JP2013155460A - ポリアミド繊維及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高重合度であって、かつ耐摩耗性、化学的耐性及び熱的耐性を有するポリアミド繊維、特に抄紙フェルト用に好適なポリアミド短繊維を提供する。
【解決手段】 4.0以上の硫酸相対粘度を有するポリアミドからなり、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を繊維中に0.1〜10質量%含有し、単糸繊度が6〜35dtex、捲縮数が8〜15山/25mm、捲縮率が15〜25%であることを特徴とするポリアミド繊維。
【選択図】 なし
【解決手段】 4.0以上の硫酸相対粘度を有するポリアミドからなり、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を繊維中に0.1〜10質量%含有し、単糸繊度が6〜35dtex、捲縮数が8〜15山/25mm、捲縮率が15〜25%であることを特徴とするポリアミド繊維。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ポリアミド繊維に関するものである。
抄紙フェルト用途で使用されるポリアミド繊維は、抄紙工程で使用される際に、フェルトの使役寿命を著しく短くする可能性がある漂白剤(次亜塩素酸ソーダ等)に曝されるといった苛酷な環境中で使用される。そのため、熱劣化や化学品による劣化を抑えるために、ナイロン66やナイロン6で代表されるポリアミド繊維に酸化防止剤を添加されることがある。
また抄紙フェルトは、抄紙工程において紙を搾水し紙表面を平滑化する際のプレスローラーの表面に配設されて使用されるので、プレスローラー(ゴム製)に対しても紙に対しても耐摩耗性を有すること、曲げや衝撃に対する耐性が高いことが要求される。従って、抄紙フェルトを構成するポリアミド短繊維には、曲げ、衝撃及び摩耗に対する耐性が高いことが要求され、高い硫酸相対粘度を有するポリアミドが必要となる。ポリアミドを高粘度化、即ち高分子量化すれば、強度、弾性率及び耐衝撃性を増加させることができるからである。
特許文献1には、ギ酸相対粘度20〜50のポリアミドに安定剤又は触媒を添加し、慣用的な一軸又は二軸スクリュー押出機を使用して溶融ブレンドし、化学的及び熱的耐性を有するポリアミドファイバー(実施例1)又は高分子量を有するポリアミドファィバー(実施例2)を製造する方法が提案されている。この方法において紡糸に供するポリアミドは、ギ酸相対粘度20〜50(98%硫酸相対粘度2.2〜2.8程度に相当する)と通常レベルの粘度を有するものである。
また高粘度ポリアミドに酸化防止剤を添加して溶融紡糸するにあたり、上記溶融紡糸法を適用してみたところ、得られた繊維は、原綿での輸送・保管時に空気中のNOxと反応し、経時的に着色を帯びるという問題や、溶融紡糸時に粘度低下し易いという問題があることがわかった。
本発明の目的は、前記した従来技術の問題点を克服し、化学的耐性および熱的耐性に優れ、過酷な条件下でも使用可能であり、曲げ・衝撃及び摩耗への耐性が改善され、かつ、繊維の着色が起こらないポリアミド繊維を提供することにある。
すなわち本発明は、4.0以上の硫酸相対粘度を有するポリアミドからなり、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を繊維中に0.1〜10質量%含有し、単糸繊度が6〜35dtex、捲縮数が8〜15山/25mm、捲縮率が15〜25%であることを特徴とするポリアミド繊維である。
また本発明は、本発明のポリアミド繊維を製造する方法であって、4.0以上の硫酸相対粘度を有するポリアミドと、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を前記ポリアミドにおけるよりも高濃度で含有するマスタポリマーとを、各ポリマーの水分率を150〜370ppmに保持しつつ紡糸機に供給し、溶融混合して、紡糸温度280〜295℃で溶融紡糸し、延伸後の捲縮付与を200〜250℃で行うことを特徴とするポリアミド繊維の製造方法である。
本発明のポリアミド繊維は、優れた化学的耐性および熱的耐性を有し、曲げ・衝撃及び摩耗に耐える耐性が改善されており、さらに繊維の着色も生じないものであり、過酷な条件下で使用される用途、特に抄紙フェルト用途に好適に使用することができる。
本発明のポリアミド繊維におけるポリアミドは、ナイロン66、ナイロン6で代表される溶融紡糸可能なポリアミドであり、なかでもナイロン66が好ましい。
使用されるポリアミドの硫酸相対粘度としては4.0以上とすることが重要であり、好ましくは4.2以上である。硫酸相対粘度が4.0以上のポリアミドを使用することで、抄紙フェルト用途に求められるフェルト耐久性を具備させることができる。また、ポリアミドの硫酸相対粘度は4.5以下とすることが好ましい。4.5以下とすることで、溶融製糸を安定させ異常糸の発生を抑え、所望の製品品位を得ることができる。
本発明のポリアミド繊維は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有することが重要である。酸化防止剤は熱劣化や化学品による劣化を抑えるために必要であるが、ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、NOxとの親和性よりもポリアミドとの親和性の方が高いために、繊維の着色という問題が発生しない。これに対し、他の酸化防止剤では空気中のNOxとの反応により着色を帯びてしまい易い。またさらに、ヒンダードフェノール系酸化防止剤はポリアミドとの親和性が良好であるので、ポリアミド中に均一に微分散させることができるという利点も有する。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の好ましい具体例としては、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert.−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)が挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量としては、0.1〜10質量%とすることが重要である。含有量が0.1質量%未満であると、酸化防止剤としての機能を充分に発揮せず、所望の製品品位を得ることができない。また含有量10%を超えても酸化防止剤としての飛躍的な向上はみられず、コスト面でも不利になる。
本発明のポリアミド繊維を抄紙フェルト用途に用いる場合には、ポリアミド及び酸化防止剤の両方ともに銅を含まないことが好ましい。抄紙フェルト中に銅が存在すれば、抄紙プロセスにおいて使用される化学的物質例えば漂白剤である次亜塩素酸ソーダ、過酸化水素に曝される時に繊維の化学的劣化が促進されるためである。
本発明のポリアミド繊維の単糸繊度としては、6〜35dtexとすることが重要である。6dtex未満であると、抄紙用フェルトとして細いために摩耗性に欠け、充分な機能を発揮しない。また35dtexを超える繊維は、フェルト製造工程での操業が悪く好ましくない。
また本発明のポリアミド繊維は、捲縮数8〜15山/25mm、捲縮率15〜25%の捲縮特性を有することが重要である。捲縮数が8山/25mm未満、あるいは捲縮率が15%未満の場合は、フェルトの繊維同士の絡合性が低くなるため、フェルトの密度が低くなり、フェルトからの脱毛の発生や、耐摩耗性が劣位なものとなる。捲縮数が15山/25mm及び捲縮率25%を超えると、フェルト製造工程にて捲縮過多による操業悪化の原因となる。
本発明のポリアミド繊維は、主として抄紙用フェルトに利用するため、抄紙工程において使用される次亜塩素酸ソーダに曝されても繊維形状を維持する必要がある。その指標として、次亜塩素酸ソーダ0.25重量%溶液で80℃、72時間処理後の強度保持率が30%以上かつ伸度保持率が30%以上であることが好ましい。
次に、本発明のポリアミド繊維の製造方法について説明する。
本発明のポリアミド繊維の製造方法は、4.0以上の硫酸相対粘度を有するポリアミドと、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を前記ポリアミドにおけるよりも高濃度に含有するマスタポリマーとを溶融混合する方法を採用する。この方法により溶融ポリマーを調製することにより、所定濃度の酸化防止剤が均一に微分散された状態とすることができ、酸化防止剤の機能を効果的に発揮させ、優れたポリマー特性を維持した高粘度ポリアミド繊維を製造することができる。
マスタポリマーにおけるヒンダードフェノール系酸化防止剤の濃度としては、5〜7質量%が好ましい。5質量%以上とすることで効率良く所定濃度の酸化防止剤が微分散された溶融ポリマーを得ることができる。一方、7質量%以下とすることで、混練時に発泡等の不具合が生じるのを防ぐことができる。
マスタポリマーは、ベースポリマーと酸化防止剤とを一軸又は二軸のスクリュー溶融押出機中で溶融混練して製造することができる。ベースポリマーはポリアミドと溶融混練可能な熱可塑性樹脂とし、なかでもポリアミドが好ましく、特に、溶融紡糸に供するポリアミドと同種であることが好ましい。
ポリアミドおよびマスタポリマーを紡糸機に供給するに際しては、各ポリマーの水分率を150ppm以上370ppm以下とする。
溶融ポリマーの水分率を370ppm以下、好ましくは350ppm以下とすることで、ポリアミドの粘度低下を防止することができる。一方、硫酸相対粘度4.0以上の高粘度ポリアミド、特に高粘度ナイロン66は、溶融紡糸の際に水分率を低くし過ぎるとゲル化を起こし紡糸困難となるので、溶融ポリマーの水分率は150ppm以上とし、より好ましくは200ppm以上である。
ポリマーの水分率は乾燥温度・乾燥条件を適宜設定することにより上記範囲内での調整が可能である。
また、紡糸温度は280〜295℃とする。紡糸温度を295℃以下、好ましくは290℃以下とすることで、熱による分解反応を抑え、粘度低下を抑えることができる。一方、280℃以上とすることで、ポリマー配管の圧損を抑え、所望のポリマー吐出量を安定して得ることができる。
さらに、前述のような水分率及び上記紡糸温度を維持して溶融紡糸を行えば重合反応が誘発されポリマーの硫酸相対粘度が若干程度増加し、その結果、高度な化学的耐性および熱的耐性を持ち、さらには曲げ・衝撃及び摩耗に対して耐性を持つポリアミド繊維を製造することができる。
また、捲縮付与時の温度条件としては、200〜250℃、好ましくは220〜240℃とする。200℃以上、好ましくは220℃以上とすることで、本発明で用いるような硫酸相対粘度が4.0以上のポリアミドに対しても、所望の捲縮特性を得ることができる。一方、250℃以下、好ましくは240℃以下とすることで、繊維同士が融着するのを防ぐことができる。
捲縮付与に際しての加熱手段としては、蒸気を用いることが好ましい。
また本発明のポリアミド繊維の捲縮特性は、上記のような捲縮付与時の温度条件を採用すれば、ニップ圧及びスタッフィング圧を適宜設定することにより前述の範囲内での調整が可能である。
[測定方法]
A.硫酸相対粘度
オストワルド粘度計を用いて、試料の硫酸溶液および硫酸の同一容量が毛細管中を流下する秒数から相対粘度を求めた。溶媒は98%濃度の濃硫酸であり、試料の硫酸溶液は、この溶媒中に1.0質量%のポリアミドを溶解した溶液である。
A.硫酸相対粘度
オストワルド粘度計を用いて、試料の硫酸溶液および硫酸の同一容量が毛細管中を流下する秒数から相対粘度を求めた。溶媒は98%濃度の濃硫酸であり、試料の硫酸溶液は、この溶媒中に1.0質量%のポリアミドを溶解した溶液である。
B.強度、伸度
引張り試験機(オリエンテック社製“テンシロン”)を用いて試料長2cm 、引張り速度2cm/分の条件で応力−歪み曲線を求め、これから切断時の強度、伸度値を求めた。
引張り試験機(オリエンテック社製“テンシロン”)を用いて試料長2cm 、引張り速度2cm/分の条件で応力−歪み曲線を求め、これから切断時の強度、伸度値を求めた。
C.捲縮数
紙片上に、空間距離25mmに対して25±5%の緩みをもたせて両端を接着剤ではり付け固着させた。この試料を1本ずつ、捲縮試験機のつかみに取り付け、紙片を切断した後、試料に初荷重1.8mg×繊度(dtex)をかけたときの、つかみ間の距離(空間距離)(mm)を読み、そのときの捲縮数を数え、25mm間当たりの捲縮数を求め20回の平均値を算出した。
紙片上に、空間距離25mmに対して25±5%の緩みをもたせて両端を接着剤ではり付け固着させた。この試料を1本ずつ、捲縮試験機のつかみに取り付け、紙片を切断した後、試料に初荷重1.8mg×繊度(dtex)をかけたときの、つかみ間の距離(空間距離)(mm)を読み、そのときの捲縮数を数え、25mm間当たりの捲縮数を求め20回の平均値を算出した。
D.捲縮率
試料に1.8mg×繊度(dtex)の初荷重をかけたときの長さと、135mg×繊度(dtex)の荷重をかけたときの長さから次式により計算し、20回の平均値を算出した。
捲縮率(%)=[(b−a)/b]×100
ここに、
a:初荷重をかけたときの長さ(mm)
b:135mg×繊度(dtex)の荷重をかけたときの長さ 。
試料に1.8mg×繊度(dtex)の初荷重をかけたときの長さと、135mg×繊度(dtex)の荷重をかけたときの長さから次式により計算し、20回の平均値を算出した。
捲縮率(%)=[(b−a)/b]×100
ここに、
a:初荷重をかけたときの長さ(mm)
b:135mg×繊度(dtex)の荷重をかけたときの長さ 。
E.耐次亜塩素酸ソーダ特性
繊維を80℃、濃度0.25質量%の次亜塩素酸ソーダ(NaClO)水溶液中で72時間処理した後、繊維の強度、伸度を測定した。処理前の繊維の強度、伸度に対する保持率を、強度保持率および伸度保持率として次式により算出した。
強度保持率(%)=(処理後の強度/処理前の強度)×100
伸度保持率(%)=(処理後の伸度/処理前の伸度)×100 。
繊維を80℃、濃度0.25質量%の次亜塩素酸ソーダ(NaClO)水溶液中で72時間処理した後、繊維の強度、伸度を測定した。処理前の繊維の強度、伸度に対する保持率を、強度保持率および伸度保持率として次式により算出した。
強度保持率(%)=(処理後の強度/処理前の強度)×100
伸度保持率(%)=(処理後の伸度/処理前の伸度)×100 。
F.不織布回復率
得られたポリアミド繊維を用いて、一般的なニードルパンチの製法により、目付けが0.05g/cm2になるように調整して不織布を作製した。その不織布(100cm2)に50g/cm2の荷重を160℃にて1時間かけ、その後荷重を取り除いて10分後、荷重負荷前後の不織布の厚さを測定し、次式により算出した。
厚さ回復率(%)=((荷重後の不織布の厚さ)/(荷重前の不織布の厚さ))×100
不織布の厚さ回復率が80%未満のものを「○」、80%以上のものを「×」とした。かかる測定条件での不織布の回復率が低いことは繊維同士の絡合性に優れることを意味し、すなわち抄紙用フェルトとした時の密度が高く、耐磨耗性に優れ、高位なものとなる。
得られたポリアミド繊維を用いて、一般的なニードルパンチの製法により、目付けが0.05g/cm2になるように調整して不織布を作製した。その不織布(100cm2)に50g/cm2の荷重を160℃にて1時間かけ、その後荷重を取り除いて10分後、荷重負荷前後の不織布の厚さを測定し、次式により算出した。
厚さ回復率(%)=((荷重後の不織布の厚さ)/(荷重前の不織布の厚さ))×100
不織布の厚さ回復率が80%未満のものを「○」、80%以上のものを「×」とした。かかる測定条件での不織布の回復率が低いことは繊維同士の絡合性に優れることを意味し、すなわち抄紙用フェルトとした時の密度が高く、耐磨耗性に優れ、高位なものとなる。
[実施例1]
(高粘度ナイロン66ペレット)
通常の方法により重合して得られた、硫酸相対粘度3.0のナイロン66ペレットを、温度条件170℃×30時間、気圧0.5torr(66.66Pa)以下の減圧下にて固相重合を行い、硫酸相対粘度4.2、水分率350ppmの高粘度ナイロン66ペレットを作製した。
(高粘度ナイロン66ペレット)
通常の方法により重合して得られた、硫酸相対粘度3.0のナイロン66ペレットを、温度条件170℃×30時間、気圧0.5torr(66.66Pa)以下の減圧下にて固相重合を行い、硫酸相対粘度4.2、水分率350ppmの高粘度ナイロン66ペレットを作製した。
(マスタポリマーペレット)
酸化防止剤としてN,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert.−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)(商品名IRGANOX 1098)を用いた。前記の高粘度ナイロン66(硫酸相対粘度4.2、水分率350ppm)と上記酸化防止剤とを95:5の質量比になるように混合し、1軸スクリュー押出機中で290℃にて溶融混練した後、チップ化し、酸化防止剤を5質量%含有する、水分率350ppmのマスタポリマーを作製した。
酸化防止剤としてN,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert.−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)(商品名IRGANOX 1098)を用いた。前記の高粘度ナイロン66(硫酸相対粘度4.2、水分率350ppm)と上記酸化防止剤とを95:5の質量比になるように混合し、1軸スクリュー押出機中で290℃にて溶融混練した後、チップ化し、酸化防止剤を5質量%含有する、水分率350ppmのマスタポリマーを作製した。
(溶融紡糸)
上記の高粘度ナイロン66ペレットと上記マスタポリマーペレットとを、質量比90:10で混合し、1軸スクリュー押出機中で290℃の温度をかけ溶融混練した。溶融混練したポリマーを290℃で紡糸口金から吐出し、冷却風にて冷却固化させた後、含水油剤を付着させ、600m/分の速度で引き取って未延伸糸とし、トウ状にて一旦缶内に収納した。
上記の高粘度ナイロン66ペレットと上記マスタポリマーペレットとを、質量比90:10で混合し、1軸スクリュー押出機中で290℃の温度をかけ溶融混練した。溶融混練したポリマーを290℃で紡糸口金から吐出し、冷却風にて冷却固化させた後、含水油剤を付着させ、600m/分の速度で引き取って未延伸糸とし、トウ状にて一旦缶内に収納した。
(延伸・捲縮付与・切断)
次いでスチーム浴で延伸した後、押し込み方式による機械捲縮を230℃でニップ圧、スタッフィング圧を調整して付与し、切断して、酸化防止剤の添加率0.5質量%、単糸繊度17dtex、繊維長76mm、捲縮数12山/25mm、捲縮率23%、硫酸相対粘度4.2のナイロン66短繊維を製造した。
次いでスチーム浴で延伸した後、押し込み方式による機械捲縮を230℃でニップ圧、スタッフィング圧を調整して付与し、切断して、酸化防止剤の添加率0.5質量%、単糸繊度17dtex、繊維長76mm、捲縮数12山/25mm、捲縮率23%、硫酸相対粘度4.2のナイロン66短繊維を製造した。
得られた繊維は強度保持率、伸度保持率ともに30%以上と良好であり、繊維の着色も見られなかった。
[実施例2]
捲縮付与時にニップ圧、スタッフィング圧を調整して捲縮数を10山/25mm、捲縮率を17%とした以外は実施例1と同様にして、ポリアミド繊維を作製した。
捲縮付与時にニップ圧、スタッフィング圧を調整して捲縮数を10山/25mm、捲縮率を17%とした以外は実施例1と同様にして、ポリアミド繊維を作製した。
[比較例1]
捲縮付与時にニップ圧、スタッフィング圧を調整して、捲縮数を6山/25mm、捲縮率を13%とした以外は実施例1と同様にして、ポリアミド繊維を作製した。
捲縮付与時にニップ圧、スタッフィング圧を調整して、捲縮数を6山/25mm、捲縮率を13%とした以外は実施例1と同様にして、ポリアミド繊維を作製した。
[比較例2]
酸化防止剤をリン系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトに変更した以外は実施例1と同様にして、ポリアミド繊維を作製した。得られた繊維は強度保持率、伸度保持率ともに30%以上であったが、繊維の着色が見られた。
酸化防止剤をリン系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトに変更した以外は実施例1と同様にして、ポリアミド繊維を作製した。得られた繊維は強度保持率、伸度保持率ともに30%以上であったが、繊維の着色が見られた。
[比較例3]
酸化防止剤の代わりに、ヨウ化銅を繊維に対して銅として80ppmとなる量で添加した以外は実施例1と同様にして、ナイロン66短繊維を製造した。得られた繊維は繊維の着色は見られなかったが、強度保持率、伸度保持率ともに30%より低かった。
酸化防止剤の代わりに、ヨウ化銅を繊維に対して銅として80ppmとなる量で添加した以外は実施例1と同様にして、ナイロン66短繊維を製造した。得られた繊維は繊維の着色は見られなかったが、強度保持率、伸度保持率ともに30%より低かった。
[実施例3]
高粘度ナイロン66ペレット及びマスタポリマーペレットの水分率をそれぞれ200ppmとした以外は実施例1と同様にして、ナイロン66短繊維を製造した。得られた繊維の硫酸相対粘度は4.2であり、製糸段階で硫酸相対粘度の低下が生じず、高粘度のナイロン66短繊維を得ることができた。
高粘度ナイロン66ペレット及びマスタポリマーペレットの水分率をそれぞれ200ppmとした以外は実施例1と同様にして、ナイロン66短繊維を製造した。得られた繊維の硫酸相対粘度は4.2であり、製糸段階で硫酸相対粘度の低下が生じず、高粘度のナイロン66短繊維を得ることができた。
[比較例4]
溶融紡糸における1軸スクリュー押出機中の温度を310℃とした以外は実施例1と同様にして、ナイロン66短繊維を製造した。得られた繊維の硫酸相対粘度は3.6であり、製糸段階での硫酸相対粘度の低下が生じた。
溶融紡糸における1軸スクリュー押出機中の温度を310℃とした以外は実施例1と同様にして、ナイロン66短繊維を製造した。得られた繊維の硫酸相対粘度は3.6であり、製糸段階での硫酸相対粘度の低下が生じた。
[比較例5]
高粘度ナイロン66ペレット、マスタペレットの水分率をそれぞれ500ppmとした以外は実施例1と同様にして、ナイロン66短繊維を製造した。得られた繊維の硫酸相対粘度は3.9であり、製糸段階での硫酸相対粘度の低下が生じた。
高粘度ナイロン66ペレット、マスタペレットの水分率をそれぞれ500ppmとした以外は実施例1と同様にして、ナイロン66短繊維を製造した。得られた繊維の硫酸相対粘度は3.9であり、製糸段階での硫酸相対粘度の低下が生じた。
[比較例6]
捲縮付与温度を160℃とした以外は実施例1と同様にして、ナイロン66短繊維を製造した。得られた繊維の捲縮数は6山/25mm、捲縮率は13%と低い値であった。
捲縮付与温度を160℃とした以外は実施例1と同様にして、ナイロン66短繊維を製造した。得られた繊維の捲縮数は6山/25mm、捲縮率は13%と低い値であった。
本発明法により得られるポリアミド繊維は、特に、抄紙フェルトを構成するフェルトファイバー(ステープル)として有用であり、苛酷な条件下で使用されても抄紙フェルトの使役寿命を従来よりも増加させることができる。
Claims (4)
- 4.0以上の硫酸相対粘度を有するポリアミドからなり、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を繊維中に0.1〜10質量%含有し、単糸繊度が6〜35dtex、捲縮数が8〜15山/25mm、捲縮率が15〜25%であることを特徴とするポリアミド繊維。
- 前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤が、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert.−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)である、請求項1に記載のポリアミド繊維。
- 前記ポリアミド繊維を次亜塩素酸ソーダ0.25重量%水溶液で80℃、72時間処理後の強度保持率が30%以上、かつ同処理後の伸度保持率が30%以上である、請求項1又は2に記載のポリアミド繊維。
- 請求項1乃至3記載のポリアミド繊維を製造する方法であって、4.0以上の硫酸相対粘度を有するポリアミドと、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を前記ポリアミドにおけるよりも高濃度で含有するマスタポリマーとを、各ポリマーの水分率を150〜370ppmに保持しつつ紡糸機に供給し、溶融混合して、紡糸温度280〜295℃で溶融紡糸し、延伸後の捲縮付与を200〜250℃で行うことを特徴とするポリアミド繊維の製造方法。
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CN109518288A (zh) * | 2018-11-07 | 2019-03-26 | 神马实业股份有限公司 | Bcf尼龙66中低旦纱线的生产方法及bcf尼龙66中低旦纱线 |
US20220372681A1 (en) * | 2017-06-08 | 2022-11-24 | Ascend Performance Materials Operations Llc | Polyamide nanofiber nonwovens |
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2012
- 2012-01-31 JP JP2012017882A patent/JP2013155460A/ja active Pending
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