JP2010126826A - 防刃衣料用布帛 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い機械的物性(靭性因子)と柔軟性とを有し、工程安定性および品質が向上した芳香族ポリアミドフィラメントから構成される防刃衣料用布帛を提供する。
【解決手段】本発明によれば、下記一般式の構造反復単位を含む芳香族コポリアミドを1〜20重量%配合した芳香族ポリアミドフィラメントからなる高い防刃性能と柔軟性とを兼ね備えた防刃衣料用布帛が提供される。
【化1】
Figure 2010126826

〔上記一般式におけるArは、2価の芳香族基を表わす。〕
【選択図】なし

Description

本発明は、特殊な芳香族コポリアミドを含有する芳香族ポリアミドフィラメントから構成される、軽量かつ柔軟で着用感に優れると共に、特に刃物等の突刺しに対する防護性能が良好な、防刃衣料用布帛に関するものである。
従来、先端の鋭利なアイスピック等の刃物から身体を保護するための防刃材料としては、様々な素材、形態のものが知られており、一般的には、チタン板、ステンレス板、セラミック板等が多用されている。しかし、チタン板、ステンレス板は比重が大きい上に、十分な防刃性能を得るためにはある程度の厚みが必要であるため、非常に重くなっていた。また、衣服としての着用を考えた場合、全く柔軟性がないため、着用者にとってはかなりの負担であった。一方、セラミック板の場合には、金属板と比べれば軽量であるものの、それでもまだかなり重く、また、柔軟性もないために着心地に劣るという問題を有していた。
このような問題を改善するために、金属と比較して比重が小さいポリカーボネート樹脂やナイロン樹脂等の樹脂板を用いたり、特開平9−229598号公報(特許文献1)に記載のように、金属板およびプラスチック板を布帛で被覆することによって、着用性を改善する提案がなされている。しかしながら、これらは、たとえ比重が小さい樹脂であっても、十分な防刃性能を得るには、やはり厚みを大きくせざるを得ず、結果として重量的な問題を解決することはできなかった。また、布帛で金属または樹脂を被覆したとしても、着用性は若干改善されるものの、柔軟性の点で満足のいくものとはなり得ていなかった。
かかる柔軟性の問題を改善するために、小さな樹脂ピースを緻密に組み合わせたものや、特開昭63−267898号公報(特許文献2)に記載の如き、高強力繊維からなる繊維配列シート等の不織布に、上記のような各種硬質部材を多数独立して存在せしめた防刃材料が提案されている。しかしながら、これらは、繊維織布や不織布のように自由自在に身体にフィットするものではない。しかも、ピースとピースとの間に刃やアイスピック等の先端が入ったときの防刃性能が、極端に弱いという重大な欠点を有していた。
高強力繊維不織布を用いて防刃性能を改善する別の手段として、特開昭61−215703号公報(特許文献3)、実開平3−104692号公報(特許文献4)、特公平5−58449号公報(特許文献5)等においては、該不織布にエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱可塑性もしくは熱硬化性の樹脂を含浸もしくは被覆する方法が提案されている。しかし、これらの防刃材料は、十分な防刃性能を発現させるまで樹脂を含浸または被覆すると、前記樹脂板と同等の硬さになり、やはり着心地の点でいまだ満足できるレベルには到達していなかった。一方、特開2002−201566号公報(特許文献6)では、布帛状物の少なくとも片側面に、粒子の大きさが10μm〜1700μmの範囲の硬質無機物粒子を固着させることによって、防刃性能を高め、樹脂層の厚みを薄くすることにより軽量化する方法が提案されている。しかし、この防刃材料においても、着心地性を満足させることのできる硬さにまでは至っていなかった。
さらに、特開平10−8363号公報(特許文献7)では、高強力繊維不織布にロジンを含浸する方法が提案されている。しかし、この防刃材料は、用いられる高強力繊維の強度から期待されるほどの防刃性能が得られないという欠点を有していた。
特開平9−229598号公報 特開昭63−267898号公報 特開昭61−215703号公報 実開平3−104692号公報 特公平5−58449号公報 特開2002−201566号公報 特開平10−8363号公報
本発明の目的は、軽量かつ柔軟で着用感に優れると共に、特に刃物等の突刺しに対する防護性能が良好な防刃衣料用布帛を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、特殊な芳香族コポリアミドを含む芳香族ポリアミドフィラメントから布帛を構成することにより、軽量かつ柔軟で優れた防刃特性(靭性因子)を持つ防刃衣料用布帛が得られることを見出した。
すなわち、本発明によれば、下記一般式(I)の構造反復単位および一般式(II)の構造反復単位からなる芳香族コポリアミド(A)を含む芳香族ポリアミドフィラメントから構成されている、高い防刃性能と柔軟性とを兼ね備えた新規な防刃衣料用布帛が提供される。
Figure 2010126826
Figure 2010126826
〔上記一般式(I)および(II)において、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立に、2価の芳香族基を表わす。これらは互いに同一でも相異なっていてもよい。〕
この防刃衣料用布帛では、それを構成する芳香族ポリアミドフィラメントが、上記芳香族コポリアミド(A)と、上記一般式(I)の構造反復単位を含み上記一般式(II)の構造反復単位を含まないからなる芳香族ポリアミド(B)と、のブレンドで構成されており、該ブレンドにおける上記芳香族コポリアミド(A)の含有率が該フィラメント構成ポリマーの総重量に対して1〜20重量%であることが好適である。
さらに、上記芳香族コポリアミド(A)における上記一般式(II)の構造反復単位の含有率が、該芳香族コポリアミド(A)の全反復構造単位の30〜90モル%であることが好ましい。
また、本発明の防刃衣料用布帛は、下記数式で表される布帛のカバーファクター(CF)が、2,500〜3,500であるという特徴を有する。
CF = N × √D+ N ×√D
〔ここで、Nは経糸密度(本/2.54cm)、Dは経糸繊度(dtex)、Nは緯糸密度(本/2.54cm)、Dは緯糸繊度(dtex)を示す。]
本発明の防刃衣料用布帛を構成する芳香族ポリアミドフィラメントは、引張特性、すなわち引張強度、弾性率が大変良好であり、これを布帛にした場合、柔軟でかつ極めて良好な防刃性能を示す。しかも、芳香族ポリアミドからなるため、耐熱性、耐炎性にも優れている。
したがって、本発明の防刃衣料用布帛は、防刃性の要求される防護衣料等の素材として好適である。
本発明でいう「芳香族ポリアミド」または「芳香族コポリアミド」とは、1種または2種以上の2価の芳香族基が直接アミド結合により連結されている高分子ポリマーであって、該芳香族基は2個の芳香環が酸素、硫黄またはアルキレン基を介して結合されたものであってもよい。また、これらの2価の芳香族基には、メチル基やエチル基等の低級アルキル基、メトキシ基、クロル基等のハロゲン基等が含まれていてもよい。
本発明におけるポリマー主鎖中にイミダゾール環を含有する上記芳香族コポリアミド(A)およびイミダゾール環を含有しない上記芳香族ポリアミド(B)は、いずれも、溶液中での芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸ジクロライドとの低温溶液重合または界面重合によって得ることができる。
一般に、芳香族ポリアミドを製造するためのジアミン成分としては、例えば、p−フェニレンジアミン、2−クロルp−フェニレンジアミン、2,5−ジクロルp−フェニレンジアミン、2,6−ジクロルp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられ、これらは、単独あるいは2種以上で使用される。しかしながら、本発明の芳香族コポリアミド(A)および芳香族ポリアミド(B)においては、これらに限定されるものではない。
上記芳香族ポリアミド(B)を得るには、これらのジアミン成分の中でも、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミンおよび3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを単独あるいは2種以上使用することが好ましい。なお、上記芳香族ポリアミド(B)は、ホモポリマーでもよく、コポリマーでもよい。
一方、芳香族コポリアミド(A)を製造するために使用されるジアミン成分としては、上述した各種ジアミンの少なくとも1種と、5(6)−アミノ−2−(4−アミノフェニル)ベンジミダゾールで代表されるイミダゾール環含有ジアミンとが併用される。
また、カルボン酸クロライド成分としては、上記芳香族コポリアミド(A)および芳香族ポリアミド(B)のいずれの場合も、例えば、イソフタル酸クロライド、テレフタル酸クロライド、2−クロルテレフタル酸クロライド、2,5−ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6−ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド等挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でもジカルボン酸クロライド成分として、テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライドが好ましい。
したがって、本発明における好適な芳香族コポリアミド(A)の例としては、コパラフェニレン・5(6)−アミノ−2−(4−アミノフェニル)ベンジミダゾールテレフタルアミドを挙げることができる。また、好適な芳香族ポリアミド(B)の例としては、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド、ポリパラフェニレンテレフタルアミドおよびポリメタフェニレンテレフタルアミド等を挙げることができる。
なお、上記芳香族コポリアミド(A)および芳香族ポリアミド(B)の固有粘度は、いずれも2.0〜6.0の範囲内であることが好ましい。
芳香族コポリアミド(A)および芳香族ポリアミド(B)を製造するにあたっては、これらのジアミン成分と酸クロライド成分は、ジアミン成分対酸クロライド成分のモル比として、好ましくは0.90〜1.10、より好ましくは0.95〜1.05で、用いることが好ましい。
これらの重合に使用する溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム等の有機極性アミド系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の水溶性エーテル化合物、メタノール、エタノール、エチレングリコール等の水溶性アルコール系化合物、アセトン、メチルエチルケトン等の水溶性ケトン系化合物、アセトニトリル、プロピオニトリル等の水溶性ニトリル化合物等が挙げられる。これらの溶媒は2種以上の混合溶媒として使用することも可能である。なお、これらの溶媒は脱水されていることが望ましい。
この場合、溶媒へのポリマーの溶解性を向上させるために、重合の前、途中または終了時に一般に公知の無機塩を適当量、溶液に添加しても差し支えない。このような無機塩としては、例えば、塩化リチウム、塩化カルシウム等が挙げられる。
本発明の芳香族コポリアミド(A)および芳香族ポリアミド(B)のポリマー溶液のポリマー濃度は、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜10重量%である。ポリマー濃度が0.5重量%未満では、ポリマー分子の絡み合いが少なく、該溶液を紡糸用ドープ(紡糸原液)として用いる場合、紡糸に必要な粘度が得られない。一方で、ポリマー濃度が30重量%を超える場合には、紡糸ノズルから吐出する際に不安定流動が起こりやすくなり、安定的に紡糸することが困難となる。
また、芳香族コポリアミド(A)および芳香族ポリアミド(B)の末端は、封止したものであってもよい。末端封止剤を用いて封止する場合には、その末端封止剤としては、酸成分として例えばフタル酸クロライドおよびその置換体、アミン成分としてアニリンおよびその置換体が挙げられる。
芳香族コポリアミド(A)および芳香族ポリアミド(B)の製造にあたっては、酸クロライドとジアミンとの反応において一般に用いられる、生成する塩化水素のごとき酸を捕捉するために、脂肪族や芳香族のアミン、第4級アンモニウム塩等を併用することができる。
反応の終了後、必要に応じて、塩基性の無機化合物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等を添加し中和反応する。
反応条件は特別な制限を必要としない。酸クロライドとジアミンとの反応は、一般に急速であり、反応温度は、例えば−25℃〜100℃、好ましくは−10℃〜80℃である。
なお、芳香族コポリアミド(A)や芳香族ポリアミド(B)の固有粘度(98%濃度の硫酸中、ポリマー濃度0.5g/dlの溶液について30℃で測定した値)は、通常、1.3〜3.0程度が好ましい。
このようにして得られる芳香族コポリアミド(A)および芳香族ポリアミド(B)は、アルコール、水といった非溶媒に投入して沈殿せしめ、パルプ状にして取り出すこともできる。これを再度他の溶媒に溶解して紡糸に供することもできるが、芳香族コポリアミド(A)または芳香族ポリアミド(B)のいずれかの重合反応によって得た溶液に含まれる溶媒を、そのまま紡糸用ド−プの溶媒として用いることが好ましい。
紡糸用ドープ(紡糸原液)に使用される溶媒としては、上記の如き芳香族コポリアミド(A)または芳香族ポリアミド(B)の重合溶媒あるいは芳香族コポリアミド(A)および芳香族ポリアミド(B)をともに溶解することのできる溶媒を使用することができる。これらの溶媒は、単独溶媒で使用することも2種以上の混合溶媒として使用することも可能であり、特に制限されるものではない。
本発明の防刃衣料用布帛を構成する芳香族ポリアミドフィラメントは、上記の芳香族コポリアミド(A)と芳香族ポリアミド(B)とのブレンド体で形成されるが、該フィラメントを構成するポリマーの全重量に対し、上記芳香族コポリアミド(A)を1〜20重量%の範囲で含有することが好ましい。この含有量が1重量%未満であると防刃性能の向上が見られず、一方、含有量が20重量%を超える場合は、曵糸性が低下し、安定的な延伸が困難となるため好ましくない。
上記の芳香族コポリアミド(A)と芳香族ポリアミド(B)とブレンドに当っては、例えば、芳香族コポリアミド(A)と芳香族ポリアミド(B)のそれぞれのポリマーを固体状または溶液状で混合する方法、一方のポリマー溶液に他方のポリマー(固体)を添加混合する方法等が採用される。
また、紡糸用ドープ(紡糸原液)におけるポリマー濃度、すなわち上記芳香族コポリアミド(A)と芳香族ポリアミド(B)の合計濃度は、0.05〜30重量%が好ましく、より好ましくは1〜10重量%である。
さらに、本発明における紡糸用ドープには、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤、耐候剤、染料、顔料、帯電防止剤、難燃剤、導電性ポリマー、その他の重合体等を添加することができる。
また、本発明においては、フィラメントの物性を損なわない範囲で、フィラーを添加することができる。用いるフィラーとしては、繊維状もしくは、板状、鱗片状、粒状、不定形状、破砕品等非繊維状の充填剤が挙げられ、具体的には例えば、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維等の金属繊維、芳香族ポリアミド繊維等の有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属酸化物、カーボンナノチューブ、カーボン粉末、黒鉛、カーボンフレーク、鱗片状カーボン等が挙げられる。また、上記のフィラーは2種以上を併用して使用することもできる。上記のフィラーはその表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
上記の如き方法によって得られた紡糸用ドープを用いて、湿式紡糸法、半乾半湿式紡糸法等により繊維に成形し、溶媒を除去した後、乾燥することで、本発明の布帛を構成する芳香族ポリアミドフィラメントとすることができる。なお、ここでいう湿式紡糸法とは、紡糸口金から直接凝固浴中に糸条を押出す方式をいい、半乾半湿式紡糸法とは、紡糸口金と凝固浴との間にエアーギャップを設け、紡糸口金から押出された糸条がいったんエアー中を通過した後に凝固浴中を通過させる方法をいう。この際、エアーギャップ距離(紡糸口金面と凝固液面との距離)は、通常、吐出孔間距離の6倍以下とされる。
延伸の方法としては、凝固糸状態での水洗延伸、沸水延伸、または乾燥糸状態での加熱延伸等行うことができる。延伸倍率については、特に制限はないが、1.05倍以上であることが好ましく、さらには1.1倍以上であることが好ましい。延伸倍率は1.05倍よりも小さい場合、分子鎖の配向が不十分となり、高強度繊維としての特性を発揮し難くなるため好ましくない。また、延伸倍率をコントロールすることで、芳香族ポリアミドフィラメントの伸度および強度を制御することができる。一方、延伸倍率の上限は、通常15倍またはそれ以下である。
本発明の防刃衣料用布帛の形態は、特に限定されるものではなく、編物、織物、不織布等のようないずれの形態で使用されてもよい。なかでは、それぞれの繊維が経緯一方向に配列するため繊維の性能が発揮されやすく、このため、本発明の目的である高防刃性能が達成されやすくなり、さらに、織り組織の形態を維持しやすく織り目が開き難くなることから、刃物等の突き刺しによって繊維がずれず、繊維性能のロスが少なくなり、その結果、高い防刃性能を示すため、織物であることが好ましい。
本発明の防刃衣料布帛は、上記数式で表される布帛のカバーファクター(CF)が2,500〜3,500であることが好ましく、CFがこの範囲内のものは、卓越した防刃効果を示す。
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく具体的に説明する。ただし、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。なお、実施例中の物性は、下記の方法により測定した。
<防刃性能>
十分な量の粘土層(縦20cm×横20cm×高さ10cm、上面が平坦な工作用油粘土)の上面に、布帛サンプル10枚を積層した積層布帛を置く。一方、引張圧縮試験機(株式会社インテスコ製、型式:タイプ2005)のロードセルの下部に、アイスピックを下向きに固定した。アイスピックの先端が布帛サンプルの上部約5mmとなるようにクロスヘッドの高さを調整し、ついで、2mm/分のクロスヘッド速度で圧縮を開始した。防刃性能は、アイスピックが積層布帛の全層を貫通した時、すなわち、アイスピックの先端がサンプルの最後層の布帛を貫通した時の応力で表示した。したがって、この値が大きいほど防刃性能が良好であることを示す。
<固有粘度>
ポリマーを98%濃硫酸に上記濃度に溶解し、オストワルド粘度計を用い30℃で測定した。
<繊度>
JIS−L−1015 B法に準じ、測定した。
<強度、弾性率>
得られた芳香族ポリアミドフィラメント糸につき、引張試験機(INSTRON社製、商品名:INSTRON、型式:5565型)を用いて、ASTM D885に準拠し、糸試験用チャックを用いて以下の条件にて引張試験を行った。
(測定条件)
試料長 :750mm
チャック間距離 :500mm
チャック引張速度 :250mm/min
温度 :室温
初荷重 :0.2cN/dtex
[実施例1]
防刃性能評価に供する原糸は、以下の手順で作成した。
固有粘度3.2のコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド(共重合モル比が1:1の芳香族コポリアミド)〔=上記芳香族ポリアミド(B)〕の濃度6重量%のNMP溶液中に、パラフェニレンジアミン、5(6)−アミノ−2−(4−アミノフェニル)ベンジミダゾールおよびテレフタル酸クロライドから得られた、共重合モル比が15:35:50で、固有粘度5.0のイミダゾール環含有芳香族コポリアミド〔=上記芳香族コポリアミド(A)〕を添加・混合して、紡糸用ドープを調製した。
芳香族コポリアミド(A)の添加・混合は、浅田鉄工株式会社製PNM−5プラネタリミキサーを用いて、得られるドープ中の該芳香族コポリアミド(A)の含有量が、芳香族ポリアミドの全重量を基準として3重量%となる割合で添加し、温度80℃下4時間撹拌混合した。
得られたドープを用い、孔数667ホールの紡糸口金から吐出し、エアーギャップ約10mmを介してNMP濃度30重量%の水溶液中に紡出して凝固させた(半乾半湿式紡糸法)。その後、水洗、乾燥し、次いで、温度500℃下で10倍に延伸した後、巻き取ることにより上記2種の芳香族ポリアミドが良好にブレンドされたパラ型芳香族ポリアミドフィラメント糸を得た。
その結果、得られた芳香族ポリアミドフィラメント糸は、総繊度1,100dtex、フィラメント数667フィラメント、単糸繊度1.65detx/フィラメントであり、強度は26.1cN/dtexであった。
このフィラメント糸を原糸に用い、たて、よこの織密度を45本/inchとして、目付け287g/mの平織物を作成した。この織物を10枚重ね、防刃試験を行なった。その結果、防刃性能は49.2kgであった。その結果を、表1の実施例1欄に示す。
[実施例2〜4]
添加する上記芳香族コポリアミド(A)の含有量が繊維を形成する芳香族ポリアミドの全重量を基準として、5重量%、10重量%または20重量%となる割合で添加する以外は、実施例1と同様にして、芳香族ポリアミドフィラメント糸を作成し、その織物の防刃性能評価を実施した。それらの結果を、表1の実施例2〜4欄に示す。
[比較例1]
比較例として、上記芳香族コポリアミド(A)を添加しないこと以外は、実施例1と同様にしてフィラメント糸を作成し、その織物の防刃性能評価を実施した。その結果を表1に併記する。



Figure 2010126826
表1より明らかなように、芳香族コポリアミド(A)を添加した芳香族ポリアミドフィラメントは、無添加の繊維に比べ、強度、モジュラスが向上するだけでなく、防刃性能が大きく向上することが認められる。なお、芳香族コポリアミド(A)の添加量は、ポリマー全量に対して10重量%までは、添加量の多い方が優れるが、20重量%を超えると強度はかなり低下する。

Claims (4)

  1. 下記一般式(I)の構造反復単位および下記一般式(II)の構造反復単位からなる芳香族コポリアミド(A)を含む芳香族ポリアミドフィラメントから構成される防刃衣料用布帛。
    Figure 2010126826
    Figure 2010126826
    〔上記一般式(I)および(II)において、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立に、2価の芳香族基を表わす。これらは互いに同一でも相異なっていてもよい。〕
  2. 芳香族ポリアミドフィラメントが、上記芳香族コポリアミド(A)と、上記一般式(I)の構造反復単位を含み上記一般式(II)の構造反復単位を含まない芳香族ポリアミド(B)と、で構成されており、かつ上記芳香族コポリアミド(A)の含有率が該フィラメント構成ポリマーの総重量に対して1〜20重量%である請求項1記載の防刃衣料用布帛。
  3. 上記芳香族コポリアミド(A)における上記一般式(II)の構造反復単位の含有率が、該芳香族コポリアミド(A)の全反復構造単位の30〜90モル%である請求項1または請求項2記載の防刃衣料用布帛。
  4. 下記数式で表される布帛のカバーファクター(CF)が、2,500〜3,500である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の防刃衣料用布帛。
    CF = N × √D+ N ×√D
    〔ここで、Nは経糸密度(本/2.54cm)、Dは経糸繊度(dtex)、Nは緯糸密度(本/2.54cm)、Dは緯糸繊度(dtex)を示す。]
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