
るとドレープ性やドライ感に欠けることとなり、ドレー
プ性、ドライ感、ふくらみ・ソフト感などを兼備する織
物を得ることは困難なことであった。
題を解決し、追撚によりドレープ性とドライ感を得るこ
とができると共に、強撚による従来のかたい風合のシャ
リ感とは異なった、ふくらみ・ソフト感を有し、まろや
かでドライな質感であるサラサラ感を有する織物を提供
できる混繊複合糸及びその製造方法と織物を提供するこ
とを目的とする。
成するため次の構成から成る。すなわち、仮撚加工され
てなる2種類以上の異なる断面形状のフィラメント糸か
ら構成されるポリエステルマルチフィラメント糸であっ
て、少なくとも1種類のフィラメント糸が凹部を有しな
い断面形状のフィラメント糸、それ以外のフィラメント
糸が3〜8個の凹部を有する断面形状のフィラメント糸
から構成され、前記それぞれの断面形状のフィラメント
糸が外層・内層にランダムな状態で分散し混繊されてい
ることを特徴とする混繊複合糸である。また、溶融した
ポリエステル重合体を紡出し冷却することにより得られ
る少なくとも1種類が凹部を有しない断面形状のフィラ
メント糸であり、それ以外のフィラメント糸が3〜8個
の凹部を有する断面形状のフィラメント糸である2種類
以上の異なる断面形状のポリエステルフィラメント糸
を、引取ローラーで引き取る前に混繊集束し、引取速度
4500m/分以下で引き取ることにより得たポリエス
テル未延伸糸あるいは半延伸糸を、仮撚ヒーター温度が
110℃以上190℃以下、下記式における撚係数αが
24000以上35000以下の範囲で延伸仮撚加工
し、前記それぞれの断面形状のフィラメント糸を外層・
内層にランダムに分散させることを特徴とする混繊複合
糸の製造方法である。 仮撚係数 α=T2 ・D1/2 ただし、T2 :仮撚数(T/M) D :加工後のトータル繊度(デニール) さらにまた、仮撚加工されてなる2種類以上の異なる断
面形状のフィラメント糸から構成されるポリエステルマ
ルチフィラメント糸であって、少なくとも1種類のフィ
ラメント糸が凹部を有しない断面形状のフィラメント
糸、それ以外のフィラメント糸が3〜8個の凹部を有す
る断面形状のフィラメント糸から構成され、前記それぞ
れの断面形状のフィラメント糸が外層・内層にランダム
な状態で分散し混繊され、かつ下記式における撚係数α
が2400以上14500以下の範囲に追撚されている
混繊複合糸を、経糸および/または緯糸に用いて構成し
てなるサラサラとした風合いを有することを特徴とする
織物である。 撚数 T1 (T/M)=α・D-1/2 ただし、α:撚係数 D:加工後のトータル繊度(デニール) 以下、本発明について詳細に説明する。
する。本発明の混繊複合糸の特徴は、マルチフィラメン
ト糸の断面形状とその複合状態の構造にあり、撚数が従
来の強撚領域以下の追撚によってドレープ性とドライな
風合を得ることが可能であり、さらに新しい効果とし
て、まろやかでドライな質感である独特のサラサラ感が
得られることにある。
るフィラメント糸が複合されてなるマルチフィラメント
糸である。断面形状の種類は2種類以上であり、そのう
ち少なくとも1種類のフィラメント糸が凹部を有しない
断面形状のフィラメント糸からなり、それ以外のフィラ
メント糸は3〜8個の凹部を有する断面形状のフィラメ
ント糸から構成されていることが重要である。
明図である。図面を参照しながら更に詳細に説明する
と、本発明でいう凹部を有しない断面形状とは、同一断
面において断面輪郭に接する接線を引いた時に、複数の
接点を有しない断面形状を原則としていうが、原糸では
凹部を有しない(複数の接点を有しない断面形状)もの
であって仮撚加工の際に隣接した糸との接触等により部
分的に凹んだ断面形状をも含むものをいう。上記の凹部
を有しない断面形状の具体例を挙げると、円形(図
1)、楕円形(図2)、おにぎり型円形(図3)や3角
形以上の多角形であって比較的角に丸味を持ったもの
(図4)が挙げられる。これらには、図1に示すよう
に、接線(L1 )を引いた時に複数の接点は存在せず、
1つの接点(S1 )のみ存在する。
面において断面輪郭に接する接線(L2 )を引いた時
に、複数の接点(S2 、S3 )を有し、その接点間に凹
部(U)を形成しており、その凹部と凹部の間に凸部が
形成されている断面形状をいう。本発明においては、3
〜8個の凹部を有する断面形状であることが重要であ
り、対象型あるいは非対象型のいずれでもよく、凹部の
大きさに特に制限されるものでない。その様な断面形状
として具体例を挙げると、Y型(図5)、T型(図
6)、4葉型(図7)、6葉型(図8)、8葉型(図
9)、櫛形(図10)などが挙げられる。これらには、
図5に示すように、接線を引いた時に複数の接点を有す
る接線が存在する。
断面概略図を示した。図11では、円形(丸)断面と6
葉型断面のフィラメント糸からなる原糸(図12)を仮
撚加工し得た複合糸を示してある。本発明の混繊複合糸
は後述するように仮撚加工することにより得られるの
で、図12に示すように原糸において断面形状は凹部を
有しない断面と凹部を有する断面とが明確に区別できる
が、図11に示すように仮撚加工することにより断面は
変形するため、本発明の混繊複合糸は原糸で凹部を有し
ない断面であっても仮撚加工後は部分的に凹みを有する
もの、原糸で凹部であった部分が変形してなくなったも
の等も存在する場合がある。
形状が形成する凸部(凹部と凹部の間に形成される突起
状部分)の存在により、混繊複合糸に追撚が施こされる
と、追撚による撚構造から生じる表面の凹凸とは別の表
面凹凸が、手の触感としてサラサラとした感触・風合を
生み、一方の凹部を有しない断面フィラメント糸の有す
るヌメリ感との調和で新しい風合となる。
個未満あるいは8個を越える場合には、織物の風合とし
て上記のサラサラ感が得られないので好ましくない。
フィラメント糸と凹部を有しない断面形状のフィラメン
ト糸の混合比率は20:80〜80:20であることが
好ましく、40:60〜60:40であることがさらに
好ましい。凹部を有する断面形状のフィラメント糸比率
が80%を越えると、断面形状の凹凸の効果が大きくな
るため、撚数が増加した場合にザラツキ感やザラザラ感
になってしまうので好ましくなく、反対に20%未満で
は凹部を有しない断面形状のヌメリ感の効果が大きくな
り好ましくない。
ト糸と凹部を有しない断面形状のフィラメント糸との複
合状態は、それぞれの断面形状のフィラメント糸が外層
・内層にランダムな状態で分散し混繊されていることが
重要である。図13は本発明の混繊複合糸の一例を示す
側面概略図である。また図13はインターレースノズル
による交絡が付与されたものを示している。一方、図1
4は従来の交互撚芯鞘2層構造糸を示す側面概略図、図
15は従来の芯鞘多層構造糸を示す側面概略図である。
図14及び図15は、太線で表された芯糸と細線で表さ
れた鞘糸とにより2層構造形態となっている。
11に示すようにそれぞれの断面形状の糸が外層・内層
にランダムな状態で分散していることで、追撚を施こし
た時、糸の表面においてそれぞれの断面形状が分散配置
するので、凹部を有する断面と凹部を有しない断面との
調和した複合効果によるサラサラな風合が得られる。ま
た、凹部を有する断面形状のフィラメント糸と凹部を有
しない断面形状のフィラメント糸がランダムな状態で分
散していることによって、追撚数を増加したとき凹部と
凹部のかみ合いが起こりにくいことから嵩高性の減少を
防ぎ、ふくらみ感を保持できるのである。
糸が集合して構成される芯鞘2層構造形態を有する複合
糸の場合には、調和した複合効果によるサラサラな風合
が得られないので好ましくない。
体からなるものが用いられる。ポリエチレンテレフタレ
ート重合体もしくはエチレンテレフタレート単位を85
モル%以上含むポリエチレンテレフタレート共重合体か
らなるものが好ましく用いられる。それぞれの断面形状
のフィラメント糸を構成するものが、別々のポリマー種
であってもよい。その他フィラメント糸を構成するポリ
エステルには、酸化チタン等の艶消剤、顔料、耐光剤、
難燃剤などを含んでいてもよい。
の単糸繊度D1と凹部を有する断面形状フィラメント糸
の単糸繊度D2の関係は、0.5≦D2/D1≦2.0
であり、D1、D2はいずれも10デニール以下である
ことが好ましい。D2/D1が0.5未満の場合には、
凹部を有しない断面形状のフィラメント糸の効果が大き
くなりぬめり感の強い風合となり、またD2/D1が
2.0を越える場合には、凹部を有する断面形状フィラ
メント糸の効果が大きくなりザラザラ感の風合となる傾
向がある。
は、JIS L1090A法(カセ収縮率)で測定する
とき混繊複合糸として6%以上15%以下であること、
および、凹部を有しない断面形状フィラメント糸の沸水
収縮率SW1と凹部を有する断面形状フィラメント糸の
沸水収縮率SW2の関係において、SW1−SW2≦8
%であることが好ましく、SW1−SW2≦5%である
ことはより好ましい。SW1−SW2>8%の場合に
は、凹部を有する断面形状の効果が大きくなりすぎる傾
向がある。
は、従来の芯鞘2層構造を有する複合構造仮撚加工糸を
用いて得られる織物とは異なる、優れたドレープ性を有
し、サラサラとした新しい風合効果の織物を得ることが
できる。
について説明する。本発明の混繊複合糸は、凹部を有す
る断面形状のフィラメント糸と凹部を有しない断面形状
のフィラメント糸が混繊されたポリエステル未延伸糸ま
たは半延伸糸を得、次いで延伸仮撚加工を施すことによ
り得ることができるが、重要なことは、紡糸工程の引取
ローラーに引き取られる前に混繊集束し、異なる断面形
状のフィラメント糸が混繊されたポリエステル未延伸糸
または半延伸糸とすることである。具体的には例えば、
図16〜18に示す工程により得ることができる。
合糸を得る方法の例を示す工程概略図である。図16に
は、少なくとも1種類が凹部を有しない形状で、それ以
外の形状が3〜8個の凹部を有する形状であって、2種
類以上の異なる形状の紡糸孔で構成される1枚の口金
(A)から紡出された糸条を集束・吸油し、その後イン
ターレースノズルにより混繊集束し、引取ローラーに引
き取る方法を示す。
糸孔で構成される1枚の口金(B)、一方は3〜8個の
凹部を有する形状の紡糸孔で構成される1枚の口金
(C)からそれぞれ紡出された糸条を集束・吸油し、そ
の後インターレースノズルにより混繊集束し、引取ロー
ラーに引き取る方法を示す。
状の紡糸孔で構成される1枚の口金(B)、一方は3〜
8個の凹部を有する形状の紡糸孔で構成される1枚の口
金(C)からそれぞれ紡出された糸条をそれぞれ集束・
吸油し、その後集束しインターレースノズルで混繊集束
し、引取ローラーに引き取る方法を示す。
態および生産性の観点より、少なくとも1種類が凹部を
有しない形状で、それ以外の形状が3〜8個の凹部を有
する形状であって、2種類以上の異なる形状の紡糸孔で
構成される一枚の紡糸口金から、溶融したポリエステル
重合体を紡出する方法が好ましい。
状の紡糸孔で構成される一枚の紡糸口金とは、例えば図
19〜図22に示すように、同心円状に穿孔されたもの
(図19)、群配列されたもの(図20)、格子状に穿
孔されたもの(図21、図22)などが挙げられる。な
お、図中の○は凹部を有しない形状の紡糸孔、×は凹部
を有する形状の紡糸孔を示す。
して一端巻き取り、それとは別に凹部を有しないフィラ
メント糸を紡糸して一端巻き取った糸を、その後引揃え
て混繊加工し得られたポリエステル未延伸糸または半延
伸糸を延伸仮撚加工する方法では、混繊状態が外層・内
層にランダムとならないので好ましくない。
から複数の糸条を巻き取る方法も好ましく採用できる。
延伸糸または半延伸糸を延伸仮撚加工することによっ
て、各断面形状のフィラメント糸が実質的に芯鞘2層構
造を形成することなく、各単糸がランダムな状態で外層
から内層まで分散している混繊複合糸とすることができ
る。
23は本発明の混繊複合糸の製造方法における延伸仮撚
方法の一例を示す工程概略図である。上記の方法にて得
られたポリエステル未延伸糸または半延伸糸は、ヒータ
ー温度110〜190℃、仮撚数T2 (T/m)が加工
後のデニールDに対する撚係数α=24000〜350
00で実施することが重要である。ヒーター温度が11
0℃未満では延伸仮撚加工時の熱セット領域として非常
に不安定であり、沸水収縮率15%以下を得るために生
産上コントロールがむずかしい領域となり好ましくな
く、190℃を越えるとふくらみに寄与する沸水収縮率
6%以上を得ることができないので好ましくない。仮撚
加工時の撚係数αが24000未満では、マルチフィラ
メント糸の形状が、特に仮撚温度の低い領域において形
態が生糸状に近づき従来の仮撚2層構造糸のふくらみ感
に比較して劣るものになるので好ましくなく、撚係数α
が35000を越える場合は、仮撚温度の高い領域にお
いて従来の仮撚加工糸の如く捲縮が多くなり、織物の風
合に捲縮特性の影響によるザラツキ感が加味されるので
好ましくない。延伸仮撚加工により得られるマルチフィ
ラメント糸の原糸物性は、沸水収縮率SW(%)が6%
以上15%以下、捲縮特性のうち伸縮復元率CR(%)
が35%以下、荷重下の熱処理における捲縮発現伸長率
TR(%)が5%以下であることは、この混繊複合糸を
使用して追撚し織成し、染色加工して得られる織物とし
たときに前記したサラサラ感、ドレープ性を付与するの
に効果が大きいので好ましい。
復元率CR(%)はJIS L1090(合成繊維マル
チフィラメントかさ高加工糸試験法)により求めた。S
W(%)は沸水収縮率A法(カセ収縮率)によるもので
ある。
R(%)は、次の方法により求めた。複合糸を5回巻き
したカセを作成し、見掛け繊度の0.02×D(g)
(ここで、Dは複合糸のデニール)の初荷重をかけ、1
50±2℃で5分間の乾熱処理し、つぎに見掛繊度の
0.1×D(g)の定荷重をかけた長さの比によって求
める。
ィラメント糸が実質的に芯鞘2層構造を形成することな
く、各単糸が比較的ランダムな状態で外層から内層まで
分散している混繊複合糸とすることができるのは、凹部
を有する断面形状のフィラメント糸と凹部を有しない断
面形状のフィラメント糸の形状の相違から、紡糸工程に
おける冷却速度や紡糸張力の差等により、断面形状の異
なるフィラメント糸間において配向度差を有する糸が得
られ、それを延伸仮撚加工すると、断面形状の異なるフ
ィラメント糸間に延伸張力差が生じ、外層・内層にラン
ダムな状態で分散し混繊された仮撚加工糸が得られると
考えられる。また、得られた仮撚加工糸は、熱水処理時
に断面形状の異なるフィラメント糸間において異なった
収縮挙動を示すことから膨らみを生むものと考えられ
る。
いて、延伸仮撚加工を行なった後、巻取る前にインタレ
ースノズルにより単糸間に交絡を付与することは、さら
に効果的である。単糸間に交絡を与えることは、混繊複
合糸が芯・鞘2層構造形態でないため、凹部を有する断
面形状のマルチフィラメント糸と凹部を有しない断面形
状のマルチフィラメント糸の混繊効果を高め、マイグレ
ーションさせることによって本発明の効果を大きくする
ことができるので好ましい。また、それはいわゆる混繊
複合糸の後工程での通過性を高めるという効果も奏す
る。交絡数は10コ/m以上であることが好ましい。
記本発明の混繊複合糸を経・緯糸両方に織成するか、あ
るいは経糸もしくは緯糸のいずれかに使用し織成して新
規な風合の織物とすることができる。経・緯両方に織成
する場合は、特に制約条件はなく前記の凹部を有しない
断面形状のフィラメント糸と凹部を有する断面形状フィ
ラメント糸の効果を有効に表現することができるが、経
糸のみに使用する場合においては、緯糸として通常の織
物に一般的に使用されるポリエステルマルチフィラメン
ト糸に追撚撚数を多くしたものを用いるのが好ましい。
トと凹部を有する断面形状マルチフィラメントの混繊複
合糸は適度な追撚を施こすことによって、さらに優れた
ドレープ性のある表面タッチを有し、従来の強撚織物の
ドライなシャリ感とは異なるサラサラとした新しい風合
効果の織物を得ることができる。従来のポリエステルマ
ルチフィラメントの強撚織物における追撚数としては、
一般的に150デニール相当であれば1500T/M〜
2300T/Mが使用されるが、前記本発明の混繊複合
糸においては1500T/M以下で十分である。150
0T/Mを越えると凹部を有する断面形状の風合効果が
大きくなり、一般的に好ましくない風合であるジャリ感
の風合いとなるので好ましくない。前記本発明の混繊複
合糸の追撚撚数の範囲は、使用するデニールとの関係
で、 T1 (T/M)=α・D-1/2 における撚係数αが、2400≦α≦14500の範囲
であることが重要である。また、撚数T1 が2400≦
α≦10000の範囲においては、前記本発明の混繊複
合糸を経糸に使用し、緯糸として従来から一般的に強撚
織物に使用されるポリエステルマルチフィラメント糸の
強撚を施こした糸とを用いて交織することによって、さ
らに新しい風合いの効果を得ることができる。
に説明する。 実施例1 極限粘度〔η〕=0.64のポリエチレンテレフタレー
トを丸孔24穴、六葉型(ヘキサローバル型)孔24穴
を図20に示すように配した口金を用い、図16のよう
な工程により3000m/分の速度で紡糸し、261デ
ニール48フィラメントの半延伸糸を得た。この半延伸
糸を東レエンジニアリング社製フリクション方式延伸仮
撚機DF−7型で延伸倍率1.74、ヒーター温度13
0℃、加工速度450m/分、加撚撚数2400T/M
で延伸仮撚加工を実施し、繊度150デニール、強度
3.9g/d、伸度28%、沸水収縮率7.8%、伸縮
復元率CR26%、荷重下の熱処理における捲縮発現伸
長率TR3.5%の特性を有する仮撚捲縮糸(混繊複合
糸)を得た。得られた混繊複合糸の糸断面を包埋法によ
る光学顕微鏡観察をした結果、図11に示すように、丸
断面形状が延伸仮撚加工によっておにぎり状等に変形し
た凹部を有しない断面形状フィラメント糸と、6葉型断
面形状が延伸仮撚加工によって変形した凹部を有する断
面形状フィラメント糸が、2層構造を形成することなく
内層・外層にランダムに分散した状態の構造からなるマ
ルチフィラメント糸であった。この仮撚加工糸を通常の
編検用筒編機で編成したものは、上記と同様の紡糸・延
伸仮撚加工条件により得られた丸断面100%あるいは
6葉型断面100%からなる仮撚捲縮糸にそれぞれ比較
して、風合が独特のサラサラ感を有し、ドレープ性に優
れるものであった。
面形状フィラメント糸24本と概ね6個の凹部を有する
断面形状フィラメント糸24本から構成された混繊複合
糸(150デニール48フィラメント)を用いて、通常
のフィラメント用サイジングM/Cで乾燥条件、シリン
ダー100℃、チャンバー110℃による糊付を行な
い、経糸として日産LW52型WJLに仕掛け、緯糸に
は経糸と同様の仮撚捲縮複合糸を直接打込み生機密度1
04本/2.54cm×77本/2.54cmを平織物を製織した。
得られた生機を通常の染色工程において、120℃の液
流リラックス処理、190℃の中間セット、アルカリ減
量処理(減量率20%)、130℃の液流染色処理、1
60℃の仕上セットを行ない、密度120本/2.54cm×
82本/2.54cmで実施した。仕上げた織物は無撚織物と
しては従来の加工糸織物に対してドレープ性、反発性、
ふくらみ感があり、タッチも従来の追撚による風合とは
異なる独特のサラサラとした織物であった。
紡糸、延伸して得たレギュラーセミダルポリエステルフ
ィラメントで8個の凹部を有するオクタローバル糸(7
5デニール36フィラメント)と、それとは別に通常の
紡糸、延伸方法にて得たポリエチレンテレフタレートの
凹部を有しない丸断面糸(75デニール36フィラメン
ト)とを引揃え、東レエンジニアリング社製ピン方式仮
撚機TFT−6M型でフィード率+2%、スピンドル回
転数30万rpm、ヒーター温度190℃、仮撚数24
80T/M、0.8φ×2穴のインターレースノズルを
使用して3kg/cm2 の圧空処理でウーリー加工糸を
得た。得られたウーリー加工糸に600T/Mの追撚を
行ない、それを経糸及び緯糸に用いてウォータージェッ
トルームで生機密度69本/2.54cm×60本/2.54cmの
平織を試織した。得られた生機を実施例2と同様の染色
方法により液流リラックス処理〜仕上セットし、密度7
5本/2.54cm×68本/2.54cmの織物を得た。得られた
織物は通常の丸断面100%の加工糸使いの織物と比較
すればヌメリ感はないが、ガサガサしたタッチでドレー
プ性もふかつき感の軽い感じのものであり、サラサラ感
は得られなかった。
ィラメント)に、村田機械(株)製ダブルツイスター3
02型で750T/Mを追撚を施こし、この追撚糸を経
糸及び緯糸に使用し無糊ウォータージェットルーム45
0r.p.m.で生機密度経129本/2.54cm、緯81本/2.
54cmで平組織に製織した。この生機を通常の染色加工工
程によりリラックス処理、中間セット後、アルカリ減量
処理(減量率26%)を行ない、次いで仕上セットで経
糸密度140本/2.54cm、緯糸密度96本/2.54cmに仕
上げた。該織物の風合評価を行なったところ、従来のマ
ルチフィラメント糸(丸断面、150デニール48フィ
ラメント)に750T/Mの追撚を行なったものでは得
られないふくらみ感と反発力のあるドレープ性を有し、
従来の糸を使用して1500〜1800T/Mの追撚を
した場合の追撚効果に相当するドレープ性を有しなが
ら、その従来の追撚糸の味とは異なるサラサラと感じら
れるドライ感を有する新しい風合の織物が得られた。
ィラメント)を使用し、経糸として村田機械(株)製ダ
ブルツイスターで400T/Mの追撚した原糸を無糊、
整経し、日産LW−52型ウォータージェットルームに
仕掛けた。緯糸には通常のポリエステル強撚ジョーゼッ
トに使用されている150デニール96フィラメント
糸、1800T/Mの強撚糸を利用し仕機密度136本
/2.54cm×75本/2.54cmのベネシャン組織で製織し
た。この生機を使用し通常の染色工程に投入し120℃
リラックス、190℃中間セット、アルカリ減量率2
1.8%の後、130℃で液流染色し仕上セット条件1
60℃で密度153本/2.54cm×91本/2.54cmに仕上
げた。得られた織物は、通常の芯鞘2層構造仮撚加工糸
(丸断面、150デニール60フィラメント)を使い1
800T/Mの追撚をして得られたベネシャン織物に比
較して、損色のないドレープ性を有し、風合も強撚によ
る風合とは異なる独特のサラサラとしたすばらしい効果
を有するものが得られた。
とドライ感を得ることができると共に、強撚による従来
のかたい風合のシャリ感とは異なった、ふくらみ・ソフ
ト感を有し、まろやかでドライな質感であるサラサラ感
を有する織物とすることができる混繊複合糸、および前
記の織物を提供できる。
を示す断面概略図
図
工程概略図
示す工程概略図
一例を示す工程概略図
略図
面概略図
示す平面概略図
示す平面概略図
仮撚方法の一例を示す工程概略図
Claims (7)
- 【請求項1】仮撚加工されてなる2種類以上の異なる断
面形状のフィラメント糸から構成されるポリエステルマ
ルチフィラメント糸であって、少なくとも1種類のフィ
ラメント糸が凹部を有しない断面形状のフィラメント
糸、それ以外のフィラメント糸が3〜8個の凹部を有す
る断面形状のフィラメント糸から構成され、前記それぞ
れの断面形状のフィラメント糸が外層・内層にランダム
な状態で分散し混繊されていることを特徴とする混繊複
合糸。 - 【請求項2】沸水収縮率SW(%)が6%以上15%以
下、捲縮特性のうち伸縮復元率CR(%)が35%以
下、荷重下の熱処理における捲縮発現伸長率TR(%)
が5%以下であることを特徴とする請求項1記載の混繊
複合糸。 - 【請求項3】請求項1または2に記載された混繊複合糸
が下記式における撚係数αが2400以上14500以
下の範囲に追撚されていることを特徴とする混繊複合
糸。 撚数 T1 (T/M)=α・D-1/2 ただし、α:撚係数 D:加工後のトータル繊度(デニール) - 【請求項4】溶融したポリエステル重合体を紡出し冷却
することにより得られる少なくとも1種類が凹部を有し
ない断面形状のフィラメント糸であり、それ以外のフィ
ラメント糸が3〜8個の凹部を有する断面形状のフィラ
メント糸である2種類以上の異なる断面形状のポリエス
テルフィラメント糸を、引取ローラーで引き取る前に混
繊集束し、引取速度4500m/分以下で引き取ること
により得たポリエステル未延伸糸あるいは半延伸糸を、
仮撚ヒーター温度が110℃以上190℃以下、下記式
における撚係数αが24000以上35000以下の範
囲で延伸仮撚加工し、前記それぞれの断面形状のフィラ
メント糸を外層・内層にランダムに分散させることを特
徴とする混繊複合糸の製造方法。 仮撚係数 α=T2 ・D1/2 ただし、T2 :仮撚数(T/M) D :加工後のトータル繊度(デニール) - 【請求項5】少なくとも1種類が凹部を有しない形状
で、それ以外の形状が3〜8個の凹部を有する形状であ
って、2種類以上の異なる形状の紡糸孔で構成される一
枚の紡糸口金から、溶融したポリエステル重合体を紡出
することを特徴とする請求項4記載の混繊複合糸の製造
方法。 - 【請求項6】延伸仮撚加工を行なった後、インターレー
スノズルによって交絡数10コ/m以上の交絡処理を行
なうことを特徴とする請求項4または5記載の混繊複合
糸の製造方法。 - 【請求項7】仮撚加工されてなる2種類以上の異なる断
面形状のフィラメント糸から構成されるポリエステルマ
ルチフィラメント糸であって、少なくとも1種類のフィ
ラメント糸が凹部を有しない断面形状のフィラメント
糸、それ以外のフィラメント糸が3〜8個の凹部を有す
る断面形状のフィラメント糸から構成され、前記それぞ
れの断面形状のフィラメント糸が外層・内層にランダム
な状態で分散し混繊され、かつ下記式における撚係数α
が2400以上14500以下の範囲に追撚されている
混繊複合糸を、経糸および/または緯糸に用いて構成し
てなるサラサラとした風合いを有することを特徴とする
織物。 撚数 T1 (T/M)=α・D-1/2 ただし、α:撚係数 D:加工後のトータル繊度(デニール)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4176831A JP2639284B2 (ja) | 1992-07-03 | 1992-07-03 | 混繊複合糸およびその製造方法と織物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4176831A JP2639284B2 (ja) | 1992-07-03 | 1992-07-03 | 混繊複合糸およびその製造方法と織物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0625930A JPH0625930A (ja) | 1994-02-01 |
JP2639284B2 true JP2639284B2 (ja) | 1997-08-06 |
Family
ID=16020603
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4176831A Expired - Lifetime JP2639284B2 (ja) | 1992-07-03 | 1992-07-03 | 混繊複合糸およびその製造方法と織物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2639284B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001057297A1 (fr) * | 2000-02-04 | 2001-08-09 | Asahi Kasei Kabushiki Kaisha | Tissu elastique |
JP6596881B2 (ja) * | 2015-03-31 | 2019-10-30 | 東レ株式会社 | 複合仮撚加工糸 |
JP7499671B2 (ja) | 2020-10-07 | 2024-06-14 | 三菱重工業株式会社 | 性能評価方法、運転制御方法、性能評価装置、及びプログラム |
-
1992
- 1992-07-03 JP JP4176831A patent/JP2639284B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0625930A (ja) | 1994-02-01 |
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