JP2009215659A - ポリアミドマルチフィラメントおよび布帛 - Google Patents

ポリアミドマルチフィラメントおよび布帛 Download PDF

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和誉 片山
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Abstract

【課題】本発明の課題は、産業資材用途に好適な難燃性に優れた高強度のポリアミドマルチフィラメント及びそれを用いたポリアミド布帛を提供することにある。
【解決手段】
カップリング剤により表面処理を施されたメラミンシアヌレートを含有することを特徴とするポリアミドマルチフィラメントであり、平均粒径が0.1〜2μmであるメラミンシアヌレートをポリアミド100重量部に対して3〜11重量部含有し、強度が5〜9.5cN/dtexであることを特徴とすることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は表面処理を施されたメラミンシアヌレートを含有したポリアミドマルチフィラメントに関するものであり、更に詳しくはハロゲン化合物を含有しておらず、柔軟性、軽量性、難燃性に優れ、且つフィッシュアイの発生が少ない産業資材用途に好適な高強度のポリアミドマルチフィラメント、およびそれを用いてなるポリアミド布帛に関するものである。
産業資材用途では、高強力、強靱性、耐久性、耐アルカリ性等を必要とする用途にポリアミド繊維が用いられてきた。その中でも陸上用ネットや配線・ケーブル・コネクター類の結束・保護等を目的としたチュービング材等の用途では火災時の延焼を防ぐことを目的として、難燃性が求められている。難燃性を付与する方法としては、製網・製織後の繊維製品にポリ塩化ビニルや尿素系樹脂等を付与する方法が以前より提案されているものの、後加工による難燃化では重量が増加し、ポリアミド繊維のもつ軽量性が損なわれてしまうばかりか、屋外用途では紫外線・酸性雨等の影響により経時的に難燃効果が減少する(樹脂劣化が発生する)という問題を有していることから、原糸への難燃化が求められていた。
衝撃吸収性や耐磨耗性に優れたポリアミド繊維に難燃性を付与する技術に関しては、従来からよく知られているが、産業資材用途として機械的特性及び難燃性が満足されたポリアミド繊維については、未だに実現していないのが現状である。
繊維に難燃性を付与する方法として特許文献1にはポリアミドの本来の諸特性を損なうことなく優れた難燃性の付与された難燃性ポリアミド繊維を得る技術が開示されている。特許文献1に記載の発明は、ポリアミド97〜85重量%とメラミンシアヌレ−ト3〜15重量%とからなり、該メラミンシアヌレ−トの約100重量%が30μ以下且つ80重量%以上が7μ以下の粒径でポリアミド中に分散されてなるポリアミド組成物からなる単糸径10〜100μの難燃性繊維とすることによって達成されるとしている。しかしながら、繊維中に分散しているメラミンシアヌレ−トの粒子径が30μ以下且つ80重量%以上が7μ以下であるため、異物効果により強度が大幅に低下するという問題を有していた。その結果として、特許文献1に記載の方法によって得られる難燃性ポリアミド繊維の強度は、実施例によれば、高々4.5〜4.9g/dであり、産業資材用繊維として求められる強度としては不十分であった。
また特許文献2には限界酸素指数(LOI)が24〜35で、繊度200〜5000dtex、強度5.0〜9.0cN/dtexであるポリアミドマルチフィラメントを得る技術が開示されている。特許文献2に記載の発明では粒子径が0.1〜5μmであるトリアジン系化合物を0.5〜3.0重量%含有することにより、強度5.0〜9cN/dtexのポリアミドフィラメントが得られるとしている。特許文献2に記載の発明は粒子の二次凝集を防ぐために添加濃度の制御およびポリマ溶融状態でのポリマ流の再配列制御などによって、粒子を高度に微分散化させようとするものである。しかし特許文献2に記載の発明では求められる分散性を得るために、トリアジン系化合物の含有量を0.5〜3.0重量%とする必要があり、難燃性を十分に満足させるものではなかった。さらに、実施例ではメラミンシアヌレートの微分散化を行なうために、スタティックミキサーを配管内に設置しているが、スタティックミキサーを用いることにより、異常滞留が発生しやすくなり、ポリアミドポリマのゲル化に伴う製糸性不良が起こるといった問題を有していた。
さらに特許文献3には相対粘度2.0〜4.0のポリアミド樹脂98〜80重量部及びトリアジン系難燃剤2〜20重量部を配合したポリアミド樹脂組成物用いてなるポリアミドフィラメントを得る技術が開示されている。特許文献3に記載の発明ではポリアミドフィラメント中に分散しているトリアジン系難燃剤の平均粒径が5μm未満であることにより、酸素指数が27以上のポリアミドフィラメントを得られるとしている。しかしながら、実施例で使用されている粒子は平均粒径として2.5μmまでであり、粒子の微分散化が効率的でないため、得られる強度は高々4.4cN/dtexであり、産業資材用繊維として求められる強度としては不十分であった。
特開昭56−107012号公報(特許請求の範囲) 特開2006−37317号公報(特許請求の範囲) 特開2002−173829号公報(特許請求の範囲)
本発明の課題は、産業資材用途に好適な難燃性に優れた高強度のポリアミドマルチフィラメント及びそれを用いたポリアミド布帛を提供することにある。
本発明は、上述した従来技術における問題の解決を課題として検討した結果、達成したものであり、本発明によれば、カップリング剤により表面処理を施されたメラミンシアヌレートを含有することを特徴とするポリアミドマルチフィラメントが提供される。
なお、本発明のポリアミドマルチフィラメントにおいては、平均粒径が0.1〜2.0μmであるメラミンシアヌレートを3〜14重量部含有し、強度が5.0〜9.5cN/dtexであること、単糸1mm当たりのフィッシュアイ発生個数が5個以内であること、カップリング剤がシランカップリング剤であることがいずれも好ましい条件として挙げられる。
本発明は表面処理を施されたメラミンシアヌレートを含有したポリアミドマルチフィラメントに関するものであり、更に詳しくはハロゲン化合物を含有しておらず、柔軟性、軽量性、難燃性に優れ、且つフィッシュアイの発生が少ない産業資材用途に好適な高強度のポリアミドマルチフィラメント、およびそれを用いてなるポリアミド布帛に関するものである。
以下に、本発明を具体的に説明する。
本発明の繊維は、様々な産業資材用繊維に求められている高強度、強靱性、柔軟性、軽量性等の特徴を得るために、ポリアミドマルチフィラメントであることが必要である。
本発明におけるポリアミドとしては、アミノカルボン酸やそのラクタムから重縮合されるナイロン4、ナイロン6、ナイロン11や、ジカルボン酸とジアミドの重縮合で得られるポリナイロン4−6、ナイロン6−6、ナイロン6−10等の公知のポリアミド等を用いることができる。また、ポリアミドマルチフィラメントには発明の効果を阻害しない範囲、好ましくは10重量部以下であれば、共重合化合物や異種ポリマ等を含有しても良いし、各種の耐熱剤、耐光剤、防炎剤、顔料、難燃剤、艶消剤、滑剤等の添加剤を用いても良い。
耐熱剤としては銅化合物、アミン化合物、メルカプト化合物、リン系化合物、ヒンダードフェノール化合物、ハロゲン化合物、ハロゲン化アルカリ金属、ハロゲン化アルカリ土類金属等があげられるが、これに限られるものではなく、また、これらを2種類以上組み合わせたものでも良い。銅化合物としては沃化銅、臭化銅、塩化銅、酢酸銅等が例示できる。アミン系化合物としては、N, N' −ジフェニル−p−フェニレンジアミン、ジアリル−p−フェニレンジアミン、ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン等を例示することができ、メルカプト化合物としては2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトチアゾールが例示でき、リン系化合物としてはステアリルフォスフェート、亜リン酸またはその塩等の有機・無機リン酸等を例示できるがこれらに限られるものではない。耐熱剤の化合物添加量としては300〜3000ppmであることが、熱酸化劣化防止性および製糸性の観点から好ましい。
本発明のポリアミドマルチフィラメントの単糸断面は、丸断面以外にも、異型断面であっても良く、異形断面形状としては扁平型、三角型、C型、Y型、団子型、中空型、あるいはそれらの組合せ等を例示することができるがこれに限られるものではない。
本発明のポリアミドマルチフィラメントは、産業資材用繊維として高強度であることが必要なため、高粘度ポリマが用いられる。硫酸相対粘度が3〜5であることが好ましく、3.5〜4.5の高粘度ポリマであることがより好ましい。3未満では高強度繊維が得ることが困難である。一方、5を越えると、製糸しにくく、3000m/分以上の製糸速度では糸切れや毛羽の少ない安定な製糸が困難である。
本発明に用いられるメラミンシアヌレートはカップリング剤にて表面処理が施されていることが特に重要である。カップリング剤は予めメラミンシアヌレートに表面処理しておいてもよいし、該ポリアミドマルチフィラメントを製造する時点で付与してもよいが、カップリング剤の作用機構を最も効率的とするために、予めメラミンシアヌレートに表面処理を施すことが好ましい。
表面処理をメラミンシアヌレートに施すことにより、樹脂との濡れ性が改善し、粒子の再凝集が抑制される。さらに樹脂中にメラミンシアヌレートを高濃度添加した場合においても、粒子の分散性が良好であり、濡れ性不足、粗大粒子により発生するフィッシュアイを抑制し、産業資材用繊維に求められる高強度化の達成に大きく寄与する。
予めメラミンシアヌレートに表面処理する方法としては、ヘンシェルミキサー等の攪拌型やボールミル、ジェットミル、媒体攪拌型超微粉砕機等の粉砕型が上げられ、媒体攪拌型量微粉砕機のような粉砕、混合能力の大きい粉砕機、攪拌機を用いることが好ましい。また、ポリアミドマルチフィラメントを製造する際に付与する場合は、ポリアミドの末端基であるカルボキシル基やアミノ基と化学的に反応することが出来るカップリング剤が好ましい。
カップリング剤としてはシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤等いずれを使用してもよいが、ポリアミドへの分散性効果が高いシラン系カップリング剤が特に好ましい。カップリング剤の含有量はメラミンシアヌレート100重量部に対して0.05〜2重量部であることが好ましい。含有量が0.05重量部未満では、粒子表面を均一に皮膜することができないだけでなく、メラミンシアヌレートとポリアミドとの濡れ性、混和性が充分でないため物性の向上効果がほとんどない。また、2.0重量部を超えると、物性改良効果が限界になり経済的でなく、経済的ではない。
本発明のポリアミドマルチフィラメントは、ポリアミド100重量部に対してメラミンシアヌレートを3〜14重量部含有することが好ましく、4〜12重量部含有することがより好ましい。メラミンシアヌレートの含有量が3重量部以下の場合は難燃性が低く、所望の特性を得ることが出来ない。また、14重量部以上ではポリアミドマルチフィラメントの機械的特性が大幅に低下し、産業資材用途に必要な物性を満足することが困難となる。また、ポリマ中の粒子頻度が高くなることにより、二次凝集が形成され易く、ポリアミドマルチフィラメントの強度が低下する。
また、メラミンシアヌレートは平均粒径が0.1〜2μmであることが好ましく、0.3〜1.5μmであることがより好ましい。平均粒径が2μm以上では最大粒径が5〜10μm程度の粒子が存在する可能性が高いため、単糸径が小さいマルチフィラメント中でメラミンシアヌレートが異物となり、得られる繊維の強度が低下する。一方、平均粒子径が0.1μm以下のメラミンシアヌレートは工業的に安価に製造することが困難であるだけでなく、小径化に伴い嵩比重が大きくなり、多量のメラミンシアヌレートを樹脂に練り込むことが困難となる。
また本発明のポリアミドマルチフィラメントは強度が5〜9.5cN/dtexであることが好ましく、5〜8cN/dtexであることがより好ましい。強度が5cN/dtex以上であれば、資材用繊維としての強度が十分となる。強度に特に上限は無いが、強度が9.5cN/dtexを超える繊維を安価に得ることは現在の技術では困難である。
本発明で得られるポリアミドマルチフィラメントは単糸1mm当たりのフィッシュアイ発生個数が5個以内であることが好ましく、3個以内であることがより好ましい。フィッシュアイとは、ポリマ中に生じる小さな球状の塊をいう。魚の眼のような透明性をもつものが多いことからこのような名前が付けられた。原料の未溶融物の塊、ゲル化した原料の塊、異物を核としたものなどいろいろなものがある。粒子分散系ポリマにおいてはポリマと粒子の濡れ性が低い場合や粒子径が大きい場合(二次粒子径を含む)に発生する。フィッシュアイの発生個数が5個以上の場合は強度が著しく低下する。なお、前記の通り、本発明に用いられる表面処理を施したメラミンシアヌレートは樹脂との濡れ性、粒子間の凝集を抑えることで、繊維中における粒子の分散性が向上しているおり、フィッシュアイの抑制と高強度化に大きく寄与している。
次に、本発明のポリアミドマルチフィラメントの製造方法の一例を説明するが、ポリアミドマルチフィラメントの製造方法はこれに限られるものではない。
ポリアミドは前記した高粘度のポリアミドチップを用いることが好ましい。ポリアミドと該メラミンシアヌレートの混合は、該ポリアミドの重縮合完了直後から該ポリアミドが紡糸口金から紡出されるまでの任意の段階で行うことができる。例えば、重縮合が完了した直後に重合缶で、溶融状態のポリアミドに難燃剤等を添加・混練し、常法によりチップ化した後固相重合し、次いでエクストル−ダー式紡糸機で溶融紡糸・延伸する方法、あるいは乾燥したポリアミドチップに、難燃剤等を混練して溶融紡糸・延伸する方法、あるいは、予め難燃剤等を高濃度含有させたマスタ−チップを製造し、該マスタ−チップとポリアミドチップを混合しながら溶融紡糸・延伸する方法等がある。また、銅化合物や原着用顔料を混合してもよく、この工程についてもポリアミドチップの重縮合完了直後から該ポリアミドマルチフィラメントを紡糸するまでの任意の段階で行なうことができる。
溶融ポリマは紡糸口金に送られ紡糸される。紡糸した糸条は、冷風等の冷却装置にて冷却・固化した後に油剤を付与され、300〜2000m/分で回転する引き取りローラに捲回して一旦巻き取った後、もしくは連続して1段以上で熱延伸を施し、巻取り機にて巻取る。延伸倍率は、2.5〜7倍の範囲でそれぞれ行い、上記したポリアミドマルチフィラメントの物性となるよう製造する。かくして、本発明のポリアミドマルチフィラメントが得られる。
上記得られたポリアミドマルチフィラメントは、常法により、布帛に製織する。メッシュシ−トに製織して養生ネット、平織に製織してタ−ポリンやテント、ラッセル網、無結節網地、蛙又結節網地に製織して安全ネットやスポ−ツ用ネット、果樹ネット等に用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。本発明における各特性の定義及び測定方法は以下の通りである。
(1)繊度
JIS L−1013(1999)8.3.1正量繊度a)A法に従って、所定荷重5mN/tex×表示テックス数、所定糸長90mで測定した。
(2)単糸繊度
繊度をフィラメント本数で、徐して求めた。
(3)強度・伸度
試料を気温20℃、湿度65%の温調室において、オリエンテック社製“テンシロン”(TENSILON)UCT−100でJIS L1013(1999)8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。試長250mm、引張速度300mm/minの条件で測定を行った。試験回数は10回であった。なお、伸度はS−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。強度は強力を測定した試料の総繊度で除した値である。
(4)硫酸相対粘度
ポリマ試料を98%硫酸に1重量%の濃度で溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定し、次式に従い求めた。
硫酸相対粘度(ηr)=(試料溶液の滴下秒数)/(硫酸溶液滴下秒数)
各サンプルにつき2回の測定をおこない、その平均値を採用した。
(5)製糸糸切れ
ポリアミドマルチフィラメント糸条を得るときの1糸条1t当たりの製糸糸切れ回数の測定を5回行い、その平均をもって評価した。
(6)メラミンシアヌレートの平均粒径
0.025%ヘキサメタリン酸ナトリウム50gに0.5gのメラミンシアヌレートを入れ、超音波分散を2分間行なった後、粒度分布測定機(SK Laser Micron Sizer:セイシン企業製)を用いて、平均粒径を求めた。
(7)フィッシュアイ発生個数
ポリアミドマルチフィラメントの側面を(株)ニコン製“ECLIPSE E600W POL”偏光顕微鏡を用いて、5箇所の任意の場所にて撮影した写真によって、繊維側面1mm当たりに発生している10μm以上のフィッシュアイ発生個数を数え、フィッシュアイ発生個数の平均をもって評価した。
(8)難燃性(接炎回数)
JIS L1091(2002)繊維製品の燃焼性試験方法D法(接炎試験)によって筒編み機により作製されたサンプルの接炎回数を測定した。接炎回数が3回以上であれば必要とされる難燃性を満足する。
(9)カップリング剤の含有量
下記の計算式に基づき算出した。
(a−b)/b*100=C
a:カップリング剤処理済みのメラミンシアヌレート重量
b:カップリング剤処理前のメラミンシアヌレート重量
C:カップリング剤含有量(重量部)
[実施例1]
ε−カプロラクタムを体積500Lのオートクレーブに仕込み、内圧10kg/cmで270℃まで昇温した後、内温を245℃で1時間保ち、攪拌しながら0.5kg/cmまで1時間かけて減圧して攪拌を停止した。窒素で常圧に戻した後、ストランドにして抜き出し、ペレット化し、沸騰水を用いて未反応物を抽出除去して乾燥した。該ペレットを固相重合することにより、硫酸相対粘度3.8のナイロン6ポリマを得た。
一方、粒子への表面処理は、媒体攪拌型微粉砕機(日本アイリッヒ製)を用いて、粉砕機内に平均粒径が0.8μmであるメラミンシアヌレート(日産化学性:MC−600)を投入し、メタノールに溶かしたシラン系カップリング剤N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製「KBM603」)をスプレー噴射することにより表面処理を行い、平均粒径が0.5μmである表面処理を施したメラミンシアヌレートを得た。その際、シラン系カップリング剤の添加量はメラミンシアヌレートに対して1.5重量部とした。
上記粘度のナイロン6ポリマ72重量%に対して、表面処理を施された平均粒径0.5μmのメラミンシアヌレート25重量%およびカーボンブラック3重量%をタンブラー中で混合し、得られた混合物を2軸押出器に投入した。2軸押出機のシリンダー温度は、220℃とし、その他は230℃とした。押出されたストランドは、冷却水槽で冷却されつつ引き取られながら、ストランドカッターで切断されて、ペレットとした。得られた難燃性ナイロン6マスターチップは、水分率0.03%に乾燥した。
上記のナイロン6ポリマと難燃性ナイロン6マスターチップを計量器で連続的に計量しながら4対1の割合で260℃の1軸エクストルーダー式押出機に連続的に供給し連続的に溶融した。溶融したポリマは260℃の配管を通り、紡糸パックに導いた。パック内では30ミクロンカットのフィルターを通過し、孔径0.5mm孔長1.1mmの単孔が196個開けられた口金より押し出した。口金下には長さ20cm、290℃の加熱筒を設けた。環状チムニーを用いて30℃の冷風を30m/minの速度で固化させた後、油剤ローラにて油剤を付与した。
油剤を付与した糸条を室温で速度500m/分の第1ロールで巻き取った後、連続して延伸工程に供した。
第1ロールで巻き取られた糸条を55℃で速度525m/分の第2ロール、90℃で速度1500m/分の第3ロール、155℃で速度1800m/分の第4ロール、194℃で速度2250m/分の第5ロール、130℃で速度2150m/分の第6ロールに連続して通すことで延伸し、1600dtex−196filのポリアミドマルチフィラメントを得た。得られたポリアミドマルチフィラメントの特性を表1に示した。得られたポリアミドマルチフィラメントを筒編み機にて筒編みサンプルを作成し、燃焼性試験を行なった。
得られた繊維の強度は6.0cN/dtex、フィッシュアイ発生個数は1.2個、製糸糸切れは1.0回/t、筒編みサンプルの接炎回数は3回であり、強度、製糸性、難燃性に優れるものであった。
[実施例2〜5]
実施例2はナイロン6ポリマと難燃性ナイロン6マスターチップとを6:1の比率で混合して紡糸工程に供したこと、実施例3はナイロン6ポリマと難燃性ナイロン6マスターチップとを3:1の比率で混合して紡糸工程に供したこと、実施例4はナイロン6ポリマと難燃性ナイロン6マスターチップとを11:1の比率で混合して紡糸工程に供したこと、実施例5はナイロン6ポリマと難燃性ナイロン6マスターチップとを1:1の比率で混合して紡糸工程に供したこと以外は、実施例1と同様に行い、結果を表1に示した。
実施例2で得られた筒編みサンプルの接炎回数は2回とJISの難燃性基準はクリアしておらず、実施例1に比べて劣るものであった。しかし、繊維は強度6.5cN/dtex、フィッシュアイ発生個数は0.8個、製糸糸切れ回数は0.7回/tであり、実施例1に比べて高強度であった。
実施例3で得られた繊維は、強度5.7cN/dtex、フィッシュアイ発生個数は2.8個、製糸糸切れ回数は1.6回/tであり、実施例1に比べて劣るものの、筒編みサンプルの接炎回数は4回と実施例1に比べて難燃性が優れるものであった。
実施例4で得られた筒編みサンプルの接炎回数は2回であったが、繊維は強度7.0cN/dtex、フィッシュアイ発生個数は0.6個、製糸糸切れ回数は0.4回/tであり、実施例1に比べて高強度であった。
実施例5で得られた繊維は、難燃剤濃度が実施例1の2.5倍と高濃度であるため、強度が4.9cN/dtexと低いものの、筒編みサンプルの接炎回数は4回と実施例1に比べて難燃性に優れるものであった。
Figure 2009215659
[実施例6]
難燃性ナイロン6マスターチップ作成時に表面処理が施された平均粒径が1.7μmであるメラミンシアヌレートを用いた以外は、実施例1と同様に行い、結果を表2に示した。
得られた繊維は、強度5.4cN/dtex、フィッシュアイ発生個数は3.4個であり、実施例1に比べて劣るものの、難燃性はJIS規格をクリアするものであった。
[実施例7]
難燃性ナイロン6マスターチップ作成時に表面処理が施された平均粒径が3.5μmであるメラミンシアヌレートを用いた以外は、実施例1と同様に行い、結果を表2に示した。
難燃剤の平均粒径が3.5μmであるため、得られた繊維の強度は4.8cN/dtexと低いものの、難燃性はJIS規格をクリアするものであった。
[実施例8]
媒体攪拌型微粉砕機にて表面処理する際のカップリング剤としてイソプロピルトリイソステアロイルチタネート(味の素株式会社製「プレンアクトKRTTS」)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、結果を表2に示した。
得られた繊維の強度は5.7cN/dtex、フィッシュアイ発生個数は7.2個と実施例1に比べると劣るものであった。これは該カップリング剤がナイロン6樹脂に対して界面改質効果が低いためであると考えられる。なお、難燃性については実施例1と同等であった。
[比較例1]
カップリング剤による表面処理を施さなかった以外は、実施例1と同様に行い、結果を表2に示した。
得られた繊維はメラミンシアヌレートの分散性が表面処理を施したものに比べ劣っており、強度5.6cN/dtex、フィッシュアイ発生個数は8.4個、製糸糸切れ回数は3.4回/tであり、実施例1に比べて劣るものであった。
[比較例2]
カップリング剤による表面処理を施さなかったこと、ナイロン6ポリマと難燃性ナイロン6マスターチップとを1:1の比率で混合して紡糸工程に供したこと以外は、実施例1と同様に行い、結果を表2に示した。
サンプリングは可能であったものの、難燃剤濃度が高いこと、及びポリマとメラミンシアヌレートの濡れ性が低いことにより、強度低下が大きく、フィッシュアイの発生も多かった。
[比較例3]
難燃性ナイロン6マスターチップ作成時に表面処理が施されていない平均粒径が3.5μmであるメラミンシアヌレートを用いた以外は、実施例1と同様に行い、結果を表2に示した。
サンプリングは可能であったが、難燃剤濃度がこと、およびメラミンシアヌレートの濡れ性が低いことにより、強度低下が大きく、フィッシュアイの発生も多かった。
Figure 2009215659

Claims (5)

  1. カップリング剤により表面処理を施されたメラミンシアヌレートを含有することを特徴とするポリアミドマルチフィラメント。
  2. 平均粒径が0.1〜2μmであるメラミンシアヌレートをポリアミド100重量部に対して3〜14重量部含有し、強度が5〜9.5cN/dtexであることを特徴とする請求項1に記載のポリアミドマルチフィラメント。
  3. 単糸1mm当たりのフィッシュアイ発生個数が5個以内であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミドマルチフィラメント。
  4. カップリング剤がシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミドマルチフィラメント。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミドマルチフィラメントを用いることを特徴とする布帛。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015071839A (ja) * 2013-10-02 2015-04-16 東レ株式会社 ポリアミド黒原着糸、仮撚糸およびそれよりなるインナーウエア
CN113039313A (zh) * 2018-11-21 2021-06-25 东丽株式会社 聚酰胺复丝和包芯弹力纱

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JP2015071839A (ja) * 2013-10-02 2015-04-16 東レ株式会社 ポリアミド黒原着糸、仮撚糸およびそれよりなるインナーウエア
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