JP2005105442A - 多層構造編地 - Google Patents
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Abstract
【課題】「汗ジミ」抑制と肌面のベトツキ感軽減性、および、速乾性に優れると同時に、機械強度、耐薬品性、発色性などを併せもつ多層構造編地を提供する。
【解決手段】編地の表面層が撥水加工された合成繊維マルチフィラメントを少なくとも70重量%含む糸条から構成され、編地の裏面層は吸水加工された糸条から構成されると共に、該編地裏面層の吸水保水率が30%以下で、かつ滴下吸水時間が7秒以下であることを特徴とする多層構造編地、および、編地の表面層が撥水加工された合成繊維マルチフィラメントを少なくとも70重量%含む糸条から構成され、編地の裏面層は吸湿性繊維を20〜50重量%含む糸条から構成されると共に、該編地裏面層の吸水保水率が30%以下で、かつ滴下吸水時間が7秒以下であることを特徴とする多層構造編地。
【選択図】なし
【解決手段】編地の表面層が撥水加工された合成繊維マルチフィラメントを少なくとも70重量%含む糸条から構成され、編地の裏面層は吸水加工された糸条から構成されると共に、該編地裏面層の吸水保水率が30%以下で、かつ滴下吸水時間が7秒以下であることを特徴とする多層構造編地、および、編地の表面層が撥水加工された合成繊維マルチフィラメントを少なくとも70重量%含む糸条から構成され、編地の裏面層は吸湿性繊維を20〜50重量%含む糸条から構成されると共に、該編地裏面層の吸水保水率が30%以下で、かつ滴下吸水時間が7秒以下であることを特徴とする多層構造編地。
【選択図】なし
Description
本発明は、多層構造編地に関する、さらに詳しくは、ウエア表面の汗によるシミである「汗ジミ」を抑える効果に優れるともに、機械強度、発色性を兼備した衣料用に好適に使用できる多層構造編地に関する。
スポーツ用、肌着用、ユニフォーム用、アウター用等に使用される衣料用編地からなるウエアは、一般に肌に接するように着用されるため、夏場の運動とか労働作業時に肌から激しく発汗する汗により、ウエア表面が濡れることでシミ(「汗ジミ」)になり、ウエア表面の審美性が損なわれると共に、ウエアが白色とか中淡色の場合は、肌が透けることが問題とされてきた。また、ウエア肌面でベトツキ感が少なく、吸収された汗を速やかに外気中に蒸散させる乾燥性を有し、頻繁に行われる洗濯に対しても優れたウオッシュアンドウエア性を有するものであることが着用快適性と取り扱い易さの点から理想的とされている。
しかし、現在、多く使用されている編地には、これら理想を達成する「汗ジミ」抑制と肌のベトツキ感軽減性、ウオッシュアンドウエア性の全てを満足なレベルに維持できるものがないのが実状である。
例えば、木綿、ウール等の天然繊維100%物、あるいは、これら天然繊維と合成繊維との交編や混紡物は、吸水性や保水性には優れていて汗を良く吸い取るが、「汗ジミ」抑制は劣ると共に、吸い取った汗により肌面がベトツキを感じる。 また、これらの編地は、汗の蒸散・速乾性に劣ることから洗濯後の脱水が難しく、繊維内部にかなりの水が残って、乾燥に長時間を要するためウオッシュアンドウエア性にも劣るという欠点がある。さらに、合成繊維使いに比べ機械強度、耐薬品性、発色性にも劣るものである。
一方、合成繊維100%物は、ウオッシュアンドウエア性や機械強度、耐薬品性、発色性には優れているが、水と接触したときの吸水速度が遅く、一旦汗を吸い取ると「汗ジミ」になると共に、透水能力に劣ることから肌面にベトツキ感を生じ不快感やムレ感を招くという問題がある。
合成繊維などの非吸湿性繊維による吸水・透水性に優れた汗処理性編織物として特許文献1が提案されているが、「汗ジミ」抑制には全く効果の無いものである。
また、布地の一面に撥水性を有する高い部分と吸水性を有する低い部分とが一体に形成されたことを特徴とし、パンツ等のウエスト部分に使用することを狙いとする特許文献2が提案されているが、これも上記と同様に「汗ジミ」抑制には全く効果の無いものである。
一方、従来から雨水を防ぎ、肌面が吸水性を有し蒸れないようにするために、染色・後加工段階で編地の表面側に撥水剤を泡加工とか全面プリント加工などによる撥水加工を、編地裏面側(肌面)に吸水剤で同じような加工をする方法、あるいは編地裏面側(肌面)に綿糸などの吸水性繊維を配置して構成する方法が一般的に採られている。しかしながら、これらの撥水加工法は、編地表面側に付与した撥水剤が編地裏面側(肌面)へ浸透する「裏抜け」現象が生じ、編地表面側を撥水性と同時に編地裏面側(肌面)を吸水性にすることが困難であった。また、この「裏抜け」現象を避けるためには、編地を厚くすることが考えられるが、編地を厚くすると目付が大きくなり、ウエアにした時に軽量性や動き易さなどの着用感を損なうという問題が発生する。
また、編地表裏面の全面に撥水加工を行うと、「汗ジミ」は発生しないものの、吸水されないために汗により肌面が強烈にベトツキ、快適性に劣るものとなる。
さらに、特許文献3では、布帛を撥水加工した後、片面を低温プラズマ加工を施し、親水化する方法、特許文献4では布帛の表裏面を撥水性樹脂を用いて撥水加工した後、片面をオゾン処理して親水化する方法などが提案されているが、肌面のベトツキ軽減性効果は少なく満足されるものではない。
実公昭61−27990号公報
特開2000−256940号公報
特開昭59−106570号公報
特開平5−287674号公報
本発明の課題は、上述した従来の課題を解消し、合成繊維マルチフィラメント糸条を含みながら多発汗時でも「汗ジミ」を抑制すると共に、ベトツキ感が軽減されれ、かつウオッシュアンドウエア性のいずれにも優れた性能を発揮できる多層構造編地を提供することにある。
本発明は、前記課題を解決するため以下の構成を有する。すなわち、表面層が撥水加工された合成繊維マルチフィラメントを少なくとも70重量%含む糸条から構成され、裏面層(肌面)は吸水加工された糸条から構成されると共に、該編地裏面層(肌面)の吸水保水率が30%以下で、かつ滴下吸水時間が7秒以下であることを特徴とする多層構造編地である。
また、表面層が撥水加工された合成繊維マルチフィラメントを少なくとも70重量%含む糸条から構成され、裏面層(肌面)は吸湿性繊維を20〜50重量%含む糸条から構成されると共に、該編地裏面層(肌面)の吸水保水率が30%以下で、かつ滴下吸水時間が7秒以下であることを特徴とする多層構造編地である。
本発明の多層構造編地によれば、スポーツウエアなどに用いた際に、汗によるウエア表面の「汗ジミ」を抑制させることと、肌面のベトツキ感が軽減できることから良好な着用快適性を得ることができる。また、合成繊維が主体であるため優れたウオッシュアンドウエア性などの取り扱い性を得ることができる。
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明の多層構造編地の好ましい態様の1つは、表面層が撥水加工された合成繊維マルチフィラメントを少なくとも70重量%含む糸条から構成され、裏面層(肌面)は吸水加工された糸条から構成されると共に、該編地裏面層(肌面)の吸水保水率が30%以下で、かつ滴下吸水時間が7秒以下とするものである。
本発明の多層構造編地の好ましい態様の1つは、表面層が撥水加工された合成繊維マルチフィラメントを少なくとも70重量%含む糸条から構成され、裏面層(肌面)は吸水加工された糸条から構成されると共に、該編地裏面層(肌面)の吸水保水率が30%以下で、かつ滴下吸水時間が7秒以下とするものである。
該編地の表面層が撥水加工された合成繊維マルチフィラメントを少なくとも70重量%含む糸条から構成されることが必要であり、撥水加工された合成繊維マルチフィラメント糸条が70重量%未満の場合は、ウエア表面に「汗ジミ」現象が発生し、ウエアの本来持つ審美性を損なうと共に、ウエアが白色とか中淡色の場合は、汗の濡れにより肌が透けることになる。この撥水加工された合成繊維マルチフィラメント糸条は、表面層の80重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましい。
また、該編地裏面層(肌面)の吸水保水率を30%以下とすることで、編地裏面層(肌面)が吸い取った汗による肌面のベトツキを抑えることができる。30重量%を越える場合は、汗でベトツキ感を生じ、不快感を感じることになる。この吸水保水率比は、20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
該編地裏面層(肌面)の吸水保水率は30%以下であるが、残りの吸水保水率70%分の水分量は、編地断面の中層位置から表面層位置に保水され、編地表面層の編目間隙とか繊維間の間隙から蒸散させることで快適性が得られる。
さらに、滴下吸水時間を7秒以下とすることで、編地裏面層(肌面)で汗のベトツキ感を素早く減少させることができる。7秒を越える場合は、肌面のベトツキ感が長く不快感を感じることになる。滴下吸水時間は5秒以下であることが好ましく、3秒以下であることがより好ましい。
肌面のベトツキ感の軽減には裏面層の吸水保水率の大小が大きく影響し、次に滴下吸水時間の大小が影響するものである。なお、吸水保水率および滴下吸水時間は、後述する測定方法で測定した値をいう。
本発明の多層構造編地は、編地表面が撥水加工された合成繊維フィラメント糸条を少なくとも70重量%含むため、洗濯後の乾燥速度が非常に速く、また、シワになり難いなどのウオッシュアンドウエア性にも優れている。
また、該編地の裏面層(肌面)が吸水加工された糸条から構成されることが必要であり、編地の表面層は撥水加工された合成繊維マルチフィラメントを少なくとも70重量%含む糸条から構成され、これら表裏層組合せの構成にすることが必要であり、この構成と上記の吸水保水率と滴下吸水時間を規定することにより、ウエアの「汗ジミ」抑制を効率よく行うことができると共に、肌面のベトツキ感を軽減させることが可能となる。なお、裏面層の吸水保水率および滴下吸水時間の設計については、後述する裏面層を構成する糸条の吸水加工を適宜選択することによって行うことができる。
本発明に用いる撥水加工された合成繊維マルチフィラメント糸条への撥水加工方法は、糸条での撥水加工を行うものであり、糸条をチーズ形状に巻き返し撥水加工剤へ浸漬後ドライ・キュアにより架橋反応させる方法、あるいは、撥水加工剤の付与設備を設置した仮撚加工機や撚糸機、繰り返し機上で糸条に撥水加工剤を付与させた後、ドライ・キュアにより架橋反応させる方法、または、原糸製造段階の紡糸・延伸機上に撥水加工剤の付与設備を設け、機上で糸条に撥水加工剤を付与させた後、ドライ・キュアにより架橋反応させる方法など、特に限定されるものではない。
ここで用いる撥水加工剤は、シリコーン系撥水剤、フッ素系撥水剤など、通常に合成繊維に使用される撥水剤を用いることができるが、耐久性の面からフッ素系撥水剤が好ましく、中でもぺルフルオロアルキル基含有アクリル共重合体を含むフッ素系撥水剤が好ましい。また、耐久性の面から、撥水剤に、アミノプラスト樹脂、多官能ブロックイソシアネート基含有ウレタン樹脂、エチレンカーボネートなどを併用添加してもよい。
また、合成繊維マルチフィラメント糸条への吸水加工方法は、上記の撥水加工された合成繊維マルチフィラメント糸条と吸水加工が施されていない未吸水加工糸条とを交編により編地に形成した後、染色加工工程における染色と同時の浴中吸水加工、あるいは、染色後、吸水加工剤の入った浴槽に編地を浸漬後、ドライ・キュアにより架橋反応させる吸水加工法、あるいは、糸条をチーズ形状に巻き返し吸水加工剤へ浸漬後ドライ・キュアにより架橋反応させる方法、あるいは、吸水加工剤の付与設備を設置した仮撚加工機や撚糸機、繰り返し機上で糸条に吸水加工剤を付与させた後、ドライ・キュアにより架橋反応させる方法、または、原糸製造段階の紡糸・延伸機上に吸水加工剤の付与設備を設け、機上で糸条に吸水加工剤を付与させた後、ドライ・キュアにより架橋反応させる方法など、特に限定されるものではない。
ここで用いる吸水剤は公知のものを用いることができ、例えばポリエステル系繊維に用いる場合は、ポリエステル系繊維と親和性のある吸水剤であるポリエチレングリコール、テレフタル酸およびエチレングリコールをブロック共重合してなるブロック共重合体が好ましく用いられるが、特に限定されるものではない。
また、吸水加工が施される糸条は、合成繊維マルチフィラメント糸条、合成繊維紡績糸、あるいは他繊維との混繊糸、合撚糸、混紡糸などが用いられ、特に限定されるものではない。
本発明の多層構造編地は、表面層と裏面層(肌面)との少なくとも二層からなる多層構造体からなるものであれば、特に編組織等には限定されるものではない。例えば、丸編地であれば、シングルジャージ、ダブルジャージ。経編地であれば、シングルトリコット、ダブルトリコット、シングルラッセル、ダブルラッセルを使用することができ、横編地であれば、シングルベットニット、ダブルベットニットを使用することができ、また、タイツ、靴下編地などを使用することができる。
また、編地裏面層(肌面)は平坦面形状であるよりも、多数の凸部が分散した凹凸面形状にすることがより好ましい。このように裏面層(肌面)を凹凸形状にすると、衣服にして着用した場合、その凸部が肌面と点接触するため、液状の汗を発汗してもベトツキ感の軽減をより向上させることができる。かかる凹凸部の形状はタテストライプ状、ヨコボーダー状、格子状、ツイル状、杉綾状、ドット状、鹿の子状等幅広く適用でき限定されるものではない。この凹凸状高低差を形成させるには、編組織による方法、太い糸と細い糸の組合せや、あるいは、この両者の組合せ等があり、特に限定されるものではない。
製編における編成条件は、通常糸使いの編成条件に準じればよく、特に特殊条件を取るものではない。
本発明における多層構造編地で、最も好ましい構造体は、三層構造体であり、一番肌面側に近い層(裏面層(肌面))を上記のような凹凸形状にし、肌面との接触面積を少なくすることでベトツキ感を軽減させ、中層に綿糸などの吸水性繊維を配置させ、この中層で吸い取った汗を一時保水させると同時に、編地表面層の編目間隙とか繊維間の間隙から蒸散させることで快適性が得られる。この中層に配置させる糸条は綿糸以外にも吸水性を有する合成繊維フィラメント糸条など特に限定されるものではない。
本発明の多層構造編地は、用途によてストレッチ性が要求される場合は、ポリウレタン系弾性繊維に代表される各種のストレッチ性弾性糸とか、ポリエステル系繊維の一種であるポリブチレンテレフタレート系繊維加工糸、あるいは、ポリトリメチレンテレフタレート系繊維加工糸またはポリエチレンテレフタレートポリマーとポリトリメチレンテレフタレートポリマーとのサイドバイサイド型複合糸を交編させることが好ましい。更に肌面のソフト風合化にも、このポリトメチレンテレフタレート系繊維を交編させることが好ましい。
本発明の多層構造編地の好ましい態様のもう1つは、編地の表面層が撥水加工された合成繊維マルチフィラメントを少なくとも70重量%含む糸条から構成され、編地の裏面層(肌面)は吸湿性繊維を20〜50重量%含む糸条から構成されると共に、該編地裏面層の吸水保水率が30%以下で、かつ滴下吸水時間が7秒以下であることを特徴とする多層構造編地である。すなわち、裏面層(肌面)を、吸水加工された糸条に替えて吸湿性繊維を20〜50重量%含む糸条から構成するものである。
この吸湿性繊維は、30重量%以上が好ましく、40重量%以上がより好ましい。20重量%未満の場合汗を吸い取る能力に劣り、肌面がベトツキ、不快感を感じることになり好ましくない。また、50重量%を越えると、また、肌面がベトツキ、不快感を感じることになり好ましくない。
吸湿性繊維とは、20℃×65%RHの環境下での水分率3%以上の繊維が好ましく、天然繊維である木綿、麻、絹、羊毛などの紡績糸、または、これら繊維と他繊維との混紡糸、合撚糸、再生繊維であるレーヨン系繊維、キュプラ等の紡績糸、フィラメント、または、これら繊維と他繊維との混紡糸、合撚糸、混繊糸、半合成繊維であるアセテート、トリアセテート繊維等の紡績糸、フィラメント、または、これら繊維と他繊維との混紡糸、合撚糸、混繊糸、合成繊維であるナイロン、ビニロン等の紡績糸、フィラメント、または、これら繊維と他繊維との混紡糸、合撚糸、混繊糸であり、特に限定されるものではない。
編地の表面層が撥水加工された合成繊維マルチフィラメントを少なくとも70重量%以上含む糸条から構成され、編地裏面層(肌面)が吸湿性繊維を20〜50重量%含む糸条から構成され、これら表裏層組合せの構成にすることと、上記の吸水保水率と滴下吸水時間を規定することにより、ウエアの「汗ジミ」抑制を効率よく行うことができると共に、肌面のベトツキ感を軽減させることが可能となる。なお、裏面層の吸水保水率および滴下吸水時間の設計については、例えば裏面層を構成する吸湿性繊維の割合を適宜選択することによって行うことができる。
本発明の多層構造編地は、編地の表面層と裏面層(肌面)とが接結糸条で接結されており、かつ裏面層(肌面)が単糸繊度0.5〜3.0デシテックスの範囲である合成繊維マルチフィラメントの糸条で構成されると共に、表面層は前記裏面層(肌面)を構成する糸条の単糸繊度の1.5倍以上で5.5倍未満の単糸繊度の糸条で構成されることが好ましい。
編地の表裏層構成繊維の単糸繊度が異なる糸条を用いて、単糸繊度の小である糸条を肌と接する編地裏面層(肌面)に配置させ、単糸繊度の大である糸条を編地表面層に配置して構成させることが好ましい。外気と接する編地表面層は、単糸繊度が、編地裏面層(肌面)を構成している0.5〜3.0デシテックスの範囲のものの1.5倍以上で、かつ、5.5倍未満の太い糸条で構成させることにより、繊維間の間隙が編地の表面層側では大きく、一方、他面、すなわち編地裏面層(肌面)は単糸繊度が上記の通り0.5〜3.0デシテックスであるので繊維間間隙が小さい。
このように肌面から外気面へ繊維間隙が小から大へ変化していることにより、毛細管現象の逆現象から、汗を肌面から編地表面への移動が抑制させることができる。
編地裏面層(肌面)を構成する単糸繊度が、0.5デシテックス以上の場合は、抗ピリング性、抗スナッグ性に優れ好ましい。また、3.0デシテックス以下の場合は、肌面の風合いが粗硬化傾向となることもない。好ましくは、1.0デシテックス以上で2.5デシテックス以下、より好ましくは、1.0デシテックス以上で2.0デシテックス以下である。
表面層を構成する糸条の単糸繊度が前記裏面層(肌面)を構成する糸条の単糸繊度の1.5倍以上の場合は、毛細管現象が生じにくく、また、5.5倍未満の場合は、ウエア表面の風合いが粗硬となることもなく好ましい。好ましくは、2.0倍以上で4.0倍未満、より好ましくは、2.0倍以上で3.0倍未満である。
また、本発明の多層構造編地に用いられるフィラメント糸条の総繊度は、特に限定されないが、その狙いとする用途と薄地編地類から厚地編地類まで含めると、33〜330デシテックス程度までの範囲を好ましく使用することができる。また、紡績糸の糸番手としては、綿番手換算で10番手から120番手程度までの範囲を好ましく使用することができる。
本発明の多層構造編地は、編地の裏面層(肌面)が、繊維表面に繊維長手方向に沿って延びる複数の凹溝をもつ合成繊維マルチフィラメント糸条を少なくとも30重量%含む糸条から構成され、該編地の表面層が繊維表面に繊維長手方向に沿って延びる凹溝を持たないフィラメントの糸条から構成されることが好ましい。
これは断面形状の異なる合成繊維マルチフィラメント糸条を編地の表裏層に最適に配置させることにより、吸水保水率および滴下吸水時間の適性化を図り、より「汗ジミ」抑制と肌面のべトツキ感を軽減させ、着用快適性を十分に満足させることができるものである。
なかでも効果的な汗処理性を得る観点から、編地裏面層(肌面)には繊維表面に繊維長手方向に沿って延びる複数の凹溝を持つマルチフィラメント糸条を用いて構成し、編地表面層には繊維表面に繊維長手方向に沿って延びる凹溝を持たないフィラメント糸条から構成させることが好ましい。ここで繊維表面に繊維長手方向に沿って延びる凹溝を持たないフィラメント糸条とは、具体的には異形断面糸条、糸条の断面形状として、文字もしくは記号などでモデル的に示すとE、F、H、K、M、N、T、W、X、Y、Z、+、*等が好ましく用いられる。なかでもH型やX型、Y型などの形状が好ましい。これらの断面形状の糸条は繊維の長手方向に延びる凹溝を持つため、単繊維自身で毛細管現象作用を有する糸条である。一方、編地表面層を構成する糸条の断面形状としては、一般的に使用される丸型、三角型、五角型、八角型などの形状であることが好ましい。これらの断面形状は繊維の長手方向に延びる凹溝を持たないため、単繊維自身で毛細管現象作用を有していない糸条である。
このように編地裏面層(肌面)を毛細管現象作用を持つ単繊維からなるマルチフィラメント糸条で構成し、編地表面層を毛細管現象作用を持たない単繊維からなるマルチフィラメント糸条で構成することで、編地裏面層(肌面)から編地表面層への多層構造体としての逆毛細管現象による汗の移動抑制をより効率的に行うことができる。
また、逆毛細管現象による水分の移動を抑制するためには、編地裏面層(肌面)において凹溝を含んだフィラメント糸条は40重量%以上含むことが好ましく、50重量%以上含むことがより好ましい。40重量%以上とすることにより、毛細管現象が生じにくくでき、ウエア表面での「汗ジミ」が生じにくくすることができる。
本発明の多層構造編地は、合成繊維マルチフィラメントの糸条が、ポリエステル系合成繊維、ポリアミド系合成繊維の少なくとも一方を構成要素として含むことが好ましい。
例えば、ポリエステル系繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート繊維などを使用することができる。また、ポリアミド系繊維としては、ナイロン6やナイロン66繊維が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。
例えば、ポリエステル系繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート繊維などを使用することができる。また、ポリアミド系繊維としては、ナイロン6やナイロン66繊維が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの合成繊維フィラメント糸条は、延伸糸、捲縮加工糸、或いは他のフィラメント糸条との混繊糸であっても良いが、好ましくは捲縮加工糸またはその混繊糸を使用することが好ましい。捲縮加工糸としては、特に仮撚加工糸が好ましい。
本発明の多層構造編地の製編された生機編地の熱処理、精練や染色等の加工は、通常の編地の加工法に準じて行えばよく、特に特別な設備等は必要ではない。この染色段階での付帯加工として、防汚加工、抗菌加工、消臭加工、防臭加工、難燃加工、吸水加工、吸湿加工、防カビ加工、紫外線吸収加工、減量加工等。更に、後加工としてカレンダー加工、エンボス加工、シワ加工、起毛加工、プリント加工、オパール加工等、最終用途の要求特性に応じて適宜付与することが望ましい。
また、該編地の裏面層(肌面)を起毛加工することにより、より良い肌触り感と保温性を得ることができる。
本発明の多層構造編地は、適宜選択することにより、次のように幅広く展開可能である。例えば、衣料用である運動着類、肌着類、ホームウエア類、ユニフォームウエア類、アウターウエア類である。
運動着類ならば、ランニングシャツ・パンツ、競技シャツ・パンツ、ゴルフシャツ、テニスシャツ、サイクルシャツ、アウトドアシャツ、ポロシャツ、Tシャツ、野球用アンダーシャツ、トレーニングウエア、スエットシャツ・パンツ等。肌着類ならば、一般婦人用肌着であるスリップ、キャミソール、ペチコート、ショーツ、アンダーパンツ、タイツ、Tシャツ、丸首シャツ、U首シャツ、ボディスーツ、ガードル等や、一般紳士用肌着であるTシャツ、丸首シャツ、U首シャツ、ランニングシャツ、アンダーパンツ、タイツ、ブリーフ、トランクス等、さらに、また、これらの肌着の転用を含めたアスレチック、アウトドア、スキー等のスポーツ用肌着、さらには、屋外作業、屋内作業等の作業用肌着等。ホームウエア類ならば、室内着、パジャマ、ネグリジェ、ガウン等。アウターウエア類ならば、婦人服、紳士服、子供服、作業服等。裏地類ならば、スポーツウエア用、婦人服用、紳士服用、子供服用、礼服用、学生服用、作業服用裏地等に好ましく使用することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、本発明中の各評価は以下の方法で求めたものである。
なお、本発明中の各評価は以下の方法で求めたものである。
[吸水保水率]
ガラス板上に蒸留水1.0ccを滴下し、その上にサンプルサイズ10cm×10cmの編地の裏面を下に、すなわち蒸留水に接する側にしてのせた。そして60秒間放置し、別のガラス板上に移動し同一サイズにカットしたろ紙2枚にて、この編地をサンドイッチ状に挟み、5g/m2 の荷重下で60秒間放置した。その後、もとの編地重量と吸水後の編地重量との差から編地の保水重量および表面と裏面に接した各々のろ紙の含水重量から、編地の表面層、裏面層(肌面)の保水率を出した。編地3枚について同様に行い平均値で示した。
保水率の大小は蒸留水の吸収状態を示すものであり、保水率の小さいものは着用時にベトツキ感が少ないものである。
ガラス板上に蒸留水1.0ccを滴下し、その上にサンプルサイズ10cm×10cmの編地の裏面を下に、すなわち蒸留水に接する側にしてのせた。そして60秒間放置し、別のガラス板上に移動し同一サイズにカットしたろ紙2枚にて、この編地をサンドイッチ状に挟み、5g/m2 の荷重下で60秒間放置した。その後、もとの編地重量と吸水後の編地重量との差から編地の保水重量および表面と裏面に接した各々のろ紙の含水重量から、編地の表面層、裏面層(肌面)の保水率を出した。編地3枚について同様に行い平均値で示した。
保水率の大小は蒸留水の吸収状態を示すものであり、保水率の小さいものは着用時にベトツキ感が少ないものである。
[滴下吸水時間]
約15cm×15cmの試験片を直径10cmの刺繍枠あるいはビーカーに余分の張力がかからないように編地裏面(肌面)を上にして固定し、試験片が水平となるように置く。蒸留水が一滴ずつ滴下するように調整した注射針の先端が、水平に置いた試験片の表面から5cm離れるように固定し、水滴を試験片上に一滴(約0.005cc)滴下した時から、試験片上の水滴が特別な光反射をしなくなった時までの吸水時間(0.1秒単位で)を計る。編地3枚について同様に行い平均値で示した。
滴下吸水時間の大小は蒸留水の吸収速度を示すものであり、滴下吸水時間の小さいものは着用時にベトツキ感を感じる時間が短いものである。
約15cm×15cmの試験片を直径10cmの刺繍枠あるいはビーカーに余分の張力がかからないように編地裏面(肌面)を上にして固定し、試験片が水平となるように置く。蒸留水が一滴ずつ滴下するように調整した注射針の先端が、水平に置いた試験片の表面から5cm離れるように固定し、水滴を試験片上に一滴(約0.005cc)滴下した時から、試験片上の水滴が特別な光反射をしなくなった時までの吸水時間(0.1秒単位で)を計る。編地3枚について同様に行い平均値で示した。
滴下吸水時間の大小は蒸留水の吸収速度を示すものであり、滴下吸水時間の小さいものは着用時にベトツキ感を感じる時間が短いものである。
[着用感]
それぞれの編地からテニスシャツを作製し、真夏の炎天下、テニスを30分間プレーした際のシャツ表面(編地表面層)の視覚判定による「汗ジミ」状態、肌側(編地裏面層)の「ベトツキ感」および「着用快適感」の優劣を、それぞれ次の基準により評価した。
(1)シャツ表面(編地表面層)の「汗ジミ」状態
○:「汗ジミ」が無い。
△:「汗ジミ」が若干有る。
×:「汗ジミ」が激しい。
(2)肌側(編地裏面層)の「ベトツキ感」
○:「ベトツキ」を全く感じない。
△:「ベトツキ」を若干感じる。
×:「ベトツキ」を感じる。
(3)「着用快適感」
○:着用して快適である。
×:着用して不快である。
それぞれの編地からテニスシャツを作製し、真夏の炎天下、テニスを30分間プレーした際のシャツ表面(編地表面層)の視覚判定による「汗ジミ」状態、肌側(編地裏面層)の「ベトツキ感」および「着用快適感」の優劣を、それぞれ次の基準により評価した。
(1)シャツ表面(編地表面層)の「汗ジミ」状態
○:「汗ジミ」が無い。
△:「汗ジミ」が若干有る。
×:「汗ジミ」が激しい。
(2)肌側(編地裏面層)の「ベトツキ感」
○:「ベトツキ」を全く感じない。
△:「ベトツキ」を若干感じる。
×:「ベトツキ」を感じる。
(3)「着用快適感」
○:着用して快適である。
×:着用して不快である。
実施例1
24ゲージ両面丸編機を用い、図1に示す一完全組織F1〜F12の12口給糸からなる裏面ハニカム調リバーシブル編組織において、それぞれの表面編組織用の給糸口であるF2、F4、F6、F8、F10の5給糸の糸条ロ1〜ロ5にポリエステル83デシテックス36フィラメント丸型断面の仮撚加工糸に撥水加工を施した糸条を、他の表面編組織用の給糸口であるF12の糸条ロ6には同じポリエステル83デシテックス36フィラメント丸型断面の撥水加工を施していない通常の仮撚加工糸を、また裏面(肌面)編組織用の給糸口であるF1、F3、F5、F7、F9、F11の全6給糸の糸条イ1〜イ6にはポリエステル83デシテックス72フィラメント丸型断面の撥水加工を施していない通常の仮撚加工糸を配して編成した。
24ゲージ両面丸編機を用い、図1に示す一完全組織F1〜F12の12口給糸からなる裏面ハニカム調リバーシブル編組織において、それぞれの表面編組織用の給糸口であるF2、F4、F6、F8、F10の5給糸の糸条ロ1〜ロ5にポリエステル83デシテックス36フィラメント丸型断面の仮撚加工糸に撥水加工を施した糸条を、他の表面編組織用の給糸口であるF12の糸条ロ6には同じポリエステル83デシテックス36フィラメント丸型断面の撥水加工を施していない通常の仮撚加工糸を、また裏面(肌面)編組織用の給糸口であるF1、F3、F5、F7、F9、F11の全6給糸の糸条イ1〜イ6にはポリエステル83デシテックス72フィラメント丸型断面の撥水加工を施していない通常の仮撚加工糸を配して編成した。
ポリエステル83デシテックス36フィラメント丸型断面の仮撚加工糸への撥水加工は、該糸をチーズ形状に巻き返し、フッ素系撥水加工剤へ浸漬後ドライ・キュアにより架橋反応させる方法で得た糸条を使用した。
その後、通常のポリエステル編地の染色加工条件に準じて、精練、染色、吸水加工、仕上げセットを行い、目付176g/m2 である編地を得た。この編地表面における撥水加工された糸条の混率は83%であり、かつ編地裏面(肌面)の吸水保水率は15.1%、滴下吸水時間は2.8秒であった。
この編地を用いてテニスシャツを作製し、真夏の炎天下、テニスを30分間プレーしたところ、表1に示す評価結果の通り、シャツ表面に「汗ジミ」はなく、また、肌面のベトツキ感もなく、優れた着用快適性を有していた。
実施例2
実施例1と同一の丸編機を用い、実施例1と同一の図1の編組織において、それぞれの表面編組織用の給糸口であるF2、F4、F6、F8、F10、F12の全6給糸の糸条ロ1〜ロ6の全てに実施例1と同一撥水加工法によるポリエステル83デシテックス36フィラメント丸型断面の仮撚加工糸に撥水加工を施した糸条を、また裏面(肌面)編組織用の給糸口であるF1、F3、F5、F7、F9、F11の全6給糸の糸条イ1〜イ6の内、F1とF5とF9の3給糸口の糸条イ1とイ3とイ5にポリエステル83デシテックス72フィラメントX型断面の撥水加工を施していない通常の仮撚加工糸を、他の裏面(肌面)編組織用の給糸口であるF3、F7、F11の3給糸口の糸条イ2、イ4、イ6に綿糸80Sを配して編成した。
実施例1と同一の丸編機を用い、実施例1と同一の図1の編組織において、それぞれの表面編組織用の給糸口であるF2、F4、F6、F8、F10、F12の全6給糸の糸条ロ1〜ロ6の全てに実施例1と同一撥水加工法によるポリエステル83デシテックス36フィラメント丸型断面の仮撚加工糸に撥水加工を施した糸条を、また裏面(肌面)編組織用の給糸口であるF1、F3、F5、F7、F9、F11の全6給糸の糸条イ1〜イ6の内、F1とF5とF9の3給糸口の糸条イ1とイ3とイ5にポリエステル83デシテックス72フィラメントX型断面の撥水加工を施していない通常の仮撚加工糸を、他の裏面(肌面)編組織用の給糸口であるF3、F7、F11の3給糸口の糸条イ2、イ4、イ6に綿糸80Sを配して編成した。
その後、通常のポリエステル編地の染色加工条件に準じて、精練、染色、仕上げセットを行い、目付189g/m2 である編地を得た。但し、実施例1の染色加工条件と異なり、吸水加工は省略した。この編地表面における撥水加工された糸条の混率は100%であり、また、編地裏面(肌面)における吸湿性繊維である綿糸の混率は47%であった。かつ編地裏面(肌面)の吸水保水率は26.3%、滴下吸水時間は6.1秒であった。
この編地を用いてテニスシャツを作製し、真夏の炎天下、テニスを30分間プレーしたところ、表1に併せて示す評価結果の通り、シャツ表面に「汗ジミ」はなく、また、肌面のベトツキ感もなく、優れた着用快適性を有していた。
比較例1
実施例1と同一の丸編機を用い、実施例1と同一の図2の編組織において、それぞれの表面編組織用の給糸口であるF2、F4、F6、F8、F10、F12の全6給糸の糸条ロ1〜ロ6にポリエステル83デシテックス72フィラメント丸型断面の撥水加工を施していない通常の仮撚加工糸を、また、裏面(肌面)編組織用の給糸口であるF1、F3、F5、F7、F9、F11の全6給糸の糸条イ1〜イ6にポリエステル83デシテックス36フィラメント丸型断面の撥水加工を施していない通常の仮撚加工糸を配して編成した。
実施例1と同一の丸編機を用い、実施例1と同一の図2の編組織において、それぞれの表面編組織用の給糸口であるF2、F4、F6、F8、F10、F12の全6給糸の糸条ロ1〜ロ6にポリエステル83デシテックス72フィラメント丸型断面の撥水加工を施していない通常の仮撚加工糸を、また、裏面(肌面)編組織用の給糸口であるF1、F3、F5、F7、F9、F11の全6給糸の糸条イ1〜イ6にポリエステル83デシテックス36フィラメント丸型断面の撥水加工を施していない通常の仮撚加工糸を配して編成した。
その後、通常のポリエステル編地の染色加工条件に準じて、精練、染色、吸水加工、仕上げセットを行い、目付185g/m2 である編地を得た。この編地表面における撥水加工された糸条の混率は0%であり、かつ編地裏面(肌面)の吸水保水率は38.9%、滴下吸水時間は2.6秒であった。
この編地を用いてテニスシャツを作製し、真夏の炎天下、テニスを30分間プレーしたところ、表1に併せて示す評価結果の通り、シャツ表面に「汗ジミ」が激しく発生し、また、肌面のベトツキ感を感じ、着用感も不快なものであった。
比較例2
実施例1と同一の丸編機を用い、実施例1と同一の図2の編組織において、それぞれの表面編組織用の給糸口であるF2、F4、F6、F8、F10、F12の全6給糸の糸条ロ1〜ロ6の内、F2、F4、F8、F10の4給糸口の糸条ロ1、ロ2、ロ4、ロ5に実施例1と同一撥水加工法によるポリエステル83デシテックス36フィラメント丸型断面に撥水加工を施した仮撚加工糸を、他の表面編組織用の給糸口であるF6、F12の糸条ロ3とロ6にポリエステル83デシテックス36フィラメント丸型断面の撥水加工を施していない通常の仮撚加工糸を、また裏面(肌面)編組織用の給糸口であるF1、F3、F5、F7、F9、F11の全6給糸の糸条イ1〜イ6にポリエステル83デシテックス72フィラメントX型断面の撥水加工を施していない通常の仮撚加工糸を配して編成した。
実施例1と同一の丸編機を用い、実施例1と同一の図2の編組織において、それぞれの表面編組織用の給糸口であるF2、F4、F6、F8、F10、F12の全6給糸の糸条ロ1〜ロ6の内、F2、F4、F8、F10の4給糸口の糸条ロ1、ロ2、ロ4、ロ5に実施例1と同一撥水加工法によるポリエステル83デシテックス36フィラメント丸型断面に撥水加工を施した仮撚加工糸を、他の表面編組織用の給糸口であるF6、F12の糸条ロ3とロ6にポリエステル83デシテックス36フィラメント丸型断面の撥水加工を施していない通常の仮撚加工糸を、また裏面(肌面)編組織用の給糸口であるF1、F3、F5、F7、F9、F11の全6給糸の糸条イ1〜イ6にポリエステル83デシテックス72フィラメントX型断面の撥水加工を施していない通常の仮撚加工糸を配して編成した。
その後、通常のポリエステル編地の染色加工条件に準じて、精練、染色、仕上げセットを行い、目付184g/m2 である編地を得た。但し、実施例2の染色加工条件と同様に、吸水加工は省略した。この編地表面における撥水加工された糸条の混率は67%であり、かつ編地裏面(肌面)の吸水保水率は51.4%、滴下吸水時間は13.9秒と劣るものであった。
この編地を用いてテニスシャツを作製し、真夏の炎天下、テニスを30分間プレーしたところ、表1に併せて示す評価結果の通り、シャツ表面に「汗ジミ」が若干発生し、また、肌面のベトツキ感を激しく感じ、着用感は不快なものであった。
比較例3
実施例1と同一の丸編機を用い、実施例1と同一の図2の編組織において、それぞれの表面編組織用の給糸口であるF2、F4、F6、F8、F10、F12の全6給糸の糸条ロ1〜ロ6に綿糸80Sを、また裏面(肌面)編組織用の給糸口であるF1、F3、F5、F7、F9、F11の全6給糸の糸条イ1〜イ6にポリエステル83デシテックス72フィラメントX型断面の撥水加工を施していない通常の仮撚加工糸を配して編成した。
実施例1と同一の丸編機を用い、実施例1と同一の図2の編組織において、それぞれの表面編組織用の給糸口であるF2、F4、F6、F8、F10、F12の全6給糸の糸条ロ1〜ロ6に綿糸80Sを、また裏面(肌面)編組織用の給糸口であるF1、F3、F5、F7、F9、F11の全6給糸の糸条イ1〜イ6にポリエステル83デシテックス72フィラメントX型断面の撥水加工を施していない通常の仮撚加工糸を配して編成した。
その後、通常のポリエステル編地の染色加工条件に準じて、精練、染色、仕上げセットを行い、目付186g/m2 である編地を得た。但し、実施例2の染色加工条件と同様に、吸水加工は省略した。この編地表面における撥水加工された糸条の混率は0%であり、かつ編地裏面(肌面)の吸水保水率は21.7%は良好なるものの、滴下吸水時間は13.1秒と劣るものであった。
この編地を用いてテニスシャツを作製し、真夏の炎天下、テニスを30分間プレーしたところ、表1に併せて示す評価結果の通り、シャツ表面に「汗ジミ」が激しく生した。肌面のベトツキ感は良好なるものの、着用感は総合的に不快なものであった。
F1〜F12 編機の給糸口NO
D1〜D5 ダイヤル側編針
C1〜C6 シリンダー側編針
イ1〜イ6 編地裏面側構成糸
ロ1〜ロ6 編地表面側構成糸
D1〜D5 ダイヤル側編針
C1〜C6 シリンダー側編針
イ1〜イ6 編地裏面側構成糸
ロ1〜ロ6 編地表面側構成糸
Claims (5)
- 表面層が撥水加工された合成繊維マルチフィラメントを少なくとも70重量%含む糸条から構成され、裏面層は吸水加工された糸条から構成されると共に、該裏面層の吸水保水率が30%以下で、かつ滴下吸水時間が7秒以下であることを特徴とする多層構造編地。
- 表面層が撥水加工された合成繊維マルチフィラメントを少なくとも70重量%含む糸条から構成され、裏面層は吸湿性繊維を20〜50重量%含む糸条から構成されると共に、該裏面層の吸水保水率が30%以下で、かつ滴下吸水時間が7秒以下であることを特徴とする多層構造編地。
- 表面層と裏面層とが接結糸条で接結されており、かつ裏面層が単糸繊度0.5〜3.0デシテックスの範囲である合成繊維マルチフィラメントの糸条で構成されるとともに、表面層は前記裏面層を構成する糸条の単糸繊度の1.5倍以上5.5倍未満の単糸繊度の糸条で構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の多層構造編地。
- 裏面層が、繊維表面に繊維長手方向に沿って延びる複数の凹溝をもつ合成繊維マルチフィラメントを少なくとも30重量%含む糸条から構成され、表面層が繊維表面に繊維長手方向に沿って延びる凹溝を持たないフィラメントの糸条から構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多層構造編地。
- 前記合成繊維マルチフィラメントの糸条が、ポリエステル系合成繊維、ポリアミド系合成繊維の少なくとも一方を構成要素として含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多層構造編地。
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- 2003-09-29 JP JP2003337967A patent/JP2005105442A/ja active Pending
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