JP6314405B2 - ポリアミド黒原着糸、仮撚糸およびそれよりなるインナーウエア - Google Patents

ポリアミド黒原着糸、仮撚糸およびそれよりなるインナーウエア Download PDF

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Description

本発明は、柔らかい風合いを持ちかつ、強度に優れ、深い黒発色が可能なインナーが得られるポリアミド黒原着糸に関するものである。
インナーは、カジュアル性の多様化により黒色のインナーが増加しており、ナイロン6やナイロン66に代表されるポリアミド糸が主に使用されている。従来、インナー製品の柔らかさを得るために、ポリアミド糸の単糸繊度を細くすることが一般的に行われてきた。しかしながら、単糸繊度を細くすると、柔らかさは得られるものの、光の乱反射によりインナー製品の外観が白っぽくなり、濃色が得られにくくなること、着用中に単糸が切れ、ピリング等が発生し耐久性および外観が悪くなることなど外観に関する問題点が生じている。特に、インナーの消費者ニーズとしては、柔らかい風合い、耐久性がある、リーズナブルな市場価格であることに加えて、カラー(発色性)が重要なファクターであり、黒色のタイツは深い黒発色が可能なポリアミド糸が望まれていた。この問題を解決するために、例えば特許文献1ではポリアミド糸中にカーボンブラックを含有させることにより黒発色性の良い極細繊維が得られることを例示している。また、例えは特許文献2では、ポリアミド糸中のカーボンブラックの分散性を良くすることにより強度に優れる黒原着ポリアミド繊維が得られることを例示している。
特開2002−146624号公報 特開2000−226730号公報
しかしながら、特許文献1記載の方法では海島複合糸の海成分を除去することにより単糸繊度0.0001〜0.06dtexの極細ポリアミド糸を得ており、ストッキングやタイツ等のレッグニット製品においては、柔らかい風合いは得られるものの、深い黒発色が得られない、ピリング(耐久性、外観)、海成分除去にかかるコストアップ(リーズナブルな市場価格)等の問題があった。また、海成分であるポリエチレン(PE)をトルエン等で溶出する必要があるため、カバリング糸の芯糸となるスパンデックス等の弾性糸が劣化し、強度が弱くなったり、ストレッチ性が損なわれる問題があった。
また、特許文献2記載の方法では、産業資材用途に適した黒原着ポリアミド繊維に関するものであり、チャンネルタイプのカーボンブラックを選択し、イミダゾール化合物を添加してカーボンブラックの分散性を向上させることで、高強度は得られるものの、インナーウエアなど衣料品に展開した場合、衣料品へ入射した光が、吸収光、透過光、反射光に分かれる際のバランスが悪く、深い黒発色が得られない。
本発明において、上述したような従来の問題を解決し、柔らかい風合いを持ち、強度に優れ、深い黒発色が可能なポリアミド黒原着糸を提供することを課題とする。さらには、深い黒発色が可能なポリアミド黒原着仮撚糸、カバリング弾性糸、インナーウエアを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
(1)カーボンブラックを1〜5質量%含有し、ポリアミド中のカーボンブラックの粒度分布として、長径0.5〜1.5μmが全体の50%以上であり、単糸繊度が0.8〜2dtexであることを特徴とするポリアミド黒原着糸
)ポリアミドがナイロン6であることを特徴とする(1)載のポリアミド黒原着糸
)(1)または(2)記載のポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸
)(1)または(2)記載のポリアミド黒原着糸、()記載の仮撚糸の少なくとも一種を用いたインナーウエア
である。
本発明によれば、柔らかい風合いを持ち、強度に優れ、深い黒発色が可能なインナーウエアを得るポリアミド黒原着糸、仮撚糸が得られる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のポリアミド黒原着糸を構成するポリアミドは、いわゆる炭化水素基が主鎖にアミド結合を介して連結された高分子量体からなる樹脂であって、かかるポリアミドとしては、製糸性、機械特性に優れており、主としてポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)が好ましく、ゲル化し難しく、製糸性が良いことからポリカプロアミド(ナイロン6)がさらに好ましい。ここで言う「主として」とは、ポリカプロアミドを構成するε−カプロラクタム単位として全モノマー単位中80モル%以上であることを言い、さらに好ましくは90モル%以上である。その他の成分としては、特に限定されないが、例えば、ポリドデカノアミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンアゼラミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカノアミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリヘキサメチレンテレフタラミド、ポリヘキサメチレンイソフタラミド等を構成するモノマーである、アミノカルボン酸、ジカルボン酸、ジアミン等の単位が挙げられる。
また、ポリアミド黒原着糸に用いるポリアミドの重合度は、仮撚り加工、織編物、繊維製品の要求特性、またはそれらを安定して得るために適当な範囲より適宜選択して良いが、好ましくは25℃での98%硫酸相対粘度で2.0〜3.6の範囲であり、さらに好ましくは2.4〜3.3の範囲である。
本発明のポリアミド黒原着糸に使用するカーボンブラックの種類としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等が例示され、特に限定されるものではないが、ファーネスブラックであることが好ましい。カーボンブラックの製法には、熱分解法としてアセチレンブラックやサーマルブラック、不完全燃焼法として油煙の採取(いわゆるランプブラック)やファーネスブッラクに区分され、この製法の違いによってカーボンブラックの特徴に違いを与える。2000℃近傍の反応環境を維持しなければならない熱分解法は、製造に多くのエネルギーを必要とするため、コストおよび製造時の環境面で実用性は低い。一方、不完全燃焼法はコストおよび製造時の環境面で実用性が高い。また、不完全燃焼法の代表格であるファーネス法は、粒子径やストラクチャーの大きさを制御する事が容易であり、ポリアミド黒原着糸の色目や製糸性からファーネス法で得られるファーネスブラックを使用することが好ましいのである。特に、小粒子径ファーネスブラックの製造には、オイルファーネス法により得られるファーネスブラックであることがさらに好ましい。
また、カーボンブラックは、その製造段階で、ストラクチャーが形成される。ストラクチャーはカーボンブラックの最小単位であり、その指標は、DBP吸油量で示すことができる。ここで言う吸油量とは、JIS K6217−4(2008)に準じて測定される値である。本発明のポリアミド黒原着糸に使用するカーボンブラックのDBP吸油量は10〜300ml/100gであることが好ましい。DBP吸油量を10ml/100g以上とすることにより、高い波長領域の光が散乱せず、ポリアミド黒原着糸とした場合、深い黒発色を出すことができる。DBP吸油量が300ml/100g以下とすることにより、ポリアミドポリマーへの分散性が良くなり、ポリアミド黒原着糸の製造時に粗大粒子を抑える傾向にあり、製糸性が良くなり、ポリアミド黒原着糸の機械特性である強度が高くなる傾向にある。
本発明のポリアミド黒原着糸中に含まれるカーボンブラックは、粒度分布として、長径0.5〜1.5μmが全体の50%以上を占めることを特徴とする。好ましくは55%以上である。ここで言う粒度粒径とは、光学顕微鏡を用いて、ポリアミド黒原着糸の融点+20℃に加熱したプレパラートにポリアミド黒原着糸の試料0.1gを載せ、スライドガラスで挟みフィルム状に広げ倍率1500倍で撮影し、カーボンブラックの長径の粒度分布をとったものである。
粒度分布をかかる範囲とすることで、ポリアミド黒原着糸中のカーボンブラック粒子の分散性が均一となり、強度が高くなるだけでなく、繊維軸方向の強度バラツキが小さく、品位が良好となる。
粒度分布が、カーボンブラック長径0.5〜1.5μmの割合が全体の50%未満となるには、1.5μmを超える粒度が多く含有する場合と、0.5μm未満の粒度が多く含有する場合の二通りある。1.5μm以下の粒度が多く含有し、カーボンブラック長径0.5〜1.5μmの割合を全体の50%以上とすることで、ポリアミド黒原着糸の強度を高くできる。また、インナー製品としたときの耐久性(ピリング性)が実用レベルとなり、製品品位が良好になる。0.5μm以上の粒度が多く含有し、カーボンブラック長径0.5〜1.5μmの割合を全体の50%以上とすることで、深い黒発色を得ることができる。
また、ポリアミド黒原着糸中に含まれるカーボンブラックの長径の粒度分布は、正規分布を示すため、正規分布の最頻値を、カーボンブラックの平均粒度とする。
本発明のポリアミド黒原着糸中に含まれるカーボンブラックの粒度分布が、長径0.5〜1.5μmの割合50%以上とするためには、ポリアミド黒原着チップ製造時、ポリアミド黒原着糸製造時にカーボンブラックを含有する溶融ポリマーの濾過を行うことにより可能となる。その濾過の方法は特に限定されるものではないが、溶融ポリマー通路や紡糸パック等でフィルターを設置することが好ましい。紡糸パック内にフィルターを設置することがさらに好ましく、紡糸パック内で用いるフィルターは10〜30μmカットがより好ましい。また、フィルターのみでカーボンブラックの粗流を除去すると、濾加圧上昇が高くなり、パックライフが短くなるため、パック内にメッシュの小さいサンドをフィルター上部に配置しカーボンブラックの粗流を除去するとパックライフを長く出来る。カーボンブラックの粒度分布が、長径0.5〜1.5μmの割合50%以上とするためのパックサンドメッシュは、100〜200が好ましく、120〜180がさらに好ましい。
また、カーボンブラックをポリアミド溶融ポリマーに含有させる時に、カーボンブラック粒子が、2次粒子や3次粒子となり粗粒となりやすい。このため、紡糸パック内のみにフィルターを設置するだけではカーボンブラックが詰まりやすく、濾過圧の上昇が大きく、パックライフが短くなって生産性が低下しやすくなる。ポリアミドにカーボンブラックを含有させる好ましい溶融紡糸方法として、紡糸パック内にフィルターを設置することに加えて、ポリアミド中に高濃度にカーボンブラックを含有したマスターチップとカーボンブラックを含有しないポリアミドチップをブレンドして溶融紡糸することが好ましい。さらには、そのマスターチップ製造時にフィルターを設置することで、粗粒を排除し、ポリアミド黒原着糸製造において濾過圧上昇を抑え、パックライフを長くすることが可能となり生産性を向上させることが可能となる。尚、マスターチップ製造時に用いるフィルターは好ましくは30〜50μmカットである。
本発明のポリアミド黒原着糸中に含まれる前述した粒度分布として長径0.5〜1.5μmの割合50%以上のカーボンブラックの含有量は、1〜5質量%であることが必要である。ここで言う含有量とは、TG−DTAを用いて、温度範囲:室温〜900℃、昇温速度:100℃/min、大気流量20ml/分の条件でポリアミド黒原着糸の重量変化を計測し、650〜900℃の領域で減量した比率から算出した値をカーボンブラックの消失量とみなし、ポリアミド黒原着糸中のカーボンブラック含有量とする。含有量が1質量%以上とすることにより、インナー製品にした時に深い黒発色が得られる。含有量が5質量%以下とすることにより、ポリアミド黒原着糸の製造時の糸切れを抑制でき、ポリアミド黒原着糸の機械特性である強度が高い。好ましい含有量は2〜4質量%である。
また、本発明の目的を損なわない範囲の量、種類であれば、耐熱性などの生産性向上のための添加剤が配合されていてもよいし、艶消し、吸湿、抗菌、紫外線遮蔽、保温等の機能を持たせる添加剤が配合されてもよい。しかしながら、製糸性やインナーの製品の耐久性、黒発色性が低下してしまうため、粒径1μmを超える無機粒子の添加は好ましくなく、白色顔料も含めて無機粒子の添加は限定されるものではないが、ポリアミド黒原着糸に対して、2.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%未満であることがより好ましい。
本発明のポリアミド黒原着糸は、単糸繊度が0.8〜2dtexであるインナー製品の柔らかい風合いを得るために、単糸繊度を細くすることが一般的に行われているが、単糸繊度を0.8dtex以上とすることにより、インナー製品としたときの耐久性(ピリング性)が実用レベルになる。加えて、ポリアミド黒原着糸の製造時に糸切れを抑制する。単糸繊度2dtex以下とすることにより、柔らかい風合いとなる。さらに好ましくは、0.8〜1.5dtexである。また、総繊度は特に限定されるものではないが、インナー製品として使用する場合、8〜155dtexが好ましい。
本発明のポリアミド黒原着糸は、強度が2cN/dtex以上であることが好ましく、2〜6cN/dtexであることがより好ましい。強度を2cN/dtex以上とすることで、仮撚糸等次工程での加工時の糸切れ、インナー製品とした時の耐久性(ピリング性)が実用レベルになる。また、ポリアミド黒原着糸の強度の上限は限定するものではないが、強度を高くすると伸度が低くなり、ポリアミド黒原着糸の製造時に糸切れが多く製糸性が悪くなるため、6cN/dtex以下とすることが、製糸性の点から好ましい。また、カーボンブラックの粒度分布として長径0.5〜1.5μm以下の割合50%以上のポリアミド黒原着糸においては糸中のカーボン粒子が微分散しているため、より高強度であり2.5cN/dex以上であることが好ましい。また、連続強伸度を測定した際のバラツキとして、強度の標準偏差は0.1以内、伸度の標準偏差は3.0以内であることが高次加工での製品品質が悪化抑制の点から好ましい。粒度分布をかかる範囲とすることで、ポリアミド黒原着糸中のカーボンブラック粒子の分散性が均一となり、強度が高くなるだけでなく、繊維軸方向の強度バラツキが小さく、品位が良好となる。
強度バラツキの指標として、50回強伸度測定時の強度標準偏差が0〜0.1であることが好ましい。かかる範囲とすることで、ポリアミド黒原着糸の製造時の糸切れ抑制、仮撚り加工時の糸切れ抑制できる。また、仮撚り加工では均一な捲縮を発現させ、均一な編地を提供することができ、製品品位が良好となる。
本発明のポリアミド黒原着糸の製造方法について説明する。
本発明のポリアミド黒原着糸は、生産性、コストの観点から、溶融紡糸による製造が最も優れている。また、溶融紡糸による製造方法について、紡糸−延伸工程を連続して行う方法(直接紡糸延伸法)、未延伸糸を一旦巻き取った後に延伸する方法(2工程法)、あるいは紡糸速度を3000m/min以上のように高速として実質的に延伸工程を省略する方法(高速紡糸法)等、いずれの方法においても製造可能であるが、仮撚糸として用いる場合は、高い捲縮性が得られ、コストに優れる高速紡糸法が好ましい。以下に高速紡糸法での製造について例示する。
まず溶融部について説明する。ポリアミドを溶融するに際し、プレッシャーメルター法あるいはエクストルーダー法が挙げられるが、両者とも特に限定されるものではない。溶融温度は、ポリアミドポリマーの融点+20℃〜融点+60℃が好ましい。例えば、ナイロン6ポリマーを用いる場合、融点は225℃であるから、溶融温度245〜285℃が好ましい。
カーボンブラックを含有させる方法は、ポリアミド中に高濃度にカーボンブラックを含有したマスターチップとカーボンブラックを含有しないポリアミドチップをブレンドして溶融紡糸する方法や、カーボンブラックをフィーダー等により直接含有する方法が挙げられる。マスターチップのカーボンブラックの含有量は、10〜30質量%であることが好ましい。カーボンブラックの含有量を10質量%以上とすることで、マスターチップとして溶融紡糸する際のコストメリットに優れ、30質量%以下とすることで、カーボンブラックの凝集の点から好ましい。
紡糸パックへ流入したカーボンブラックを含有したポリアミドは、公知の紡糸口金により紡糸口金より吐出される。また、紡糸温度(いわゆるポリマー配管や紡糸パックまわりの保温温度)は、ポリアミドポリマーの融点+20℃〜融点+60℃が好ましい。
前述のとおりカーボンブラックは溶融ポリマー中でも凝集しやすいため、紡糸パック内にフィルターを設置することが好ましい。
紡糸口金から吐出されたポリアミド黒原着糸は、冷却、固化され、油剤が付与された後、引き取られる。ポリアミド原着糸の伸度が50〜70%の範囲となるように適宜延伸倍率を設定し、紡糸工程で熱セットをせずに速度として3000〜5000m/minの範囲で巻き取るのが好ましい。また、巻き取りまでの工程で公知の交絡装置を用い、交絡を施すことも可能である。必要であれば複数回付与することで交絡数を上げることも可能である。さらには、巻き取り直前に、追加で油剤を付与するのも可能である。
本発明の仮撚糸およびその製造方法について説明する。
本発明の仮撚糸は、上記ポリアミド黒原着糸を仮撚加工して得られるが、ポリアミド黒原着糸を仮撚加工して仮撚糸とする方法も特に限定されるものではない。施撚方法としてもスピンドル方式や3軸ツイスター方式、ベルトニップ方式など限定されるものではない。捲縮を強めたいときにはスピンドル方式を用いることが好ましいし、加工速度を上げて生産コストを下げたいときには摩擦仮撚方式である3軸ツイスター、ベルトニップを用いることが好ましい。加熱方式も限定されるものではなく、熱板や高温ショートヒーターを用いれば良く、設定温度としては、狙いとする風合いに合わせ自由に設定できるが、一つの目安として熱板を用いた場合、ポリカプロアミド(ナイロン6)で170〜190℃、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)で180〜200℃とすることを推奨する。冷却方法としても冷却板を用いても、空冷、水冷などが挙げられ、限定されないが、効率と糸のダメージを考えて、冷却板を用いることが好ましい。好ましい仮撚糸の捲縮特性は3〜25%である。加工糸の捲縮特性が3%以上とすることで、インナーとした際にソフト性が向上する。加工糸の捲縮特性が25%以下とすることで、仮撚り加工糸の毛羽を抑制できる。なお、ここで言う捲縮特性とは、後述する測定方法により測定を行い算出した値であり、仮撚糸の嵩高性の指標とするものである。
本発明のポリアミド黒原着糸および仮撚糸は、ストレッチ性を向上させるために弾性糸とカバリングしても良い。
カバリング弾性糸およびその製造方法について説明する。
カバリング弾性糸の巻糸としては、ポリアミド黒原着糸、ポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸から選択して用いることができる。
カバリング弾性糸の芯糸をなす弾性糸としては、ポリウレタン系弾性糸、ポリアミド系エラストマ弾性糸、ポリエステル系エラストマ弾性糸、天然ゴム系糸、合成ゴム系糸、ブタジエン系糸等が用いられるが、インナー用としてその弾性特性、熱特性、耐久性等からより好ましいのは、ポリウレタン系弾性糸及びポリアミド系エラストマ弾性糸である。
その弾性糸の太さは、インナーの用途により異なるが、8〜80dtex程度であればよい。好ましいのは11〜44dtexである。8dtex以上とすることで、糸強力を保持でき、カバリング弾性糸製造時及びインナー編立て時に芯糸切れ等のトラブルを抑制し、インナーとしての伸縮性、耐久性が得られる。逆に、80dtex以下とすることで、ソフト性を保つ。
カバリング数としてはポリアミド黒原着糸、ポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸の巻糸の繊度、収縮率や製品風合い、耐ピリング性、耐スナッグ性を考慮して設計すればよく、黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸をシングルカバリングする時には(56/加工糸繊度)1/2×500〜(56/加工糸繊度)1/2×1000(T/m)を目安に設計することが好ましく、例えば、56dtexの仮撚糸をシングルカバリングする時には500〜1000T/mが好ましい。また、ドラフト倍率も狙いとする着圧に合わせて設計すればよく、例えば、2.5〜3.5倍に設定することが好ましい。カバリングは風合いの柔らかさ、伸縮性からシングルカバリングが好ましい。
かくして得られる本発明のポリアミド黒原着糸、ポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸は、インナーに好ましく用いることができる。
本発明のインナーは、ポリアミド黒原着糸、仮撚糸の少なくとも一種を少なくともインナーの一部に用いることが好ましい。
なお、インナーを構成する使用糸としてはたとえば縫い糸など必要に応じた糸を用いることは限定されない。
ここで本発明の対象とするインナーとは、ブラジャー、ショーツ、ガードル、キャミソール、スリップ、補正下着、トランクス、肌着、ストッキング、タイツ等が挙げられる。
また、インナーが、インナー全てに本発明のポリアミド黒原着糸、仮撚糸を用いる場合には染色工程を省くことが可能である。染色工程をさらに細分化すると、精練工程、染色工程、仕上げ工程があり、この染色工程を省くことが可能となるのである。この染色工程の製造コストには、染料代だけでなく、高温で長時間染色する時間代と加工代が含まれており、時間短縮だけではなく、染料代や燃料代を含めた製造コストの削減により、リーズナブルな市場価格で消費者にインナーを提供することが可能となる。また、従来、ポリアミド糸を黒色で染色する場合において、深い黒発色を得ようとする場合は、染料濃度を上げる必要があるが、柔らかさを得るために単糸繊度を細くし、染料濃度を上げると、洗濯堅牢度が悪化する問題がある。しかしながら本発明では染色工程を省くことができるだけでなく、それに高濃度の染料を用いることに伴う洗濯堅牢度の悪化の問題もなく、持続性のある深い黒発色のあるインナーが得られる。また、インナーの一部にポリアミド黒原着糸を用いる場合、編成を交編とし、染色するとシャンブレー調となり、柄部分に使用すると意匠性の高いインナーが得られる。
また、仕上げは、公知の仕上げ剤(柔軟剤)を施し製品としてもよい。このとき、抗菌やUVカット等機能剤を付与しても良い。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。また、本発明のポリアミド黒原着糸の物性の測定方法は以下の通りである。
A.カーボンブラックの長径0.5〜1.5μmの割合(以下、粒度分布と略す。)、平均粒径
ナイロン6の場合は245℃、ナイロン66の場合は275℃に加熱したプレパラートに、ポリアミド黒原着糸の試料0.1gを載せ、スライドガラスで挟みフィルム状に広げKEYENCE社製デジタルマイクロスコープ(VHX−2000)を用いて倍率1500倍で撮影し、解析ソフトでカーボンブラックの長径を測定し、粒度分布より算出した。また、粒度分布の最頻値を、カーボンブラックの平均粒度とした。
B.カーボンブラックの含有量(質量%)
TG−DTA(ナノテクノロジー社製 熱重量測定装置SII TG/DTA 6200)、ポリアミド黒原着糸の試料1.4mgを用いて、温度範囲:室温〜900℃、昇温速度:100℃/min、大気流量20ml/分の条件でポリアミド黒原着糸の重量変化を計測し、650〜900℃の領域で減量した比率から算出した値である。
C.硫酸相対粘度(ηr)
ポリアミドチップ(試料)0.25gを、濃度98質量%の硫酸100mlに対して1gになるように溶解し、オストワルド型粘度計を用いて25℃での流下時間(T1)を測定した。引き続き、濃度98質量%の硫酸のみの流下時間(T2)を測定した。T2に対するT1の比、すなわちT1/T2を硫酸相対粘度とした。
D.製糸性
ポリアミド黒原着糸を製糸するときの1t当たりの糸切れについて、次の基準をもって示した。
a:糸切れ2回未満、
b:糸切れ2以上4回未満、
c:糸切れ4以上6回未満、
d:糸切れ6以上8回未満、
e:糸切れ8回以上。
E.繊度、単糸繊度
ポリアミド黒原着糸は0.35mN×表示デシテックス、ポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸は8.82mN×表示デシテックスの張力を与えながら枠周1.125mの検尺機にて200回巻カセを作成し、熱風乾燥機にて乾燥後(105±2℃×60分)、天秤にてカセ重量を量り公定水分率を乗じた値から繊度を算出した。測定は4回行い、平均値を繊度とした。また、得られた繊度をフィラメント数で割り返した値を単糸繊度とした。
F.パックライフ
パック取り付け直後のパック圧に対し、5MPa濾過圧が上昇する日にちをパックライフとした。
G.強度、伸度
ポリアミド黒原着糸、ポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸試料を、オリエンテック(株)社製テンシロン(TENSILON)UCT−100でJIS L1013(化学繊維フィラメント糸試験方法、2010年)に示される定速伸長条件で測定した。伸度は、引張強さ−伸び曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。また、強度は、最大強力を繊度で割り返した値を強度とした。測定は3回行い、平均値を強度および伸度とした。なお、つかみ間隔50cm、引張速度50cm/minである。
H.連続強伸度
ポリアミド黒原着糸、ポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸試料を、オリエンテック(株)社製テンシロン(TENSILON)UCT−100でJIS L1013(化学繊維フィラメント糸試験方法、2010年)に示される定速伸長条件で測定した。伸度は、引張強さ−伸び曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。また、強度は、最大強力を繊度で割り返した値を強度とした。測定は50回行い、強度および伸度の標準偏差を算出した。なお、つかみ間隔50cm、引張速度50cm/minである。
I.捲縮特性
ポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸に0.098cN/dtexの張力を与えながら周長1.125m、10回巻きのかせを5本とる。20℃、60%RHの環境下で24時間放置する。1.76×10−3cN/dtexの処理荷重(水中での荷重)を掛けた状態で98℃±1℃の熱水中で20分処理する。熱処理したかせは、20℃、60%RHの環境下で24時間放置して乾燥させる。予め、シリンダー中に水をいれ、20℃、60%RHの環境下で24時間放置させておく。かせサンプルに1.76×10−3cN/dtexの初荷重(水中での荷重)を掛けた状態でかせをすべて水中に入れる。その後、0.088cN/dtexの荷重(水中での荷重)をさらに掛けて0.08976cN/dtexの定荷重(水中での荷重)とし、2分後のかせの長さa(mm)を測定する。速やかに定荷重を取り除き、初荷重のみの2分後のかせの長さb(mm)を測定する。捲縮特性は以下の式で算出し、5本の平均値をもって評価する。
捲縮特性(%)=(a−b)/a×100。
J.ソフト性
インナーを、検査者(30人)の触感によってソフト性(柔らかい風合い)について、4段階判定し、最多の評価を判定値とした。
a:比較例5より優れたソフト性がある
b:比較例5と同等のソフト性がある
c:比較例5よりやや劣るがソフト性がある
d:比較例5より大きくソフト性が劣り、ソフト性に欠ける。
K.色目
インナー試料を、検査者(30人)の視覚によって、色目(深い黒発色性)について、5段階判定し、最多の評価を判定値とした。
a:比較例5より深い黒色で、色目が非常に良い
b:比較例5より黒色で、色目が良い
c:比較例5と同等の色目
d:比較例5よりやや白っぽく、色目があまり良くない
e:比較例5より白っぽく、色目が悪い。
L.ピリング性
インナー試料を、JIS L1076(2012)アピアランス・リテンションC法に準じピリング評価を実施し、等級を判定した。
N:ピルの数が標準写真のN号程度のもの
L:ピルの数が標準写真のL号程度のもの
M:ピルの数が標準写真のM号程度のもの
H:ピルの数が標準写真のH号程度のもの又はその程度を越えるもの。
〔実施例1〕
(ポリアミド黒原着糸の製造)
ベースポリマーのポリアミドとして、硫酸相対粘度(ηr)が2.6、酸化チタン含有量0.02質量%のナイロン6チップを水分率0.03質量%以下となるよう常法にて乾燥した。
マスターチップとして、ベースポリマーのナイロン6チップにDBP給油量180ml/100gのファーネス法カーボンブラックを含有量が15質量%となるように2軸混練機で混練し、30μmカットのフィルターを通過後、吐出を行うようにして、マスターチップを製造し、水分率300ppm以下となるよう常法にて乾燥した。得られたカーボンブラック含有のナイロン6マスターチップとカーボンブラックを含有しないベースポリマーのナイロン6チップを、1:4の割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が3質量%)し、265℃の溶融温度で溶融し、サンドメッシュ120および20μmカットの金属フィルターを設置した紡糸パックで濾過を施し、紡糸温度260℃にて紡糸口金より吐出させた。紡糸口金は、ホール数が68、丸形、1糸条/口金のものを使用した。紡糸口金より吐出後、18℃の冷風で冷却、給油した後に、交絡を施した後、第1ゴデッドロール、第2ゴデッドロールを介して1.2倍に延伸して巻取速度4000m/分で巻き取りを行い、96dtex、68フィラメントのナイロン6黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の、カーボンブラックの粒度分布は66%、平均粒径は0.9μmであった。また、製糸性、カーボンブラック含有量、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
(仮撚糸の製造)
上記ナイロン6黒原着糸を、石川製作所社製仮撚機IVF805を用いて、加工速度500m/min、延伸倍率1.17倍、ヒーター温度180℃、D/Y比1.7(解撚張力/加撚張力=1.04)に設定して仮撚加工を行い、78.1dtex、68フィラメントの仮撚糸を得た。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、捲縮特性について評価した。その結果を表1に示す。
(インナーの製造)
上記仮撚糸を使用し、42ゲージ30インチのダブル丸編機で両面スムースの編物(生機目付110g/m)に製編した。得られた編物を、精練、190℃でファイナルセットして編地を作成した。得られた編地についてソフト性、色目、ピリング性について測定した。その結果を表1に示す。また、得られた編地は、インナーウエアとしてスリップに縫製した。
〔実施例2〕
カーボンブラック含有のナイロン6マスターチップとナイロン6チップを、1:14の割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が1質量%)した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、カーボンブラックの粒度分布は66%、平均粒径は0.9μmであった。また、製糸性、カーボンブラック含有量、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、インナーを実施例1と同等の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、捲縮特性、インナーのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例3〕
カーボンブラック含有のナイロン6マスターチップとナイロン6チップを、33:67の割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が5質量%)した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、カーボンブラックの粒度分布は65%、平均粒径は0.9μmであった。また、製糸性、カーボンブラック含有量、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、インナーを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、捲縮特性、インナーのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例4〕
紡糸パックの金属フィルターを30μmカットにした以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、カーボンブラックの粒度分布は60%、平均粒径は1μmであった。また、製糸性、カーボンブラック含有量、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、インナーを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、捲縮特性、インナーのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例5〕
紡糸パックの金属フィルターを10μmカットにした以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、カーボンブラックの粒度分布は59%、平均粒径は0.8μmであった。また、製糸性、カーボンブラック含有量、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、インナーを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、捲縮特性、インナーのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例6〕
紡糸パックに設置したサンドをメッシュ100にした以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、カーボンブラックの粒度分布は54%、平均粒径は1.4μmであった。また、製糸性、カーボンブラック含有量、カーボンブラック粒度分布、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、インナーを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、捲縮特性、インナーのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例7〕
紡糸パックに設置したサンドをメッシュ200にした以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、カーボンブラックの粒度分布は52%、平均粒径は0.5μmであった。また、製糸性、カーボンブラック含有量、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、インナーを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、捲縮特性、インナーのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例8〕
紡糸パックに設置したサンドをメッシュ180にした以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、カーボンブラックの粒度分布は55%、平均粒径は0.7μmであった。また、製糸性、カーボンブラック含有量、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、インナーを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、捲縮特性、インナーのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例9〕
紡糸口金のホール数が96、丸形のものを使用した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造し、96dtex、96フィラメントのナイロン6黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の、カーボンブラックの粒度分布は66%、平均粒径は0.9μmであった。また、製糸性、カーボンブラック含有量、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、インナーを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、捲縮特性、インナーのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例10〕
紡糸口金のホール数が52、丸形のものを使用した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造し、96dtex、52フィラメントのナイロン6黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の、カーボンブラックの粒度分布は65%、平均粒径は0.9μmであった。また、製糸性、カーボンブラック含有量、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、インナーを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、捲縮特性、インナーのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表1に示す。
(参考例)〔実施例11〕
紡糸口金のホール数が130、丸形のものを使用した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造し、96dtex、130フィラメントのナイロン6黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の、カーボンブラックの粒度分布は66%、平均粒径は0.9μmであった。また、製糸性、カーボンブラック含有量、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、インナーを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、捲縮特性、インナーのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表1に示す。
(参考例)〔実施例12〕
紡糸口金のホール数が20、丸形のものを使用した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造し、96dtex、20フィラメントのナイロン6黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の、カーボンブラックの粒度分布は66%、平均粒径は0.9μmであった。また、製糸性、カーボンブラック含有量、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、インナーを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、捲縮特性、インナーのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例13〕
ベースポリマーのポリアミドとして、硫酸相対粘度(ηr)が2.8、酸化チタン含有量0.02質量%のナイロン66チップを水分率0.03質量%以下となるよう常法にて乾燥した。
マスターチップとしてベースポリマーのナイロン66チップにDBP給油量180ml/100gのファーネス法カーボンブラックを含有量が15質量%となるように混練し、30μmカットのフィルターを設置しマスターチップを製造し、水分率1100ppm以下となるよう常法にて乾燥した。得られたカーボンブラック含有のナイロン66マスターチップとカーボンブラックを含有しないベースポリマーのナイロン66チップを、1:4の割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が3質量%)し、290℃の溶融温度で溶融し、サンドメッシュ120および20μmカットの金属フィルターを設置した紡糸パックで濾過を施し、紡糸温度290℃にて紡糸口金より吐出させた以外は実施例1と同様の方法でナイロン66黒原着糸を製造し、96dtex、68フィラメントのナイロン66黒原着糸を得た。得られた黒原着糸の、カーボンブラックの粒度分布は66%、平均粒径は0.9μmであった。また、製糸性、カーボンブラック含有量、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表1に示す。
得られたナイロン66黒原着糸を用いて、仮撚糸、インナーを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、捲縮特性、インナーのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表1に示す。
Figure 0006314405
〔比較例1〕
5μmカットの金属フィルターを設置した紡糸パックで濾過を施した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、カーボンブラックの粒度分布は45%、平均粒径は0.3μmであった。また、製糸性、カーボンブラック含有量、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表2に示す。
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、インナーを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、捲縮特性、インナーのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表2に示す。
〔比較例2〕
サンドメッシュ46および30μmカットの金属フィルターを設置した紡糸パックで濾過を施した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、カーボンブラックの粒度分布は42%、平均粒径は0.3μmであった。また、製糸性、カーボンブラック含有量、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表2に示す。
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、インナーを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、捲縮特性、インナーのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表2に示す。
〔比較例3〕
カーボンブラック含有のナイロン6マスターチップとナイロン6チップを、3:97の割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が0.5質量%)した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、カーボンブラックの粒度分布は66%、平均粒径は0.9μmであった。また、製糸性、カーボンブラック含有量、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表2に示す。
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、インナーを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、沸騰水収縮率、捲縮特性、インナーのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表2に示す。
〔比較例4〕
カーボンブラック含有のナイロン6マスターチップとナイロン6チップを、47:53の割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が7質量%)した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、カーボンブラックの粒度分布は65%、平均粒径は1μmであった。また、製糸性、カーボンブラック含有量、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表2に示す。
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、インナーを実施例1と同様の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、沸騰水収縮率、捲縮特性、インナーのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表2に示す。
〔比較例5〕
ポリアミドとして、硫酸相対粘度(ηr)が2.6、酸化チタン含有量0.02質量%のナイロン6チップのみを用いた(カーボンブラック含有量が0質量%)以外は、実施例1と同様の方法でナイロン6糸を製造した。得られたナイロン6糸の、製糸性、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表2に示す。
得られたナイロン6糸を用いて、仮撚糸を実施例1と同様の方法で製造した。また、実施例1と同様に編地を編成し、得られた編物を、精練、190℃で中間セットを行い、酸性染料(Nylosan Blue N−GFL 167% サンドス社製)1重量%を用いて98℃×60分染色処理を行い、160℃でファイナルセットして編地、インナーを製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、捲縮特性、インナーのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表2に示す。
〔比較例6〕
ベースポリマーのポリアミドとして、硫酸相対粘度(ηr)が3.5のナイロン6チップを水分率0.03質量%以下となるよう常法にて乾燥した。
マスターチップとして、ベースポリマーのナイロン6チップにDBP給油量150ml/100gのチャンネル法カーボンブラックを含有量15質量%、ヨウ化銅0.15質量%、2−メルカプトベンズイミダゾール0.5質量%となるように2軸混練機で混練し、30μmカットのフィルターを通過後、吐出を行うようにして、マスターチップを製造し、水分率300ppm以下となるよう常法にて乾燥した。得られたカーボンブラック含有のナイロン6マスターチップとカーボンブラックを含有しないベースポリマーのナイロン6チップを、1:4の割合でブレンド(黒原着糸内のカーボンブラック含有量が3質量%、ヨウ化銅0.03質量%、イミダゾール化合物0.1質量%)し、20μmカットの金属フィルターのみを設置した紡糸パックで濾過した以外は実施例1と同様の方法でナイロン6黒原着糸を製造した。得られた黒原着糸の、カーボンブラックの粒度分布は46%、平均粒径は0.4μmであった。また、製糸性、カーボンブラック含有量、繊度、強度、伸度について評価した。その結果を表2に示す。
得られたナイロン6黒原着糸を用いて、仮撚糸、インナーを実施例1と同等の方法で製造した。得られた仮撚糸の繊度、強度、伸度、捲縮特性、インナーのソフト性、色目、ピリング性について評価した。その結果を表2に示す。
Figure 0006314405
表1(実施例1〜10)の結果から、本発明のポリアミド黒原着糸は、カーボンブラック含有量、粒度分布を最適化することにより、柔らかい風合い(ソフト性)を持ち、深い黒発色(色目)、耐久性(ピリング性)の良好なインナーが得られることがわかる。実施例13はナイロン66を用いた事により、ナイロン6に比べ製糸時の糸切れが若干低下したことがわかる。これにより、インナーとしたときに、原糸の毛羽が混入し、製品品位は若干低下した。
比較例1は、小さい粒度が多く粒度分布が50%未満のカーボンブラックのため、光が透過しやすく白っぽくなり、深い黒発色(色目)に劣るものであった。
比較例2は、大きい粒度が多く粒度分布が50%未満のカーボンブラックのため、紡糸パック内の濾過圧の上昇が大きく、パックライフが短くなるばかりでなく、糸切れも頻発し製糸性に劣る結果であった。また、得られたナイロン黒原着糸の強度が、1.5cN/dtexと低い値となり、耐久性(ピリング性)にやや劣るものであった。
比較例3は、カーボンブラック含有量が少ないことにより、光が透過しやすく白っぽくなり、深い黒発色(色目)に劣るものであった。
比較例4は、カーボンブラック含有量が多いことにより、紡糸パック内の濾過圧の上昇が大きく、パックライフが短くなるばかりでなく、糸切れも頻発し製糸性に劣る結果であった。また、得られたナイロン黒原着糸の強度が、0.9cN/dtexと低い値となり、耐久性(ピリング性)にやや劣るものであった。
比較例5は、従来のインナーであり、黒染色を施している。柔らかい風合いは得られるものの、光の乱反射により白っぽくなり、深い黒発色(色目)に劣るものであった。
比較例6は、小さい粒度が多く粒度分布が50%未満のカーボンブラックのため、光が透過しやすく白っぽくなり、深い黒発色(色目)に劣るものであった。
また、本発明のポリアミド黒原着糸を用いたインナーは、黒染色を施していないため、染色工程の加工賃を省くことができコストダウンを可能とするだけでなく、環境負荷の少ないものとなった。加えて、深い黒発色(色目)の良好なものであった。

Claims (4)

  1. カーボンブラックを1〜5質量%含有し、ポリアミド中のカーボンブラックの粒度分布として、長径0.5〜1.5μmが全体の50%以上であり、単糸繊度が0.8〜2dtexであることを特徴とするポリアミド黒原着糸。
  2. ポリアミドがナイロン6であることを特徴とする請求項1載のポリアミド黒原着糸。
  3. 請求項1または2記載のポリアミド黒原着糸を仮撚加工してなる仮撚糸。
  4. 請求項1または2記載のポリアミド黒原着糸、請求項記載の仮撚糸の少なくとも一種を用いたインナーウエア。
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