JP2015120989A - 保温織編物 - Google Patents

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浩史 須山
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大輔 吉岡
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周平 飯田
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Abstract

【課題】本発明は、保温性、ソフト感、黒発色性、起毛品位と耐ピリング性、および耐摩擦堅牢度に優れた織編物を提供する。【解決手段】本発明の保温織編物は、表面を毛羽立たせる加工を施した織編物において、その織編物の少なくとも一部に、平均粒径が1〜20μmのカーボンブラックを1〜5質量%含有した、単繊維繊度が0.8〜2dtexのポリアミド黒原着仮撚糸を用いてなる保温織編物である。【選択図】 なし

Description

本発明は、靴下、タイツ、肌着、パンツ、手袋および帽子等の保温織編物に関するものである。さらに詳しくは、本発明はソフト感、黒発色性、表面品位と耐ピリング性、および耐摩擦堅牢度に優れた保温織編物に関するものである。
近年、タイツや肌着に保温性を有する織編物が提案され、市販されている。その多くは、合成繊維で編成された織編地の裏側に起毛ブラシで起毛処理を施して保温性を有するように処理されている。しかしながら、起毛された織編物は保温性はよいものの、織編地の裏側から表糸に剛毛のブラシを押し当てて起毛しているため、毛玉の発生を高まり、耐ピリング性および耐摩擦堅牢度が低いという課題があった。
また、主に寒い冬に着用される保温織編物の色展開は黒色が主流であるが、従来の起毛織編物では起毛後に染料が染着していない単糸フィラメント中心部が露出することにより、白茶けた色になるという課題があった。
これらの課題を解決するために、ポリウレタン弾性糸の芯糸に天然繊維を巻着させたカバリング糸を用いた編地に、毛羽立たせる加工を施したタイツが提案されている(特許文献1参照。)。しかしながら、この提案では、着用したときの肌触りは良好であるが、黒発色性、耐ピリング性および耐摩擦堅牢度はなお不十分であった。
一方、黒発色性をねらいに、芯糸に捲糸巻着させたカバリング糸を用いたタイツであって、芯糸の色と捲糸の色とを、濃色または黒色等の同系統の色としたタイツが提案されている(特許文献2参照。)。しかしながら、この提案では、黒発色性には優れているが、保温性がなお不十分であった。
特開2013−185266号公報 特開2013−185265号公報
本発明の目的は、従来技術では得ることができなかった保温性、ソフト感、黒発色性、起毛品位と耐ピリング性、および耐摩擦堅牢度に優れた織編物を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らは、鋭意検討した結果、下記要件を満たすことにより上記の課題を解決することを見出した。すなわち、本発明の保温織編物は、表面を毛羽立たせる加工を施した織編物において、前記の織編物の少なくとも一部にポリアミド黒原着仮撚糸を用いてなる保温織編物である。
本発明の保温織編物の好ましい態様によれば、前記のポリアミド黒原着仮撚糸は、ポリウレタン弾性糸と複合されたカバリング糸をとして用いられていることである。
本発明の保温織編物の好ましい態様によれば、前記のポリアミド黒原着仮撚糸はカーボンブラックを1〜5質量%含有し、前記のカーボンブラックの平均粒径は1〜20μmであり、かつ前記のポリアミド黒原着仮撚糸の単繊維繊度は0.8〜2dtexであることである。
本発明の保温織編物の好ましい態様によれば、前記のポリアミド黒原着仮撚糸の交絡間隔は10〜100mmである。
本発明によれば、従来得ることができなかった保温性、ソフト感、黒発色性、起毛品位と耐ピリング性、および耐摩擦堅牢度に優れた織編物を得ることができる。本発明の保温織編物を用いることにより、保温性と黒発色性に非常に優れたタイツや肌着等の製品を得ることができる。
次に、本発明の保温織編物について、さらに詳細に説明する。
本発明の保温織編物は、表面を毛羽立たせる加工を施した織編物において、前記の織編物の少なくとも一部にポリアミド黒原着仮撚糸を用いてなる保温織編物である。
本発明の保温織編物は、表面を毛羽立たせる加工を施した織編物であることが必要である。この毛羽立たせた加工面を肌側に着用させることにより、良好な保温性を得ることができる。この表面を毛羽立たせる表面加工方法の例としては、針布起毛加工およびバフ起毛加工、エメリー起毛等が挙げられる。中でも、毛羽が長く保温性に優れた加工方法として、針布起毛加工が好ましく用いられる。
針布起毛加工は、保温織編物の表層の繊維を針布の針で保温織編物の表面に掻き出し、更に引き出された繊維の屈曲部で切断して毛羽状に起毛を生じさせるものである。本発明の保温織編物では、保温性を向上させるという点で、毛羽が10本/cm以上であることが好ましく、さらに好ましくは20本/cm以上である。また、毛羽が100本/cm以上であると、毛羽が多すぎ、繊維強力が低下するので好ましくない。
また、本発明の保温織編物の少なくとも一部には、ポリアミド黒原着仮撚糸を用いる必要がある。
ポリアミド黒原着仮撚糸に毛羽立たせる加工を施すことにより、保温性と黒発色性を両立させ、耐ピリング性と耐摩擦堅牢度に優れた保温織編物を得ることがを可能とした。
通常のナイロン仮撚糸を黒色に染色した仮撚糸では、フィラメント単糸の中心部まで染料を十分に染着させることができず、毛羽加工後に染料が染着していないフィラメント単糸の中心部が露出することにより、生地が完全な黒色にならず、白茶けてしまう課題が発生した。かつ、十分に染着されていないフィラメント単糸の中心部の染料が表面に露出することにより、摩擦堅牢度が低下するという課題が発生した。
本発明で用いられるポリアミド黒原着仮撚糸を構成するポリアミドは、いわゆる炭化水素基が主鎖にアミド結合を介して連結された高分子量体からなる樹脂である。かかるポリアミドとしては、製糸性と機械特性に優れており、主としてポリカプロアミド(ナイロン6)やポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)が好ましく用いられる。また、カーボンブラックを含有させる場合は、ゲル化し難しく、製糸性が良いことから、ポリカプロアミド(ナイロン6)が好ましく用いられる。
ここで言う「主として」とは、ポリカプロアミドを構成するε−カプロラクタム単位が全モノマー単位中80モル%以上であることを言い、さらに好ましくは90モル%以上である。その他の成分としては、例えば、ポリドデカノアミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンアゼラミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカノアミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリヘキサメチレンテレフタラミドおよびポリヘキサメチレンイソフタラミド等を構成するモノマーである、アミノカルボン酸、ジカルボン酸、およびジアミン等の単位が挙げられる。
本発明で用いられるポリアミド黒原着仮撚糸に使用されるカーボンブラックの種類としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックおよびランプブラック等が例示され、特に、ファーネスブラックが好ましく用いられる。
カーボンブラックの製法には、熱分解法としてアセチレンブラックやサーマルブラック、不完全燃焼法として油煙の採取(いわゆるランプブラック)やファーネスブッラクに区分され、これらの製法の違いによってカーボンブラックの特徴に違いを与える。2,000℃近傍の温度の反応環境を維持しなければならない熱分解法は、製造に多くのエネルギーを必要とするため、コストおよび製造時の環境面で実用性は低い。一方、不完全燃焼法は、コストおよび製造時の環境面で実用性が高い。また、不完全燃焼法の代表格であるファーネス法は、粒子径やストラクチャーの大きさを制御することが容易であり、本発明ではポリアミド黒原着仮撚糸の色目や製糸性からファーネス法で得られるファーネスブラックを使用することが好ましい。
本発明で用いられるポリアミド黒原着仮撚糸中に含まれるカーボンブラックは、平均粒径が1〜20μmであることが好ましい。ここで言う平均粒径とは、一般的に粗粒と呼ばれる粒子径の大きなストラクチャーであり、測定方法は光学顕微鏡を用いて、ポリアミド黒原着糸の融点+20℃に加熱したプレパラートにポリアミド黒原着糸の試料0.1gを載せ、スライドガラスで挟みフィルム状に広げ倍率500倍で撮影し、カーボンブラックのストラクチャーの最も長い長径を、1試料から任意に20個測定し、20個の平均値を算出した値である。この際、撮影した写真は、粒径測定しやすいサイズに拡大してもよい。
カーボンブラックの平均粒径が20μmを超えると、ポリアミド黒原着糸の製造時に糸切れが多く製糸性が悪くなり、ポリアミド黒原着糸の機械特性である強度が低下する。平均粒径が1μm未満では、糸の動摩擦係数が高くなり耐ピリング性が悪化する。カーボンブラックの平均粒径は、さらに好ましくは1〜10μmである。
本発明で用いられるポリアミド黒原着仮撚糸中に含まれるカーボンブラックの含有量は、1〜5質量%であることが好ましい。ここで言う含有量とは、TG−DTAを用いて、温度範囲:25℃〜900℃、昇温速度:100℃/min、大気流量:20ml/分の条件でポリアミド黒原着糸の質量変化を計測し、650〜900℃の温度の領域で減量した比率から算出した値をカーボンブラックの消失量とみなし、ポリアミド黒原着糸中のカーボンブラック含有量とする。含有量が1質量%未満では、深い黒発色が得られない。また、含有量が5質量%を超えると、ポリアミド黒原着糸の製造時に糸切れが多く製糸性が悪くなるばかりでなく、ポリアミド黒原着糸の機械特性である強度が低下する。カーボンブラックの好ましい含有量は、2〜4質量%である。
また、本発明の目的を損なわない範囲の量と種類であれば、耐熱性などの生産性向上のための添加剤を配合させることができ、また、艶消し、吸湿、抗菌、紫外線遮蔽および保温等の機能を持たせる添加剤を配合させることもできる。しかしながら、添加剤によっては配合させることにより、製糸性やストッキングやタイツ等のレッグニット等の製品の耐久性や黒発色性が低下してしまうため、1μmを超える無機粒子の添加は好ましくなく、白色顔料も含めて無機粒子の添加は、ポリアミド黒原着糸に対して、2.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1.0質量%未満である。
本発明で用いられるポリアミド黒原着仮撚糸は、単繊維繊度が0.8〜2dtexであることが好ましい。従来より、ソフト風合いを得るために、単繊維繊度を細くすることが一般的に行われているが、このように単繊維繊度を細い範囲とすることにより起毛加工後の表面品位を向上させることができる。単繊維繊度が0.8dtex未満では、ソフト風合いが得られるものの、起毛加工時に毛羽がからみつきやすくなり、ピリングが発生し易くなる。また、ポリアミド黒原着糸の製造時に糸切れが多く製糸性が悪くなる。また、単繊維繊度が2dtexを超えると、風合いが硬くなり、かつ、起毛加工で毛羽立たせ難くなり、保温性が不充分になる。単繊維繊度は、さらに好ましくは0.8〜1.5dtexである。また、総繊度は、衣料用織編物として使用される場合、8〜155dtexが好ましい。
本発明で用いられるポリアミド黒原着仮撚糸は、強度が2cN/dtex以上であることが好ましく、より好ましくは2〜6cN/dtexである。強度を2cN/dtex以上とすることにより、カバリング弾性糸等次工程での加工時の糸切れを抑えることができ、そして、製品としたときの耐久性(ピリング性)が実用レベルになる。また、ポリアミド黒原着仮撚糸の強度が6cN/dtexを超えると、起毛加工で毛羽立たせ難くなり、保温性が不充分になる。
また、本発明で用いられるポリアミド黒原着仮撚糸は、交絡間隔が10mm以上100mm以下とすることにより、毛羽の長さを調整することができ、保温性と耐ピリング性を両立させた織編物を得る点で好ましい態様である。ここで交絡間隔が10mm未満になると、起毛後の毛羽の長さが短くなり、十分な保温性が得られにくい。また、交絡間隔が100mmを超えると、起毛後の毛羽の長さが長くなり、耐ピリング性が悪化してしまうことがある。
また、本発明で用いられるポリアミド黒原着仮撚糸を巻糸とし、ポリウレタン弾性糸を芯糸として複合したカバリング糸とすることにより、嵩高性が格段に向上し、保温性を得るという点で好ましい態様である。
ポリウレタン弾性糸の太さは、一般に好ましくは総繊度が8〜80dtex程度であり、より好ましくは11〜44dtexである。ポリウレタン弾性糸の太さが上記の好ましい範囲にあると、糸強力が十分に優れるのでポリウレタン弾性糸製造時および編立て時に、芯糸切れ等のトラブルを生じにくく、編み地としての伸縮性と耐久性が十分となる一方、締付け力が強くなり過ぎることはなく、圧迫感や粗硬感もない。
好ましいポリアミド黒原着仮撚糸とポリウレタン弾性糸の混率割合は、ポリアミド黒原着仮撚糸が70〜98%とポリウレタン弾性糸が2〜30%であり、より好ましい混率割合はポリアミド黒原着仮撚糸が85〜98%とポリウレタン弾性糸が2〜15%である。
この際、ポリウレタン弾性糸にもカーボンブラック等を含有させた黒色の弾性糸を用いることにより、より深い黒色が得られる。
黒原着ポリウレタン弾性糸としては、“モビロン”(登録商標)Gタイプ(日清紡テキスタイル(株)製)等が挙げられる。
ポリウレタン弾性糸の太さは、保温性と表面品位を両立させる観点から、8〜80dtexであることが好ましい。ポリウレタン弾性糸の太さが8dtex未満になると、嵩高性が得られ難くなり、保温性が不充分になる傾向を示す。また、ポリウレタン弾性糸の太さが80dtexを超えると、弾性糸のパワーが強くなりすぎて、織編物にした際に表面にパッカリングが発生し易くなり、起毛加工時に起毛ムラが発生し易くなる。
次に、本発明で用いられるポリアミド黒原着仮撚糸の製造方法について説明する。
まず、製糸工程については、生産性とコストの観点から、溶融紡糸による製造方法が最も優れている。また、溶融紡糸による製造方法について、紡糸−延伸工程を連続して行う方法(直接紡糸延伸法)、未延伸糸を一旦巻き取った後に延伸する方法(2工程法)、あるいは紡糸速度を3,000m/分以上のように高速として実質的に延伸工程を省略する方法(高速紡糸法)等、いずれの方法においても製造可能であるが、仮撚糸として用いる場合は、高い捲縮性が得られコストに優れるという観点から、高速紡糸法が好ましく用いられる。次に、その高速紡糸法によるポリアミド黒原着仮撚糸の製造方法について例示説明する。
ポリアミド中にカーボンブラックを含有させる方法としては、ポリアミド中に高濃度にカーボンブラックを含有したマスターチップとカーボンブラックを含有しないポリアミドチップをブレンドして溶融紡糸する方法や、カーボンブラックをフィーダー等により直接含有する方法が挙げられる。マスターチップのカーボンブラックの含有量は、10〜30質量%であることが好ましい。マスターチップのカーボンブラックの含有量を10質量%以上とすることにより、ポリアミド黒原着糸の製造コストを抑えることができ、また、含有量を30質量%以下とすることにより、カーボンブラックの凝集を抑えることができる。
マスターチップとカーボンブラックを含有しないポリアミドチップのブレンド割合としては、混練のし易さという点から、1:2〜1:6の質量割合でブレンドすることが好ましい。
紡糸パックに流入されたカーボンブラックを含有するポリアミドは、紡糸口金にから吐出される。また、紡糸温度(いわゆるポリマー配管や紡糸口金まわりの保温温度)は、ポリアミドポリマーの融点+20℃〜融点+60℃の範囲であることが好ましい。
紡糸口金から吐出されたポリアミド黒原着糸は、冷却され固化され、油剤が付与された後、引き取られる。ポリアミド黒原着糸の伸度が50〜70%の範囲となるように適宜延伸倍率を設定し、紡糸工程で熱セットをせずに巻取速度3,000〜5,000m/分の範囲で巻き取ることが好ましい態様である。また、巻き取りまでの工程で交絡装置を用い、交絡を施すことも可能である。必要であれば、複数回付与することで交絡数を上げることも可能である。さらには、巻き取り直前に、追加で油剤を付与するのも可能である。
次に、仮撚工程について説明する。本発明で用いられるポリアミド黒原着仮撚糸は、上記のようにして得られたポリアミド黒原着糸を仮撚加工して得られるが、ポリアミド黒原着糸を仮撚加工して仮撚糸とする方法は特に限定されるものではない。また、施撚方法としても、スピンドル方式、3軸ツイスター方式およびベルトニップ方式などを採用することができる。捲縮を強めたいときにはスピンドル方式を用いることが好ましく、加工速度を上げて生産コストを下げたいときには摩擦仮撚方式である3軸ツイスターやベルトニップを用いることが好ましい。加熱方式としては、熱板や高温ショートヒーターを用いることかでき、設定温度としては、狙いとする風合いに合わせ自由に設定できるが、一つの目安として熱板を用いた場合、ポリカプロアミド(ナイロン6)では150〜190℃とし、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)では170〜200℃とすることが推奨される。また、冷却方法としては、冷却板を用いることができ、手段としては空冷や水冷などが挙げられ、効率と糸条のダメージを考慮して、冷却板を用いることが好ましい。
ポリアミド黒原着仮撚糸の捲縮特性である伸縮復元率は、好ましくは3〜50%である。ポリアミド黒原着仮撚糸の捲縮特性が上記の好ましい範囲であると、ソフト性に優れる一方、起毛加工後に高い保温性が得ることができる。ここで伸縮復元率が3%未満になると、捲縮が低いため、起毛加工後の嵩高性が低くなり、保温性が不充分になる傾向がある。また、伸縮復元率が50%を超えると、捲縮が高すぎるために、起毛加工後の毛羽が長くなり、ピリング性が低下し易くなる傾向がある。
本発明で用いられるポリアミド黒原着仮撚糸は、仮撚工程の後でインターレースノズルを用いてフィラメントに交絡を付与することが、保温性と耐ピリング性を両立する点で好ましい態様である。交絡ノズルは、単糸ループがランダムに発生する流体攪乱ノズル(いわゆる“タスラン”ノズル)は好ましくなく、交絡部と非交絡部がある程度安定的に交互に形成できるインターレースノズルが好ましく用いられる。この際、好ましい交絡圧は0.1〜0.5MPaである。ノズルの圧空圧が0.5MPaを超えると、交絡が入りすぎ、起毛後の毛羽の長さが短くなり、十分な保温性を得られにくい。また、ノズルの圧空圧が0.1MPa未満になると、起毛後の毛羽の長さが長くなり、耐ピリング性が悪化してしまうことがある。
本発明で用いられるポリアミド黒原着仮撚糸を用いて、ポリウレタン弾性糸と複合したカバリング糸を製造する際には、既存のカバリング機を用いて製造することができる。この際、シングルカバリング方式でもダブルカバリング方式でもどちらでも構わない。
カバリング撚糸数は、保温性と耐ピリング性を両立させるという観点から、200T/m〜1500T/であることが好ましい。カバリング撚糸数が200T/m未満になると、捲縮が開繊しすぎることにより、起毛加工後の毛羽が長くなり、耐ピリング性が低下する傾向がある。また、カバリング撚糸数が1500T/mを超えると、捲縮が収束することにより、起毛加工後の毛羽が少なくなり、保温性が不充分になる。
また、ポリウレタン弾性糸のドラフト倍率は、保温性と耐ピリング性を両立させるという観点から、2.5〜3.5倍に設定することが好ましい。ドラフト倍率数が2.5倍未満になると、嵩高効果が少なくなり、保温性が不充分になる。また、ドラフト倍率数が3.5倍を超えると、捲縮が開繊しすぎることにより、起毛加工後の毛羽が長くなり、耐ピリング性が低下するという傾向がある。
また、本発明で用いられるポリアミド黒原着仮撚糸を用いて、保温編物を作成する際には、編組織としては、平編、ゴム編、パール編およびこれらの変化編組織により作られたものなどが挙げられる。保温性をより向上させる際にはパイル編みを実施し、パイル部を起毛加工することが好ましい。
また、本発明で用いられるポリアミド黒原着仮撚糸を用いて、保温織物を作成する際には、織組織としては、平、ツイル、サテン、およびこれらの変化織編組織により作られたものなどが挙げられる。保温性をより向上させる際には二重織を実施し、裏糸を起毛加工することが好ましい。
また、本発明の保温織編物がポリアミド黒原着仮撚糸主体であり、染色加工が不要の場合には製造コストを大幅に削減することができる。染色工程を細分化すると、精練工程、染色工程および仕上げ工程があり、これらの染色工程を省くことが可能となる。これらの染色工程の製造コストには、染料代だけでなく、高温で長時間染色する時間代と加工代が含まれており、時間短縮だけではなく、染料代や燃料代を含めた製造コストの削減により、合理的な市場価格で保温織編物の製造が可能となる。
また、従来、ポリアミド糸を後加工で黒色に染色する場合において、深い黒発色を得ようとする場合は、染料濃度を上げる必要があるが、柔らかさを得るために単繊維繊度を細くし、染料濃度を上げると、洗濯堅牢度が悪化するという課題がある。しかしながら、本発明では染色工程を省くことができるだけでなく、それに高濃度の染料を用いることに伴う洗濯堅牢度の悪化の問題もなく、持続性のある深い黒発色のある織編物が得られる。
また、仕上げには、仕上げ剤(柔軟剤)を施し製品とすることができる。このとき、抗菌やUVカット等機能剤を付与することもできる。
本発明で用いられるポリアミド黒原着仮撚糸は起毛面に用いられることで、良好な黒発色性と保温性を得ることができる。本発明の保温織編物における好ましいポリアミド黒原着仮撚糸の混率は、30〜100%の範囲である。交編や交織の相手糸として、好ましい糸はポリアミドフィラメントであるが、保温性を向上させる点では、アクリル紡績糸、レーヨン紡績糸およびウール紡績糸等が好ましく用いられる。ポリアミド黒原着仮撚糸のより好ましい混率は、10〜70%の範囲である。
本発明の保温織編物は、靴下、タイツ、肌着、パンツ、手袋および帽子等に最適に用いられる。
次に、実施例により本発明の保温織編物をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。また、本発明で用いられるポリアミド黒原着仮撚糸およびその織編物の物性の測定方法は、次のとおりである。
A.カーボンブラックの平均粒径(μm)
光学顕微鏡を用いて、ナイロン6の場合は温度245℃に加熱したプレパラートに、また、ナイロン66の場合は温度275℃に加熱したプレパラートに、ポリアミド黒原着糸の試料0.1gを載せ、スライドガラスで挟みフィルム状に広げ倍率500倍で撮影し、カーボンブラックのストラクチャーの最も長い長径を1試料から任意に20個測定し、20個の平均値で平均粒径を算出した。
B.カーボンブラックの含有量(質量%)
TG−DTA(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製 熱重量測定装置SII TG/DTA 6200)、ポリアミド黒原着糸の試料1.4mgを用いて、温度範囲:25〜900℃、昇温速度:100℃/分、大気流量:20ml/分の条件で、ポリアミド黒原着糸の質量変化を計測し、650〜900℃の温度の領域で減量した比率から、含有量を算出した。測定は4回行い、平均値をカーボンブラックの含有量とした。
C.製糸性
ポリアミド黒原着糸を製糸するときの1トン当たりの糸切れについて、次の基準をもって示した。
a:糸切れ2回未満、
b:糸切れ2以上4回未満、
c:糸切れ4以上6回未満、
d:糸切れ6以上8回未満、
e:糸切れ8回以上。
D.総繊度と単繊維繊度
ポリアミド黒原着糸は0.35mN×表示dtexの張力を与えながら、また、ポリアミド黒原着仮撚糸は8.82mN×表示dtexの張力を与えながら、枠周1.125mの検尺機を用いて200回巻カセを作成し、熱風乾燥機を用いて乾燥後(105±2℃×60分)、天秤を用いてカセ質量を量り、公定水分率を乗じた値から総繊度を算出した。測定は4回行い、平均値を繊度とした。また、得られた総繊度をフィラメント数で割り返した値を単繊維繊度とした。
E.強度と伸度
ポリアミド黒原着糸とポリアミド黒原着仮撚糸試料を、(株)オリエンテック製テンシロン(TENSILON)UCT−100でJIS L 1013(化学繊維フィラメント糸試験方法、2010年)に示される定速伸長条件で測定した。伸度は、引張強さ−伸び曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。また、強度は、最大強力を繊度で割り返した値を強度とした。測定は10回行い、平均値を強度および伸度とした。つかみ間隔は50cmで、引張速度は50cm/分である。
F.伸縮復元率
ポリアミド黒原着仮撚糸に0.098cN/dtexの張力を与えながら、周長1.125m、10回巻きのかせを5本とる。20℃の温度、60%RHの環境下で24時間放置する。1.76×10−3cN/dtexの処理荷重(水中での荷重)を掛けた状態で98℃±1℃の温度の熱水中で20分間処理する。熱処理したかせは、20℃の温度、60%RHの環境下で24時間放置して乾燥させる。予め、シリンダー中に水をいれ、20℃の温度、60%RHの環境下で24時間放置させておく。かせサンプルに1.76×10−3cN/dtexの初荷重(水中での荷重)を掛けた状態でかせをすべて水中に入れる。その後、0.088cN/dtexの荷重(水中での荷重)をさらに掛けて0.08976cN/dtexの定荷重(水中での荷重)とし、2分後のかせの長さa(mm)を測定する。速やかに定荷重を取り除き、初荷重のみの2分後のかせの長さb(mm)を測定する。伸縮復元率は次式で算出し、5本の平均値をもって評価する。
・伸縮復元率(%)=[(a−b)/a]×100。
G.交絡間隔
ポリアミド黒原着仮撚糸の交絡間隔のことである。交絡は、0.1g/dの張力下における1m当たりの交絡部の数であり、0.02g/dの張力下で非交絡部にピンを刺し、糸条1mにわたり0.1g/dの張力でピンを糸の長手方向の上下に移動せしめ、移動した距離を非交絡部とし、ピンが止まる部分を交絡部とする。ここでは、糸条の未解撚部も交絡部として数える。交絡間隔は、次式で算出する。
・交絡間隔(mm)=1000/(1m当たりの交絡部の数)。
H.保温性(CLO値)
20℃の温度、65%RHの環境中で十分に調湿させた試料を、40±0.1℃の温度に設定されたSmの熱板上に設置し、1分経過後の安定した状態で、熱板から試験布帛を通して環境中に放散する熱損失量を、熱板面積(Sm)と消費電力(EW)とから求める。このとき、熱板からの対流による放熱を防止するため、熱板周辺は上部に開閉口のある樹脂製ケースで覆って無風状態とした。上記実験で得られた熱損失量の値は、次式によりCLO値に換算される。
・CLO値=(1/0.155)×(20×S/E)
このCLO値は、布帛の保温性を示す指標として一般的に用いられているものであり、値が大きい程保温性が優れることを表す。
I.ソフト性
実施例および比較例で作成された生地の表面品位において、相対的にソフト感に優れる生地を◎、ややソフト感を有している生地を○、やや硬い風合いを有しているものを△、硬い風合いを有しているものを×とし、無作為に選んだ10人の評価の平均に近いものを特性とした。
K.表面品位
実施例および比較例で作成された生地の表面品位において、相対的に綺麗な表面品位を有しているものを◎、やや綺麗な表面品位を有しているものを○、やや表面が乱れた品位を有しているものを△、大きく表面が乱れた品位を有しているものを×とし、無作為に選んだ10人の評価の平均に近いものを特性とした。
K.黒発色性
生地試料を、コニカミノルタ製のCM3600D測色計を用いて、L値を測定した。数値の低いものほど、発色性に優れていることを示す。
L.摩擦堅牢度
JIS L 0849(1996年)に規定される方法で、湿潤時(湿摩擦堅牢度)の試験を行い、汚染用グレースケールを用いて級判定した。
M.ピリング性
生地試料を、抗ピリング性JIS L1076(2011年版)の織物および編物のピリング試験法に従い、布帛の起毛面について評価する。但し、織物は10時間処理し、また、編物は5時間処理し、処理布の毛玉の発生状況を次の5段階評価する。
5級:ピリングの発生がほとんどなく、極めて良好。
4級:ピリングの発生が少々あるが、良好。
3級:ピリングの発生がかなりあるもの。
2級 ピリングの発生が多く、やや不良。
1級 ピリングの発生が著しく多く、不良。
〔実施例1〕
(ポリアミド黒原着糸の製造)
ポリアミドとして、酸化チタン含有量0.02質量%のナイロン6チップを水分率0.03質量%以下となるように、常法(100〜120℃において、10〜20時間保持)によって乾燥した。
得られたナイロン6チップに、平均粒径が3μmのファーネス法カーボンブラック含有量が15質量%となるように2軸混練機で混練し、30μmカットのフィルターを通過後、吐出を行うようにして、マスターチップを製造し、水分率300ppm以下となるよう常法(100〜120℃において、10〜20時間保持)によって乾燥した。得られたカーボンブラック含有のナイロン6マスターチップとカーボンブラックを含有しないナイロン6チップを、1:4の質量割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が3質量%)し、これを265℃の溶融温度で溶融し、スタティックミキサー25段を設置したポリマー配管を通過させ、10μmカットの金属フィルターを設置した紡糸パックで濾過を施し、紡糸温度260℃で紡糸口金から吐出させた。紡糸口金は、ホール数が68、丸形、1糸条/口金のものを使用した。次いで、紡糸口金から吐出された糸条を、18℃の温度の冷風で冷却し給油した後に、0.2MPaで10〜30ヶ/mの交絡を施した後、第1ゴデッドロールと第2ゴデッドロールを介して、1.2倍に延伸して巻取速度4,000m/分で巻き取りを行い、総繊度96dtex、68フィラメントのナイロン6黒原着糸を得た。得られたナイロン6黒原着糸の製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、総繊度、強度、および伸度について評価した。その結果を、表1の「繊維特性」のところに示す。
(仮撚糸の製造)
上記のようにして得られたナイロン6黒原着糸を、(株)石川製作所製仮撚機IVF805を用いて、加工速度500m/分、延伸倍率1.23倍、ヒーター温度170℃、D/Y比1.9に設定して仮撚加工を行い、その後、インターレースノズルを用いて、0.3MPaで交絡を付与し、総繊度78.1dtex、68フィラメントのナイロン6黒原着仮撚糸を得た。得られたナイロン6黒原着仮撚糸の総繊度、強度、伸度、伸縮復元率、および交絡間隔について評価した。その結果を、表1の「仮撚糸特性」のところに示す。
(カバリング糸の製造)
上記のようにして得られたナイロン6黒原着仮撚糸を巻糸とし、芯糸として黒原着ポリウレタン糸である“モビロン”(登録商標)22dtex、Gタイプ(日清紡テキスタイル(株)製)を用いて、カバリング数600T/m、ドラフト3.0倍で、S撚、Z撚のシングルカバリング糸を用意した。
(タイツ編物の製造)
永田精機(株)製MODEL KT−S4(針数380本)に、上記のようにして得られたシングルカバリング糸を仕掛けて、平ゾッキタイツ編物を編成した。編成されたタイツを、真空中80℃の温度で10分間プリセットを施し、針布起毛加工針布起毛機(南海鉄工社製)を用い、毛羽20本/cm程度の起毛処理を行った。
起毛処理を実施後、98℃の温度で30分間精練し、柔軟処理柔軟剤(ニッカシリコンAM−202(日華化学(株))4%owf)を付与後に、アルミニウム板の足形で110℃×30秒熱セットを施してゾッキタイツ編物を得た。得られたゾッキタイツ編物を評価した結果、保温性、ソフト性、黒発色性、ピリング性、摩擦堅牢度、および表面品位に優れた編地を得ることができた。その結果を、表1の「生地特性」のところに示す。
〔実施例2〕
カーボンブラック含有のナイロン6マスターチップとナイロン6チップを、1:14の割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が1質量%)したこと以外は、実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られたナイロン6黒原着糸の物性結果を、表1に示す。次に、得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、カバリング弾性糸およびタイツ編物を、実施例1と同等の方法で製造した。得られたタイツ編物を評価した結果、保温性、ソフト性、黒発色性、ピリング性、摩擦堅牢度および表面品位に優れた編地を得ることができた。その結果を、表1に示す。
〔実施例3〕
20μmカットの金属フィルターを設置した紡糸パックで濾過を施し、カーボンブラック含有のナイロン6マスターチップとナイロン6チップを、33:67の割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が5質量%)したこと以外は、実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られたナイロン6黒原着糸の物性結果を、表1に示す。次に、得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、カバリング弾性糸およびタイツ編物を、実施例1と同等の方法で製造した。得られたタイツ編物を評価した結果、黒発色性に特に優れ、保温性、ソフト性、ピリング性、摩擦堅牢度および表面品位に優れた編地を得ることができた。その結果を、表1に示す。
〔実施例4〕
紡糸口金のホール数が96で、丸形の口金を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造し、総繊度が96dtexで、96フィラメントのナイロン6黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の物性結果を表1に示す。得られたナイロン6黒原着糸を用いて、交絡ノズル圧を0.4MPaに設定したこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸、カバリング弾性糸およびタイツ編物を製造した。得られたタイツ編物を評価した結果、ソフト性に特に優れ、保温性、黒発色性、ピリング性、摩擦堅牢度および表面品位に優れた編地を得ることができた。その結果を、表1に示す。
〔実施例5〕
紡糸口金のホール数が52で、丸形の口金を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造し、総繊度が96dtexで、52フィラメントのナイロン6黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の物性結果を表1に示す。
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、交絡ノズル圧を0.2MPaに設定した以外は実施例1と同様の方法で仮撚糸、カバリング弾性糸、タイツ編物を製造した。得られたタイツ編物を評価した結果、保温性、ソフト性、黒発色性、ピリング性、摩擦堅牢度および表面品位に優れた編地を得ることができた。その結果を、表1に示す。
〔実施例6〕
実施例1と同様の方法でシングルカバリング糸を得た後、得られた複合糸(シングルカバリング糸)を経糸および緯糸に用いて2/1ツイル織組織の生機を作製し、180℃の温度のテンターでセット後、100℃の温度の浴中でリラックス精練し、分散染料を使用して115℃の温度で染色し、160℃の温度で仕上げセットを実施した。得られた織物を評価した結果、保温性、ソフト性、黒発色性、ピリング性、摩擦堅牢度、および表面品位に優れた編地を得ることができた。その結果を、表1に示す。
〔比較例1〕
(ポリアミド黒原着糸の製造)
ポリアミドとして、酸化チタン含有量0.02質量%のナイロン6チップを水分率0.03質量%以下となるように、常法(100〜120℃において、10〜20時間保持)によって乾燥した。得られたナイロン6チップを265℃の溶融温度で溶融し、紡糸温度260℃で紡糸口金から吐出させた。紡糸口金は、ホール数が68、丸形、1糸条/口金のものを使用した。次いで、紡糸口金から吐出された糸条を、18℃の温度の冷風で冷却し給油した後に、0.2MPaで10〜30ヶ/mの交絡を施した後、第1ゴデッドロールと第2ゴデッドロールを介して、1.2倍に延伸して巻取速度4,000m/分で巻き取りを行い、総繊度96dtex、68フィラメントのナイロン6糸を得た。得られたナイロン6糸の物性結果を、表1に示す。
次に、得られたナイロン6糸を用いて、仮撚糸と、カバリング弾性糸を実施例1と同等の方法で製造した。また、実施例1と同様にゾッキタイツ編物を編成した。編成したゾッキタイツを真空中80℃の温度で10分間プリセットを施し、針布起毛加工を実施後、98℃の温度で30分間精練し、Mitsui Nylon Black GL(三井東圧化学(株)製)4質量%、98℃の温度で60分間の条件で染色し、柔軟処理後にアルミ板の足形で110℃×30秒熱セットを施しタイツ編物を得た。得られたタイツ編物を評価した結果、黒発色性が低く、かつ耐ピリング性と摩擦堅牢度が低く、品質に問題のある編地であった。
〔比較例2〕
カーボンブラック含有のナイロン6マスターチップとナイロン6チップを、1:14の割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が3質量%)したこと以外は、実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られたナイロン6黒原着糸の物性結果を表1に示す。また、実施例1と同様にゾッキタイツ編物を編成した。編成されたタイツを、真空下80℃の温度で10分間プリセットを施し、98℃の温度で30分間精練し、柔軟処理後にアルミ板の足形で110℃の温度で30秒間熱セットを施して、ゾッキタイツ編物を得た。得られたゾッキタイツ編物を評価した結果、起毛感はなく、保温性が不充分な編地であった。その結果を表1に示す。
Figure 2015120989

Claims (4)

  1. 表面を毛羽立たせる加工を施した織編物において、前記織編物の少なくとも一部にポリアミド黒原着仮撚糸を用いてなる保温織編物。
  2. ポリアミド黒原着仮撚糸が、ポリウレタン弾性糸と複合されたカバリング糸として用いられている請求項1記載の保温織編物。
  3. ポリアミド黒原着仮撚糸がカーボンブラックを1〜5質量%含有し、前記カーボンブラックの平均粒径が1〜20μmであり、かつ前記ポリアミド黒原着仮撚糸の単繊維繊度が0.8〜2dtexであることを特徴とする請求項1または2記載の保温織編物。
  4. ポリアミド黒原着仮撚糸の交絡間隔が10〜100mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の保温織編物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016027213A (ja) * 2014-06-30 2016-02-18 株式会社ヒラカワコーポレーション 羽毛状綿素材及びその製造方法
JP6310626B1 (ja) * 2018-01-25 2018-04-11 東洋紡Stc株式会社 耐擦過摩耗性及び耐スナッグ性に優れた伸縮性織物
JP2018131703A (ja) * 2017-02-14 2018-08-23 グンゼ株式会社 下半身用衣類
JP2021025156A (ja) * 2019-08-05 2021-02-22 ミツカワ株式会社 原着丸編地

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