JP2007247088A - 長短複合紡績糸およびそれを用いてなる布帛 - Google Patents

長短複合紡績糸およびそれを用いてなる布帛 Download PDF

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Abstract

【課題】レーヨンを使用している製品の特徴である軽量感、風合い、吸水性などを最良なものにして、かつ、防しわ性、ハリ、コシ、反発性などにも優れている布帛を得ることを可能にする長短複合紡績糸と該長短複合紡績糸を用いた布帛を提供すること。
【解決手段】芯部に中空型フィラメント繊維、鞘部に改質セルロース系短繊維またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維を有してなり、かつ実質的に無撚であることを特徴とする長短複合紡績糸と該糸を用いて形成した布帛。
【選択図】なし

Description

本発明は、長短複合紡績糸とそれを用いてなる布帛に関する。
従来、ビスコースレーヨンの繊維特性を改良したもの(例:溶剤紡糸セルロース繊維 “リヨセル”、ポリノジック、キュプラなど)の特性は、乾湿潤摩擦を加えることでフィブリル化してしまうものであった。
そのため、これらを使用した紡績糸やその繊維製品は、製品表面や製品中においてフィブリルが存在すること、フィブリル化が進むことが欠点となっていた。該欠点を解決するために、フィブリル化防止のための樹脂加工を施すことや、酸素減量加工などが必要となるものであった。
しかし、これらの処理や加工による場合は、風合い、軽量感において優れたものを得ることが難しくなり、従来の染色加工工程までで実質的に製品化が可能となるような紡績糸の実現が要請されていた。
特に、上述したようなレーヨンを使用している製品の特徴である軽量感、風合い、吸水性などを最良なものにして、かつ、防しわ性、ハリ、コシ、反発性などに優れた特性を有する製品を実現することができる紡績糸の実現が望まれていた。
このような要請に応える複合紡績糸として、中空率10〜40%、沸水収縮率8%以上の中空フィラメント糸と短繊維束とが重ね合わされて加撚してなる芯鞘構造の複合紡績糸であって、芯部の中空フィラメント糸と鞘部の短繊維束との混用重量比が芯/鞘≦1.5であり、糸形成後、沸水処理されてなるという複合紡績糸が提案されている(特許文献1)。
しかし、この特許文献1に提案されている複合紡績糸は、本発明のねらいとするレーヨンを使用している製品の特徴である軽量感、風合い、吸水性などを最良なものにして、かつ、防しわ性、ハリ、コシ、反発性などにも優れているというレベルには達していないものであった。
特開平7−278982号公報
本発明の目的は、上述したような点に鑑み、レーヨンを使用している製品の特徴である軽量感、風合い、吸水性などを最良なものにして、かつ、防しわ性、ハリ、コシ、反発性などにも優れている布帛を得ることを可能にする長短複合紡績糸と該長短複合紡績糸を用いた布帛を提供することにある。
上述した目的を達成する本発明の長短複合紡績糸は、以下の(1)の構成からなる。
(1)芯部に中空型フィラメント繊維、鞘部に改質セルロース系短繊維またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維を有してなり、かつ実質的に無撚であることを特徴とする長短複合紡績糸。
また、かかる本発明の長短複合紡績糸は、より具体的に好ましくは、以下の(2)〜(5)のいずれかの構成からなるものである。
(2)芯部の中空型フィラメント繊維が紡績糸全体の15〜60重量%を占め、鞘部の改質セルロース系短繊維またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維が紡績糸全体の40〜85重量%を占めることを特徴とする上記(1)1記載の長短複合紡績糸。
(3)鞘部の改質セルロース系短繊維またはハイウエットモジュラスレーヨンの強度が乾強度で3.0cN/dtex以上で、5%アルカリ処理後強度が1cN/dtex以上であることを特徴する上記(1)または(2)記載の長短複合紡績糸。
(4)次式による紡績工程中空保持率80%以上であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の長短複合紡績糸。
紡績工程中空保持率(%)={(紡績前の中空フィラメントの中空率−紡績後の中空フィラメントの中空率)/紡績前の中空フィラメントの中空率}×100
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の長短複合紡績糸を用い、かつ次式による中空保持率80%以上であることを特徴とする布帛。
製編織工程中空保持率(%)={(織製または編成前の中空フィラメントの中空率−織製または編成後の中空フィラメントの中空率)/織製または編成前の中空フィラメントの中空率}×100
本発明によれば、レーヨンを使用している製品の特徴である軽量感、風合い、吸水性などを最良なものにして、かつ、防しわ性、ハリ、コシ、反発性などにも優れている布帛を得ることを可能にする長短複合紡績糸と該長短複合紡績糸を用いた布帛が提供されるものである。
本発明の長短複合紡績糸は、芯部に中空型フィラメント繊維、鞘部に改質セルロース系短繊維またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維を有してなり、かつ実質的に無撚であることを特徴とする。
すなわち、本発明の長短複合紡績糸においては、中空型フィラメント繊維を芯部に、改質セルロース系短繊維またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維を鞘部に有した長短複合紡績糸であり、さらには優れたカバリング性と軽量性および、膨らみ感を得るために、紡績糸自体が実質的に無撚りであることが重要である。
すなわち、実質的に無撚り構造糸であれば、実撚り糸のような改質セルロース系短繊維成分またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維成分による芯部のフィラメント成分への強い拘束力や、芯部のフィラメントに付与される実撚りによって、前述の中空型繊維フィラメントの中空形状を破壊することがなく、優れた軽量性や吸水性、および膨らみ感といった風合いを十分に発揮することができる。
ここで、本発明における実質的に無撚り構造糸とは、撚りのトルクの作用による撚り戻りの発生がないか、もしくはきわめて小さい状態のものであることをいい、改質セルロース系短繊維成分またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維成分の平均繊維長をLsとした場合、4.0T/Ls以下の実撚りがかかっているものまたは無撚状のものを言うものである。撚り数が4.0T/Ls以下の場合には、撚りのトルクの作用による撚り戻りの発生がないので、実質的に無撚り構造糸ということができるものである。
ちなみに、実撚り構造糸の場合は、芯部のフィラメントを鞘部の改質セルロース系短繊維成分またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維により十分に被覆し、また、しごきなどによる改質セルロース系短繊維成分またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維成分の脱落を防ぐために、撚り数を通常の場合と対比して高めに設定する必要があり、そして、その場合には芯部のフィラメントを拘束する力が高くなり過ぎて、中空繊維の中空部が失われてしまい、また、芯部のフィラメントにも実撚りが付与されるために捲縮発現性が低下し、十分な膨らみ感が得られなくなるので、優れた風合いを得ることは難しく本発明では採用され得ないのである。
また、本発明の長短複合紡績糸においては、鞘部の改質セルロース系短繊維成分またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維成分が長短複合紡績糸全体に占める混率は40〜85重量%の範囲にあることが好ましく、さらには50〜70重量%の範囲にあることがより好ましい。
改質セルロース系短繊維成分またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維成分の混率が40重量%より小さい場合には、改質セルロース系短繊維成分またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維の繊維本数が少なくなるため、十分な被覆性が得られない場合が生じてくるので好ましくなく、逆に85重量%よりも大きい場合には、改質セルロース系短繊維成分またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維成分の物性の影響が支配的となり、通常繊維との有意差が小さくなり、したがって、改質セルロース系短繊維成分またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維成分による被覆性と前述のような優れた性能を兼ね備えた長短複合紡績糸を得るためには、改質セルロース系短繊維成分またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維成分の混率が50〜70重量%の範囲にあることがより好ましい。
次に、本発明の長短複合紡績糸に用いる中空型のフィラメント繊維について説明する。
本発明の長短複合紡績糸に用いる中空型フィラメント繊維の断面形状は、丸断面、扁平断面、三角断面、マルチローバル断面、X型断面、あるいは、その他の異形断面であってもよいが、中空型断面であることが重要である。
ここでいう中空型断面とは、繊維断面の中央部に空間を有する繊維のことを言い、その中空部が、繊維の中心部と該中空部の中心点とが一致する態様のものでもよいし、あるいは繊維の中心点と中空部の中心点をずらしたものでもよい。
その中空率は、繊維強度やハリ・コシ感を良好なものにするために、10容積%〜70容積%の範囲にすることが好ましい。中空率が10容積%未満となると十分な軽量性が得られ難くなるため、また、70容積%を超えると繊維の肉厚が極端に薄くなり、十分な繊維強度やハリ・コシが得られにくくなるため、それぞれ用途によっては好ましくないものとなる。
また、中空部の断面形状は、丸型の他、楕円型、三角型、四角型などの多角形型、星型など中空構造に基づく本来の機能が喪失されない範囲で適宜に設定することができる。中空部の数も1つに限られず、多数設けることも好適なことである。
これら中空型フィラメント繊維は直接紡糸によっても製造できるが、芯鞘型複合繊維として製造した後に芯部を溶出させることにより、中空部の断面形状がシャープな中空型フィラメント繊維を得ることもできる。中空型フィラメント繊維の素材は、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポリプロピレンなどの各種の合成繊維を、所望の用途等に合わせて適宜に用いることができる。中でもポリエステルは、機械的な安定性や熱的な安定性に優れた糸物性が得られることから好ましい素材である。
芯部の中空型フィラメント繊維は、紡績糸全体の15〜60重量%を占める割合で使用されるのが好適である。
次に、本発明の長短複合紡績糸に用いる短繊維について説明する。
本発明において、該短繊維は、長短複合紡績糸の鞘部を構成するものであり、かつ改質セルロース系短繊維またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維からなるものを用いる。これらの短繊維を用いる理由は、フィブリル化がにくく、染色加工工程後に、フィブリル化の防止のための樹脂加工などをする必要がなく好ましいからである。
ここで、本発明において、改質セルロース系短繊維とは、セルロース繊維に対して高強度及び湿潤時高弾性率になるように改質したセルロース繊維の短繊維をいい、それら調湿時の強度および湿潤時弾性率(ウエットモジュラス)が、それぞれ3.3cN/dtex以上、0.5cN/dtex以上であるように改質したものをいう。
また、ハイウエットモジュラスレーヨン繊維とは、単繊維を5%伸長するに要するデシテックス当たりの引張り強さ(cN)が0.5cN以上であるものをいい、該値が0.5cN以上であれば、繊維収縮を実用上差し支えないレベルとして扱えるものであり、該繊維の短繊維とは、所望の紡績糸としての繊維長に対応させて有限の繊維長にカットされたものをいう。
該鞘部の改質セルロース系短繊維またはハイウエットモジュラスレーヨンは、その強度が乾強度で3.0cN/dtex以上であることが好ましく、また、5%アルカリ処理後強度が1cN/dtex以上であることが好ましい。
該短繊維の断面形状は、特に限定されず、丸であっても、多角形、H型、中空などの異形断面であってもよい。また、該短繊維の繊度についても特に限定されないが、紡積性を考慮すると0.6〜5デシテックスの範囲内にすることが好ましい。繊維長については各種紡績方法に応じた繊維長とするのがよいが、空気精紡を用いる場合は、その紡績原理を考慮すると25mm〜51mm程度が好適に使用でき、さらには30mm〜44mmの範囲内とするのが最も好ましい。
本発明の長短複合紡績糸において、好ましくは、芯部の中空型フィラメント繊維が紡績糸全体の15〜60重量%を占め、鞘部の改質セルロース系短繊維またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維が紡績糸全体の40〜85重量%を占めることである。
本発明の長短複合紡績糸は、好ましくは、次式による紡績工程中空保持率が80%以上であるものである。
紡績工程中空保持率(%)={(紡績前の中空フィラメントの中空率−紡績後の中空フィラメントの中空率)/紡績前の中空フィラメントの中空率}×100
本発明の長短複合紡績糸は、製編織されて織物、編物などの布帛とされることが実際的な使用態様である。そのようにして本発明により得られる布帛は、次式による製編織工程中空保持率が80%以上であるものである。
製編織工程中空保持率(%)={(織製または編成前の中空フィラメントの中空率−織製または編成後の中空フィラメントの中空率)/織製または編成前の中空フィラメントの中空率}×100
上述したような糸構成としたことにより、本発明の長短複合紡績糸は、上述の紡績工程中空保持率と、製編織工程中空保持率の双方を実現できるものである。ちなみに、従来の、中空繊維を芯糸にして撚りをかける長短複合紡績糸の製造方法では、80%以上という中空保持率は、紡績工程中あるいは製織・編成工程のいずれでも達成し得ないものである。
本発明の長短複合紡績糸を用いて布帛とするには、従来から布帛化する方法として知られている方法で製織、編成等して行うことができ、特別なことは必要ない。注意する点としては、無撚の効果が失われてしまうような加撚作用やしごくような物理的作用を紡績工程や布帛化工程で与えることがないようにすべき点である。
本発明の長短複合紡績糸により、優れた吸水性・抗ピル性を有し軽量性に優れ、従来にないハリコシの優れた風合いを有する布帛を得ることができる。
本発明の長短複合紡績糸を使用すれば、紡績工程中あるいは製織・編成工程のいずれでも高い中空保持率を得ることができるため、結果的に、織製または編成後における該織物や編物中での中空フィラメントの中空率が、概して5%以上、好ましくは5〜50%であるという非常に高い中空率での最終製品(布帛)を得ることができることになる。
なお、本発明の効果が損なわれない範囲で、他の糸と交織、交編することももちろん可能である。
本発明の布帛は、本発明の長短複合紡績糸を用いたことにより、上述した製編織工程中空保持率を80%以上のものとして得ることができるものである。
次に、本発明の長短複合紡績糸を製造する方法の1例について具体的に説明する。
まず、中空型フィラメント繊維および改質セルロース系短繊維またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維をそれぞれ準備する。それぞれの繊維の製造方法は、従来から知られている方法によればよい。次に、これら繊維を紡績し長短複合紡績糸とする。
紡績方法としては、できあがる長短複合紡績糸が実質的に無撚りとなる方法であれば特に限定されないのであるが、空気流の作用により改質セルロース系短繊維またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維成分を結束させて紡績糸を形成する汎用の空気精紡機において、適当なフィードローラと糸道ガイドなどの長繊維用の設備を介して、フィラメントを糸形成部手前で改質セルロース系短繊維またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維束の中心部に供給することにより得る方法を好ましく用いることができる。
特に好ましいのは、“ムラタ・ボルテックス・スピナー”(村田機械社製:以下、MVSと記す)を用いる方法である。空気流の作用を利用する紡績方法は、各種のものが、提案、開発、利用されているが、本発明の長短複合紡績糸を得るにはカバー率が良いことが必須であり、MVSを用いた紡績方法はこれを最も達成しうる紡績方法の一つである。
また、その他の方法としては、次のような方法がある。まず、改質セルロース系短繊維またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維成分に、好ましくは120℃以下の低い融点を有する低融点繊維をある一定比率で混ぜて、リング精紡機を用いる長短複合紡績糸の一般的な製造方法によって実撚り構造の長短複合紡績糸を得る。次に、ホットローラー、または非接触式の熱板を有するリング撚糸機にこの長短複合紡績糸を仕掛けて、精紡機とは逆撚り方向での同じ撚り数の撚りを与えて、撚りを完全に戻しながら、ホットローラー、または熱板によって前述低融点繊維を周りの短繊維やフィラメントに融着させて無撚り長短複合紡績糸を得ることができる。この方法の場合、混ぜる低融点繊維の混率や与える撚り数、およびホットローラー、または熱板の温度設定値などを得られる長短複合紡績糸の風合いを損なわないように適正に設定することが重要である。
以下、本発明を実施例で詳細に説明する。
〔紡績糸の評価方法・測定方法〕
(1)紡績工程中空保持率
紡績前のフィラメント(n=10)の断面写真をSEM(倍率×500倍)で撮影し、繊維の断面積(中空部を含む全断面積)Aおよびその繊維の中空部の断面積Bを求め、次式よりフィラメント中空率Cをその平均で示した。
{(A−B)/A }×100=フィラメント中空率C(%)
同じく、紡績後の糸断面のSEM(倍率×500倍)で撮影し、紡績糸を構成している中空フィラメントの断面積Dおよびそのフィラメント中空部の断面積Eを10点分求め、次式より紡績後の中空率Fをその平均で示した。
{(D−E)/D }×100=紡績後のフィラメント中空率F(%)
紡績工程中空保持率を下記式で求めた。
{(C−F)/C }×100=紡績工程中空保持率(%)
(2)被覆性評価
被覆性評価は、得られた紡績糸の側面を25倍の顕微鏡で観察し、糸長1m当たりに芯部のフィラメントが表層部から確認できる箇所の数により判断した。
判定基準は、×:10カ所以上またはヌードヤーンの発生、△:5〜9カ所の発生、○:1〜5カ所の発生、◎:0カ所(発生せず)、の4段階評価で行った。
〔布帛評価測定方法〕
(1)製編織工程中空保持率
織製または編成前の糸(n=10)の断面写真をSEM(倍率×500倍)で撮影し、構成している中空フィラメントの断面積(中空部を含む全断面積)イおよびその繊維の中空部の断面積ロを求め、次式よりフィラメント中空率ハをその平均で示した。
{(イ−ロ)/イ }×100=フィラメント中空率ハ(%)
同じく、織製または編成前後の糸断面のSEM(倍率×500倍)で撮影し、紡績糸を構成しているフィラメント1本の断面積ニおよびそのフィラメント中空部の断面積ホを10点分求め、次式より紡績後の中空率ヘをその平均で示した。
{(ニ−ホ)/ニ }×100=紡績工程フィラメント中空率ヘ(%)
紡績後の中空保持率を下記式で求めた。
{(ハ−ヘ)/ハ }×100=製編織工程中空保持率(%)
(2)防シワ性
試料:直径9.6cm円形を準備し、50mlのプラスチック製ビーカーを準備し、ビーカーの上部にサンプルを載せ、荷重500gのおもり(押圧面積43g/cm2 )にてビーカー内に押し込むように投入し、10分間荷重をかけ除重し、直後、1時間後、24時間後の状態を「外観判定横光線」を用いてシワの状態で判別した。
(3)ピリング性
JIS L−1076(1992)のICI法を用い、処理時間は、織物は10時間、編物は5時間として処理し級判別した。
(4)曲げ剛性
KES法により曲げ強さ、ヒステリシス幅をKES FB−2試験機で測定した。
(5)寸法変化率
JIS L−1096(1999)に準じて測定した。
(6)速乾性
サンプルサイズ40cm×40cmを準備し、水中へ5分沈めた後、家庭用洗濯機で30秒脱水をかけ、温度20℃ 湿度65%RH下の条件で5分ごとの重量を求め、下記式にてその含水率(%)を求め、含水率が2%以下になった時間を乾燥時間(分)を速乾性とした。
(7)官能評価
長短複合糸を経糸と緯糸の両方に使用して平織り組織の織物を製織し、得られた生機をオープンソーパーで95℃でリラックス熱処理し、乾燥後、乾熱180℃で中間セットし、120℃で染色した。
その後160℃の乾熱でピンテンター方式により仕上セットを行った。
得られた布帛について、ハリコシ感、軽量感、触感、表面感につき10人のモニターにより官能試験を実施し、その判定結果の平均を評価結果とした。
なお、評価の判定基準は、×:全く感じない、△:ほとんど感じない、○:感じる、◎:強く感じるの4段階評価で行い、×=0点、△=1点、○=2点、◎=3点と点数に置き換え、その平均点を求め、
0.0〜0.9点を×、
1.0〜1.5点を△、
1.6〜2.5点を○、
2.6点以上を◎、
として評価結果とした。
実施例1
長短複合紡績糸の短繊維として改質セルロース系短繊維(モダール繊維1.3dtex×39mm:LENZING社製)を使用し、通常の紡績方式を経て1.0g/mの太さのスライバーを作成した。また、中空フィラメントとして“ボデイジョイ”(素材:ポリエチレンテレフタレート44dtex−12F、東レ製)を用いた。
スライバーをMVS精紡機に仕掛け、フィラメント用のフィードローラ装置と糸道ガイドを介して、前述の中空型フィラメントをフロントトップローラー〜セカンドトップローラ間から短繊維束の幅方向中心位置に供給し、綿方式の番手で30’sの長短複合糸を得た。被覆性に優れ、糸切れの発生も少なく、加工後の中空部破損もなく、紡績性は良好であった。
得られた長短複合紡績糸をヨコ糸として、タテ糸をポリエチレンテレフタレートFYとし、通常の織機を用いて、織組織を3/1ツイルとし生織の織目付283g/m2 の織物を得た。得られた布帛について、各評価を行った結果、表1に示すように、加工後の中空部破損もなく、防しわ性に優れ、風合いも軽量感に優れたものであった。
実施例2
長短複合紡績糸の短繊維として、実施例1と同じスライバーを作成した。また、中空フィラメントとして“ファリーロ”(素材:ナイロン6、28dtex−12F東レ製)を用いた。
スライバーをMVS精紡機に仕掛け、フィラメント用のフィードローラ装置と糸道ガイドを介して、前述の中空型フィラメントをフロントトップローラー〜セカンドトップローラ間から短繊維束の幅方向中心位置に供給し、綿方式の番手で30’sの長短複合紡績糸を得た。被覆性に優れ、加工後の中空部破損もなく、糸切れの発生も少なく紡績性は良好であった。
得られた長短複合紡績糸を、実施例と同じ方法で用いて織目付279g/m2 の織物を得た。各評価を行った結果、防しわ性に優れ、表1に示すように、風合いも軽量感に優れ良好なものであった。
比較例1
実施例1と同じ短繊維を用い、通常の紡績方式を経て0.35g/mの太さの粗糸を作成しリング精紡機に仕掛けた。一方、実施例1と同じ中空型フィラメントをフロントトップローラー〜セカンドトップローラー間から短繊維束の中心位置に、フィラメント用のフィードローラー装置と糸道ガイドを介して供給し、リング精紡機のドラフト率を40倍、撚り数を27.8T/2.54cmに設定して、綿方式の番手で30’sの長短複合紡績糸を得た。
得られた長短複合紡績糸は、紡績性に優れたものであったが、被覆性が実施例1と対比すると劣り、実撚りを有していることによる中空型フィラメントへの拘束力が強いために、中空部が破損していた。実施例1と同様に、緯糸として用いて織目付296g/m2 の織物を得たが、十分な中空率を保持できないために、吸水性に劣り、官能評価でも良好な風合いを得ることができなかった。
比較例2
実施例1と同じ短繊維を用い、通常の紡績方式を経て0.35g/mの太さの粗糸を作成しリング精紡機に仕掛けた。一方、実施例2と同じ中空型フィラメントをフロントトップローラー〜セカンドトップローラー間から短繊維束の中心位置に、フィラメント用のフィードローラー装置と糸道ガイドを介して供給し、リング精紡機のドラフト率を40倍、撚り数を27.8T/2.54cmに設定して、綿方式の番手で30’sの長短複合紡績糸を得た。
得られた長短複合紡績糸は紡績性に優れたものであったが、被覆性が実施例2と対比すると劣り、実撚りを有していることによる中空型フィラメントへの拘束力が強いために、中空部が破損していた。実施例1と同様に、緯糸として用いて織目付296g/m2 の織物を得たが、十分な中空率を保持できないために、吸水性に劣り、官能評価でも良好な風合いを得ることができなかった。
比較例3
実施例1と同じスライバーを用い、フィラメントを供給せずにMVSに掛け30sの紡績糸を得た。実施例1と同じように用いて、織目付287g/m2 の織物を得て、各評価を行ったが、中心部に中空フィラメントを用いてないために、十分な軽量性が得られず、防シワ性に欠け、風合いもハリコシには欠けるものであった。
比較例4
長短複合紡績糸の短繊維としてポリエチレンテレフタレート短繊維(T403、1.45dtex×38mm:東レ製)を使用した以外は、実施例1と同様な方法で、綿式番手30’sの長短複合紡績糸を得た。得られた長短複合紡績糸は被覆性に優れ、糸切れの発生も少なく、加工後の中空部破損もなく、紡績性は良好であった。
得られた長短複合紡績糸をヨコ糸として、実施例1と同様に用いて、織目付291g/m2 の織物を得た。得られた布帛について、各評価を行った結果、表1に示すように加工後の中空部破損もなく、良好な布帛であったが、鞘成分がポリエチレンテレフタレートであり風合いに劣るものであった
比較例5
長短複合紡績糸の短繊維としてビスコース法レーヨン短繊維(1.7dtex×38mm)を使用した以外は、実施例1と同様にして、綿式の番手で30’sの長短複合紡績糸を得た。得られた長短複合紡績糸は被覆性に優れ、糸切れの発生も少なく、加工後の中空部破損もなく、紡績性は良好であった。
得られた長短複合紡績糸を実施例1と同様に用いて、織目付292g/m2 の織物を得た。得られた布帛について、各評価を行った結果、表1に示すように、加工後の中空部破損もなく、防しわ性に優れ、風合いも軽量感に優れたものであったが、ビスコース法レーヨン短繊維を用いたためにフィブリル化してしまい、表面感に劣るものであった。
Figure 2007247088

Claims (5)

  1. 芯部に中空型フィラメント繊維、鞘部に改質セルロース系短繊維またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維を有してなり、かつ実質的に無撚であることを特徴とする長短複合紡績糸。
  2. 芯部の中空型フィラメント繊維が紡績糸全体の15〜60重量%を占め、鞘部の改質セルロース系短繊維またはハイウエットモジュラスレーヨン短繊維が紡績糸全体の40〜85重量%を占めることを特徴とする請求項1記載の長短複合紡績糸。
  3. 鞘部の改質セルロース系短繊維またはハイウエットモジュラスレーヨンの強度が乾強度で3.0cN/dtex以上で、5%アルカリ処理後強度が1cN/dtex以上であることを特徴する請求項1または2記載の長短複合紡績糸。
  4. 次式による紡績工程中空保持率80%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の長短複合紡績糸。
    紡績工程中空保持率(%)={(紡績前の中空フィラメントの中空率−紡績後の中空フィラメントの中空率)/紡績前の中空フィラメントの中空率}×100
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の長短複合紡績糸を用い、かつ次式による中空保持率80%以上であることを特徴とする布帛。
    製編織工程中空保持率(%)={(織製または編成前の中空フィラメントの中空率−織製または編成後の中空フィラメントの中空率)/織製または編成前の中空フィラメントの中空率}×100
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