JP2008081863A - 防透け性と吸水性を有するポリエステル繊維および布帛 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ドライな風合いを得ることができるとともに、優れたドレープ性、ふくらみ感を有し、従来にない優れた防透け性とUVカット効果を同時に満足することができる織編物などを提供できるポリエステル繊維およびその織編物、不織布などの布帛を提供する。
【解決手段】 芯部に酸化チタン微粒子を含有したポリエステル系芯鞘複合繊維からなり、単繊維断面形状が六〜十葉の扁平多葉形であり、該扁平多葉形の外接円の頂点間を結ぶ最長の直径をA、該長径Aに直交するとともに前記扁平多葉形の凸部の頂点を結ぶ短径のうち最大の短径をB、該短径Bと同一かまたは2番目に長い短径をC、かつ前記扁平多葉形の凹部の底点間を結ぶ短径のうち最短の短径をDとするとき、特定の扁平度、異形度を同時に満足する単繊維からなることを特徴とするポリエステル繊維。
【選択図】図1
【解決手段】 芯部に酸化チタン微粒子を含有したポリエステル系芯鞘複合繊維からなり、単繊維断面形状が六〜十葉の扁平多葉形であり、該扁平多葉形の外接円の頂点間を結ぶ最長の直径をA、該長径Aに直交するとともに前記扁平多葉形の凸部の頂点を結ぶ短径のうち最大の短径をB、該短径Bと同一かまたは2番目に長い短径をC、かつ前記扁平多葉形の凹部の底点間を結ぶ短径のうち最短の短径をDとするとき、特定の扁平度、異形度を同時に満足する単繊維からなることを特徴とするポリエステル繊維。
【選択図】図1
Description
本発明は、ドライタッチと優れた吸水・汗処理性、ドライ感を有するポリエステル繊維およびその織物、編物(以下、織物、編物を総称して織編物ということがある)などの布帛に関するものである。さらに詳しくは吸水・汗処理性、ドライ感に加えて、従来にない高い防透け性およびUVカット効果を兼ね備えたポリエステル繊維およびその織編物などの布帛に関するものである。
ポリエステルは寸法安定性や耐薬品性などの耐久性に優れ、その機能性の有用さから多目的に用いられており、例えば、衣料用、産業用、資材用、医療用などに好適に用いられている。
一方、市場では合成繊維の特品化の要望が年々高まっており、中でも水着、インナー用途においては防透け性繊維の要望が強く、合成繊維各社を中心に種々の検討がなされている。一般的にセラミックス、中でも酸化チタンを多量に添加することにより高い防透け性が得られることが知られているが、多量に含有した酸化チタンが糸表面に露出されていると、仮撚工程、撚糸工程、製織および製編工程などのガイド、ローラー、筬および編み針などの摩耗を促進し、頻繁に部品を交換する必要があり、交換費用および機械損失によるコストアップは避けられない。
かかる問題を解決するために、芯鞘複合糸で芯成分に酸化チタンを多く含有させ、鞘成分に酸化チタンを少なく含有させる技術が開示されている(特許文献1,2,3参照)。確かに、この方法によって従来の繊維の欠点を解消し、ある程度の防透け性が保持しながら、製糸時の巻取りロールや糸道ガイドの摩耗および仮撚工程、撚糸工程、製織および製編工程における繊維と摺動部分での摩耗を低減させることが可能となった。しかしながら、近年の水着、インナー用途の防透け性要求レベルは年々高くなっており、従来の防透けレベルでは満足のいかないレベルとなっている。
また、さらなる防透け性の向上として芯鞘複合糸の芯部に炭化珪素を含有させる技術が提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、炭化珪素を含有させることにより防透け性は向上するが酸化チタンよりもコストが高く、ランニングコストがかかる。また、白色ではないため淡色への展開が難しい。
また、水着、インナー用途においては優れた防透け性に加え、優れた吸水・汗処理性やストレッチ特性が要求される。織編物に吸水・汗処理性を付与する方法としては、2種類以上の異なる断面形状のフィラメント糸から構成されるポリエステルマルチフィラメント糸の少なくとも1種類のフィラメント糸が凹部を有しない断面形状のフィラメント糸で、それ以外のフィラメント糸が3〜8個の凹部を有する断面形状のフィラメント糸から構成され、それぞれの断面形状のフィラメント糸が外層および内層にランダムな状態で分散し、混繊されている混繊複合糸からなる織編物などが提案されている(特許文献5参照)。しかしながら、これらのポリエステル繊維は、ソフトな風合いや吸水性およびドライ感を目的とするために、不透明性を発揮する無機微粒子はほとんど含有されておらず、透けを防止する不透明感については全く考慮されていない。
特開昭55−158331号公報(第2頁)
特開2003−227040号公報(第2頁)
特開平11−269721号公報(第2頁)
特開2002−61032号公報(第2頁)
特開2001−271251号公報(第2頁)
本発明の課題は、上記従来の問題点を解決しようとするものであり、ドライな風合いを得ることができるとともに、優れたドレープ性、ふくらみ感を有し、従来にない優れた防透け性とUVカット効果を同時に満足することができる織編物などを提供できるポリエステル繊維およびその織編物、不織布などの布帛を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明は下記の構成を採用するものである。すなわち、
(1)芯部に酸化チタン微粒子が芯成分に対して2.0〜10.0重量%含有したポリエステル系芯鞘複合繊維からなり、単繊維断面形状が六〜十葉の扁平多葉形であり、該扁平多葉形の外接円の頂点間を結ぶ最長の直径をA、該長径Aに直交するとともに前記扁平多葉形の凸部の頂点を結ぶ短径のうち最大の短径をB、該短径Bと同一かまたは2番目に長い短径をC、かつ前記扁平多葉形の凹部の底点間を結ぶ短径のうち最短の短径をDとするとき、下記(1)〜(4)式を同時に満足する単繊維からなることを特徴とするポリエステル繊維。
(1)芯部に酸化チタン微粒子が芯成分に対して2.0〜10.0重量%含有したポリエステル系芯鞘複合繊維からなり、単繊維断面形状が六〜十葉の扁平多葉形であり、該扁平多葉形の外接円の頂点間を結ぶ最長の直径をA、該長径Aに直交するとともに前記扁平多葉形の凸部の頂点を結ぶ短径のうち最大の短径をB、該短径Bと同一かまたは2番目に長い短径をC、かつ前記扁平多葉形の凹部の底点間を結ぶ短径のうち最短の短径をDとするとき、下記(1)〜(4)式を同時に満足する単繊維からなることを特徴とするポリエステル繊維。
扁平度(A/B)=1.2〜2.2 ・・・(1)
異形度I(C/D)=1.1〜1.3 ・・・(2)
異形度II(B/D)=1.1〜1.6 ・・・(3)
A>B≧C>D ・・・(4)
(2)芯部の断面形状が鞘部と同一断面形状であることを特徴とする前記(1)に記載のポリエステル繊維。
異形度I(C/D)=1.1〜1.3 ・・・(2)
異形度II(B/D)=1.1〜1.6 ・・・(3)
A>B≧C>D ・・・(4)
(2)芯部の断面形状が鞘部と同一断面形状であることを特徴とする前記(1)に記載のポリエステル繊維。
(3)芯部と鞘部の断面積複合比率が90:10〜50:50であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のポリエステル繊維。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリエステル繊維を少なくとも一部に用いてなることを特徴とする布帛。
本発明によれば、生糸使用でもドレープ性とドライ感を有し、さらに良好な吸水性と防透け性、UVカット性が得られるポリエステル繊維およびその織編物などの布帛を提供できる。特に、水着やインナー用途に展開すると、原糸の断面形状の吸水効果により、汗によるべたつき感から解放される。また、これらの用途では重要なセールスポイントである防透け性およびUVカット効果も同時に得ることができる。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
最初に本発明を構成する芯鞘複合繊維について説明する。本発明のポリエステル系芯鞘複合繊維の芯部はセラミックス、中でも酸化チタンを含有しているものである。該酸化チタンの含有率は、充分な防透け性を得るためには芯成分に対し2.0〜10.0重量%含有していることが好ましい。2.0重量%以上である程度の防透け性能が発現し、また、酸化チタン含有量が10.0重量%以下では酸化チタンの分散性が向上し紡糸時の濾過材の目詰まりが抑制されるため、長時間安定して紡糸することができる。
また、芯部と鞘部の断面積複合比率は90:10〜50:50であることが好ましい。芯部断面積比率が50%以上であると高遮蔽性効果が充分発揮されるため、防透け性が得られる。また、芯部断面積比率が90%以下であると繊維の摺動部のガイドの摩耗など製糸性および高次通過性が良好となる。したがって、防透け性と製糸性および高次通過性を満足させることにより、さらに好ましい芯部と鞘部の断面積複合比率は80:20〜60:40である。
複合形態は芯部と鞘部を実質的に同心状に配置させることが好ましい。ここでいう実質的に同心状とは芯部と鞘部が偏心していないことをいう。極端に偏ったり、芯部が表面に露出するようなことがあると本発明の目的とする効果が損なわれる。また芯部の最も薄い部分の厚みの下限は、製糸時および製織、製編時の摩擦によって生じる鞘部の摩擦による芯部の露出を制御するため0.2μm以上が好ましく、一方、鞘部の最も薄い部分の厚みの上限は防透け性効果の面から1.0μm以下とするのが好ましい。
芯部断面形状は丸断面でも問題ないが、防透け性向上による芯部の断面積比率を上げることおよび光の分散効果を上げるためには鞘部形状と同形状とすることが好ましい。
本発明の効果を発現するポリエステル系芯鞘複合繊維を紡糸する方法としては、公知の複合紡糸技術を採用することができ、特に限定するものではない。
次に、本発明のポリエステル繊維の断面形状について説明する。本発明のポリエステル繊維は、繊維軸方向に対して直交する断面での単繊維断面形状が、図1に例示するような六〜十葉の扁平多葉形であり、好ましくは六〜八葉の扁平多葉断面形を有する。このような扁平多葉断面形を有することにより、入射光の分散効果が促進され、より防透け性能が向上する。
本発明のポリエステル繊維は、さらに六〜十葉の扁平多葉断面に形成されていることにより適度の剛性を発揮し、織物または編物にしたときにはヘタリ難く、優れたハリコシ感を有する。
本発明のポリエステル繊維は上述した良好な防透け性能を発現するため、単繊維断面における扁平多葉断面形状を外接円で囲んだときの長径と短径とが以下に説明するような関係になっているものである。
図1(a)、(b)、(c)に、単繊維断面の代表例を示すが、この単繊維断面形状が六〜十葉の扁平多葉形であって、下記(1)〜(4)式を同時に満足する単繊維からなる。
扁平度(A/B)=1.2〜2.2 ・・・(1)
異形度I(C/D)=1.1〜1.3 ・・・(2)
異形度II(B/D)=1.1〜1.6 ・・・(3)
A>B≧C>D ・・・(4)
ここで、Aは上記扁平多葉形の外接円の頂点間を結ぶ最長の長径である。また、Bは長径Aの方向に直行するとともに扁平多葉形の凸部の頂点間を結ぶ短径のうち最大の短径をいう。Cは短径Bと同一長さであるかまたは2番目に長い短径をいう。また、Dは扁平多葉形の凹部の底点間を結ぶ短径のうち最短の短径をいう。(図1(a)参照)。
異形度I(C/D)=1.1〜1.3 ・・・(2)
異形度II(B/D)=1.1〜1.6 ・・・(3)
A>B≧C>D ・・・(4)
ここで、Aは上記扁平多葉形の外接円の頂点間を結ぶ最長の長径である。また、Bは長径Aの方向に直行するとともに扁平多葉形の凸部の頂点間を結ぶ短径のうち最大の短径をいう。Cは短径Bと同一長さであるかまたは2番目に長い短径をいう。また、Dは扁平多葉形の凹部の底点間を結ぶ短径のうち最短の短径をいう。(図1(a)参照)。
扁平度(A/B)が1.2未満であると、防透け性の向上効果が認められなくなり、2.2を超えると、織物または編物にしたときのハリコシ感が小さく、ヘタリやすくなる。また、製糸性の悪化や糸条の解舒性が悪化する。扁平度(A/B)は、より好ましくは1.3〜2.1であり、さらに好ましくは1.4〜2.0にするのがよい。また、異形度I(C/D)が1.3より大きくなったり、異形度II(B/D)が1.6より大きくなると製糸性が悪化する。また、高次工程での擦過、また衣服の着用や洗濯などで凸部が摩滅し繊維断面が変化したり、フィブリル化が起こりやすくなる。異形度I(C/D)および異形度II(B/D)がそれぞれ1.1より小さくなると吸水性が低下する。断面形状のA>Bとすることにより扁平断面となり、織物または編物にしたときのハリコシ感がでる。また、B≧C>Dとすることにより、繊維断面に凹凸ができるため、吸水性が発現する。
本発明の芯成分、鞘成分それぞれのポリエステルとしては、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンフタレートなどが挙げられるが、中でも前者のテレフタル酸を主たる酸成分とし、炭素数2〜6のアルキレングリコール成分、すなわちエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール及びヘキサメチレングリコールから選ばれた少なくとも一種のグリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルを対象とする。
なお、このポリエステルはそのテレフタル酸成分を他の二官能性カルボン酸成分で置き換えても良い。かかるカルボン酸としては、たとえばイソフタル酸、フタル酸、ジブロモテレフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェノキシエタンカルボン酸、β−オキシエトキシ安息香酸の如き二官能性芳香族カルボン酸などを挙げることができる。
また、上記グリコール成分の一部を他のグリコール成分で置き換えてもよく、かかるグリコール成分としては例えばシクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、2,2−ビス〔3,5−ジブロモ−4−(2−ハイドロキシエトキシ)フェニル〕プロパンの如き脂肪族、脂環族、芳香族のジオールが挙げられる。
さらに、上述のポリエステルに必要に応じて他のポリマを少量ブレンド溶融したもの、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸などの鎖分岐剤を少割合使用したものであっても良い。
さらに、上述のポリエステルに必要に応じて他のポリマを少量ブレンド溶融したもの、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸などの鎖分岐剤を少割合使用したものであっても良い。
本発明のポリエステル繊維をマルチフィラメント糸として用いる場合、用いる油剤は脂肪酸エステルやポリエーテル系油剤が好ましい。また、必要に応じて脂肪酸エステルとポリエーテル系油剤を併用しても良い。
本発明のポリエステル繊維は凹部と凸部により、単繊維間で空隔を形成するため吸水性が優れている。また、アルカリ減量処理を実施すると繊維表面の凹凸効果によりさらに吸水性が向上する。バイレック法による吸水性が30mm以上、滴下法による拡散速度が15秒以下となることで吸水性・汗処理性が良好となり、衣服としたときの着用快適性が良好となるため好ましい。
なお、バイレック法による吸水性の測定は、JIS L 1097:2004「繊維製品の吸水性試験方法」に規定されているバイレック法を準用し、次の方法で行った。まず、サンプルとして200mm×25mmの試験片をたて、よこ方向にそれぞれ5枚採取する。次に水(JIS K 0050に規定するもので、その温度は20℃±2℃とする)を入れた水槽の水面上に支えた水平棒上に試験片をピンなどで固定した後、水平棒を降下させて、試験片の下端が水に浸せきするように調整し、そのまま10分間放置する。放置後、毛細管現象によって水が上昇した高さをスケールで1mmまで測定し、たて、よこそれぞれの5回の平均値で表す(整数位まで)。また、水の上昇した高さが読みとりにくい場合は、水の代わりに水溶性染料を薄く水に溶かした水溶液を用いてもよい。
また、滴下法による吸水性の測定は、JIS L 1097:2004「繊維製品の吸水性試験方法」における滴下法を準用し、次の方法で行った。まず、サンプルとして約200mm×約200mmの試験片を5枚採取する。次に試験片を試験片保持枠に取り付け、試験片の表面からビュレットの先端までが10mmの高さになるように調整し、ビュレットから水(JIS K 0050に規定するもので、その温度は20℃±2℃とする)を1滴滴下させ、水滴が試験片の表面に達したときからその水滴が特別な反射をしなくなるまでの時間をストップウォッチで0.5秒まで測定し、5回の平均値で表す(整数位まで)。
本発明のポリエステル繊維の単繊維繊度は0.5dtex以上11.11dtex以下であることが好ましい。0.5dtex未満では製糸性が悪化し、また安定した断面の保持ができにくくなる。11.11dtexを超えると織編物の風合いが硬くなり、目的とするドライ感が損なわれるようになる。
次に、本発明のポリエステル繊維を製造する方法について説明する。溶融紡糸工程は、例えば、図2〜図3に示す工程により製糸することができる。
図3の溶融紡糸工程は溶融状態のポリエステルを紡糸パック1の紡糸口金2から、公知の複合紡糸技術を活用して芯鞘型に複合紡出されたそれぞれ二つの糸条を冷却チムニー3で冷却空気により冷却固化した後、それぞれ給油ガイド4、4で紡糸油剤を付与し、インターレースノズル5、5によりそれぞれの糸条に交絡を付与しながら引取ローラー6で引き取り、最後に糸条毎にパッケージ7、7に巻き上げる。引取ローラー6における引取速度としては1800〜3000m/分が適用され、得られた糸条は未延伸糸または半延伸糸であっても構わない。得られた未延伸糸または半延伸糸を延伸もしくは仮撚り工程にて延伸することにより、本発明のポリエステル繊維が得られる。
図2の溶融紡糸工程では、紡糸口金2から吐出された二つの糸条を一本の糸条として収束し、1個のパッケージ7に巻き取るようにした点が図3の工程とは相違している。
本発明のポリエステル繊維フィラメント繊維、あるいはステープル繊維を少なくとも用いて、織物、編物、不織布などの布帛とすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳述するが、これら実施例のみに本発明の範囲が限定されるものではない。なお、実施例中の原糸、織編物の特性値は、「発明を実施するための最良の形態」中に記載の方法により評価した。
(1)製糸性
168時間(7日間)連続紡糸を行い、製糸性を次の判定方法に従った。
(1)製糸性
168時間(7日間)連続紡糸を行い、製糸性を次の判定方法に従った。
◎:糸切れ率が3.0%未満
○:糸切れ率が3.0%以上5.0%未満
△:糸切れ率が5.0%以上7.0%未満
×:糸切れ率が7.0%以上
−:評価不可
(2)防透け性
5cm×5cmの編物サンプル5枚をSMカラーコンピュータ型式SM−3(スガ試験機(株)製)を用いて透過率を測定し、平均値で評価した(n=5)。
○:糸切れ率が3.0%以上5.0%未満
△:糸切れ率が5.0%以上7.0%未満
×:糸切れ率が7.0%以上
−:評価不可
(2)防透け性
5cm×5cmの編物サンプル5枚をSMカラーコンピュータ型式SM−3(スガ試験機(株)製)を用いて透過率を測定し、平均値で評価した(n=5)。
◎:透過率 4%未満
○:透過率 4%以上7%未満
△:透過率 7%以上10%未満
×:透過率 10%以上
(3)吸水・汗処理性
編物サンプルにおけるバイレック法による吸水高さと滴下法による拡散速度より、下記の通り3段階で評価した。◎、○が本発明の目標レベルである。
○:透過率 4%以上7%未満
△:透過率 7%以上10%未満
×:透過率 10%以上
(3)吸水・汗処理性
編物サンプルにおけるバイレック法による吸水高さと滴下法による拡散速度より、下記の通り3段階で評価した。◎、○が本発明の目標レベルである。
◎:吸水高さが50mm以上かつ拡散速度が10秒以下
○:吸水高さが30mm以上かつ50mm未満かつ拡散速度が15秒以下、或いは吸水高さが30mm以上かつ拡散速度が10秒超過15秒以下
×:吸水高さが30mm未満または拡散速度が15秒超過
(4)ハリコシ感
編物サンプルにおける基準サンプルとの一対比較による官能試験を実施し、「極めて優れている」は◎、「優れている」は○、「普通」は△、「劣っている」は×の4段階で評価した。なお、基準サンプルには、ポリエチレンテレフタレート丸断面糸84dtex−36filを使用して同様に丸編物にしたものを用い、これを「劣っている:×」とした。
○:吸水高さが30mm以上かつ50mm未満かつ拡散速度が15秒以下、或いは吸水高さが30mm以上かつ拡散速度が10秒超過15秒以下
×:吸水高さが30mm未満または拡散速度が15秒超過
(4)ハリコシ感
編物サンプルにおける基準サンプルとの一対比較による官能試験を実施し、「極めて優れている」は◎、「優れている」は○、「普通」は△、「劣っている」は×の4段階で評価した。なお、基準サンプルには、ポリエチレンテレフタレート丸断面糸84dtex−36filを使用して同様に丸編物にしたものを用い、これを「劣っている:×」とした。
実施例1〜4、比較例1〜6
芯部に酸化チタン(チタン工業製 KA−30改)を含有したポリエステルを用い、孔数36孔の口金を用い、それぞれの断面形状にて、図3のような工程により3000m/分の速度で紡糸し、140デシテックス36フィラメントの半延伸糸を得た。この半延伸糸を常法に従って延伸倍率1.74、HR温度130℃、延伸速度450m/分で延伸し、繊度85デシテックス36フィラメントの延伸糸を得た。この延伸糸を用いて丸編物を作成した。表1に評価結果を示す。
実施例1〜4は吸水性、汗処理性ともに優れ、ドライな風合いを有し、防透け効果も良好なものとなった。また、ハリコシ感についても良好な結果が得られた。
これに対し、比較例1では酸化チタンの含有量が少ないために、防透け性が悪く不充分であった。比較例2は酸化チタン含有量が多く、表面に露出されているため、製糸性が悪化した。比較例3では凹部を有しない断面のみよりなるフィラメントで構成されており、吸水性、汗処理性、ドライ感が悪く、防透け性も不充分であった。比較例4〜6は規定の断面となっていないためにハリコシ感が不足した。
芯部に酸化チタン(チタン工業製 KA−30改)を含有したポリエステルを用い、孔数36孔の口金を用い、それぞれの断面形状にて、図3のような工程により3000m/分の速度で紡糸し、140デシテックス36フィラメントの半延伸糸を得た。この半延伸糸を常法に従って延伸倍率1.74、HR温度130℃、延伸速度450m/分で延伸し、繊度85デシテックス36フィラメントの延伸糸を得た。この延伸糸を用いて丸編物を作成した。表1に評価結果を示す。
実施例1〜4は吸水性、汗処理性ともに優れ、ドライな風合いを有し、防透け効果も良好なものとなった。また、ハリコシ感についても良好な結果が得られた。
これに対し、比較例1では酸化チタンの含有量が少ないために、防透け性が悪く不充分であった。比較例2は酸化チタン含有量が多く、表面に露出されているため、製糸性が悪化した。比較例3では凹部を有しない断面のみよりなるフィラメントで構成されており、吸水性、汗処理性、ドライ感が悪く、防透け性も不充分であった。比較例4〜6は規定の断面となっていないためにハリコシ感が不足した。
1:パック
2:口金
3:チムニー
4:給油ガイド
5:インターレースノズル
6:引取ローラー
7:パッケージ
2:口金
3:チムニー
4:給油ガイド
5:インターレースノズル
6:引取ローラー
7:パッケージ
Claims (4)
- 芯部に酸化チタン微粒子が芯成分に対して2.0〜10.0重量%含有したポリエステル系芯鞘複合繊維からなり、単繊維断面形状が六〜十葉の扁平多葉形であり、該扁平多葉形の外接円の頂点間を結ぶ最長の直径をA、長径Aに直交するとともに前記扁平多葉形の凸部の頂点を結ぶ短径のうち最大の短径をB、短径Bと同一かまたは2番目に長い短径をC、かつ前記扁平多葉形の凹部の底点間を結ぶ短径のうち最短の短径をDとするとき、下記(1)〜(4)式を同時に満足する単繊維からなることを特徴とするポリエステル繊維。
扁平度(A/B)=1.2〜2.2 ・・・(1)
異形度I(C/D)=1.1〜1.3 ・・・(2)
異形度II(B/D)=1.1〜1.6 ・・・(3)
A>B≧C>D ・・・(4) - 芯部の断面形状が鞘部と同一断面形状であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル繊維。
- 芯部と鞘部の断面積複合比率が90:10〜50:50であることを特徴とする請求項1または2にに記載のポリエステル繊維。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル繊維を少なくとも一部に用いてなることを特徴とする布帛。
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