JP2014019991A - 吸水拡散性布帛 - Google Patents
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Abstract
【課題】セルロース繊維とポリアミド繊維との混用布帛において、吸水拡散性能およびその洗濯耐久性に優れ、しなやかな風合を有し、肌面へのべたつき感がなく着用感に優れた布帛を提供すること。
【解決手段】セルロース繊維とポリアミド繊維とを混用した布帛であって、ポリアミド系樹脂からなる親水剤を0.5〜3重量%含有し、水溶性カチオンポリマーを0.4〜2重量%含有し、洗濯30回後の吸水拡散面積が9cm2以上であることを特徴とする布帛。
【選択図】なし
【解決手段】セルロース繊維とポリアミド繊維とを混用した布帛であって、ポリアミド系樹脂からなる親水剤を0.5〜3重量%含有し、水溶性カチオンポリマーを0.4〜2重量%含有し、洗濯30回後の吸水拡散面積が9cm2以上であることを特徴とする布帛。
【選択図】なし
Description
本発明は、吸水拡散性能に優れるセルロース繊維とポリアミド繊維との混用布帛に関する。さらに詳しくは、本発明は、優れた吸水拡散性能を有するとともに、吸水拡散性能の洗濯耐久性に優れ、しなやか風合を有し、堅牢度性能にも優れる、セルロース繊維とポリアミド繊維との混用布帛に関する。
近年、繊維製品に対する消費動向の多様化に伴い、複合素材による商品開発が盛んに行われており、特にインナーウエアでは、着用快適性、ファッション性、耐久性、肌への優しさを満足させた商品が要求されている。
そこで、セルロース繊維の優れた風合、吸水、吸放湿性とポリアミド繊維の優れた機械強度、耐薬品性、耐熱性、発色性、洗濯耐久性、ソフトな肌触り感などの特徴を活かし、これら2素材の複合素材にて商品が開発されている。
しかしながら、衣服の着用時、特に夏場における日常生活の中での着用時に、汗をかいたとき布帛全体が濡れてべたつき感があったり、乾燥性が悪いために汗をかいた後に冷え感があり、不快感を覚えることから、着用時の快適性向上が求められている。
そこで、セルロース繊維の優れた風合、吸水、吸放湿性とポリアミド繊維の優れた機械強度、耐薬品性、耐熱性、発色性、洗濯耐久性、ソフトな肌触り感などの特徴を活かし、これら2素材の複合素材にて商品が開発されている。
しかしながら、衣服の着用時、特に夏場における日常生活の中での着用時に、汗をかいたとき布帛全体が濡れてべたつき感があったり、乾燥性が悪いために汗をかいた後に冷え感があり、不快感を覚えることから、着用時の快適性向上が求められている。
このため快適性に優れた布帛として各種の提案がなされており、例えば、下記特許文献1には、表側に撥水性繊維と水を吸収或いは拡散する繊維とからなる糸状を、裏面に水を吸収する繊維からなる糸状を配した濡れ感の少ない編地が、下記特許文献2には、ポリアミド繊維に特定のポリビニルピロリドンを付与し吸湿性を高めることでべとつかないインナーウエアが、下記特許文献3には、単糸繊度が0.5デニール以下で異型度が2.5以上の多葉断面糸と単糸繊度が多葉断面糸の10倍以上の太繊度繊維とを複合させることにより、汗をすみやかに吸収する拡散性の良い編地が、下記特許文献4には、撥水性の高い繊維と撥水性に劣る繊維とを縞(ストライプ)状パターンに配することで吸水拡散性が高まり汗による濡れ感やべたつき感が低減できる編地が、それぞれ提案されている。
しかしながらこれらの方法では、それぞれの機能の洗濯耐久性能が劣るとともに、その機能は、温度が20℃から28℃、湿度が50%から65%に調整された条件下での試験にて、濡れ感が少ないとか、べたつき感を感じないとか、吸水拡散性が良好であるもので、実際に衣料を着用した環境下では良好とは言えない。衣服を着用している間の環境条件は、日常生活状態や運動状態によって異なるものの、一般的には衣服内温度が30〜36.5℃で、衣服内湿度が70〜95%になる。このような実際に着用したときの環境条件や衣服内の温湿度変化をベースにして快適性を論じる必要がある。
すなわち、着用され始めた直後から着用者がむれ感を感じるような条件領域さらには着用者が多くの汗を出すような条件領域への環境変化に即応して、いかに着用感に優れた特性を布帛に付与するかがポイントである。従来は、温度20℃で湿度65%の標準状態における平衡水分率を主体に論じられており、上記のような着用され始めた直後から着用者がむれ感を感じるような条件領域さらには着用者が多くの汗を出すような条件領域などにおける、布帛の吸水拡散性、吸放湿スピードおよび熱損失などについては、ほとんど着目されていなかったのが実状である。このような観点から、従来技術で得られた布帛においては、実際の着用時に快適性に優れているというには不十分である。
このように現状では、セルロース繊維とポリアミド繊維との混用布帛において、実際に着用した際に、しなやかな肌触り感が得られ、吸水拡散性の洗濯耐久性に優れ、肌面へのべたつき感がなく、良好な快適性をもたらしめる混用布帛は得られていない。
このように現状では、セルロース繊維とポリアミド繊維との混用布帛において、実際に着用した際に、しなやかな肌触り感が得られ、吸水拡散性の洗濯耐久性に優れ、肌面へのべたつき感がなく、良好な快適性をもたらしめる混用布帛は得られていない。
本発明が解決しようとする課題は、セルロース繊維とポリアミド繊維との混用布帛において、吸水拡散性能およびその洗濯耐久性に優れ、しなやかな風合を有し、肌面へのべたつき感がなく着用感に優れた布帛およびその製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、実際の着用状態を基本においた条件下での着用快適性につき鋭意検討し、実験を重ねたところ、セルロース繊維とポリアミド繊維との混用布帛において、ポリアミド系樹脂からなる親水剤および水溶性カチオンポリマーを付与することで良好な吸水拡散性能が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりのものである。
すなわち本発明は、以下のとおりのものである。
[1]セルロース繊維とポリアミド繊維とを混用した布帛であって、ポリアミド系樹脂からなる親水剤を0.5〜3重量%含有し、水溶性カチオンポリマーを0.4〜2重量%含有し、洗濯30回後の吸水拡散面積が9cm2以上であることを特徴とする布帛。
[2]洗濯30回後の水滴消失時間が1秒以下であり、かつ、洗濯30回後の吸水拡散面積の変化率が50%以下であることを特徴とする上記[1]に記載の布帛。
[3]セルロース繊維の含有量が30重量%以上であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の布帛。
[4]セルロース繊維とポリアミド繊維との混用布帛を酸性染料とポリアミド樹脂からなる親水剤を併用して染色し、次いで水溶性カチオンポリマーにて処理することを特徴とする布帛の製造方法。
[2]洗濯30回後の水滴消失時間が1秒以下であり、かつ、洗濯30回後の吸水拡散面積の変化率が50%以下であることを特徴とする上記[1]に記載の布帛。
[3]セルロース繊維の含有量が30重量%以上であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の布帛。
[4]セルロース繊維とポリアミド繊維との混用布帛を酸性染料とポリアミド樹脂からなる親水剤を併用して染色し、次いで水溶性カチオンポリマーにて処理することを特徴とする布帛の製造方法。
本発明のセルロース繊維とポリアミド繊維とから構成される混用布帛は、着用状態において発生した汗の水分をすばやく吸い取る力とすばやく拡散させる力の2つの力が同時に発揮され、それらの力の相乗効果により、優れた吸水拡散性能が発揮され、吸水拡散性能の洗濯耐久性が改善されるとともに、しなやかな風合を有し優れた染色堅牢度性能を有する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の布帛は、セルロース繊維とポリアミド繊維から構成される布帛であり、吸水拡散性能に優れ、その洗濯耐久性を改良したものである。
本発明においてセルロース繊維とは、綿、麻等の天然セルロース系繊維やビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、ポリノジック等の再生セルロース繊維をいい、再生セルロース繊維が好ましく使用される。中でも銅アンモニア法によって得られるキュプラ(旭化成せんい製ベンベルグ)を用いた場合、本発明の効果が最も顕著に現れるため好ましい。また、セルロース繊維は改質されていても良く、改質セルロース繊維としては、例えば特許第3239146号公報に記載の方法にて、メタクリル酸をグラフト共重合反応させ、後処理にてカルボキシル基を付与したセルロース繊維や、特許第4716543号公報に記載の方法にてポリカルボン酸を付与したセルロース繊維が挙げられる。
本発明の布帛は、セルロース繊維とポリアミド繊維から構成される布帛であり、吸水拡散性能に優れ、その洗濯耐久性を改良したものである。
本発明においてセルロース繊維とは、綿、麻等の天然セルロース系繊維やビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、ポリノジック等の再生セルロース繊維をいい、再生セルロース繊維が好ましく使用される。中でも銅アンモニア法によって得られるキュプラ(旭化成せんい製ベンベルグ)を用いた場合、本発明の効果が最も顕著に現れるため好ましい。また、セルロース繊維は改質されていても良く、改質セルロース繊維としては、例えば特許第3239146号公報に記載の方法にて、メタクリル酸をグラフト共重合反応させ、後処理にてカルボキシル基を付与したセルロース繊維や、特許第4716543号公報に記載の方法にてポリカルボン酸を付与したセルロース繊維が挙げられる。
本発明に係る混用布帛においては、例えば特開2012−46832号公報に記載の方法にてセルロース繊維をセルロース分解酵素で処理し、セルロース繊維の繊維軸方向に特定の大きさの筋状溝を形成させることが、吸い取った水をすばやく拡散させ、吸水拡散性能がより向上するので好ましい。特に、再生セルロース繊維(長繊維)は、セルロース分解酵素で処理する際に、繊維軸方向の特定筋状溝の幅、長さをコントロールし易いという観点からも好ましい。
本発明で用いるセルロース繊維の総繊度は、特に限定はされないが、長繊維の場合には概ね20〜200デシテックスが好ましく、また、しなやかな風合を得るためには単糸繊度が1.0〜1.8デシテックスが好ましい。短繊維の場合には20番手以上が好ましく用いられる。さらに断面形状は、特に限定されないが、しなやかな風合が得やすく、吸水拡散性を高めやすいことからL型断面が好ましい。
また、本発明で用いるセルロース繊維中に、再生セルロース繊維が50%以上含まれることが好ましく、再生セルロース繊維100%がより好ましい。セルロース繊維は単独で用いられていても良く、セルロース繊維同士または他の繊維と複合されていても良い。繊維の形態は、長繊維でも短繊維でもよく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよい。そして、繊維が加工された糸条の形態としては、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸、エアジェット精紡糸等の紡績糸、甘撚糸〜強撚糸、仮撚加工糸、空気噴射加工糸、押し込み加工糸、ニットデニット加工糸等が挙げられる。
セルロース繊維とその他の繊維を混用する場合の糸条の形態の例としては、混紡(混綿、フリース混紡、スライバー混紡、コアヤーン、サイロスパン、サイロフィル、ホロースピンドル等)、交絡混繊、交撚、意匠撚糸、カバリング(シングル、ダブル)、複合仮撚(同時仮撚、先撚仮撚)、伸度差仮撚、位相差、仮撚加工後に後混繊、2フィード(同時フィードやフィード差)空気噴射加工等による混用形態が挙げられる。
本発明においてポリアミド繊維としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン56、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド繊維、およびキシリレンジアミン系ポリアミド繊維、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維などの芳香族ポリアミド繊維などの合成ポリアミド繊維等を用途に応じて適宜選択して使用することができる。
また、繊維の形態は、長繊維でも短繊維でもよく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよい。断面形状においても、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、扁平、ドッグボーン型の多角形型、多葉型、中空形や不定形なものでもよいが、凹部を1個以上有する異型断面が吸水拡散性能をより高まめるので好ましい。
さらに糸状の形態としては、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸等の紡績糸、マルチフィラメント原糸(極細糸を含む)、甘撚糸〜強撚糸、混繊糸、仮撚糸、空気噴射加工糸等が挙げられる。また、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化チタン、カーボンブラックなどの顔料、各種耐酸化剤、着色防止剤、耐光剤および帯電防止剤などが添加されていてもよい。
ポリアミド繊維の単糸繊度は0.01〜3.0デシテックスが好ましく、より好ましくは0.1〜2.0デシテックスである。総繊度は10〜180デシテックスであることが好ましい。このような繊度の繊維を用いると染色性、風合にも優れる布帛が得られる。
また、本発明で用いるポリアミド繊維中に、絹、ウール、ポリエステル、ポリウレタン繊維が30%まで含まれていてもよい。
また、本発明で用いるポリアミド繊維中に、絹、ウール、ポリエステル、ポリウレタン繊維が30%まで含まれていてもよい。
本発明の布帛にはセルロース繊維とポリアミド繊維が含有され、それぞれの繊維の割合は、用途により適宜決めることができるが、吸水拡散性能や着用時の快適性の面から、セルロース繊維が30〜70%、ポリアミド繊維が70〜30%であることが好ましい。また、両繊維以外に、ポリエステル、アクリル、シルク、ウール、ポリウレタン等を混用しても構わない。特に、着用時に肌面の汗を吸い取りやすく、着心地が良いという観点から、ポリウレタン繊維を20%以内の範囲で混用されることが好ましい。
ポリウレタン繊維としては、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルジオールをジオール成分とし、4,4´ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートをジイソシアネート成分とし、エチレンジアミン等をジアミン成分とするポリエーテル系ポリウレタン繊維や、ポリカプロラクトンやアジピン酸/1,6−ヘキサンジオール/ネオペンチルグルコールからなるポリエステル等からなるポリエステルジオールとブタンジオール等の脂肪族ジオール等をジオール成分とし、4,4´ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートをジイソシアネート成分とするポリエステル系ポリウレタン繊維等を用途に応じて適宜選択使用することができる。
また、ポリウレタン繊維は、鮮明性の高いブライト糸、光沢を抑えたセミダル糸等のいずれも用途によって適宜選択して使用することができる。ポリウレタン繊維には、必要に応じて、金属酸化物、金属水酸化物等の塩素水劣化防止剤を含有させてもよく、例えば、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト類化合物等を単独又は二種以上の混合物として用いてもよい。添加量としては、0.1〜6.0wt%が好ましい。その他公知の安定剤、紫外線吸収剤等が含有されていてもよい。
本発明の布帛の混用形態は、糸状形成時に混用される形態と布帛形成時に混用される形態に大別される。
セルロース繊維とポリアミド繊維とを混用した糸条の形態の例としては、混紡(混綿、フリース混紡、スライバー混紡、コアヤーン、サイロスパン、サイロフィル、ホロースピンドル等)、交絡混繊、交撚、意匠撚糸、カバリング(シングル、ダブル)、複合仮撚(同時仮撚、先撚仮撚)、伸度差仮撚、位相差、仮撚加工後に後混繊、2フィード(同時フィードやフィード差)空気噴射加工等による混用形態が挙げられる。
セルロース繊維とポリアミド繊維とを混用した糸条の形態の例としては、混紡(混綿、フリース混紡、スライバー混紡、コアヤーン、サイロスパン、サイロフィル、ホロースピンドル等)、交絡混繊、交撚、意匠撚糸、カバリング(シングル、ダブル)、複合仮撚(同時仮撚、先撚仮撚)、伸度差仮撚、位相差、仮撚加工後に後混繊、2フィード(同時フィードやフィード差)空気噴射加工等による混用形態が挙げられる。
布帛形成時に混用した形態としては、編物、織物、不織布、及びこれらの複合布帛(例えば、積層布等)が挙げられる。具体例としては、いわゆる機上混用品があり、製編織時にセルロース繊維とポリアミド繊維を引き揃えて又は合糸して混用した編織物が挙げられる。
また、本発明の混用布帛にさらにポリウレタン繊維を混用する場合、糸条形成段階で混用する形態としては、ポリウレタン繊維の裸糸すなわちベア糸(10〜300デシテックス)をセルロース繊維やポリアミド繊維で被覆した糸条、例えば、いわゆるカバリングヤーン(シングル又はダブルカバリング)、合撚糸、コアヤーン、交絡糸等、公知の被覆糸の形態が挙げられる。一方、布帛形成段階で混用した形態としては、編物、織物、不織布、これらの複合布帛(例えば、積層布等)がある。具体例としては、いわゆる機上混用品があり、製編織時に、ポリウレタン繊維の裸糸(裸糸の場合は編成や製織時、2〜4倍程度に伸長させながら)又は被覆糸を機上にてセルロース繊維やポリアミド繊維と引き揃えて、又は合糸して混用した編織物が挙げられる。
本発明におけるセルロース繊維とポリアミド繊維との混用布帛においては、上記のような混用布帛を染色する前に、例えば特開2012−46832号公報に記載の方法にて、
セルロース分解酵素処理により、セルロース繊維重量の1.5%〜10%を減量し、セルロース繊維表面に筋状溝を形成させることが好ましい。
セルロース分解酵素処理により、セルロース繊維重量の1.5%〜10%を減量し、セルロース繊維表面に筋状溝を形成させることが好ましい。
減量率が上記の範囲にあると、セルロース繊維表面に繊維軸長さ50μm当たり、幅0.05〜1.50μm、長さ3〜25μmの筋状溝が10個以上存在する。尚、筋状溝は、繊維軸方向に対し、ほぼ平行である必用はなく、45度まで傾いていてもよい。この筋状溝の幅、長さの制御は、セルロース繊維の中でも再生セルロース繊維においてより容易にコントロールすることができる。
このような筋状溝を有することで、繊維比表面積が増大し、実際の着用時に汗をかいたときに、水分をすばやく吸い取る力と水分を拡散させる力が発揮され、体に貼り付くことがなく、べたつき感を感じなく、すばやく乾燥させる効果が得られる。さらに、風合にしなやか性が強くなり、肌触り性も良好となり、着心地感の良さが向上するとともに、洗濯時の脱水率が低く抑えられ、脱水後の乾燥速度が速くなるという効果も得られる。これら効果は、繰り返し洗濯を行っても持続する。
セルロース分解酵素による処理においては、ロータリドラム染色機、パドル染色機、ウインスリール染色機、ジッガー染色機、液流染色機、気流染色機等の回転式染色装置を使用することができるが、パッド−ロール、パッド−ジッグ染色機のように拡布状で処理できる装置を使用した方が、本発明の筋状溝形成をコントロールし易いため、好ましい。
衣服を着用しているとき、人体から発散される汗の分泌は、不感蒸泄(汗として感じないが、常に分泌し、蒸発している汗)と発汗(湿熱性発汗(気温・運動などによる暑いときにでる汗)、精神性発汗、味覚性発汗)に大別される。体温調節のため汗腺より出た汗は、一部は気体として、一部は液体として体外に排泄される。気体は布帛の吸放湿能力により、繊維に吸湿され外界に放湿されるか、もしくは繊維間の空隙を通じ直接外界に放湿されるが、それらの能力のない布帛においては気体が布帛内に溜まりむれ感を感じることとなる。また、液体は、一部は布帛に吸収され外界に放散されるが、一部は皮膚上に残留し、衣服内のむれ感、べたつき感をもたらして不快感を与えるようになる。
本発明の布帛は、着用時の環境下で人体から発散された汗の吸収性を高め、吸収した汗(水分)を速やかに拡散、蒸発、乾燥させ得るものであり、良好な快適性を得るために、後述する方法で測定した吸水拡散面積は9cm2以上であることが必要である。吸水拡散面積が大きいほど有効蒸発面積が増大し、着用時にべたつき感、むれ感の少ない快適性が得られる。
衣服の着用時において、汗をかいたときに快適に感じるには、布帛が水分を吸い取る力を有することが必要であるが、汗を吸い取るだけでは一ヶ所に水分が保持されるのでべたつき感が解消されずに不快感を感じたままである。べたつき感を解消するためには、吸い取った水分をすばやく拡散させる必要がある。本発明においては、ポリアミド系の親水剤を付与し、その後、水溶性カチオンポリマーを付与することで水分を瞬時に吸い取るとともに、吸い取った水分をすばやく拡散させる力を発揮し、その力が繰り返し洗濯を行っても持続するものである。快適性を得るにはこの2つの力が必要であり、この2つの力は水滴消失時間と吸水拡散面積で表すことができる。肌着衣料やスポーツ衣料のように洗濯回数の多い用途においては、少なくとも洗濯30回の耐久性は必要である。本発明では水滴消失時間と吸水拡散面積と快適性との関係について検討した結果、洗濯30回後の水滴消失時間については1秒以下が好ましいことを見出したものである。また、吸水拡散面積については9cm2以上であると混用布帛製品の着用快適性に優れることを見出したものである。さらに、繰り返し洗濯を行っても着用快適性を維持する上で、洗濯30回後の吸水拡散面積の変化率は未洗濯時の吸水拡散面積の50%以下であることが好ましい。
本発明の布帛を製造する際に、しなやかな風合を有し、吸水拡散性能の洗濯耐久性に優れた布帛を得るために、まず最初にポリアミド系樹脂からなる親水剤を付着させることが重要である。例えば、本発明の布帛を染色する場合には、染色と同時または染色後に吸尽法、浸漬法、パッド法など公知の方法により、ポリアミド系樹脂からなる親水剤を付着させることが好ましい。布帛全体に均一に効率よく付着させ、洗濯耐久性を得るために、ポリアミド繊維の染色時に併用し、吸尽させることが特に好ましい。この際、染色浴のpHは5近辺に調整し、90℃以上の温度で吸尽処理させることが好ましい。
本発明に用いるポリアミド系樹脂からなる親水剤としては、一般にナイロン繊維用の吸水剤として上市されているものが使用でき、例えば、市販品として、ラノゲンWA−70(高松油脂(株)製)、イノベゾールNY−30(一方社油脂工業(株)製)、クインスタットPA−327(コタニ化学(株)製)等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂からなる親水剤の付着量は、布帛重量に対して固形分で0.5〜3重量%である。付与量が0.5重量%未満では、吸水拡散性能およびその耐久性が不十分で好ましくなく、一方、3重量%を越えた場合には、コスト高となる他に液流染色機にて処理する場合、生地の走行性が悪くなるため好ましくない。
本発明においては、ポリアミド系の樹脂から親水剤を付与した後に水溶性カチオンポリマーを付着させるが、水溶性カチオンポリマーは、セルロース繊維側の吸水性を阻害させないとともに、吸水拡散性能の耐久性を増すために付着させる必要がある。
水溶性カチオンポリマーとしては、ポリジアリルキルアミノエチルアクリレート四級塩、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン四級塩、アルキレンジアミンとエピクロルヒドリンの縮合物等からなるものが好ましく用いられ、中でもジメチルアミン−エピクロルヒドリン縮合物やジアリルアミン−エピクロルヒドリン縮合物からなるものが好ましく、例えば市販品として、ネオフィックスRG(日華化学(株)製)やセンカフィックスJOY−30(センカ(株)製)等が好ましく使用できる。
水溶性カチオンポリマーとしては、ポリジアリルキルアミノエチルアクリレート四級塩、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン四級塩、アルキレンジアミンとエピクロルヒドリンの縮合物等からなるものが好ましく用いられ、中でもジメチルアミン−エピクロルヒドリン縮合物やジアリルアミン−エピクロルヒドリン縮合物からなるものが好ましく、例えば市販品として、ネオフィックスRG(日華化学(株)製)やセンカフィックスJOY−30(センカ(株)製)等が好ましく使用できる。
水溶性カチオンポリマーの付与法は特に制限がなく、浸漬法、パッド法等いかなる方法でもよいが、混用布帛全体に均一に効率よく付着させ、洗濯耐久性を得るためにセルロース繊維の染色後に浸漬法にて付与させることが好ましい。この際、処理浴のpHは5近辺に調整し、40〜60℃で10〜30分間処理することが、混用布帛への水溶性カチオンポリマーの吸着性、および仕上がり生地pHを酸性側に維持する上で好ましい。また、上記のポリアミド系樹脂からなる親水剤を併用して処理してもかまわない。
水溶性カチオンポリマーの付着量は、布帛重量に対して固形分で0.4〜2重量%である。付与量が0.4重量%未満では、吸水拡散性能およびその耐久性が不十分で好ましくなく、一方、2重量%を越えた場合には、コスト高となり好ましくない。
本発明においては、ポリアミド系樹脂からなる親水剤を付与し、その後、水溶性カチオンポリマーを付与することで、着用時に汗水分を瞬時に吸い取るとともに、吸い取った水分をすばやく拡散させる2つの力が同時に発揮されることから、着用時における肌面側の水分は表生地側へ瞬時に移行し、肌面側のべたつき感は大きく軽減されるとともに、接触冷感性が高まる(後述するQmaxの数値が上昇)という付帯効果も得られ、着用時に快適性が増すものである。
本発明のセルロース繊維とポリアミド繊維との混用布帛の染色については、二浴染色、一浴二段染色法等通常実施されている条件であればいずれも適用することができる。染色の手順は、セルロース繊維の染色を先に行い、次にポリアミド繊維を染色するのが吸水拡散性能を高める上で好ましい。また、各々の染色後に行われるソーピング、Fix処理法は、通常実施されている方法でよいが、セルロース繊維の染色後に行うFix処理は、本発明の水溶性カチオンポリマーを用いた処理を行うことが、吸水拡散性能、染色堅牢度性能を高める上でも好ましい。
次に、得られたセルロース繊維とポリアミド繊維との混用染色布帛の仕上加工法は、通常実施されている条件であればいずれも適用することができ、混用布帛の特性に応じて適宜設定すればよい。また、本発明においては、水溶性カチオンポリマーを付与した後では、混用布帛の繊維表面は正に帯電しているので、仕上剤としてポリエステル系樹脂からなる柔軟剤を付与することで、柔軟剤の吸着性が高まり、ソフトでしなやかな風合が得やすく、吸水拡散性能もさらに向上するので好ましい。
このようにして得られたセルロース繊維とポリアミド繊維とからなる布帛は、吸水拡散性能の洗濯耐久性に優れ、しなやかな風合を有し、着用時に肌面へのべたつき感がなく、着用感に優れた布帛である。具体的には吸水拡散面積が9cm2以上であり、洗濯30回後の水滴消失時間が1秒以下で、かつ、洗濯30回後の吸水拡散面積の変化率が50%以下であり、かつ、堅牢度性能も良好であり、具体的には、JIS−L−0848 A法における汗アルカリ堅牢度が3級以上で、JIS−L−0884−強試験法における塩素堅牢度が3級以上である商品価値の高い混用染色品である。
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
以下、実施例等で用いた特性値の測定法を以下に示す。
(1)洗濯条件
JIS L−0217 103法に従って、30回行った。尚、洗剤は花王製アタックを1g/Lの濃度で用いた。
以下、実施例等で用いた特性値の測定法を以下に示す。
(1)洗濯条件
JIS L−0217 103法に従って、30回行った。尚、洗剤は花王製アタックを1g/Lの濃度で用いた。
(2)水滴消失時間
JIS L−1907 滴下法に従って水滴消失時間を評価した。サンプル毎に測定を5回ずつ行い、平均水滴消失時間を求めた。尚、このときの水滴1滴の平均量は0.039mlであった。
JIS L−1907 滴下法に従って水滴消失時間を評価した。サンプル毎に測定を5回ずつ行い、平均水滴消失時間を求めた。尚、このときの水滴1滴の平均量は0.039mlであった。
(3)吸水拡散面積
布帛を温度20℃湿度65%の環境下で水分平衡に調湿させたのち、布帛を直径15cmの刺繍用の丸枠に取り付け、布帛表面に水溶性青染料(C.I.アシッドブルー62を0.005wt%含有)を0.1ml滴下し、3分後に濡れ拡がった吸水拡散面積を次式により求める。
吸水拡散面積(cm2)=[縦の直径(cm)×横の直径(cm)]×π÷4
サンプル毎に測定を5回行い、平均吸水拡散面積を求めた。
布帛を温度20℃湿度65%の環境下で水分平衡に調湿させたのち、布帛を直径15cmの刺繍用の丸枠に取り付け、布帛表面に水溶性青染料(C.I.アシッドブルー62を0.005wt%含有)を0.1ml滴下し、3分後に濡れ拡がった吸水拡散面積を次式により求める。
吸水拡散面積(cm2)=[縦の直径(cm)×横の直径(cm)]×π÷4
サンプル毎に測定を5回行い、平均吸水拡散面積を求めた。
(4)ポリアミド系樹脂親水剤の付着量
ポリアミド系樹脂親水剤処理(後述する実施例では染色条件2による染色処理)前後において布帛重量を測定し、染色前の重量に対して、染色後の増加分を付着量とし、下記式により、ポリアミド系樹脂からなる親水剤の付着量を求めた。
ポリアミド系樹脂親水剤付着量(%)=[(W2−W1)/W1]×100
なお、上式において、W1は処理前の重量であり、W2は処理後の重量である。また、各重量測定は、あらかじめ測定試料を温度20℃、湿度65%の環境下で12時間以上調湿させた後、行なった。
ポリアミド系樹脂親水剤処理(後述する実施例では染色条件2による染色処理)前後において布帛重量を測定し、染色前の重量に対して、染色後の増加分を付着量とし、下記式により、ポリアミド系樹脂からなる親水剤の付着量を求めた。
ポリアミド系樹脂親水剤付着量(%)=[(W2−W1)/W1]×100
なお、上式において、W1は処理前の重量であり、W2は処理後の重量である。また、各重量測定は、あらかじめ測定試料を温度20℃、湿度65%の環境下で12時間以上調湿させた後、行なった。
(5)水溶性カチオンポリマーの付着量
使用する水溶性カチオンポリマーを用いてテスト処理を行い、布帛への付着量率をあらかじめ求めておき、得られた付着量率に基づいて、目的とする付着量になるように処理液の水溶性カチオンポリマー濃度を設定する。即ち、後述の実施例では下記の如く行なった。
実施例1に示す水溶性カチオンポリマー1重量%溶液を実施例1に示す処理条件で処理する下記試験において、布帛への付着量は90%であった。従って、処理液中の水溶性カチオンポリマーの90%が処理布帛に付着するものとして、表1に示す付着量となるように処理液の水溶性カチオンポリマー濃度を調整した。
100mlの水溶性カチオンポリマー(センカフィックスJOY−30)1重量%水溶液に1.2N−HCLを0.15ml加え、トルイジンブルー溶液を指示薬として、1/400Nポリビニル硫酸カリウム(PVSK)で滴定し、水溶液が青から赤紫色へ変色し、これが30秒以上保持する時点を終点とし、次式により水溶性カチオンポリマーの残存量を求め、差し引き計算により付着量を求めた。
残存量(%)=(A2/A1)×100
付着量(%)=100−(A2/A1)×100
なお、上式において、A1は処理前の処理液の1/400N−PVSK液滴定量(ml)であり、A2は処理後の処理液の1/400N−PVSK液滴定量(ml)である。
使用する水溶性カチオンポリマーを用いてテスト処理を行い、布帛への付着量率をあらかじめ求めておき、得られた付着量率に基づいて、目的とする付着量になるように処理液の水溶性カチオンポリマー濃度を設定する。即ち、後述の実施例では下記の如く行なった。
実施例1に示す水溶性カチオンポリマー1重量%溶液を実施例1に示す処理条件で処理する下記試験において、布帛への付着量は90%であった。従って、処理液中の水溶性カチオンポリマーの90%が処理布帛に付着するものとして、表1に示す付着量となるように処理液の水溶性カチオンポリマー濃度を調整した。
100mlの水溶性カチオンポリマー(センカフィックスJOY−30)1重量%水溶液に1.2N−HCLを0.15ml加え、トルイジンブルー溶液を指示薬として、1/400Nポリビニル硫酸カリウム(PVSK)で滴定し、水溶液が青から赤紫色へ変色し、これが30秒以上保持する時点を終点とし、次式により水溶性カチオンポリマーの残存量を求め、差し引き計算により付着量を求めた。
残存量(%)=(A2/A1)×100
付着量(%)=100−(A2/A1)×100
なお、上式において、A1は処理前の処理液の1/400N−PVSK液滴定量(ml)であり、A2は処理後の処理液の1/400N−PVSK液滴定量(ml)である。
(6)接触冷温感(Qmax)の評価
温度20℃湿度65%の環境下で、精密迅速熱物性測定装置(KES−F7−サーモラボ2型:カトーテック社製)を使用し、熱を蓄えた銅板(貯熱板)に試料片を接触させ、その熱量が試験片に移動する熱流のピーク値(最大熱流束Qmax)を測定する。熱源板(5cm×5cm)を室温プラス10℃にセットし、貯熱板(3cm×3cm)に接触させ熱を与える。その後、試料片(8cm×8cm)を発砲スチロール製の試料台(8cm×8cm)に置き、貯熱板をその上にすばやく重ね置きし、QMax値を読み取る。サンプル毎に測定を5回行い、その平均値から次式により算出する。数値が大きいほど接触冷感性が高い。
接触冷温感(W/m2・℃)=Qmax×10000/10
温度20℃湿度65%の環境下で、精密迅速熱物性測定装置(KES−F7−サーモラボ2型:カトーテック社製)を使用し、熱を蓄えた銅板(貯熱板)に試料片を接触させ、その熱量が試験片に移動する熱流のピーク値(最大熱流束Qmax)を測定する。熱源板(5cm×5cm)を室温プラス10℃にセットし、貯熱板(3cm×3cm)に接触させ熱を与える。その後、試料片(8cm×8cm)を発砲スチロール製の試料台(8cm×8cm)に置き、貯熱板をその上にすばやく重ね置きし、QMax値を読み取る。サンプル毎に測定を5回行い、その平均値から次式により算出する。数値が大きいほど接触冷感性が高い。
接触冷温感(W/m2・℃)=Qmax×10000/10
(7)着用試験による快適性評価
試料布帛を用いて、半袖丸首肌着を縫製し、パネラー10人に着用させ、運動後の着用快適性を肌へのベトツキ感、冷感性より判定した。
温度28℃湿度50%の環境下で30分間座位で安静にした後、試作肌着を着用し、温度30℃湿度85%の環境下の部屋に移動して10分間座位で安静にした後、6km/時間に設定されたトレッドミルで15分間運動し、その後、10分間安静にし、その後、次の5段階で官能評価を行い、パネラー10人の平均値を算出した。
<官能評価>
5:べたつきがなく、冷感性(放熱性)を高く感じる。
4:少しべたつくが、冷感性(放熱性)を感じる。
3:べたつきがあるが、冷感性(放熱性)をやや感じる。
2:かなりべたつき、冷感性(放熱性)をあまり感じない。
1:非常にべたつき、冷感性(放熱性)を全く感じない。
試料布帛を用いて、半袖丸首肌着を縫製し、パネラー10人に着用させ、運動後の着用快適性を肌へのベトツキ感、冷感性より判定した。
温度28℃湿度50%の環境下で30分間座位で安静にした後、試作肌着を着用し、温度30℃湿度85%の環境下の部屋に移動して10分間座位で安静にした後、6km/時間に設定されたトレッドミルで15分間運動し、その後、10分間安静にし、その後、次の5段階で官能評価を行い、パネラー10人の平均値を算出した。
<官能評価>
5:べたつきがなく、冷感性(放熱性)を高く感じる。
4:少しべたつくが、冷感性(放熱性)を感じる。
3:べたつきがあるが、冷感性(放熱性)をやや感じる。
2:かなりべたつき、冷感性(放熱性)をあまり感じない。
1:非常にべたつき、冷感性(放熱性)を全く感じない。
(8)風合評価
検査者(30人)の感触によって試料布帛を次の基準で相対評価した。
○:ソフトでしなやか感がよい。
△:ソフトであるがしなやか感はやや劣る。
×:しなやか感がなく硬い。
検査者(30人)の感触によって試料布帛を次の基準で相対評価した。
○:ソフトでしなやか感がよい。
△:ソフトであるがしなやか感はやや劣る。
×:しなやか感がなく硬い。
(9)汗アルカリ堅牢度
染色品について、JIS−L−0848−A法に準じて汗アルカリ人工汗液を用いて評価した。試験片の変褪色と添付白布片の汚染の程度を、それぞれ、変褪色用グレースケール、汚染用グレースケールと比較して判定した。
染色品について、JIS−L−0848−A法に準じて汗アルカリ人工汗液を用いて評価した。試験片の変褪色と添付白布片の汚染の程度を、それぞれ、変褪色用グレースケール、汚染用グレースケールと比較して判定した。
(10)塩素堅牢度
染色品について、JIS−L−0884−強試験法に準じて評価した。試験片の変褪色の程度を、変褪色用グレースケールと比較して判定した。
染色品について、JIS−L−0884−強試験法に準じて評価した。試験片の変褪色の程度を、変褪色用グレースケールと比較して判定した。
[実施例1〜3]
東レ(株)製ナイロン繊維41dtex/26fのPOYを常法により仮撚加工を行い、加工工程中に66dtex/43fのキュプラ(旭化成せんい製ベンベルグ)を挿入し、インターレース混繊し、99dtex/69fの複合糸を得た。
次に、得られた複合糸と22dtexのポリエーテル系ポリウレタン繊維(旭化成せんい(株)製商品名ロイカSC)を用い、常法により28ゲージにて、目付150g/m2のベア天竺経編地を作製した。この編地中のセルロース繊維の混用率は62%で、ポリアミド繊維の混用率は31%で、スパンデックス繊維の混用率は7%であった。
東レ(株)製ナイロン繊維41dtex/26fのPOYを常法により仮撚加工を行い、加工工程中に66dtex/43fのキュプラ(旭化成せんい製ベンベルグ)を挿入し、インターレース混繊し、99dtex/69fの複合糸を得た。
次に、得られた複合糸と22dtexのポリエーテル系ポリウレタン繊維(旭化成せんい(株)製商品名ロイカSC)を用い、常法により28ゲージにて、目付150g/m2のベア天竺経編地を作製した。この編地中のセルロース繊維の混用率は62%で、ポリアミド繊維の混用率は31%で、スパンデックス繊維の混用率は7%であった。
次いで、拡布状で60℃でプレウエットした後、190℃でプレセットを行い、精練後下記に示す条件にてキュプラ繊維を染色した。
<染色条件1>
反応染料:カヤシオン レッド CF−BL(0.6%omf)
硫酸ナトリウム:30g/L
炭酸ナトリウム:10g/L
浴中柔軟剤:イマコール C−2GL(2g/L)
助剤:イマコール C−2GL(4g/L)
浴比:1:20
染色温度:60℃
染色時間:60分
<染色条件1>
反応染料:カヤシオン レッド CF−BL(0.6%omf)
硫酸ナトリウム:30g/L
炭酸ナトリウム:10g/L
浴中柔軟剤:イマコール C−2GL(2g/L)
助剤:イマコール C−2GL(4g/L)
浴比:1:20
染色温度:60℃
染色時間:60分
染色後は、90℃で湯洗及び水洗を繰り返し、脱水後、下記の条件にてポリアミド繊維の染色を行った。
<染色条件2>
酸性染料:カヤノール ミーリング レッド BW(0.8%omf)
pH:5.0
ポリアミド系樹脂親水剤:ラノゲンWA−70(高松油脂製、固形分20%)
(各実施例の使用量は、表1に示す付着量となるように調整)
浴中柔軟剤:アンチクリーナF−07(2g/L)
浴比:1:20
染色温度:100℃
染色時間:40分
<染色条件2>
酸性染料:カヤノール ミーリング レッド BW(0.8%omf)
pH:5.0
ポリアミド系樹脂親水剤:ラノゲンWA−70(高松油脂製、固形分20%)
(各実施例の使用量は、表1に示す付着量となるように調整)
浴中柔軟剤:アンチクリーナF−07(2g/L)
浴比:1:20
染色温度:100℃
染色時間:40分
染色後は、80℃で湯洗、ポリアミド繊維側のFix処理を実施し水洗後、下記の条件にて水溶性カチオンポリマーの処理を行なった。
<水溶性カチオンポリマー処理>
センカフィクスJOY−30(センカ製、固形分10%)
(各実施例の使用量は、表1に示す付着量となるように調整)
浴比:1:20
pH:5.0
処理温度:50℃
処理時間:20分
<水溶性カチオンポリマー処理>
センカフィクスJOY−30(センカ製、固形分10%)
(各実施例の使用量は、表1に示す付着量となるように調整)
浴比:1:20
pH:5.0
処理温度:50℃
処理時間:20分
処理後は、脱水後、ポリエステル樹脂系柔軟剤(DCOM356 高松油脂製)を20g/Lにて、パッド法にて付与し、乾燥、130℃の熱処理にて仕上げた。仕上布帛のpHは6.8であった。
仕上げた染色布帛の目付は154g/m2、コース密度は63/インチ、ウエル密度は50/インチ、厚みは0.54mmであった。
得られた染色布帛の吸水性能、接触冷温感、着用試験による快適性評価結果、風合、汗アルカリ堅牢度、塩素堅牢度の評価結果を以下の表2に示す。
表2の結果から、実施例1〜3で得られた布帛は、吸水性能、吸水拡散性能、接触冷感性、着用評価における快適性、堅牢度性能に優れ商品価値の高い染色布帛であることが分かる。
仕上げた染色布帛の目付は154g/m2、コース密度は63/インチ、ウエル密度は50/インチ、厚みは0.54mmであった。
得られた染色布帛の吸水性能、接触冷温感、着用試験による快適性評価結果、風合、汗アルカリ堅牢度、塩素堅牢度の評価結果を以下の表2に示す。
表2の結果から、実施例1〜3で得られた布帛は、吸水性能、吸水拡散性能、接触冷感性、着用評価における快適性、堅牢度性能に優れ商品価値の高い染色布帛であることが分かる。
[比較例1]
比較例1として、実施例で得られたベア天竺編地を用い、実施例と同様の方法にて、染色、仕上処理を行い、同じ性量となるように熱セットを行い仕上げた。但し、ポリアミド系樹脂親水剤を併用しないでポリアミド繊維の染色を行い、水溶性カチオンポリマー処理を実施せずに仕上処理を実施。
得られた染色布帛の吸水性能、接触冷温感、着用による快適性評価結果、風合、汗アルカリ堅牢度、塩素堅牢度の評価結果及び洗濯30回後の吸水性能、接触冷温感、着用による快適性評価結果を以下の表2に示す。
比較例1として、実施例で得られたベア天竺編地を用い、実施例と同様の方法にて、染色、仕上処理を行い、同じ性量となるように熱セットを行い仕上げた。但し、ポリアミド系樹脂親水剤を併用しないでポリアミド繊維の染色を行い、水溶性カチオンポリマー処理を実施せずに仕上処理を実施。
得られた染色布帛の吸水性能、接触冷温感、着用による快適性評価結果、風合、汗アルカリ堅牢度、塩素堅牢度の評価結果及び洗濯30回後の吸水性能、接触冷温感、着用による快適性評価結果を以下の表2に示す。
[比較例2]
比較例2として、実施例の方法にて、ポリアミド繊維の染色時にポリアミド系樹脂親水剤の付着量が1%となるように使用濃度を調整し染色を行い、水溶性カチオンポリマー処理を行わないこと以外は全く同様に仕上げた。
得られた染色布帛の吸水性能、接触冷温感、着用による快適性評価結果、風合、汗アルカリ堅牢度、塩素堅牢度の評価結果及び洗濯30回後の吸水性能、接触冷温感、着用による快適性評価結果を以下の表2に示す。
比較例2として、実施例の方法にて、ポリアミド繊維の染色時にポリアミド系樹脂親水剤の付着量が1%となるように使用濃度を調整し染色を行い、水溶性カチオンポリマー処理を行わないこと以外は全く同様に仕上げた。
得られた染色布帛の吸水性能、接触冷温感、着用による快適性評価結果、風合、汗アルカリ堅牢度、塩素堅牢度の評価結果及び洗濯30回後の吸水性能、接触冷温感、着用による快適性評価結果を以下の表2に示す。
[比較例3]
比較例3として、実施例におけるポリアミド繊維の染色時にポリアミド系樹脂親水剤を併用しないで染色を行い、水溶性カチオンポリマーの付着量が1%となるように使用濃度を調整する他は、実施例と同様の方法にて仕上げた。
得られた染色布帛の吸水性能、接触冷温感、着用による快適性評価結果、風合、汗アルカリ堅牢度、塩素堅牢度の評価結果及び洗濯30回後の吸水性能、接触冷温感、着用による快適性評価結果を以下の表2に示す。
比較例3として、実施例におけるポリアミド繊維の染色時にポリアミド系樹脂親水剤を併用しないで染色を行い、水溶性カチオンポリマーの付着量が1%となるように使用濃度を調整する他は、実施例と同様の方法にて仕上げた。
得られた染色布帛の吸水性能、接触冷温感、着用による快適性評価結果、風合、汗アルカリ堅牢度、塩素堅牢度の評価結果及び洗濯30回後の吸水性能、接触冷温感、着用による快適性評価結果を以下の表2に示す。
表2の結果から、本発明の実施例1〜3で得られた染色布帛は、比較例1〜3で得られた布帛に比べ、吸水性能、吸水拡散性能、接触冷感性、着用評価における快適性、風合、堅牢度性能に優れ商品価値の高い染色布帛であることが分かる。
本発明の布帛は、吸水拡散性能の洗濯耐久性に優れ、しなやかな風合を有し、堅牢度性能に優れ、肌面へのべたつきがなく、着用感に優れる布帛であるため、インナー分野、スポーツ衣料分野で好適に利用可能である。
Claims (4)
- セルロース繊維とポリアミド繊維とを混用した布帛であって、ポリアミド系樹脂からなる親水剤を0.5〜3重量%含有し、水溶性カチオンポリマーを0.4〜2重量%含有し、洗濯30回後の吸水拡散面積が9cm2以上であることを特徴とする布帛。
- 洗濯30回後の水滴消失時間が1秒以下であり、かつ、洗濯30回後の吸水拡散面積の変化率が50%以下であることを特徴とする請求項1に記載の布帛。
- セルロース繊維の含有量が30重量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の布帛。
- セルロース繊維とポリアミド繊維との混用布帛を酸性染料とポリアミド系樹脂からなる親水剤を併用して染色し、次いで水溶性カチオンポリマーにて処理することを特徴とする布帛の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012162520A JP2014019991A (ja) | 2012-07-23 | 2012-07-23 | 吸水拡散性布帛 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018083996A (ja) * | 2016-11-22 | 2018-05-31 | 旭化成株式会社 | 裏地付きズボンの製造方法 |
CN113373688A (zh) * | 2021-06-08 | 2021-09-10 | 雅蒂诗(广州)时装有限公司 | 防皱修身的连衣裙的制备方法及其制成的连衣裙 |
JP2023176275A (ja) * | 2022-05-31 | 2023-12-13 | 順子 池野 | ウィッグ |
-
2012
- 2012-07-23 JP JP2012162520A patent/JP2014019991A/ja active Pending
Cited By (4)
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JP2018083996A (ja) * | 2016-11-22 | 2018-05-31 | 旭化成株式会社 | 裏地付きズボンの製造方法 |
CN113373688A (zh) * | 2021-06-08 | 2021-09-10 | 雅蒂诗(广州)时装有限公司 | 防皱修身的连衣裙的制备方法及其制成的连衣裙 |
CN113373688B (zh) * | 2021-06-08 | 2022-05-13 | 雅蒂诗(广州)时装有限公司 | 防皱修身的连衣裙的制备方法及其制成的连衣裙 |
JP2023176275A (ja) * | 2022-05-31 | 2023-12-13 | 順子 池野 | ウィッグ |
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