JP2010229591A - 全芳香族ポリアミド繊維の製造方法 - Google Patents

全芳香族ポリアミド繊維の製造方法 Download PDF

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靖重 矢倉
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Abstract

【課題】品質に優れた全芳香族ポリアミド繊維を工業生産レベルにて有利に、かつ長時間安定に製造する方法を提供する。
【解決手段】全芳香族ポリアミドがアミド系溶媒に溶解している全芳香族ポリアミド重合体溶液を湿式紡糸あるいは半乾半湿式紡糸することにより全芳香族ポリアミド繊維を製造する方法において、全芳香族ポリアミド100重量部に対して層状粘土鉱物0.1〜20重量部を含有させるにより、熱板高温延伸工程での断糸発生倍率を向上させ、単糸切れや巻きつき発生を抑え、品質に優れた全芳香族ポリアミド繊維を工業生産レベルにて有利にかつ長時間安定に生産し得る方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、湿式紡糸あるいは半乾半湿式紡糸によって、力学特性、耐熱性などの良好な全芳香族ポリアミド繊維を製造方法するに際し、品質および製糸工程安定性に優れた方法を提供するものである。
工業用または産業用に用いられる合成繊維へ要求される特性は、より高機能化され、近年の幅広い用途展開に伴い、それぞれの用途に適した改質も行われている。代表的な高機能繊維である芳香族系ポリアミド繊維やポリアクリロニトリル繊維などでは、通常、ポリマーを含む溶液から半乾半湿式紡糸法を用いて未延伸糸を形成させ、次いで高温下で熱延伸若しくは熱処理することにより繊維物性を向上・改質することが行われている。また、近年は需要量の急激な増加に対応するため製糸速度が高速化されているため、延伸・熱処理も高速化している。
例えば、特許文献1(特開平5−272005号公報)に開示されている高強力ポリアクリロニトリル繊維の製造方法では、重量平均分子量50万以上のアクリロニトリル系重合体を有機溶媒に溶解して得られる紡糸原液を水と有機溶媒からなる凝固浴中に半乾半湿式紡糸を行い、得られた凝固糸を洗浄・乾燥し、次いでローラ延伸と熱板延伸を行うことで高強力のアクリル繊維を製造する方法が提案されている。
また、特許文献2(特公平1−15605号公報)に記載されているような、分子鎖の一部にエーテル基を含む全芳香族コポリアミド繊維の場合には、該コポリアミドポリマーの等方性溶液を口金から不活性気体中へ紡出した後に凝固液と接触させて未延伸糸となし、次いで該未延伸糸をまず100℃以下の温度で1.1〜2.0倍に予備延伸し、引続いて100℃を超え400℃を超えない温度で1.5〜3.0倍に延伸し、さらに400℃を超え550℃を超えない温度で3.0〜5.0倍に延伸し、全延伸倍率を10〜14倍で逐次延伸する方法が提案されている。高温延伸方法については、熱板または加熱水蒸気浴が提案されているが、多錘紡糸および製糸速度の高速化に対して、高品位かつ安定的に延伸することが困難となる。
これらの方法は、高機能繊維を得る方法として優れてはいるものの、延伸工程での断糸発生延伸倍率に対して実延伸倍率が十分に低くない場合では、延伸工程での単糸切れによる延伸巻きつき発生により、工程安定性および品質(単糸切れ)に問題を生ずる。しかし、延伸倍率を低下させることにより上述問題が解決できるものの、強度低下および生産性の低下が問題となる。品質に優れた全芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)を長時間安定かつ連続的に紡糸可能な実質工業的生産レベルで製造する上で、延伸工程での断糸発生延伸倍率の向上が必要となる。
近年、アラミドの機械的特性や耐熱性を向上させる目的で、フィラーとして層状粘土鉱物を用いて検討が行われている。例えば、ジアミンモノマーを含む水溶液とアシル化したジカルボン酸モノマーを含む水に可溶な有機溶媒とを混合させてモノマー間の重縮合を行う際に、水溶液中または有機溶液中に粘土鉱物を共存させることで高耐熱材料として有用なアラミド複合材料を得る方法(特許文献3:特開平11−236501号公報)、層状粘土鉱物を完全に溶解できる溶液中でアラミドを溶液重合することにより、効率よく複合体を得る方法(特許文献4:特開平11−255893号公報)、アラミド、特定種の層状粘土鉱物、有機溶媒からなる溶液から有機溶媒を除去することにより、層状粘土鉱物の分子レベルで分散したアラミド複合体が簡便に得られる方法(特許文献5:特開平11−256034号公報)が開示されている。
しかし、層状粘土鉱物を含有するアラミド繊維については具体的に記載されておらず、また、これによる品質および工程安定性に優れたアラミド繊維の製造方法は知られていない。
特開平5−272005号公報 特公平1−15605号公報 特開平11−236501号公報 特開平11−255893号公報 特開平11−256034号公報
本発明は、品質に優れた全芳香族ポリアミド繊維を工業生産レベルにて有利に、かつ長時間安定に製造する方法を提供することにある。
本発明は、全芳香族ポリアミドがアミド系溶媒に溶解している全芳香族ポリアミド重合体溶液を湿式紡糸あるいは半乾半湿式紡糸することにより全芳香族ポリアミド繊維を製造する方法において、該全芳香族ポリアミド100重量部に対して層状粘土鉱物0.1〜20重量部を含有させることを特徴とする全芳香族ポリアミド繊維の製造方法に関する。
本発明の全芳香族ポリアミド繊維の製造方法にあっては、全芳香族ポリアミドの濃度が0.5〜30重量%である全芳香族ポリアミド重合体溶液を、(1)水性凝固浴中に紡出して凝固させ、(2)この凝固糸を水洗洗浄浴中にて水洗し、(3)次いで延伸する、ことが好ましい。
上記(3)延伸工程において、下記の条件を満足することが好ましい。
延伸倍率/断糸発生延伸倍率=0.40〜0.60
本発明においては、全芳香族ポリアミドとしては、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタラミドが好ましい。
本発明によれば、全芳香族ポリアミドを湿式紡糸あるいは半乾半湿式紡糸することにより全芳香族ポリアミド繊維を製造するに際し、全芳香族ポリアミド100重量部に対して層状粘土鉱物0.1〜20重量部を含有させることにより、延伸工程での断糸発生倍率を向上させ、単糸切れや巻きつき発生を抑え、品質に優れた全芳香族ポリアミド繊維を工業生産レベルにて有利にかつ長時間安定に生産することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明における全芳香族ポリアミドは、溶液中でのジカルボン酸ジクロライドとジアミンとの低温溶液重合、または界面重合から得ることができる。具体的に、本発明において使用されるジアミン成分としては、p-フェニレンジアミン、2-クロルp-フェニレンジアミン、2,5-ジクロルp-フェニレンジアミン、2,6-ジクロルp-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’-ジアミノジフェニルスルフォンなどを単独あるいは2種以上挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
中でもジアミン成分として、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミンおよび3,4’-ジアミノジフェニルエーテルを単独あるいは2種以上使用することができる。
また、具体的に本発明において使用されるジカルボン酸クロライド成分としては、例えばイソフタル酸クロライド、テレフタル酸クロライド、2-クロルテレフタル酸クロライド、2,5-ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6-ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6-ナフタレンジカルボン酸クロライドなど挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でもジカルボン酸クロライド成分として、テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライドが好ましい。従って本達明における全芳香族ポリアミドの例としてコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド、ポリアミドが、ポリパラフェニレンテレフタルアミドおよび、ポリメタフェニレンテレフタルアミドなどを挙げることができる。
全芳香族ポリアミドを重合する際の溶媒としては、具体的にN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタムなどの有機極性アミド系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの水溶性エーテル化合物、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどの水溶性アルコール系化合物、アセトン、メチルエチルケトンなどの水溶性ケトン系化合物、アセトニトリル、プロピオニトリルなどの水溶性ニトリル化合物などがあげられる。これらの溶媒は2種以上の混合溶媒として使用することも可能であり、特に制限されることはない。上記溶媒は、脱水されていることが望ましい。
この場合、溶解性を挙げるために重合前、途中、終了時に一般に公知の無機塩を適当量添加しても差し支えない。このような無機塩として例えば、塩化リチウム、塩化カルシウムなどが挙げられる。
本発明の全芳香族ポリアミドの製造において用いられる全芳香族ポリアミド溶液のポリマー濃度は、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜10重量%である。ポリマー濃度が0.5重量%未満では、ポリマーの絡み合いが少なく紡糸に必要な粘度が得られない。一方で、ポリマー濃度が30重量%を超える場合、ノズルから吐出する際に不安定流動が起こりやすくなり安定的に紡糸することが困難となる。
また、全芳香族ポリアミドを製造する際、これらのジアミン成分と酸クロライド成分は、ジアミン成分対酸クロライド成分のモル比として好ましくは0.90〜1.10、より好ましくは0.95〜1.05で、用いることが好ましい。
この全芳香族ポリアミドの末端は封止されることもできる。末端封止剤を用いて封止する場合、その末端封止剤としては、例えばフタル酸クロライドおよびその置換体、アミン成分としてはアニリンおよびその置換体が挙げられる。
一般に用いられる酸クロライドとジアミンの反応においては、生成する塩化水素のごとき酸を捕捉するために脂肪族や芳香族のアミン、第4級アンモニウム塩を併用できる。
反応の終了後、必要に応じて塩基性の無機化合物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウムなどを添加し中和反応する。
反応条件は特別な制限を必要としない。酸クロライドとジアミンとの反応は、一般に急速であり、反応温度は例えば-25℃〜100℃好ましくは-10℃〜80℃である。
このようにして得られる全芳香族ポリアミドは、アルコール、水といった非溶媒に投入して、沈殿させ、パルプ状にして取り出すことができる。これを再度他の溶媒に溶解して成形に供することもできるが、重合反応によって得た溶液をそのまま成形用溶液として用いることができる。再度溶解させる際に用いる溶媒としては、全芳香族ポリアミドを溶解するものであれば特に限定はされないが、上記全芳香族ポリアミドの重合に使用される溶媒が好ましい。
なお、全芳香族ポリアミドの固有粘度(97%濃度の硫酸中、ポリマー濃度0.5g/dlの溶液について30℃で測定した値)は、通常、1.3〜3.0程度である。
次に、本発明で使用される層状粘土鉱物は、陽イオン交換能を有し、さらに層間に水を取り込んで膨潤する性質を示す層状粘土鉱物であり、スメクタイト型粘土や膨潤性雲母が挙げられる。具体的には例えば、スメクタイト型粘土としてヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリロナイト、またはこれらの天然または化学的に合成したもの、またはこれらの置換体、誘導体、あるいは混合物を挙げることができる。
本発明では、上記層状粘土鉱物を表面処理剤として、有機オニウムイオンによって処理したものを用いるのが良い。有機オニウムイオンで処理することにより、アラミドへの分散性が向上し、成形性が向上する。
使用される有機オニウムイオンは下記式
(R、R、RおよびRはそれぞれ独立に、炭素数1〜30のアルキル基またはエチレンオキサイドである)
の構造である4級アンモニウムイオンが好ましい。ここで、アルキル基としては炭素数1〜30のものが好ましい。
本発明で使用される4級アンモニウムイオンの具体例として、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オレイルトリメチルアンモニウムクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、ドデシルジエチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オレイルジメチルベンジルクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンテトラデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシポリオキシエチレンオレイルジメチルアンモニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレンドデシルメチルアンモニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレンテトラデシルメチルアンモニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレンヘキサデシルメチルアンモニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレンオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレンオレイルメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。
層状粘土鉱物の有機オニウムイオンでの処理方法は、通常、層状粘土鉱物1重量部、有機オニウムイオン1〜10重量部とを水中で混合した後、乾燥する。水の量は、層状粘土鉱物の1〜100倍である。また、混合するときの温度は、30℃〜70℃であり、混合時間は0.5から2時間が好ましい。乾燥条件としては、70℃〜100℃で3日間常圧乾燥、2日間真空乾燥が好ましい。
なお、本発明において、物性を損なわない範囲で、層状粘土鉱物以外のフィラーを併用することができる。用いるフィラー
としては、繊維状もしくは、板状、鱗片状、粒状、不定形状、破砕品など非繊維状の充填剤が挙げられ、具体的には例えば、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、石膏繊維、セラミック繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属酸化物、カーボン粉末、黒鉛、カーボンフレーク、鱗片状カーボンなどが挙げられる。また、上記のフィラーは2種以上を併用して使用することもできる。
なお、本発明に使用する上記のフィラーは、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
本発明の全芳香族ポリアミド繊維について、全芳香族ポリアミド100重量部に対し、層状粘土鉱物が0.1〜20重量部の範囲で含まれることが必要である。さらに好ましくは、層状粘土鉱物は0.2〜10重量部である。全芳香族ポリアミド100重量部に対する層状粘土鉱物の重量部が0.1重量部未満であると本発明の効果が見られず、一方、20重量部を超えると、紡糸に用いられる層状粘土鉱物、全芳香族ポリアミドおよび有機溶媒からなる混合溶液の透明性が低くなり、成形性が乏しくなるため好ましくない。
本発明では、全芳香族ポリアミドに層状粘土鉱物を含有させることによって、延伸工程での断糸発生倍率を向上させることにより、品質および工程安定性を付与するものである。延伸時の断糸発生倍率向上により、延伸工程での延伸単糸切れおよび巻きつき発生を抑制し、品質および工程安定性を付与するものである。
一般に、同一延伸倍率で断糸発生延伸倍率が高くなったケース(延伸倍率/断糸発生延伸倍率が低くなるケース)では、繊維の伸度が増加し、さらに配向が低下することによる繊維強度の低下が懸念されるが、驚くべきことに本発明によれば断糸発生延伸倍率が高くなった。延伸倍率/断糸発生延伸倍率が低下)にもかかわらず、繊維強度および繊維伸度を維持する。
断糸発生倍率の向上について、その理由はまだ不明確であるが、層状粘土鉱物はアラミドとの間にネットワーク構造を形成し、このネットワークの存在により延伸時の断糸を抑制することによるものであると推定される。
上述のような本発明の全芳香族ポリアミド繊維は、例えば以下に述べる方法により製造することができる。すなわち、紡糸用ドープを用いて、湿式法、半乾半湿式法などにより繊維に成形し、溶媒を除去した後、延伸することで本発明の全芳香族ポリアミド系フィラメントを製造することができる。延伸方法としては、凝固糸状態での水洗延伸、沸水延伸、または乾燥糸状態での加熱延伸などを行うことができる。
本発明において、全芳香族ポリアミド繊維の具体的な製造方法としては、全芳香族ポリアミド、層状粘度鉱物、およびアミド系溶媒からなる紡糸用溶液(ドープ)を調製し、得られたドープをノズルより吐出し、貧溶媒からなる凝固浴中で凝固、脱溶媒し、延伸、熱処理(乾燥)させることにより製造することができる。
なお、全芳香族ポリアミドへ、層状粘土鉱物をブレンドする際は、該層状粘土鉱物の凝集を抑制する必要がある。このため、層状粘土鉱物を含有する全芳香族ポリアミドドープを調製するに際し、その方法は特に限定されるものではないが、層状粘土鉱物分散液を全芳香族ポリアミドドープに一定の圧力で注入し、ダイナミックミキジングおよび/またはスタティックミキシングする方法が好ましい。
紡糸用ドープのポリマー濃度、すなわち全芳香族ポリアミドの濃度は、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜10重量%である。
また、本発明における紡糸用ドープには、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤、耐候剤、染料、帯電防止剤、難燃剤、導電性ポリマー、その他の重合体を添加することができる。
上記方法によって得られた紡糸用ドープを用いて、湿式法、半乾半湿式法などにより繊維に成形し、脱溶媒槽で溶媒を除去した後、乾燥することで本発明の全芳香族ポリアミド繊維を製造することができる。
なお、ここでいう湿式とは、紡糸口金から直接凝固浴中に糸条を押出す方式をいい、半乾半湿式とは、紡糸口金と凝固浴の間にエアーギャップを設け、紡糸口金から押出された糸条はエアー中を通過した後に凝固浴中を通過させる方法をいう。この際、エアーギャップ距離(紡糸口金面と凝固液面との距離)は、通常、吐出孔間距離の6倍以下とされる。
また、得られた成形体を延伸することにより、ポリマーマトリクスである全芳香族ポリアミドポリマーが高度に配向し、全芳香族ポリアミド繊維の高物性が発現すると考えられる。
延伸の方法としては、凝固糸状態での水洗延伸、沸水延伸、または乾燥糸状態での加熱延伸などを行うことができる。
このように、層状粘土鉱物を含有させた全芳香族ポリアミドポリマーを凝固液中に展開して繊維状に成形する。続いて、この全芳香族ポリアミドポリマーを加熱条件下で延伸を行う。延伸倍率は、機械的物性から2〜10倍の範囲が好ましく、さらに好ましくは3〜6倍である。延伸倍率が2倍より低いと高強力繊維としての全芳香族ポリアミド繊維の特徴が無くなる。一方延伸倍率が10倍を超えるときには延伸時の糸切れが頻発し連続的な延伸が不可能である。
また、全芳香族ポリアミド繊維の延伸温度は、機械的物性から450〜550℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは500〜530℃である。延伸温度が450℃より低いと延伸時の糸切れが頻発し、連続的な延伸が不可能である。一方、延伸温度が550℃を超えるときには全芳香族ポリアミドポリマーの熱劣化が起こり、高強力繊維としての全芳香族ポリアミド繊維の特徴が無くなる。
上記延伸工程では、延伸倍率/断糸延伸倍率を、好ましくは0.40〜0.60、さらに好ましくは0.45〜0.55とする。
ここで、断糸延伸倍率とは、延伸工程において延伸される繊維束が断糸することで延伸不可能となる範囲で (延伸倍率) = (引取りローラー)/(送りローラー) が最小となる値である。
上記比を上記範囲内にすることにより、繊維の機械強度を十分に発現しつつ、繊維単糸切れによる毛羽が少ない品質に優れた繊維が得られる。
なお、本発明における全芳香族ポリアミドポリマー、および全芳香族ポリアミド繊維の製造方法については、例えば英国特許第1501948号明細書、米国特許第3738964号明細書などに記載されている。
このようにして得られる全芳香族ポリアミド繊維の具体例としては、芳香族ジカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分、もしくは芳香族アミノカルボン酸成分から構成される全芳香族ポリアミドポリマー、またはこれらの共重合ポリマーからなる繊維であり、例えばポリパラフィニレンテレフタルアミド繊維、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフィニレンテレフタルアミド繊維、ポリメタフィニレンテレフタルアミド繊維などが例示できる。なかでも、コポリパラフェニレン・3、4’オキシジフェニレン・テレフタラミド繊維が高い強度を有すると同時に耐久性に優れているので特に好ましい。
全芳香族ポリアミド繊維の強度としては、23cN/dtex以上、さらに好ましくは24cN/dtex以上、引張弾性率が520cN/dtex以上、好ましくは540cN/dtex以上の範囲が適当である。強度が24cN/dtex未満である場合には、長期間の使用に対し強度が十分でないために優れた耐久性を得ることが困難である。また、引張弾性率が520cN/dtex未満でも、長期間の使用に対し優れた耐久性を得ることが困難である。さらに、単繊維繊度および長繊維で用いる場合のヤーンデニールとも特に限定する必要はないが、好適な単繊維繊度は、0.55〜5.5dtex、特に1.1〜3.3dtexであり、ヤーン繊度は110〜5,500dtex、特に330〜3,300dtexの範囲が適当である。
以下、実施例および比較例により本発明を更に詳しく具体的に説明する。ただし、これらの実施例および比較例は本発明の理解を助けるためのものであって、これらの記載によって本発明の範囲が限定されるものではない。
なお、実施例中の各特性値は以下の方法で測定した。
<固有粘度>
ポリマーを97%濃硫酸に溶解し、オストワルド粘度計を用い30℃で測定した。
<繊度>
JIS−L−1015に準じ、測定した。
<強度、伸度、弾性率>
JIS−L−1015に準じ、試料長20mm、初荷重1/20g/dtex、伸張速度20mm/分で測定した。
<断糸発生延伸倍率>
延伸工程において送りローラー速度を固定し、引取りローラー速度を上げ、延伸される繊維束が断糸することで延伸不可能となる引取りローラー速度において下式で算出した
(断糸発生延伸倍率) = (引取りローラー)/(送りローラー)
<断糸回数>
一定時間の延伸を行い延伸工程で発生した断糸回数を1時間あたりの断糸回数に換算して算出した。
[実施例1〜4、比較例1〜2]
添加する層状粘土鉱物はルーセンタイトSPN(コープケミカル社製)を使用した。ルーセンタイトSPNの分散は、浅田鉄工株式会社製ビーズミル(Nano
Grain Mill)を用いておこない、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に3重量%となる様に、NMP分散体を調整した。この時、メディアとして、0.3mmのジルコニアビーズを使用した。
このルーセンタイトSPN分散体、およびNMPを、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド(共重合モル比が1:1の全芳香族ポリアミド、帝人プロダクツ社製、固有粘度=3.4)の濃度3重量%のNMP溶液中に、得られるドープ中の層状粘土鉱物の含有量が全芳香族ポリアミドの全重量を基準として所定の重量%となる割合で添加し、温度80℃下4時間撹拌混合した。得られたドープを用い、孔数1,000若しくは667ホールの紡糸口金から吐出し、エアーギャップ約10mmを介してNMP濃度30重量%の水溶液中に紡出し凝固した後(半乾半湿式紡糸法)、水洗、乾燥し、次いで、温度520℃下で10倍に延伸した後、巻き取ることにより層状粘土鉱物が良好に分散した状態で添加されたパラ型全芳香族ポリアミド繊維を得た。それぞれ得られた延伸糸の物性および工程調子(断糸回数)を表1に示す。
本発明の全芳香族ポリアミド繊維の製造方法によれば、品質に優れた全芳香族ポリアミド繊維を工業生産レベルにて有利に、かつ長時間安定に製造する方法を提供することができ、得られる全芳香族ポリアミド繊維は、該繊維が本来有する耐熱性、防刃性、耐薬品性、耐久性などに優れており、防護服、ゴム補強資材、産業用資材などの用途に有用である。

Claims (4)

  1. 全芳香族ポリアミドがアミド系溶媒に溶解している全芳香族ポリアミド重合体溶液を湿式紡糸あるいは半乾半湿式紡糸することにより全芳香族ポリアミド繊維を製造する方法において、該全芳香族ポリアミド100重量部に対して層状粘土鉱物0.1〜20重量部を含有させることを特徴とする全芳香族ポリアミド繊維の製造方法。
  2. 全芳香族ポリアミドの濃度が0.5〜30重量%である全芳香族ポリアミド重合体溶液を、(1)水性凝固浴中に紡出して凝固させ、(2)この凝固糸を水洗洗浄浴中にて水洗し、(3)次いで延伸する請求項1記載の全芳香族ポリアミド繊維の製造方法。
  3. (3)延伸工程において、下記の条件を満足する請求項2記載の全芳香族ポリアミド繊維の製造方法。
    延伸倍率/断糸発生延伸倍率=0.40〜0.60
  4. 全芳香族ポリアミドが、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタラミドである請求項1〜3いずれかに記載の全芳香族ポリアミド繊維の製造方法。
JP2009078644A 2009-03-27 2009-03-27 全芳香族ポリアミド繊維の製造方法 Withdrawn JP2010229591A (ja)

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