JPH11323696A - 伸縮特性に優れた織編物 - Google Patents
伸縮特性に優れた織編物Info
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- JPH11323696A JPH11323696A JP10155203A JP15520398A JPH11323696A JP H11323696 A JPH11323696 A JP H11323696A JP 10155203 A JP10155203 A JP 10155203A JP 15520398 A JP15520398 A JP 15520398A JP H11323696 A JPH11323696 A JP H11323696A
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Abstract
によって、新しい質感と高いストレッチ機能を合わせ持
つ織編物を提供する。 【解決手段】 撚係数7000〜35,000の実撚を施した仮撚
構造加工糸を含む織編物であって、該加工糸の非交絡部
の断面空隙率が65〜85%であり、該断面の中心部に
空隙率15〜35%の空洞を有し、該加工糸を構成する
芯糸は、サイドバイサイド型複合フィラメントからな
り、芯糸の撚角度が側糸の撚角度よりも小さい撚構造を
呈しており、該織編物から解舒した加工糸の伸長率が2
5%以上、かつ25%伸長時の回復率が80%以上であ
る織編物。
Description
工糸を用いた織編物に関し、さらに詳しくは、ソフトで
嵩高なウール織物様の風合いに加え、同時に優れた伸縮
性を付与することによって新しい質感とソフトストレッ
チ機能を備えた織編物に関する。
性のポリエステルフィラメントからなる織物は生産技術
・加工技術の進化と共に、その表現力を次第に拡大して
いる。なかでも2種以上の伸度の異なる原糸を同時に仮
撚して得られる複合加工糸は仮撚構造加工糸と呼ばれ、
スパンライク糸として生産が開始されたが、その後も進
化を続け、梳毛調織物の表現が可能なまでに至ってい
る。
が、無撚で織物とした場合ピリングやスナッキングが発
生しやすく、またドレープ性に欠けるため追撚して使用
される。追撚された仮撚構造加工糸はその構造上、芯糸
は比較的直線的で突っ張った状態であり、かつ撚りによ
って捲縮の発現が疎外されるため伸縮性に劣る傾向があ
る。これを改善するために、特開平5−311533号
公報では、構造加工糸の芯糸にサイドバイサイド型複合
繊維を用い、適度な伸縮性を与え、縫製性を良好にする
技術が提案されている。
術によって得られる織物では高々25%の伸長性しか得
られず、さらなる伸長性を望む分野においては不十分な
ものであった。本発明の目的は、上記の課題を解決し、
梳毛調織編物に優れた伸縮性を付与することによって、
新しい質感と高いストレッチ機能を合わせ持つ織編物を
得ることを課題とする。
撚を施した仮撚構造加工糸を含む織編物であって、該加
工糸の非交絡部の断面空隙率が65〜85%であり、該
断面の中心部に空隙率15〜35%の空洞を有し、該加
工糸を構成する芯糸の撚角度が側糸の撚角度よりも小さ
い撚構造を呈しており、該織編物から解舒した加工糸の
伸長率が25%以上、かつ25%伸長時の回復率が80
%以上であることを特徴とする織編物であり、好ましく
は、上記仮撚構造加工糸の芯糸を構成する繊維が低収縮
成分と高収縮成分とを貼り合せたサイドバイサイド型複
合繊維であって、該高収縮成分が共重合ポリエステルで
ある織編物である。
る。本発明の織編物の最大の特徴は、織編物を構成する
伸縮性仮撚構造加工糸にある。まずその形態について述
べる。本発明の織編物を構成する伸縮性仮撚構造加工糸
は、一般の仮撚構造加工糸同様、ピリングやスナッキン
グの発生を防止するためおよびドレープ性を得るために
実撚を有している。撚係数をT√D(T:撚数(回/
m)、D:構造加工糸の繊度(デニール))で定義する
と、7,000〜35,000の撚が施されている。
7,000未満ではスナッギングが発生する懸念があっ
たり、ドレープ性に欠ける場合がある。また35,00
0を越えると風合が粗硬になったり、最大の特徴とも言
える高い空隙率や空洞が確保できなくなり満足な伸縮性
が得られなくなる。風合上好ましい撚係数の範囲は、織
物では15,000〜35,000、編物では7,00
0〜20,000である。
加工糸は、7,000〜35,000の撚係数での実撚
が施されているにも拘わらず、図1(写真1)に見られ
る様に、非交絡部の糸断面において65〜85%、好ま
しくは70〜80%、という高い空隙率を有している。
同程度の糸長差を有する通常の仮撚構造加工糸の空隙率
は高々30%程度であって(図2(写真2)参照)、こ
れらを対比すると、本発明の織編物を構成する伸縮性仮
撚構造加工糸の空隙率は非常に高いと言える。
撚構造加工糸は、糸中心部に空洞が存在しており、この
空洞部の空隙率が15〜35%、好ましくは20〜30
%もある(写真1参照)。かかる高い空隙率および中心
部の空洞は、構造加工糸ひいては織編物の伸縮性を得る
ために非常に重要である。空隙が少なく単糸間の抵抗が
大きいと高い伸長性が得られず、また回復性も悪くな
る。特に本発明では、中心部が空洞となっているため、
比較的低張力でも伸びやすくかつ戻りやすい構造と言え
る。
収縮率を異にするポリマーを貼り合せてなるサイドバイ
サイド型複合繊維からなるマルチフィラメントである
が、少なくとも高収縮ポリマー成分は共重合ポリエステ
ルであることが好ましい。さらには共重合率が5モル%
以上の共重合ポリエステルであることが好ましい。高収
縮成分に5モル%以上の共重合ポリエステルを使用しな
い場合、サイドバイサイド型複合繊維が仮撚時に熱セッ
トされ、本発明に必要な伸縮性が得られない場合があ
る。またサイドバイサイド型複合繊維の熱応力は0.2
g/d以上であることが望ましい。熱応力が低い場合に
は特に中心部の空洞が小さくなる場合がある。
カンジメタノール、トリシクロデカンジカルボン酸、ノ
ルボルナン2,3−ジメタノール、ノルボルナン2,3-ジ
カルボン酸、パーヒドロジメタノナフタレンジメタノー
ル、パーヒドロジメタノナフタレンジカルボン酸、イソ
フタール酸、アジピン酸、セバシン酸、シクロへキサン
ンジオール、ビスフェノールE等を用いることができ
る。
はポリエステルマルチフィラメントであって、ポリエチ
レンテレフタレートからなる通常のポリエステル糸、5
-金属スルホネート基を有するイソフタル酸等で変性さ
れたカチオン染料に可染のポリエステル糸、あるいはそ
れらのシックアンドシン糸を単独または混用して使用す
ることができる。
ドバイサイド型複合繊維からなるマルチフィラメント糸
と側糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸の
糸長差は20〜35%であることが好ましい。糸長差が
20%未満では側糸の拘束力のため、芯糸の捲縮発現が
疎外され本発明に必要な空隙率が確保できない場合があ
る。また図3(写真3)の様に側糸の撚角度が大きく、
芯糸の撚角度が小さくなりにくい。一方、糸長差が35
%を越えると撚糸、製織等の工程通過性が悪くなり断糸
や毛羽が発生するため好ましくない。図3(写真3)の
側糸の構造はあたかもコイル状であり、撚角度が大きけ
れば大きいほどコイル密度が増すため伸縮性に有効であ
ると考えられる。すなわち、従来の仮撚構造加工糸にと
っての撚りは捲縮発現を拘束し、伸縮性を疎外するもの
であるが、本発明では伸縮性を増加させる要素とするも
のである。
腰に有効であり撚角度は少ない方が好ましい。かかる観
点から、側糸の撚角度としては45°以上が好ましく、
60°以上がさらに好ましい。芯糸の撚角度としては3
0°以下が好ましい。またこれらの角度差は15°以上
が好ましい。
交絡数は50〜150個/mであることが好ましい。5
0個/m未満では糸長差が20〜35%と大きいため、
芯糸と側糸が分離し、撚糸、製織等の工程通過性が悪く
なり断糸や毛羽が発生する場合がある。150個/mを
越えると空隙率が低下し、構造加工糸の伸縮性が満足さ
れない場合がある。
加工糸の形態的特徴を述べてきたが、伸縮性能として
は、織編物から解舒した加工糸での伸長率が25%以上
であることが好ましく、30%以上であればさらに好ま
しい。また25%伸長時の回復率が80%以上であるこ
とが好ましく、90%以上であればさらに好ましい。こ
の優れた伸縮特性は上述した、構造加工糸における65
〜85%という非交絡部の高い断面空隙率、空隙率15
〜35%の糸断面の中心部に存在する空洞、側糸の撚角
度が芯糸の撚角度よりも大きい撚構造、とりわけ撚角度
の大きい側糸による相乗的な効果であり、さらには芯糸
として共重合ポリエステルを高収縮成分とするサイドバ
イサイド型複合繊維を用いることにより一層明瞭化する
ものである。
工糸の伸長率は25%以上でなければならない。伸長率
が25%未満では、目的とする伸長率が20%以上好ま
しくは25%以上となる織編物が得られない。また該構
造加工糸は25%伸長時の回復率が80%以上でなけれ
ばならない。80%未満では、伸縮性が優れている織編
物と言えず、縫製時や着用時にパッカリング欠点が発生
する恐れがある。
構造上、伸縮性を得るのが困難であり、前述の空隙率が
高々30%程度の従来公知の構造加工糸からなる織物か
ら解除した糸(撚り係数:26,000)の伸長率は1
2%である(織物の伸長率は10%)が、例えば、空隙
率が73%、中心部の空洞の空隙率が22%、側糸の撚
角度が70°、芯糸の撚角度が25°、芯糸の高収縮成
分が6モル%共重合のポリエステルであるサイドバイサ
イド型複合繊維である本発明の織物から解舒した糸(撚
り係数:26,000)の伸長率は38%であり(織物
の伸長率は32%)、この糸の25%伸長時の回復率は
92%であり、35%伸長時の回復率は90%である。
このことから、本発明の織物が従来公知の構造加工糸織
物に比して極めて伸縮特性に優れていることが分かる。
において密度に注意することが必要で、染色加工におい
て20%以上収縮することを前提に設計することが好ま
しい。また染色加工においては20%以上収縮させるこ
とが好ましく、収縮を阻害する張力をかけないことが好
ましい。
糸の製造法について述べる。図4には、加工糸を製造す
るための仮撚加工機のモデル図を示すが、本発明を達成
するものであればこの図の方法に限定されるものではな
い。
時に仮撚する方法を採用する。これは20〜35%とい
う高い糸長差を安定的に確保し、しかも安価に製造する
ためである。この目的を達するならば他の方法を採用し
ても良い。複合化に際しては、コストやコントロール性
から、インターレースによるエアー交絡が好ましい。交
絡複合後に仮撚加工を行うが、仮撚機はピン仮撚機であ
ってもフリクション仮撚機であってもベルトフリクショ
ン仮撚機であってもかまわない。
の伸度と側糸用マルチフィラメントとの伸度差は100
%以上あることが好ましい。この伸度差を確保するため
に高伸度原糸の伸度を例えば250%以上とすると、仮
撚時に膠着や未解撚が発生するので好ましくない。本発
明では芯糸用マルチフィラメントの伸度は20〜50%
が好ましく、側糸用マルチフィラメントの伸度は120
〜200%が好ましい。仮撚後の構造加工糸は、芯糸に
明確な捲縮発現は見られず、芯糸が比較的直線的で突っ
張った従来の構造加工糸と同様な形態である。
手法としては、例えば通常の構造加工糸に水溶性繊維や
易溶解性繊維を混入し、該構造加工糸を製編織後に水溶
性繊維や易溶解性繊維を溶解除去する方法があるが、か
かる方法では本発明で使用する構造加工糸と同一の形態
を得ることはできず、またかかる手法は、製造コストが
高くなる欠点を有する。
使用する原糸であり、熱収縮を異にするポリマーによる
サイドバイサイド型複合繊維からなるマルチフィラメン
トを使用するのが好ましい。特にサイドバイサイド型複
合繊維からなるマルチフィラメントを構成するポリマー
の内、少なくとも高収縮成分は、先に記載したように共
重合ポリエステル、特に5モル%以上共重合されたポリ
エステルであることが好ましい。この理由は、例えば、
低収縮成分が共重合しない低粘度ポリエステル、高収縮
成分が共重合しない高粘度ポリエステルであるサイドバ
イサイド型複合繊維からなるマルチフィラメントを使用
する場合は、本発明を構成する伸縮性構造加工糸を製造
する際の仮撚工程の仮撚ヒータにおいて、緊張張力下で
熱固定(セット)されるため、仮撚以降の例えば染色工
程では、もはやサイドバイサイド型複合繊維特有の捲縮
発現をしなくなる場合があるからである。すなわち、潜
在捲縮糸であるはずのサイドバイサイド型複合繊維が、
仮撚によって、その機能をなくす場合があるためであ
る。このような現象は、高収縮成分の共重合率が5モル
%未満の場合においても同様に起こる場合がある。
らなるマルチフィラメントおよび側糸となるポリエステ
ルマルチフィラメントのヤーンデニールやフィラメント
デニールは、仮撚後の加工糸を想定しかつ目的によって
決定すれば良いが、仮撚後のヤーンデニールとしては、
衣料用としては70〜400デニールが好ましい。芯糸
と側糸の比率は,芯糸:側糸=30〜70:70〜30
が好ましい。芯糸の比率が30%未満では本発明に規定
の構造や伸縮性が得られない場合がある。また側糸が3
0%未満では、本発明の目的とするソフトで嵩高な梳毛
調織編物が得られない場合がある。また芯糸となるサイ
ドバイサイド型複合繊維からなるマルチフィラメント糸
のフィラメントデニールは2〜6デニールが好ましい。
2デニール未満では仕上がり生地が張り腰のない風合と
なる場合があり好ましくない。また6デニールを越える
と交絡が不良となる場合があり好ましくない。側糸とな
るポリエステルマルチフィラメントのフィラメントデニ
ールは風合を重視して決定すれば良いが、0.1〜5デ
ニールが好ましい、さらに好ましくは1〜4デニールで
ある。1デニール未満では発色性が不良であったり、嵩
高性が得られない場合が有る。また梳毛調織編であるよ
りは、スエード調織編物となる。5デニールを越えると
風合が粗硬になる場合が有る。
公報の図1に記載の複合加工糸の形態、すなわち芯糸と
側糸が明解ではなく混在している形態よりは芯糸と側糸
が明確に区別されかつ芯糸が中心部に略直線状にあって
そのまわりを側糸が包んでいる形態が、梳毛調風合を得
るには好ましい。構造加工糸の熱水収縮率(Wsr)の好
ましい範囲は4〜12%であり、さらに好ましくは5〜8
%である。また構造加工糸の捲縮発現率(K1値)の好
ましい範囲は4〜15%である。ポリエステルで伸縮性に
優れた織編物を得るには、熱水収縮率はできるだけ低く
し、捲縮発現率はできるだけ高くするのが一般的である
が、本発明で使用する構造加工糸は、熱水収縮率が4%
未満では収縮が不足し、織編物の欠点が発生しやすくな
るので好ましくない。また、12%を超えると優れた伸縮
性が得られなくなる場合がある。捲縮発現率が4%未満
では伸長性が満足されない場合があるし、15%を超え
ると芯糸と側糸が明解ではなく、2種の仮撚加工糸が混
在している形態となったり、本発明に使用の伸縮性構造
加工糸の形態が得られない。
撚を付与するが、この時の撚糸数は撚係数=T√Dによ
り決定される。撚係数は目的に応じて採用すればよい
が、本発明に使用の撚糸後の構造加工糸は、染色加工に
おいて、解撚、捲縮発現(仮撚捲縮および潜在捲縮)等
により20%以上収縮させるのが好ましいため、5,8
00〜29,000の範囲で選択するのが好ましい。本
発明に使用する撚糸後の構造加工糸は、通常の構造加工
糸の撚糸後とほとんど同様であり、未だ特有の構造を呈
さない。撚糸に際しては、合撚機、イタリー撚糸機、ダ
ブルツイスター等通常の撚糸機を使用することができ
る。
編織する編機や織機は限定されるものではなく、シング
ル丸編機、ダブル丸編機、パイル編機、トリコット編
機、ラッセル編機等通常使用される編機、ウオータジェ
ットルーム織機、エアージェットルーム織機、レピア織
機等通常使用される織機を使用することができる。ただ
し前述の如く、染色において収縮を20%以上させるこ
とを見越して、生地の設計を行うのが好ましい。
に際しては、ポリエステル染色に使用する通常の精練
機、解撚機、減量機、セッター、染色機等を使用するこ
とができる。ただしこの工程で加工糸を20%以上収縮
させることが好ましい。20%以上収縮させることによ
って、本発明の織編物を構成する伸縮性構造加工糸とな
る。20%未満の収縮では、本発明の織編物を得られな
い場合がある。20%以上収縮させるためには、張力と
染色温度に留意する必要がある。染色温度は染色しよう
とする主体ポリエステルに応じて決めれば良く、高圧下
での高温で100〜135℃が好ましい。100℃未満
の場合は収縮不足で本発明の織編物を得られない場合が
有る。染色張力については低い方が好ましく、生地全体
で10kg以下の張力が好ましい。この点エアーフロー
タイプの染色機は浴比が低く、染色張力が低いので好ま
しい。染色後で初めて、本発明の織編物が得られる。
った本発明に使用の構造加工糸が、いかにして本発明に
記載の伸縮性構造加工糸となるかは、明確では無いが、
次のごとく考えられる。糸長差を20〜35%と大きく
とっているので、交絡部以外では芯糸と側糸の干渉は少
なく、撚の拘束が解けると、収縮、捲縮発現等の内部応
力によって、芯糸と側糸が比較的独自に動きやすい状態
にある。解撚が始まると側糸はより外側に膨らみ側糸フ
ィラメント間の空隙が拡大する、また仮撚による側糸の
捲縮発現が始まり側糸フィラメント間の空隙がさらに拡
大する。側糸のこの動きによって芯糸と側糸間の空隙層
も拡大する。この時、撚による側糸の芯糸に対する拘束
力が解けて、収縮力および潜在収縮力等を有する芯糸が
収縮を開始する。側糸と芯糸は交絡部によって接結して
いるため、芯糸が収縮すると側糸も収縮し、撚角度が増
大する。サイドバイサイド型複合繊維からなるマルチフ
ィラメントは、収束してコイルクリンプを発現するが、
仮撚が施されているために仮撚捲縮も発現しマルチフィ
ラメントが個々にコイルクリンプを発現する。以上の説
明で高い空隙率を有することと側糸の撚角度が高いこと
が言える。中心部の空洞の形成については、推測の域を
でないが、芯糸の解撚力(撚りを戻す力・外に広がろう
とする力)が非常に強く、また仮撚をされているために
バラけて動くため、前述の側糸の解撚によって芯糸と側
糸の間に発生する空間を埋め尽くすことが考えられる。
芯糸の撚角度が小さいのも、この芯糸の強い解撚によっ
てある程度説明される。以上のことはほとんど同時に起
こっていると思われる。
る。なお本発明で使用した測定方法は次の通りである。 織物の伸長率:JIS L−1096のA法に従い、荷
重1.8kgで測定した伸長率。 織物から解除した糸の伸長率:織物よりほとんど張力を
かけない様に糸を解舒し、無荷重で試料の300mmに
印を入れる。0.015g/dの荷重をかけ、そのまま
標準状態の条件下で5分間放置する。ついで荷重をかけ
たまま糸長を測定し(印の中央間)、この長さをL1
(mm)とする。 糸の伸長率(%)=[(L1−300)/300]×1
00 n=5の平均の値を採用する。 織物から解除した糸の回復率:上記L1を測定した後、
荷重を除去し標準状態の 条件下で5分間放置する。つ
いで無荷重のままこの糸長を測定し(印の中央間)この
長さをL2(mm)とする。 糸の回復率(%)=[(L1−L2)/(L1−30
0)]×100 n=5の平均の値を採用する。 糸断面の空隙率:糸断面の電子顕微鏡写真を撮影し(5
00倍)、ついでカラーコピーする。コピー紙上で最も
離れた関係にある単繊維断面間の各々中央を結びこの線
をA1とし、この長さをL1(mm)とする。ついでA
1の中点OでA1に直行する直線を描く。この直線に最
も近くにあり、かつ線A1から最も離れた単繊維断面の
各々中央を結びこの線をA2とし、この長さをL2(m
m)とする。コピー紙上に、A1とA2の交わる点を中
心Cとし、(L1+L2)/2を直径とする円を描く。
この円の重量を測定し、この重さをS1mg)とする
(糸断面の総面積とみなす)。ついでこの円内に存在す
る全ての単繊維断面の重量を測定し、この総和をS2
(mg)とする(図5参照)。 空隙率(%)=(S2−S1)/S1×100 n=5の平均の値を採用する。 糸断面の中心部の空洞の空隙率:糸断面の最内に位置す
る隣り合う二つの単繊維断面の中央を順次直線で結んで
できる多角形の重量を測定し、この重さをS3(mg)
とする(図5参照)。 空洞の空隙率(%)=(S3/S1)×100 n=5の平均の値を採用する。 糸長差:織編物からの糸は解撚し、仮撚後の糸はそのま
ま、無撚状態でサンプルを採取する。芯糸と側糸を分離
し、各々0.02g/dの荷重下で糸長を測定する。側
糸の長さをL1(mm),芯糸の長さをL2(mm)と
するとき、 糸長差(%)=[(L1−L2)/L2]×100 n=5の平均の値を採用する。但し、芯糸と側糸が分離
しにくい場合があるので、試料長は問わない。 交絡数(個/m):織編物から糸を解舒し、ついで検撚
機で無撚となるまで解撚する(糸長50cm)。解撚した糸
に、改めて50cmの印をする。ついで、試料を軽く手で数
回こすって節の数を目視する。 交絡数(個/m)=目視で確認した数×2 n=5の平均の値を採用する。 捲縮発現率(K1):カセ巻取り機にて5000デニールのカ
セとなるまで試料を巻き取った後、カセの下端中央に10
gの荷重を吊るして上部中央でこのカセを固定し、0.00
1g/デニールの荷重が掛かった状態で90℃にて30分間
熱処理を行う。次いで無荷重状態で室温に放置乾燥した
後、再び10gの荷重を掛け5分間放置した後の糸長を測
定しこれをL1(mm)とする。次に1Kgの荷重を掛け30
秒間放置後の糸長を測定しL2(mm)とする。K1値は次
式により求められる。 K1=〔(L2-L1)/L2〕×100 極限粘度:温度25℃においてオルソクロロフェノール
10mlに対し、ポリエステル試料を0.8g溶解し、
オストワルド粘度計を用いて次式で相対粘度ηγにより
算出した。 ηγ=(η/η0 )−(t・d/t0 ・d0 ) 極限粘度=0.0243ηγ+0.2634 η:ポリエステルの溶液粘度 η0 :溶媒の粘度 t:溶液の落下時間(秒) d:溶液の密度(g/cm3 ) t0 :オルソクロロフェノールの落下時間(秒) d0 :オルソクロロフェノールの密度(g/cm3 )
0%からなる低粘度成分と、極限粘度が0.74のトリ
シクロデカンジメタノールを6モル%共重合した変性ポ
リエチレンテレフタレート100%からなる高粘度成分
とを重量複合比50:50でサイドバイサイド型に貼り
合わせた半延伸複合フィラメント糸を紡糸速度2850
m/分で紡糸した後、延伸して50d−24fの複合フ
ィラメント糸を製造した。原糸物性は強度2.80g/
d、伸度32.9%、熱水収縮率13.8%であった。
%を紡糸速度2,720m/分で紡糸し、130d−3
6fの単成分からなる伸度170%のマルチフィラメン
ト半延伸糸を製造した。
ント半延伸糸とを使用し、伸度差複合仮撚方法により複
合捲縮糸を製造した。この伸度差複合仮撚方法において
は上記複合フィラメント糸とマルチフィラメント半延伸
糸とを引きそろえた後に交絡ノズルを用いて、次の条件
で交絡処理を施し、引き続き図4の方式でフリクション
仮撚を行った。仮撚条件は次の通りである。 交絡条件: オーバーフィード:4% インターレース:空気圧4kg/cm2 糸速度:280m/分 仮撚温度:175℃ 延伸倍率:1.01倍 仮撚数:2100回/m
で、複合フィラメント糸が芯糸を形成し、ポリエステル
マルチフィラメントが側糸を形成する構造加工糸であっ
た。この構造加工糸の糸物性は、184デニール、強度
1.54g/d,伸度30%、熱水収縮率が6%、であ
った。糸長差は28%であり、K1は12%であった。
で1、600回/mの撚をかけた(撚係数:21,70
3)。その後通常の撚糸セットを90℃で40分間実施
した。この時点では通常の構造加工糸と同様の形態をし
ており、断面観察においても中心部の空洞等の特徴は出
ていなかった。
織機で製織した。製織条件は次の通りである。 組織:経二重 生機密度:経90本/インチ、緯65本/インチ 得られた生機を次の条件で染色加工した。 精練・糊抜き:95℃ 解撚:130℃×20分 減量率:15% 染色:135℃×60分 Sumikaron Red S-BL(住友化学社製) 3%owf ファイナルセット:170℃
チ、緯65本/インチであり、染色加工における収縮率
は経46%、緯32%であった。この生地から緯糸を解
舒し、電子顕微鏡写真で観察した。非交絡部の断面は図
1(写真1)に示すような極めて特徴的様態が観察され
た。1つにはその高い空隙率であり、また1つは、その
中心部の空洞であった。糸断面全体での空隙率は73%
で、中心部の空洞の空隙率は22%であった。また非交
絡部の側面も図3(写真3)に示す様な特徴的様態が観
察された。側糸は芯糸より大きく離れており、その撚角
度は芯糸の撚角度よりも明確に大きく、芯糸の撚角度は
70°、芯糸の撚角度は25°であった。この糸の伸長
率は38%であった、またこの糸の25%伸長時の回復
率は92%であり、35%伸長時の回復率は90%であ
った。また、この緯糸の撚係数は28,200であっ
た。ついで経糸についても同様な観察を行ったが緯糸と
同様の結果であった。なお交絡部では明確は空洞や顕著
な撚角度差は見られなかった。得られた織物の伸長率は
横方向で32%、縦方向で33%であった。
わせ持つ、新しい質感と高いストレッチ機能の織編物を
提供することができる。
の非交絡部の1例を示す断面写真。
面写真。
の非交絡部の1例を示す側面写真。
の製造に使用する仮撚機のモデル図
空隙率の求め方を説明するための加工糸断面図。
メント 1:インターレースノズル 2:仮撚ヒーター 3:フリクションディスク
Claims (2)
- 【請求項1】 実撚を施した仮撚構造加工糸を含む織編
物であって、該加工糸の非交絡部の断面空隙率が65〜
85%であり、該断面の中心部に空隙率15〜35%の
空洞を有し、該加工糸を構成する芯糸の撚角度が側糸の
撚角度よりも小さい撚構造を呈しており、該織編物から
解舒した加工糸の伸長率が25%以上、かつ25%伸長
時の回復率が80%以上であることを特徴とする織編
物。 - 【請求項2】 芯糸を構成する繊維が、低収縮成分と高
収縮成分とを貼り合わせたサイドバイサイド型複合繊維
であって、該高収縮成分が共重合ポリエステルである請
求項1に記載の織編物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15520398A JP3898344B2 (ja) | 1998-05-19 | 1998-05-19 | 伸縮特性に優れた織編物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15520398A JP3898344B2 (ja) | 1998-05-19 | 1998-05-19 | 伸縮特性に優れた織編物 |
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JPH11323696A true JPH11323696A (ja) | 1999-11-26 |
JP3898344B2 JP3898344B2 (ja) | 2007-03-28 |
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ID=15600764
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP15520398A Expired - Fee Related JP3898344B2 (ja) | 1998-05-19 | 1998-05-19 | 伸縮特性に優れた織編物 |
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JP (1) | JP3898344B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000192349A (ja) * | 1998-10-19 | 2000-07-11 | Toray Ind Inc | ポリエステル交織織物 |
WO2001057297A1 (fr) * | 2000-02-04 | 2001-08-09 | Asahi Kasei Kabushiki Kaisha | Tissu elastique |
WO2003093547A1 (fr) * | 2002-05-02 | 2003-11-13 | Teijin Fibers Limited | Tissu de fil epais-fin a filament conjugue en polyester et son procede de fabrication |
JP2021095644A (ja) * | 2019-12-13 | 2021-06-24 | 東レ株式会社 | 織物 |
-
1998
- 1998-05-19 JP JP15520398A patent/JP3898344B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2000192349A (ja) * | 1998-10-19 | 2000-07-11 | Toray Ind Inc | ポリエステル交織織物 |
WO2001057297A1 (fr) * | 2000-02-04 | 2001-08-09 | Asahi Kasei Kabushiki Kaisha | Tissu elastique |
US6705353B2 (en) | 2000-02-04 | 2004-03-16 | Asahi Kasei Kabushiki Kaisha | Woven strecth fabric |
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JP2021095644A (ja) * | 2019-12-13 | 2021-06-24 | 東レ株式会社 | 織物 |
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