JP5658602B2 - ソフトで抗ピリング性に優れた紡績糸 - Google Patents

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Description

本発明は、衣料用、特にインナーやスポーツ用途に使用される紡績糸に関するものであり、さらに詳しくは、吸汗速乾性を有しつつ、抗ピリング性や形態安定性に優れ、且つ非常に柔らかい風合いを持ったインナーシャツ、スポーツシャツ、スウェット等の編織物に好適に用いられる紡績糸に関するものである。
インナーシャツやスポーツシャツ等において、吸汗速乾性を有しつつ、抗ピリング性や形態安定性を保持しながら、着用感が良い、柔らかな膨らみのある風合いを有する生地が要望されている。
抗ピリング性に優れた風合いがソフトな紡績糸として、本出願人は、繊維断面外周上に3個以上の突起を有する異形度1.8以上のポリエステル繊維を80質量%未満含むことを特徴するエア交絡紡績糸を既に提案した。
しかし、この紡績糸では、ポリエステル繊維の異形度が1.8以上で突起が3個以上のポリエステル繊維を必ず使用しなければならなかった。また、この方法だけでは、消費者がとても柔らかいと感じるレベルまで、風合いを十分に柔らかくするまでには至っていない。
特開2004−197242号公報
本発明は、かかる従来技術の問題を解消するためになされたものであり、その目的は、衣料用、特にインナーシャツ、スポーツシャツ、スウェット等の編織物に好適に使用され、吸汗速乾性を有しつつ、抗ピリング性と形態安定性に優れ、且つ非常に柔らかい風合いを有する紡績糸を提供することにある。
本発明者らは、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、芯部を形成する繊維束と鞘部を形成する繊維束とからなり、鞘部を形成する繊維束が芯部を形成する繊維束より撚り角度が高く、芯部に巻付いて強く結束された構造により風合いが硬くなる結束紡績糸において、その構成する合成繊維に酸化チタン等の無機微粒子を含有した繊維を用いること、及びセルロース系繊維を所定以上の割合で混合することにより、結束紡績糸が持つ抗ピリング性や形態安定性を保持したまま、風合いがとても柔らかな編織物を提供できることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(4)の構成を有するものである。
(1)無機微粒子が1.0〜4.0重量%練り込まれ、異形度が1.2〜1.7であり、単繊維繊度が0.3〜2.5dtexであるポリエステル短繊維30〜75重量%と、単繊維繊度が0.3〜2.5dtexである、再生セルロース繊維及び溶剤紡糸セルロース繊維から選択されるセルロース系繊維15〜70重量%とを含み、結束紡績で紡出されていることを特徴とする紡績糸。
)(1)に記載の紡績糸を30〜100重量%含む編物であって、KES曲げ剛性が0.003〜0.015であることを特徴とする編物
(3)(1)に記載の紡績糸を30〜100重量%含む織物であって、KES曲げ剛性が0.05〜0.01であることを特徴とする織物。
(4)(1)に記載の紡績糸95〜50重量%と、単繊維繊度1.0〜2.5dtexの疎水性フィラメント5〜50重量%とを用いて交編織されていることを特徴とする編織物。
本発明の紡績糸は、無機微粒子を含む異形断面の合成繊維短繊維とセルロース系繊維を使用して結束紡績で紡出されているので、吸汗速乾性を有しつつ、抗ピリング性や、形態安定性に優れており、且つ膨らみやなめらかな表面感を持ち、非常に柔らかな風合いを有する編織物を提供することができ、衣料用、特にインナーシャツ、スポーツシャツ、スウェット等の用途に好適に用いることができる。
本発明で使用した編組織の例としてメッシュ組織を図1に示す。(実施例1〜8,11,12,比較例1〜5で使用した。) 本発明で使用した編み組織の例としてワッフル組織を図2に示す。(実施例9で使用した。)
本発明の紡績糸は、無機微粒子を一定量練り込みかつ特定の異形度の異形断面を有する合成繊維短繊維と、特定のセルロース系繊維とを含み、結束紡績で紡出されていることを特徴とする。
本発明の紡績糸に使用する合成繊維短繊維としては、ポリエステル、ポリアミド、アクリル繊維、アクリレート繊維等の汎用的に使われる合成繊維が挙げられる。これらの中では、ポリエステル繊維がコスト、染色堅牢度、耐久性等の面から好適である。
合成繊維短繊維に練り込む無機微粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化マグネシウム、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム等が挙げられ、これらの中から少なくとも1つの化合物を用いることができる。これらの中では、二酸化チタンや酸化亜鉛が好ましい。また、無機微粒子を有機系または無機系化合物で表面コーティング処理すると、耐熱性や微粒子分散性を向上させることができるので好ましい。
合成繊維短繊維における無機微粒子の含有率は、1.0〜4.0重量%、好ましくは1.2〜3.0重量%、より好ましくは1.5〜2.5重量%である。本発明では、無機微粒子の含有量をこの範囲に調整した合成繊維短繊維と、セルロース系繊維とを混用することによって、驚くべきことに結束紡績糸の風合いを非常にソフトにすることができた。この原因は、合成繊維短繊維とセルロース系繊維との間の摩擦抵抗が低下するためであると考えられる。無機微粒子の含有量が1.0重量%未満では、風合いをソフトにする効果が低下し、逆に4.0重量%を超えると、紡糸操業性や後工程通過性(紡績性、製編/製織性のガイド、ローラー摩耗)の低下が生じやすくなる。
無機微粒子の平均粒子径は、好ましくは0.05〜0.7μmであり、より好ましくは0.3〜0.6μmである。平均粒子径が0.7μmを超えると、紡糸操業性や後工程通過性の低下が生じやすくなる。また、平均粒径が0.05μm未満の場合、操業性は良くなるが、風合いを柔軟にする効果が得られにくい。合成繊維短繊維中に無機微粒子を添加する方法としては、公知のポリマー重合段階または紡糸段階(紡糸原液にブレンド)時に添加する方法が挙げられる。
合成繊維短繊維中には、上記無機微粒子以外に、着色剤、難燃剤、抗菌剤、消臭剤、撥水剤、撥油剤、制電剤、導電剤、吸水剤、芳香剤、防虫剤等の機能改質剤を添加してもよい。
合成繊維短繊維は異形断面を有し、その異形度は1.2以上、好ましくは1.4以上である。他方、異形度の上限は、2.5以下、好ましくは1.8以下である。前記範囲の異形度を有する合成繊維短繊維を用いることにより、水分拡散性が良くなり、適度にソフトでドライ感のある風合いにできると考えられる。一方、異形度が1.2未満であると、結束紡で糸を紡出するとき、紡績ノズルに原糸油剤が溜まりやすくなり、その結果として結束が不十分になり可紡性が低下しやすい。また、異形度が2.5より大きいと、糸の曲げ剛性が高くなり硬い風合いとなり、糸質も悪くなる。これは、繊維同士の引っ掛かりが多いため安定したドラフトを得られにくくなるためと推定される。
合成繊維短繊維の異形断面としては、繊維軸と垂直方向の横断面に複数の凹構造を持つ断面が好ましい。例えば、Y字型、W字型、十字型等の多葉断面や、溝が深い三角形や四角形、五角形、六角形といった多角形が挙げられる。好ましいものとしては、Y字形、十字形、☆型(五つの頂点を持つ星型)が挙げられ、これらは、繊維間の引っ掛かりが強く、結束紡績がしやすいとともにソフト化しやすい。特に好ましくはY字形断面である。Y字形断面は、水分拡散性が高く、結束紡の可紡性をより安定させることができる。
合成繊維短繊維の単繊維繊度は、0.3〜2.5dtex、好ましくは0.6〜1.7dtex、より好ましくは0.6〜1.5dtexである。単繊維繊度をこの範囲にすることで衣料用に最適なソフトな風合いの結束紡績糸とすることができる。0.3dtex未満であると、可紡性が低下しやすく、2.5dtexを超えると、繊維自身が硬く、また紡績糸を細くできないことから、ソフトな風合いにすることができない。
合成繊維にポリエステル短繊維を用いた場合の原料としては、例えば、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエチレンテレフタレートが汎用されるが、これ以外にポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレートなども使用することができる。これらのポリエステルに5−ナトリウムスルホイソフタル酸のようなカチオン染料の染着性付与成分を共重合してもよく、前記ポリエステルを混合して練り込んでもよい。また、前記ポリエステル短繊維の原料には、必要に応じて難燃剤、抗酸化剤等の機能性を付与するための微粒子や有機化合物を添加することもできる。
合成繊維短繊維においては、適当なクリンプ数は5〜20ヶ/25mmであり、クリンプ数が多いほど嵩性や生地表面の乱反射が多くなる。クリンプ数は、好ましくは8〜18ケ/25mm、より好ましくは10〜16ヶ/25mmである。クリンプ数をこの範囲にすることで、合成繊維短繊維とセルロース系繊維の摩擦性が最適となり、紡績性と繊維間の滑り性、ひいてはソフト性とのバランスが良好となる。また、繊維カット長は32mmからバリカットまで可能であり、目的によって適宜選定される。一般的には、繊維カット長は、紡績糸の毛羽数や毛羽絡み度合い、風合い、糸質面から長くない方が好ましく、32mm〜51mmの範囲が好適である。
本発明において紡出された紡績糸の毛羽数は、糸長10m当りの長さ1mm以上の毛羽数が30個以上、350個未満であり、かつ長さ3mm以上の毛羽数が15個未満であり、各々の毛羽数が300個未満、10個以下を同時に満たすことが好ましい。本発明のように繊維の異形度と単繊維繊度を特定し、結束紡績することによって、毛羽数の少ない紡績糸が可能となる。各々の毛羽数が350個以上、15個以上では、十分な抗ピル性が得られにくくなる。また、1mm以上の毛羽数が30個未満では、結束力が強すぎて硬い紡績糸となってしまう。
本発明の紡績糸における合成繊維短繊維の混率は、30〜75重量%であり、好ましくは35〜70重量%であり、より好ましくは40〜60重量%である。混率をこの範囲にすることで、吸水速乾性が高く、ソフトでドライ感のある風合いにすることができる。混率が30重量%未満では、速乾性を得ることができず、75重量%を超えると、ドライ感は増すが、セルロース系繊維の混率が低下するためソフトな風合いが低下する。
本発明の紡績糸に使用するセルロース系繊維は、再生セルロース繊維及び/または溶剤紡糸セルロース繊維である。再生セルロース系繊維としては、キュプラアンモニウムレーヨン、ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン、ハイウエットモジュラスレーヨンなどが挙げられる。溶剤紡糸セルロース繊維とは、特定の溶剤にパルプを溶解して得た紡糸原液を、特定の手段で紡糸して得られたものである。具体的には、溶剤紡糸セルロース繊維は、N−メチルモルフォリン−N−オキサイド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピペリジン−N−オキサイド、ジメチルアセトアミドなどの溶剤にパルプを溶解し、濾過して不純物を除去した紡糸原液を、乾式紡糸又は湿式紡糸することにより得られる。溶剤紡糸セルロース繊維としては、リヨセル、テンセルなどが挙げられる。
セルロース系繊維の単繊維繊度は、0.3〜2.5dtexであり、好ましくは0.5〜1.7dtex、より好ましくは0.5〜1.3dtexである。単繊維繊度が上記範囲未満の場合、染色したときの色濃度が極端に低下して、混紡糸の均一な染色性が得られにくくなる。また、上記範囲を越えると、繊維が硬くなり、また細番手糸を紡出するのが難しくなるためソフトな風合いにするのが難しくなる。
セルロース系繊維の断面形状は、特に限定されず、丸断面、マユ形、扁平等のいかなる断面形状でも構わない。染色性等の均一性から、丸断面ノズルで紡出した繊維が好適である。
本発明の紡績糸におけるセルロース系繊維の混率は、15〜70重量%であり、好ましくは25〜60重量%、より好ましくは30〜50重量%である。混率をこの範囲にすることで、吸湿性による快適性が確保でき、非常にソフトな風合いにすることができる。混率が70重量%を超えると、速乾性や形態安定性が低下する。また、15重量%未満では、風合いが硬く、快適性が悪くなる傾向にある。
本発明の紡績糸中の合成繊維短繊維とセルロース系繊維の混率比は、ソフトでドライ感のある紡績糸を得るために重要である。重量比で合成繊維短繊維:セルロース系繊維=85:15〜20:80であることが好ましく、より好ましくは80:20〜30:70、さらに好ましくは70:30〜35:65である。セルロース系短繊維の混率が上記範囲未満になると、ソフトな風合いが得られないとともに吸湿性が低下して快適性が低下する。また、上記範囲を超えると、ドライ感と吸水速乾性が低下する。また、本発明の紡績糸中の合成繊維短繊維とセルロース系短繊維を合わせた混紡率は、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上である。混紡率が上記範囲未満であると、本発明の目的が達成し難くなる。
本発明の紡績糸は、本発明の目的を損わない限り、上記に説明した合成繊維短繊維やセルロース系繊維以外の繊維を含めることができる。これは、紡績性を良好にしたり、他の機能を付加したりする等の目的で加えられる。例えば、綿、麻、羊毛に代表される天然繊維や、上記の説明に含まれない合成繊維や化学繊維等を混用することができる。
本発明の紡績糸の繊維構成本数は、70〜250本であることが好ましい。構成本数は、構成繊維の繊度を考慮して設定すればよいが、70本未満の場合、糸としての必要構成本数が不足するために糸強度が低く、紡績性が悪くなるおそれがあり、250本を越えると、糸番手が太くなり、インナー素材やシャツ素材に好適な編地が得られ難くなる。
本発明の紡績糸の繊度は、英式番手で20〜150番手であることが好ましく、より好ましくは30〜120番手、さらに好ましくは35〜100番手である。番手が上記範囲より太い場合、本発明のソフトでドライ感のある編地を得ることが難しくなる。また、上記範囲より細い場合、風合いは柔らかくなるが、ドライ感が低下したり、均一な糸質のものが得られにくくなり易い。
本発明の結束紡績で紡出された紡績糸は、芯を形成する繊維束と鞘部を形成する繊維束とからなり、芯部を形成する繊維束が長手方向にほぼ並行に配され、鞘部を形成する繊維束が芯部を形成する繊維束より撚角度が高く、芯部に巻付いた構造を有する。本発明の紡績糸は、外層部を構成する繊維束の撚角度が内層部を構成する繊維束の撚角度より大きい多層構造であることが好ましい。糸断面方向において撚角度が変化しない従来の紡績糸は、毛羽が発生しやすい。この理由は、摩擦等の外力によって撚りの緩みが起りやすく、緩んだところに毛羽が発生し易いためである。さらに、毛羽が多く発生すると、毛羽同士が絡みあってピリングに成長する。
本発明では、外層部を構成する繊維束の撚角度を内層部より大きくすることで、複合紡績糸の表面で強く結束されているため、家庭洗濯等で摩擦を受けても糸表面から短繊維が解け難く、毛羽が発生し難い。その結果、抗ピリング性に優れる編織物を製造することができる。また、前記構造の複合紡績糸は、外層部の短繊維の交絡が高められるため、内部に保持される水分の表面への移行性も高まり乾燥性が促進され、従来の裏毛やダブルフェイスのような肉厚な生地であっても吸汗速乾性を実現することが可能となる。さらに、内層側が小さな撚角度となっているため、糸の長さ方向に対する強度が向上し、紡績糸の風合いも良好になる。本発明の紡績糸は、結束が強く、施撚と逆方向に解撚しても短繊維に分離しにくい。そのため、内層部の撚角度を実測したい場合、顕微鏡で観察しながら、外層部の繊維を切り出し除去した後、内層部を露出させて写真撮影して、結束紡績糸の表面部と内層部の写真を比較すればよい。
複合紡績糸の多層構造としては、外層部を構成する繊維束の撚角度が内層部を構成する繊維束の撚角度より大きければ、特に限定されず、例えば、二層であってもよく、三層以上であってもよい。さらに、層状とならずに繊維の分布が徐々に異なっていく構造であってもよい。
本発明の結束紡績された紡績糸は、例えば、特開平9−105028号公報の旋回気流を利用した紡績装置(旋回気流式紡績装置)によって製造されることができる。このような旋回気流を用いた紡績とは、ドラフト装置のニップ点を通過した繊維に旋回気流を吹き付け、これにより繊維の端部をスライバーから分離して気流によって旋回させ、実撚を加えていくという手法である。
前記製造工程では、合成繊維単繊維Aとセルロース系短繊維Bを混紡して形成したスライバーの平均繊維長γが、旋回気流式紡績装置における繊維のニップ点から中空スピンドルの先端までの距離Hに対して、γ>Hの関係を有することが好ましい。γ>Hの関係を満たしている場合は、外層部の短繊維の交絡が強化され、糸切れが低減し、糸質と単糸強力が向上する。また、外層部の短繊維の交絡が強化されるため、得られる複合紡績糸が耐摩耗性に優れて、抗ピリング性も向上する。一方、γ≦Hの場合、旋回気流式紡績装置での紡績中に外層部の短繊維の脱落が多くなり、糸切れによりニューマ屑が増えたり、糸質が悪くなり、さらに単糸強力も低下する場合がある。
次に、本発明の紡績糸を使った編織物について具体的に説明する。
本発明の編織物は、単層または二層以上の構造を有することが好ましい。前記編織物の組織は、特に限定されず、例えば、編地なら天竺、スムース、フライス、裏毛組織、カノコ、ワッフル、ピケ、メッシュ、ブリスターなどが挙げられる。織物の場合は、平織、綾織、朱子織や、これを組合せた柄織物でもよく、二重織としてもよい。なお、少なくとも肌と接する側の表面層を天竺組織や平織等のフラットな表面構造にすると、肌との接触面積が大きいため汗を吸いやすく、さらに吸った水分を拡散しやすくなるため好ましい。好ましい組織としては、メッシュリバースやアイレットメッシュのようなメッシュ、ワッフル、フライスがある。これは、吸水拡散がよく、且つ通気性が良いため、優れた清涼感が得られるためである。
本発明の編織物の染色加工は、合成繊維短繊維とセルロース系繊維の混用品の一般的な染色加工を行えばよく、特別な操作を行う必要はない。
上述のようにして作られた本発明の編織物は、JIS−L−1076のA法に準拠したピリング試験において判定した抗ピリング性が4.0級以上を達成することができる。抗ピリング性が4.0級以上であれば、一般スポーツシャツに要求されるアパレル基準に合格することができる。抗ピリング性が4.0級未満の場合、インナーやスポーツ用の素材として適切なものを提供することができない。
本発明の編織物の乾燥性は、標準状態(温度20℃、湿度65%RH)の環境下での乾燥試験において、残留水分率が10重量%以下となる時間が20〜70分以下であり、さらには60分以内であり、さらには50分以下であることができる。残留水分率が10重量%以下となる時間を70分以下とすることによって、一般的なインナーシャツやスポーツシャツに要求される吸汗速乾性を満足することができる。
本発明の編織物は、吸水拡散面積について標準状態の環境で15〜60cm、さらには15〜50cm2,更には15〜30cm2である。吸水速度について5秒以下を達成することができる。これにより、素早く吸水・拡散して乾燥を促進し、べたつき感も軽減できる。さらに、吸湿性については2.0%〜10.0%、さらには3.0%以上を達成することができる。これにより、衣服内の湿度を低下させ、ムレ感を低減することができる。
本発明の編織物は、形態安定の効果について洗濯収縮率7.0%以下を達成することができる。これにより、消費段階での寸法不良を防止することができる。W&W性については3.0級以上を達成することができる。これにより、洗濯後のアイロン掛が手軽になったり、不要になったりする。
本発明の編織物は、風合いのソフトさの指標として、KES曲げ剛性の範囲として編物の場合に0.003〜0.015を達成することができ、織物の場合に0.05〜0.01を達成することができる。編物で0.02を超える場合、または織物で0.07を超える場合は硬い風合いになってしまい、本発明の求めるソフトな領域から外れる。また、ソフトさは、柔らかいほどよいので下限はないが、衣料品で0.02より柔らかくするのは難しい。
次に、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明で用いた各特性値の測定法は以下の通りである。
<異形度>
走査型電子顕微鏡を用いて、繊維を任意に5本選んで、繊維の断面を1000〜2000倍に撮影し、得られた断面写真に対して、繊維一本の断面における外接円の半径を内接円の半径で除した値を算出して、5本の平均値を異形度とした。
<短繊維繊度>
JIS−L−1019−6.4.1の綿繊維試験方法のマイクロネアによる方法に準拠して測定した。
<紡績糸の繊度>
JIS−L−1095−9.4.1の一般紡績糸試験法の正量テックス・番手測定の綿番手測定方法に準拠して測定した。
<クリンプ数>
JIS−L−1015−8.12.1のけん縮数に準拠して測定した。
<繊維の混率>
JIS−L−1030−2の混用率試験法(溶解法により測定)に準拠して測定した。
<無機微粒子の平均粒径>
堀場製作所製の遠心式自動粒度分布測定装置CAPA−500を用いて無機微粒子の遠心沈降曲線を得て、これに基づいて平均粒径を算出した。
<無機微粒子の含有量>
無機微粒子が酸化チタンの場合、JIS−L−1015−8.21の酸化チタンに基づいて測定した。
<抗ピリング性>
JIS−L−1076のA法に準拠して判定した。判定の評価は5級(良好)〜1級(不良)で表示した。なお、試験機の回転箱で試料を処理する時間が、織物の場合は10時間、編物の場合は5時間であった。
<破裂強力>
JIS−L−1018のA法(ミューレン法)に準拠して測定した。
<洗濯寸法安定性>
JIS−L−1018のG法(タンブル・ドライ法)に準拠して測定した。
<W&W性(ウォッシュ&ウェア性)>
AATCC 124−1984の5段階レプリカ法に準拠して判定した。判定の評価は5級(良好)〜1級(不良)で表示した。また、洗濯は、JIS−L0217−103法に準拠して行い、洗濯5回後のW&W性を評価した。乾燥方法は吊干しとした。
<吸水速度>
JIS−L−1097の吸水性試験方法に準拠して滴下法による水滴の吸水するまでの時間を測定した。
<吸水拡散面積>
JIS−L−1097の吸水性試験方法(滴下法)に準拠して水滴の吸水後30秒後の拡散面積を測定した。
<吸汗速乾性>
吸汗速乾性の評価は以下の手順で行った。
(a)織編物を縦/横に10cm/10cmの大きさに裁断して試料を準備する。
(b)温度20℃、湿度65%RHの環境下で、試料を12時間以上調湿した後、試料の質量(W)を測定する。
(c)試料を天秤に乗せ、10cmの高さから0.1mlの水を滴下した後、試料の質量(W)を測定する。
(d)試料を天秤に乗せた状態で、5分毎に試料の質量(W)を測定し、下記式により、残留水分率を算出する。
残留水分率(質量%)=(W−W)/(W−W)×100%
(e)残留水分率が10質量%以下となる時間を求める。
<吸湿性>
素材の持つ公定水分率をベースの編地の素材混率より算出し、その値を吸湿性(%)とした。
<風合い官能評価>
10人のモニターで試料の風合いと標準試料の風合いを比較した。試料の風合いが、標準試料とほぼ同等の場合は◎、標準試料より少し硬い場合は○、硬い場合は△、非常に硬い場合は×とした。なお、標準試料は、従来品として、セミダル丸断面エステルステープルと木綿を混紡した結束紡績糸を使った編地(比較例6)を用いた。
<KES曲げ剛性>
KES−FB2法でカトーテック社製純曲げ試験機を用いて生地の縦・横平均の曲げ剛性値(B)を評価した。測定の回数を縦・横それぞれ3回として、縦・横の平均を曲げ剛性の値とした。測定環境は20±2℃、65±2%RHである。
実施例1
平均粒子径0.4μmの酸化チタンを2.0重量%練り込まれた、異形度1.4、クリンプ数13個/25mmのY形エステル短繊維(単繊維繊度1.3dtex、繊維長38mm)62重量%と、レーヨン短繊維(ダイワボーレーヨン)(単繊維繊度0.9dtex、繊維長38mm)38重量%とをOHARA製混綿機を用いて混綿した。その後、混綿した繊維を、石川製作所製カード機を用いてカードスライバーとし、原織機製練条機に2回通して250ゲレン/6ydのスライバーを得た。その後、250ゲレン/6ydの綿コーマースライバーと合わせて、原織機製練条機に2回通してスライバー混紡し、混率及びゲレン調整して前記エステル/レーヨン/綿を各々50/30/20重量%に調整し、300ゲレン/6ydのスライバーを得た。次いで村田機械製結束紡績機(MVS)を用いて200倍のドラフトを掛け、40番手の糸を得た。30′′−22G LPJ(福原精機製)でメッシュ組織(図1)の丸編み生機を製編した。編成時の編成条件は糸長320mm/100ウェルであった。
編地を開反した後、日阪製作所製液流染色機NSタイプを用いて、下記処方1で、浴比1:10、温度95℃・60分間処理した後、酢酸で中和して水洗した。
処方1:苛性ソーダ(日本曹達製)5g/L、
精練剤(日華化学(株)製ピッチランL250)2g/L、
トリポリ燐酸ソーダ(多田薬品株製)2g/L、
過酸化水素安定剤(日華化学(株)製PLC7000)1g/L、
35%過酸化水素 15ml/L
パーソフタルMAX(日華化学株製浴中柔軟剤)1g/L
引き続いて、同じ染色機を用いて分散染料と反応染料の染色を同浴2段法で行った。また、染色後に染色機中で柔軟処理を行った。染色処方及び仕上げ処方を下記処方2,3に示す。
処方2
染色条件:浴比1:15、分散染色(一段目)130℃×30分⇒反応染色(2段目)60℃×60分⇒ソーピング2回・湯先・中和・水洗した。
一段目染色処方:pH調整剤(酢酸0.2g/l pH=4)、均染剤(明成化学工業(株)製ディスパTL)1g/l、分散型染料(住友カラーケミカル(株)製Sumikaron BLUE E−FBL)1.0%owf
二段目染色処方:反応染料(住友化学工業(株)製Sumifix supra Blue BRF150)0.5%owf、無水芒硝30g/L、アルカリ剤(一方社油脂工業(株)エスポロンA171)4g/l
ソーピング処方:ソーピング剤(一方社油脂工業(株)製ビスノールSLK)2g/L
中和処方:酢酸(68%)1g/l
処方3
柔軟処理:クラリアント(株)製サンドパームMEJ―50リキッド1.0%owf
さらに、遠心脱水後、幅出し乾燥を行って性量調整し、最終生地として目付150g/mの生地を得た。密度の粗い面を表としたときの表面の編地密度がコース36/inch、ウエール23/inchの編地を得た。この編地を評価に供した。
上記工程によって得た編地の評価を実施し、その結果を表1に示す。風合いは、KES測定で曲げ剛性(B値)の縦横平均が0.003と非常に柔らかい結果を得た。さらに、官能評価でも大変柔らかい評価であった。抗ピリング性は3.5級と良好な値を得た。それ以外の生地性能を表1に示す。
実施例2
実施例1で得た結束紡績糸40/1とエステル仮撚加工糸84T−36fを1:1の交編比で30′′−22G LPJ(福原精機製)で交編してメッシュ組織(図1)の丸編み生機を製編した。編成時の編成条件は糸長320mm/100ウェルであった。次いで実施例1と同条件にて染色加工し、編地を得た。編地構成の詳細とその評価結果を表1に示す。有効幅150cm、目付80g/mで、風合いは、KES測定で曲げ剛性(B値)の縦横平均が0.006と柔らかかった。
実施例3
Y形エステル短繊維として、平均粒子径0.5μmの酸化チタン(チタン工業社製が3.0重量%練り込まれた、異形度1.4のY形エステル短繊維(単繊維繊度1.3dtex、繊維長38mm)を用いた以外は実施例1と同条件にて40番手の糸を得た。前記糸とエステル仮撚加工糸84T−36fを1:1の交編比で30′′−22G LPJ(福原精機製)でメッシュ組織(図1)の丸編み生機を製編した。編成時の編成条件は糸長320mm/100ウェルであった。次いで実施例1と同条件にて染色加工し、編地を得た。編地構成の詳細とその評価結果を表1に示す。有効幅150cm、目付80g/mで、風合いは、KES測定で曲げ剛性(B値)の縦横平均が0.005と非常に柔らかかった。
実施例4
Y形エステル短繊維として、酸化チタンが2.0重量%練り込まれた、異形度1.7のY形エステル短繊維(単繊維繊度1.3dtex、繊維長38mm)を用いた以外は実施例1と同条件にて40番手の糸を得た。前記糸とエステル仮撚加工糸84T−36fを1:1の交編比で30′′−22G LPJ(福原精機製)でメッシュ組織(図1)の丸編み生機を製編した。編成時の編成条件は糸長320mm/100ウェルであった。次いで実施例1と同条件にて染色加工し、編地を得た。編地構成の詳細とその評価結果を表1に示す。有効幅150cm、目付80g/mで、風合いは、KES測定で曲げ剛性(B値)の縦横平均が0.009と柔らかかった。
実施例5
実施例1と同様にして酸化チタンが2.0重量%練り込まれた、異形度1.4のY形エステル短繊維(単繊維繊度1.3dtex、繊維長38mm)70重量%と、レーヨン短繊維(ダイワボーレーヨン)(単繊維繊度0.9dtex、繊維長38mm)20重量%と、綿コーマースライバー10重量%からなるスライバーを得た。次いで村田機械製結束紡績機(MVS)を用いて200倍のドラフトを掛け、40番手の糸を得た。前記結束紡績糸とエステル仮撚加工糸84T−36fを1:1の交編比で30′′−22G LPJ(福原精機製)でメッシュ組織(図1)の丸編み生機を製編した。編成時の編成条件は糸長320mm/100ウェルであった。次いで実施例1と同条件にて染色加工し、編地を得た。有効幅150cm、目付80g/mで、風合いは、KES測定で曲げ剛性(B値)の縦横平均が0.007と柔らかかった。編地構成の詳細とその評価結果を表1に示す。
実施例6
実施例1と同様にして酸化チタンが2.0重量%練り込まれた、異形度1.4のY形エステル短繊維(単繊維繊度1.3dtex、繊維長38mm)30重量%と、レーヨン短繊維(ダイワボーレーヨン)(単繊維繊度0.9dtex、繊維長38mm)40重量%と、綿コーマースライバー30重量%からなるスライバーを得た。次いで村田機械製結束紡績機(MVS)を用いて200倍のドラフトを掛け、40番手の糸を得た。前記結束紡績糸とエステル仮撚加工糸84T−36fを1:1の交編比で30′′−22G LPJ(福原精機製)でメッシュ組織(図1)の丸編み生機を製編した。編成時の編成条件は糸長320mm/100ウェルであった。次いで実施例1と同条件にて染色加工し、編地を得た。有効幅150cm、目付80g/mで、風合いは、KES測定で曲げ剛性(B値)の縦横平均が0.009と柔らかかった。編地構成の詳細とその評価結果を表1に示す。
実施例7
実施例1と同様にして酸化チタンが2.0重量%練り込まれた、異形度1.4のY形エステル短繊維(単繊維繊度1.3dtex、繊維長38mm)30重量%と、レーヨン短繊維(ダイワボーレーヨン)(単繊維繊度0.9dtex、繊維長38mm)50重量%と、綿コーマースライバー20重量%からなるスライバーを得た。次いで村田機械製結束紡績機(MVS)を用いて200倍のドラフトを掛け、40番手の糸を得た。前記結束紡績糸とエステル仮撚加工糸84T−36fを1:1の交編比で30′′−22G LPJ(福原精機製)でメッシュ組織(図1)の丸編み生機を製編した。編成時の編成条件は糸長320mm/100ウェルであった。次いで実施例1と同条件にて染色加工し、編地を得た。有効幅150cm、目付80g/mで、風合いは、KES測定で曲げ剛性(B値)の縦横平均が0.005と非常に柔らかかった。編地構成の詳細とその評価結果を表1に示す。
実施例8
酸化チタンが2.0重量%練り込まれた、異形度1.4のY形エステル短繊維(単繊維繊度1.3dtex、繊維長38mm)50重量%と、レーヨン短繊維(ダイワボーレーヨン)(単繊維繊度0.9dtex、繊維長38mm)50重量%を、OHARA製混綿機を用いて混綿した。その後、混綿した繊維を石川製作所製カード機を用いてカードスライバーとし、原織機製練条機に2回通して250ゲレン/6ydのスライバーを得た。次いで村田機械製結束紡績機(MVS)を用いて200倍のドラフトを掛け、40番手の糸を得た。前記結束紡績糸とエステル仮撚加工糸84T−36fを1:1の交編比で30′′−22G LPJ(福原精機製)でメッシュ組織(図1)の丸編み生機を製編した。編成時の編成条件は糸長320mm/100ウェルであった。次いで実施例1と同条件にて染色加工し、編地を得た。有効幅150cm、目付80g/mで、風合いは、KES測定で曲げ剛性(B値)の縦横平均が0.003と非常に柔らかかった。編地構成の詳細とその評価結果を表1に示す。
実施例9
実施例1で得た結束紡績糸40/1とエステル仮撚加工糸84T−36fを1:1の交編比で30′′−22G LPJ(福原精機製)で交編してワッフル組織(図2)の丸編み生機を製編した。編成時の編成条件は糸長300mm/100ウェルであった。次いで実施例1と同条件にて染色加工し、編地を得た。編地密度は、60コース/インチ、20ウェル/インチ、有効幅170cm、目付100g/mで、風合いはKES測定で曲げ剛性(B値)の縦横平均が0.015と柔らかかった。
編地構成の詳細とその評価結果を表1に示す。
実施例10
実施例1で得た結束紡績糸40/1紡績糸を経緯に用いたブロード(平織)を作成した。まず、一本糊付機(柿木製作所製)を用いて常法にて糊付けして、NAS整経機(スズキワーパー社製)を用いて経糸総本数5870本で整経した。次に同じ結束紡績糸40/1を緯糸に用いてエアージェットルーム(豊田自動織機社製)にて経糸密度122本/インチ、緯糸密度72本/インチのブロードを製織した。この生機を通常の連続工程・条件にて毛焼・糊抜処理を行い、引き続き精練・漂白処理(塩素系)を行った。次にクリップテンター方式の連続シルケット機にてマーセライズ処理(苛性ソーダ18°ボーメー、常温処理)を行った。続いて住友カラーケミカル(株)Unithron K染料(BLUE BCKdis.pdr.1% solution)を用いて製連続染色法(パッド・ドライ−サーモゾール法)にて綿をバット染料、ポリエステルを分散染料で染色した。さらに、この織物を処方4のパディング液にで浸漬した後、マングルでウエット・ピックアップ率60%で絞り、ピンテンターにて120℃で幅出し乾燥し仕上織物を作成した。織物の経密度は124本/インチ、緯密度73本/インチ、有効幅114cm、目付115g/mで、風合いは曲げ剛性(B値)の縦横平均が0.039(経0.075,緯0.032)であった。編地構成の詳細とその評価結果を表1に示す。
処方4
日華化学(株)製ポリエチレン系柔軟剤 PE713 0.5%solution
日華化学(株)製親水性シリコーン柔軟剤 ニッカシリコンAQ−1 1.0%solution
実施例11
実施例1と同様にして酸化チタンが2.0重量%練り込まれた、異形度1.4のY形エステル短繊維(単繊維繊度0.9dtex、繊維長38mm)50重量%と、レーヨン短繊維(ダイワボーレーヨン)(単繊維繊度1.3dtex、繊維長38mm)30重量%と、綿コーマースライバー20重量%からなるスライバーを得た。次いで村田機械製結束紡績機(MVS)を用いて200倍のドラフトを掛け、40番手の糸を得た。前記結束紡績糸とエステル仮撚加工糸84T−36fを1:1の交編比で30′′−22G LPJ(福原精機製)でメッシュ組織(図1)の丸編み生機を製編した。編成時の編成条件は糸長320mm/100ウェルであった。次いで実施例1と同条件にて染色加工し、編地を得た。有効幅150cm、目付80g/mで、風合いは、KES測定で曲げ剛性(B値)の縦横平均が0.004と非常に柔らかかった。編地構成の詳細とその評価結果を表1に示す。
実施例12
実施例1と同様にして酸化チタンが2.0重量%練り込まれた、異形度1.4のY形エステル短繊維(単繊維繊度1.3dtex、繊維長38mm)50重量%と、リヨセル短繊維(レンチング社製)(単繊維繊度1.0dtex、繊維長38mm)30重量%と、綿コーマースライバー20重量%からなるスライバーを得た。次いで村田機械製結束紡績機(MVS)を用いて200倍のドラフトを掛け、40番手の糸を得た。前記結束紡績糸とエステル仮撚加工糸84T−36fを1:1の交編比で30′′−22G LPJ(福原精機製)でメッシュ組織(図1)の丸編み生機を製編した。編成時の編成条件は糸長320mm/100ウェルであった。次いで実施例1と同条件にて染色加工し、編地を得た。有効幅150cm、目付80g/mで、風合いは、KES測定で曲げ剛性(B値)の縦横平均が0.006と非常に柔らかかった。編地構成の詳細とその評価結果を表1に示す。
比較例1
Y形エステル短繊維の代わりに、異形度が1.0である丸形エステル短繊維を用いた以外は実施例1と同条件にて40番手の糸を得たが、可紡性が極めて悪かった。実生産には不向きな生産状況であったが、前記糸とエステル仮撚加工糸84T−36fを1:1の交編比で30′′−22G LPJ(福原精機製)でメッシュ組織(図1)の丸編み生機を製編した。編成時の編成条件は糸長320mm/100ウェルであった。次いで実施例1と同条件にて染色加工し、編地を得た。有効幅150cm、目付80g/mで、風合いは、KES測定で曲げ剛性(B値)の縦横平均が0.004と非常に柔らかかった。編地構成の詳細とその評価結果を表1に示す。
比較例2
Y形エステル短繊維として、酸化チタンが0.5重量%練り込まれた、異形度1.4のY形エステル短繊維(単繊維繊度1.3dtex、繊維長38mm)を用いた以外は実施例1と同条件にて40番手の糸を得た。前記糸とエステル仮撚加工糸84T−36fを1:1の交編比で30′′−22G LPJ(福原精機製)でメッシュ組織(図1)の丸編み生機を製編した。編成時の編成条件は糸長320mm/100ウェルであった。次いで実施例1と同条件にて染色加工し、編地を得た。有効幅150cm、目付80g/mで、風合いは、KES測定で曲げ剛性(B値)の縦横平均が0.010と硬かった。編地構成の詳細とその評価結果を表1に示す。
比較例3
各糸の混率を変更して、酸化チタンが2.0重量%練り込まれた、異形度1.4のY形エステル短繊維(単繊維繊度1.3dtex、繊維長38mm)10重量%と、レーヨン(ダイワボーレーヨン)(単繊維繊度0.9dtex、繊維長38mm)60重量%と、綿30重量%とを混紡した糸を用いた以外は実施例1と同条件にて40番手の糸を得た。前記糸とエステル仮撚加工糸84T−36fを1:1の交編比で実施例1と同条件にてメッシュ組織(図1)の丸編み生機を製編し染色加工し、編地を得た。有効幅150cm、目付80g/mで、風合いは、KES測定で曲げ剛性(B値)の縦横平均が0.004と非常に柔らかかったものの、エステル混率が49%であるため、乾燥性が80分と悪く、W&W性も2.8級と形態安定性に乏しいものであった。編地構成の詳細とその評価結果を表1に示す。
比較例4
各糸の混率を変更して、酸化チタンが2.0重量%練り込まれた、異形度1.4のY形エステル短繊維(単繊維繊度1.3dtex、繊維長38mm)80重量%と、レーヨン(ダイワボーレーヨン)(単繊維繊度0.9dtex、繊維長38mm)10重量%と、綿を10重量%とを混紡した糸を用いた以外は実施例1と同条件にて40番手の糸を得た。前記糸とエステル仮撚加工糸84T−36fを1:1の交編比で実施例1と同条件にてメッシュ組織(図1)の丸編み生機を製編し染色加工し、編地を得た。有効幅150cm、目付80g/mで、乾燥性は38分、W&W性が4.0級と良好であったが、風合いは、KES測定で曲げ剛性(B値)の縦横平均が0.015と硬い風合いで、吸湿性も1.7%と低いものであった。編地構成の詳細とその評価結果を表1に示す。
比較例5
酸化チタンが2.0重量%練り込まれた、異形度1.4のY形エステル短繊維(単繊維繊度1.3dtex、繊維長38mm)50重量%と、レーヨン(ダイワボーレーヨン)(単繊維繊度0.9dtex、繊維長38mm)30重量%と、綿20重量%とを混紡した。その後、実施例1と同条件にてスライバーを紡出、次いで豊和製粗紡機を用いて120ゲレン/15ydを紡出し、豊田紡織製のリング精紡機を用いて回転数1100m/min、撚係数Kで3.6とし40番手の糸を得た。その後、実施例1と同条件にてエステル仮撚加工糸84T−36fを1:1の交編比で30′′−22G LPJ(福原精機製)でメッシュ組織(図1)の丸編み生機を製編し染色加工し、編地を得た。有効幅150cm、目付80g/mで、風合いは、KES測定で曲げ剛性(B値)の縦横平均が0.003と非常に柔らかかったが、ピリング性が2.0級と悪いものであった。編地構成の詳細とその評価結果を表1に示す。
比較例6
Y形エステル短繊維として、酸化チタンが0.5重量%練り込まれた、異形度1.4のY形エステル短繊維(単繊維繊度1.3dtex、繊維長38mm)を50重量%と綿を50重量%混紡した糸を紡出し実施例1と同条件にて40番手の糸を得た。前記糸とエステル仮撚加工糸84T−36fを1:1の交編比で30′′−22G LPJ(福原精機製)でメッシュ組織(図1)の丸編み生機を製編した。編成時の編成条件は糸長320mm/100ウェルであった。次いで実施例1と同条件にて染色加工し、編地を得た。有効幅150cm、目付80g/mで、風合いは、KES測定で曲げ剛性(B値)の縦横平均が0.027と硬いものであった。編地構成の詳細とその評価結果を表1に示す。
Figure 0005658602
本発明の紡績糸を使った編織物は、吸汗速乾性を有しつつ、洗濯耐久性に要求される抗ピリング性、形態安定性に優れ、且つ非常に柔らかな風合いを有しているため、インナーやスポーツシャツ等の厳しい性能が要求される用途に好適に用いられる。

Claims (4)

  1. 無機微粒子が1.0〜4.0重量%練り込まれ、異形度が1.2〜1.7であり、単繊維繊度が0.3〜2.5dtexであるポリエステル短繊維30〜75重量%と、単繊維繊度が0.3〜2.5dtexである、再生セルロース繊維及び溶剤紡糸セルロース繊維から選択されるセルロース系繊維15〜70重量%とを含み、結束紡績で紡出されていることを特徴とする紡績糸。
  2. 請求項1に記載の紡績糸を30〜100重量%含む編物であって、KES曲げ剛性が0.003〜0.015であることを特徴とする編物
  3. 請求項1に記載の紡績糸を30〜100重量%含む織物であって、KES曲げ剛性が0.05〜0.01であることを特徴とする織物。
  4. 請求項1に記載の紡績糸95〜50重量%と、単繊維繊度1.0〜2.5dtexの疎水性フィラメント5〜50重量%とを用いて交編織されていることを特徴とする編織物。
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