JP2007254915A - 難燃性に優れたメタ型芳香族ポリアミド繊維 - Google Patents

難燃性に優れたメタ型芳香族ポリアミド繊維 Download PDF

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靖重 矢倉
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Abstract

【課題】難燃性を改善したメタ型全芳香族ポリアミド繊維を提供する。
【解決手段】メタ型全芳香族ポリアミド重量を基準として、層状粘土鉱物0.1〜10重量部を配合した繊維であって、残存する溶媒量が1.0wt%以下である難燃性に優れたメタ型芳香族ポリアミド繊維。メタ型全芳香族ポリアミドに層状粘土鉱物を配合すると凝固糸条からの脱溶媒効果が向上し、残存溶媒が1%以下となる結果、難燃剤なしでも難燃効果の良好な全芳香族ポリアミド繊維が得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性の改善されたメタ型全芳香族ポリアミド繊維に関するものである。さらに詳しくは、層状粘土鉱物を配合した繊維中に残存する溶媒量が1.0%以下である、残存溶媒の少ない新規な難燃性メタ型全芳香族ポリアミド繊維に関するものである。
従来、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸ジハライドとから製造される全芳香族ポリアミドが耐熱性及び難燃性に優れていることは周知であり、また、これらの全芳香族ポリアミドはアミド系極性溶媒に可溶であり、全芳香族ポリアミドを該溶媒に溶解した重合体溶液から乾式紡糸、湿式紡糸、半乾半湿式紡糸等の方法により繊維となし得ることもよく知られている。これら全芳香族ポリアミドのうち、ポリメタフェニレンイソフタルアミドで代表されるメタ型全芳香族ポリアミド(「メタアラミド」と称されることもある)の繊維は、耐熱・難燃性繊維として特に有用なものであり、これらの特性を発揮する分野、例えば、フィルター、電子部品等の産業用途や、耐熱性、防炎性、耐炎性が重視される防護衣等の防災安全衣料用途等に用いられている。
なかでも、防護衣は、溶鉱炉、電気炉、焼却炉等の高温炉前で着用する防護衣、消火作業に従事する人のための消防衣料、高温火花を浴びる溶接作業用の溶接防護衣、引火性の強い薬品を取り扱う人のための難燃作業服等として幅広く使用されている。これは、メタ型全芳香族ポリアミド繊維がその優れた耐熱性、難燃性、自己消化性に加えて、一般的糸質が衣料用繊維、例えば綿、羊毛等の天然繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル等の合成繊維によく似ているため、加工性、着心地、洗濯性、衣裳性等の面で、従来防護衣に使用されていたガラス繊維、石綿繊維、フェノール樹脂繊維、金属箔コーティング素材等よりも防護衣素材として優れていることが認められている。
メタ型全芳香族ポリアミド繊維は、その製造プロセスにアミド系有機溶媒を使用することが一般的であり、このことにより繊維中にアミド系溶媒が残留することが知られており、現在の製造方法では残留溶媒を低減する効果的な提案が為されていない。
また、繊維中に溶媒が残留することにより、本来メタ型全芳香族ポリアミドが有している難燃性が充分に発揮できず、難燃性に劣るものしか得られないという欠点を有している(下記特許文献1〜9参照)。
かように難燃性に限界があるため、消火活動・人命救助活動の範囲にも限界が生じている。したがって、メタ型全芳香族ポリアミド繊維製の防護衣素材の難燃性が飛躍的に向上すれば、例えば消火活動において、火災の進行状況に拘らず火災現場内部へ進入して早期の消火・救出活動を可能とすることや、最盛期の火災であっても火元に接近して直接注水して早期に消火することが可能となる。もしそうなれば、消火活動における水損を大幅に低減すること、救助の迅速・早期化が実現できること、消防隊員の安全性が向上すること等のメリットが期待される。
このため、メタ型全芳香族ポリアミド繊維製の防護衣素材としての難燃性能を向上させるには、残留溶媒量を低減することが望ましいと言えよう。
従来から、全芳香族ポリアミド繊維の難燃性を改善するため、ポリマーに有機リン化合物、含リンフェノール樹脂、ハロゲン化合物等を添加する方法が提案されており、ハロゲン原子含有の有機リン化合物を配合して難燃性を改善する方法が提案されている(下記特許文献10参照)。しかし、これらは低分子量の有機化合物であるため、繊維成形加工時にその一部が排出・脱落されてしまう傾向があり、さらにはハロゲン含有の為に環境問題を危惧した近年の脱ハロゲン化の動きに逆効することになる。
特公昭35−14399号公報 特公昭47−10863号公報 特公昭48−17551号公報 特開昭50−52167号公報 特開昭56−31009号公報 特開平8−74121号公報 特開平10−88421号公報 特開2000−303365公報 特開2001−348726公報 特開昭53−122817号公報
本発明は、上記のごとき従来技術の問題を解消するためになされたもので、その1つの目的は、難燃剤を配合することなく、難燃性に優れた低収縮性メタ型全芳香族ポリアミド繊維を提供することにある。
本発明によれば、上記の課題を解決するメタ型全芳香族ポリアミド繊維として、メタ型全芳香族ポリアミド重量を基準にして0.1〜10重量%の層状粘土鉱物を含有するメタ型全芳香族ポリアミド繊維であって、この繊維中に残存する溶媒量が1.0%以下であることを特徴とする難燃性メタ型全芳香族ポリアミド繊維が提供される。
この繊維においては、組成に含まれる層状粘土鉱物の平均層厚みが10〜500nmであること、また、層状粘土鉱物の分散性(Y)が0.1〜40であることが、残留溶媒量の少ない難燃性に優れた低収縮性メタ型全芳香族ポリアミド繊維を与えるに必要となる。
すなわち、請求項1に関わる発明は、メタ型全芳香族ポリアミド100重量(基準)として、これに層状粘土鉱物0.1〜10重量部を含有せしめた繊維であって、該繊維中に残存する溶媒量が1.0%以下であること特徴とする難燃性メタ型全芳香族ポリアミド繊維である。
メタ型全芳香族ポリアミド繊維は凝固せしめた後、脱溶媒の際に、配合された層状の粘土鉱物の存在によって、メタ型全芳香族ポリアミドが分子間のベンゼン環を中核として平面的に配列する傾向が存する。このメタ型全芳香族ポリアミドの平面状に配向し易い性質は、粘土鉱物の層状構造によりいっそう助長される。脱溶媒に際し、平面的・層形状に配列した全芳香族ポリアミド分子と層状粘土鉱物との組成物環状構造体から溶媒が容易に絞り出されやすい傾向があると推測できる。この全芳香族ポリアミドの潜在的性質と層状粘土鉱物との相互作用によって、脱溶媒が円滑に進みやすい。もとより極性溶媒を完全に脱溶媒・乾燥化することは困難であるが、層状粘土鉱物を配合したうえに特定溶媒を選択することにより脱溶媒がいっそう良好となる。
また、請求項2に関わる発明は、メタ型全芳香族ポリアミドの溶媒として、層状粘土鉱物が共存する際にもっとも脱溶媒効果がある溶媒を規定したものであって、それらがアミド系溶剤であることを明示したものである。
さらに、請求項3に関わる発明は、請求項2において規定したアミド系溶媒がN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドのうち、少なくとも1種であることを特定している。
またさらに、請求項4に関わる発明は、請求項1〜3いずれかに記載の難燃性メタ型全芳香族ポリアミド繊維において、層状粘土鉱物の平均層厚みを10〜500nmであるとその層状形状特定し、機械的強度や熱的寸法安定性に加えて、脱溶媒効果の優れた要件を規定している。
加えて、請求項5に関わる発明は、層状粘土鉱物の分散性(Y)が0.1〜40である請求項1〜4いずれかに記載の難燃性メタ型全芳香族ポリアミド繊維である。ただし、分散性(Y)は、任意の位置の繊維の縦断面において層状粘土鉱物の影響によって状態に変化が認められる領域の面積(S)と、観察した全領域の面積(S)とから次式により求める値である。
Figure 2007254915
このように層状粘土鉱物が繊維中に好ましく分散していれば、脱溶媒効果、耐熱性等が改善できる。
本発明は特定の溶媒と添加した層状粘土との相乗効果により、成形された繊維中に残存する溶媒が1wt%以下という状態となり、結果的に耐熱性、難燃性が向上している。
部分配向化(結晶化)しているとまで断定できないが、脱溶媒の過程または高温度雰囲気下で結晶化に近い現象が起き、配向化に伴い繊維が自発伸長するという潜在的な性能を備える。その結果、防護服等の用途において高温時に繊維・織物の収縮に伴うトラブルの発生がなく、防護服着用時の安全性が高い利点がある。
本発明の難燃性全芳香族ポリアミド繊維は、平均層厚みが10〜500nm、分散性(Y)が0.1〜40%の層状粘土鉱物が特定量配合されていることで製造プロセス中での脱溶媒効率を飛躍的に向上させ、難燃性に優れた各種繊維製品を提供することができる。特に防護衣料用途への素材展開について本発明の技術は極めて有用である。
本発明におけるメタ型全芳香族ポリアミドは、メタ型芳香族ジアミンとメタ型芳香族ジカルボン酸ハライドとを原料として、例えば溶液重合や界面重合させることにより製造されるポリアミドであるが、本発明の目的を阻害しない範囲内で、例えばパラ型等の他の共重合成分を共重合したものであってもよい。
上記メタ型芳香族ジアミンとしては、メタフェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフエニルスルホン等及びこれらの芳香環にハロゲン、炭素数1〜3のアルキル基等の置換基を有する誘導体、例えば2,4−トルイレンジアミン、2,6−トルイレンジアミン、2,4−ジアミノクロルベンゼン、2,6−ジアミノクロルベンゼン等を使用することができる。なかでも、メタフェニレンジアミン又はメタフェニレンジアミンを70モル%以上含有する上記の混合ジアミンが好ましい。
また、上記メタ型芳香族ジカルボン酸ハライドとしては、イソフタル酸クロライド、イソフタル酸ブロマイド等のイソフタル酸ハライド、及びこれらの芳香環にハロゲン、炭素数1〜3のアルコキシ基等の置換基を有する誘導体、例えば3−クロルイソフタル酸クロライド、3−メトキシイソフタル酸クロライドを使用することができる。なかでも、イソフタル酸クロライド又はイソフタル酸クロライドを70モル%以上含有する上記の混合カルボン酸ハライドが好ましい。
上記のジアミンとジカルボン酸ハライド以外で使用し得る共重合成分としては、芳香族ジアミンとして、パラフェニレンジアミン、2,5−ジアミノクロルベンゼン、2,5−ジアミノブロムベンゼン、アミノアニシジン等のベンゼン誘導体、1,5−ナフチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等が挙げられ、一方、芳香族ジカルボン酸ハライドとして、テレフタル酸クロライド、1,4−ナフタレンジカルボン酸クロライド、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド、4,4’−ビフェニルジカルボン酸クロライド、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロライド等が挙げられる。これらの共重合成分の共重合比は、あまりに多くなりすぎるとメタ型全芳香族ポリアミドの特性が低下しやすいので、ポリアミドの全酸成分を基準として20モル%以下が好ましい。特に、好適なメタ型全芳香族ポリアミドは、全繰返し単位の80モル%以上がメタフェニレンイソフタルアミド単位からなるポリアミドであり、なかでもポリメタフェニレンイソフタルアミドが好ましい。
かようなメタ型全芳香族ポリアミドの重合度は、30℃において97%濃硫酸を溶媒として測定した固有粘度(IV)が1.3〜3.0の範囲が適当である。
一方、本発明で使用される層状粘土鉱物は、陽イオン交換能を有し、さらに層間に水を取り込んで膨潤する性質を示すものであり、好ましくはスメクタイト型粘土や膨潤性雲母が挙げられる。具体的には、例えばスメクタイト型粘土としてヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリロナイト(これらは天然のものであっても化学的に合成されたものであってもよい)、及びこれらの置換体、誘導体、あるいは混合物を挙げることができる。また、膨潤性雲母としては、化学的に合成した層間にLi、Naイオンを持った合成膨潤性雲母又はこれらの置換体、誘導体あるいは混合物を挙げることができる。
本発明では、上記層状粘土鉱物を表面処理剤として、有機オニウムイオンで処理したものを用いるのが好ましい。有機オニウムイオンで処理することにより、全芳香族ポリアミドへの粘土鉱物の分散性が向上し、組成物の製糸性及び得られる繊維の低収縮性が向上する。
使用される有機オニウムイオンは、下記式(1)の構造である第4級アンモニウムイオンが好ましい。ここで、炭素数1〜30のアルキル基としては、炭素数1〜18のアルキル基が好ましい。
Figure 2007254915
上記式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基または−(CHCHO)Hであらわされるヒドロキシポリオキシエチレン基である。
好ましく使用される第4級アンモニウム化合物としては、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オレイルトリメチルアンモニウムクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、ドデシルジエチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オレイルジメチルベンジルクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンテトラデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンオレイルジメチルアンモニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレンドデシルメチルアンモニウムクロライド、ビス(ヒドロキシポリオキシエチレン)テトラデシルメチルアンモニウムクロライド、ビス(ヒドロキシポリオキシエチレン)ヘキサデシルメチルアンモニウムクロライド、ビス(ヒドロキシポリオキシエチレン)オクタデシルメチルアンモニウムクロライド、及びビス(ヒドロキシポリオキシエチレン)オレイルメチルアンモニウムクロライド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の全芳香族ポリアミド繊維における層状粘土鉱物の平均層厚みは、500nm以下、殊に200nm以下であることが好ましい。なお、ここでいう層状粘土鉱物の平均層厚みとは、繊維の縦断面の電子顕微鏡測定(倍率10万倍)において断面積25μm中に観察される全ての層状粘土鉱物から求められる層厚みの平均値である。層状粘土鉱物の平均層厚みが500nmよりも大きくなると製糸時の成形安定性を確保することが困難となることがある。一方、層状粘土鉱物を分子レベルまで分散させようとすると、層状粘土鉱物の増粘効果や分散性確保のために溶液濃度を低下させる必要があり、紡糸の生産性が低下するだけでなく、得られる繊維の靱性向上効果が小さくなる傾向があるので、10nm以上、特に12nm以上であることが好ましい。さらには、繊維の縦断面の電子顕微鏡測定(倍率10万倍)において断面積25μm中に観察される全ての層状粘土鉱物から求められる分散性(Y)が0.1〜40であること、特に0.5〜30であることが好ましい。
ここで、分散性(Y)は、顕微鏡下の観察による、繊維における任意の切断面(即ち、観察面)において、層状粘土鉱物の存在によって影響される状態変化領域の面積(S)と、観察した全領域(全視野:S) とから下式により求めた値である。
Figure 2007254915
なお、通常全視野として25μm程度を標準とするとよい。
本発明においては、物性を損なわない範囲で、層状粘土鉱物以外のフィラーを併用することができる。用いられるフィラーとしては、繊維状もしくは、板状、鱗片状、粒状、不定形状、破砕品など非繊維状の充填剤が挙げられるが、特に非繊維状のものが好ましい。具体的には例えば、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、硼酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属酸化物、カーボン粉末、黒鉛、カーボンフレーク、鱗片状カーボンなどが挙げられる。さらには、全芳香族ポリアミド繊維の単糸繊度が大きい場合には、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、全芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、金属リボンなども用いることができる。これらのフィラーは2種以上を併用してよい。
なお、上記のフィラーはその表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
本発明の全芳香族ポリアミド繊維においては、全芳香族ポリアミド100重量部に対し、層状粘土鉱物が0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の範囲で含まれている必要がある。層状粘土鉱物の含有量が全芳香族ポリアミド100重量部に対して0.05重量部未満である場合には目標とする低収縮性が得られず、一方10重量部を超える場合には成形性が乏しくなるので好ましくない。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中における各物性値は下記の方法で測定した。
<固有粘度(IV)>
ポリマーを97%濃硫酸に溶解し、オストワルド粘度計を用い30℃で測定した。
<繊度>
JIS−L−1015に準じ、測定した。
<強度、伸度>
JIS−L−1015に準じ、試料長20mm、初荷重0.44mN/dtex、伸張速度20mm/分で測定した。
<残留溶媒量>
繊維中に残存する溶媒量(アミド化合物溶媒重量)N(%)は、以下の方法により測定した。すなわち、繊維(試料)を約8g採取し、105℃で120分間乾燥させた後に、デシケーター内で放冷し、繊維重量(M1)を秤量する。この繊維試料をメタノール中で90分間ソックスレー抽出器を用いて還流抽出を行い、試料中に含まれているアミド化合物溶媒を抽出する。抽出を終えた試料繊維を取り出し、150℃で60分間真空乾燥させた後にデシケーター内で放冷し、繊維重量(M2)を秤量する。残存溶媒N(%)は下記の式から求める。
Figure 2007254915
<難燃性LOI値>
JISL K7201のLOI測定法に準拠して、LOI値を求めた。
[実施例1]
層状粘土鉱物として、ビス(ヒドロキシポリオキシエチレン)ヘキサデシルメチルアンモニウムクロライドで処理されたコープケミカル(株)製「ルーセンタイトSEN3000S」(登録商標)0.19重量部をN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略称)7.6重量部に添加し、攪拌して溶液Aを得た。特公昭47−10863号公報記載の方法に準じた界面重合法により製造したIV=1.9のポリメタフェニレンイソフタルアミド19.4重量部をNMP72.8重量部に溶解させ、透明なポリマー溶液Bを得た。
このようにして得られた溶液Aとポリマー溶液Bとを混合攪拌後、ポリメタフェニレンイソフタルアミド19.4重量部、上記「ルーセンタイトSEN3000S」0.19重量部及びNMP80.4重量部からなるポリマー溶液Cを得た。
このポリマー溶液Cを85℃に加温して紡糸用ドープ(紡糸原液)とし、孔径0.07mm、孔数1500の紡糸口金から85℃の凝固浴中に吐出して紡糸した。この凝固浴の組成は、塩化カルシウムを40重量%、NMPを5重量%含み、残り55重量%が水であった。紡出糸条をこの凝固浴中に、浸漬長(有効凝固浴長)30cmにて糸速7.0m/分で通過させた後、いったん空気中に引き出した。
この凝固糸条を第1水性洗浄浴、及び第2水性洗浄浴を通して水洗し、この際の洗浄浴総浸漬時間は50秒とした。なお、第1水性洗浄浴としては温度30℃の20%NMP水溶液、第2水性洗浄浴としては温度30℃の10%NMP水溶液を用いた。次に、この洗浄糸条を75℃の水中にて4.0倍に延伸し、引続き90℃の30%NMP水溶液中にて0.90倍に弛緩させた後、60℃の温水中に48秒浸漬した。次いで、表面温度130℃のローラーに巻回して乾燥処理した後、表面温度380℃の熱板にて0.75倍に弛緩熱処理して、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維を得た。
得られた単繊維の縦断面をTEM測定した結果、層状粘土鉱物の平均の層厚みは90nmであり、断面積25μm中に観察される全ての層状粘土鉱物から求められる分散性(Y)は4%であった。
[実施例2]
実施例1において、湿式延伸倍率を2.4倍に変えて、湿式弛緩を行わず表面温度340℃の熱板にて1.75倍に延伸する以外は、実施例1と同様の条件で紡糸・弛緩熱処理した。
得られた単繊維の縦断面をTEM測定した結果、層状粘土鉱物の平均の層厚みは90nmであり、断面積25μm中に観察される全ての層状粘土鉱物から求められる分散性(Y)は4%であった。得られた繊維の評価結果を表1に示す。
[実施例3〜4]
実施例1において、層状粘土鉱物の含有量を表1記載のとおり変更する以外は実施例1と同様の条件で紡糸、延伸、弛緩熱処理した。得られた繊維の評価結果を表1に示す。
それぞれ得られた単繊維の縦断面をTEM測定した結果、層状粘土鉱物の平均の層厚みは90nmであり、断面積25μm中に観察される全ての層状粘土鉱物から求められる分散性(Y)はそれぞれ3%(実施例3)、15%(実施例4)であった。得られた繊維の評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、層状粘土鉱物を含有しない紡糸原液を用いる以外は実施例1と同様の条件で紡糸、延伸、弛緩熱処理した。得られた繊維の評価結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例2において、層状粘土鉱物を含有しない紡糸原液を用いる以外は実施例1と同様の条件で紡糸、延伸、弛緩熱処理した。得られた繊維の評価結果を表1に併記する。
Figure 2007254915
本発明によるメタ型全芳香族ポリアミド繊維は、繊維中の残留溶媒が極めて少ないため、優れた難燃性を有する繊維製品を提供することができ、特に防護衣料用途の素材として極めて有用である。

Claims (5)

  1. メタ型全芳香族ポリアミド重量を基準として、層状粘土鉱物0.1〜10重量部を含有し、繊維中に残存する溶媒量が1.0%以下であること特徴とする難燃性メタ型全芳香族ポリアミド繊維。
  2. 繊維中に残存する溶媒がアミド系溶媒である請求項1記載の難燃性メタ型全芳香族ポリアミド繊維。
  3. 繊維中に残存するアミド系溶媒がN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドのうち、少なくとも1種のアミド系溶媒である請求項2記載の難燃性メタ型全芳香族ポリアミド繊維。
  4. 層状粘土鉱物の平均層厚みが10〜500nmである請求項1〜3いずれかに記載の難燃性メタ型全芳香族ポリアミド繊維。
  5. 層状粘土鉱物の分散性(Y)が0.1〜40である請求項1〜4いずれかに記載の難燃性メタ型全芳香族ポリアミド繊維。
    ただし、分散性(Y)は、任意の位置の繊維の縦断面において層状粘土鉱物の影響によって状態に変化が認められる領域の面積(S)と、観察した全領域の面積(S)とから下式により求める値である。
    Figure 2007254915
JP2006080492A 2006-03-23 2006-03-23 難燃性に優れたメタ型芳香族ポリアミド繊維 Pending JP2007254915A (ja)

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