JP3106896B2 - 仮撚加工糸 - Google Patents

仮撚加工糸

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JP3106896B2
JP3106896B2 JP07058970A JP5897095A JP3106896B2 JP 3106896 B2 JP3106896 B2 JP 3106896B2 JP 07058970 A JP07058970 A JP 07058970A JP 5897095 A JP5897095 A JP 5897095A JP 3106896 B2 JP3106896 B2 JP 3106896B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、仮撚加工糸に関し、詳
しくは仮撚加工糸を構成する繊維の少なくとも一部が、
中空率、中空部の異形度がランダムに分布しており、更
に減量加工によって繊維表面に特定の溝形状が形成され
る中空繊維で構成されていることによって、優れた軽量
感、従来にない麻調のドライ感と優れた表面感を有する
布帛を得るための仮撚加工糸に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からポリエステルやナイロンなど軽
量化を目的として中空繊維が提案されている。例えば特
開昭62−215032号公報には中空率が40%以
上、90%以下の中空繊維が提案されているが、単に高
中空率化するだけでは軽量化は達成できるものの、布帛
にした後の触感が通常の繊維と同様にぬめり感の強いも
のであり、ドライ感を付与することはできなかった。
【0003】また、特開平2−175916号公報には
中空繊維の染色性改善を狙いとして、平均中空率が5〜
30%であり、且つ中空率のCV%が5〜50%である
中空繊維について提案されているが、該公報の中空繊維
を用いた布帛では、依然として前記公報の欠点を解決す
ることはできていない。
【0004】一方、中空繊維にドライ感を付与する方法
としては、例えば特開昭62−133111号公報では
太細を有する中空繊維が、また特開平1−306672
号公報には、微細孔形成剤を含有する中空繊維が、それ
ぞれ提案されているが、いずれの場合においても従来の
ドライ感素材の範囲内のものしか得られず、本発明の目
的とする、従来にない麻調のドライ感を有する布帛を得
ることはできなかった。 また、複合中空繊維について
は例えば特開昭52−88620号公報には非相溶性の
2成分のポリマを交互に放射状に配置して中空繊維と
し、分割することによって極細繊維を得る方法が提案さ
れている。しかしながら、該公報で得られる複合中空繊
維を用いた布帛では、ピーチタッチ風合は得られるもの
の軽量化効果はほとんど無く、またドライ感を付与する
ことはできなかった。
【0005】また、特開平3−124807号公報には
芯鞘型複合中空繊維の鞘成分を完全に溶解除去すること
によって、多角形状の中空繊維とすることが提案されて
いる。該公報によって得られる中空繊維では、中空化に
よる軽量感と共に多角形状とすることによってドライ感
を向上することはできるが、従来にない麻調のドライ感
を付与することはできなかった。
【0006】従って、従来技術では軽量感を十分に付与
し、同時に従来にない麻調のドライ感および優れた表面
感を付与することはできなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術やそれらの組合せでは達成できなかった、軽量
感、従来にない麻調のドライ感と優れた表面感を同時に
付与するための仮撚加工糸を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、構成繊
維の少なくとも一部が、以下の(1)〜(3)を満足す
る中空繊維で構成されていることを特徴とする仮撚加工
糸とすることによって達成できる。 (1)最大中空率が40%以下であり、中空率がランダ
ムに分布している。 (2)中空部の平均異形度が1.5以上であり、異形度
がランダムに分布している。 (3)減量加工を行なうことにより、繊維表面に繊維軸
と直交する横溝が形成される。
【0009】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の
仮撚加工糸は、軽量感と適度な張り腰を付与するために
少なくとも一部に中空繊維を用いていることが必要であ
る。中空繊維が含まれていないと軽量感を付与すること
ができないとともに、布帛とした際に適度な張り腰を付
与することができず、高級衣料用布帛として適用するに
は不十分である。
【0010】そのため、本発明の仮撚加工糸を構成する
繊維の少なくとも一部が、最大中空率が40%以下の中
空繊維であることが必要である。軽量感を付与するため
には中空率は高いほうが好ましいが、中空繊維の最大中
空率が40%を越えると、発色性が低下してしまった
り、部分的に破裂することによってフィブリル化が起こ
り製品品位が低下してしまうため、最大中空率は40%
以下であることが必要である。
【0011】尚、中空率は中空繊維の断面積と中空部の
面積の合計に対する中空部の面積の比を百分率で表わし
たものである。また、前記中空繊維は、平均中空率が5
%以上であることが好ましい。尚、該中空繊維は最大中
空率が40%以下の範囲の中空繊維であるが、部分的に
中空率が実質0%の部分、即ち中空部が完全に潰れてい
る部分が存在しても良い。
【0012】また、十分な軽量感と適度な張り腰を付与
するためには、仮撚加工糸を構成する繊維の少なくとも
30%以上(フィラメント数)が中空繊維であることが
好ましい。
【0013】更に本発明の仮撚加工糸の少なくとも一部
を構成する中空繊維は、中空部が異形化していることが
必要であり、その際の平均異形度が1.5以上であるこ
とが必要である。即ち、中空繊維は中空部での光の乱反
射が発生するが、その際中空部が異形化していることに
よって光の反射がランダムに発生し、ナチュラルなムラ
感、即ち優れた表面感を発現させることができるのであ
る。この効果を発現させるためには中空部の平均異形度
が1.5以上であることが必要であり、好ましくは2.
0以上である。平均異形度が1.5以未満では、優れた
表面感を発現させることができない。
【0014】しかしながら中空部の平均異形度が高すぎ
ると、優れた表面感を発現させる効果は高いが、異形度
が高くなり過ぎることによって、部分的に破裂すること
によってフィブリル化が起こり製品品位が低下してしま
うことがあるので、中空部の平均異形度は15以下であ
ることが好ましく、より好ましくは10以下である。な
お、中空部の異形度は、中空部に内接する最大の内接円
直径に対する中空部の外接円直径の比で表わしたもので
あり、仮撚加工糸の任意の断面において個々の中空繊維
の異形度から平均異形度を算出する。
【0015】更に中空繊維の中空率および中空部の異形
度は、軽量感を付与すると同時に優れた表面感および従
来にないドライ感を付与するために、繊維間および長手
方向においてランダムに分布していることが必要であ
る。即ち、中空率および中空部の異形度が繊維間および
長手方向においてランダムに分布していることによっ
て、優れた表面感を付与することができ、更に従来にな
い麻調のドライ感を付与することができるのである。実
質的に中空率や中空部の異形度に分布がない場合には、
このような効果は発現しないのである。
【0016】中空率がランダムに分布しているとは、仮
撚加工糸の任意の断面において仮撚加工糸の少なくとも
一部を構成する個々の中空繊維の中空率を測定した際
に、中空率の最大値と最小値の差が5%以上であり、更
に該仮撚加工糸の長手方向において、3カ所以上の任意
の断面において仮撚加工糸の少なくとも一部を構成する
中空繊維の平均中空率を測定した際に、平均中空率の最
大値と最小値の差が2%以上であることを意味する。
【0017】また中空部の異形度がランダムに分布して
いるとは、仮撚加工糸の断面において仮撚加工糸の少な
くとも一部を構成する個々の中空繊維の中空部の異形度
を測定した際に、異形度の最大値と最小値の差が1.0
以上であり、更に該仮撚加工糸の長手方向において、3
カ所以上の任意の断面において仮撚加工糸の少なくとも
一部を構成する中空繊維の平均異形度を測定した際に、
平均異形度の最大値と最小値の差が0.5以上であるこ
とを意味する。
【0018】また本発明の仮撚加工糸は、良好な麻調の
新規なドライ感を付与するために、該仮撚加工糸の少な
くとも一部を構成する中空繊維が、減量加工を行なうこ
とにより、繊維軸と直交する横溝が形成されることが必
要である。即ち、繊維表面に溝を形成させることによ
って、従来の中空糸では得ることのできない麻調の新規
なドライ感を発現させることができるのである。
【0019】
【0020】尚、本発明でいう横溝とは、溝の長軸方向
が繊維軸方向に対して60度から120度の角度の範囲
で溝が形成されていることを意味するものであり、繊維
表面に形成される溝の50%以上が前記範囲で規定され
る横溝であることが、麻調の新規なドライ感を発現させ
るために好ましい。
【0021】更に本発明の仮撚加工糸の少なくとも一部
を構成する中空繊維は、減量加工によって形成される横
溝の頻度が1本/(μm)2 以上5本/(μm)2 以下
であることが、良好な麻調の新規なドライ感を付与する
ために好ましい。即ち、中空繊維の繊維表面に形成され
る溝数が1本/(μm)2 未満の場合では、繊維表面に
形成される横溝が少ないため、良好な麻調の新規なドラ
イ感を十分に付与することができなくなることがあり、
また繊維表面に形成される溝数が5本/(μm)2 を越
えると、麻調の新規なドライ感を付与することはできる
が、織物とした際の実用特性上の問題、即ち、擦れ当た
り、フィブリル化等が生じ、製品品位が低下することが
ある。従って、麻調のドライ感を付与し、かつ織物とし
た際の実用特性を兼備するためには、減量加工によって
中空繊維の表面に形成される横溝の頻度は1本/(μ
m)2 以上5本/(μm)2 以下であることが好ましい
のである。
【0022】尚、溝数は、繊維表面の電子顕微鏡写真
(5000倍以上)で、5μm×5μmの範囲の任意の
10カ所以上で溝数を測定し、その平均値を1(μm)
2 当りに換算して求める。
【0023】更に本発明の仮撚加工糸は、該仮撚加工糸
の少なくとも一部を構成する中空繊維が、芯鞘型複合中
空繊維であることがより好ましい。即ち、前記した特定
の横溝形状を有する中空繊維は、該横溝によって麻調の
新規なドライ感を発現させることができるが、場合によ
っては強力低下などによって織物とした際の引裂強力の
低下を招くことがある。従って、麻調の新規なドライ感
を有し、かつ強力低下の防止のために、芯鞘型複合中空
繊維であることがより好ましいのである。
【0024】ここでいう芯鞘型複合中空繊維とは、中空
部を有する芯成分および芯成分を取り囲む鞘成分からな
る複合中空繊維であり、芯成分は主として強力低下の防
止のために、また鞘成分は主として横溝形成による麻調
の新規なドライ感の発現のために複合するものである。
【0025】従って、前記した芯鞘型複合中空繊維を本
発明の仮撚加工糸の少なくとも一部に用いる場合には、
減量加工の際に鞘成分を残存させるように減量加工する
ことが好ましい。即ち、減量加工の際に鞘成分を完全に
除去させるように減量加工すると、鞘成分による横溝が
形成されなくなるため、麻調の新規なドライ感が十分に
発現しなくなることがあるからである。
【0026】以上のことから、前記した芯鞘型複合中空
繊維は、芯成分の複合比率は20重量%以上80重量%
以下の範囲が好ましい。芯成分の複合比率が20重量%
未満になると、強力低下の防止の効果が十分でなくな
り、逆に芯成分の複合比率が80重量%を越えると、減
量加工の際に鞘成分を残存させるように減量加工を制御
することが困難となるからである。
【0027】更に、前記芯鞘型複合中空繊維は、減量加
工の際に鞘成分を残存させるように減量加工することに
より、繊維断面方向において、少なくとも1箇所以上の
部分で芯成分が繊維表面に露出することが好ましい。即
ち、繊維表面に芯成分と前記した特定の横溝形状を有す
る鞘成分とを混在させることができることを意味してお
り、繊維表面に芯成分と鞘成分を混在させることによっ
て、芯成分と鞘成分に染色性の異なるポリマを用いるこ
とによって異色効果を発現させることが可能となり、微
妙なムラ感も付与することができるのである。微妙なム
ラ感をより発現させるためには、繊維断面方向におい
て、3箇所以上の部分で芯成分が繊維表面に露出するこ
とがより好ましい。尚、芯成分の形状は、鞘成分を完全
に溶解除去する以前に芯成分を露出させることができれ
ば、いずれの形状でもかまわない。また本発明の仮撚加
工糸は、より一層の麻調の新規なドライ感と表面感を付
与するために、未解撚部分を有する先撚仮撚加工糸であ
ることが好ましい。即ち、先撚を入れた後に仮撚加工を
行なうことにより、仮撚加工糸の長手方向に撚りの分布
が発生するため、織物とした際に該撚りの分布によっ
て、より良好な表面感を付与することができるのであ
る。良好な表面感を得るためには、1000回/m未満
の先撚を入れた後に仮撚加工することが好ましい。
【0028】本発明の仮撚加工糸に用いることのできる
ポリマとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、
その共重合体、ナイロン6、その共重合体、ナイロン6
6、その共重合体等が挙げられるがこれに限定されな
い。また、該仮撚加工糸の少なくとも一部に芯鞘型複合
中空繊維を用いる場合にあっても、前記したポリマの組
み合わせで複合繊維とすれば特に限定されないが、芯成
分としては強力低下を防止する意味から、例えばポリエ
チレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66等の
ホモポリマであることが好ましい。一方、鞘成分として
は、5−ソジウムスルホイソフタレート、ポリエチレン
グリコール、イソフタル酸などを共重合したポリエチレ
ンテレフタレート等の共重合体が好ましく使用できる。
例えば5−ソジウムスルホイソフタレートを共重合した
ポリエチレンテレフタレートの場合、好ましい5−ソジ
ウムスルホイソフタレートの共重合率は1.5モル%以
上であり、更に好ましくは2.2モル%以上である。ま
た、共重合率の上限は製糸、染色工程など特に高温で処
理する工程で膠着を発生することがあるので6モル%未
満が好ましい。
【0029】本発明の仮撚加工糸は、例えば次の方法に
よって製造できる。即ち、通常の方法によって中空繊
維、或いは芯鞘型複合中空繊維を製造し、これを単独ま
たは他の繊維と混繊して、仮撚加工を施すことによって
製造できる。仮撚加工に供する繊維は延伸糸でも未延伸
糸でも差支えなく、未延伸糸の場合は延伸同時仮撚加工
を行なえば良い。好ましい仮撚加工条件としては、仮撚
数1000回/m以上3000回/m以下であり、また
仮撚温度としては130℃以上200℃以下である。
【0030】また前記したように、より一層の麻調の新
規なドライ感と表面感を付与するために、仮撚加工を行
う前に1000回/m未満の先撚を入れておくことが好
ましい。
【0031】このようにして得られた本発明の仮撚加工
糸は、織物、編物にした後、熱アルカリ水溶液などで減
量加工することにより、繊維表面に前記した特定の横溝
形状を形成させることによって、麻調の新規なドライ
感、優れた軽量感、張り・腰、表面感等を付与すること
ができる。
【0032】尚、減量加工処理はいずれの工程で行なっ
ても構わないが生産の安定性から考えて製織編後とする
ことが好ましい。
【0033】
【実施例】以下実施例により本発明をより詳細に説明す
る。なお実施例中の各特性値は次の方法で求めた。 A.風合特性(ドライ感、軽量感、張り腰、表面感) 各項目とも、試料を基準試料との一対比較による官能試
験を実施し、4段階評価した。「極めて優れている」は
◎、「優れている」は○、「普通」は△、「劣ってい
る」は×、で表わした。なお、基準試料には通常定番品
種として用いられている試料原糸と同一繊度、同一フィ
ラメント、中空率5%の中空断面ポリエステルフィラメ
ント糸を試料と同様の製織、加工を施したものを用い、
これを「劣っている」とした。
【0034】B.耐フィブリル性 摩擦堅牢度試験機用の学振型平面摩耗機を使用して、摩
擦布としてポリエチレンテレフタレート100%からな
るジョーゼットを用い、試験布を500gの荷重下で1
0分間平面摩耗して、摩耗前後の変色の程度を目視判定
し、耐フィブリル性を2段階評価した。「優れている」
は○、「劣っている」は×で表わした。なお、基準試料
には通常定番品種として用いられている試料原糸と同一
繊度、同一フィラメント数、中空率5%の中空断面ポリ
エステルフィラメント糸を試料と同様の製織、加工を施
したものを用い、これを「優れている」とした。
【0035】C.引裂強力 JIS L 1096に準じて測定した。
【0036】D.固有粘度 オルトクロロフェノール10mlに対して試料0.1g
を溶解して温度25℃でオストワルド粘度計を使用して
測定した。
【0037】E.中空率 厚さ5μm以下の繊維断面の切片を作り写真で観察し、
中空繊維の繊維断面積と中空部断面積を測定し、繊維断
面積と中空部断面積の和に対する中空部断面積の百分率
で個々の単繊維の中空率を算出し、最大中空率および個
々の単繊維の中空率から平均中空率を算出した。
【0038】F.中空部異形度 厚さ5μm以下の繊維断面の切片を作り写真で観察し、
中空繊維の中空部の最大内接円直径および外接円直径を
測定し、中空部の最大内接円直径に対する外接円直径の
比で個々の単繊維の異形度を算出し、更に個々の単繊維
の異形度から平均異形度を算出した。
【0039】実施例1〜4および比較例1 芯成分ポリマとして固有粘度[η]が0.66のポリエ
チレンテレフタレートを、鞘成分ポリマとして固有粘度
[η]が0.50で、5−ソジウムスルホイソフタル酸
4.0モル%共重合した変性ポリエステルと固有粘度
[η]が0.66のポリエチレンテレフタレートをブレ
ンド比率70:30でチップブレンドしたものを用い、
通常の複合紡糸機により紡糸温度290℃で5分割スリ
ットからなる中空繊維用口金孔から、表1に示す芯成分
の複合比率で吐出し、1500m/minの速度で巻取
った。未延伸糸を通常のホットロールー熱板延伸機によ
り2.4倍で延伸して、200デニール48フィラメン
トの芯鞘型複合中空繊維を得た。 この芯鞘型複合中空
繊維に、300回/mの実撚を入れた後、仮撚数150
0回/m、仮撚温度170℃で仮撚加工を行ない仮撚加
工糸を得た。得られた仮撚加工糸の特性を表1に示す。
【0040】更にこの仮撚加工糸を経糸、及び緯糸にし
て使用して製織し、水酸化ナトリウム2重量%水溶液を
使用して98℃の条件で他の条件を適宜変更して減量加
工を行ない、繊維表面状態および織物特性について評価
した結果を表1に示す。
【0041】実施例1〜3で得られた織物は、繊維表面
に形成される横溝および中空部の異形化により、従来に
ない新規な麻調のドライ感を有し、また軽量感に優れ、
張り・腰も良好であり、表面感に富んだ高級感のある優
れた織物であった。
【0042】また実施例4では、鞘成分の残存量が少な
く、従って繊維表面に形成される溝数がやや少ないた
め、ドライ感が若干劣るものの、軽量感に優れ、張り・
腰、表面感に富んだ織物であった。
【0043】一方比較例1では、繊維表面に形成される
横溝によって従来にない新規な麻調のドライ感は得られ
るものの、中空部の異形度がほぼ均一であるため表面感
に劣っていた。
【0044】
【表1】 比較例2 実施例4において、減量率を21%として減量加工を行
なった。得られた仮撚加工糸および織物特性を表2に示
す。得られた織物を構成する中空繊維は、鞘成分が完全
に溶解除去されているため繊維表面に横溝が形成されて
おらず、麻調の新規なドライ感および優れた表面感が得
られなかった。
【0045】
【表2】 実施例5〜および比較例3〜5 表3に示すポリマを用いて通常の紡糸機により紡糸温度
292℃で3分割スリットからなる中空繊維用口金孔か
ら吐出し、1300m/minの速度で巻取った。未延
伸糸を通常のホットロールー熱板延伸機により2.5倍
で延伸して、200デニール48フィラメントの中空繊
維を得た。
【0046】この中空繊維を、200回/mの実撚を入
れた後、仮撚数1800回/m、仮撚温度180℃で仮
撚加工を行ない仮撚加工糸を得た。得られた仮撚加工糸
の特性を表3に示す。
【0047】更にこの仮撚加工糸を経糸、及び緯糸にし
て使用して製織し、水酸化ナトリウム2重量%水溶液を
使用して98℃の条件で減量加工を行ない、繊維表面状
態および織物特性について評価した結果を表3に示す。
【0048】実施例5および6で得られた織物は、繊維
表面に形成される横溝および中空部の異形化により、従
来にない新規な麻調のドライ感を有し、また軽量感に優
れ、張り・腰も良好であり、表面感に富んだ高級感のあ
る優れた織物であった。
【0049】実施例7では、共重合成分の共重合量が若
干高いため、織物の引裂強力が若干低く、また仮撚加工
において若干融着が発生していたため表面感がやや劣っ
ていたが、麻調のドライ感、軽量感、張り・腰に富んだ
織物が得られた。
【0050】実施例8では、繊維表面に形成される溝の
頻度がやや少ないため、ドライ感が若干劣るものの、軽
量感に優れ、張り・腰、表面感に富んだ織物であった。
【0051】比較例では、繊維表面に溝は形成されて
いたが、溝形状は縦長であるためドライ感が不足してい
【0052】また、比較例では、繊維表面に形成され
た横溝による麻調のドライ感が得られるものの、最大中
空率が高く、また中空部異形度も大きいため、中空繊維
の一部がフィブリル化しており、製品品位が低いもので
あった。
【0053】比較例では、繊維表面に形成された横溝
による麻調のドライ感が得られるものの、中空部の形状
(中空率、異形度)がほぼ均一であるため表面感に乏し
く、また、平均中空率もやや低いため十分な軽量感が得
られなかった。
【0054】
【表3】 実施例 繊維構成を100デニール24フィラメントとした以外
は実施例2と同様の方法で得た芯鞘型複合中空繊維と、
固有粘度[η]が0.66のポリエチレンテレフタレー
トで製造した100デニール36フィラメントの丸断面
糸を引き揃えて、仮撚数2300回/m、仮撚温度18
0℃で仮撚加工を行ない仮撚加工糸を得た。得られた仮
撚加工糸の特性を表4に示す。
【0055】更にこの仮撚加工糸を経糸、及び緯糸にし
て使用して製織し、水酸化ナトリウム3重量%水溶液を
使用して98℃の条件で減量加工を行ない、繊維表面状
態および織物特性について評価した結果を表4に示す。
【0056】実施例で得られた織物は、繊維表面に形
成される横溝および中空部の異形化により、従来にない
新規な麻調のドライ感を有し、また軽量感に優れ、張り
・腰も良好であり、表面感に富んだ高級感のある優れた
織物であった。
【0057】
【表4】
【0058】
【発明の効果】本発明の仮撚加工糸は、仮撚加工糸を構
成する繊維の少なくとも一部が、中空率、中空部の異形
度がランダムに分布しており、更に減量加工によって繊
維表面に特定の溝形状が形成される中空繊維で構成され
ていることによって、織編物とした際に優れた軽量感と
従来にない麻調のドライ感、張り・腰、表面感に富んだ
高級感のある布帛を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI D01D 5/34 D01D 5/34 D01F 6/62 303 D01F 6/62 303G // D03D 15/00 D03D 15/00 B (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02G 1/02 D01D 5/20 D01D 5/24 D01D 5/30 D01D 5/34 D01F 6/62 303 D03D 15/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成繊維の少なくとも一部が、以下の
    (1)〜(3)を満足する中空繊維で構成されているこ
    とを特徴とする仮撚加工糸。 (1)最大中空率が40%以下であり、中空率がランダ
    ムに分布している。 (2)中空部の平均異形度が1.5以上であり、異形度
    がランダムに分布している。 (3)減量加工を行なうことにより、繊維表面に繊維軸
    と直交する横溝が形成される。
  2. 【請求項2】減量加工によって形成される繊維軸と直交
    する横溝の頻度が1本/(μm)2 以上5本/(μm)
    2 以下であることを特徴とする請求項1記載の仮撚加工
    糸。
  3. 【請求項3】 中空繊維が芯鞘型複合中空繊維であるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の仮撚加工糸。
  4. 【請求項4】 仮撚加工糸が、未解撚部分を有する先撚
    仮撚加工糸であることを特徴とする請求項1〜のいず
    れか1項記載の仮撚加工糸。
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