JP4466132B2 - 吸水性ストレッチ編地 - Google Patents

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本発明は、汗処理性に優れるとともに、快適な衣料品に欠かすことの出来ない高いストレッチ性とストレッチバック性に優れた衣料用および資材用に適した吸水性ストレッチ編地に関するものである。
従来から編物は織物に比べ、その生地構造上からストレッチ性を出しやすく、身体の動きに伴う動き易さから一般衣料用であるインナーウエア類、アウターウエア類、スポーツウエア類。パンティストッキングを含む靴下類衣料資材用である裏地類、芯地類産業資材用である椅子張り材等、多くの分野に使用されている。
しかし、近年、特にインナーウェア類、スポーツウェア類、裏地類等においては、更に身体にフィットして動き易く、発汗時の汗処理性に優れた編物が望まれ、用いる繊維や編構造について種々の技術的改良が提案されてきた。
特に、高いストレッチ性とストレッチバック性を得るためにスパンデックスと呼ばれるポリウレタン系弾性繊維をナイロン繊維、ポリエステル繊維、綿糸などと組み合わせたストレッチ編地について、種々検討がされてきた。
しかし、ポリウレタン系弾性繊維は高いストレッチ性を有するものの、これを混用した場合、ポリウレタン固有の性質として風合いが硬くなり、この編地の風合いやドレープ性が低下する傾向にある。また、ポリエステル繊維に混用した場合、ポリエステル用の分散染料には染まり難く、洗濯液汚染の問題、および編地の湿摩擦堅牢度低下の問題がつきまとい、そのため還元洗浄の強化など染色工程が複雑になるばかりか、所望の色彩に染色することが困難であった。さらに、耐熱性が劣るため、編地表面の荒れの問題があったし、また、ポリウレタン系弾性繊維のコストも非常に高いものであった(特許文献1参照)。
また、例えば、ポリエステル繊維、またはナイロン繊維に仮撚加工を施し、加撚/解撚によるトルクを発現させた繊維を混用することによりストレッチ性を付与する方法や、ポリブチレンテレフタレート繊維を混用する方法も採られてきたが、まだ十分に満足されるストレッチ性を持った編地を得ることができなかった(特許文献2参照)。
特公平01−040137号公報 特開平06−101116号公報
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決し、優れたストレッチ性とストレッチバック性、および、吸水性を有する吸水性ストレッチ編地を提供することを目的とするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の吸水性ストレッチ編地は、表面層と裏面層の少なくとも2層からなる多層構造編地であって、該表面層に、2種類のポリエステル重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた、その横断面形状が少なくとも1個の凹部を有し、異形度が1.3〜6.0のダルマ型である複合繊維マルチフィラメント糸であって、該2種類のポリエステル重合体のうち少なくとも一方が、ポリトリメチレンテレフタレートであり、かつ3次元コイル捲縮が発現され、構成糸条の全単繊維のコイル位相が異なっている複合繊維マルチフィラメント糸を30%以上含み、また該複合繊維マルチフィラメント糸以外の糸条が合成繊維フィラメント糸条であり、その繊維断面形状は丸断面形状、三角断面形状、扁平断面形状から選ばれ、該表面層の裏面層に対する吸水表裏保水率比が2倍以上で、かつ、吸水表裏拡散面積比が2倍以上である吸水性を有し、かつ、該編地のタテ・ヨコ方向の平均伸長率が55%以上、平均伸長回復率が60%以上であることを特徴とするものである。
本発明によれば、従来の編地で成し得なかった、吸水性、ストレッチ性、ストレッチバック性を同時に満足するものであり、かつ、十分な汗処理性とストレッチ性を具備した、薄地から中厚地の吸水性ストレッチ編地を効率よく低コストで提供することができ、スポーツウェア類、インナーウェア類、裏地類、資材類等までの幅広い分野に適応できる。
本発明は、前記課題、つまり機械強度、耐薬品性、染色加工性、ソフト感、ふくらみ感等を維持しながら優れたストレッチ性とストレッチバック性、および、吸水性を有する吸水性ストレッチ編地について、鋭意検討し、特定な複合繊維フィラメントを多層構造編地の表面層に使用して該多層構造編地を構成してみたところ、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
一方、インナーウェア類、スポーツウェア類、裏地類等は、一般に肌に接するように着用されるため、夏場の運動や労働作業時に肌から激しく発汗する汗を長時間にわたり連続的に吸収処理すると共に、速やかに外気中に蒸散させる乾燥性を有し、また頻繁に行われる洗濯に対し、優れたウオッシュアンドウエア性を有するものであることが理想的とされている。
一般的に、単糸繊度の細いハイカウントマルチフィラメント、異形断面マルチフィラメント、紡績糸は、その繊維間空隙が細かく、数多くなるため、毛細管原理による吸水性がより強く発生し、編地に吸水性を付与するのに適していることが知られている。そのため、多層構造編地の表面層にこの単糸繊度の細いハイカウントマルチフィラメントや異形断面マルチフィラメントや紡績糸を配することにより、多層構造編地の裏面層から吸収した汗を積極的に表面層に吸い上げることが可能となり、発汗時のベトツキ感、冷え感の防止、速乾性の付与が実現できる。
本発明は、かかる技術も勘案して組み合わせ、夏場の運動や労働作業時に肌から激しく発汗する汗を長時間にわたり連続的に吸収することができるインナーウェア類、スポーツウェア類、裏地類等を提供することができる上に、さらに満足できる高いストレッチ性を併せ持った吸水性ストレッチ編地を提供するために、前記特定な複合繊維マルチフィラメント糸を使用し、さらに特定な多層構造編地を採用するところに特徴を有するものである。
本発明の吸水性ストレッチ編地は、異種のポリエステル重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされ、少なくとも1個の凹部を有する断面形状の複合繊維フィラメントを構成糸に含むものである。かかるサイドバイサイド型の複合繊維フィラメントは、ポリマの種類や固有粘度、共重合成分、共重合率等が異なる重合体を貼り合わせ、それらの弾性回復率や収縮特性の差によって、捲縮を発現するものであり、本発明はかかる特性を巧みに利用したものである。すなわち、粘弾性が異なるポリマの組み合わせの場合、紡糸、延伸時に高粘度側に応力が集中するため、2成分間で内部歪みが異なる。そのため、延伸後の弾性回復率差および編地の熱処理工程での熱収縮率差により高粘度側が収縮し、単繊維内で歪みが生じて3次元コイル捲縮の形態をとる。この3次元コイルの径および単位繊維長当たりのコイル数は、高収縮成分と低収縮成分との収縮差(弾性回復率差を含む)によって決まるといってよく、収縮差が大きいほどコイル径が小さく、単位繊維長当たりのコイル数が多くなる。
ストレッチ素材として要求されるコイル捲縮は、コイル径が小さく、単位繊維長さ当たりのコイル数が多い(伸長特性に優れ、見映えが良い)、コイルの耐ヘタリ性が良い(伸長回復に応じたコイルのヘタリ量が小さく、ストレッチ保持性に優れる)、さらにはコイルの伸長回復時におけるヒステリシスロスが小さい(弾発性に優れ、フィット感がよい)などである。このコイルの直径は250μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。
また、フィラメント糸条の長さ方向に形成されるコイルの位相は、糸条を構成させる全単繊維のコイル位相が揃った場合、一本のフィラメント糸条は一本のバネ状の糸条となる。この糸条を用いた編地はフクラミを持ったソフト感を有し、その表面は、細かなシボが立ち美しい表面の編地が得られる。逆に、糸条を構成させる全単繊維のコイル位相が異なった場合、一本のフィラメント糸条はそれぞれの単糸がランダムなフクラミを持つため、仮撚/解撚した仮撚状の糸条となる。この糸条を用いた編地はさらにフクラミを持ったソフト感を有し、その表面は、フラットな美しい表面の編地が得られる。また、それぞれの単糸がランダムに配されているため細かい繊維単糸間空隙が数多く存在し、繊維の、強いては編地の吸水性が増すことにより、吸水性ストレッチ編地としてより適したものとなる。
これらの要求を満足しつつ、ポリエステルとしての特性、例えば適度な張り腰、ドレープ性、高染色堅牢性を有することで、トータルバランスに優れた吸水性ストレッチ編地とすることができる。ここで、前記のコイル特性を満足するためには高収縮成分(高粘度成分)の特性が重要となる。コイルの伸縮特性は、低収縮成分を支点とした高収縮成分の伸縮特性が支配的となるため、高収縮成分に用いる重合体には高いストレッチ性およびストレッチバック性が要求される。
そこで、本発明者らはポリエステルの特性を損なうことなく前記特性を満足させるために鋭意検討した結果、高収縮成分にポリトリメチレンテレフタレート(以下PTTと略記する)を主体としたポリエステルを用いるのが好ましいことを見出した。PTT繊維は、代表的なポリエステル繊維であるポリエチレンテレフタレート(以下PETと略記する)やポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略記する)繊維と同等の力学的特性や化学的特性を有しつつ、伸長回復性に極めて優れている。これは、PTTの結晶構造においてアルキレングリコール部のメチレン鎖がゴーシュ−ゴーシュの構造(分子鎖が90度に屈曲)であること、さらにはベンゼン環同士の相互作用(スタッキング、並列)による拘束点密度が低く、フレキシビリティーが高いことから、メチレン基の回転により分子鎖が容易に伸長・回復するためと考えている。
ここで、PTTとは、テレフタール酸を主たる酸成分とし、1,3−プロパンジオールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルである。ただし、20モル%、より好ましくは10モル%以下の割合で他のエステル結合の形成が可能な共重合成分を含むものであってもよい。共重合可能な化合物として、例えば、イソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジオール類を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、必要に応じて、艶消し剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてのヒンダードフェノール誘導体、着色顔料等を添加してもよい。
また、低収縮成分には高収縮成分であるPTTとの界面接着性が良好で、製糸性が安定している繊維形成性ポリエステルであれば特に限定されるものではないが、力学的特性、化学的特性および原料価格を考慮すると、繊維形成能のあるPTT、PET、PBTが好ましい。
また、PTTの紡糸温度における溶融粘度は、もう一方の低収縮成分の紡糸温度における溶融粘度の1.0〜5.0倍であることが好ましい。1.0倍以上、好ましくは1.1倍以上とすることで、紡糸の繊維形成時においてPTTがより大きな紡糸応力を受け、より強い捲縮発現能力を得ることができる。一方、5.0倍以下、好ましくは4.0倍以下とすることで、複合形態の制御が容易となり、また口金下の吐出ポリマの曲がりも紡糸に問題のない程度に抑えることができる。
また、両成分の複合比率は製糸性および繊維長さ方向のコイルの寸法均質性の点で、高収縮成分:低収縮成分=75:25〜35:65(重量%)の範囲が好ましく、65:35〜45:55の範囲がより好ましい。
また、本発明で使用されるサイドバイサイド型複合繊維マルチフィラメント糸を構成するフィラメントの繊維横断面形状は、少なくとも1個の凹部を有し、かつ、異形度が1.3〜6.0であれば特に限定されることはなく、マルチローバル断面、ダルマ型断面、C型断面、M型断面、H型断面、X型断面、W型断面、I型断面、+型断面を用いることができるが、捲縮発現性、吸水性、風合いのバランスからは、図2aに示すようなダルマ型断面のサイドバイサイド型複合繊維フィラメントからなるマルチフィラメント糸が好ましく用いられる。
このダルマ型断面の繊維横断面形状は、図2aに示すように左右二つの円、または楕円を隣り合わせに貼り合わせた形状であり、左右二つの円がそれぞれ異なる成分のポリマーで形成されていることが好ましい。また、異形度が1.3〜6.0であればダルマ型断面の繊維横断面形状は特に限定されるものではないが、二つの凹部を結んだ直線(A)とそれと直交する直線の最長部(B)の比(B/A)が1.0〜5.0であることが好ましい。製糸性、編地にしたときの物性を考慮すると(B/A)が2.0〜4.0であることがより好ましい。
本発明で使用されるサイドバイサイド型複合繊維は、単糸繊度が0.1〜11デシテックス、総繊度が22〜330デシテックスのフィラメント糸条から構成されることが好ましい。単糸繊度を11デシテックス以下とすることで、編地の風合いをソフトなものとし、衣料用編地として好ましく使用することができる。また、0.1デシテックス以上、さらに好ましくは、1.1デシテックス以上とすることで複合製糸が良好となり、また、捲縮構造が反映され、良好なストレッチ性も得ることができる。さらに、異繊度混繊糸等の単糸繊度の異なる糸を用いるようにしてもよい。このような異繊度混繊糸は、ソフトでかつ張りのある編地を得られる観点から好ましい。
本発明は、かかる複合繊維マルチフィラメント糸を、該編地の表面層に30%以上含む特定な多層構造編地とすることにより、優れた吸水性とストレッチ性を発現せしめ得たものである。
すなわち、本発明の吸水性ストレッチ編地は、該編地の表面層の裏面層に対する吸水表裏保水率比が2倍以上で、かつ吸水表裏拡散面積比が2倍以上である吸水性を有するという特徴を有するものである。これらの各比率、つまり吸水表裏保水率比および吸水表裏拡散面積比は、好ましくは3倍以上、より好ましくは4倍以上であるのがよい。かかる比率が2倍未満の場合は、肌面で汗のベトツキ感を感じることがある。
このことにより、運動、作業等で発汗した場合、肌側と接する編地裏面層で吸収した汗を編地表面層へ移動させる吸水・透水性、編地表面層での拡散・蒸散・速乾性のいずれにも優れた性能を兼備することができ、激しい発汗に対してもベトツキ感を軽減し、快適な着用感を得ることができる。
この表裏保水率比が2倍以上で、かつ吸水表裏拡散面積比が2倍以上である吸水性を達成するためには、本発明で使用されるサイドバイサイド型複合繊維マルチフィラメント糸を構成するフィラメントが、前記のような異形断面形状を有し、該複合繊維マルチフィラメント糸を多層構造編地の表面層に30%以上配することが重要である。従来の吸水性ストレッチ編地の場合、吸水性を付与するために繊維の長手方向に凹部を持った異形断面糸や単糸繊度の小さい糸を、ストレッチ性を付与するためにスパンデックスや高捲縮加工糸を用いるのが通例で、前述したように、スパンデックスを用いた場合は、風合いの硬化、堅牢度低下、加工煩雑度のアップ、コストアップ、等の問題があり、高捲縮加工糸を用いた場合は、満足出来るストレッチ性を得ることが出来なかった。本発明では、前記特定異形断面形状を有するサイドバイサイド型複合繊維マルチフィラメント糸を使用することにより、高い吸水性とストレッチ性を同時に付与することができ、より簡単に効率良く編地を作ることが出来る。また、該サイドバイサイド型複合繊維マルチフィラメント糸を、前記特定層に30%以上用いることにより、多層構造編地の裏面層から吸収した汗を積極的に表面層に吸い上げることが可能となり、発汗時のベトツキ感、冷え感の防止、速乾性の付与が実現することができるのである。
本発明で使用されるサイドバイサイド型複合繊維フイラメントは、異形度が1.3〜6.0であることが好ましい。異形度を1.3以上にすることによって、繊維単糸間の微細な空隙が増すとともに、表面層自体の繊維密度も増し、吸水性が高くなる。ただし、あまり異形度を大きくすると繊維が割れたり、フィブリル化が起こり、加工性や品位の低下を招くため、異形度は6.0以下とすることが好ましい。吸水性、加工性、品位のバランスを考慮すると、異形度は1.5〜4.0の範囲がより好ましい。なお、本発明でいう異形度は以下の方法によって求めたものである。
(異形度)=D1/D2
ただし、D1:繊維横断面の外接円の直径
D2:繊維横断面の内接円の直径
編地表面層、または、中層の構成糸に対する本発明で使用されるサイドバイサイド型複合繊維マルチフィラメント糸の混率は、30重量%以上が好ましい。この混率が30重量%未満の場合は、前述したように編地裏面層から吸収した汗を積極的に表面層に吸い上げることが難しくなるだけでなく、タテおよびヨコ方向の平均伸長率、および平均伸長回復率について良好な特性を得にくくなる。本発明で使用されるサイドバイサイド型複合繊維マルチフィラメント糸の編地への混用方法としては、他の素材との通常の交編、交撚、引き揃え、カバーリング、混繊などを採用することができ、用途別の狙い、編地形成法、編組織などに応じて適宜使い分ければよい。
本発明の吸水性ストレッチ編地は、タテおよびヨコ方向の平均伸長率(ストレッチ率)が55%以上、タテおよびヨコ方向の平均伸長回復率(ストレッチバック率)が60%以上であることが重要である。
平均伸長率および平均伸長回復率は実施例に示す方法で測定することができるが、伸長率とは、編地の伸びの程度を表すものであり、この数値が大きい程、衣服として着用した時、身体の動きに追従し易く、運動による激しい動きにも編地が追従し、動き易く、疲れ難い。また、伸長回復率とは身体の動きで伸長した編地が、素早く元の状態に戻ろうとする回復程度を表すものであり、この数値が大きい程、衣服として着用した時、よりフィット性に富み、動き易い。
この伸長率と伸長回復率は編地のタテ方向とヨコ方向の各々の数値を平均して考える必要がある。これは、運動着にして実際着用して動く場合、編地のタテ方向あるいはヨコ方向の一方向のみ伸長されるわけではなく、人間の身体の丸みに応じて三次元的に編地が伸長されるためである。この三次元的な伸長特性が編地のタテ方向とヨコ方向の平均した伸長率である平均伸長率、および平均伸長回復率と相関し、よく一致するものである。
本発明における編地のタテおよびヨコ方向の平均伸長率は、55%以上あるものであり、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。平均伸長率55%未満であると衣服として着用し、激しい運動を行った場合、身体の動きに編地が追従し難く、また、疲れ易いものとなり好ましくない。
また、本発明における編地のタテおよびヨコ方向の平均伸長回復率は、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。平均伸長回復率が60%未満であると運動などにより伸長された編地が伸ばされた状態となり、身体へのフィット感に劣ることから身体の動きに追従しにくくなる。また、衣服としての見映えにも劣ることになる。
本発明の吸水性ストレッチ編地は、表面層と裏面層との少なくとも二層からなる多層構造編地からなるものであれば、特に組織等には限定されるものではない。たとえば、かかる表面層が少なくとも2層からなる多層構造であってもよい。その場合は、中層にのみに該複合繊維マルチフィラメント糸を30%以上含む構成であってもよい。つまり、該表面層の多層の全部または、その少なくとも1層に該複合繊維マルチフィラメント糸が含まれていれば、本発明の効果は奏されるものである。
かかる編地としては、例えば、丸編地であれば、シングルジャージ、ダブルジャージ経編地であれば、シングルトリコット、ダブルトリコット、シングルラッセル、ダブルラッセルを使用することができ、横編地であれば、シングルベットニット、ダブルベットニットを使用することができ、また、タイツ、靴下編地などを使用することができる。
この吸水性ストレッチ編地に使用される、サイドバイサイド型複合繊維マルチフィラメント糸以外の糸は特に限定されるものでないが、例えば、スポーツ用途に使用する場合は、多発汗時のベトツキ感を軽減するために合成繊維マルチフィラメント糸を好ましく使用することができ、インナー用途に使用する場合は、ムレ感を軽減するために吸湿性を有する合成繊維マルチフィラメント糸や、天然繊維、半合成繊維、等を好ましく使用することができる。
この合成繊維フィラメント糸条としては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリルニトリル系、ポリプロピレン系、ポリビニルアルコール系、ポリ塩化ビニール系等の従来から衣料用、資材用に使用されているものであればいずれも使用可能であり、特に限定されるものではないが、肌面のベトツキ感をより軽減させるためには、吸湿性の合成繊維より疎水性の合成繊維がより好ましい。
例えば、ポリエステル系繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート繊維などを使用することができる。また、ポリアミド系繊維としては、ナイロン6やナイロン66繊維、さらに、アクリル系繊維としては、ポリアクリロニトリル繊維が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。他の素材としては、牛乳蛋白繊維、大豆蛋白繊維を含む蛋白質系繊維、ポリ乳酸系繊維などが挙げられる。
また、これらの合成繊維フィラメント糸条は、延伸糸、捲縮加工糸、或いは他のフィラメント糸条との混繊糸であっても良いが、好ましくは捲縮加工糸またはその混繊糸を使用するとよい。また、捲縮加工糸としては、特に仮撚加工糸が好ましい。
合成繊維フィラメント糸条の繊維横断面形状は、一般的な丸断面形状、三角断面形状、扁平断面形状、多葉断面形状以外に、繊維表面に長手方向に沿って複数の凹溝を形成しているフィラメントを配置してもよく、横断面形状例として文字もしくは記号等でモデル的に示すとE、F、H、I、K、M、N、T、W、X、Y、Z、+等が考えられ特に限定されるものではない。
また、フィラメント糸条の単繊維繊度としては、1.1〜5.5デシテックスの範囲が好ましい。単繊維繊度が1.1デシテックス未満では、抗ピリング性、抗スナッグ性が低下する傾向がある。単繊維繊度が5.5デシテックスより大きくなると、肌触り感が劣る傾向となり好ましくない。
フィラメント糸条の総繊度は、特に限定されないが、その狙いとする用途と薄地編地類から厚地編地類まで含めると、33〜330デシテックス程度までの範囲を好ましく使用することができる。
本発明の吸水性ストレッチ編地裏面層は平坦面形状であるよりも、多数の凸部が分散した凹凸面形状にすることがより好ましい。このように裏面層を凹凸形状にすると、衣服にして着用した場合、その凸部が肌面と点接触するため、液状の汗を発汗してもベトツキ感が無く、かつ、本発明の多層構造編地の表面層の密度が密となるのに対し、裏面層の密度が粗になるため、液状の汗が毛細管現象により編地裏面層から表面層へより効率的に移動し、吸水・透水性および表面層での拡散・乾燥性をより向上させることができる。
かかる凹凸部の形状はタテストライプ状、ヨコボーダー状、格子状、ツイル状、杉綾状、ドット状、鹿の子状等幅広く適用でき限定されるものではない。この凹凸状高低差を形成させるには、編組織による方法、太い糸と細い糸の組合せや、あるいは、この両者の組合せ等があり、特に限定されるものではない。
製編における編成条件は、通常糸使いの編成条件よりループ長やランナー長を若干大きめに取り編密度を粗くすることが好ましい。このことにより、本発明に使用されるサイドバイサイド型複合繊維が染色加工工程を通ることで、その捲縮発現性が十分に発揮され優れたストレッチ性とストレッチバック性、ソフト感、ふくらみ感風合いを持った編地を得ることができる。
製編された生機編地の熱処理、精練や染色等の加工は、通常の編地の加工法に準じて行えばよいが、本発明に使用されるサイドバイサイド型複合繊維の潜在捲縮をより効果的に発現させるために、リラックス・精練熱処理温度を80℃以上とすることが好ましい。この染色段階での付帯加工として、撥水加工、防汚加工、抗菌加工、消臭加工、防臭加工、難燃加工、吸汗加工、吸湿加工、防カビ加工、紫外線吸収加工、減量加工等。更に、後加工としてカレンダー加工、エンボス加工、シワ加工、起毛加工、プリント加工、オパール加工等、最終用途の要求特性に応じて適宜付与することが望ましい。
特に、吸汗加工を行うことにより、目的とする吸水性は一層向上することになり好ましい。
本発明の吸水性ストレッチ編地は、適宜選択することにより、次のように幅広く展開可能である。例えば、衣料用である運動着類、肌着類、ホームウエア類、ユニフォームウエア類、アウターウエア類。資材用である裏地類、靴材類、サポーター類、靴下類、手袋類である。
運動着類ならば、ランニングシャツ・パンツ、競技シャツ・パンツ、ゴルフシャツ、テニスシャツ、サイクルシャツ、アウトドアシャツ、ポロシャツ、Tシャツ、野球用アンダーシャツ、トレーニングウエア、スエットシャツ・パンツ等。肌着類ならば、一般婦人用肌着であるスリップ、キャミソール、ペチコート、ショーツ、アンダーパンツ、タイツ、Tシャツ、丸首シャツ、U首シャツ、ボディスーツ、ガードル等や、一般紳士用肌着であるTシャツ、丸首シャツ、U首シャツ、ランニングシャツ、アンダーパンツ、タイツ、ブリーフ、トランクス等、さらに、また、これらの肌着の転用を含めたアスレチック、アウトドア、スキー等のスポーツ用肌着、さらには、屋外作業、屋内作業等の作業用肌着等。ホームウエア類ならば、室内着、パジャマ、ネグリジェ、ガウン等。アウターウエア類ならば、婦人服、紳士服、子供服、作業服等。裏地類ならば、スポーツウエア用、婦人服用、紳士服用、子供服用、礼服用、学生服用、作業服用裏地等に好ましく使用することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の%とは、断らない限り重量基準である。
<評価方法>
実施例中での品質評価は次の方法に従った。
[平均伸長率]
伸長率の試験法はJIS L 1018「メリヤス生地試験方法」の定速伸長法のグラブ法に準じて行った。すなわち、10cm×約15cmの試験片をタテ、ヨコ方向にそれぞれ3枚ずつ採取した。自記記録装置付定速伸長形引張試験機を用い、上下つかみとも表側は2.54cm×2.54cm、裏側は2.54cm×5.08cmのものを取り付け、つかみ間隔を7.6cmとして試験片のたるみや、張力を除いてつかみに固定した。これを引張速度10cm/minで17.7N(1.8Kg)荷重まで引伸ばし、その時のつかみ間隔を測った。次に即、荷重を取り除く方向へ元のつかみ間隔である7.6cmまで戻した。この荷重・除重による挙動を自記記録計に荷重・伸長・回復曲線として描いた(図1を参照)。これを基に、次の式により伸長率LA(%)を求め、3枚の平均値で表した。
伸長率LA(%)=[(L1−L)/L]×100
L :つかみ間隔(mm)
L1:17.7Nまで伸ばした時のつかみ間隔(mm)
編地のタテ方向、ヨコ方向の各々についての伸長率を加算し、さらにその加算値を1/2にして平均伸長率とした。
[平均伸長回復率]
伸長回復率LB(%)は、前記自記記録計で描いた荷重・伸長・回復曲線を基に、回復曲線がゼロ荷重になった時点から残留歪みL2(mm)を求め、次の式により伸長回復率LB(%)を算出し、3枚の平均値で表した。
伸長率回復率LB(%)=(L3/L1)×100
L3:17.7Nまで伸ばした時のつかみ間隔<L1>−残留歪み<L2>
編地のタテ方向、ヨコ方向の各々についての伸長回復率を加算し、さらにその加算値を1/2にして平均伸長回復率とした。
[吸水表裏保水率比]
ガラス板上に蒸留水1.0ccを滴下し、その上にサンプルサイズ10cm×10cmの編地の裏面を下に、すなわち蒸留水に接する側にしてのせた。そして60秒間放置し、別のガラス板上に移動し同一サイズにカットしたろ紙2枚にて、この編地をサンドイッチ状に挟み、5g/2の荷重下で60秒間放置した。その後、もとの編地重量と吸水後の編地重量との差から編地の保水重量および表面と裏面に接した各々のろ紙の含水重量から、編地の表面、裏面の保水率を出した。編地3枚について同様に行った。この値より保水率比(表面の保水率/裏面の保水率)を算出した。
保水率比の大小は蒸留水の吸収状態を示すものであり、表面の保水率が大きく、かつ、前記保水率比が大きいものは滴下された蒸留水を効率よく表面側に移動するいわゆる透水能力に優れていることを示すものであり、着用時にベタツキ感がより少ないものである。
[吸水表裏拡散面積比]
ガラス板上に市販のインクを2倍に水で希釈したインク液を0.1cc滴下し、その上に編地の裏面を下に、すなわちインク液に接する側にのせた。そして60秒間放置し、インク液を吸収させた後、今度は別のガラス板上に移動し、ここでも裏面を下にして3分間放置した。編地3枚について同様に行った。このようにして得たサンプル編地の表面、裏面のインク液の拡散面積を測定し、その測定値により算出した面積比(表面の拡散面積/裏面の拡散)を示した。
拡散面積の大小はインク液の吸収状態を示すものであり、表面の拡散面積が大きく、かつ、前記面積比が大きいものは滴下されたインク液を効率よく表面側に移動するいわゆる吸水、透水、拡散能力に優れていることを表すものである。
また、表面側の拡散面積が大きいことは、大気との接触効率が良くなるので乾燥性にも優れていることを示す。
本発明において、吸水表裏保水率比と吸水表裏拡散面積比との両値は、それぞれ2倍以上であることが好ましいが、必ずしも同一比率である必要は無く、肌側のベタツキ感の軽減には、吸水表裏保水率比の大小がより影響する。一方、速乾性には、吸水表裏拡散面積比の大小がより影響する。
[吸水性ストレッチ編地の着用評価]
本発明の編地を用いて体にフィットするように縫製したTシャツのサンプルを作製し、25℃×65%RHの室内で5名の被験者がこのTシャツを着用した状態でトレッドミルを使い時速12Kmのジョギング運動を10分間行った後の、被験者の自己申告で動き易さ、発汗時のベトツキ感を次の3段階評価基準に基づいて行った。
○:非常に動き易い、全くべとつかない、
△:通常品並に動き易い、ほとんどべとつかない、
×:動き難い、べとつく
[総合評価]
表1の点数表に基づき、各水準の合計点を計算し、総合評価を以下の通りとした。
15点以上 :○(吸水性ストレッチ編地として優れている。)
10〜14点:△(吸水性ストレッチ編地として満足できない。)
9点以下 :×(吸水性ストレッチ編地として劣っている。)
実施例1
固有粘度(IV)が1.40、275℃における溶融粘度が750poiseのホモPTTと固有粘度(IV)が0.60、275℃における溶融粘度が650poiseのホモPETをそれぞれ別々に溶融し、紡糸温度275℃で48孔の繊維横断面が図2aのダルマ型断面になるような複合紡糸口金から複合比(重量%)50:50で吐出し、紡糸速度1400m/分で引き取り、サイドバイサイド型複合未延伸糸を得た。さらにホットロール−熱板系延伸機を用いて延伸し、次いで、一旦引き取ることなく、連続してリラックスして巻き取り、110デシテックス48フィラメントの延伸糸を得た。
22Gの両面丸編機にて、図3の編方図における構成糸ロに上記のPTT/PETサイドバイサイド複合繊維マルチフィラメント糸(110デシテックス48フィラメント)を、構成糸イに84デシテックス36フィラメントのポリエステルフィラメント加工糸(東レ(株)製“テトロン”)を用いて、編地表面がPTT/PETサイドバイサイド複合繊維マルチフィラメント糸(ダルマ型断面)100%、裏面がポリエステルフィラメント加工糸100%の表フラット、裏メッシュタイプのリバーシブル編地を編成した。
この生機を通常のポリエステル丸編地の染色加工方法に準じ、リラックス、精錬、染色、仕上げセットを行い、目付が179g/mの編地を得た。得られた編地は吸水表裏保水率比が4.0、吸水表裏拡散面積比が4.3、タテ・ヨコの平均伸長率が79%、平均伸長回復率が85%と吸水性とストレッチ性に優れたものであった。また、着用評価においても、運動時は動き易すく、発汗時のベトツキ感もなく、総合的に吸水性ストレッチ編地として優れているものであった。この結果を表に示す。
実施例2
実施例1と同様のポリマーを36孔の繊維断面が図2bのX型断面になるような複合紡糸口金から複合比(重量%)50:50で吐出し、実施例1と同様の方法をへて、84デシテックス36フィラメントの延伸糸を得た。
この糸を図3の編方図における構成糸ロに用い、その他は実施例1と同様に編成、染色加工を行った結果、編地表面がPTT/PETサイドバイサイド複合繊維マルチフィラメント糸(X型断面)100%、裏面がポリエステルフィラメント加工糸100%の表フラット、裏メッシュタイプの、目付が162g/mの編地を得た。得られた編地は吸水表裏保水率比が5.4、吸水表裏拡散面積比が9.5、タテ・ヨコの平均伸長率が72%、平均伸長回復率が89%と吸水性とストレッチ性に優れたものであった。また、着用評価においても、運動時は動き易く、発汗時のベトツキ感もなく、総合的に吸水性ストレッチ編地として優れているものであった。この結果を表に示す。
実施例3
実施例1で使用したPTT/PETサイドバイサイド複合繊維マルチフィラメント糸(110デシテックス48フィラメント)と84デシテックス36フィラメントのポリエステルフィラメント加工糸(東レ(株)製“テトロン”)を図3に示す編方図の構成糸ロに1本交互に用い、構成糸イに84デシテックス36フィラメントのポリエステルフィラメント加工糸(東レ(株)製“テトロン”)を用いて、編地表面にPTT/PETサイドバイサイド複合繊維マルチフィラメント糸(ダルマ型断面)を52%含み、裏面がポリエステルフィラメント加工糸100%の表フラット、裏メッシュタイプのリバーシブル編地を編成した。
この生機を通常のポリエステル丸編地の染色加工方法に準じ、リラックス、精錬、染色、仕上げセットを行い170g/mの編地を得た。得られた編地は吸水表裏保水率比が3.2、吸水表裏拡散面積比が3.9、タテ・ヨコの平均伸長率が70%、平均伸長回復率が91%と吸水性とストレッチ性に優れたものであった。また、着用評価においても、運動時は動き易すく、発汗時のベトツキ感もなく、総合的に吸水性ストレッチ編地として優れているものであった。この結果を表に示す。
比較例1
実施例1と同様のポリマーを36孔の繊維断面が図2cの丸型断面になるような複合紡糸口金から複合比(重量%)50:50で吐出し、実施例1と同様の方法をへて、84デシテックス36フィラメントの延伸糸を得た。
この糸を図3の編方図における構成糸ロに用い、その他は実施例1と同様に編成、染色加工を行った結果、編地表面がPTT/PETサイドバイサイド複合繊維マルチフィラメント糸(丸型断面)100%、裏面がポリエステルフィラメント加工糸100%の表フラット、裏メッシュタイプの、目付が165g/mの編地を得た。得られた編地は吸水表裏保水率比が1.3、吸水表裏拡散面積比が1.9、タテ・ヨコの平均伸長率が78%、平均伸長回復率が87%とストレッチ性に優れるものの、吸水性は満足できるものでなかった。また、着用評価においても、運動時は動き易すいものの、発汗時のベトツキ感がやや強く、総合的に吸水性ストレッチ編地として満足できるものではなかった。この結果を表に示す。
比較例2
28G両面丸編機にて、比較例1で使用したPTT/PETサイドバイサイド複合繊維マルチフィラメント糸(丸型断面)を図4の編方図における全ての給糸口に用い、その他は実施例1と同様に染色加工を行った結果、目付が195g/mの編地を得た。得られた編地は吸水表裏保水率比が0.8、吸水表裏拡散面積比が1.0、タテ・ヨコの平均伸長率が81%、平均伸長回復率が89%とストレッチ性に優れるものの、吸水性は全く満足できるものでなかった。また、着用評価においても、運動時は動き易すいものの、発汗時のベトツキ感が強く、総合的に吸水性ストレッチ編地として満足できるものでなかった。この結果を表に示す。
比較例3
実施例1で使用したPTT/PETサイドバイサイド複合繊維マルチフィラメント糸(110デシテックス48フィラメント)と84デシテックス36フィラメントのポリエステルフィラメント加工糸(東レ(株)製“テトロン”)を図3に示す編方図の構成糸ロに1:3の比率で用い、構成糸イに84デシテックス36フィラメントのポリエステルフィラメント加工糸(東レ(株)製“テトロン”)を用いて、編地表面にPTT/PETサイドバイサイド複合繊維マルチフィラメント糸(ダルマ型断面)を28%含み、裏面がポリエステルフィラメント加工糸100%の表フラット、裏メッシュタイプのリバーシブル編地を編成した。
この生機を通常のポリエステル丸編地の染色加工方法に準じ、リラックス、精錬、染色、仕上げセットを行い169g/mの編地を得た。得られた編地は吸水表裏保水率比が1.8、吸水表裏拡散面積比が2.1、タテ・ヨコの平均伸長率が53%、平均伸長回復率が55%と吸水性に優れるものの、ストレッチ性にやや劣るものであった。また、着用評価においても、発汗時のベトツキ感はないものの、運動時にやや動きにくく、総合的に吸水性ストレッチ編地として満足できるものでなかった。この結果を表に示す。
Figure 0004466132
各評価項目における総合評価点数配分表である。
Figure 0004466132
実施例1〜3、比較例1〜3の構成と評価結果である。
本発明の多層構造編地の荷重−伸長回復曲線の説明図である。 本発明に使用する複合繊維マルチフィラメント糸を構成するフィラメントの断面形状モデル図である。 実施例1〜3、比較例1、3の編地の編方図である。 比較例2の編地の編方図である。
符号の説明
L1:編地の伸び
L2:編地の歪み伸び
L3:編地の回復伸び
a〜c:繊維横断面形状
α:繊維横断面の外接円
β:繊維横断面の内接円
F1〜F8:編機の給糸口NO
D1〜D5:ダイヤル側編針
C1〜C6:シリンダー側編針
イ:編地裏面側構成糸
ロ:編地表面側構成糸

Claims (3)

  1. 表面層と裏面層の少なくとも2層からなる多層構造編地であって、該表面層に、2種類のポリエステル重合体が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型に貼り合わされた、その横断面形状が少なくとも1個の凹部を有し、異形度が1.3〜6.0のダルマ型である複合繊維マルチフィラメント糸であって、該2種類のポリエステル重合体のうち少なくとも一方が、ポリトリメチレンテレフタレートであり、かつ3次元コイル捲縮が発現され、構成糸条の全単繊維のコイル位相が異なっている複合繊維マルチフィラメント糸を30%以上含み、また該複合繊維マルチフィラメント糸以外の糸条が合成繊維フィラメント糸条であり、その繊維断面形状は丸断面形状、三角断面形状、扁平断面形状から選ばれ、該表面層の裏面層に対する吸水表裏保水率比が2倍以上で、かつ、吸水表裏拡散面積比が2倍以上である吸水性を有し、かつ、該編地のタテ・ヨコ方向の平均伸長率が55%以上、平均伸長回復率が60%以上であることを特徴とする吸水性ストレッチ編地。
  2. 該複合繊維マルチフィラメント糸の単糸繊度が0.1〜11デシテックス、総繊度が22〜330デシテックスであることを特徴とする請求項に記載の吸水性ストレッチ編地。
  3. 該表面層が、少なくとも2層の多層で構成されているものである請求項1または2に記載の吸水性ストレッチ編地。
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