JP2016089284A - 紡績糸および織編物 - Google Patents

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剛司 嶋田
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Abstract

【課題】ソフトな風合いを有し、更に天然繊維、セルロース系繊維のみではなし得なかった高い吸水・速乾性と防スケ性の機能をも兼ね備えた衣料用途、特にインナーシャツやスポーツシャツに適する紡績糸を提供する。
【解決手段】扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維60〜80質量%と低異型断面繊維20〜40質量%を混紡してなる紡績糸であって、前記の扁平多葉型高異形断面繊維の単繊維繊度が1.0〜5.0dtexの範囲にあり、前記の低異形断面繊維の単繊維繊度が0.5〜2.0dtexの範囲にあるとともに、前記の扁平多葉型高異形断面繊維の単繊維繊度が前記の低異形断面繊維の単繊維繊度の1.5〜かつ5.5倍であり、かつ、前記の扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の横断面形状が、円周上に6個以上の凸部を有する扁平形状である紡績糸。
【選択図】図1

Description

本発明は、良好な吸水拡散性、抗ピル性、防透け性および紫外線遮蔽性を有する紡績糸に関するものであり、特に、布帛にした際に接触冷感性や保温効果と清涼感を併せ持つ、衣料用、特にインナーシャツ、アウターシャツ、パンツ、スポーツシャツおよびパンツ等に好適な織編物を得ることが可能となる紡績糸に関するものである。
従来、インナーシャツ、アウターシャツ、パンツ、スポーツシャツおよびパンツ等の衣料用途向けに、ポリエステル系繊維素材を用いて、吸水拡散性、抗ピル性、防透け性および紫外線遮蔽性等を向上させる検討が行われており、その結果として異形断面ポリエステル繊維を用いた紡績糸および織編物が提案されている。
具体的に、ポリエステル系異形断面短繊維3〜4種類を15〜20重量%以上となる混率にすることによって得られた紡績糸などが提案されている(特許文献1参照。)。しかしながら、この提案の紡績糸は、合成繊維のみで構成されているため、吸水性とソフト風合いの面においてはなお十分でないという課題がある。
また、断面形状として3個以上の突起物を有し、異形度が1.8以上の異形断面ポリエステル系短繊維と天然繊維、合成繊維または半合成繊維との混紡糸などが提案されている(特許文献2参照。)。しかしながら、この提案においても、異形断面ポリエステル繊維との混紡糸を用いているものの、吸水性および清涼風合い面においてはなお十分ではないという課題がある。
さらに、異形断面ポリエステル系繊維の形状を多葉断面型と多角形型を用い異形断面ポリエステル系繊維と、セルロース系繊維との混綿糸を用いることにより、清涼風合いとなり、高チタン含有糸との混紡により防スケ性を向上させる紡績糸が提案されている(特許文献3参照。)。しかしながら、この提案の場合も前記の提案と同様に、清涼風合い、吸水性および防スケ性においても十分ではないという課題があった。
特開平9−59838号公報 特開2008−133584号公報 特開2012−188792号公報
そこで本発明の目的は、前記従来技術ではなし得なかったポリエステル系繊維を使用しつつも清涼な風合いを有し、更に天然繊維やセルロース系繊維のみではなし得なかった高い吸水拡散性、防スケ性、紫外線遮蔽性、抗ピル性、接触冷感、および保温効果など多くの機能をも兼ね備えた紡績糸を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題について鋭意検討した結果、繊維間の空隙に着目した。前記の特許文献2においては、使用される異形断面ポリエステル繊維では単繊維間で形成される空隙が少ないために、吸水拡散性と清涼風合い面において十分な効果が得られておらず、また、前記の特許文献3においても同様であり、さらに防スケ性においても繊維表面形状による十分な光の乱反射が少なく、防スケ効果が小さいと考えられた。
異形断面繊維を用いた吸水拡散性については、一方的に吸水性が高いだけでは水分をそのまま保持してしまい着用中に身体を冷やしてしまうなどの懸念が考えられるため、水分拡散により外気との接触機会を増やしてあげることで速乾性が望めることから繊維間の空隙率が非常に重要であるとことを見出した。
しかしながら、これらの空隙を得るために異形断面繊維を用いると単繊維自体が剛直になり、特にインナーなどの肌に直接触れる用途では、毛羽が皮膚を刺激しチクチク感があり好ましくない形態を有するものであった。
更には、これらの合成繊維などを通常のリング紡績方法によって実撚りを施し紡績糸とし、テキスタイルとして使用した際、風合いはソフトであるが、紡績糸自体に長い毛羽が多数存在し、布帛とした後、衣料着用時に布帛表面に摩擦の作用を受けるとそれら長い毛羽と毛羽が互いに干渉し、次第に毛玉いわゆるピリングに成長し、これらピリングが衣料の外観を著しく損なうという課題があった。
また、抗ピル性を得るために、短繊維を結束紡績機いわゆる空気精紡機によって紡績し、織編物にした場合は、抗ピル性能には優れるが、布帛そのものの風合いに著しく粗硬感を生じ、結果としては満足いく織編物を得ることができない。
そこで本発明者らは、上記の課題を解決するため、特定の扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維と低異形繊維を併用することにより、清涼な風合いと、紡績糸、および織編物における高い吸水拡散性、高い防スケ性および紫外線遮蔽性を有し、抗ピル性をも併せ持つ本発明の紡績糸をなすに至った。
すなわち、本発明の紡績糸は、扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維60〜80質量%と低異形断面繊維20〜40質量%を混紡してなる紡績糸であって、前記の扁平多葉型高異形断面繊維の単繊維繊度が1.0〜5.0dtexの範囲にあり、前記の低異形断面繊維の単繊維繊度が0.5〜2.0dtexの範囲にある繊維構成であるとともに、前記の扁平多葉型高異形断面繊維の単繊維繊度が前記の低異形断面繊維の単繊維繊度の1.5倍以上でかつ5.5倍未満の単繊維繊度であり、かつ、前記の扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の横断面形状が6個以上の凸部を有する扁平形状であり、前記の扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の横断面の最大長さをA、前記の扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の横断面の最大幅をB、最大凹凸部において隣り合う凸部の頂点間を結ぶ線の長さをC、前記の凸部の頂点間を結ぶ線から凹部の底点に下ろした垂線の長さをDとするとき、下記式(1)で定義される扁平度と下記式(2)で定義される異形度を満足する紡績糸である。
・扁平度(A/B)=2.0〜3.0 ・・・ (1)
・異形度(C/D)=1.0〜5.0 ・・・ (2)。
本発明の紡績糸の好ましい態様によれば、前記の異形度は2.0〜5.0である。
本発明の紡績糸の好ましい態様によれば、前記の扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の横断面の最大長さAを対称軸とし、対向する両凸部頂点間線分のうち、横断面の最大幅Bを除いて最長となる長さをEとするとき、下記式(3)で定義される凸部比を満足することである。
・凸部比(E/B)=0.6〜0.9 ・・・ (3)。
本発明の紡績糸の好ましい態様によれば、前記の扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の無機粒子含有率は0.2〜2.5質量%である。
本発明の紡績糸の好ましい態様によれば、前記の低異型断面繊維の無機粒子含有率は1.0〜8.0質量%である。
本発明の紡績糸の好ましい態様によれば、前記の紡績糸において、芯側繊維束が実質的に無撚である結束紡績糸とすることができる。
本発明により、良好な吸水拡散性、抗ピル性、防透け性および紫外線遮蔽性を有する紡績糸であり、布帛にした際に接触冷感性や保温効果と清涼感を併せ持つ紡績糸、およびそれを用いてなる織編物を得ることができる。
本発明の紡績糸は、衣料用途、特にインナーシャツ、アウターシャツ、パンツ、スポーツシャツおよびパンツ等の織編物に好適に用いられる。
図1は、繊維断面の円周上に複数(8個)の凸部を有する本発明の紡績糸が備える扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の横断面形状を例示説明するための断面図である。 図2は、繊維断面の円周上に零から複数の凸部を有する本発明の紡績糸が備える低異形断面繊維の横断面形状を例示説明するための断面図である。
次に、本発明の紡績糸について詳細に説明する。
本発明で用いられる低異形断面繊維としては、麻、コットン、シルクおよびウール等の天然繊維、ビスコースレーヨン、ポリ乳酸繊維、キュプラおよび溶剤紡糸セルロースなどの再生繊維、またアセテート等の半合成繊維はもちろんのこと、合成繊維であるポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、アラミド繊維、フッ素繊維、ガラス繊維、炭素繊維、および金属繊維等が挙げられ、これらの中から任意に選択することができる。これらの繊維の中でも、低吸湿性の観点から、特にポリエステル繊維とポリプロピレン繊維が好ましくは用いられる。
低異形断面繊維の繊維断面形状に関して、真円状の円形断面であっても良く、また、多葉形、楕円形、W字形、S字形、X字形、H字形、C字形、田字形および井桁形などの異形断面の繊維を用いることができ、さらにこれらの中空断面の繊維も用いることができる。
本発明で用いられる低異形断面繊維については、使用している扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維よりも扁平度および異形度が小さくあればよく、具体的には下記式(4)と下記式(5)で示される扁平度と異形度であることが好ましい。
・扁平度(a/b)=0.0〜1.5 ・・・ (4)
・異形度(c/d)=0.1〜2.0 ・・・ (5)
ここで、上記のa〜dは、後述する図2に示される線分の長さa、その線分の長さaに垂直に交わる凸部の頂点間を結ぶ線分の長さb、最大凹凸部において隣り合う凸部の頂点間を結ぶ線の長さc、前記の最大凹凸部において隣り合う凸部の頂点間を結ぶ線から凹部の底点に下ろした垂線の長さd、をそれぞれ表す。
低異形断面繊維の扁平度と異形度が、扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維と同等程度であった場合、毛細管現象が発現しにくく、異形度が大きくなることにより繊維曲げ剛性が高くなり粗硬感が生じ、同時に毛羽として紡績糸の表面に顕在化することにより所望の糸形態を得られないために抗ピル性の低下だけでなく、吸水拡散性効果も低下する。
本発明で用いられる扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維は、任意の横断面形状が円周上に凹凸を有した扁平形状の繊維である。円周上の凹凸の数が多いほど吸水性が高く、更に毛細管作用により均一に液を拡散するので、速乾性を有しドライ感と清涼感を保持し易い。
本発明で用いられる扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維は、円周上の凸部数は6個以上であり、好ましくは8個以上である。また、凹凸部の形状は、肌触り性の観点から湾曲した形状であることが好ましい。
また、扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の単繊維繊度は、1.0〜5.0dtexであり、好ましくは1.2〜2.2dtexである。単繊維繊度が1.0dtex未満になると、カードのシリンダーに巻き付き易くなる傾向があり、工程通過性が著しく低下することがある。その結果として、紡績糸の欠点が発生し易くなる傾向がある。
また、単繊維繊度が5.0dtexを超えると、人肌に触れた際の風合いが硬くなる他、繊維先端が人肌に突き刺さりチクチク感を与えてしまうなどソフト風合いの面において使用上好ましくない。更には、単繊維繊度が大きくなることにより繊維間の空隙が大きくなり過ぎるため、紡績糸構造での毛細管現象が発現しなくなり、吸水性が著しく低下する傾向があるなど機能面でも悪影響を及ぼすことがあり、紡績糸品位面でも紡績糸を構成する単繊維数が少なくなることにより、糸太細ムラが顕著になり外観性を損なうことにもなる。
本発明で用いられる扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維と低異形断面繊維の繊維長は、繊維同士との交絡性が高く、カード工程通過性を向上させることができるという観点からは、30〜150mmであることが好ましく、更に好ましくは35〜76mmである。
また、繊維内で毛細管現象を発現するには、繊維間に存在する空隙率に差をつける必要があるため、本発明で用いられる低異形断面繊維の単繊維繊度は、0.5〜2.0dtexの範囲にある繊維構成であるとともに、前記の扁平多葉型高異形断面繊維の単繊維繊度はこの低異形断面繊維の単繊維繊度の1.5倍以上でかつ5.5倍未満の単繊維繊度である。
本発明の紡績糸において、前記の扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の含有率は60〜80質量%である。扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の混合率(含有率)が60質量%より少なくなると、液体を含浸させる吸水性が弱くなるため、水分拡散性が低下し、本発明の紡績糸においてドライ感と清涼感が低下する。また、本発明の紡績糸において、扁平多葉型高異形断ポリエステル系繊維の混合率が80質量%を超えると、吸水性が逆に低下してしまい、却って含浸した液体を繊維内に保持してしまい、液体を速やかに蒸発させることができない。すなわち、吸水速乾性に乏しくなる。
これらの観点から、扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維と低異形繊維の混綿比率は、扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の割合が低異形繊維の質量%で上回っていなければならず、低異形繊維が紡績糸を構成する比率が40%を超えると所望の効果を得ることができないため、その粗密差は1.2以上であることが好ましい。
本発明は、自然界の樹木は水分を幹から枝、更には小枝、そして葉の毛細管へと太い管から細い管へと重力方向へ逆らって水分を移動する自然原理の応用である。
すなわち、水面に毛細管を立てた場合、重力に抗して水は毛細管を上昇するが、その高さはh=2r・cosθ/vpgで表される。
ここで、v=管の半径、p=液体の密度、r=液体の表面張力、θ=接触角、g=重力加速度である。
本発明で用いられるポリエステル系繊維を構成するポリエステルは、テレフタル酸とエチレングリコール、トリメチレングリコールあるいはブチレングリコール等の縮合反応によって生成される高分子重合体、およびセバシン酸、アジピン酸、トリメリット酸、イソフタル酸およびパラキシ安息臭酸などとエチレングリコール等との縮合体、ならびに他のポリエステル類を含むポリエステル重合体などを意味する。
本発明で用いられる扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維は、その横断面形状が6個以上の凸部を有する扁平形状のポリエステル系繊維である。横断面形状の円周上に存在する凸部が6個未満では、隣接する繊維間で形成する空隙が少なくなり、吸水性や保液、拡散性が乏しくなり、また、光の乱反射率が低下し、防スケ性も低下する。横断面形状は扁平形状であることにより、繊維間に空隙を形成することが可能となり、吸水性や保液、拡散性が良好となる。また、光の乱反射率が増加し、防スケ性が良好となる。更に、単繊維あたりの毛倒れ性が良くなることから、ソフトな風合いを得ることができる。
図1に、本発明で用いられる扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の単繊維横断面形状の一例を示す。図1では、繊維断面の円周上に複数(8個)の凸部を有する本発明の紡績糸が備える扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の横断形状が例示されている。
本発明では、その横断面形状において、6個以上の凸部を有する扁平形状のポリエステル系繊維が用いられるが、凸部は好ましくは8個以上であり、より好ましくは10個以上である。また、凸部の上限値は好ましくは12個である。また、凸部の形状は、肌触り性の観点から湾曲した形状であることが好ましい。
本発明で用いられる扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維は、その単繊維横断面における扁平多葉断面形状が、下記式(1)で定義される扁平度と下記式(2)で定義される異形度を満足する。さらには、下記式(3)で定義される凸部比を満足することが好ましい態様である。
・扁平度(A/B)=2.0〜3.0 ・・・ (1)
・異形度(C/D)=1.1〜5.0 ・・・ (2)
・凸部比(E/B)=0.6〜0.9 ・・・ (3)
図1は、繊維断面の円周上に複数(8個)の凸部を有する本発明の紡績糸が備える扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の横断面形状を例示説明するための断面図である。
ここで、Aは上記の扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の横断面の最大長さである。Bは、扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の横断面の最大幅であって、線分の長さAに垂直に交わる凸部の頂点間を結ぶ最大幅の線分の長さをいう。Cは、最大凹凸部において隣り合う凸部の頂点間を結ぶ線の長さをいう。Dは、前記の最大凹凸部において隣り合う凸部の頂点間を結ぶ線から凹部の底点に下ろした垂線の長さをいう。Eは、扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の横断面の最大長さAを対称軸とし、対向する両凸部頂点間線分のうち、最大幅Bを除いて最長となる長さをいう。
本発明において、扁平度(A/B)は2.0〜3.0である。扁平度(A/B)が2.0未満では、繊維の毛倒れ性が悪くなり、ソフトな風合いが得られなくなる。一方、扁平度(A/B)が3.0を超えると、ハリコシ感が小さく、へたり易くなり、また、製糸性の悪化や異形度が悪化する。扁平度(A/B)は、より好ましくは2.0〜2.7であり、更に好ましくは2.0〜2.5である。
また、異形度(C/D)は、前記の扁平多葉形において、凸部と凸部の間にある凹部の大きさを表しており、その値が大きいと凹部が小さく、その値が小さいと凹部は大きいことを意味している。異形度(C/D)が大きくなると凹部は浅く、繊維間で形成する空隙も小さくなるため、吸水・拡散性が低下する傾向がある。更に、光の乱反射率も低下し、防スケ性も低下する傾向にある。従って、異形度(C/D)は5.0以下である。
一方、異形度(C/D)があまりに小さい場合、繊維断面の凹部が折れ曲がり易くなり、扁平形状を保つことができなくなる。更には、擦過により繊維損傷を受け易くなるため、肌と摩擦した場合に肌が傷付く恐れがある。これらのことから、異形度(C/D)は1.1以上である。異形度(C/D)は、前述の点から1.1〜5.0である。更に、異形度(C/D)は吸水・拡散性の点から、1.1〜4.0がより好ましく、さらには、扁平形状の保持性と吸水・拡散性バランスの点から2.0〜4.0がより好ましい態様である。
凸部比(E/B)は、前記の扁平多葉形において、扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の横断面の最大長さAを対称軸とし、最大幅Bとそれを除く最大凸部頂点間長さEとの長さ比を示しており、このことは、最大幅Bおよび最大凸部頂点間長さE、最大長さAの各凸部頂点を結ぶ線を描いた際に得られる略楕円形状の歪度合いを測る指標としての意味を持つ。凸部比があまりに小さい場合、凹部深さが減少するとともに、その横断面形状は限りなく扁平十字形に近似した形状となる。そのため、毛細管現象効果が減少し、吸水・拡散性が低下する。また、肌に触れた際、扁平十字形状に近しくなるために接触する凸部数が減少し、肌触り感・ソフト性が低下する。従って、凸部比は0.6以上であることが好ましい。一方、凸部比があまりにも大きい場合、繊維同士の凹凸が嵌合した際に、凹部が完全に閉塞する部分が多くなることで空隙が減少してしまい、吸水・拡散性が低下する。また、肌に触れた際、その形状は扁平六角形に近しい形状となることで接触する凸部数が減少し、肌触り感・ソフト性が低下する。これらのことから、凸部比(E/B)は0.9以下であることが好ましい。凸部比(E/B)は、前述の点から0.6〜0.9であることが好ましく、さらに、そのバランスから好ましくは0.6〜0.8であり、特に好ましくは0.7〜0.8である。
また、扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維と混紡する低異形断面繊維の断面形状は、一般的な丸形状であっても良いが、毛細管現象を発現させての吸水機能を発揮するためには、高異形断面ポリエステル系繊維よりも低異形である必要がある。
本発明で用いられる低異形断面繊維の異形度(c/d)は、扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維よりも小さい0.1〜2.0が好ましく、より好ましくは水分の移動特性を考慮し0.3〜1.5である。
図2は、繊維断面の円周上に零から複数の凸部を有する本発明の紡績糸が備える低異形断面繊維の横断面形状を例示説明するための断面図である。図2において、aおよびbの断面長さ比が扁平度を示し、線分の長さaに垂直に交わる凸部の頂点間を結ぶbの線分の長さをいう。cは、最大凹凸部において隣り合う凸部の頂点間を結ぶ線の長さをいう。dは、前記の最大凹凸部において隣り合う凸部の頂点間を結ぶ線から凹部の底点に下ろした垂線の長さをいう。
本発明において、扁平度(a/b)は0.0〜1.5である。扁平度(a/b)が2.0以上では、扁平多葉型高異形断面繊維との表面積差が得られなくなり、光の乱反射が少なくなり、所望の紡スケ性、紫外線遮蔽率が得られなくなるため好ましくない。かかる低異形断面繊維の扁平度(a/b)は、より好ましくは0.0〜1.5であり、更に好ましくは0.0〜1.0である。
また、異形度(c/d)は、前記の低異形断面繊維において、凸部と凸部の間にある凹部の大きさを表しており、その値が大きいと凹部が小さく、その値が小さいと凹部は大きいことを意味している。異形度(c/d)が大きくなると凹部は浅く、扁平多葉型高異形断面繊維との空隙率差がつけられなくなり、吸水性能・水分拡散性を得ることができなくなるばかりか、異形度が高くなることで紡績糸にした際の曲げ剛性が強くなり織編物とした場合に肌に粗硬感が生じ好ましくない従って、異形度(c/d)は2.0以下である。
一方、異形度(c/d)があまりに小さい場合、高異形繊維との異形度差が大きくなり過ぎ、所望の吸水性、水分拡散性が得られない。これらのことから、異形度(c/d)は0.1以上である。異形度(c/d)は、前述の点から0.1〜2.0である。更に、異形度(c/d)は高異形繊維との異形度のバランスから、0.5〜1.5がより好ましい態様である。
本発明で用いられる扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維は、無機粒子含有率が0.2〜2.5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜2.2質量%であり、さらに好ましくは0.3〜2.0質量%である。無機粒子の含有率が0.2質量%未満では、低異形断面繊維との摩擦が増加し、ソフト風合いが損なわれる傾向があり、さらに光の乱反射が不十分となり、防スケ性能が低下する傾向がある。無機粒子の含有率が2.5質量%を超えた場合は、紡績工程通過性の低下やガイド摩耗が発生する傾向があり、また扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の紡出時に異形度が低下する傾向がある。更に、艶消し効果が強く作用するため、白度に劣り発色性を失う傾向がある。
また、扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の繊維長は、紡績での工程通過性の観点から30〜64mmであることが好ましい。更に好ましくは35〜51mmである。
本発明で用いられる扁平多葉高異形断面ポリエステル系繊維は、例えば、次のようにして製造することができる。
ポリエステルとして、スルホイソフタル酸の金属塩を4.9mol%含有するポリエチレンテレフタレート(PET)(融点252℃)を用いて、溶融紡糸装置によって最長軸スリットに対し、垂直に5本の短軸スリットを有する扁平多葉断面形状口金(486孔)から290℃の紡糸温度で550g/分にて吐出し、15℃の温度の空気を40m/分の流れで吹き付けて冷却させた後、1200m/分の速度で引き取り未延伸糸を得た。この未延伸糸を収束後、延伸倍率3.47倍、延伸温度90℃で延伸し、捲縮を付与し、85℃の温度で分乾燥した後、切断して、単繊維繊度が3.3dtex、単繊維強度が2.5cN/dtexで、繊維長が51mmであり、扁平度が2.2、異形度が1.8で、凸部比が0.8であり、横断面形状が8個の凸部を有する扁平多葉高異形断面ポリエステル系繊維を製造した。
また、本発明で用いられる低異形断面繊維は、例えば、次のようにして製造することができる。
同様に、ポリエステルとして、スルホイソフタル酸の金属塩を4.9mol%含有するポリエチレンテレフタレート(PET)(融点252℃)を用いて、溶融紡糸装置によって丸型断面形状口金(336孔)から290℃の紡糸温度で415g/分にて吐出し、15℃の温度の空気を70m/分の流れで吹き付けて冷却させた後、1300m/分の速度で引き取り未延伸糸を得た。この未延伸糸を収束後、延伸倍率3.31倍、延
伸温度90℃で延伸、捲縮を付与、120℃で乾燥した後、切断して、単繊維繊度が
3.3dtex、単繊維強度が2.5cN/dtex、繊維長が51mmである横断面形状が丸型である丸型断面ポリエステル系繊維を製造した。
次に、本発明の紡績糸の製造方法について説明する。
本発明の紡績糸は、吸水性と水分拡散性の観点から、紡績糸の空隙率が非常に重要であることから紡績糸の空隙率を任意にコントロールすることができる空気紡績糸であることが好ましい。また、双糸加工品であっても紡績糸を解撚するなどして、これら課題を解決し得るが、加工コスト高騰の課題がある。
本発明の紡績糸においては、扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の使用による吸水性と水分拡散性を得るために、紡績糸自体が無撚りであることが好ましい。
また、光の乱反射を促すべく、紡績糸表面の凹凸性と繊維配向が任意に配置できることが必要である。
本発明では、村田機械製Murata−Vortex−Spinner(以下、MVSと略すことがある。)を用いることにより、上述の紡績糸を得ることができる。ここで、本発明でいう無撚である紡績糸とは、短繊維成分の平均繊維長をLsとした場合、4.0T/Ls以下の実撚りがかかっているもの、または無撚状のものである。撚り数が4.0T/Ls以下の場合には、撚りトルクの作用による撚り戻りの発生がないので、無撚構造糸ということができる。
すなわち、無撚り構造糸であれば一般的なリング精紡機によって得られる実撚り糸のような撚りトルクによる短繊維束間の拘束がなく、本発明の紡績糸の比較的内側に存在する芯成分の短繊維束が撚トルクのない状態、すなわちフリーな状態であるため、短繊維間の空気層が多く存在する(繊維間空隙の増大)ことによって、本発明の紡績糸で構成されている織編物は、より吸水拡散性に富み、かつピリング性に優れたものとなる。
更には、糸構造に加え、高異形断面繊維を用いることで、より毛細管現象を発現させることができる他、空隙(デッドエアー)による保温効果も望めるなど相乗効果は非常に高いものがある。
無撚構造糸は一般的な空気精紡によって得られるが、繊維間空隙の増大を考慮すると比較的内側に存在する芯成分の無撚り短繊維束に対し、比較的外側に位置する鞘成分の短繊維束が一定間隔に巻き付いていることがより好ましい態様である。
さらには、本発明の紡績糸の製造に用いられる空気精紡機は、紡速を変化させることで糸形態を変化させることができ、紡出条件として紡速が遅くなるほど紡績糸の芯成分の比率が増し、糸結束がより安定するが、逆に布帛にした際の粗硬感が強く、糸結束が増すことで短繊維束間の空隙が少なくなり、本発明の目的とするソフト感の観点からは好ましくない。逆に、紡速が早い場合、短繊維束間の空隙は増し風合いもソフトとなり、ドレープ性の観点からも好ましいが、糸強力の低下、またピリングの原因となる毛羽が増加することから、紡速は220m/分〜350m/分であることが好ましい。
また、本発明の紡績糸を構成する短繊維の強度は2.0cN/dtex〜7.0cN/dtexであることが好ましい。強度が2.0cN/dtex未満になると、紡績、製織および染色工程における工程通過性が不調になる問題が発生するなど、製品の強度劣化による実着用時に問題が生じる。逆に、強度が7.0cN/dtexを超えると、衣料着用時、布帛表面に摩擦を受け短繊維同士が絡み毛玉に成長し、ピリングとなった際、短繊維の強度が強過ぎるため毛玉が脱落し難く、結果的に本発明の目的である抗ピリング性が得られにくい。以上の理由により、短繊維の強度は上述の好ましい範囲にあるものである。
更に、このMVSを用いることにより、通常の紡績工程で用いられるトラベラやリング等を必要としないため、高温熱を発生させる要素がないことから上述のトラベラ−リング間の擦過熱による糸溶解が全くなくなる他に、無機粒子による糸道の擦過削れなどがなくなり糸品位が向上するのは勿論のこと、操業上の上記の課題も解決することができる。
本発明の紡績糸は、前記の扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維と低異形断面繊維とを用いて通常の紡績方法により製造することができ、リング精紡機(結束・渦流方式含む)や空気精紡機等を用いることができる。混紡方法も前記の扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維と低異形断面繊維の2種類の混紡や、本発明の混紡率範囲内で他繊維と混紡することも可能である。紡績糸の番手は、特にインナー素材や、シャツ素材に使用する場合においては、30〜53sが好ましく、40sがより好ましい態様である。
本発明の織編物は、本発明の紡績糸を100%用いた織編物としても良いが、本発明の紡績糸が少なくとも40質量%含有されていることが好ましい。本発明の紡績糸の割合が40質量%未満では、本発明の扁平多様型高異形断面ポリエステル系繊維と低異形断面繊維の組合せによる吸水性効果が得られにくい傾向がある。また、60質量%未満の範囲で、本発明の紡績糸に他の紡績糸やフィラメント等を交織または交編することが可能である。
本発明の紡績糸およびそれをもってなる織編物は、吸水性、速乾性、防スケ性とソフトな風合いとを兼ね備えているため、インナーシャツ、パンツ、およびスポーツシャツ等として好適に用いることができる。
次に、実施例によって本発明の紡績糸を詳しく説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。実施例中における各物性値は、次の方法により測定した。
<吸水性評価>
JIS L1907(2013年)(バイレック法)に準じて評価した。評価内容は次のとおりであり、「○」以上を合格とした。
◎:80mm以上
○:70〜79mm
△:50〜69mm
×:49mm以下。
<速乾性評価>
室温25℃、湿度40%RH雰囲気下において24時間放置した試験片を、10cm角に切り出して、質量(A)を測定する。次に、その試験片をイオン交換水の中に30秒間浸し、その後、試験片の一角をピンセットでつまんで液から取り出す。取り出した試験片を同様に室温25℃、湿度40%RH雰囲気下において1時間放置し、自然乾燥させ、質量(B)を測定する。残存水分率(C)は、下記式で算出する。
・C(%)=(B−A)/A×100
評価内容は次のとおりであり、「○」と「◎」を合格とした。
◎:30%以下
○:31〜40%
△:41〜50%
×:51%以上。
<防透け性>
分光光度計(ミノルタM−3600d)を用い、標準白板、標準黒板を試料生地の背景として各L値(反射率)を測定し、防透け度(%)として、次式で求めた。
・防透け度(%)=100−(Lfw−Lfb)/(Lw−Lb)×100
Lw :試料生地がない状態での標準白板のL値
Lb :試料生地がない状態での標準黒板のL値
Lfw:試料生地を標準白板上に置いた時のL値
Lfb:試料生地を標準黒板上に置いた時のL値
評価内容は次のとおりであり、「○」と「◎」を合格とした。
◎:70%以上
○:60〜69%
△:50〜59%
×:49以下。
<ソフト風合い>
試験片を10cm角に切り出して、5名の被験者に切り出した試験片を握ってもらい、次の基準に従って点数評価を行った後に平均点を算出し、「○」と「◎」を合格とした。
3点:風合いが柔らか
2点:風合いがやや硬い
1点:風合いが硬い
◎:2.8点以上
○:2.4〜2.7点
△:1.9〜2.3点
×:1.8点以下。
<紫外線遮断率>
分光光度計(UV−3150 島津製作所)を用い、試験片を6cm×3cmで3枚採取し、試験片をホルダーへセットし紫外線を照射しこの時の紫外線強度を読み取り、次式によって紫外線遮蔽率を求めた。
・紫外線透過率(%)=試験片の透過強度(=mW/cm)/試験片がない時の透過強度(=6mW/cm)×100
・紫外線遮蔽率(%)=100−紫外線透過率
[実施例1]
単繊維繊度が1.7dtex、酸化チタン含有率が0.3質量%、扁平度が2.1、異形度が2.7、凸部比が0.8で横断面形状が8個の凸部を有する扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維(繊維長:51mm)20質量%と、繊繊維長25〜51mmに等長カットされた単繊維繊度が1.2dtex低異形断面ポリエステル短繊維を用い、通常の紡績方法を用いて2.36g/mの太さのスライバーを作成した。このスライバーを、ローラー方式のドラフト機構を有する空気精紡機に仕掛け、MVS精紡機のドラフト率を120倍に設定して、紡速を220m/分として綿式番手30sの紡績糸を得た。紡績性は良好であり糸切れもなかった。
用いたMVS精紡機の糸形成部は中空のエアーノズルを有し、エアーノズル内の旋回気流によって、鞘部の無撚り芯鞘短繊維束に鞘部の芯鞘短繊維束が一定間隔で結束することにより、無撚りである紡績糸を形成する機構となるものである。この紡績糸を経糸と緯糸に使い、エアジェット織機でタテ密度が110本/2.54cm、ヨコ密度が76本/2.54cmの平織物を得た。紡績糸の繊維構成を表1に、評価結果を表2に示す。
[実施例2]
単繊維繊度が1.7dtex、酸化チタン含有率が0.3質量%、扁平度が2.1、異形度が2.7、凸部比が0.8で横断面形状が8個の凸部を有する扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維(繊維長:51mm)50質量%と、繊維長が25〜51mmに等長カットされた単繊維繊度1.2dtex低異形断面ポリエステル短繊維を用い、通常の紡績方法を用いて2.36g/mの太さのスライバーを作成した。このスライバーを実施例1と同様にMVS精紡機のドラフト率を120倍に設定して、紡速を220m/分として綿式番手30sの紡績糸を得た。
この紡績糸を同じく経糸と緯糸に使い、エアジェット織機でタテ密度が110本/2.54cm、ヨコ密度が76本/2.54cmの平織物を得た。紡績糸の繊維構成を表1に、評価結果を表2に示す。
[実施例3]
単繊維繊度が1.7dtex、酸化チタン含有率が0.3質量%、扁平度が2.1、異形度が2.7、凸部比が0.8で横断面形状が8個の凸部を有する扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維(繊維長:51mm)80質量%と、単繊維繊度1.2dtexの低異形ポリエステル繊維(繊維長:51mm)20質量%を混紡し、このスライバーを実施例1と同様にMVS精紡機のドラフト率を120倍に設定して、紡速を220m/分として綿式番手30sの紡績糸を得た。
この紡績糸を経糸と緯糸に使い、エアジェット織機でタテ密度が110本/2.54cm、ヨコ密度が76本/2.54cmの平織物を得た。紡績糸の繊維構成を表1に、評価結果を表2に示す。
[実施例4]
単繊維繊度が1.7dtex、酸化チタン含有率が0.1質量%、扁平度が2.0、異形度が2.5、凸部比が0.7で横断面形状が8個の凸部を有する扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維(繊維長:51mm)80質量%とした以外は、実施例1〜実施例3と同様にして紡績糸を得た。この紡績糸を経糸と緯糸に使い、エアジェット織機でタテ密度が110本/2.54cm、ヨコ密度が76本/2.54cmの平織物を得た。紡績糸の繊維構成を表1に、評価結果を表2に示す。
[比較例1]
単繊維繊度が1.7dtex、酸化チタン含有率が0.3質量%、扁平度が2.1、異形度が2.7、凸部比が0.8で横断面形状が8個の凸部を有する扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維(繊維長:51mm)85質量%と、単繊維繊度1.7dtexの丸断面ポリエステル繊維(繊維長:51mm)15質量%を混紡し、ヨリ係数K=3.5として英国式綿番手40sの紡績糸を得た。この紡績糸を経糸と緯糸に使い、エアジェット織機でタテ密度が110本/2.54cm、ヨコ密度が76本/2.54cmの平織物を得た。紡績糸の繊維構成を表1に、評価結果を表2に示す。
[比較例2]
単繊維繊度が1.7dtex、酸化チタン含有率が0.3質量%、扁平度が2.1、異形度が2.7、凸部比が0.8で横断面形状が8個の凸部を有する扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維(繊維長:51mm)15質量%と、単繊維繊度1.7dtexの丸断面ポリエステル繊維(繊維長:51mm)85質量%を混紡し、ヨリ係数K=3.5として英国式綿番手40sの紡績糸を得た。この紡績糸を経糸と緯糸に使い、エアジェット織機でタテ密度が110本/2.54cm、ヨコ密度が76本/2.54cmの平織物を得た。紡績糸の繊維構成を表1に、評価結果を表2に示す。
[比較例3]
単繊維繊度が1.7dtex、酸化チタン含有率が0.3質量%、扁平度が1.0、異形度が6.7、凸部比が0.9横断面形状が3個の凸部を有する三葉断面(Y型)ポリエステル系繊維(繊維長:51mm)80質量%と、単繊維繊度1.7dtexの丸断面ポリエステル繊維(繊維長:51mm)20質量%を混紡し、ヨリ係数K=3.5として英国式綿番手40sの紡績糸を得た。この紡績糸を経糸と緯糸に使い、エアジェット織機でタテ密度が110本/2.54cm、ヨコ密度が76本/2.54cmの平織物を得た。紡績糸の繊維構成を表1に、評価結果を表2に示す。
[比較例4]
単繊維繊度が1.7dtex、酸化チタン含有率が0.3質量%で横断面形状が丸型断面ポリエステル系繊維(繊維長:51mm)80質量%と、単繊維繊度1.7dtexの丸断面ポリエステル繊維(繊維長:51mm)20質量%を混紡し、ヨリ係数K=3.5として英国式綿番手40sの紡績糸を得た。この紡績糸を経糸と緯糸に使い、エアジェット織機でタテ密度が110本/2.54cm、ヨコ密度が76本/2.54cmの平織物を得た。紡績糸の繊維構成を表1に、評価結果を表2に示す。
Figure 2016089284
Figure 2016089284
A:扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の横断面の最大長さ
B:扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の横断面の最大幅
C:最大凹凸部において隣り合う凸部の頂点間を結ぶ線の長さ
D:最大凹凸部において隣り合う凸部の頂点間を結ぶ線から凹部の底点に下ろした垂線の長さ
E:上記のAを対称軸とし、対向する両凸部頂点間線分のうち、Bを除いて最長となる長さ
a:線分の長さ
b:線分の長さaに垂直に交わる凸部の頂点間を結ぶ線分の長さ
c:最大凹凸部において隣り合う凸部の頂点間を結ぶ線の長さ
d:最大凹凸部において隣り合う凸部の頂点間を結ぶ線から凹部の底点に下ろした垂線の長さ。

Claims (7)

  1. 扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維60〜80質量%と低異型断面繊維20〜40質量%を混紡してなる紡績糸であって、前記扁平多葉型高異形断面繊維の単繊維繊度が1.0〜5.0dtexの範囲にあり、前記低異形断面繊維の単繊維繊度が0.5〜2.0dtexの範囲にある繊維構成であるとともに、前記扁平多葉型高異形断面繊維の単繊維繊度が前記低異形断面繊維の単繊維繊度の1.5倍以上でかつ5.5倍未満の単繊維繊度であり、かつ、前記扁平多葉断面ポリエステル系繊維の横断面形状が円周上に6個以上の凸部を有する扁平形状であり、前記扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の横断面の最大長さをA、前記扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の横断面の最大幅をB、最大凹凸部において隣り合う凸部の頂点間を結ぶ線の長さをC、前記最大凹凸部において隣り合う凸部の頂点間を結ぶ線から凹部の底点に下ろした垂線の長さをDとするとき、下記式(1)で定義される扁平度および下記式(2)で定義される異形度を満足することを特徴とする紡績糸。
    ・扁平度(A/B)=2.0〜3.0 ・・・ (1)
    ・異形度(C/D)=1.0〜5.0 ・・・ (2)
  2. 異形度が2.0〜5.0である請求項1記載の紡績糸。
  3. 扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の横断面の最大長さAを対称軸とし、対向する両凸部頂点間線分のうち、横断面の最大幅Bを除いて最長となる長さをEとするとき、下記式(3)で定義される凸部比を満足することを特徴とする請求項1または2記載の紡績糸。
    ・凸部比(E/B)=0.6〜0.9 ・・・ (3)
  4. 扁平多葉型高異形断面ポリエステル系繊維の無機粒子含有率が0.2〜2.5質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の紡績糸。
  5. 低異型断面繊維の無機粒子含有率が1.0〜8.0質量%である請求項1〜4のいずれかに記載の紡績糸。
  6. 芯側繊維束が実質的に無撚である請求項1〜5のいずれかに記載の結束紡績糸。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の紡績糸からなる織編物。
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