JP7253907B2 - 紡績性及び吸放湿性に優れた紡績糸及び織編物 - Google Patents

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Description

本発明は、紡績性、吸放湿性、速乾性、ピリング性、及びUVカット性に優れた紡績糸、並びにそれを用いた織編物に関するものである。
従来のアクリレート系繊維を用いた素材は、吸湿性に優れる特性を有しており、夏の高温・発汗により蒸れやすい衣服内の湿度を吸収して快適性を高める効果が期待できるが、実際には、高湿度環境になる前の通常湿度環境で既に多くの水分を吸収しているため、素材が持っている吸湿絶対量と比較して、高湿度雰囲気での吸湿量はそれほど多くないことがあった。
アクリレート系繊維は、高い吸湿特性を有する反面、強度が低いため、紡績工程だけでなく織、編み工程でもダメージを受け易く、紡績において工程通過性が悪く、糸切れが多いなど紡績性が悪く、混用率や紡績される番手についても太番手に限定されたものとなっていた。
糸品位については、アクリレート系繊維の工程通過時に発生する短繊維切れにより、毛羽の発生が増加し、糸品位を著しく低下せしめるという欠点を有している。得られる織編物においても同様に毛羽の増加やピリングによる生地品位の低下が大きな課題となっている。
また、通常のアクリレート系繊維は、低湿度環境下でも大きな水分率を有しており、また少しの環境変化でアクリレート系繊維の水分率が大きく変化するため、膨潤時の繊維の挙動が変化しやすいことも、工程通過性や、糸品位を低下させる原因となっていた。
このようなアクリレート系繊維を用いた紡績糸及び製品の糸品位を改善する方法として、長短複合紡績糸及びその製造方法が提案されている(特許文献1参照)。この長短複合紡績糸は、品位や強度に優れているが、電気開繊装置を用いているため、コスト高になる問題があり、また、ピリング性能において十分とは言えないものであった。
一方、繊維断面の異形度が1.8以上のポリエステル繊維を含むエア交絡紡績糸を用いることで吸水速乾性、抗ピル性に優れたソフトな風合いの紡績糸を安価に提供する方法が提案されている(特許文献2参照)。しかし、この紡績糸は、吸水速乾性が高いが、吸湿性が低いポリエステル繊維で作られるため、発汗時の不快感を改善するには不十分であった。
特開2004-308035号公報 特開2005-220478号公報
本発明は、上記の従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その目的は、人体にとって不快な高湿度下において優れた吸湿性能を発揮するとともに、大量に発汗しても肌表面の汗を素早く拡散して乾燥させることで、高湿度下での高い快適性を得ることができる、紡績性に優れた紡績糸を提供することにある。更には、快適な着心地と吸放湿性に加えて、速乾性、抗ピリング性、及びUVカット性に優れた紡績糸、及びそれを用いた織編物を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、低・中湿度環境下での吸湿性が抑制されるが、高湿度環境下において急激に吸湿特性を発揮する特定の芯鞘構造を有するアクリレート系繊維を用いた短繊維のみで構成し、かつ結束構造を有する紡績糸により、紡績性と紡績糸の品位、さらには高湿度環境下での快適性などに優れた紡績糸が実現できることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は、以下の(1)~()の構成を有するものである。
(1)アクリロニトリル系重合体を90重量%以上含有する芯部と、架橋構造とカルボキシル基を有する重合体を90重量%以上含有する鞘部とからなる芯鞘構造を有するアクリレート系短繊維であって下記式で示される数値Aが0.050~0.080であるアクリレート系短繊維を10~50重量%含み、さらに繊度0.5~1.3dtexのポリエステル短繊維を30~90重量%含む短繊維のみからからなり、かつ結束構造を有することを特徴とする紡績糸。
A=カルボキシル基量[mmol/g]/繊維横断面における鞘部の占める面積の割合[%]
(2)リエステル短繊維が異形断面形状であることを特徴とする(1)に記載の紡績糸。
)ポリエステル短繊維が酸化チタンを2.0~5.0重量%含有することを特徴とする()又は()に記載の紡績糸。
)ICIピリング特性が3.0級以上であることを特徴とする(1)~()のいずれかに記載の紡績糸。
)紡績糸の20℃70%RHの環境下での吸湿率と20℃95%RHの環境下での吸湿率の間の吸湿率の差が1.0~5.0%であることを特徴とする(1)~()のいずれかに記載の紡績糸。
)(1)~()のいずれかに記載の紡績糸を少なくとも一部分に使用していることを特徴とする織編物。
)肌に接触する面において(1)~()のいずれかに記載の紡績糸を30重量%以上使用していることを特徴とする織編物。
本発明の紡績糸及び織編物によれば、人体にとって不快な高湿度下において、従来に比べて高い吸湿性能を発揮するとともに、大量に発汗しても肌表面の汗を素早く拡散して乾燥させることで、高湿度下での高い快適性を得ることができる。そして、吸湿の必要のない低湿度環境においては吸湿した水分を発散、放熱するので、快適な衣服内環境を提供することができる。また、同時に抗ピリング性に優れ、かつ紡績性が良く、糸品位が格段に優れている。更に、紡績方法や使用される短繊維のポリエステル繊維の種類をさらに厳選することで抗ピリング性やUV遮蔽性を高めることができる。
本発明で使用するアクリレート系繊維の断面構造の概略図である。 本発明の紡績糸の構造の外観写真である。 本発明で使用するアクリレート繊維と従来のアクリレート系繊維の吸湿特性の比較グラフを示す。 本発明で使用するポリエステル繊維の断面の概略図である。 実施例1で使用するメッシュリバースの編組織を示す。
以下、本発明の紡績糸について詳細に述べる。
本発明の紡績糸は、アクリロニトリル系重合体を主成分とする芯部と、架橋構造とカルボキシル基を有する重合体を主成分とする鞘部とからなる芯鞘構造を有し、かつ後述する式で表わされる数値Aが特定の数値範囲内にあるアクリレート系短繊維と他の短繊維とからなるものである。本発明で使用するアクリレート系短繊維は、架橋構造とカルボキシル基を有する重合体を主成分とする鞘部の親水性が高く、芯部を構成するアクリロニトリル系重合体の親水性がほとんどないため、吸湿された水分が繊維の芯部に留まることがなく、鞘部より効率的に放湿することができる。このアクリレート系短繊維は、人体にとって快適とされている20℃50%RH(相対湿度)付近では、レーヨンなどの一般的なセルロース繊維と同様の吸湿特性を示すが、20℃70%RH前後からそれより高湿度下の不快領域になると急激に吸湿能力が上昇する特性を有している。
本発明で使用するアクリレート系短繊維は、アクリロニトリル系重合体を主成分とする芯部と、架橋構造とカルボキシル基を有する重合体を主成分とする鞘部とからなる芯鞘繊維であり、高湿度下での湿度上昇時(特に20℃70%RHから20℃95%RHへの湿度上昇時)の吸収能力が従来のアクリレート系繊維より格段に大きいことを特徴とする。具体的には、図3に示すように、本発明で使用するアクリレート系短繊維は、快適な低湿度範囲での湿度上昇時の飽和吸湿率の上昇は従来より少ない程度であるが、不快な高湿度範囲での湿度上昇時(20℃70%RHから20℃95%RHに変化するとき)の飽和吸湿率の上昇が従来のアクリレートよりも格段に大きいことを特徴とする。ここで、「主成分」とは、鞘部または芯部のそれぞれにおいて、量的に最も多い成分であることを示すものであり、通常の場合であれば、前記の各重合体は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上を占めている。ここで、芯部を構成するアクリロニトリル系重合体もまた、架橋構造を有するものであってもよい。
また、本発明で使用するアクリレート系短繊維は、下記式で示される数値Aが0.050~0.080であり、好ましくは0.055~0.070であることを特徴とする。
A=カルボキシル基量[mmol/g]/繊維横断面における鞘部の占める面積の割合[%]
ここで、数値Aは、芯鞘繊維の鞘部(表層部)中のカルボキシル基の濃度に相関する数値であり、この数値が大きいほど極性を有する官能基であるカルボキシル基が繊維表面上に高い濃度で存在することになる。従って、数値Aが大きいほど、繊維表層部により多くの水分を含有できるようになり、かかる水分をより速く外部に放湿することができるようになる。かかる効果を得るためには、数値Aが上記範囲の下限以上であることが必要である。一方、数値Aが上記範囲を超えると、吸湿により繊維表層部が粘着性を帯び、繊維同士が固着しやすくなりやすいため、紡績加工においてトラブルとなったり、洗濯などで風合いが悪化したりする場合があるので好ましくない。
架橋構造とカルボキシル基を有する重合体におけるカルボキシル基のカウンターイオンとしては、水素イオンだけに限らず、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の陽イオン、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属の陽イオン、マンガン、銅、亜鉛、銀などのその他の金属の陽イオン、アンモニウムイオンなどから1種あるいは複数種を必要な特性に応じて選択することができる。このような水素イオン以外のカウンターイオンを有するカルボキシル基(以下、塩型カルボキシル基という)が存在する場合、上述の高湿度へ変化していくときの飽和吸湿率の上昇がより大きくなり、かつ、放湿速度がより大きくなるので、より大きな吸放湿性が期待できる。かかる塩型カルボキシル基の量は、全カルボキシル基量に対して、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上である。一方、あまりに塩型カルボキシル基量が多くなると、吸湿時に繊維が粘着性を帯びたり、脆化したりしやすくなるため、全カルボキシル基量に対して、好ましくは95%以下、より好ましくは80%以下とすることが望ましい。また、カウンターイオンとして、ナトリウムイオンやカリウムイオンを選択した場合には吸放湿性をさらに大きくすることができる。
本発明で使用するアクリレート系短繊維の代表的な製造方法としては、アクリロニトリル系繊維の表層部に架橋導入処理と加水分解処理を施す方法を採用することができる。なお、架橋導入処理については表層部(鞘部)にとどまらず、中心部(芯部)にまで施されてもよい。原料となるアクリロニトリル系繊維は、アクリロニトリル系重合体から公知の方法で製造することができる。アクリロニトリル系重合体は、アクリロニトリルが50重量%以上であることが好ましく、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは85重量%以上である。後述するように、架橋構造は、アクリロニトリル系重合体のニトリル基と架橋剤の反応によって形成されるため、アクリロニトリル系重合体中のアクリロニトリルの含有量が少ない場合は、架橋構造を導入できる量が少なくなり、加工や実用面において繊維強度が不足するおそれがある。
上記のようなアクリロニトリル系繊維に対して架橋構造が導入される。架橋構造の導入には、従来公知の架橋剤を使用してもよいが、架橋構造の導入効率の点から窒素含有化合物を使用することが好ましい。窒素含有化合物としては、2個以上の1級アミノ基を有するアミノ化合物やヒドラジン系化合物を使用することが好ましい。2個以上の1級アミノ基を有するアミノ化合物としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのジアミン系化合物、ジエチレントリアミン、3,3’-イミノビス(プロピルアミン)、N-メチル-3,3’-イミノビス(プロピルアミン)などのトリアミン系化合物、トリエチレンテトラミン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)-1,3-プロピレンジアミン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)-1,4-ブチレンジアミンなどのテトラミン系化合物、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンなどであって2個以上の1級アミノ基を有するポリアミン系化合物などが例示される。また、ヒドラジン系化合物としては、水加ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン、臭化水素酸ヒドラジン、ヒドラジンカーボネートなどが例示される。なお、1分子中の窒素原子の数の上限は特に限定されないが、12個以下であることが好ましく、さらに好ましくは6個以下であり、特に好ましくは4個以下である。1分子中の窒素原子の数が上記上限を超えると、架橋剤分子が大きくなり、繊維内に架橋構造を導入しにくくなる場合がある。架橋構造を導入する条件としては、特に限定されるものではなく、採用する架橋剤とアクリロニトリル系繊維との反応性や架橋構造の量などを勘案し、適宜選定することができる。例えば、架橋剤としてヒドラジン系化合物を用いる場合は、ヒドラジン濃度として0.1~10重量%となるように上記のヒドラジン系化合物を添加した水溶液に、上述したアクリロニトリル系繊維を浸漬し、80~150℃、2~10時間で処理する方法などが挙げられる。
架橋構造が導入された後は、アルカリ性金属化合物による加水分解処理が施され、繊維の表層部に存在しているニトリル基が加水分解され、カルボキシル基が形成される。具体的な処理条件としては、上述したカルボキシル基濃度などを勘案し、処理薬剤の濃度、反応温度、反応時間等の諸条件を適宜設定すればよいが、好ましくは0.5~10重量%、さらに好ましくは1~5重量%の処理薬剤水溶液中、温度80~150℃で2~10時間処理する手段が工業的、繊維物性的にも好ましい。ここで、上述の架橋導入処理および加水分解処理は、上述のように順に行うより、それぞれの処理薬剤を混合した水溶液を用いて、一括して同時処理することが好ましい。さらに、この同時処理においては、従来より低濃度のアルカリ金属化合物の緩い条件で行い、その後の酸処理を従来より高温での厳しい条件で行うことが好ましい。このようにして得られるアクリレート系繊維は、表層部(鞘部)に従来より多くのカルボキシル基が存在し、中心部(芯部)に比較的硬いアクリロニトリル系重合体が温存された構造をとることができる。
形成されたカルボキシル基のカウンターイオンとしては、上述したようなものが挙げられる。所望のカウンターイオンに調整する方法としては、硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩などの金属塩によるイオン交換処理、硝酸、硫酸、塩酸、蟻酸などによる酸処理、あるいは、アルカリ性金属化合物などによるpH調整処理などを施す方法が挙げられる。
上述のようにして製造される本発明のアクリレート系短繊維は、20℃70%RHの環境下での吸湿率が20~35%であり、かつ20℃95%RHの環境下での吸湿率が50~70%であり、両者の間の吸湿率の差が30~45%であることができる。それによって本発明の紡績糸は、後述する評価方法によって求めた20℃70%RHの環境下での吸湿率と20℃95%RHの環境下での吸湿率の間の吸湿率の差が1.0~5.0%にすることができる。さらに、芯部が硬いアクリロニトリル系重合体で構成されることにより、繊維物性が低下せず、紡績加工を行い易く、また使用時の耐久性も向上させることができる。
上記のアクリレート系短繊維は、他の短繊維と混繊して、短繊維のみからなる紡績糸を形成する。紡績糸におけるアクリレート系短繊維の混用率は10~50重量%が好ましく、更に好ましくは10~40重量%である。アクリレート系短繊維の混用率が上記範囲未満になると、高湿度時の吸湿性を十分に発揮できないおそれがあり、上記範囲を越えると、糸状の品位が低下すると共にコスト面からも望ましくない。
本発明の紡績糸を構成するアクリレート系繊維以外の短繊維としては、ポリエステル、ナイロン、綿、レーヨンなどのテキスタイル用の短繊維であれば、いずれのものも使用することができ、特に限定されない。本発明のアクリレート系短繊維の特徴を有効に発揮させるためにはポリエステルやナイロンなどの疎水性繊維を使用することが好ましく、更に好ましくはポリエステルである。
本発明の紡績糸は、アクリレート系短繊維以外に異形断面形状のポリエステル短繊維を30~90重量%含有することが好ましい。ポリエステル短繊維の断面形状については、図4に示すようなY形断面が一例として挙げられるが、これに限定されるものではない。ポリエステル短繊維の異形度は、図4に示される内接円の半径r1と外接円の半径r2の比が下記式において1.5以上であることが好ましく、より好ましくは1.8以上、更に好ましくは2.0以上である。
異形度=r2(外接円の半径)/r1(内接円の半径)
上記の異形度を有することにより、水分の拡散性や速乾性に優れた特性を付与することができるとともに、より大きな繊維表面積で赤外線を吸収することが可能となる。
ポリエステル短繊維の繊度は、0.5~1.3dtexであることが好ましい。かかる細い繊度により、紡績糸にした場合の繊維構成本数を確保することができるため、糸強度が安定し、紡績工程での通過性を向上させることが可能となり、10~60番手クラスの幅広い番手の紡績が可能となると共に、繊維間を水分が移行、拡散する毛細管現象も見られるため、速乾性能を向上させることもできる。
ポリエステル短繊維は、酸化チタンを2.0~5.0重量%の割合で含有することが好ましい。酸化チタンをかかる濃度で含有すると、太陽光遮断効果が高くなり、優れたUVカット性と熱遮蔽性能を得ることができる。含有割合が上記範囲未満であると、熱遮蔽効果が低下し、十分な効果が得られない可能性がある。一方、上記範囲を越えると、ポリエステル繊維の紡糸工程での操業性が著しく低下し、安定した生産が困難となるおそれがある。
紡績糸におけるポリエステル短繊維の混用率は、30~90重量%、さらには40~80重量%であることが好ましい。混用率が前記範囲30%未満であると、UVカット性や速乾性能の機能を得ることが困難となり、前記範囲を超えると、アクリレート系繊維の構成比率が少なくなりすぎるため、吸湿性が不十分となるおそれがある。
通常の紡績機周辺の温湿度領域において、従来のアクリレート系短繊維では紡績性が低下しやすく、特に結束紡績において紡績性の低下が顕著であった。しかし、本発明の紡績糸がアクリレート系短繊維とポリエステル短繊維から構成される場合は、結束紡績においても非常に高い紡績性を得ることができる。この紡績方法により紡績された糸の構造として、糸の外層部と内層部の撚角度を異ならせた構造を有する紡績糸とすることが好ましい。このような構造を有することで、毛羽が少なく耐摩耗性に優れた糸特性を発揮させることが可能となり、工程通過や製品使用による糸の外観品位の低下が少なく、生地においても繰り返し着用による表面の乱れやピリングの発生を抑制することが可能となる。
結束紡績法により、毛羽が少なく耐摩耗性に優れた紡績糸が得られることは知られているが、従来のアクリレート系繊維は、繊維強度が低く、結束紡績を行う際の繊維損傷が大きくなるため、実際には紡績を行うことが困難である。本発明で使用されるアクリレート系繊維は、芯鞘構造の芯部がアクリロニトリル系重合体で構成されるため、一般的なアクリル繊維と同様の繊維強度を持ち、良好な紡績性を得ることができる。
次に、本発明の紡績糸の製造方法を説明する。
図1は、本発明のアクリレート系短繊維の芯鞘構造の横断面の概略図である。
鞘部は、高吸湿・高吸水層として架橋構造とカルボキシル基を有する重合体を主成分に構成されており、高湿度下において高い吸湿性を発揮する。芯部は、アクリルニトリル系重合体を主成分に構成された疎水層となっており、繊維の基本特性を安定させ、紡績性を向上させる効果を発揮させると共に、吸湿した水分を繊維内部まで浸透させることなく放湿を促進させる効果を発揮する。
図2は、本発明の紡績糸の拡大された外観写真であり、紡績糸の外層を構成する繊維と内層を構成する繊維とで撚角度が異なる構造を有している。紡績糸の外層繊維は、内層繊維より糸の断面方向に対する撚角度が大きくなっていることで、外層繊維の結束が強くなっており、繊維の先端が糸の内部にもぐり込む構造を有している。これにより紡績糸の表面の毛羽が少なくなり、ピリング性に優れた特性を発揮することができる。
紡績糸の製造方法としては、まず通常の混打綿工程にて、前述の芯鞘構造を有するアクリレート系繊維とポリエステル、ナイロン、レーヨン、綿、麻などの一般的な紡績用短繊維素材を均一に混綿混紡し、通常のカード、練条工程を用いて該アクリレート系繊維を含んだ混紡スライバーを作成する。
次いで該スライバーを、旋回気流式紡績装置を用いて紡績する。このとき紡績糸を構成する繊維の内層側の撚角度が外層側を形成する繊維の撚角度より小さいものとなって紡出され、繊維の内層、外層で撚角度が異なり、結束構造を持った紡績糸が得られる。
撚角度については、糸の表面を撮影し、紡績糸の中心に対する外層部および内層部を構成する繊維の角度を作図により測定する。下記に示す計算式において撚角度比が2以上であることが好ましいが、要求される品質や風合い特性に合致させる観点より特に限定しない。
撚角度差=α2(外層繊維の撚角度)/α1(内層繊維の撚角度)
本発明の紡績糸を少なくとも一部用いて織編物を作成する場合、好ましくは肌に接触する面において、本発明の紡績糸を30%重量以上用いることが好ましい。より好ましくは50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上である。使用割合が上記範囲未満の場合には、高湿度下で強く吸湿して衣服-肌の間の空間の湿度を低減する効果が低下しやすい。
なお、編物の場合の各糸割合は、下記の計算方法を用いて算出することができる。
裏綿を構成する各糸毎に総繊度×100W間の糸長×裏面のループ数を算出して、全てを合計したものを分母とし、本発明の紡績糸の総繊度×100W間の糸長×裏綿のループ数を分子として、百分率割合を算出することができる。
例えば、実施例のメッシュリバースにおけるメッシュ面の複合紡績糸の割合は、以下のように算出することができる。
(i)SD84T36=84T×糸長0.37m×裏面ループ数24=745.92
(ii)FTY22T-56=総繊度63T×糸長0.26m×裏面ループ数0=0
(iii)複合紡績糸=総繊度118T×糸長0.26m×裏面ループ数64=1963.52
(iv)肌面における複合紡績糸の重量割合=1963.52/(745.92+0+1963.52)×100=72.47%
本発明の織編物では、肌側の面が凹凸構造を持っていることが好ましい。例えば、メッシュリバース等のメッシュ面を用いることが好ましい。丸編みの具体例としては、外気面がオールニット構造をなし、肌面がメッシュやハニカム等の凹凸構造を持つものが好ましい。メッシュ凸部として本発明の紡績糸を用いて、糸が無い凹部を組織上に作ることにより、肌と織編物の接触面積を下げて、肌と織編物の間の微細空間を作ることができる。このような編構造にすることで、本発明の紡績糸による高湿度下での吸湿快適性を高め、更に紡績糸の水分拡散性を活かして速乾性を高めることができる。
以上のように製造される本発明の短繊維のみからなる紡績糸は、前述の特定の芯鞘構造を有するアクリレート系繊維を用いることにより、人体にとって不快とされる高湿度環境下において、優れた吸湿性能を発揮し、かつ吸湿の必要が低い低湿度環境においては吸湿した水分を発散、放熱することによって快適な衣服内環境を提供することができる。また、本発明の紡績糸は、製造時の操業効率が良く、紡績性に優れている。さらに、本発明の紡績糸は、拡散性残留水分率評価において40分以下の速乾性、40を超えるUPF特性、3.0級以上のピリング特性を達成することができる。
本発明の織編物の形態としては、インナーウエア、パンツ、シャツ、ユニフォーム、カットソー、デニム、パジャマ、バスローブ、レギンス、ストッキング、サポーター、腹巻、手袋、ハンカチ、タオル、スカーフ、ストール、マフラー、マスク、フェイスマスク、帽子、枕、枕カバー、シーツ、タオルケット、敷きパッド、マット、ラグ、カーペットなどを挙げることができる。織編物中への紡績糸の含有形態は、実質的に均一に存在させる場合や、特定の部分に集中的に存在させる場合や、場所ごとに特定比率で存在させる場合などが考えられる。織編物中の紡績糸の含有割合は、好ましくは少なくとも10重量%であり、より好ましくは少なくとも20重量%である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の評価に用いた測定方法は、以下の通りである。
(1)紡績性
A:混打綿工程、カード工程、練条工程、精紡工程(結束紡績またはリング紡績)の工程における通過性を5名の熟練技術者により以下の5段階で評価してもらい、最も多い評価を評価結果とした。
非常に良好:◎、良好:○、やや良:△、やや不良:△△、不良:×
B:精紡工程における生産効率(実生産量/設備能力量)を5名の熟練技術者により以下の5段階で評価してもらい、最も多い評価を評価結果とした。
非常に良好(90%以上):◎、良好(80%以上90%未満):○、やや良(70%以上80%未満):△、やや不良(60%以上70%未満):△△、不良(60%未満):×
(2)糸品位
糸条板(板巻き)に20本/インチピッチで巻き上げたものを4枚作成して、それぞれの糸の外観を5名の熟練技術者により以下の5段階で評価してもらい、最も多い評価を評価結果とした。
非常に良好:◎、良好:○、やや良:△、やや不良:△△、不良:×
(3)数値A
試料繊維を、繊維重量に対して2.5%のカチオン染料(Nichilon Black G 200)および2%の酢酸を含有する染色浴に、浴比1:80となるように浸漬し、30分間煮沸処理した後に、水洗、脱水、乾燥する。得られた染色済みの繊維を、繊維軸に垂直に薄くスライスし、繊維断面を光学顕微鏡で観察する。このとき、アクリロニトリル系重合体からなる中心部は黒く染色され、カルボキシル基が多く有する表層部は染料が十分に固定されず緑色になる。繊維横断面における、繊維の直径(L1)、および、緑色から黒色へ変色し始める部分を境界として黒く染色されている中心部の直径(L2)を測定し、以下の式により繊維横断面における鞘部の占める面積の割合を算出する。なお、10個の試料の平均値をとる。
繊維横断面における鞘部の占める面積の割合[%]=[1-{(L2/2)π/(L1/2)π}]×100
試料繊維約1gを、50mlの1mol/l塩酸水溶液に30分間浸漬する。次いで、繊維試料を、浴比1:500で水に浸漬する。15分後、浴pHが4以上であることを確認したら、乾燥させる(浴pHが4未満の場合は、再度水洗する)。次に、十分乾燥させた繊維試料約0.2gを精秤し(W1[g])、100mlの水を加え、さらに、15mlの0.1mol/l水酸化ナトリウム水溶液、0.4gの塩化ナトリウムおよびフェノールフタレインを添加して撹拌する。15分後、濾過によって試料繊維と濾液に分離し、引き続き試料繊維を、フェノールフタレインの呈色がなくなるまで水洗する。このときの水洗水と濾液をあわせたものを、フェノールフタレインの呈色がなくなるまで0.1mol/l塩酸水溶液で滴定し、塩酸水溶液消費量(V1[ml])を求める。得られた測定値から、次式によって全カルボキシル基量を算出する。
カルボキシル基量[mmol/g]=(0.1×15-0.1×V1)/W1
上記の式で求めた各数値を用いて下記式により数値Aを算出する。
A=カルボキシル基量[mmol/g]/繊維横断面における鞘部の占める面積の割合[%]
(4)吸湿率
紡績糸の試料を絶乾状態にし、重量を測定した後、20℃50%RHで吸湿させ24時間経過後の重量を測定する。その後20℃70%RHの環境下で吸湿させ、24時間経過後の重量を測定し、更にその後20℃95%RHの環境下で吸湿させ、24時間経過後の重量を測定した。各相対湿度時の紡績糸の重量と絶乾状態の紡績糸の重量から吸湿率を算出した。
(5)拡散性残留水分率
10cm×10cmの試験片の質量(W)を測定し、試験片に水を0.6ml滴下し、重量(WO)を測定したのち、20℃、65%の標準状態下で吊干しして所定時間ごとの重量(Wt)を測定し、時間ごとの残留水分率(%)を測定する。
拡散性残留水分率(%)={(Wt-W}/(WO-W)}×100
(6)ピリング評価
JIS1076-1992A法に基づいてICI形ピリングテスターを用いて5時間の操作の後、編地表面のピリングの発生状態を判定基準に従って等級を判定する。
(7)UPF評価
測定波長領域290~400nmに於いて、分光光度計を用いて、試験片に照射した赤外線の波長毎の透過率(%)を測定する。5nm刻みで測定し、UPF値で評価した。
(8)生地感
各生地の品位(表面毛羽の多少):5名の熟練技術者により以下の5段階で評価してもらい、最も多い評価を評価結果とした。
非常に良好:◎、良好:○、やや良:△、やや不良:△△、不良:×
(9)着用評価(清涼感、ムレ感)
6名の被験者に、編物の試料を着用してもらい、32℃65%RHの環境下で15分間ウオーキングした後、さらに15分間静止する合計30分間の着用試験を行った直後に、被験者に清涼感(さらっと感)、ムレ感について、◎:非常に良好、○:良好、△:普通、×:不快の4段階で評価してもらい、最も多い評価を評価結果とした。
(実施例1)
アクリロニトリル90質量%、アクリル酸メチルエステル10質量%のアクリロニトリル系重合体(30℃ジメチルホルムアミド中での極限粘度[η]=1.5)を48質量%のロダンソーダ水溶液で溶解して、紡糸原液を調製した。該紡糸原液を常法に従って紡糸、水洗、延伸、捲縮、熱処理をして、単繊維繊度1.7dtexのアクリル繊維を得た。
得られたアクリル繊維に、水加ヒドラジン0.5質量%および水酸化ナトリウム2.0質量%を含有する水溶液中で、100℃×2時間、架橋導入処理および加水分解処理を同時に行い、8質量%硝酸水溶液で、100℃×3時間処理し、水洗した。得られた繊維を水に浸漬し、水酸化ナトリウムを添加してカルボキシル基の一部を塩型に調整し、水洗、乾燥することにより、繊度1.7dtexの芯鞘構造を有するアクリレート系繊維を得た。得られた繊維の繊維横断面における鞘部の占める面積の割合は61%であり、カルボキシル基量は3.7mmol/gであり、従って数値Aは0.061であった。なお、かかる繊維の赤外線吸収測定においては、ニトリル基に由来する2250cm-1付近に吸収があり、繊維表層部においてはニトリル基の加水分解が進行しているが、繊維中心部においてはニトリル基が残存していることが確認された。
上記の芯鞘構造を有する繊度1.7dtexのアクリレート系繊維と、酸化チタンを3.0重量%含有する繊度1.0dtexのY型異形断面形状のポリエステル繊維を混打綿工程にて、アクリレート系繊維の構成比率が30重量%、ポリエステル繊維が構成比率で70重量%となるように均一に混紡した後、カード、練条工程を用いてスライバーを作成した。
次いで該スライバーを旋回気流型紡績機(ムラタ・ボルテックス・スピナーMVS 村田機械株式会社製)を使用して50Ne(英式綿番手)の紡績糸を製造した。これにより、図2に示すように外層部と内層部の撚角度が異なり、結束構造を有する英式綿番手50番手の紡績糸を得た。得られた紡績糸とポリエステル仮撚加工糸を使用し、33インチ,22ゲージのダブル丸編機(福原精機製作所製 LPJ)を用いて、リブゲージングで図5に示す完全組織F1からF22からなるメッシュリバース組織の生機を製編した。その際、給糸口F1、F2、F4、F5、F12、F13、F15、F16には酸化チタン微粒子を0.5重量%練りこんだ丸断面のポリエチレンテレフタレート繊維(SD)である84dtex36fのピン仮撚加工糸を用いた。F3、F9、F14、F20にはポリウレタン22dtexを芯とし、鞘にポリエステル仮撚加工糸56T/36fを巻き付けたFTYを用いた。F6、F7、F8、F10、F11、F17、F18、F19、F21、F22には前述の紡績糸を配した。出来上がった生機を開反し、連続精練リラックスした後、乾燥、プレセットを行い、その後染色し、脱水乾燥、テンターにて最終仕上げセットを行った。出来上がった編地は、裏側がメッシュ、表側はフラットとなっており、裏側の紡績糸が吸湿吸水し、表側に拡散することにより、裏側のムレ感、ベトつきが無く、着用中の清涼感を実現することが出来た。
(実施例2)
実施例1においてアクリレート系繊維の製造時の水酸化ナトリウムの濃度を1.5重量%に変更したこと以外は同様にして芯鞘構造を有するアクリレート系繊維、紡績糸、メッシュ生地を作製した。アクリレート系繊維の繊維断面における鞘部の占める面積の割合は45%であり、カルボキシル基量は3.1mmol/g、従って数値Aは0.069であった。
(実施例3)
実施例1においてアクリレート系繊維の製造時の水酸化ナトリウムの濃度を2.5重量%に変更したこと以外は同様にして芯鞘構造を有するアクリレート系繊維、紡績糸、メッシュ生地を作製した。アクリレート系繊維の繊維断面における鞘部の占める面積の割合は78%であり、カルボキシル基量は4.3mmol/g、従って数値Aは0.055であった。
(実施例4)
実施例1と同様の構成及び紡績装置を用いて英式綿番手40番手の紡績糸を得た。得られた紡績糸と、丸断面、SDの110dtex48fのポリエステル仮撚加工糸と、22dtexのポリウレタン繊維を丸断面、SDの84dtex36fのポリエステルフィラメント(生糸)でカバリングしたフィラメントカバリング糸を用いて、33インチ,22ゲージのダブル丸編機(福原精機製作所製 LPJ)を用いて、上記3糸の給糸配列を実施例1と同様にして、メッシュリバース生地を製編した。
(実施例5)
アクリレート系繊維の構成比率を15重量%、ポリエステル繊維の構成比率を85重量%に変更した以外は、実施例1と同様の紡績装置を用いて50Ne(英式綿番手)の紡績糸を製造し、実施例1と同様のメッシュ生地を製編した。
(実施例6)
アクリレート系繊維の構成比率を45重量%、ポリエステル繊維の構成比率を55重量%に変更した以外は、実施例1と同様の紡績装置を用いて50Ne(英式綿番手)の紡績糸を製造し、実施例1と同様のメッシュ生地を製編した。
(実施例7)
ポリエステル繊維の繊度を0.7dtexに変更した以外は、実施例1と同様の紡績装置を用いて50Ne(英式綿番手)の紡績糸を製造し、実施例1と同様のメッシュ生地を製編した。
(比較例1)
アクリレート系繊維の構成比率を5重量%、ポリエステル繊維の構成比率を95重量%に変更した以外は、実施例1と同様の紡績装置を用いて50Ne(英式綿番手)の紡績糸を製造し、実施例1と同様のメッシュ生地を製編した。
(比較例2)
実施例1の芯鞘構造を有するアクリレート系繊維の代わりに、芯鞘構造を有しない通常のアクリレート系繊維(日本エクスラン工業製「エクス」)を用いた以外は、実施例1と同様の紡績装置を用いて50Ne(英式綿番手)の紡績糸を製造し、実施例1と同様のメッシュ生地を製編した。
(比較例3)
実施例1と同様の素材で同様のスライバーを作成した後、通常の粗紡装置を用いてシノマキを作成し、その後リング式精紡機を用いて、結束構造を有さない通常の50Ne(英式綿番手)の紡績糸を製造し、実施例1と同様のメッシュ生地を製編した。
(比較例4)
繊度1.5dtexの丸断面のポリエステル繊維を100%用いた以外は実施例1に記載の方法で50Ne(英式番手)の紡績糸を製造し、実施例1と同様のメッシュ編地を製編した。
(比較例5)
実施例1においてアクリレート系繊維の製造時の水酸化ナトリウムの濃度を3.2重量%に変更したこと以外は同様にして芯鞘構造を有するアクリレート系繊維、紡績糸、メッシュ生地を作製した。アクリレート系繊維の繊維断面における鞘部の占める面積の割合は94%であり、カルボキシル基量は4.4mmol/g、従って数値Aは0.046であった。
実施例1~7及び比較例1~5で得られた紡績糸及び編地の評価結果を表1に示す。
Figure 0007253907000001
Figure 0007253907000002
表1の結果から実施例1~7はいずれも、紡績性が良好で、環境変化に応じた吸湿性が高く、湿度70%以上の人体にとって不快な環境領域で急激な吸湿特性を示しており、かつ速乾性、ピリング性、及びUPF特性に優れている。更に、良好な生地表面を有し、清涼感があり、ムレ感の少ない快適な素材である。一方、比較例1~5は、紡績性や糸品位には優れるもの吸放湿性、着用快適性に劣るものや、吸湿性は高いものの快適環境下と不快な環境下の差が少なく、着用快適性が不十分であるものや、紡績性以外は課題を達成できないものなどであり、いずれかの評価項目に問題があった。
本発明の紡績糸は、紡績性が良好で、従来にない優れた吸放湿性、ピリング性、及びUPF特性に優れた特徴を有し、それを用いた織編物は、スポーツ、インナー、シャツなどで夏物衣料用途や高湿度で発汗の伴なう環境で着用する衣料に好適である。

Claims (7)

  1. アクリロニトリル系重合体を90重量%以上含有する芯部と、架橋構造とカルボキシル基を有する重合体を90重量%以上含有する鞘部とからなる芯鞘構造を有するアクリレート系短繊維であって下記式で示される数値Aが0.050~0.080であるアクリレート系短繊維を10~50重量%含み、さらに繊度0.5~1.3dtexのポリエステル短繊維を30~90重量%含む短繊維のみからからなり、かつ結束構造を有することを特徴とする紡績糸。
    A=カルボキシル基量[mmol/g]/繊維横断面における鞘部の占める面積の割合[%]
  2. リエステル短繊維が異形断面形状であることを特徴とする請求項1に記載の紡績糸。
  3. ポリエステル短繊維が酸化チタンを2.0~5.0重量%含有することを特徴とする請求項又はに記載の紡績糸。
  4. ICIピリング特性が3.0級以上であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の紡績糸。
  5. 紡績糸の20℃70%RHの環境下での吸湿率と20℃95%RHの環境下での吸湿率の間の吸湿率の差が1.0~5.0%であることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の紡績糸。
  6. 請求項1~のいずれかに記載の紡績糸を少なくとも一部分に使用していることを特徴とする織編物。
  7. 肌に接触する面において請求項1~のいずれかに記載の紡績糸を30重量%以上使用していることを特徴とする織編物。
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