JP6107290B2 - ポリアミド黒原着糸、仮撚糸、カバリング弾性糸およびそれよりなるレッグニット - Google Patents

ポリアミド黒原着糸、仮撚糸、カバリング弾性糸およびそれよりなるレッグニット Download PDF

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Description

本発明は、着用時の履きムラを抑え、深色性に優れたレッグニットが得られるポリアミド黒原着糸、仮撚り糸、カバリング弾性糸に関するものである。
レッグニット製品の中でも特にストッキングは、足をきれいに見せたいという消費者の嗜好が強く、素肌に近い外観、美脚効果のある外観が好まれている。素肌感、透明性(透け感)を実現させる手段として、特許文献1では、ポリアミド糸の繊度を細くすることが行われている。また、素肌感を追求するとカラー展開は、肌色系の淡色がほとんどである。一方、濃色、黒色のストッキングは、足が細く見える視覚効果により美脚効果のある外観、フォーマル対応として根強い人気のあるカラーである。
特開平8−74102号公報
しかしながら、濃色、黒色のストッキングの場合、適度な透明性(透け感)を保っているため、足首、脹ら脛、膝、太股と脚周囲が異なる部位で編密度が異なり、淡色では目立たなかった各部位での編密度の差が大きく、そのまま濃淡差となり、着用時の履きムラとなって外観を著しく悪化させていた。また、透明〜白色のポリアミド糸を濃色、黒に染色した場合、光を吸収するため、透明性を低下させていた。特に、黒の場合、深い黒色を得る為には大量の染料が必要であり、さらに透明性、深い黒の色目が低下していた。
着用時の履きムラは、レッグニット製品でも、濃色、黒色のカラーで、適度な透明性(透け感)を持ったストッキングや薄手タイツ特有の問題である。そのため、着用時の履きムラを抑え、深い発色性に優れた濃色、黒色のレッグニットが望まれていた。さらには、従来のレッグニット製品の性能(耐久性、透明性)を保ちつつ、着用時の履きムラを抑え、深い黒発色性に優れた薄地、黒色のレッグニット製品が待ち望まれていた。
したがって、本発明は、従来のレッグニット製品の性能(耐久性、透明性)を保ちつつ、着用時の履きムラを抑え、深色性に優れた薄地、黒色のレッグニット製品を得るポリアミド黒原着糸、仮撚糸、カバリング弾性糸を得ることを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
(1)カーボンブラックを1〜5質量%含有し、総繊度が8〜33dtex、強力が35〜150cN、ポリアミド中のカーボンブラックの平均粒径が1〜20μmであることを特徴とするポリアミド黒原着糸。
(2)ポリアミド黒原着糸がナイロン6であることを特徴とする(1)記載のポリアミド黒原着糸。
(3)(1)または(2)記載のポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸。
(4)(1)または(2)記載のポリアミド黒原着糸または(3)記載の仮撚糸を巻糸として用いたカバリング弾性糸。
(5)(1)または(2)記載のポリアミド黒原着糸、(3)記載の仮撚糸、(4)記載のカバリング弾性糸の少なくとも一種を少なくともレッグ部の一部に用いたレッグニット。
本発明によれば、従来のレッグニット製品の性能(耐久性、透明性)を保ちつつ、着用時の履きムラを抑え、深色性に優れた薄地、黒色のレッグニット製品を得るポリアミド黒原着糸、仮撚糸、カバリング弾性糸が得られる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のポリアミド黒原着糸を構成するポリアミドは、いわゆる炭化水素基が主鎖にアミド結合を介して連結された高分子量体からなる樹脂であって、かかるポリアミドとしては、製糸性、機械特性に優れており、主としてポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)が好ましく、ゲル化し難しく、製糸性が良いことからポリカプロアミド(ナイロン6)がさらに好ましい。ここで言う「主として」とは、ポリカプロアミドを構成するε−カプロラクタム単位として全モノマー単位中80モル%以上であることを言い、さらに好ましくは90モル%以上である。その他の成分としては、特に限定されないが、例えば、ポリドデカノアミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンアゼラミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカノアミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリヘキサメチレンテレフタラミド、ポリヘキサメチレンイソフタラミド等を構成するモノマーである、アミノカルボン酸、ジカルボン酸、ジアミン等の単位が挙げられる。
また、ポリアミド黒原着糸に用いるポリアミドの重合度は、仮撚り加工、織編物、繊維製品の要求特性、またはそれらを安定して得るために適当な範囲より適宜選択して良いが、好ましくは25℃での98%硫酸相対粘度で2.0〜3.6の範囲であり、さらに好ましくは2.4〜3.3の範囲である。
本発明のポリアミド黒原着糸に使用するカーボンブラックの種類としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等が例示され、特に限定されるものではないが、ファーネスブラックであることが好ましい。カーボンブラックの製法には、熱分解法としてアセチレンブラックやサーマルブラック、不完全燃焼法として油煙の採取(いわゆるランプブラック)やファーネスブッラクに区分され、この製法の違いによってカーボンブラックの特徴に違いを与える。2000℃近傍の反応環境を維持しなければならない熱分解法は、製造に多くのエネルギーを必要とするため、コストおよび製造時の環境面で実用性は低い。一方、不完全燃焼法はコストおよび製造時の環境面で実用性が高い。また、不完全燃焼法の代表格であるファーネス法は、粒子径やストラクチャーの大きさを制御する事が容易であり、ポリアミド黒原着糸の色目や製糸性からファーネス法で得られるファーネスブラックを使用することが好ましいのである。特に、小粒子径ファーネスブラックの製造には、オイルファーネス法により得られるファーネスブラックであることがさらに好ましい。
また、カーボンブラックは、その製造段階で、ストラクチャーが形成される。ストラクチャーはカーボンブラックの最小単位であり、その指標は、DBP吸油量で示すことができる。ここで言う吸油量とは、JIS K6217−4(2008)に準じて測定される値である。本発明のポリアミド黒原着糸に使用するカーボンブラックのDBP吸油量は10〜300ml/100gであることが好ましい。DBP吸油量が10ml/100g未満では、高い波長領域の光を散乱するため、ポリアミド黒原着糸とした場合、赤色っぽい黒となり、深い黒発色を出すことが難しい。DBP吸油量が300ml/100gを超えると、ポリアミドポリマーへの分散性が悪くなり、ポリアミド黒原着糸の製造時に粗大粒子が増える傾向にあり、製糸性が低下しやすくなり、ポリアミド黒原着糸の機械特性である強度が低下する傾向にある。
本発明のポリアミド黒原着糸中に含まれるカーボンブラックは、平均粒径1〜20μmであることが必要である。ここで言う平均粒径とは、一般的に粗粒と呼ばれる粒子径の大きなストラクチャーであり、測定方法は光学顕微鏡を用いて、ポリアミド黒原着糸の融点+20℃に加熱したプレパラートにポリアミド黒原着糸の試料0.1gを載せ、スライドガラスで挟みフィルム状に広げ倍率500倍で撮影し、カーボンブラックのストラクチャーの最も長い長径を、1試料から任意に20個測定し、20個の平均値を算出した値である。この際、撮影した写真は粒径測定しやすいサイズに拡大してもよい。平均粒径20μmを超えると、ポリアミド黒原着糸の製造時に糸切れが多く製糸性が悪くなり、レッグニットとした際に毛羽等の混入により製品品位が悪くなるばかりでなく、ポリアミド黒原着糸の機械特性である強度が低下する。1μm未満では、糸の動摩擦係数が高くなり着用時に、つま先やかかと、膝などの摩擦が多い部分でポリアミド黒原着糸が切れ、伝線が発生しやすくなる。好ましくは1〜10μmである。本発明のポリアミド黒原着糸中に含まれるカーボンブラックの平均粒径を1〜20μmとするためには、ポリアミド黒原着チップ製造時、ポリアミド黒原着糸製造時にカーボンブラックを含有する溶融ポリマーの濾過を行うことにより可能となる。その濾過の方法は特に限定されるものではないが、溶融ポリマー通路や紡糸パック等でフィルターを設置することが好ましい。紡糸パック内にフィルターを設置することがさらに好ましく、紡糸パック内で用いるフィルターは10〜20μmカットがより好ましい。
また、カーボンブラックをポリアミド溶融ポリマーに含有させる時に、カーボンブラック粒子が、2次粒子や3次粒子となり粗粒となりやすい。このため、紡糸パック内のみにフィルターを設置するだけではカーボンブラックが詰まりやすく、濾過圧の上昇が大きく、パックライフが短くなって生産性が低下しやすくなる。ポリアミドにカーボンブラックを含有させる好ましい溶融紡糸方法として、紡糸パック内にフィルターを設置することに加えて、ポリアミド中に高濃度にカーボンブラックを含有したマスターチップとカーボンブラックを含有しないポリアミドチップをブレンドして溶融紡糸することが好ましい。さらには、そのマスターチップ製造時にフィルターを設置することで、粗粒を排除し、ポリアミド黒原着糸製造において濾過圧上昇を抑え、パックライフを長くすることが可能となり生産性を向上させることが可能となる。尚、マスターチップ製造時に用いるフィルターは好ましくは30〜50μmカットである。
本発明のポリアミド黒原着糸中に含まれるカーボンブラックの含有量は、1〜5質量%であることが必要である。ここで言う含有量とは、TG−DTAを用いて、温度範囲:室温〜900℃、昇温速度:100℃/min、大気流量 20ml/分の条件でポリアミド黒原着糸の重量変化を計測し、650〜900℃の領域で減量した比率から算出した値をカーボンブラックの消失量とみなし、ポリアミド黒原着糸中のカーボンブラック含有量とする。含有量が1質量%未満では、ストッキングやタイツ等のレッグニット製品にした時に深い黒発色が得られない、着用時の履きムラが発生する。含有量が5質量%を超えると、ポリアミド黒原着糸の製造時に糸切れが多く製糸性が悪くなるばかりでなく、ポリアミド黒原着糸の機械特性である強度が低下する。好ましい含有量は2〜4質量%である。かかる範囲とすることで、深い黒発色性と着用時の履きムラが抑制される。そのメカニズムは明らかではないが、レッグニット製品へ入射した光が、吸収光、透過光、反射光に分かれる際、これらの光が絶妙にコントロールされ、かつ深い黒発色性との相乗効果で視覚的に履きムラが目立たなくなったのではないかと推測している。
また、本発明の目的を損なわない範囲の量、種類であれば、耐熱性などの生産性向上のための添加剤が配合されていてもよいし、艶消し、吸湿、抗菌、紫外線遮蔽、保温等の機能を持たせる添加剤が配合されてもよい。しかしながら、製糸性やストッキングやタイツ等のレッグニット製品の耐久性、深い黒発色性が低下してしまうため、1μmを超える無機粒子の添加は好ましくなく、白色顔料も含めて無機粒子の添加は限定されるものではないが、ポリアミド黒原着糸に対して、2.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%未満であることがより好ましい。
本発明のポリアミド黒原着糸は、総繊度が8〜33dtexであることが必要である。上記総繊度範囲のポリアミド黒原着糸は濃色、黒色のストッキングや薄手タイツ等のレッグニット製品に好ましく用いられるが、濃色、黒色のストッキングや薄手タイツは、適度な透明性を保っているため、足首、脹ら脛、膝、太股と脚周囲が異なる部位で編密度が異なり、淡色では目立たなかった各部位での編密度の差が大きく、そのまま濃淡差となり、着用時の履きムラとなって外観を著しく悪化させていた。すなわち、着用時の履きムラは、レッグニット製品の中でも、濃色、黒色のカラーストッキングや薄手タイツ特有の問題である。
したがって、本願発明では上記総繊度を有するポリアミド原着糸を生糸、もしくはそれを仮撚り加工した仮撚り糸で編成されるレッグニット製品または、これら生糸または仮撚り糸を用いて得られるカバリング弾性糸で編成されるレッグニット製品において性能を発揮するが、中でもカバリング弾性糸として44デシテックス相当のレッグニット製品、レッグニット製品に使用するポリアミド糸としては33dtex以下を使用するレッグニット製品においてとりわけその効果を顕著に発揮する。例えば、シングルカバリング弾性糸のみで編成されたゾッキストッキングの場合、シングルカバリング弾性糸巻糸のポリアミド糸の総繊度が33dtex以下、ダブルカバリング弾性糸のみで編成されたゾッキストッキングの場合、ダブルカバリング弾性糸上巻糸と下巻糸のポリアミド糸の総繊度の総計が33dtex以下である場合にその効果が特に顕著である。
総繊度33dtexを超えると、糸直径が太いため、着用時における編密度の差が小さくなり、着用時の履きムラが目立ち難くなるが、透明性が低下したり、薄地になり難くなる。好ましい透明度は45以上である。総繊度が8dtex未満では、着用中に破れ、伝線が発生し耐久性および外観が悪くなる。また、ポリアミド黒原着糸の製造時に糸切れが多く製糸性が悪くなる。好ましくは、10〜33dtexである。
本発明のポリアミド黒原着糸は、強力が35〜150cNであることが必要である。強力を35cN以上とすることで、仮撚糸、カバリング弾性糸等次工程での加工時の糸切れ、レッグニット製品とした時の耐久性が実用レベルになる。また、ポリアミド黒原着糸の強力は総繊度を高くすると強力は高くなるが、前記した必要な総繊度の範囲で強力150cNを越える場合、伸度を低くする必要があり、ポリアミド黒原着糸の製造時に糸切れが多く製糸性が悪くなるため、150cN以下とすることが、製糸性の点から好ましい。また、強度は2.5〜7cN/dtexであることが好ましく、3〜6cN/dtexであることがより好ましい。
本発明のポリアミド黒原着糸の製造方法について説明する。
本発明のポリアミド黒原着糸は、生産性、コストの観点から、溶融紡糸による製造が最も優れている。また、溶融紡糸による製造方法について、紡糸−延伸工程を連続して行う方法(直接紡糸延伸法)、未延伸糸を一旦巻き取った後に延伸する方法(2工程法)、あるいは紡糸速度を3000m/min以上のように高速として実質的に延伸工程を省略する方法(高速紡糸法)等、いずれの方法においても製造可能であるが、仮撚糸として用いる場合は、高い捲縮性が得られ、コストに優れる高速紡糸法が好ましい。以下に高速紡糸法での製造について例示する。
まず溶融部について説明する。ポリアミドを溶融するに際し、プレッシャーメルター法あるいはエクストルーダー法が挙げられるが、本発明のポリアミド黒原着糸が得られる限り両者とも特に限定されるものではない。溶融温度は、ポリアミドポリマーの融点+20℃〜融点+60℃が好ましい。例えば、ナイロン6ポリマーを用いる場合、融点は225℃であるから、溶融温度245〜285℃が好ましい。
カーボンブラックを含有させる方法は、ポリアミド中に高濃度にカーボンブラックを含有したマスターチップとカーボンブラックを含有しないポリアミドチップをブレンドして溶融紡糸する方法や、カーボンブラックをフィーダー等により直接含有する方法が挙げられる。マスターチップのカーボンブラックの含有量は、10〜30質量%であることが好ましい。カーボンブラックの含有量が10質量%以上とすることが、マスターチップ製造の点から好ましく、30質量%以下とすることが、カーボンブラックの凝集の点から好ましい。
紡糸パックへ流入したカーボンブラックを含有したポリアミドは、通常の紡糸口金により吐出される。また、紡糸温度(いわゆるポリマー配管や紡糸口金まわりの保温温度)は、ポリアミドポリマーの融点+20℃〜融点+60℃が好ましい。
前述のとおりカーボンブラックは溶融ポリマー中でも凝集しやすいため、紡糸パック内にフィルターを設置することが好ましい。
紡糸口金から吐出されたポリアミド黒原着糸は、冷却、固化され、油剤が付与された後、引き取られる。ポリアミド原着糸の伸度が30〜50%の範囲となるように適宜延伸倍率を設定し、紡糸工程で熱セットを行い速度として3000〜5000m/minの範囲で巻き取るのが好ましい。また、ポリアミド原着糸に仮撚加工を施す場合は、ポリアミド原着糸の伸度が50〜70%の範囲となるように適宜延伸倍率を設定し、紡糸工程で熱セットをせずに速度として3000〜5000m/minの範囲で巻き取るのが好ましい。さらには、巻き取りまでの工程で公知の交絡装置を用い、交絡を施すことも可能である。必要であれば複数回付与することで交絡数を上げることも可能である。さらには、巻き取り直前に、追加で油剤を付与するのも可能である。
本発明の仮撚糸およびその製造方法について説明する。
本発明の仮撚糸は、上記ポリアミド黒原着糸を仮撚加工して得られるが、ポリアミド黒原着糸を仮撚加工して仮撚糸とする方法も特に限定されるものではない。施撚方法としてもスピンドル方式や3軸ツイスター方式、ベルトニップ方式など限定されるものではない。捲縮を強めたいときにはスピンドル方式を用いることが好ましいし、加工速度を上げて生産コストを下げたいときには摩擦仮撚方式である3軸ツイスター、ベルトニップを用いることが好ましい。加熱方式も限定されるものではなく、熱板や高温ショートヒーターを用いれば良く、設定温度としては、狙いとする風合いに合わせ自由に設定できるが、一つの目安として熱板を用いた場合、ポリカプロアミド(ナイロン6)で170〜190℃、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)で180〜200℃とすることを推奨する。冷却方法としても冷却板を用いても、空冷、水冷などが挙げられ、限定されないが、効率と糸のダメージを考えて、冷却板を用いることが好ましい。好ましい仮撚糸の捲縮特性は3〜50%であり、10〜50%がより好ましい。加工糸の捲縮特性が3%以上でレッグニットとした際に十分なソフト性が得られる。加工糸の捲縮特性が50%以下で、仮撚り加工時に撚りを多く掛ける必要がなく、毛羽発生が抑制される。なお、ここで言う捲縮特性とは、後述する測定方法により測定を行い算出した値であり、仮撚糸の嵩高性の指標とするものである。
本発明のカバリング弾性糸およびその製造方法について説明する。
本発明のカバリング弾性糸とは、芯糸に巻糸を一重に巻き付けるシングルカバリング弾性糸、二重に巻き付けるダブルカバリング弾性糸のことである。
本発明のカバリング弾性糸の巻糸としては、ポリアミド黒原着糸、ポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸から選択して用いることができる。
カバリング弾性糸の芯糸をなす弾性糸としては、ポリウレタン系弾性糸、ポリアミド系エラストマ弾性糸、ポリエステル系エラストマ弾性糸、天然ゴム系糸、合成ゴム系糸、ブタジエン系糸等が用いられるが、レッグニット用としてその弾性特性、熱特性、耐久性等からより好ましいのは、ポリウレタン系弾性糸及びポリアミド系エラストマ弾性糸である。
その弾性糸の太さは、レッグニットの用途、締め付け圧の設定により異なるが、一般に8〜80dtex程度であればよい。好ましいのは11〜44dtexである。8dtex以上で、糸強力が十分であるのでカバリング弾性糸製造時及びレッグニット編立て時に芯糸切れ等のトラブルを生じにくく、レッグニットとして十分な伸縮性、耐久性が得られ好ましい。逆に、80dtex以下で締付け力が強くなり過ぎず、圧迫感も強くなりすぎず、粗硬感も抑制され好ましい。透明度と破裂強さを両立するためのカバリング弾性糸の芯糸の更に好ましい範囲は20〜35dtexである。また、着用時の履きムラを抑え、深い黒発色性に優れ、足がきれいに見える黒ストッキングを得るためには、弾性糸に上述したカーボンブラックを含有させることがさらに好ましい。
カバリング数としてはポリアミド黒原着糸、ポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸の巻糸の繊度、収縮率や製品風合い、耐ピリング性、耐スナッグ性を考慮して設計すればよく、黒原着糸をシングルカバリングする時には(11/繊度)1/2×2000〜(11/繊度)1/2×2500T/mを目安に設計することが好ましく、例えば、11dtexポリアミド原着糸をシングルカバリングする時には2000〜25000T/mが好ましい。また、ドラフト倍率も狙いとする着圧に合わせて設計すればよく、例えば、2. 5〜3.5倍に設定することが好ましい。カバリングは風合いの柔らかさ、伸縮性からシングルカバリングが好ましい。
かくして得られる本発明のポリアミド黒原着糸、ポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸、カバリング弾性糸は、レッグニットに好ましく用いることができる。
本発明のレッグニットについて説明する。
本発明のレッグニットを構成する編組織としては平編、ゴム編、パール編およびこれらの変化編組織により作られたものなど限定されるものではない。基本組織で構成された部分を有することがより好ましく、なかでも平編みで構成された部分を有していることがさらに好ましい。
本発明のレッグニットは、ポリアミド黒原着糸、仮撚糸、カバリング弾性糸の少なくとも一種を少なくともレッグ部の一部に用いることが好ましい。なお、前記レッグ部は、足の付け根(ガーター部)からつま先(ソール部)までの部分を指す。
使用糸としては、ポリアミド黒原着糸またはポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸を巻糸としたカバリング弾性糸のみを用いたいわゆるゾッキタイプでも、ポリアミド黒原着糸またはポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸を巻糸としたカバリング弾性糸と、ポリアミド黒原着糸やポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸とを交互に編成した交編タイプでも問題ない。なお、レッグニットを構成する使用糸としてはたとえば縫い糸など必要に応じた糸を用いることは限定されない。
また、使用する編機として制限はないが、靴下編機が好ましく用いられる。
ここで本発明の対象とするレッグニットとは、ストッキング、タイツ、レギンス、トレンカ、スパッツ、フットカバーや靴下等が挙げられるが、口ゴム、身部、足部の3部位からなるソックス類、身部がストッキングよりも著しく長いストッキング類、上部にパンティー部がついたタイツ、パンティーストッキング類が挙げられる。
また、レッグニットが、パンティー部とレッグ部からなり、本発明のポリアミド黒原着糸、仮撚糸、カバリング弾性糸をそのパンティー部、レッグ部の全てに用いたレッグニットである場合、レッグニットがレッグ部のみからなり、そのレッグ部の全てに本発明のポリアミド黒原着糸、仮撚糸、カバリング弾性糸を用いる場合には染色工程を省くことが可能である。染色工程をさらに細分化すると、精練工程、染色工程、仕上げ工程があり、この染色工程を省くことが可能となるのである。この染色工程の製造コストには、染料代だけでなく、高温で長時間染色する時間代と加工代が含まれており、時間短縮だけではなく、染料代や燃料代を含めた製造コストの削減により、リーズナブルな市場価格で消費者にレッグニットを提供することが可能となる。また、従来、ポリアミド糸を黒色で染色する場合において、深い黒発色を得ようとする場合は、染料濃度を上げる必要があるが、柔らかさを得るために単糸繊度を細くし、染料濃度を上げると、洗濯堅牢度が悪化する問題がある。しかしながら本発明では染色工程を省くことができるだけでなく、それに高濃度の染料を用いることに伴う洗濯堅牢度の悪化の問題もなく、持続性のある深い黒発色性のあるレッグニットが得られる。
また、仕上げは、公知の仕上げ剤(柔軟剤)を施し製品としてもよい。このとき、抗菌やUVカット等機能剤を付与しても良い。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。また、本発明のポリアミド黒原着糸の物性の測定方法は以下の通りである。
A.カーボンブラックの平均粒径(μm)
光学顕微鏡を用いて、ナイロン6の場合は245℃、ナイロン66の場合は275℃に加熱したプレパラートに、ポリアミド黒原着糸の試料0.1gを載せ、スライドガラスで挟みフィルム状に広げ倍率500倍で撮影し、1試料から無作為に抽出した20個のカーボンブラックのストラクチャーの最も長い長径を測定し、20個の平均値を算出した。
B.カーボンブラックの含有量(質量%)
TG−DTA(ナノテクノロジー社製 熱重量測定装置SII TG/DTA 6200)、ポリアミド黒原着糸の試料1.4mgを用いて、温度範囲:室温〜900℃、昇温速度:100℃/min、大気流量 20ml/分の条件でポリアミド黒原着糸の重量変化を計測し、650〜900℃の領域で減量した比率から算出した値である。測定は4回行い、平均値をカーボンブラックの含有量とした。
C.硫酸相対粘度(ηr)
ポリアミドチップ(試料)0.25gを、濃度98質量%の硫酸100mlに対して1gになるように溶解し、オストワルド型粘度計を用いて25℃での流下時間(T1)を測定した。引き続き、濃度98質量%の硫酸のみの流下時間(T2)を測定した。T2に対するT1の比、すなわちT1/T2を硫酸相対粘度とした。
D.製糸性
ポリアミド黒原着糸を製糸するときの1t当たりの糸切れについて、次の基準をもって示した。
a:糸切れ2回未満。
b:糸切れ2以上4回未満。
c:糸切れ4以上6回未満。
d:糸切れ6以上8回未満。
e:糸切れ8回以上。
E.総繊度
ポリアミド黒原着糸は0.001cN/dtex、ポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸は0.098cN/dtexの張力を与えながら枠周1.125mの検尺機にて200回巻カセを作成し、熱風乾燥機にて乾燥後(105±2℃×60分)、天秤にてカセ重量を量り公定水分率を乗じた値から繊度を算出した。測定は4回行い、平均値を総繊度とした。
F.強力、伸度、強度
ポリアミド黒原着糸、ポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸試料を、オリエンテック(株)社製テンシロン(TENSILON)UCT−100でJIS L1013(化学繊維フィラメント糸試験方法、2010年)に示される定速伸長条件で測定した。強力は、引張強さ−伸び曲線における最大強力を示した点、伸度は最大強力の伸びから求めた。また、強度は、最大強力を総繊度で割り返した値を強度とした。測定は10回行い、平均値を強力および伸度とした。なお、つかみ間隔50cm、引張速度50cm/minである。
G.捲縮特性
ポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸に0.098cN/dtexの張力を与えながら周長1.125m、10回巻きのかせを5本とる。20℃、60%RHの環境下で24時間放置する。1.76×10−3cN/dtexの処理荷重(水中での荷重)を掛けた状態で98℃±1℃の熱水中で20分処理する。熱処理したかせは、20℃、60%RHの環境下で24時間放置して乾燥させる。予め、シリンダー中に水をいれ、20℃、60%RHの環境下で24時間放置させておく。かせサンプルに1.76×10−3cN/dtexの初荷重(水中での荷重)を掛けた状態でかせをすべて水中に入れる。その後、0.088cN/dtexの荷重(水中での荷重)をさらに掛けて0.08976cN/dtexの定荷重(水中での荷重)とし、2分後のかせの長さa(mm)を測定する。速やかに定荷重を取り除き、初荷重のみの2分後のかせの長さb(mm)を測定する。捲縮特性は以下の式で算出し、5本の平均値をもって評価する。
捲縮特性(%)=(a−b)/a×100
H.L値
実施例または比較例で得られたレッグニットを、ガーター部下部10cm部について、フリーの筒状の状態(2枚重ね)で、測色計(スガ試験機株式会社性のSM−3型)により、測定径30mmφの条件で5回測定し、その平均値で評価した。
I.色目
実施例または比較例で得られたレッグニットを、ガーター部下部10cm部について、検査者(30人)の視覚によって、深い黒発色性について、5段階判定した。
a:比較例7より深い黒色で、色目が非常に良い。
b:比較例7より黒色で、色目が良い。
c:比較例7と同等の色目。
d:比較例7よりやや白っぽく、色目があまり良くない。
e:比較例7より白っぽく、色目が悪い。
J.着用時の履きムラ
実施例または比較例で得られたレッグニットを日本人平均体型の女性5名に履かせ、10回屈伸運動後、膝、足首部分のムラを検査者(5人)の視覚によって、履きムラについて、3段階判定した。
a:履きムラが無い。
b:履きムラがほとんど無い。
c:履きムラが有る。
K . 透明度
実施例または比較例でレッグニットを足形に表を外側にして履かせ、踵から大腿部方向に60cmの位置にガーター部つま先側境界線を合わせた上で、その部分の着用状態を固定するために刺繍枠(内枠外径が15cm、枠の厚み1cm)で固定した。すなわち、着用状態を固定するために刺繍枠の上下位置が踵からの位置として60および45cm となるように刺繍枠の内枠を入れ、外枠を被せることで固定した。これを刺繍枠に固定した状態で足形からはずし、製品の表を測定装置側にして刺繍枠の中心を測定位置に合わせ、上から(製品の裏側から)カラースタンダード白板(L値88.29)を置いた時の編地のL値(Lw)、およびカラースタンダード黒板(L値7.74)を置いたときの編地のL値(Lb)を、色差計SM−T(スガ試験機(株)製)により測定する。そして、それらL値から、次の算式により、透明度を求める。この値が高い程、透明性は優れている。透明度=(Lw−Lb)/(W−B)(ここで、W はカラースタンダード白板のL値、Bはカラースタンダード黒板のL値である。)
L.破裂強さ(N)
実施例または比較例で得られたレッグニットを足形に履かせ、踵から大腿部方向に60cmの位置にガーター部を合わせた上で、踵から大腿部方向に52.5cmの位置を中心として、足形の大腿部裏側に測定枠の大きさに合わせて円形の印を付けておく。足形から外して測定枠に製品を固定する際には先につけた円形の印に合わせて固定することで、着用状態と同じ状態で破裂強さを測定するものである。破裂強さは、JIS L1018−1999 8.17.2 B法(定速伸長形法)に従い測定した。着用中の破れに対して、実用上問題ないレベルとして30N以上を合格とした。
なお、透明度、破裂強さの測定で使用する足形は人間の足に似せて作成しており、つま先から踵までの長さが23.5cm、つま先から足の裏方向に13.5cm離れた土踏まず部分の周長が22.5cm、踵から大腿部方向に8cmの足首部の周長が22cm、踵から大腿部方向に25cmのふくらはぎ部の周長が34.5cm、踵から大腿部方向に43cmの膝裏部の周長が37cm、踵から大腿部方向に50cmの大腿部の周長が39.5cm、踵から大腿部方向に60cmの大腿部の周長が48cmとなっている。
(ポリアミド黒原着糸の製造)
〔実施例1〕
ポリアミドとして、硫酸相対粘度(ηr)が2.6、酸化チタン含有量0.02質量%のナイロン6チップを水分率0.03質量%以下となるよう常法にて乾燥した。
得られたナイロン6チップにファーネス法カーボンブラック含有量が15質量%となるように2軸混練機で混練し、30μmカットのフィルターを通過後、吐出を行うようにして、マスターチップを製造し、水分率300ppm以下となるよう常法にて乾燥した。得られたカーボンブラック含有のナイロン6マスターチップとカーボンブラックを含有しないナイロン6チップを、1:4の割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が3質量%)し、265℃の溶融温度で溶融し、10μmカットの金属フィルターを設置した紡糸パックで濾過を施し、紡糸温度260℃にて紡糸口金より吐出させた。紡糸口金は、ホール数が7、丸形、1糸条/口金のものを使用した。紡糸口金より吐出後、18℃の冷風で冷却、給油した後に、交絡を施した後、第1ゴデッドロール、155℃に加熱した第2ゴデッドロールを介して2.2倍に延伸して巻取速度4000m/分で巻き取りを行い、13dtex、7フィラメントのナイロン6黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強力、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例2〕
カーボンブラック含有のナイロン6マスターチップとナイロン6チップを、1:14の割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が1質量%)した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強力、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例3〕
カーボンブラック含有のナイロン6マスターチップとナイロン6チップを、33:67の割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が5質量%)した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強力、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例4〕
15μmカットの金属フィルターを設置した紡糸パックで濾過を施した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強力、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例5〕
20μmカットの金属フィルターを設置した紡糸パックで濾過を施した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強力、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例6〕
ポリアミドとして、硫酸相対粘度(ηr)が2.8、酸化チタン含有量0.02質量%のナイロン66チップを水分率0.11質量%中心となるよう常法にて乾燥した。
得られたナイロン66チップにファーネス法カーボンブラック含有量が15質量%となるように混練し、30μmカットのフィルターを設置しマスターチップを製造し、水分率0.11質量%中心となるよう常法にて乾燥した。得られたカーボンブラック含有のナイロン66マスターチップとナイロン66チップを、1:4の割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が3質量%)し、290℃の溶融温度で溶融し、10μmカットの金属フィルターを設置した紡糸パックで濾過を施し、紡糸温度290℃にて紡糸口金より吐出させた以外は実施例1と同様の方法でナイロン66黒原着糸を製造し、13dtex、7フィラメントのナイロン66黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強力、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例7〕
紡糸口金のホール数が10、丸形、1糸条/口金のものを使用した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造し、33dtex、10フィラメントのナイロン6黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強力、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
(カバリング弾性糸の製造)
実施例1〜7で得られた黒原着糸を巻糸とし、芯糸として"ライクラ"22dtex、黒原着タイプ(オペロンテックス社製)を用いてカバリング数2000T/m、ドラフト3.0倍にてS撚、Z撚のシングルカバリング弾性糸を用意した。
(ゾッキパンティーストッキングの製造)
永田精機(株)製MODEL KT−S4(針数400本)に上記シングルカバリング弾性糸を仕掛けてゾッキパンティーストッキング(サイズM〜L)を編成した。編成したゾッキパンティーストッキングを真空80℃で10分間プリセットを施し、98℃で30分間精練し、柔軟処理後にアルミ板の足形で110℃×30秒熱セットを施しゾッキパンティーストッキングを得た。
得られたゾッキパンティーストッキングのL値、色目、着用時の履きムラ、透明度、破裂強さについてそれぞれ評価した。その結果を表1に示す。
Figure 0006107290
〔比較例1〕
カーボンブラック含有のナイロン6マスターチップとナイロン6チップを、2.7:93.3の割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が0.4質量%)となる以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強力、伸度について評価した。その結果を表2に示す。
〔比較例2〕
カーボンブラック含有のナイロン6マスターチップとナイロン6チップを、47:53の割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が7質量%)した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強力、伸度について評価した。その結果を表2に示す。
〔比較例3〕
紡糸口金のホール数が3、丸形のものを使用した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造し、6dtex、3フィラメントのナイロン6黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強力、伸度について評価した。その結果を表2に示す。
〔比較例4〕
紡糸口金のホール数が34、丸形のものを使用した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造し、44dtex、34フィラメントのナイロン6黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強力、伸度について評価した。その結果を表2に示す。
〔比較例5〕
1μmカットの金属フィルターを設置した紡糸パックで濾過を施した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強力、伸度について評価した。その結果を表2に示す。
〔比較例6〕
40μmカットの金属フィルターを設置した紡糸パックで濾過を施した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強力、伸度について評価した。その結果を表2に示す。
〔比較例7〕
紡糸口金のホール数が10、丸形のものを使用し、延伸倍率3.2倍にしたた以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造し、25dtex、10フィラメントのナイロン6黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強力、伸度について評価した。その結果を表2に示す。
比較例1〜7で得られた黒原着糸を用いて、カバリング数2800T/m(比較例3)、1000T/m(比較例4)、1300T/m(比較例7)とした以外は、カバリング弾性糸、パンティーストッキングを実施例1と同様の方法で製造した。得られたゾッキパンティーストッキングのL値、色目、着用時の履きムラ、透明度、破裂強さについてそれぞれ評価した。その結果を表2に示す。
〔比較例8〕
ポリアミドとして、硫酸相対粘度(ηr)が2.6、酸化チタン含有量0.02質量%のナイロン6チップのみを用いた(カーボンブラック含有量が0質量%)以外は、実施例1と同様の方法でナイロン6糸を製造した。得られたナイロン6糸の、製糸性、繊度、強力、伸度について評価した。その結果を表2に示す。
得られたナイロン6糸を用いて、カバリング弾性糸を実施例1と同様の方法で製造した。また、実施例1と同様にゾッキパンティーストッキングを編成した。編成したゾッキパンティーストッキングを真空80℃で10分間プリセットを施し、98℃で30分間精練し、Mitsui Nylon Black GL(三井東圧化学社製)4質量%、98℃で60分間の条件で染色し、固着、柔軟処理後にアルミ板の足形で110℃×30秒熱セットを施しゾッキパンティーストッキングを得た。得られたゾッキパンティーストッキングのL値、色目、着用時の履きムラ、透明度、破裂強さについて評価した。その結果を表2に示す。
Figure 0006107290
〔実施例8〕
紡糸口金は、ホール数が10、丸形、1糸条/口金のものを使用し、加熱しない第2ゴデッドロールを介して1.3倍に延伸して巻取速度4000m/分で巻き取りを行い、28dtex、10フィラメントのナイロン6黒原着糸を得た以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径について評価した。その結果を表3に示す。
〔実施例9〕
紡糸口金は、ホール数が26、丸形、1糸条/口金のものを使用し、15μmカットの金属フィルターを設置した紡糸パックで濾過を施した以外は実施例8と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造し、42dtex、26フィラメントのナイロン6黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径について評価した。その結果を表3に示す。
(仮撚糸の製造)
上記ナイロン6黒原着糸を、石川製作所社製仮撚機IVF805を用いて、加工速度500m/min 、延伸倍率1.27倍、ヒーター温度180℃ 、D/Y比1.7(解撚張力/加撚張力=1.04)に設定して仮撚加工を行い、それぞれ、22dtex10フィラメント(実施例8)、33dtex26フィラメント(実施例9)の仮撚糸を得た。得られた仮撚糸の繊度、強力、伸度、捲縮特性について評価した。その結果を表1に示す。
(カバリング弾性糸の製造)
実施例8、9で得られたナイロン6黒原着糸を巻糸とし、芯糸として"ライクラ"22dtex、黒原着タイプ(オペロンテックス社製)を用いてカバリング数1500T/M(実施例7)、1200T/M(実施例8)T/m、ドラフト3.0倍にてS撚、Z撚のシングルカバリング糸を用意した。
(ゾッキタイツの製造)
永田精機(株)製MODEL KT−S4(針数360本)に上記シングルカバリング糸を仕掛けてゾッキタイツを編成した(サイズM〜L)。編成したゾッキタイツを真空80℃で10分間プリセットを施し、98℃で30分間精練し、柔軟処理後にアルミ板の足形で110℃×30秒熱セットを施しゾッキタイツを得た。
得られたゾッキタイツのL値、色目、着用時の履きムラ、透明度、破裂強さについてそれぞれ評価した。その結果を表1に示す。
Figure 0006107290
表1(実施例1〜7)、表3(実施例8、9)の結果から、本発明のポリアミド黒原着糸および仮撚糸は、カーボンブラック含有量、カーボンブラック平均粒径、繊度、強力を最適化することにより、着用時の履きムラが無く、深い黒発色(L値、色目)、透明性の良好なレッグニット製品が得られることがわかる。また、着用中の耐久性も保持している。
比較例1は、カーボンブラック含有量が少ないことにより、光が透過しやすく白っぽくなり、着用時の履きムラ、深い黒発色(L値、色目)に劣るものであった。
比較例2は、カーボンブラック含有量が多いことにより、紡糸パック内の濾過圧の上昇が大きく、パックライフが短くなるばかりでなく、糸切れも頻発し製糸性に劣る結果であった。また、得られたナイロン黒原着糸の強力が、30cNと低い値となり、破裂強さが26Nと低い値となり、着用中の耐久性に劣るものであった。
比較例3は、繊度が細く、強力が、27cNと低い値となり、破裂強さが20Nと低い値となり、着用中の耐久性に劣るものであった。
比較例4は、繊度が太く、透明性に劣るものであった。
比較例5は、平均粒径の小さいカーボンブラックのため、かかとでの擦過により伝線が発生した。
比較例6は、平均粒径の大きいカーボンブラックが存在することにより、紡糸パック内の濾過圧の上昇が大きく、パックライフが短くなるばかりでなく、糸切れも頻発し製糸性に劣る結果であった。また、得られたナイロン黒原着糸の強力が、26cNと低い値となり、破裂強さが28Nと少し低い値となり、着用中の耐久性に劣るものであった。
比較例7は、強力が155cNと高く、伸度が10%と低いため、糸切れが頻発し製糸性に劣る結果であった。
比較例8は、従来のゾッキパンティーストッキングであり、黒染色を施している。透明性、色目、着用時の履きムラに劣るものであった。また、実施例1〜7、比較例1〜7と比較して全体的にやや白っぽく、深い黒色が得られておらず、色目に劣るものであった。染料にて黒く染めたゾッキパンティーストッキングは、染料の細かい顔料が微分散されているため、光が吸収され、透明性が悪化し、さらには、染色は、赤、青、黄の3染料を混合して黒に染めているため、見た目が赤掛かった黒となり、白っぽくなったと深色性に優れた黒色が得られない。
本発明のポリアミド黒原着糸および仮撚糸を用いたレッグニット製品は、黒染色を施していないため、染色工程の加工賃を省くことができコストダウンを可能とするだけでなく、環境負荷の少ないものとなった。

Claims (5)

  1. カーボンブラックを1〜5質量%含有し、総繊度が8〜33dtex、強力が35〜150cN、ポリアミド中のカーボンブラックの平均粒径が1〜20μmであることを特徴とするポリアミド黒原着糸。
  2. ポリアミド黒原着糸がナイロン6であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド黒原着糸。
  3. 請求項1または請求項2記載のポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸。
  4. 請求項1または請求項2記載のポリアミド黒原着糸または請求項3記載の仮撚糸を巻糸として用いたカバリング弾性糸。
  5. 請求項1または請求項2記載のポリアミド黒原着糸、請求項3記載の仮撚糸、請求項4記載のカバリング弾性糸の少なくとも一種を少なくともレッグ部の一部に用いたレッグニット。
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