JPH09268468A - ポリエステル系マルチフィラメント斑糸およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル系マルチフィラメント斑糸およびその製造方法

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JPH09268468A
JPH09268468A JP7437796A JP7437796A JPH09268468A JP H09268468 A JPH09268468 A JP H09268468A JP 7437796 A JP7437796 A JP 7437796A JP 7437796 A JP7437796 A JP 7437796A JP H09268468 A JPH09268468 A JP H09268468A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィラメントとしてアルカリ減量速度の異な
る2種類のポリエステルからなる複合繊維であって、し
かもその複合形態がランダムである複合繊維を特定の条
件で延伸、アルカリ減量処理を施すことにより、自然で
かつ良好な外観、触感、色調、風合等を有する斑糸を提
供する。 【解決手段】 ポリエステル系マルチフィラメント斑糸
であって、下記の特性(a)〜(d); (a)糸を構成する各フィラメントは断面形状および断
面積が異なり、かつ繊維の長手方向に太部および細部を
ランダムに有し、該太部と細部の断面積比は2〜6であ
る、(b)糸は少なくとも1種類のポリエステルフィラ
メントから構成される、(c)糸のU%が3〜20%で
あり、糸の任意の横断面における前記細部の占める割合
が50〜100%である、(d)水酸化ナトリウム40
g/リットル濃度、95℃、減量率20%の条件下での
アルカリ減量加工前後の強度保持率が50%以上であ
る、を備えていることを特徴とするポリエステル系マル
チフィラメント斑糸。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は適度な膨らみを有す
るとともに糸条の繊維軸方向の濃淡の染着能差に起因す
る無地杢調と、天然繊維に似た自然な斑に起因するシャ
リ感、ドライ感を有する織編物に有用な斑糸およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、新合繊素材はソフト感、ふくらみ
感、ドレ−プ性に優れていることから衣料用途として広
く市場に展開されている。しかしながら、該新合繊素材
は表面が均一となり過ぎてしまい、人工的な表面感とな
る欠点を有し、表面の染色斑や凹凸感を有する素材が求
められてきている。
【0003】織編物表面に自然な斑外観と適度な凹凸
感、ふくらみ感を表現する素材としては糸条の長手方向
に太細斑を有するシックアンドシン糸が知られており、
各種の製造方法が提案されている(特公昭51−720
7号公報、特開昭61−138732号公報、特開昭5
9−94617号公報、特開平4−91219号公報な
ど)。かかるシックアンドシン糸は霜降り調などの変化
のある外観、スパンタッチな風合、嵩高性などを有して
いるが、未延伸部の太部が濃色に染まり、延伸部の細部
が淡色に染まるため、色杢調のいわゆる霜降り調の色
調、外観、風合を呈してはいるが、不自然な斑感であ
り、羊毛や綿などの天然繊維からなる紡績糸に見られる
ように自然でありながら、変化や嵩高性に富み、長期間
の使用に対してあきのこない、自然でふくらみ感のある
無地杢調の外観、色調、風合にはほど遠いものであっ
た。
【0004】また、これらの糸条は自然延伸倍率より小
さい延伸倍率、低い延伸温度条件でシックアンドシンを
発現させていた。そのためアルカリ減量後の強度低下お
よび繊維にクラックが生じ、工程性に問題が生じること
が多々あった。一方、延伸倍率を自然延伸倍率よりも高
くすると延伸張力が過度に高くなり、延伸点の移動繰り
返し周期が減少し、単調な斑の繰り返しのみの表情の少
ない織編物しか得られないという問題を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、フィ
ラメントとしてアルカリ減量速度の異なる2種類のポリ
エステルからなる複合繊維であって、しかもその複合形
態がランダムである複合繊維を特定の条件で延伸、アル
カリ減量処理を施すことにより、自然でかつ良好な外
観、触感、色調、風合等を有する斑糸を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ポ
リエステル系マルチフィラメント斑糸であって、下記の
特性(a)〜(d); (a)糸を構成する各フィラメントは断面形状および断
面積が異なり、かつ繊維の長手方向に太部および細部を
ランダムに有し、該太部と細部の断面積比は2〜6であ
る、(b)糸は少なくとも1種類のポリエステルフィラ
メントから構成される、(c)糸のU%が3〜20%で
あり、糸の任意の横断面における前記細部の占める割合
が50〜100%である、(d)水酸化ナトリウム40
g/リットル濃度、95℃、減量率20%の条件下での
アルカリ減量加工前後の強度保持率が50%以上であ
る、を備えていることを特徴とするポリエステル系マル
チフィラメント斑糸である。
【0007】
【発明の実施形態】本発明の斑糸を構成するフィラメン
ト(単繊維)について説明する。該フィラメントは長手
方向に太部および細部をランダムに有し、その断面積比
(太部/細部)は2〜6の範囲にあることが必要であ
る。繊維の長手方向に太部および細部を有していても、
その断面積比が小さすぎると明確な斑が発生せず、一
方、大きすぎると太部が濃色に、細部が淡色に染色され
て色杢調のいわゆる霜降り調の色調、外観を呈し、本発
明の目的とする無地杢調とはならないのである。好まし
い断面積比(太部/細部)は2〜4の範囲である。
【0008】また、イラツキを抑制するためには、該太
部の長さは1〜100mmの範囲でランダムであること
が好ましい。太部の長さが短すぎると織物とした場合の
イラツキ感が生じ好ましくない。太部、細部の長さ比等
は目的とする織編物品位により任意に設定し得る。
【0009】また、斑糸を構成するフィラメントはその
断面形状および断面積が各々異なることが必要である。
このように各フィラメントが異なる形状を為しているこ
とにより、より天然繊維に近い表情を有する織編物が得
られる。このようなフィラメントは後述の方法により製
造され得るが、まず該フィラメントを製造する原糸につ
いて説明する。
【0010】該原糸は2種類以上のポリエステルからな
る複合繊維であり、かかる2種類以上のポリエステルと
はアルカリ減量速度がそれぞれ異なるポリエステルであ
って、それぞれのポリエステルのアルカリ減量速度の差
が5倍以上、とくに10倍以上であるポリエステルの組
み合わせを示す。アルカリ減量速度の速いポリエステ
ル、すなわちアルカリ溶液に対して易溶解性のポリエス
テルとしては従来公知のポリエステル、たとえばポリア
ルキレングリコ−ルを共重合あるいはブレンドしたポリ
エステル、金属スルフォネ−ト基を含有するポリエステ
ル、ポリエステルと金属スルフォネ−ト基を含有するポ
リエステルとのブレンド体、金属スルフォネ−ト基含有
イソフタル酸とポリアルキレングリコ−ルを共重合した
ポリエステル、金属スルフォネ−ト基含有イソフタル酸
とポリアルキレングリコ−ルと分岐鎖を有するポリアル
キレングリコ−ルを共重合したポリエステル(特開平6
−280156号公報参照)等を挙げることができ、ポ
リエステルとしてはエチレンテレフタレ−トを主たる繰
り返し単位とするポリエステルが好ましい。一方、アル
カリ減量速度の遅いポリエステルとしてポリエチレンテ
レフタレ−ト、ポリシクロヘキサンテレフタレ−ト等を
挙げることができる。
【0011】一つのポリエステルの種類により上述のア
ルカリ減量速度の大きいポリエステルの種類を選定し、
2種類以上のポリエステルのそれぞれのアルカリ減量速
度差が5倍以上となるようにすることが好ましい。該ア
ルカリ減量速度差が5倍未満の場合には、後述するアル
カリ減量処理において斑糸の原糸となる複合繊維の表面
形態の不均一性を得るために時間がかかるため、斑糸の
強度低下が大きくなり実用に供することが困難となる。
逆に斑糸の強度低下を抑制するためにアルカリ減量処理
による減量時間を短くすると、斑糸の不均一形態を得る
ことが不完全となり、無地杢調の織物は得られず本発明
の目的から外れるものとなる。また2種類以上のポリエ
ステルの複合比は任意であるが、たとえば2種類のポリ
エステルを使用する場合には、その複合比は15:85
〜85:15(重量比)であることが好ましい。
【0012】本発明においては、1種類以上のポリエス
テルフィラメントから斑糸が構成されており、上述の複
合繊維はアルカリ減量処理によりアルカリ減量速度の最
も速いポリエステルが溶解して上述の不均一形態および
フィブリル性が施されるが、アルカリ減量速度の速いポ
リエステルは完全に溶解除去されてもよく、また部分的
に残存していてもよい。たとえば、2種類のポリエステ
ルからなる複合繊維を原糸としてアルカリ減量処理を施
した場合、アルカリ減量速度の速いポリエステルが完全
に溶解除去されて1種類のポリエステルフィラメントと
なる場合もあれば、アルカリ減量速度の速いポリエステ
ルが部分的に溶解除去されて、2種類のポリエステルフ
ィラメントとなる場合もあることを示す。
【0013】また、本発明において無地杢調の織編物を
得るためには、斑糸を構成するフィラメントの太部およ
び細部の断面積比とともに、斑糸のU%も大きな要因と
なる。すなわち、斑糸のU%は3〜20%、好ましくは
5〜15%である。かかるU%が3%未満の場合、目的
の杢調が得られにくく、一方20%を超えると織編物の
引き裂き強度低下が大きく、また品格のない杢調とな
る。さらに、より天然繊維に酷似しようとすると、斑糸
の任意の断面における上述のフィラメントの細部が占め
る割合は50〜100%、とくに70〜100%である
ことが好ましい。
【0014】次に本発明の斑糸の製造方法について説明
する。上述のように、該斑糸を構成する各フィラメント
の断面形状および断面積を異ならしめるためには、アル
カリ減量速度の異なる2種類以上のポリエステルからな
る複合繊維を原糸とする必要があり、その複合形態は図
1に見られるように、(イ)多層積層型、(ロ)極端に
偏在化した張合せ型、(ハ)海島型、あるいはこれらの
混在型等、単繊維間で全く異なった複合形態を呈してい
ることが必要である。このような複合形態であるがため
に、たとえば上述の(イ)の場合にはポリエステル同志
の界面で一部剥離が生じ、織編物表面よりフィブリル化
繊維が枝状に発生して、柔らかい触感、風合を織編物に
付与することができる。また、(ロ)の場合にはポリエ
ステルの種類による歪み差に起因して潜在捲縮性を有
し、織編物に固有のコイルクリンプが発現し織編物に嵩
高性を付与することができ、(ハ)の場合には複数個の
島を有しているために一般の一芯芯鞘型繊維では得るこ
とのできない自然な柔らかさを付与することができる。
このように、単繊維間で断面形状および断面積が異なる
ために、織編物として天然繊維からなる織編物に酷似し
た風合、感触、外観のものが得られる。
【0015】かかる複合形態の複合繊維を得る方法とし
ては、たとえば2種類以上のポリエステルが一定条件で
不均一混合され、かつ各ノズル孔へ異なった状態で不均
一混合ポリマ−流が分配される、いわゆる静止型混合機
を用いてなる不均一混合紡糸方法を使用することができ
る。また該複合繊維の断面形状は丸断面に限定されるも
のではなく、多角型、多葉型、Y字型、U型、偏平型等
の異形断面でもよい。紡糸速度があまり遅すぎると後述
するアルカリ減量処理前後の強度低下が大きく、またあ
まり速すぎると結晶配向化が生じ、後述する延伸により
斑が発現しなくなる。好ましい紡糸速度は800〜35
00m/分である。
【0016】このようにして得られた特殊な複合形態の
未延伸ポリエステル系マルチフィラメント糸条に斑を発
現させるために加熱連続延伸する際、下記の条件で予
熱し、加熱を行いながら下記の条件で延伸することに
大きな特徴を有する。 (Tg)0 −20〈 予熱温度(℃) 〈(Tg)0 +15 ・・・・ NDR×0.9〈 延伸倍率(倍) 〈 NDR×1.2 ・・・・ 〔ただし、(Tg)0 はガラス転移温度の高いポリエス
テルのガラス転移温度を示し、NDRは未延伸糸条の自
然延伸倍率を示す。〕
【0017】本発明の斑糸は上述の未延伸ポリエステル
系マルチフィラメント糸条を延伸するにあたって、分散
延伸、つまり延伸点を糸条全体に集束させない延伸態様
を採用することが好ましい。具体的には (i)糸条に集中応力を加えない (ii)糸条を集中的に加熱しない (iii)繊維間の摩擦を低下させる (iv)単繊維間の物性を異ならしめる 等の方法があり、一般的には未延伸糸を自然延伸倍率よ
りかなり低い倍率で延伸を行うことが為されている。
【0018】しかしながら、本発明においては未延伸糸
条の自然延伸倍率(NDR)の0.9〜1.2倍の範囲
で延伸を行うことが必要である。延伸倍率が(NDR×
0.9)倍以下の場合には、未延伸部分、半延伸部分が
多いので延伸糸の強度が小さく、該延伸糸を織編物にし
た後のアルカリ減量処理により強度が大きく低下する。
一方、(NDR×1.2)倍以上の場合には延伸糸のU
%が小さく、目的とする杢調の織編物が得られない。斑
糸の強度および強度保持率の点において、好ましい延伸
倍率は(NDR×0.95)倍以上、(NDR×1.1
5)倍以下である。
【0019】延伸中の加熱はできるだけフラットな状態
で延伸中の糸条を長い範囲に渡り全体的に加熱すること
が好ましく、また、目的の収縮率に応じて任意に条件を
設定することができるが、その温度は原糸のガラス転移
点温度以上、とくに(原糸のガラス転移点温度+30)
℃以上であることが好ましい。
【0020】また、本発明においては延伸に先立って予
め予熱することが必要である。予熱温度は原糸を構成す
るポリエステルの中でガラス転移温度の高いポリエステ
ルの(該温度−20)℃〜(該温度+15)℃であり、
とくに(該温度−15)℃〜(該温度+10)℃である
ことが好ましい。かかる予熱温度が(該温度−20)℃
以下の場合には延伸糸の強度が小さく、アルカリ減量処
理後の強度低下が大きくなる、すなわち強度保持率が小
さくなるという問題があり、一方、(該温度+15)℃
以上の場合にも強度保持率が小さくなり、織編物風合が
低下するという問題がある。
【0021】このようにして得られた斑糸はさらにこれ
にタスラン処理、インタ−レ−ス加工等の空気絡合を加
えると、フィラメントの太部と細部とが絡まって一層そ
の補完関係が増強される。そして、該斑糸にアルカリ減
量処理が施されることにより、斑糸を構成している複合
フィラメントの不均一状態、フィブリル状態のものが得
られ、織編物とした場合、好ましい杢調のものが得られ
る。この際、該複合フィラメントの構成成分であるポリ
エステルのアルカリ減量速度の差によって、1種類のポ
リエステルからなる斑糸となったり、2種類以上のポリ
エステルからなる斑糸となったりする。アルカリ減量処
理は通常の条件で行われ、たとえば水酸化ナトリウム等
のアルカリ金属水酸化物を用いる方法で行われ、吊り減
量、液流減量、バッド減量等任意の方式が用いられる。
アルカリ減量処理は糸条形態で施すこともできるが、製
織、製編した後、織編物の形態で施すことが工程性の点
で好ましい。
【0022】上述の原糸および製造方法により得られた
本発明の斑糸はU%が3〜20%であり、該糸の任意の
横断面におけるフィラメントの細部の占める割合が50
〜100%である。好ましくはU%が5〜15%であ
り、前記割合が70〜100%である。さらにアルカリ
減量加工による強度保持率は50%以上であり、好まし
くは60%以上であり、織編物としての強度を満足して
いる。
【0023】本発明の斑糸は該糸条のみにより織編物を
作成してもよいが、他の繊維とインタ−レ−ス、タスラ
ン加工等の空気絡合を施して混繊糸条とし、織編物を作
成してもよい。他の繊維との混繊により織編物にふくら
み感を付与することができる。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳述するが、本
発明はこれら実施例により何等限定されるものではな
い。なお、実施例中の測定値は以下の方法により測定し
た値である。 (1)糸条のU%;糸条のト−タル繊度によって使用す
る測定用スロットを選択し、糸速を100m/分として
仮撚機で約300rpmの回転を与えて仮撚しつつノル
マルテストにて測定する。斑曲線はチャ−ト速度10c
m/分、レンジ±12.5%で描いた。U%は2.5分
間の糸斑として値を読み取る。また該値は2.5分間の
測定を1回として少なくとも2回同じ付近を測定し、さ
らに全く異なる部分を3か所、少なくとも計6回の測定
を行って平均値で示した。 (2)ポリエステルの極限粘度(〔η〕dl/g) フェノ−ル/テトラクロロエタンの等重量の混合溶媒に
て、30℃で測定した。 (3)フィラメントの太細比 試料(織物)からフィラメントを抜き出し、光学顕微鏡
を使用して太部および細部の断面積を求めた。1本のフ
ィラメントの任意の太部および細部を5回測定してそれ
ぞれの平均値より求めた。 (4)斑糸の任意の断面に占めるフィラメントの細部の
割合(%) 斑糸の断面を光学顕微鏡を使用して写真に撮り求めた。
任意の5か所につき求め、その平均値で示す。 (5)延伸糸の強度保持率(%) 水酸化ナトリウム40g/リットル濃度、95℃、減量
率20%の条件下でのアルカリ減量加工前後の強度をJ
IS L 1013に準拠して測定し、強度保持率を算
出した。 (6)風合・斑状態 10人のパネラ−により評価を行った。 ○:10人中8人までが天然繊維からなる布帛と酷似し
た風合および無地杢調の斑を有していると判定。 △:10人中5人までが天然繊維からなる布帛と酷似し
た風合および無地杢調の斑を有していると判定。 ×:10人中3人までが天然繊維からなる布帛と酷似し
た風合および無地杢調の斑を有していると判定。
【0025】実施例1 5−ナトリウムスルホイソフタル酸を5モル%含有させ
た、極限粘度〔η〕=0.41のポリエチレンテレフタ
レ−ト(A成分)と極限粘度〔η〕=0.68のポリエ
チレンテレフタレ−ト(B成分)を別々の押出機にて溶
融押出しし、A:Bの重量比がA:B=30:70とな
るようにそれぞれギヤポンプで計量した後、紡糸パック
に供給し、ケニックス社製の8エレメントスタチックミ
キサ−でA成分とB成分の層状分割ポリマ−流を形成さ
せ、分割路を12個有する分配板を通過させた後、36
ホ−ルのY孔ノズルより口金温度290℃で吐出し、1
000m/分で巻き取った。得られた紡糸原糸(自然延
伸倍率=2.15)を80℃で予熱し、2.18倍の倍
率、130℃で延伸を行った後、130℃で熱セットを
行い、94デニ−ル/36フィラメントのマルチフィラ
メントを得た。紡糸性、延伸性はいずれも良好であっ
た。このマルチフィラメントを経糸および緯糸として使
い、1/1の平織物を製織した。ついでアルカリ減量処
理を、水酸化ナトリウム濃度40g/リットル、95℃
の条件で行い、約20分で減量率10%とした。該生機
平織物を通常の仕上げ加工工程を通して別浴により、分
散染料およびカチオン染料による染色を行った。染色は
以下の条件にて行った。
【0026】 I染色条件: 染料 DIANIX RED BN-SE(C1 DISPERSE RED127) 5%owf 分散助剤 DISPER TL (明成化学工業社製) 1g/リットル pH調整剤 硫酸アンモニウム 1g/リットル 酢酸(48%) 1g/リットル 浴比 1:30 温度 120℃×60分 還元洗浄条件: ハイドロサルファイド 1g/リットル アミラジン(第一工業製薬社製) 1g/リットル 水酸化ナトリウム 1g/リットル 浴比 1:30 温度 80℃×20分
【0027】 II染色条件: 染料 CATHILON BRILL RED 4GH 5%owf 分散助剤 硫酸ナトリウム 2%owf pH調整剤 酢酸ナトリウム 1g/リットル 酢酸(48%) 1g/リットル 浴比 1:30 温度 120℃×40分 還元洗浄条件: ハイドロサルファイド 1g/リットル アミラジン(第一工業製薬社製) 1g/リットル アンモニア 1ml/リットル 浴比 1:30 温度 70℃×20分
【0028】織物の外観は自然な斑を有しており、自然
な柔らかさとタッチも有し風合的に良好なものであっ
た。斑糸および該斑糸を構成するフィラメントの評価を
行い表2に示す。
【0029】実施例2 実施例1において、延伸条件における延伸倍率を2.3
0倍にした以外は実施例1と同様にして斑糸を製造し製
織して、仕上げ加工工程を通して別浴で分散染料および
カチオン染料による染色を施した。斑糸および斑糸を構
成するフィラメントの評価を行い結果を表2に示す。
【0030】実施例3 実施例1において、A成分として5−ナトリウムスルホ
イソフタル酸2.5モル%含有させた、極限粘度〔η〕
=0.53のポリエチレンテレフタレ−トを用いた以外
は実施例1と同様にして複合繊維を得た。ついで延伸倍
率を2.5倍にした以外は同様の条件で延伸、熱セット
を施し斑糸を作製した。この斑糸より平織物を製織し、
実施例1と同様にして染色を施した。斑糸および斑糸を
構成するフィラメントの評価を行い結果を表2に示す。
【0031】実施例4〜5 実施例1において、A成分とB成分の複合比を表1に示
すようにした以外は実施例1と同様にして紡糸し、表1
に示す条件で延伸・熱セットを施して斑糸を作製した。
この斑糸より平織物を製織し、実施例1と同様にして染
色を施した。斑糸および斑糸を構成するフィラメントの
評価を行い結果を表2に示す。
【0032】実施例6 実施例1において、A成分として5−ナトリウムスルホ
イソフタル酸2.5モル%、分子量2000のポリエチ
レングリコ−ル4重量%含有させた、極限粘度〔η〕=
0.55のポリエチレンテレフタレ−トを用いた以外は
実施例1と同様にして紡糸し、延伸・熱セットを施して
斑糸を作製した。この斑糸より平織物を製織し、実施例
1と同様にして染色を施した。斑糸および斑糸を構成す
るフィラメントの評価を行い結果を表2に示す。A成分
とB成分とのアルカリ減量速度差が大きいために、斑糸
はほとんどA成分のみからなり、きしみ感のある織物と
なった。
【0033】実施例7 実施例1において、A成分として分子量2000のポリ
エチレングリコ−ル4重量%含有させた、極限粘度
〔η〕=0.68のポリエチレンテレフタレ−トを用い
た以外は実施例1と同様にして複合繊維を得た。ついで
延伸倍率を2.25倍にした以外は同様の条件で延伸、
熱セットを施し斑糸を作製した。この斑糸より平織物を
製織し、実施例1と同様にして染色を施した。斑糸およ
び斑糸を構成するフィラメントの評価を行い結果を表2
に示す。
【0034】比較例1 実施例1において、予熱温度を50℃、延伸倍率を2.
33倍にした以外は同様にして紡糸し、延伸・熱セット
を施して斑糸を作製した。この斑糸を用いて平織物を製
織し、実施例1と同様にして染色を施した。予熱温度が
低すぎるので強度が出ず、織物の強度保持率が低く、実
用的ではなかった。
【0035】比較例2 実施例1において、予熱温度を120℃、延伸倍率を
2.27倍にした以外は同様にして紡糸し、延伸・熱セ
ットを施して斑糸を作製した。この斑糸を用いて平織物
を製織し、実施例1と同様にして染色を施した。予熱温
度が高すぎるので斑糸のU%が小さく、自然な杢調の織
物風合は得られなかった。
【0036】比較例3 実施例1において、A成分として5−ナトリウムスルホ
イソフタル酸1.7モル%含有させた、極限粘度〔η〕
=0.62のポリエチレンテレフタレ−トを用いた以外
は実施例1と同様にして紡糸し、表1に示す延伸条件で
延伸・熱セットを施して斑糸を作製した。この斑糸より
平織物を製織し、実施例1と同様にして染色を施した。
A成分とB成分とのアルカリ減量速度差が小さすぎたた
め、アルカリ減量処理によりA成分が溶解除去されず、
斑の度合いが小さく、また斑糸条としてのU%も小さ
く、自然な杢調の織物風合は得られなかった。
【0037】比較例4〜5 実施例1において、延伸倍率を表1に示すようにした以
外は同様にして紡糸し、延伸・熱セットを施して斑糸を
作製した。この斑糸より平織物を製織し、実施例1と同
様にして染色を施した。延伸倍率が低い場合(比較例
4)、フィラメントの強度保持率が低く、また延伸倍率
が高い場合(比較例5)、斑の発現度合いが悪く、自然
な杢調の織物風合は得られなかった。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、自然でかつ良好な外
観、触感、色調、無地杢調の風合を有する織物を得るこ
とのできる斑糸が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の斑糸の原糸である複合繊維の複合形態
の一例である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステル系マルチフィラメント斑糸で
    あって、下記の特性(a)〜(d); (a)糸を構成するフィラメントは断面形状および断面
    積が異なり、かつ繊維の長手方向に太部および細部をラ
    ンダムに有し、該太部と細部の断面積比は2〜6であ
    る、(b)糸は少なくとも1種類のポリエステルフィラ
    メントから構成される、(c)糸のU%が3〜20%で
    あり、糸の任意の横断面における前記細部の占める割合
    が50〜100%である、(d)水酸化ナトリウム40
    g/リットル濃度、95℃、減量率20%の条件下での
    アルカリ減量加工前後の強度保持率が50%以上であ
    る、を備えていることを特徴とするポリエステル系マル
    チフィラメント斑糸。
  2. 【請求項2】請求項1記載の斑糸を含む繊維製品。
  3. 【請求項3】アルカリ減量速度の異なる2種類以上のポ
    リエステルからなり、その複合形状が繊維の長手方向に
    は実質的に同一形状でありながら単繊維間では異なる複
    合繊維からなる未延伸ポリエステル系マルチフィラメン
    ト糸条を加熱連続延伸する際、下記の条件で予熱し、
    ついで下記の条件で延伸した後アルカリ減量処理を施
    すことを特徴とするポリエステル系マルチフィラメント
    斑糸の製造方法。 (Tg)0 −20〈 予熱温度(℃) 〈(Tg)0 +15 ・・・・ NDR×0.9〈 延伸倍率(倍) 〈 NDR×1.2 ・・・・ 〔ただし、(Tg)0 はガラス転移温度の高いポリエス
    テルのガラス転移温度を示し、NDRは未延伸糸条の自
    然延伸倍率を示す。〕
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007107160A (ja) * 2005-10-17 2007-04-26 Teijin Fibers Ltd 短カットナノファイバーの製造方法および湿式不織布

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